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  • FIAが中東情勢でWRCサウジアラビア戦を中止 F1終盤戦にも波紋

    FIAが中東情勢でWRCサウジアラビア戦を中止 F1終盤戦にも波紋

    FIAとWRCプロモーターは、2026年世界ラリー選手権(WRC)の最終戦として予定されていたラリー・サウジアラビアを、WRCのカレンダーから外すことを発表した。中東地域を巡る不確実性が物流面に影響を及ぼしていることが理由とされている。

    この決定は、F1が11月末から12月にかけて中東でシーズン終盤戦を迎える約2カ月前に下された。現時点でF1のカレンダーに変更は発表されていないものの、WRCの判断によってF1のカタールGPとアブダビGPの開催にも改めて注目が集まることになる。

    WRCサウジアラビア戦をカレンダーから除外
    ラリー・サウジアラビアは11月12~15日に開催される予定だった。FIAとWRCプロモーターは、サウジアラビア自動車・モーターサイクル連盟(SAMF)、現地オーガナイザー、選手権関係者とともに、WRCイベントを予定通り実施するためのあらゆる可能性を検討してきたという。

    しかしFIA(国際自動車連盟)は、「地域における継続的な不確実性と、それが物流手配に及ぼす影響」を理由に、2026年についてはWRCとしての開催を断念すると説明した。

    ただし、ラリー・サウジアラビアそのものが中止されるわけではない。同イベントは11月12~15日に予定通り開催され、FIA中東ラリー選手権(MERC)の一戦として実施される。

    サウジアラビア側も、開催能力や安全面に問題があったとの見方を否定している。

    SAMFおよびサウジ・モータースポーツ・カンパニー(SMC)の会長を務めるハリド・ビン・スルタン・アル・アブドゥッラー・アル・ファイサル王子は、サウジアラビアはイベント開催の準備を整えていたと強調した。

    「FIAとWRCプロモーターが下した決定を尊重している」

    「サウジアラビアの準備状況や自信には何の変化もない。王国は開催する準備ができており、準備作業も進んでいた。安全かつ成功裏に国際モータースポーツを開催できる我々の能力は明確だ」

    WRCはサルディニアでシーズン終了
    サウジアラビア戦がWRCから外れたことで、2026年シーズンは10月1~4日に開催されるラリー・イタリア・サルディニアが第13戦かつ最終戦となる。カレンダー変更についてはFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の承認が必要となる。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、サウジアラビア戦を維持するために関係者とさまざまな選択肢を検討したと説明した。

    「ここ数カ月、サウジアラビアのパートナー、加盟クラブであるSAMF、WRCプロモーター、そして選手権関係者と緊密に協力し、ラリー・サウジアラビアを予定通り開催するためのあらゆる可能性を検討してきた」

    「しかし、地域情勢が継続的に変化していることから、今年はラリー・サウジアラビアのWRC部門を開催しないことになった。特にイベントの準備に携わったすべての人々が多大な努力をしてきただけに、決して簡単な決断ではない」

    一方でビン・スライエムは、サウジアラビアでのWRC開催そのものに対するFIAの姿勢は変わっていないと強調している。

    「今年はWRC部門が開催されないものの、オーガナイザー、そしてこのラリーの長期的な将来に対する我々の信頼は変わっていない」

    「FIA中東ラリー選手権のイベントは11月に予定通り開催される。我々はSAMF、SMC、オーガナイザーと引き続き緊密に協力し、イベントの成功を支援していく」

    「今後は将来に焦点を移す。2027年にFIA世界ラリー選手権をサウジアラビアへ戻すことを目指し、サウジアラビアのパートナーおよびWRCプロモーターと引き続き協力していく」

    国際自動車連盟

    F1のカタールGPとアブダビGPは現時点で変更なし
    今回の決定が注目される理由のひとつが、F1も2026年シーズン終盤に中東でのレースを予定していることだ。

    F1は11月29日にカタールGP、12月6日にアブダビGPを予定しており、いずれも現時点ではカレンダーに変更は発表されていない。WRCのサウジアラビア戦とは開催国も競技の物流条件も異なるため、今回の決定がそのままF1の開催可否を意味するものではない。

    ただしFIAは7月にも、中東情勢と貨物輸送および渡航への影響を理由として、2026年FIA世界耐久選手権(WEC)のカタール戦とバーレーン戦を取りやめ、バルセロナとモンツァで代替開催することを決めている。

    WRCでも同様に物流上の不確実性を理由としたカレンダー変更が決まったことで、年末に中東へ向かうF1についても今後の地域情勢と物流環境が焦点となる。

    現段階でF1のカタールGPとアブダビGPは予定通り開催されるスケジュールだが、FIAが別カテゴリーで相次いで中東開催の見直しを行っているだけに、シーズン終盤に向けて状況が注視されることになりそうだ。

  • FIA 12番目のF1チームに中国勢を歓迎 BYDと吉利が関心「中国から来るべき」

    FIA 12番目のF1チームに中国勢を歓迎 BYDと吉利が関心「中国から来るべき」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長は、F1に12番目のチームを迎える可能性について、中国メーカーが参入するのであれば歓迎する姿勢を示した。すでにBYDと吉利汽車(Geely)の双方と話し合いを行っており、新規参入のための公募プロセスを再び開始する可能性にも言及している。

    一方で、ビン・スライエムは新規メーカーを呼び込むためにF1の技術規則を変更する考えはないと強調。中国メーカーであっても、FIAとF1が定めた既存の規則と条件を受け入れることが参入の前提になるとしている。

    FIA会長「必要なのはただのチームではない」
    FIAは2023年初頭、ビン・スライエムの主導で新規参入チームを募る意向表明プロセスを開始した。当時は既存F1チームの多くがグリッド拡大に慎重だったものの、アンドレッティを母体としたキャデラックの計画が最終的に認められ、2026年から11番目のチームとしてF1に参戦している。

    そして現在、さらなるグリッド拡大の候補として浮上しているのが中国メーカーだ。

    F1スペインGPに合わせてマドリードで開催されたNew Economy Forumで、12番目のチームを受け入れる可能性について質問されたビン・スライエムは、次のように語った。

    「FIAは12番目のチームに向けたプロセスを開くことができる。しかし、我々にチームが必要なのか?」

    そのうえで、自らこう続けた。

    「いや、我々に必要なのは単なる1チームではない。我々が必要としている“そのチーム”だ」

    ビン・スライエムは、F1が米国市場で3レースを開催し、ハースに加えて自動車メーカーであるキャデラックを迎えたことを例に挙げ、中国についても同じようにメーカーの参入が重要だと説明した。

    「今、我々は米国で3つのレースを開催している。そしてハースがあり、自動車メーカーも必要だった」

    「だから私は言った。そしてプロモーターであるFOMも同意している。我々にはそのチームが必要であり、そのチームは中国から来るべきだ」

    BYDと吉利がF1参入に関心
    具体的な候補として挙げられたのがBYDと吉利だ。

    ビン・スライエムによれば、両社の関係者とすでに直接会談しており、F1参入への関心を示されているという。

    「私は他のメーカーとも会談を行った。彼らは私のところへ来て『我々は参入する必要がある』と言った。そのひとつがBYDで、もうひとつが吉利だった」

    「我々は彼らに『分かった。あなたたちが来るのであれば、意向表明のプロセスを開こう』と伝えた」

    報道によると、BYDは既存チームを買収してF1へ進出するよりも、自社による完全な新規チームの立ち上げを検討している。

    アウディはザウバーを買収する形でF1参入の準備を進めたが、BYDが完全な新規参入を選択する場合には、FIAが改めて新チーム募集の手続きを実施する必要がある。

    ビン・スライエムはBYDとの話し合いについても明かした。

    「会談では非常に明確に伝えた。『まず既存チームを取得して始めてはどうか』と。これはBYDとの話だ。隠す必要はない」

    「彼らは『いや、我々は自分たちのチームが欲しい』と答えた」

    これに対し、ビン・スライエムは本格的な計画を提示するよう求めたという。

    「私は『分かった。それなら、本当に実現可能なのかを判断できるだけの真剣な提案を持って戻ってきてほしい。そしてこれが我々の規則だ』と伝えた」

    「規則については非常に明確に話した」

    中国メーカーのためにF1規則は変更しない
    F1は2026年から新しいパワーユニット規則を導入している。

    持続可能燃料の採用、電動出力比率の拡大、MGU-Hの廃止などは、新たな自動車メーカーのF1参入を促す重要な要素となった。アウディがワークスメーカーとして参戦を決めたほか、一度はF1撤退を表明したホンダも方針を転換し、パワーユニットメーカーとしてF1に復帰している。

    ただし、中国メーカーの技術的な要望に応じて規則を変更することはないとビン・スライエムは強調する。

    「規則が中国メーカーによって影響を受けることはない。我々にそんなことはできない」

    「規則は継続性を持ち、安定していなければならない」

    BYDをはじめとする中国メーカーは電気自動車分野で世界をリードする存在となっているが、ビン・スライエムはFIAが完全電動化だけを唯一の方向性としているわけではないとも説明した。

    「中国が電動化の分野で先頭に立っていることは分かっている。しかし、電動化という目標を達成する方法はそれだけなのか?」

    「我々が達成したいことは何なのか。クリーンな環境とクリーンな空気だ。それを実現する方法はいくつもある」

    FIAは今後、世界ラリー選手権(WRC)を含む各カテゴリーで、水素、ハイブリッド、電動化、持続可能燃料など複数の技術を検討していくとしている。

    中国にはF1参入の条件がそろっている
    ビン・スライエムは、中国メーカーがF1に参入する合理性は十分にあると考えている。

    中国ではすでにF1中国GPが開催され、大きな市場を形成している。中国メーカーの存在感も拡大しており、2022年から2024年までザウバーで周冠宇がF1に参戦した実績もある。

    「中国ではすでにレースを開催している。それは非常に大きなイベントだ。メーカーも存在しているし、中国人ドライバーもいた。そして中国の技術も存在している」

    ただし、参入条件について特例を設ける考えはない。

    「だが、それは我々の条件と規則のもとで行われなければならない。それがすべての人にとって公平だからだ」

    「それを守ることもFIAの責任だ」

    キャデラックの参入によって2026年から11チーム体制となったF1だが、FIAは早くも次の拡大を視野に入れている。その対象がBYDあるいは吉利をはじめとする中国メーカーとなれば、F1のグローバル戦略にとっても大きな意味を持つ。

    ただし、ビン・スライエムの発言からも明らかなように、FIAが求めているのは単なるグリッド拡大ではない。中国を代表するメーカーが、既存チームと同じ規則と条件のもとで持続可能なF1プロジェクトを提示できるかが、12番目のチーム誕生に向けた最大の条件となりそうだ。

  • FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA(国際自動車連盟)は、F1オランダGP後にフランコ・コラピントの主要スポンサーからスチュワードに厳しい批判が向けられたことを受け、正式な声明を発表した。

    発端となったのは、アルピーヌのコラピントがザントフォールトの決勝で受けたペナルティだ。コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO(最高マーケティング責任者)ショーン・サマーズは、スチュワードについて「F1の公正性を壊している」とSNSで痛烈に批判。

    FIAはこれに対し、判定への異議とスチュワード個人への攻撃は区別されるべきだとの立場を示した。

    コラピントにドライブスルーペナルティ
    オランダGPの決勝1周目、マックス・フェルスタッペンがクラッシュし、さらに最終コーナーではガブリエル・ボルトレトがスピン。コース上には黄旗が提示された。

    この状況でコラピントは角田裕毅をオーバーテイクしたと判断され、スチュワードからドライブスルーペナルティと2点のペナルティポイントを科された。

    さらにコラピントは別の黄旗区間で十分に減速しなかったとして、追加で1点のペナルティポイントを科されている。

    コラピント自身はレース後、この裁定について「極めて厳しい」と不満を示した。角田裕毅を抜かないために急ブレーキを踏む方が、むしろ危険だったとの考えを説明している。

    「ものすごく強くブレーキを踏んで抜かないようにする方が危険だったと思う。あの判断は極めて厳しかった」

    同じオープニングラップで同様のペナルティを受けたレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドも、スチュワードの判断に疑問を呈した。

    リンドブラッドは、個々のインシデントの状況を評価するというよりも、スチュワードが今後に向けた「前例を作ろうとしている」と感じたと語っている。

    主要スポンサーがFIAを痛烈批判
    レース後、コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO、ショーン・サマーズはXを通じてFIAスチュワードを強く批判した。

    「FIAのスチュワードはF1の公正性を壊している」

    「今シーズン、彼らはひどい仕事をしており、レース結果に影響を及ぼしていることを証明している。無能なのか? 不誠実なのか? それとも両方なのか? あの組織の文化には何か深刻な問題がある」

    単なる判定への異議にとどまらず、FIAの組織文化そのものに疑問を投げかける厳しい内容だった。

    FIA(国際自動車連盟)

    FIAが正式声明「脅迫や個人攻撃を正当化するものではない」
    これを受け、FIAはオランダGP後にスチュワードへ向けられたオンライン上の攻撃について声明を発表した。

    「オランダGP後、FIAスチュワードはFIAのレギュレーションに従ってスポーティングペナルティを適用したことで、オンライン上で誹謗中傷の標的となりました」

    「United Against Online Abuse連合は、あらゆる形態の誹謗中傷やハラスメントを非難します。判定に対する意見の相違はスポーツの一部ですが、それが脅迫や個人攻撃を正当化することは決してありません」

    さらにFIAは、今回が初めての問題ではないことも強調した。

    「2023年、アメリカGP後にスチュワードのひとりが標的を絞った誹謗中傷を受けたことをきっかけに、FIAはUnited Against Online Abuse連合を立ち上げました」

    「私たちのスポーツに関わるすべての皆様に、オンライン、オフラインを問わず、敬意と責任を持って行動していただくようお願いします」

    判定そのものへの反論には踏み込まず
    一方で、今回のFIA声明は、コラピントに対するペナルティが妥当だった理由を改めて説明する内容ではない。

    コラピントやリンドブラッドが主張した黄旗下での状況判断や、サマーズが提起したスチュワードの判定基準そのものへの批判について、FIAは具体的な反論を示していない。

    FIAが声明で焦点を当てたのは、スポーツ上の判定に対する意見の相違は認められる一方、それがスチュワード個人への誹謗中傷や脅迫に発展してはならないという点だ。

    オランダGPでは黄旗を巡る裁定がコラピントとリンドブラッドのレース結果に大きな影響を及ぼし、両ドライバーから厳しすぎるとの声が上がった。その議論はレース後、スポンサーによるFIAへの異例の批判、そしてFIAによる正式声明へと発展する形となった。

  • ウクライナ自動車連盟 FIAにロシア復帰決定の撤回を要求

    ウクライナ自動車連盟 FIAにロシア復帰決定の撤回を要求

    ウクライナ自動車連盟(FAU)は、FIA(国際自動車連盟)がロシアおよびベラルーシのドライバーや関係者に対する国際モータースポーツでの制限を解除した決定について、正式に異議を申し立てた。

    FIAは2026年8月3日の世界モータースポーツ評議会(WMSC)で、2022年3月から実施してきた措置を解除。ロシアとベラルーシのドライバー、ナショナルチーム、個人競技者、役員が制限なく国際大会に参加できるようにするとともに、国旗や国家シンボルの使用、国歌の演奏も認めた。

    これに対しFAUは「断固として反対する」と表明し、決定の撤回を求めている。

    FIAがロシア・ベラルーシへの制限を解除
    FIAはロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年3月からロシアおよびベラルーシのモータースポーツ関係者に対する特別措置を導入していた。

    ドライバーや競技者、役員を国際大会から全面的に排除するものではなく、FIA旗の下で中立的な立場として参加することは認められていた。一方、国を代表する形での参加や国家シンボルの使用には制限が設けられていた。

    しかしFIAの法務部門は今回、これらの措置を解除すると通知した。

    「ロシアおよびベラルーシのドライバー、ナショナルチーム、個人競技者、役員は、いかなる制限もなく国際大会およびゾーン大会への参加を認められる」

    「中立性に関する誓約書への署名義務も適用されなくなる」

    この方針は8月3日に開催されたWMSCで正式に決定された。これによりロシアとベラルーシの国旗や国家シンボルの使用が再び認められ、表彰式などで国歌を演奏することも可能となった。

    ただし、ロシアおよびベラルーシ国内でFIAの国際競技を開催することについては、引き続き禁止されている。

    FIAはウクライナ情勢について「引き続き注意深く監視する」と説明しており、制裁制度への対応など必要が生じた場合には、追加措置を講じる権利を留保するとしている。

    ウクライナ側が「断固として反対」
    この決定に対し、FAUはFIA会長とWMSCメンバーに正式な申し立てを行った。

    RacingNews365が確認したFAUの申し立てによれば、同連盟は今回の決定に「断固として反対する」と表明。FIAに対し「2026年8月3日の決定を緊急に再検討して撤回し、ロシア連邦およびベラルーシ共和国の国家シンボル使用に対する制限を復活させる」よう求めている。

    FAUはその理由として、ロシアによるウクライナへの「武力侵攻」が現在も続いていることを挙げた。

    また「侵略国の国家シンボルを復活させることはフェアプレーの原則に反し、重大な倫理的および安全上のリスクを生じさせる」と主張している。

    「スポーツが国家プロパガンダに利用されている」
    FAUはさらに、ロシアとベラルーシが「スポーツを国家プロパガンダの手段として利用している」と指摘した。

    「侵略国に対する国際スポーツ政策は、戦争の実際の状況とウクライナの立場を考慮することなく変更されるべきではない」

    FAUによれば、戦争によってこれまでにウクライナのアスリートやコーチ650人以上が死亡しており、その中にはモータースポーツ関係者も含まれているという。

    同連盟は今回のFIAの決定についてウクライナ青年・スポーツ省にも報告し、FIAへの働きかけに加わるよう要請した。

    FAUは現在、同省からの「正式な回答を待っている」と説明しており、今後の対応については状況に応じて発表するとしている。

    IOCもロシアへの措置を緩和
    国際スポーツ界では、ロシアの扱いを巡る動きに変化も見られている。

    国際オリンピック委員会(IOC)も2026年7月、ロシアに対する資格停止措置を暫定的に解除した。この措置は2023年10月に科されていたものだった。

    ロシアの選手については、それ以前にも国家ぐるみのドーピング問題を背景として、国を代表する形でのオリンピック参加が制限されてきた。

    FIAによる今回の決定は、こうした国際スポーツ界の動きと重なる一方、ウクライナ側は戦争が継続している状況で国家シンボルまで解禁することに強く反発している。

    焦点となるのは、FAUの正式な申し立てを受けてFIAとWMSCが8月3日の決定を再検討するかどうかだ。FIA自身も情勢次第で追加措置を取る可能性を残しており、ロシアとベラルーシのモータースポーツへの参加を巡る議論は今後も続くことになりそうだ。

  • FIAがADUO制度の「弱点」認める 2026年F1パワーユニット開発救済策を見直しへ

    FIAがADUO制度の「弱点」認める 2026年F1パワーユニット開発救済策を見直しへ

    FIAは、2026年F1シーズンから導入されたパワーユニット(PU)の追加開発制度「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」について、制度そのものに「弱点」が存在することを認め、今後に向けて改善を進める方針を示した。

    ADUOは、内燃エンジン(ICE)の性能が基準となるメーカーから2%以上遅れていると評価されたPUメーカーに、追加の開発・アップグレード機会を与える仕組みだ。

    メーカー間の性能差が固定化することを防ぐ目的で導入されたが、初年度から評価対象や測定方法を巡って議論が続いている。

    ICEだけを評価するADUOに浮上した問題
    ADUOの基本的な考え方は、2026年の新PU規則でメーカー間に大きな性能差が生じた場合、その差を縮める機会を与えることにある。

    一定期間ごとに各メーカーのICE性能を評価し、基準から2%以上遅れているメーカーには追加の開発機会が認められる。

    一方で、大きな論点となっているのが、評価対象がICEに限定されていることだ。

    2026年型PUでは電動側が総合的なパフォーマンスに大きな割合を占める。それにもかかわらず、ADUOの判定ではエネルギー回生システムを含む電動側の性能が直接的な評価対象とはなっていない。

    そのため、PU全体では競争力が高いメーカーでもICE単体の数値によって追加開発機会を得られる可能性があり、逆に総合性能を正確に反映できていないとの指摘が出ている。

    さらにライバルメーカーの間では、追加開発枠を獲得するため、シーズン序盤に本来の性能を意図的に低く見せることが可能なのではないかとの疑念も浮上している。

    ニコラス・トンバジス(FIA 国際自動車連盟)

    FIA「測定精度には自信がある」
    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、F1において全チームとPUメーカーの合意を得ること自体が極めて難しいと語った。

    「F1では、ほとんどすべてのことが非常にデリケートな問題になるようだ。11チームと5社、あるいは6社のPUメーカーが『素晴らしい、全員一致だ』と言うことなんて、ほとんどない」

    そして、F1で数少ない“全員が同意するもの”として夏季休暇を挙げた。

    「全員が同意していると思える唯一のものは、8月のシャットダウンが良い制度だということくらいだ。それについては、僕のアイデアだったということを思い出してもらいたい」

    「でも、全員が同意しているのはそれくらいだと思う。それ以外はすべて難しい。しかも、それですら全員が同意するまでには時間がかかった。フランツ・トストがまだアルファタウリの代表だったころは、彼は反対していたからね」

    FIAによる最初の評価では、レッドブル・パワートレインズがICE性能の基準となった。この結果はパドックでも驚きをもって受け止められ、レッドブル側も事実関係の確認を求めた。

    しかし、トンバジスはFIAが使用している測定データそのものについては高い精度が確保されているとの考えを示す。

    「誰もが非常に競争的で、他との相対的な位置に集中しているから、すべてが非常にデリケートになる。だから、かなり難しい作業だった」

    「ただ、僕の考えでは、我々の測定は非常に正確であることが証明されている」

    制度は設計通りに機能も「すべて順調ではない」
    一方で、トンバジスは測定精度への自信と、ADUOという制度全体の完成度は別の問題だと認めている。

    「そうは言っても、すべてがうまくいっているのか? いや、そうではない。明らかに不満を持っている人たちがいるからね」

    「将来に向けて改善を考える必要があるのか? それはイエスだと思う」

    ADUOを巡っては、追加開発機会を与えられたメーカーが、その権利をすぐには使用せず、意図的に性能差を残すことも理論上は可能だとの指摘がある。

    例えば、現在の基準となっているレッドブル・パワートレインズを上回らない状態を維持すれば、基準側のメーカーには追加開発機会が与えられず、追う側だけが継続的に開発枠を確保できるという考え方だ。

    だが、トンバジスは、そのような戦略に実質的なメリットはないと考えている。

    「追加の機会を得続けるためだけに、常に自分たちの最大出力を下回って走ることが得策だとは思わない」

    「結局トップに立つために使わないのであれば、そもそも追加の機会を得ることに何の意味があるのか、という話になるからね」

    FIAが認めたADUOの「弱点」
    それでもFIAは、2026年に実際の運用を開始したことで、制度に改善すべき部分が見えてきたことを認めている。

    「このシステムは設計された通りに機能していると思う。ただ、将来に向けて対処しなければならない弱点がいくつかあるとも思っている」

    「また、より時間がかからず、より論争を招かないものにするためにも、将来的に改善するための措置を講じる必要がある」

    これは、FIAがADUOそのものを失敗と判断したことを意味するものではない。

    性能で後れを取ったPUメーカーに追加開発の機会を与え、長期的な性能格差の固定化を防ぐという基本理念については維持する姿勢だ。その一方で、ICEだけを基準とする評価方法、追加開発機会の運用、測定に伴う作業量、そしてメーカー間に生じる疑念や論争については改善の余地があると認識している。

    2026年に初めて実戦運用されたADUOは、F1のPUメーカー間の競争を維持するためのセーフティネットとして導入された。しかし、その救済制度自体が競争上の駆け引きの対象になり得ることも初年度から浮き彫りになった。FIAは制度の基本思想を残しながら、より公平で透明性が高く、論争を生みにくい仕組みへと修正していくことになる。

  • FIAがロシア・ベラルーシへの制裁を緩和 国旗・国歌の使用を再び許可

    FIAがロシア・ベラルーシへの制裁を緩和 国旗・国歌の使用を再び許可

    FIA(国際自動車連盟)は、ロシアとベラルーシのドライバー、チーム、競技役員に対して2022年から課してきた制限を一部解除した。今後、FIA管轄の国際モータースポーツ競技では、両国の国旗や国歌を含む国家シンボルの使用が再び認められる。

    今回の変更は、8月3日に開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)で決定されたもの。ウクライナ侵攻を受けて導入されていた政治的中立に関する誓約への署名義務も撤廃された。

    一方、ロシアとベラルーシでFIA国際競技を開催することについては、引き続き禁止される。

    FIAが2022年導入の制限を一部解除
    FIAは2022年、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアおよびベラルーシのドライバー、チーム、競技役員が国際大会に参加する際の条件を導入した。

    これまで両国の関係者は、FIA国際競技への参加自体は認められていたものの、自国を代表する形で出場することはできず、国旗や国歌などの国家シンボルも使用できなかった。また、政治的中立を約束する文書への署名も参加条件とされていた。

    しかし、8月3日のWMSCでこれらの措置が見直され、その後FIA法務部門から変更内容が正式に通知された。

    新たな方針では、ロシアとベラルーシのドライバー、チーム、競技役員は、政治的中立に関する誓約書へ署名することなくFIA国際競技に参加できる。

    さらに、これまで禁止されていた国旗や国歌をはじめとする国家シンボルの使用も認められる。

    ただし、参加については「適用されるすべての国際法、国内法、地域法を遵守すること」が条件になるとしている。

    ロシアでのF1開催禁止は継続
    今回の決定は、ロシアとベラルーシに対するFIAの制限を全面的に撤廃するものではない。

    両国でFIA国際競技を開催することについては、引き続き禁止措置が維持される。そのため、現時点でF1ロシアGPがカレンダーに復帰することはできない。

    F1ロシアGPは2014年からソチ・オートドロームで開催されていたが、最後のレースとなったのは2021年。終盤に雨が降る波乱の展開となったレースでは、ルイス・ハミルトンが優勝し、マックス・フェルスタッペンが2位、カルロス・サインツJr.が3位に入った。

    2022年大会は当初カレンダーに組み込まれていたものの、ウクライナ侵攻を受けて中止。その後、F1はロシアGPのプロモーターとの契約を解除した。

    したがって、今回のFIAによる規制緩和が直ちにF1ロシアGP復活につながるわけではない。

    ウクライナ情勢次第では再び制限導入も
    FIAは今回の決定を下す一方で、ウクライナで続く戦争の状況を引き続き注意深く見守るとしている。

    今後の情勢によって必要と判断した場合には、ロシアおよびベラルーシの関係者に対する措置や制限を再び導入する可能性も残している。

    今回の方針変更によってFIAは、ロシアとベラルーシの選手や関係者について、開催地としての制限を維持しながら、国際競技への参加条件を大幅に緩和する形となった。

    一方、二輪モータースポーツを統括するFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は異なる対応を続けており、ロシアとベラルーシのライダーや関係者を国際競技から引き続き除外している。

    FIAの今回の決定により、2022年から続いてきたロシアとベラルーシに対するモータースポーツ上の制限は大きな転換点を迎えた。ただし、国際競技の開催禁止は維持されており、F1を含めたロシアでの国際モータースポーツ復活については、依然として別の問題として扱われる。

  • FIAがF1エンジン交換規定を維持 2027年と2028年もペナルティ免除枠を継続

    FIAがF1エンジン交換規定を維持 2027年と2028年もペナルティ免除枠を継続

    2026年から導入されたF1の新パワーユニット規則に合わせて緩和されたエンジン交換規定が、2027年と2028年も継続されることが明らかになった。FIA(国際自動車連盟)は『RacingNews365』に対し、各パワーユニット(PU)コンポーネントのペナルティ免除枠を現行のまま維持する方針を認めた。

    当初は2026年限定の措置とされていたが、新世代PUの開発スケジュールが短縮されたことを受け、信頼性への懸念を考慮して継続が決定された形だ。

    2027年と2028年も追加コンポーネントを維持
    2026年からF1は新しいパワーユニット規則へ移行した。これに伴い、FIAスポーティングレギュレーションの第B8.2.3条が追加され、各ドライバーがシーズン中に使用できるPUコンポーネント数が1基ずつ増加した。

    当初の規定では2027年から元の配分へ戻す予定だったが、FIAは『RacingNews365』に対し、この追加配分を2027年と2028年も維持すると認めた。

    ■ 2026~2028年 F1パワーユニット使用可能数(ペナルティ免除)

    ICE(内燃エンジン):4基
    ターボチャージャー:4基
    MGU-K:3基
    エナジーストア:3基
    PU-CE(コントロールエレクトロニクス):3基
    PU-ANC(補機類):6基
    エキゾースト:4基

    開発期間短縮による信頼性リスクを考慮
    2027年と2028年には、パワーユニットの出力配分が現行の電動50%・内燃50%から、内燃機関60%・電動40%へ変更される予定となっている。

    この方針は2026年5月になって決定されたため、各メーカーの開発期間が当初想定より短くなったとみられている。

    『RacingNews365』によると、開発期間の短縮によって信頼性問題が発生するリスクが高まり、もしコンポーネント使用枠を元に戻せば、メーカーへの負担が大きくなる可能性があることが今回の判断につながったという。

    そのためFIAは、2027年と2028年も2026年と同じコンポーネント配分を維持することを確認した。

    規定数を超えた場合はグリッド降格
    規定数を超えて新たなコンポーネントを投入した場合は、最初の超過コンポーネントにつき10グリッド降格、以降は追加するごとに5グリッド降格が科されるルールに変更はない。

    今回の決定により、新世代パワーユニット導入初期の3シーズンは、各メーカーが信頼性向上に取り組みやすい環境が整えられることになった。

  • FIAが目指す2031年F1とは V8化 給油復活 独立エンジン構想を読み解く

    FIAが目指す2031年F1とは V8化 給油復活 独立エンジン構想を読み解く

    FIA(国際自動車連盟)は2031年の次世代パワーユニット(PU)規則に向け、F1を大きく変える複数の改革案を検討している。

    話題となっているのは、V8エンジンへの回帰、レース中給油の復活、そして独立系エンジンサプライヤーの導入だ。一見すると別々のテーマに見えるが、これらはいずれも「より軽く、より安く、よりシンプルなF1」を実現するという共通のビジョンのもとで議論されている。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムがイギリスGP週末に語った内容をもとに、2031年以降のF1が目指す方向性を整理する。

    改革の出発点は「現在のF1は複雑すぎる」という問題意識
    ビン・スライエムは現在のV6ターボハイブリッドについて、性能そのものではなく、その複雑さとコストの高さを問題視している。

    現在のパワーユニットは、高度なハイブリッドシステムやエネルギーマネジメントを採用することで技術的には大きく進歩した。しかし、その一方で開発費は莫大となり、車両重量も増加。ドライバーはストレートでエネルギーを節約するためにアクセルを戻す「リフト・アンド・コースト」を強いられる場面も増えている。

    ビン・スライエムは、こうした状況から脱却する必要があるとの考えを示している。

    「V8は来なければならない。内燃機関で約760馬力、そこに10%程度の電動化を加える。そうすればサウンドも戻る」

    FIAが目指しているのは、現在よりもシンプルで軽量、そして観客にとっても魅力的なF1だ。

    V8化と軽量化はセットで進められる
    次期規則では自然吸気V8エンジンが有力視されている。

    ハイブリッド機構は完全には廃止せず、小規模な電動システムを組み合わせる方向だが、現在のような電動出力比率は維持しない見込みだ。

    ビン・スライエムは電動化について、

    「10%かもしれないし、15%かもしれない。しかし現在のような比率にはならない」

    と説明している。

    また、FIAは次世代マシンで最大100kgの軽量化を目標としており、理想として車両重量630kgを掲げている。

    軽量化によって運動性能だけでなく、安全性の向上も期待している。

    F1 給油

    だから給油復活が議論される
    V8化によって浮上した課題が燃料である。

    自然吸気V8は現在のV6ターボハイブリッドより燃料消費量が増えると考えられている。そのため、給油なしでレースを完走するには大型燃料タンクが必要になり、軽量化の効果が失われてしまう。

    そこでFIAが検討しているのが、2009年以来となるレース中給油の復活だ。

    ビン・スライエムは現在も調査を続けていることを明かした。

    「給油については、まさに今検討しているところだ」

    「正しい方法で行えば懸念にはならない。だから検討している。まだ何も決まっていない」

    さらに、

    「スタート時にどれだけ積むべきか、途中でどれだけ補給するべきか、現在検討している」

    とも説明しており、給油そのものだけでなく燃料搭載量まで含めて検証が進められている。

    つまり、給油復活は戦略性を高めるためではなく、軽量化を実現するための技術的な選択肢という位置付けなのである。

    独立エンジン導入はメーカー依存を減らす狙い
    もう一つの大きな改革案が、独立系エンジンサプライヤーの導入だ。

    現在のF1では、カスタマーチームはライバルメーカーからパワーユニットを購入している。

    メルセデスはマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌへ供給し、フェラーリはハースとキャデラックへ供給。レッドブル・フォード・パワートレインズはレッドブル・レーシングとレーシングブルズへ供給する体制となっている。

    ビン・スライエムは、この仕組みがメーカーに大きな影響力を与えていると考えている。

    「AチームがBチームをエンジン供給によって支配するようなことはなくなる」

    「もし十分に手頃な価格で実現できるなら、Bチーム向けには共通エンジンを用意する。そうすれば『こちらに投票しなければ良いエンジンは供給しない』というような影響力はなくなる」

    FIAは、コスワースのような独立メーカーが供給する低コストV8エンジンを認可し、その価格や性能、中立性を管理する構想を描いている。

    目指すのは「メーカー中心」からの転換
    この構想は、単なるエンジン変更ではない。

    現在のF1は、自動車メーカーの技術投資によって支えられている一方で、メーカーが撤退すれば供給先チームにも大きな影響が及ぶ構造となっている。

    独立エンジンが実現すれば、チームはメーカーに依存しない選択肢を持つことになり、新規参入のハードルも下がる可能性がある。

    F1 CEOのステファノ・ドメニカリも、以前から「ホワイトラベルエンジン」の必要性に言及しており、メーカーへの過度な依存を避ける考えを示している。

    一方で、すべてのメーカーが同じ方向を向いているわけではない。

    アウディは将来規則でもターボを維持したい考えを示しており、ルノーもアルピーヌ向けの独自エンジン開発へ復帰する予定はないと説明している。

    2031年F1は「より軽く より安く よりシンプル」へ
    V8化、電動化縮小、給油復活、独立エンジン導入──。

    これらは個別のアイデアではなく、すべてが2031年以降のF1を再設計するための一つの構想である。

    FIAが目指すのは、開発コストを抑え、車両を軽量化し、ドライバーがより積極的に攻められ、メーカーへの依存も小さい新しいF1だ。

    もちろん、現時点ではいずれも正式決定ではなく、各PUメーカーとの協議や技術的な検証が今後も続く。

    しかし、ビン・スライエムが示した一連の改革案を俯瞰すると、2031年のF1は単なるエンジン変更ではなく、カテゴリー全体の思想そのものを見直す大きな転換点になろうとしていることが見えてくる。

  • FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA(国際自動車連盟)は6月26日、マカオで開催した臨時総会で会長を含む幹部職の任期制限を撤廃する定款改正を承認した。これにより、現職のモハメド・ビン・スライエム会長は、落選または自ら退任を選ばない限り、任期を重ねて再選を目指し続けることが可能となった。

    今回の改正は加盟クラブによる投票で可決され、これまで定められていた「3期・計12年まで」という会長職の任期上限が撤廃された。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    加盟クラブが圧倒的多数で承認
    FIAの広報担当者は、今回の改正について次のように説明した。

    「FIA定款は、世界モータースポーツ評議会や上院を含むすべてのFIA機関と整合性を持たせるため、任期制限の扱いを統一するよう更新された」

    「提案された定款改正は、臨時総会において特別多数の賛成によって承認された」

    「FIAの各機関は、適切と判断した候補者を民主的に選出する完全な権限を引き続き有している」

    BBC Sportによると、この改正案には90.71%が賛成したと報じられているが、FIAはこの数字を公式には公表していない。

    従来の3期制限は、2009年から2021年まで3期12年間にわたり会長を務めたジャン・トッド前会長の時代に導入されたものだった。

    ビン・スライエム「FIAは前進を続けている」
    ビン・スライエム会長は、今回の決定はFIA改革の成果を示すものだと強調した。

    「本日、加盟団体によって承認された決定は、連盟として共に進めてきた継続的な前進を反映している」

    「より強固なガバナンス、財務規律、そして明確な長期ビジョンを通じて、加盟団体への支援、選手権の強化、そして世界のモータースポーツとモビリティへの貢献をより確実に実現できるFIAを築いている」

    選挙制度にも新たな要件
    今回の総会では、任期制限の撤廃に加え、大統領選挙の立候補資格についても新たな規定が承認された。

    今後は会長候補に対し、FIA加盟団体またはFIA機関で十分な活動実績を有していることが求められる。

    一方、2025年の会長選では、立候補者はFIAの6地域それぞれから副会長候補を擁立する必要があり、南米代表のファビアナ・エクレストンが早い段階でビン・スライエム支持を表明したことで、対抗候補の擁立が事実上困難になったと指摘されていた。

    立候補を断念したアメリカのモータースポーツ関係者ティム・メイヤーは当時、次のように批判していた。

    「この選挙のルールでは、選挙そのものが存在しない」

    「投票が行われる前に結果が決まっているなら、それは民主主義ではない。単なる演出だ」

    なお、FIA定款には現在も「会長候補は選挙または再選時点で70歳未満でなければならない」と規定されているが、一部ではビン・スライエム会長が将来的にこの年齢制限についても撤廃を目指す可能性があると報じられている。

    今回の定款改正により、FIA会長職の任期上限は撤廃され、ビン・スライエム会長は今後も再選に立候補し続けることが可能となった。また、選挙制度にも立候補資格の追加要件が導入され、FIAの統治体制は新たな枠組みへ移行することになった。

  • FIA技術責任者が説明 ADUOがICEのみ測定する理由「メーカーが簡素化を望んだ」

    FIA技術責任者が説明 ADUOがICEのみ測定する理由「メーカーが簡素化を望んだ」

    2026年のF1で大きな議論を呼んでいるADUO(性能均衡調整制度)について、FIAシングルシーター技術責任者のニコラス・トンバジスが、その評価方法の背景を明かした。

    現在のADUOは内燃エンジン(ICE)の出力のみを評価対象としており、電気系統の性能は測定に含まれていない。この方針に対しては、2026年型パワーユニットが電動比率を大幅に高めたレギュレーションであることから、パドック内でも議論が続いている。

    ADUOを巡る議論が継続
    本来であればモナコGP前に正式発表される予定だった2026年最初のADUO適用結果だが、バルセロナ・カタルーニャGP終了後もなお正式な公表には至っていない。

    ただしチーム側にはモンテカルロGPの土曜日に非公式な形で配分区分が伝えられており、レッドブル・フォードが基準値となり、メルセデスが2%差、フェラーリが4%差のカテゴリーに分類されたとされている。

    この結果を受け、コンストラクターズ選手権をリードするメルセデスが補正対象となる可能性を巡って、パドックでは大きな議論が巻き起こった。

    なぜICEだけを測定するのか
    こうした論争の中心にあるのが、ADUOが内燃エンジンのみを測定対象としている点だ。

    トンバジスはスペインメディア『SoyMotor』に対し、その経緯を説明した。

    「ADUOが燃焼エンジン部分に焦点を当てている理由は、電気系統こそが本当の戦場になると考えられていたからだ。その分野で競争し、最も優れたメーカーが勝利するべきだという考え方があった」

    さらに2025年末から2026年初頭にかけて行われた議論についても振り返った。

    「ADUOの詳細を決める過程では、副次的なパラメータを含めるかどうかも議論した。例えば吸気マニホールド温度が高ければ出力は下がるが、冷却要求が減るため空力的には有利になる。そうした要素を考慮するべきかどうかも話し合われた」

    「エンジン性能に影響するさまざまなパラメータについて検討したんだ」

    メーカー側は『できるだけ単純に』を要求
    FIAとしては、より多くの要素を組み込んだ複雑な評価方式も検討していたという。

    しかし、その方向性はパワーユニットメーカー側の意向によって変わった。

    「その議論の中でメーカー側は、可能な限りシンプルな仕組みにすることを望んだ」

    「出力だけに集中するべきだという立場だった。我々はそれに対して問題ないと答え、その簡素化の方針を受け入れた」

    トンバジスは、FIAが独自に簡略化したわけではないことを強調した。

    「もっと複雑な方程式を作ることもできた。しかし最終的には、できる限りシンプルな制度にすることが選ばれた」

    現在はトルクセンサーでICE出力を監視
    現在のADUOでは、エンジンとギアボックスの間に設置されたトルクセンサーによって出力を測定している。

    評価対象はあくまで内燃エンジン部分のパワーだが、単純な最大出力値だけで判断しているわけではなく、一定の補正要素も組み込まれている。

    ただし、その根本思想は極めて明確だ。2026年レギュレーションにおいて電気系統は各メーカーの競争領域として残しつつ、ICE性能の大きな格差のみをADUOで調整するという考え方である。

    今回のトンバジスの説明によって、FIA主導でICE限定の評価方式が決まったのではなく、パワーユニットメーカー各社が求めた「シンプルな制度設計」が現在のADUOの土台になっていることが改めて明らかになった。