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  • FIA会長 F1エンジン規則改定を歓迎「協力の成果だ」

    FIA会長 F1エンジン規則改定を歓迎「協力の成果だ」

    FIA(国際自動車連盟)会長のモハメド・ビン・スライエムは、F1パワーユニット規則の大幅変更が発表されたことを受け、FIA、F1、各チーム、パワーユニットメーカーによる協調的な取り組みを称賛した。

    2027年から、F1のパワーユニットは内燃エンジンとバッテリーシステムの出力配分を見直す。現行の50対50に近い構成は、バッテリーが消耗するとマシンが事実上大きくパワーを失うとして、一部ドライバーから不満が出ていた。

    2027年から内燃エンジン比率を拡大
    FIA、F1、パワーユニットメーカーはここ数週間、内燃エンジン側の出力比率を高め、バッテリーへの依存を下げる方向で協議を続けてきた。

    合意された目標は60対40の出力配分だ。2027年はまず58対42へ移行し、2028年に60対40へ到達する計画となる。

    この変更を実現するため、内燃エンジンへの燃料流量は2027年に5%、2028年に13%引き上げられる。

    一連の変更案は6月23日の世界モータースポーツ評議会に提出され、正式承認を受ける見通しだ。

    ビン・スライエム「F1は常に進化してきた」
    発表を受け、ビン・スライエムは関係者の協力に感謝を示した。

    「F1は常に、新たな課題に対応し、新たな機会をつかむために進化してきました」

    「今回提案された変更は、レギュレーションがエキサイティングなレース、技術革新、そして長期的な持続可能性を支え続けるために、スポーツ全体で進められている協調的な取り組みを反映したものです」

    「FIAには選手権の未来を守る責任があり、今回の調整はその責任の一部です」

    「僕たちのスポーツの未来を形づくり、世界中のファンに届けるためには、共に取り組むことが重要です。FIAスタッフ、各チーム、フォーミュラワン・グループ、そしてパワーユニットメーカーの建設的な姿勢に感謝します」

    批判を受けた50対50構成を修正
    2026年から導入された新世代パワーユニットは、電動領域の比重を大きく高めたことが特徴だった。

    しかし、走行中のエネルギーマネジメントが過度に複雑になり、バッテリーの消耗によってパフォーマンスが大きく変動する点が問題視されてきた。

    今回の変更は、電動化と持続可能燃料という新規則の方向性を維持しつつ、レース中の扱いやすさと競争性を高めるための修正と位置づけられる。

    2028年に60対40へ到達
    F1は2027年に58対42、2028年に60対40へ段階的に移行する。

    これにより、内燃エンジン側の役割が再び拡大し、ドライバーが訴えていたバッテリー消耗時の極端なパワー低下を抑える狙いがある。

    正式承認はまだ残されているが、6月23日の世界モータースポーツ評議会で問題なく通過すると見られている。

    【関連】
    ・F1 2027年からPU規則改定で合意 内燃エンジン比率を段階的に拡大

  • F1コミッションが2027年F1レギュレーション修正を承認 TPC規則も見直し

    F1コミッションが2027年F1レギュレーション修正を承認 TPC規則も見直し

    F1コミッションは、2026年2回目の会合を開き、2027年F1シーズンに向けた複数の変更で合意した。会合にはFOM会長兼CEOのステファノ・ドメニカリも出席した。

    2026年F1レギュレーションの大幅変更を受け、F1コミッションの会合は安全性とレースの質を高めることを目的として行われている。議論の詳細は公表されていないが、FIA(国際自動車連盟)は主要な論点をまとめたメディア向け概要を発表した。

    今回の発表では、2027年F1シーズンに向けたさまざまな変更が確認された。2027年F1テストの日数を3日間から4日間へ延長する大きな変更から、各コンポーネントに関する小規模な修正まで幅広い内容が含まれている。

    2027年F1テストを1日延長
    2027年F1シーズン前のプレシーズンテストは、これまでの3日間から4日間へ拡大される。これは各チームにとって重要な変更となる。

    テストは3月に中東で開幕するシーズンを前に、バーレーンで実施される可能性が高い。

    現在はパワーユニットにおける内燃機関と電動出力の比率を50対50から60対40へ変更する議論も続いており、この案が承認された場合、追加される1日間のテストは各チームにとって非常に重要な準備期間となる。

    TPC規則も見直し
    TPC(Testing of Previous Car/旧型車テスト)に関する規則変更も承認された。

    新たな規則では、翌年のF1世界選手権で開催されるサーキットにおけるテストに制限が設けられる。

    これにより、各チームはテストプログラムの計画を見直す必要があり、旧型車を活用した走行機会の運用にも影響を与える可能性がある。

    空力とボディワークにも小規模修正
    空力およびボディワーク関連のコンポーネントについても小規模な変更が合意された。

    ただしFIAは、これらの変更内容について詳細を公表していない。

    2026年F1レギュレーション導入後も競技面や安全面の最適化は継続されており、今回の修正もその一環とみられる。

    今回F1コミッションで合意されたすべての規則変更は、今後FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の承認を経て正式決定される。

  • FIAが11人の現役ドライバーをアンバサダー任命 AI運転評価企画を推進

    FIAが11人の現役ドライバーをアンバサダー任命 AI運転評価企画を推進

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年の「FIAスマート・ドライビング・チャレンジ」に参加する11名のプロレーシングドライバーをアンバサダーとして発表した。

    この取り組みは、安全で持続可能な運転を促進するグローバル企画で、日常的にクルマを運転する一般ドライバーがアプリを通じて参加し、運転の安全性や環境性能を競う。

    モータースポーツ界の11名が一般ドライバーを支援
    今回アンバサダーに任命されたのは、FIA世界選手権を含む幅広いカテゴリーで活躍する11名のドライバーだ。

    WECからはイーフェイ・イェ、マルテ・ヤコブセン、フォーミュラEからはエドアルド・モルタラが参加。WRC勢ではヨアン・ロッセル、テイラー・ギル、ロメット・ユルゲンソン、さらにワールド・ラリーレイド選手権からアリーヤ・コロツが名を連ねた。

    このほか、レーシングドライバー兼コンテンツクリエイターのハナ・バートン、DTMおよびGTで活躍するケルビン・ファン・デル・リンデ、ラリーのカイェタン・カイェタノビッチ、INDY NXTのティメック・クハルチクも加わっている。

    アンバサダーは、FIAスマート・ドライビング・チャレンジのアプリ内で一般ドライバーのチームを率い、参加者に向けて限定コンテンツや助言、専門的な知見を提供する。参加者はアプリやSNSを通じて、自身が選んだアンバサダーから運転データの分析や改善のヒントを受け取ることができる。

    AI技術で安全性と環境性能を評価
    8年目を迎えるこのチャレンジでは、グレーター・ザンの人工知能技術を活用し、スマートフォンと車両を接続して運転パフォーマンスを測定する。

    参加者はアプリをダウンロードし、Bluetoothで車両と接続するだけで、安全性と持続可能性に関するリアルタイムのフィードバックを受け取れる仕組みだ。

    FIAの自動車モビリティ・持続可能性・観光担当事務総長であるウィレム・グルーネワルドは、この取り組みについて次のように述べた。

    「FIAスマート・ドライビング・チャレンジは、日常的に運転する人々とモータースポーツ界のトップレベルの人物を結びつけ、世界中でより安全で持続可能なモビリティの実現を支援するという点で独自のものだ」

    「最新のAI技術とエリートドライバーの専門知識を組み合わせることで、このチャレンジは、運転中の小さな変化を道路上の大きな違いへと変える力を個人に与えている」

    97か国が参加した前年大会ではCO2削減効果も
    昨シーズンは97か国のドライバーが参加し、平均でバッテリー使用量またはCO2排出量を9%削減した。優勝者は約30%の削減を達成している。

    また、参加者は一般的なドライバーと比較して、リスクレベルが37.5%低いことも示された。

    2026年のチャレンジは12月まで実施され、7つのヒートを経て上位20名がプレーオフに進出する。最終的に2名のファイナリストがライブ形式の直接対決に臨み、「世界で最もスマートなドライバー」の称号を争う。

  • FIA会長 ビン・スライエムが“任期制限撤廃”提案 長期政権化へ波紋

    FIA会長 ビン・スライエムが“任期制限撤廃”提案 長期政権化へ波紋

    モハメド・ビン・スライエムが、FIA(国際自動車連盟)会長職の任期制限撤廃を提案していることが明らかになった。BBCが報じている。

    現在のFIA規約では会長任期は4年で、再選は2回まで。最大12年間までしか在任できない。しかし、来月のFIA総会で審議・採決予定の新提案では、この制限そのものを撤廃する方向だという。

    64歳のモハメド・ビン・スライエムは2021年12月にFIA会長へ就任。昨年行われた会長選では、選挙規則の影響で対立候補が正式に立候補できず、無投票で再選を果たしていた。

    FIA広報担当者はBBCに対し、今回の規約変更について次のように説明した。

    「世界評議会(ワールドカウンシル)や上院ですでに適用されているものと同様に、FIA全組織における在任期間の扱いを統一する提案が提出された」

    「この提案は世界評議会および総会の承認を必要とする。FIA機関は引き続き民主的に役職者を選出する完全な権限を保持している」

    今回の提案では、FIA会長職だけでなく、アンチドーピング委員長やF1コストキャップ委員会トップなど、現在任期制限が設定されている他ポストにも影響が及ぶ見通しとなっている。

    現在の「3期12年制限」は、前FIA会長ジャン・トッドの時代に導入されたものだった。トッドは2009年、F1チームとの対立を経て退任を決めたマックス・モズレーの後任としてFIA会長に就任している。

    一方で、なぜ「他ポストにも任期制限を新設する」のではなく、「既存の任期制限を撤廃する方向」なのかについてBBCが質問したところ、FIA側は明確な説明を示さなかったという。

    ただしFIA側は、NFLコミッショナーのロジャー・グッデルを例に挙げ、「2006年からNFLを率い、スポーツを世界的ブランドへ発展させ、優れた統治実績を残している」と説明した。

    これに対し、昨年ビン・スライエムへの対抗馬として立候補を模索していたティム・メイヤーは強く反発している。

    「任期制限は単なる官僚的な細則ではない」

    「権力集中を防ぎ、リーダーシップ刷新を促し、組織が奉仕すべき対象への説明責任を維持するための、極めて重要なガバナンス上の安全装置だ」

    メイヤーはさらに、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、規約変更による続投の可能性を拒否したことにも言及。「IOCは任期制限をガバナンスの核心原則として扱っている」と指摘した。

    今回の改正案には、会長選候補者への新たな条件追加も含まれている。

    ■ FIA加盟団体またはFIA組織内での「十分な経験」を義務化
    ■ 副会長候補リスト提出期限を「選挙49日前」から「100日前」へ延長

    この変更により、将来的にビン・スライエムへ対抗する候補者が立候補しづらくなるとの見方も広がっている。

    昨年のFIA会長選では、候補者が世界6地域すべてから副会長候補を選出しなければならない規則が存在していた。しかし南米地域では、ブラジル出身のファビアナ・エクレストン(元F1最高責任者バーニー・エクレストンの妻)がすでにビン・スライエム陣営に加わっていたため、他候補は南米担当副会長候補を確保できず、立候補自体が不可能となっていた。

    なお、この選挙制度を巡っては、出馬を検討していたローラ・ヴィラーズが現在フランス裁判所でFIAを提訴している。

    FIAを巡っては近年、統治体制や透明性を巡る議論が相次いでおり、今回の“任期制限撤廃”提案はF1パドック内外でさらなる波紋を広げそうだ。

  • FIA会長スライエム 2026年F1新V6批判を一蹴「文句を言うのは負けている側」

    FIA会長スライエム 2026年F1新V6批判を一蹴「文句を言うのは負けている側」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、2026年から導入された新世代V6ハイブリッドPUへの批判に反論した。FIAは今季開幕後から電動エネルギー運用ルールの修正を重ねているが、依然としてレース内容や予選での挙動に対する不満の声は続いている。

    一方で、モハメド・ビン・スライエムはそうした批判の背景に「競争力の差」があると主張。さらに2031年からのV8回帰構想についても改めて言及し、2030年終了後にはFIAが投票なしでエンジン規定を主導できると明かした。

    「不満を言っているのは負けている側だけ」
    モハメド・ビン・スライエムは『Forbes』に対し、2026年PUレギュレーションは十分な準備期間を経て導入されたと強調した。

    「我々はPUメーカーとも協議したし、チームとも協議した」とモハメド・ビン・スライエムは語った。

    「私が就任したのは2022年で、このレギュレーションは2022年8月に署名された。しかし、これは8か月で決まったものではない」

    「18か月にわたって全チームと集団的に議論を行い、その後に導入された。2022年8月から、今年バルセロナで最初のテストを行うまで、全員にとって十分な時間があった」

    そのうえで、現在の混乱は各チームごとの問題にすぎないと指摘した。

    「あるチームはマシンに問題を抱え、別のチームはPUに問題を抱え、さらに別のチームはシャシーに問題を抱えている」

    「だが興味深いのは、後方にいる者たちだけが不満を言っていることだ。メルセデスやフェラーリが不満を言っているのを聞いたか? もちろん聞いていない。これはサイクルなんだ」

    「今は非常に強い者がいて、他の全員がその座を奪いたがっている。それが競争というものだ。しかし批判は、自分たちが正しく対応できなかった側からしか出てこない」

    FIAは開幕後もルール修正を継続
    FIAは開幕戦後から2026年レギュレーションの見直しを続けており、マイアミGPではエネルギーマネジメント関連を中心に複数の修正が導入された。2027年レギュレーションについても、すでに変更作業が進められている。

    モハメド・ビン・スライエムは、ドライバー側の意見も反映して改善を進めていると説明した。

    「オーストラリアの後に議論を行い、技術部門とシングルシーター委員会とも協議した。その後、ドライバーたちにも意見を求めた」

    「我々は電動化の適用方法や安全性についてドライバーたちと協議した。そして今では、状況は改善しているように見える」

    「これを行うことがFIAの責任だ。我々は思いつきで決定を下しているわけではない。我々は関係者と協議し、情報を集め、そのうえで一つのチームではなく、全体にとって最善のものを選んでいる」

    2031年V8回帰構想を再び主張
    モハメド・ビン・スライエムは、以前から主張しているV8エンジン回帰案についても再び言及した。今回は「決定事項」ではなく、「ますますそう考えている」とトーンを変えつつも、2030年終了後にはFIA主導で新PU規定を決定できると説明している。

    「新しいエンジンについては、V8の話をしてきた。そして私は、ますますV8を復活させる方向に傾いている」

    「2030年シーズン終了時点で、FIAは投票を経ることなくエンジン設計の権限を取り戻すことになる」

    「ただ我々としては、それを1年前倒しで実現したいと思っている」

    現在の2026年PUは、“50対50”のハイブリッド比率や大幅な電動化を特徴としている。しかし開幕後には、エネルギー不足による失速やレース中のマネジメント偏重が問題視され、FIAはすでに修正対応に追われている。

    その状況下でのV8回帰発言は、現行規則への不満をかわしつつ、将来的な方向転換への支持を集める狙いも透けて見える。

  • 2027年F1に“レース短縮案”浮上 60/40新PU構想に深刻な壁

    2027年F1に“レース短縮案”浮上 60/40新PU構想に深刻な壁

    FIA(国際自動車連盟)が2027年F1レギュレーションに向けて推進する“60/40”パワースプリット構想が、新たな現実的問題に直面している。

    現在の2026年規則では、内燃エンジン(ICE)と電力の出力比率は「50対50」が大きな柱となっている。しかし、実走データの分析が進むにつれ、エネルギー不足による“失速問題”や不自然なドライビングが懸念材料となり、FIAとメーカー陣営は早くも方向転換を模索している。

    その結果として浮上したのが、ICE側を強化した“60/40”構成への変更案だ。しかし、The Raceによると、その実現にはシャシー設計、燃料搭載量、ADUO(追加設計・アップグレード機会)制度など、多数の障害が存在しているという。

    FIAとメーカーは“原則合意” しかし詳細は未定
    今回、FIAと各メーカーが合意したのは、あくまで「50/50構造を見直す」という方向性に過ぎない。

    具体的には、燃料流量を増加させることでICE出力を50kW引き上げる一方、電力側のデプロイメントを50kW削減する案が検討されている。

    さらに議論の対象には以下も含まれている。

    ■ エネルギー回生上限の引き上げ(現行350kW以上)

    ■ バッテリー容量拡大(4MJ→5MJ案)

    FIAとしては「より自然な速度プロファイル」を取り戻し、予選やレースで発生する極端なエネルギー不足状態を解消したい考えだ。

    最大の問題は“燃料タンク”だった
    しかし、燃料流量を増やすということは、その分だけ燃料消費量も増えることを意味する。

    通常なら翌年用シャシーで燃料タンクを大型化すれば済む話だが、2027年には特殊事情が存在する。

    2026年の完全新規レギュレーション導入によって、各チームはすでに莫大な開発費を投じており、コストキャップ下では2027年の出費抑制を望む声が強い。

    The Raceによると、複数チーム――場合によってはグリッドの半数近く――が「2026年型シャシーを2027年も継続使用する」ことを検討していたという。

    しかし、燃料タンク大型化が必要になれば、その構想は成立しなくなる。

    “レース距離短縮”という衝撃案
    その結果として、現在3つの解決策が浮上している。

    1つ目は、FIAがコストキャップ特例を認め、新型シャシー開発を許可する方法。

    2つ目が、最も議論を呼びそうな“レース距離短縮案”だ。

    報道では、50kW増加を実現するには燃料流量を約10%増やす必要があるとされており、その場合、燃料消費量を合わせるために「レース距離を約10%短縮する必要がある可能性」が指摘されている。

    現在のF1は305km前後が標準距離となっているため、実施されれば約30kmの短縮になる計算だ。

    これはF1の伝統そのものに関わる問題であり、ファンやチームの反発も予想される。

    予選だけ“60/40化”する折衷案も
    もう1つの現実的選択肢として浮上しているのが、“予選のみ燃料流量アップ”という案だ。

    土曜日だけICE出力を強化し、日曜日の決勝では現行水準へ戻すことで、燃料消費問題を回避する構想である。

    これにより、予選で問題視されている“エネルギー不足による失速”を改善しつつ、レース距離や燃料タンク設計への影響を最小限に抑えられる。

    FIA内部では、この案を2028年完全移行への“橋渡し”として活用する可能性も検討されているという。

    ホンダ救済措置との衝突
    さらに複雑なのが、ADUO制度との整合性だ。

    ADUOは、性能で出遅れたPUメーカーに追加開発時間や予算を与える“救済制度”であり、現在ホンダが最大恩恵を受ける立場にある。

    しかし、燃料流量増加によってPU設計そのものが再構築される場合、既存のADUO優遇を維持すれば、一部メーカーだけが“再設計済みPU”をより長く開発できる不公平状態が生まれる。

    そのため、一部メーカーからは「2027年開始時点でADUOを完全リセットすべき」という声も出始めている。

    ただし、それを実施すれば、振動問題や信頼性不足に苦しむホンダにとっては極めて厳しい状況になる。

    FIAが会合後の声明で「原則合意(in principle)」という慎重な表現に留めた背景には、こうした政治的対立の深さがある。

    今後、詳細技術会議が本格化することで、“60/40化”が本当に2027年から実施可能なのか、その現実性が問われることになる。

  • FIA会長「我々にファンは必要ない」発言が波紋 F1統治を巡る緊張が再燃

    FIA会長「我々にファンは必要ない」発言が波紋 F1統治を巡る緊張が再燃

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長が、批判の高まりにも動じない姿勢を鮮明にした。

    統治問題や政治的対立、F1関係者との摩擦などを巡って就任以来たびたび物議を醸してきたビン・スライエムだが、米Forbesのインタビューでは「我々にファンは必要ない」と語り、FIAの役割は人気取りではなく公平性にあると主張した。

    「FIAはF1だけではない」
    モハメド・ビン・スライエムは、FIAが単なるF1統括団体ではなく、世界規模のモータースポーツ連盟であることを強調した。

    「人々はFIAを理解していない」とビン・スライエムは語った。

    「FIAは連盟だ。149か国に245のメンバーがいる。FIAはF1だけではない」

    さらに、F1は数ある選手権のひとつに過ぎないと説明した。

    「F1はFIAの下にある世界選手権だ」

    「我々にはカートがあり、ラリーがあり、クロスカントリーがあり、GTがあり、フォーミュラEがある。本当に多くの選手権を運営している」

    「我々に必要なのは人気ではなく敬意」
    ビン・スライエムは、FIAの使命は“公平性”であり、その結果として不人気になることは避けられないとの考えを示した。

    「我々の使命は何か? すべての人に対して公平であり、このスポーツにとって最善を尽くすことだ」

    「私は決してファンを得られないだろう」

    その理由として、スチュワードの裁定に対する反発を挙げた。

    「我々のレフェリーであるスチュワードが、ドライバーのミスに対して5秒ペナルティを科せば、人々は怒る」

    そのうえで、FIAにとって人気は重要ではないと断言した。

    「我々はファンを得るために存在しているわけではない。我々はすべての人に公平であるために存在している」

    「我々に必要なのはファンではない」

    「必要なのは敬意だ。公平性と透明性が必要なんだ」

    F1との力関係にも言及
    ビン・スライエムは、リバティ・メディアや各F1チームとの間で続く権限争いについても、FIAの優位性を強調した。

    「F1からFIAがなくなれば、F1そのものが消える」

    「とても単純な話だ。FIAがなければF1は存在しない」

    さらに、商業権保有者やチーム、会長職は移り変わっていく存在だと語った。

    「プロモーターは変わる可能性がある。チームは現れては消え、ドライバーも同じだ」

    「会長も入れ替わる。しかしFIAは常に存在し続ける」

    「私を排除してもF1は残る。しかしFIAを取り除けばF1は存在できない。それだけ単純なことだ」

    FIA(国際自動車連盟)

    統治姿勢への反発は今後も続く可能性
    モハメド・ビン・スライエムは再選を果たした一方で、近年のFIAはチームやドライバー、さらにはファンとの関係悪化がたびたび指摘されている。

    特にペナルティ運用や政治的発言、F1商業側との主導権争いは2026年に入っても火種となっており、今回の「ファンは必要ない」という発言は、FIAの統治姿勢を象徴するコメントとしてさらに議論を呼びそうだ。

  • F1“ヨーヨー現象”を防止へ FIA技術責任者が2027年修正を説明

    F1“ヨーヨー現象”を防止へ FIA技術責任者が2027年修正を説明

    2026年F1シーズンで導入された新世代パワーユニット規則に対する批判が強まるなか、FIA(国際自動車連盟)シングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスが、2027年に向けて進められているルール修正の狙いを説明した。

    現在の2026年規則では、内燃エンジンと電動システムの出力比率をほぼ50対50とする構成が採用されたが、実戦では“ヨーヨー現象”とも呼ばれる不自然なエネルギーマネジメントが問題視されている。

    “ヨーヨー現象”の背景にあるエネルギー不足
    2026年F1マシンでは、ストレート途中でバッテリー残量が尽きるケースが発生し、ドライバーは次の周回へ向けてエネルギーを温存するためアクセルを戻さざるを得ない状況に追い込まれている。

    その結果、ドライバー同士がストレートで一度接近し、その後に減速と回生を繰り返す“ヨーヨー”のような展開が生まれ、従来のF1とは異なるレーススタイルへの批判が噴出していた。

    こうした問題を受け、FIAはマイアミGPから緊急的な調整を導入。さらに2027年以降に向けて、内燃エンジン出力を約50kW引き上げる一方で、電動出力を同程度削減する方向で各メーカーと原則合意に達している。

    トンバジス「防御的な走りだけにはしたくない」
    ニコラス・トンバジスは独『Auto Motor und Sport』に対し、今回の修正が“ハイブリッド放棄”ではないと強調した。

    「当初のエネルギー配分では、特定条件下で非常に早い段階でバッテリーを使い切ってしまう可能性があると認識した」とトンバジスは説明した。

    「2027年以降は内燃エンジンに少し余裕を持たせることで、エネルギーマネジメントをより安定したものにできる」

    さらにトンバジスは、現在のF1で問題視されている“防御的なレース”を避けたい考えを示した。

    「我々の目的はハイブリッドコンセプトを薄めることではない」

    「しかし、システムが完全に防御的に機能するだけの状態ではなく、ドライバーがストレートで攻め続けられる状況を確保する必要がある」

    「次の周回のためにエネルギーを残そうとして、ストレート途中でアクセルを戻さなければならないような状況は避けたい」

    2026年への前倒しは見送り
    一方で、こうした変更が2026年シーズン中に前倒し導入される可能性については否定した。

    トンバジスは「2026年用の設計はすでに大部分が凍結されている」と説明している。

    「2027年向けの調整によって、メーカーは十分な準備期間を得ながら、それぞれのコンセプトを最適化できる」

    「これは急進的な改革ではなく、進化的な改良だ」

    Photo:Alpine

  • FIA メルセデスF1の“圧縮比トリック”を不正否定 6月に測定ルール変更へ

    FIA メルセデスF1の“圧縮比トリック”を不正否定 6月に測定ルール変更へ

    FIA(国際自動車連盟)は、メルセデスが2026年F1パワーユニット規則のグレーゾーンを利用していたとの見方について、「不正」ではなかったと否定した。

    問題となっていたのは、圧縮比を測定する際の温度条件だ。FIAは6月から、エンジンが高温の状態だけでなく、室温でも圧縮比を測定する方針で、開幕前から議論を呼んでいた抜け道を封じることになる。

    トンバジス「注目されすぎた話題」
    FIAのシングルシーター部門ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは、イタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』に対し、この問題が過剰に扱われてきたと語った。

    「これは大げさに扱われすぎた話題だ」とトンバジスは語った。

    「これほど注目される価値があったとは思わない。我々は、誰かが不正をしようとしていたとは一度も考えていなかった」

    論点は、各チームが異なる温度条件で圧縮比を最適化する方法を探っていたことにあった。特にメルセデスの手法が注目を集めたが、トンバジスはそれがレギュレーション違反ではなかったと説明している。

    「いくつかの判断は、より有利な温度で圧縮比を変化させようとするものだった。そして、それらは合法だった」

    FIAは開発競争の拡大を防ぐために介入
    FIAが対応に動いた理由は、特定チームを罰するためではなく、グリッド全体が同じ方向の開発競争に突入することを防ぐためだった。

    「我々は2月末にいくつかの判断を下した。F1全体が、エキゾチックな素材や解決策を探す競争に入ることを避けるためだ。それはスポーツの精神に反するものになる」

    「これは、特定の状況に直面したときに我々がよく行うことだ。我々はそれを禁止するのではなく、長く引きずられすぎないようにする」

    今回の変更により、FIAは6月から圧縮比の測定条件を明確化する。高温時だけでなく室温でも測定することで、温度変化を利用した最適化の余地を狭める狙いがある。

    国際自動車連盟 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルセデスは「不正」ではなくグレーゾーンの範囲内
    トンバジスは、メルセデスが一線を越えたという批判を明確に否定した。

    「誰かが不正をしようとしていたという批判は受け入れられない。たとえその解決策が、レギュレーションが意図していたものではなかったとしてもだ」

    FIAの説明から見えるのは、今回の問題が「違反」ではなく、2026年F1レギュレーションの初期段階で生じた解釈の幅だったという点だ。メルセデスの手法は合法とされる一方で、FIAはその方向に開発が過熱することを望まず、6月から測定基準を広げることで事実上の歯止めをかける。

    2026年F1レギュレーションは、パワーユニットとシャシーの両面で新しい解釈が次々に生まれている。今回の圧縮比問題もその一例であり、FIAは違反認定ではなく、早期の明確化によって競争の方向性を管理しようとしている。

  • FIA F1判定の裏側を公開 150台カメラとAIで全車を常時監視

    FIA F1判定の裏側を公開 150台カメラとAIで全車を常時監視

    FIAは、F1のレース運営において最大150系統の映像、全チームの無線、各車の位置情報やタイミングデータを統合し、違反の可能性がある事象を監視している。新たに公開したYouTube動画では、レースコントロールと遠隔支援拠点が連携し、インシデントの検知から審議、裁定に至るまでの流れを紹介した。

    とりわけ焦点となっているのは、たびたび論争を呼ぶトラックリミットだ。

    FIAは人の目による確認に加えて、映像解析や文字起こしなどのAI支援を拡充し、より一貫性があり迅速で、なおかつ透明性の高い判断体制の構築を進めている。

    レースコントロールと遠隔拠点が判断を支える
    FIAのスポーティングディレクターを務めるティム・マリオンは、レースコントロールについて「レースディレクションは、すべてのデータの中心であり、意思決定の中枢だ」と説明した。

    この中枢機能を担うレースコントロールでは、多数の専門スタッフが安全かつ公正で透明性のあるレース進行を支えている。ただし、判断は現場だけで完結しているわけではない。

    そこに加わるのが、レースコントロールを外部から支援するRemote Operations Centre(遠隔オペレーションセンター)だ。ここでは複数の専門家が並行して膨大なデータと映像を精査し、その評価をレースディレクションへ送っている。

    レースディレクションには最大30人が直接関与し、ROCにはサーキットに応じて4人から8人の専門スタッフが配置される。さらに最終的なペナルティ判断を下すスチュワードも加わり、各自がデータアナリストの支援を受けながら大量の情報を効率的に評価している。

    インシデント検知から裁定までの流れ
    判断の出発点となるのは、違反の可能性がある事象の検知だ。これは自動システムによって検出される場合もあれば、人の目で見つけられる場合もあるが、多くはまずROCで拾い上げられる。

    その後、関連する映像、テレメトリー、位置情報、無線交信といったデータが収集され、ひとつのパッケージとしてまとめられる。これがレースディレクションに送られ、最初の分析が行われる。

    マリオンは「インシデントはさまざまな視点から分析される」と語り、「その後、ルール違反の可能性があるかどうかを判断する」と説明した。

    そして、違反の可能性があると判断された場合にのみ、完全なデータパッケージがスチュワードへ送られる。最終的にペナルティの有無を決めるのはスチュワードであり、レースディレクションやROCはその判断を支えるための整理と分析を担っている。

    150系統の映像とAIが監視精度を高める
    FIAが処理している情報量は非常に大きい。最大150系統の映像に加え、全チームの無線通信、全車両の正確な位置情報とタイムデータが並行して集約されている。

    重要なのは、これらを単に集めることではなく、相互に関連づけて意味のある形で解釈することだ。その負荷を軽減し、判断の速度を高める役割を担っているのが、AIを含む新しい技術だ。

    FIAの情報システム戦略責任者クリス・ベントレーは、システムが自動的にレビュー対象となる場面を認識していると説明した。システムは特定のコース区間を常時監視し、異常を抽出する仕組みになっているという。

    ベントレーは「ある意味でプレフィルターのように機能する」と述べた。こうした事前のふるい分けによって、分析担当者は本当に重要な場面へ集中しやすくなっている。

    トラックリミット監視は“全車・全周・全コーナー”へ
    特に難しいテーマとして挙げられたのがトラックリミットの監視だ。時速200キロを超える状況で、全車の走行ラインを一貫して見極めることは容易ではない。

    マリオンは「ドライバーは常に限界を攻めており、より高いパフォーマンスを得るために、それを超えることもある」と述べた。その上で、FIAの役割はその限界を一貫して公正に適用することだとした。

    FIAはこの問題に対し、ふたつの方向から取り組んでいる。ひとつは、グラベルや改良型の縁石などを用いて、コース外にはみ出すメリットを小さくするサーキット側の構造的対策だ。もうひとつが、監視技術の高度化である。

    長期的にFIAが掲げているのは、「All cars, every turn」という考え方だ。すべてのマシンを、すべてのコーナーで、漏れなく監視する体制を目指している。

    この実現に向けて、追加カメラ、より高精度な位置測定、改良されたソフトウェアの開発が進められている。理想的には、違反の有無を数秒以内、場合によってはドライバーが次のコーナーへ到達する前に判断できる状態を目指している。

    AIは補助役 ただし自動化の余地は広がる
    FIAはすでにコンピュータービジョンなどの技術を活用し、ルール違反の可能性がある場面を自動的に検出し、選別している。全体のおよそ90%は事前に除外できるようになっており、専門スタッフは判断が必要な局面に集中できるという。

    また、無線交信についてもAIを使ってテキスト化が進められており、内容の検索や確認がより迅速になっている。

    もっとも、現段階でAIはあくまで人間の判断を助ける存在という位置づけだ。マリオンは「現時点では、この技術は主として人を支援するためのものだ」と強調した一方で、「将来的には特定のプロセスが自動化される可能性もある」との見通しも示した。

    FIAが重視するのは安全性と透明性
    FIAは、こうした技術が安全面でも大きな可能性を持つとみている。将来的には、事故の危険が迫った際にマシンが自律的に反応し、自動ブレーキのような形で危険回避につながる可能性もあるという。

    同時に、FIAが強く意識しているのが透明性の向上だ。正しい判断を下すだけでなく、なぜその判断に至ったのかをドライバー、チーム、ファンが理解できることが重要だと位置づけている。

    マリオンは「我々の目標は、明確で、理解しやすく、透明性のあるルールシステムだ」と語った。FIAは、そうした仕組みこそが長期的な信頼の強化につながり、最終的にはF1のエンターテインメント価値を高めることにもつながると考えている。