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  • ホンダF1 FIA会長の特別救済案に冷静「魔法のような解決策はない」

    ホンダF1 FIA会長の特別救済案に冷静「魔法のような解決策はない」

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、FIAのモハメド・ビン・スライエム会長がアストンマーティン・ホンダの競争力向上に向けた追加支援を検討する姿勢を示していることについて、「魔法のような解決策はない」と冷静な見方を示した。

    ビン・スライエム会長はF1スペインGPが行われたマドリンクで、フェルナンド・アロンソのF1残留を望む立場から本人に改善策を直接尋ねたことを明かした。

    一方、ホンダ側は現時点でFIAとの具体的な協議を把握しておらず、あくまで自らの開発計画を進めることに集中している。

    FIA会長がアロンソに直接「何をしてほしいか教えて」
    ビン・スライエム会長はマドリードで、アロンソと直接交わした会話についてメディアに説明した。

    「何を望んでいるのか教えてほしい。君はドライバーなのだから、結果を改善するために我々に何をしてほしいのか、私のところに来て話してほしい」

    ビン・スライエム会長は、競争力不足を理由に2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソがグランプリレースを去ることを望んでおらず、ホンダの開発を後押しするためにFIAがさらに何をできるのかを模索している。

    F1スペインGPの週末には、ホンダの2027年に向けた開発を加速させるため、新たな特別措置が検討される可能性も報じられた。ただし、現段階で具体的な規則変更や支援策が正式に決まっているわけではない。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフも、競争の公平性を維持する規則の枠内であれば、こうした議論そのものに問題はないとの考えを示している。

    「ルールはスポーツにとって最善となるように存在しているし、ときには調整が必要になる」

    「公平な話し合いだ。彼ら(ホンダ)にはもっと必要だと思う。会長とアロンソの話し合いは公平なものだった」

    「我々はすべてのトップコンストラクターにこのスポーツに関わっていてほしい」

    折原伸太郎「我々は開発計画に集中している」
    しかし、ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、FIAからの追加措置によって一気に状況を変えられるとの見方には慎重だ。

    ビン・スライエム会長が検討している具体策について問われた折原伸太郎は「分かりません。ただ、彼はいろいろと考えていると思います」としたうえで、ホンダの基本姿勢を説明した。

    「彼が我々に魔法のような解決策を与えてくれるとは思っていません」

    「我々は単純に自分たちの開発計画に集中し、製品を改善するために懸命に取り組んでいます。それが現時点での我々の計画です」

    また、ホンダがビン・スライエム会長やFIAと追加支援について具体的な話し合いを行ったのかと問われると、折原伸太郎は「分かりません」と答えている。

    ホンダはすでに2026年F1パワーユニット規則に設けられたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)の対象となっている。この仕組みは競争力で後れを取ったメーカーに追加の開発機会を認めるものであり、ホンダには開発を進めるための機会が与えられている。

    ただし、ADUOはパフォーマンスを直接与える仕組みではない。追加の開発機会やリソースを活用し、最終的にはメーカー自身が性能を引き出さなければならない。

    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを投入。その後の3戦ではドライバビリティの改善を進めており、折原伸太郎はF1スペインGP後、「今後はパフォーマンス向上により注力できる」と説明している。

    ホンダF1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソ「この結果でスペインのファンに別れを告げたくない」
    今回の議論の背景には、アロンソがF1での将来をまだ決めていないことがある。アロンソは引退の可能性を示唆する一方、続けるのであれば1年だけではなく、さらに長期間になる可能性にも言及している。

    「あと1年、2年、3年、あるいは何年になるか分からないけど、もし続けるなら、それは彼らのためでもある」

    アロンソは母国スペインのファンについてそう語った。

    「なぜなら、人生をずっとステアリングの後ろで過ごしてきて、今年のような結果でスペインのファンに別れを告げるのは、チームの誰も望んでいないと思うし、特にファンはそんな形を受け入れるべきではないと思う」

    アストンマーティンは「プランA=アロンソ続投」
    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、アロンソが離脱した場合に備えた代替案が存在することを認めながらも、現在の最優先事項はアロンソの残留だと説明した。

    「当然、プランBはある。どのチームにも常に必要なものだからね」

    「ただ、今はプランAに取り組んでいる。それはフェルナンドに続けてもらうことだ。決断を迫るようなプレッシャーはかけたくない。必要なだけ時間を与えている」

    ビン・スライエム会長がアロンソのF1残留を念頭にホンダへの追加支援を模索し、ヴォルフも公平な規則の範囲内での調整を支持する一方、ホンダ自身は特別な救済措置を前提としていない。折原伸太郎は「魔法のような解決策」に期待するのではなく、自らの開発計画を着実に進めることが競争力向上への道だという姿勢を明確にしている。

  • ホンダF1 ストロールの予選欠場を説明「冷却システムに通常と異なるデータ」

    ホンダF1 ストロールの予選欠場を説明「冷却システムに通常と異なるデータ」

    ホンダF1は、2026年F1第14戦スペインGPの予選でランス・ストロールが走行できなかった理由について、冷却システムに通常とは異なるデータが確認されたためだったと説明した。

    初開催のマドリンクで行われた予選では、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソが18番手でQ1敗退。ストロールはコースに出ることなく予選を終え、22番手となった。

    FP3ではセッティングの改善を確認
    9月12日(土)はFP3と予選が行われた。ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎によると、予選に向けてHRC Sakuraと現地のスタッフが連携し、マドリンクに合わせたデータの最適化を進めていた。

    FP3は赤旗による中断の影響で走行時間が限られたものの、セッティングについては改善を確認できたという。

    「今日の予選に向けては、HRC Sakuraとトラックサイドの全員が一丸となり、マドリンクに合わせたデータの最適化を進めてきました。FP3は赤旗により走行時間が限られましたが、セッティングの改善を確認できました」

    ストロール車の冷却システムに異常なデータ
    しかし、予選ではストロールのマシンに問題が発生した。冷却システムから通常とは異なるデータが確認され、ストロールはガレージからコースへ出ることができなかった。

    ストロール車では前夜にパワーユニットの部品交換が行われていたことから、ホンダF1とアストンマーティンはリスクを冒さず、念のためマシンをガレージに留めることを選択した。

    折原伸太郎は次のように説明した。

    「予選では、ストロール選手の冷却システムに通常とは異なるデータを確認しました。昨夜パワーユニットの部品を交換したことを踏まえて、念のためガレージに留まることを選択しました。今後、チームとともに原因を詳しく調査します」

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソも18番手でQ1敗退
    もう1台のアストンマーティンを駆るアロンソも、母国F1スペインGPの予選で苦戦した。Q1を突破することができず18番手に終わり、アストンマーティン勢は2台ともQ2へ進めなかった。

    アストンマーティンにとって厳しい予選となったなか、特にストロール車については決勝に向けて冷却システムで確認された通常とは異なるデータの原因究明が重要となる。ホンダF1はアストンマーティンとともに詳細な調査を進め、日曜日のF1スペインGP決勝に備える。

  • ホンダF1 初開催マドリンクに期待「我々のパッケージにより適したサーキット」

    ホンダF1 初開催マドリンクに期待「我々のパッケージにより適したサーキット」

    ホンダF1は、2026年F1第14戦スペインGPの舞台となる初開催のマドリンクについて、「我々のパッケージにより適したサーキットになる」と期待を示した。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、オランダGPで投入したスペック2のパワーユニット(PU)で得た学びを生かし、マドリードではドライバビリティとエネルギーマネジメントをさらに最適化していくと説明した。

    初開催マドリンクは「様々な特性を併せ持つ」
    2026年シーズン第14戦となるF1スペインGPは、新設されたマドリンクを舞台に9月11日(金)に開幕する。初日はFP1とFP2、12日(土)にFP3と公式予選、13日(日)に決勝が行われる。

    マドリンクは、市街地セクションと常設セクションを組み合わせた新しいサーキットであり、全チームにとって未知の要素が多い週末となる。

    折原伸太郎は、初開催となるマドリンクについて次のようにコメントした。

    「F1初開催となるマドリンクは、市街地コースと常設コースを組み合わせた、様々な特性を併せ持つ新設サーキットです。我々にとってはこれまでと同様にドライバビリティが重要なポイントとなります」

    スペック2で得た学びをマドリードへ
    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを投入。その後、特性の異なるザントフォールトとモンツァで2レースを戦い、新仕様についてデータを蓄積してきた。

    マドリンクでは、その経験を生かしながらPUのさらなる最適化を進める。特に重要になるのがドライバビリティとエネルギーマネジメントだという。

    「オランダGPでスペック2のパワーユニットを投入し、それぞれ特性の異なるサーキットで2レースを終えました。そこで得た学びを今週のマドリードでのレースに活かし、特にドライバビリティとエネルギーマネジメントの面で、さらなる最適化を進めていきます」

    ホンダF1 スペインGP

    「我々のパッケージにより適したサーキット」
    そして折原伸太郎は、マドリンクのコース特性について、ホンダの現在のパッケージとの相性に期待を寄せている。

    「総合的に見ると、マドリードは我々のパッケージにより適したサーキットになると考えています。週末を通して今ある中で最大限のパフォーマンスを引き出し、可能な限り良いポジションで戦えるよう取り組んでいきます」

    初開催のサーキットだけに、各チームが実走データを持たない状態からセットアップを構築することになる。ホンダF1にとっても、スペック2投入後に蓄積してきた知見を生かしながら、マドリンクでどこまでパフォーマンスを引き出せるかが注目される。

  • ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    アストンマーティンとホンダは、2026年F1オランダGPで今季最高水準のパフォーマンスを見せた。フェルナンド・アロンソは9位に入り、ホンダがザントフォールトで投入した新スペックのパワーユニット(PU)も、ベンチテストで設定していた性能目標をサーキット上で達成したという。

    しかし、アストンマーティン・ホンダが本来の性能を引き出すには、まだ重要な課題が残されている。

    ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原伸太郎は、The Raceの取材に対し、現在最大のテーマとなっている「ドライバビリティ」の具体的な問題を説明した。

    この問題は単純なアクセル操作に対する出力特性だけではない。2026年F1パワーユニットでは、MGU-Kによる最大350kWのエネルギー回生、エンジンブレーキ、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ギアボックスのダウンシフトを極めて高い精度で同期させる必要があり、その制御がアロンソとランス・ストロールが訴えてきたマシン挙動にも直結している。

    ホンダ新スペックPUはダイノでの目標を達成
    ホンダにとって、ザントフォールトで投入した新しいパワーユニットには明確な成果があった。

    週末を通じて信頼性上の大きなトラブルはなく、改良された冷却系と潤滑系についても想定通りに機能したという。

    「すべて期待通りに機能していました」と折原伸太郎は説明した。

    出力向上幅についてホンダは具体的な数字を明かしていない。The Raceは現時点で10~30bhp程度の範囲にある可能性を指摘している。

    「ダイノで設定していた社内目標を達成し、サーキットでも同じ改善を確認できました」

    一方で、折原伸太郎はホンダがF1のトップPUメーカーから「まだかなり遠い」と認めている。

    そして、次に解決しなければならない最大の課題については、アロンソ、ストロール、アストンマーティンF1代表のエイドリアン・ニューウェイ、そしてホンダ自身の認識が一致している。

    「ドライバビリティには改善の余地があることは分かっています。今後のレースに向けて、これは我々にとって最重要課題であり続けます」

    アロンソを苦しめる「ドライバビリティ」の正体
    F1で使われるドライバビリティという言葉は幅広いが、基本的にはドライバーの要求に対してパワーユニットがどれだけ正確かつ予測可能に反応するかを意味する。

    一般的にはアクセルを踏んだ際の出力特性が注目されるが、問題は加速時だけではない。

    コーナー進入時のエンジンブレーキも重要な要素だ。

    2026年のF1では、ドライバーがアクセルを戻したりブレーキを踏んだりすると、パワーユニットは後輪を駆動する状態からMGU-Kを利用してエネルギーを回収する状態へ移行する。

    ここでは内燃エンジンによるエンジンブレーキ、MGU-Kによる回生、リアブレーキを制御するブレーキ・バイ・ワイヤ、さらにギアボックスのダウンシフトまでを同期させなければならない。

    折原伸太郎は、その難しさを具体的に説明する。

    「ドライバーがアクセルを戻せばエンジンブレーキがかかりますが、同時にMGU-Kは350kWで回生しています。そのため、動作点はほぼ2倍になります」

    「そこからMGU-Kのパワーが低下し、エンジントルクも低下します。しかしドライバーが要求しているのは0Nです。この0Nを実現するのは非常に複雑です」

    「エンジン、燃焼、MGU-K制御の間で連携しなければなりません。この組み合わせをどう構成するかは、我々が改善しなければならない領域のひとつです」

    バッテリーが満充電になる瞬間にも挙動が変わる
    さらに難しいのが、MGU-Kによる回生量が一定ではないことだ。

    バッテリーが100%に達した場合や、チームが特定のコーナーに設定した充電上限に達した場合、MGU-Kは即座に回生を停止しなければならない。

    すると、それまで減速力の一部を担っていた回生トルクが失われる。

    その瞬間に通常のエンジンブレーキへ滑らかに移行できなければ、ドライバーが期待していた減速量と実際のマシンの挙動にズレが生じる。

    制御が合わなければ、エンジンブレーキが強すぎてリアが不安定になることもあれば、十分なエネルギーを回収できない場合もある。エンジン側のトルクによってアンダーステアが発生したり、回転数が同期せずギアボックスがダウンシフトを受け付けなかったりする可能性もある。

    アロンソがオランダGP後に指摘していたダウンシフトやエンジンブレーキの不規則な挙動は、こうした複数のシステムの協調制御と密接に関係している。

    2026年F1規則で難易度がさらに上昇
    この問題が2026年に一段と難しくなった理由は、新しいF1パワーユニット規則にある。

    電気エネルギーが総出力に占める割合が大幅に増えたため、MGU-Kによる回生を効率的かつ正確に行う重要性も増した。

    同時にMGU-Hが廃止された。

    従来はターボからMGU-Hで回収した電気エネルギーをMGU-Kとの間で利用することができ、バッテリーを介さないエネルギーのやり取りも可能だった。2026年規則ではその選択肢がなくなったことで、MGU-Kと内燃エンジンの協調制御がさらに重要になっている。

    そしてホンダには、もうひとつ課題がある。

    燃焼そのものだ。

    「時々、我々の燃焼は安定していません」と折原伸太郎は認めた。

    2026年のPU規則変更に加え、ホンダは燃料でアラムコ、潤滑油でバルボリンという新たなパートナーと開発を進めている。燃焼特性を最適化できれば、加速時だけでなく減速時のドライバビリティ改善にもつながる。

    逆に言えば、この問題を解決するまでは、アストンマーティンもホンダも現在のPUが持つ本当の性能を把握できない。

    アロンソが新スペックPUの改善幅をまだ正確には評価できないとしている理由もここにある。

    ホンダF1 ホンダ・レーシング

    ホンダはザントフォールトで一晩のうちに制御を修正
    ホンダはすでに対策を進めている。

    ザントフォールトで金曜日の走行を終えた後、収集したデータを日本のさくら研究所へ送り、ドライバビリティ改善に向けた作業を夜間に実施した。

    その成果として土曜日の予選では新しいキャリブレーションが導入され、一定の改善が確認された。

    ただし、折原伸太郎によれば、それでも「ドライバーにとってはまだ十分ではない」。

    次戦イタリアGPに向けてもさらなる改善を進める。

    一度のアップデートですべてを解決できる問題ではない。ザントフォールトからモンツァまでの期間にダイノで作業を続け、その後もコーナー特性、エネルギー要求、エンジンブレーキへの要求、路面特性が異なるサーキットを走りながら理解を深めていく必要がある。

    アロンソ「あとコンマ数秒ある」
    アロンソは、ホンダがパッケージを最適化できれば「あとコンマ数秒」は改善できると考えている。

    その水準まで到達すれば、アストンマーティンは安定してポイントを争える位置まで浮上する可能性がある。

    実際、今季序盤と比較すると改善幅は大きい。

    アストンマーティンはシーズン序盤、Q1の基準タイムから3.1%遅れていた。その後、ライバルの開発が進むにつれてバルセロナ、レッドブル・リンク、シルバーストンでは4%以上の差まで後退した。

    しかし、アップグレードされたシャシーを投入したハンガリーGPで差を縮め、ザントフォールトではさらに前進した。

    オランダGP予選では、アロンソがアウトラップでエステバン・オコンにつかえるなど理想的なセッションではなかった。それでもQ1のタイムは基準からわずか1.4%差だった。

    Q1最速だったマクラーレンのオスカー・ピアストリとの差は約1.3秒だった。

    シーズン中にはトップから4秒以上離されることもあっただけに、アロンソはこの急激な改善をこう表現した。

    「2レースで3秒改善した。これはすごいことだよ」

    ホンダの進歩がアロンソの2027年F1継続を左右
    次の焦点は、この改善が継続するかどうかだ。

    モンツァのようにパワーへの依存度が高いサーキットでは、アストンマーティン・ホンダが再び苦戦する可能性も残されている。

    それでも、ホンダがドライバビリティを改善し、新スペックPUが持つ性能をさらに引き出すことができれば、アロンソが2027年もチームに残る判断を後押しする重要な材料になる。

    現時点では、アロンソが2027年もアストンマーティンに残りたいと考えているのか、あるいはF1そのものを続けるのかについて正式な結論は出ていない。

    The Raceによれば、オランダGP終了後の日曜夜には、アストンマーティンのモーターホームでアロンソとニューウェイが長時間にわたって話し込む姿が目撃された。さらにイタリアGPまでの期間には、オーナーのローレンス・ストロールと将来について話し合う可能性があるという。

    アストンマーティンはシャシー側で前進し、ホンダも新スペックPUでダイノ上の目標を達成した。しかし、両者のパッケージが本当に競争力を取り戻したと判断するには、PUのドライバビリティという最後の大きな課題を解決する必要がある。

    その進展は2026年後半戦のアストンマーティンの成績だけではなく、アロンソが2027年もF1グリッドに立つかどうかを左右する材料にもなりそうだ。

  • ホンダF1 スペック2初戦でポイント獲得も「ドライバビリティは最重要課題」

    ホンダF1 スペック2初戦でポイント獲得も「ドライバビリティは最重要課題」

    ホンダF1は、2026年F1第12戦オランダGPで投入した新スペック2エンジンについて、大きな信頼性トラブルなく週末を走り切ったことを明らかにした。フェルナンド・アロンソが決勝9位に入り、新PUの実戦投入初戦で2ポイントを獲得した。

    一方で、ホンダF1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、ドライバビリティには依然として改善の余地があると説明。

    レース終盤にはアロンソの9位を守るため、後方から迫ったピエール・ガスリーに対してエネルギーマネジメント戦略を最適化していたことも明かした。

    ホンダF1 スペック2エンジン2基が大きな問題なく完走
    ホンダはオランダGPでアストンマーティンに新しいスペック2エンジンを投入。週末を通して2基を走らせ、大きな信頼性の問題を発生させることなく実戦初戦を終えた。

    決勝ではアロンソが13番グリッドから追い上げ、9位でフィニッシュ。アストンマーティンに2ポイントをもたらした。一方、チームメイトのランス・ストロールはリタイアに終わった。

    「今週末のオランダGPを通して、2基の新しいスペック2エンジンは、大きな信頼性の問題なく走り切ることができました」

    折原伸太郎は決勝後、そう振り返った。

    「一方で、ドライバビリティについてはまだ改善の余地があると認識しており、今後のレースに向けて、引き続き最重要課題として取り組んでいきます」

    新スペックの投入に際して、まず重要だった信頼性という面では一定の成果を得た。その一方、マシンをドライバーが扱いやすくするドライバビリティについては、引き続き改善が必要との認識を示している。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソ9位でスペック2初戦から2ポイント
    ホンダにとってもうひとつの収穫となったのが、新スペック投入初戦でポイントを獲得できたことだ。

    「スペック2エンジンの導入に向けて多くの作業を行ってきたことを考えると、今日のレースで2ポイントを獲得できたことは、良い結果だったと思います」

    アロンソはレース終盤に9番手を走行し、後方からガスリーの追撃を受けた。さらにその後ろには角田裕毅も控えており、ポイント圏を巡って緊迫した展開となった。

    その状況でホンダ側も、単純にPUの出力を引き出すだけでなく、アロンソが9位を守れるようエネルギーの使い方を調整していたという。

    ガスリーを抑えるためエネルギーマネジメントを最適化
    「レース終盤は、後方のガスリー選手との差を維持することに集中し、そのためにエネルギーマネジメント戦略の最適化に努めました」

    折原伸太郎のコメントからは、アロンソとガスリーによる終盤の9位争いの裏側で、ホンダもエネルギーマネジメントを使ってポジションを守る戦いに加わっていたことが分かる。

    アロンソは最終的にガスリーを抑えて9位でチェッカー。ホンダのスペック2エンジンは、実戦投入初戦でポイント獲得という結果を残した。

    ただし、今回のオランダGPは完成形ではない。信頼性という重要なハードルを越えた一方、折原伸太郎が「最重要課題」と位置づけるドライバビリティの改善が次の焦点となる。

    「今回の結果を踏まえ、今後もさらなるパフォーマンス向上に向けて取り組んでいきます」

    新スペック2エンジンはまず大きな信頼性問題なく最初のレースを完了し、アロンソの9位によって2ポイントも獲得した。ここからホンダがドライバビリティをどこまで改善し、スペック2本来のパフォーマンスを引き出していけるかが注目される。

  • ホンダF1 スペック2に改善も課題残る「燃焼をより安定させる方向で改善」

    ホンダF1 スペック2に改善も課題残る「燃焼をより安定させる方向で改善」

    ホンダF1は、2026年F1第12戦オランダGPの土曜日にスペック2パワーユニット(PU)の改善を進め、予選に向けたエンジン制御の見直しによって燃焼の安定性を向上させた。一方、ドライバビリティには依然として課題が残っている。

    アストンマーティンはスプリントでランス・ストロールが17位、フェルナンド・アロンソが18位。予選でもアロンソ18番手、ストロール19番手と厳しい結果に終わった。

    しかし、ホンダF1の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアは、スペック2の信頼性に問題が発生しなかったことに加え、前日からの作業によって「前向きなステップ」を踏めたと説明した。

    スペック2の燃焼安定性を改善
    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを投入。金曜日の走行後には、アロンソとストロールからのフィードバックと走行データをもとに、HRC Sakuraのテストベンチを使って改善作業を進めた。

    さらに土曜日のスプリント終了後にもテストベンチで作業を行い、予選に向けてエンジン制御を変更。その結果、燃焼をより安定させることができたという。

    「今日はスプリントレースと予選を通じて、スペック2のパワーユニットの信頼性に問題なく1日を終えることができました」と折原伸太郎はコメントした。

    「アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチームの両ドライバーから得たフィードバックに加えて、データ解析の結果を踏まえ、昨夜およびスプリントレース後にHRC Sakuraのテストベンチで作業を行い、改善を図りました」

    「予選に向けてエンジンの制御を見直した結果、燃焼をより安定させる方向で改善することができました」

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    シフトダウンとコーナー立ち上がりが課題
    ただし、スペック2の課題が解消されたわけではない。折原伸太郎が特に挙げたのが、ドライバーの要求に対するエンジンレスポンスとドライバビリティだ。

    アロンソとストロールが自信を持ってマシンをドライブするためには、ドライバーが求めたタイミングで必要なレスポンスを正確に発生させる必要がある。特にシフトダウン時とコーナー立ち上がりの加速が、今後改善すべきポイントになっている。

    「一方で、ドライバーが必要とするタイミングで、必要なエンジンレスポンスが得られるようにすることが重要であり、さらにドライバーが自信を持って走れるよう、特にシフトダウンやコーナー立ち上がり加速時のドライバビリティ向上が課題です」

    「本日は前向きなステップを踏むことができましたが、ドライバーが求める水準に向けてはまだやるべきことがあります。これらの改善が、短期・中期的な最優先事項です」

    アストンマーティンの予選結果そのものは18、19番手と厳しいものになったが、ホンダF1にとってはスペック2投入後の実走データとSakuraのテストベンチを組み合わせながら、問題点を絞り込む重要な一日となった。

    信頼性を確保したうえで燃焼の安定性には改善が見られた一方、次の焦点はドライバーが要求した瞬間に狙ったレスポンスを引き出せるかどうか。シフトダウンとコーナー立ち上がりを中心としたドライバビリティ改善が、ホンダF1の短期・中期における最優先課題となる。

  • ホンダF1 スペック2実戦投入で性能向上を確認「信頼性にも問題なし」

    ホンダF1 スペック2実戦投入で性能向上を確認「信頼性にも問題なし」

    ホンダ・レーシング(HRC)は、2026年F1第12戦オランダGPで初投入したスペック2パワーユニットについて、初日の走行で従来のスペック1からのパフォーマンス向上を確認した。

    ザントフォールトでは21日(金)にFP1とスプリント予選が行われ、アストンマーティンは新しいホンダ製パワーユニットを搭載して走行。スプリント予選ではランス・ストロールが19番手、フェルナンド・アロンソが22番手と2台ともSQ1で敗退したが、パワーユニットそのものについては性能向上と信頼性の両面でポジティブな初日となった。

    スペック1からのパフォーマンス向上を実走で確認
    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを初めて実戦投入した。Honda F1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、FP1とスプリント予選を終え、狙っていた性能向上を実車でも確認できたと説明した。

    「今週のオランダGPで初めてスペック2のパワーユニットを投入し、今日の走行でスペック1からのパフォーマンス向上を確認できました」

    事前の開発やテストだけでなく、グランプリ週末の実戦環境でも旧仕様からの進歩を確認できたことになる。

    また、初日の2セッションではパワーユニットに信頼性上のトラブルは発生しなかった。

    「FP1とスプリント予選の両セッションで、信頼性の問題なくフルディスタンスを走り切ることができ、パワーユニットとアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチームのシャシーとの統合も良好でした」

    スペック2の初実戦という点では、性能だけでなく、アストンマーティンのシャシーとの統合を含めて予定された走行を消化できたことも重要な収穫となった。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    ドライバビリティには改善余地
    一方、初日の走行ですべてが完成したわけではない。折原伸太郎は、特にドライバビリティに関連するデータ設定について改善の余地が見つかったことを明かした。

    「一方、スプリント予選では、特にドライバビリティに関するデータ設定について、まだ改善すべき点があることも分かりました」

    ホンダはスペック2投入に伴い、単純な出力向上だけでなく、実際にドライバーがパワーを扱いやすい状態へ仕上げていく作業も進める必要がある。

    「HRC Sakuraでは今夜から明日にかけてデータを解析し、エンジンベンチでのテストを行いながら、週末の残りの走行に向けてこれらのパラメーターを最適化していきます」

    ザントフォールトで得られた実走データを日本のHRC Sakuraへ送り、エンジンベンチでの検証と並行して設定を詰める。スプリント以降に向け、ドライバビリティをどこまで改善できるかが次の焦点となる。

    アストンマーティンはスプリント予選で2台SQ1敗退
    パワーユニット側では前進を確認した一方、スプリント予選の結果は厳しいものとなった。ストロールは19番手、アロンソは22番手に終わり、アストンマーティンは2台ともSQ1で敗退した。

    特にアロンソはアタック中にコースを外れる場面があり、スプリント予選を最下位で終えた。

    それでもホンダにとってスペック2の初日は、旧仕様からのパフォーマンス向上を実走で確認し、信頼性の問題なくFP1とスプリント予選を完走できたという点で重要な一歩となった。一方でドライバビリティという新たな調整ポイントも明確になり、HRC Sakuraでの解析とベンチテストを通じて、オランダGPの残りのセッションに向けた最適化が進められる。

  • ホンダF1新PUは15馬力向上か オランダGPで約0.2秒短縮の可能性

    ホンダF1新PUは15馬力向上か オランダGPで約0.2秒短縮の可能性

    アストンマーティンは、F1オランダGPでホンダの新スペック・パワーユニットを投入する。注目される性能向上について、AutoRacerは約15馬力になると報じた。当初期待されていた約30馬力の半分程度だという。

    それでも15馬力の向上は小さくない。ホンダは2026年の新パワーユニット規則への対応でライバルに後れを取ってシーズンをスタートしており、今回のアップデートはその差を縮めるための最初の本格的な改良となる。

    ただし、現時点ではトップ勢との差を一気に埋めるほどのステップにはならないとみられている。

    ホンダは内燃エンジンを重点的に改良
    今回のアップデートでホンダが重点を置いたのは、内燃エンジン(ICE)だ。燃焼を中心に改良を加え、効率向上とドライバビリティの改善を同時に追求してきた。

    一方、バッテリーとMGU-Kについては大幅な変更はないとされる。

    2026年世代のF1パワーユニットでは、単純な最高出力だけで競争力を判断することはできない。エネルギーマネジメントや回生効率、そして蓄えた電気エネルギーをどのように展開するかというデプロイメントの質が、ラップタイムに大きく影響するためだ。

    そのため、アストンマーティンにとって重要なのは、約15馬力という出力向上を実際のラップタイムにどこまで結びつけられるかになる。

    15馬力でザントフォールトでは約0.2秒の改善か
    AutoRacerによる単純計算では、ザントフォールトで15馬力の向上は1周あたり約0.2秒に相当する可能性がある。

    もちろん、実際の効果はエネルギーの使い方やマシンの空力効率、セットアップなどによって変化する。それでも、シーズン前半にパワーユニット面で苦戦したアストンマーティンにとっては無視できない改善幅となる。

    また、今回の15馬力がホンダの最終到達点というわけではない。開発段階で確認された信頼性と性能が実戦でも裏付けられれば、当初計画していた約30馬力の向上を最終的に実現することを目指しているという。

    つまり、オランダGPで投入される仕様は完成形ではなく、ホンダが進めている性能回復プロセスの重要な一段階という位置づけになる。

    ホンダF1(ホンダ・レーシング) / アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bと新PUで巻き返しを狙うアストンマーティン
    アストンマーティンはシャシー側でも改善を進めている。ハンガリーGPで投入されたAMR26Bでは、空力とシャシーの両面で一定の進歩が確認された。

    そこに今回のホンダ製パワーユニットのアップデートが加わることで、シーズン前半に露呈した弱点に対する最初の大規模な修正サイクルがひと区切りを迎えることになる。

    重要なのは、それぞれの改善が単独でどれだけの数字を生み出すかだけではない。AMR26Bの改善と新しいパワーユニットを組み合わせた状態で、アストンマーティンがトップグループとの差をどこまで縮められるかが焦点となる。

    フェルナンド・アロンソの2027年にも影響
    そして、このアップデートには2026年シーズンの競争力だけではない意味もある。

    フェルナンド・アロンソは、まだ2027年の契約延長にサインしていない。45歳となったアロンソにとって、残されたF1キャリアの時間は重要な判断材料であり、アストンマーティンのプロジェクトが実際に勝利を争えるレベルへ到達できるのかを見極めようとしている。

    アストンマーティンには最新のファクトリーや設備があり、多額の投資も続けられている。さらに技術面ではエイドリアン・ニューウェイがプロジェクトを率いる。しかし、アロンソを完全に納得させるためには、そうした環境だけでなく、サーキット上で具体的な成果を示す必要がある。

    現時点ではアロンソとアストンマーティンの契約延長が最も可能性の高いシナリオとみられているものの、今後数戦で示される開発力はその判断にも影響を与えることになりそうだ。

    F1オランダGPで投入されるホンダの新スペックは約15馬力の向上が見込まれる。当初期待されていた約30馬力には届かないものの、ザントフォールトでは理論上約0.2秒の改善につながる可能性がある。重要なのは、その数字を実際のラップタイムへ変換できるか、そして今後さらに当初目標の30馬力へ近づけられるかだ。アストンマーティンとホンダにとって、ザントフォールトは2026年だけでなく、その先の競争力を占う重要な一戦となる。

  • ホンダF1 新PU初走行で「興味深いデータ」 AMR26Bとの実車テストで手応え

    ホンダF1 新PU初走行で「興味深いデータ」 AMR26Bとの実車テストで手応え

    ホンダは、2026年F1第12戦オランダGPで実戦投入する新スペックのパワーユニット(PU)について、7月末にハンガロリンクで実施した初走行で「信頼性と性能の両面で内部目標を達成した」と明らかにした。

    ホンダ・レーシングのF1チーフエンジニアを務める折原慎太郎によれば、新PUは7月29日のフィルミングデーでアストンマーティンAMR26Bに初めて搭載された。走行距離などに制限があるなかでも、実車からドライバビリティに関する有益なデータを収集。オランダGPに向けてベンチ上でセッティングの最適化を進めている。

    新PUをAMR26Bに初搭載
    アストンマーティンは前戦ハンガリーGPでAMR26Bに大規模なアップデートを投入し、シーズン前半に苦戦していた状況から中団争いへと前進した。そしてザントフォールトでは、ホンダ側もPUのアップデートを投入する。

    ホンダはADUO(追加開発・アップグレード機会)によって認められた開発余地を活用し、内燃エンジンを中心に改良した新スペックを用意。その実戦投入に先立ち、7月29日にハンガロリンクで行われたフィルミングデーでAMR26Bに搭載した。

    フィルミングデーは走行距離が200kmに制限され、通常のレース用タイヤではなくデモンストレーション用タイヤを使用するなど、本格的なテストとは条件が異なる。それでもホンダにとっては、新PUを実際の車体に搭載して確認する最初の重要な機会となった。

    「フィルミングデーでしたので、学習できるプログラムには限りがありました。ただ、実際にコースを走れば必ず何かを発見できます」

    折原慎太郎はそう説明する。

    「まず、新しいエンジンスペックをシャシーに搭載したのはこれが初めてでしたが、パワーユニットが期待どおりに機能することを確認できました。それはポジティブでした」

    ドライバビリティで「興味深いデータ」
    ホンダがハンガロリンクで得た収穫は、単純にPUが正常に作動したという確認だけではなかった。特に重要だったのが、エンジンとシャシーを組み合わせた際のドライバビリティに関するデータだったという。

    「ドライバビリティについて、いくつか興味深いデータを見つけることができました」

    「そのデータをベンチに持ち帰り、今回のオランダGPに向けてセッティングを最適化しました。私たちにとって良い前進になりましたし、もうひとつポジティブだったのは、問題なく予定していた学習プログラムをすべて完了できたことです」

    実車で得られたデータをベンチテストへフィードバックし、ザントフォールトに向けて制御やセッティングを調整したことになる。

    シーズン前半のAMR26では振動も課題のひとつとして表面化していたが、新PUについて折原慎太郎は現時点で懸念していない。

    「現在、振動について心配していることはありません。ですから、今のところ問題は起きないと確信しています」

    「魔法のアップデートではない」
    一方、折原慎太郎は新PUによって勢力図が一変するとの見方には慎重だ。

    「F1では現実的でなければなりませんので、魔法のようなアップデートを持ち込むことはできません。ただ、今回のアップデートによって、いくつか良いステップを踏めると考えています」

    ホンダは2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとしてF1に復帰したが、シーズン前半はライバルメーカーに対する性能面の遅れや信頼性の問題に直面してきた。

    折原慎太郎も、依然としてトップのPUメーカーとの差が残っていることを認める。

    「主要なライバルに対して、まだいくらか不利な部分があります。ただ、ハンガリーではアストンマーティンが大きなアップデートを投入し、中団に戻ることができました」

    そこで重要になるのが、わずかなラップタイムの改善だ。

    「中団では50ミリ秒や100ミリ秒が順位を上げるうえで非常に重要になります。今回のアップデートによって、そのようなラップタイムの改善をもたらすことができると考えています」

    つまりホンダが新PUに期待しているのは、一気にトップ勢へ追いつくほどの飛躍ではなく、0.05~0.1秒単位の改善を積み重ね、接戦の中団でアストンマーティンを押し上げることだ。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    バッテリーは変更せず 内燃エンジンを改良
    今回のアップデートでは、バッテリーや発電システムそのものには変更が加えられていない。一方で、内燃エンジンの性能向上は電気エネルギーのデプロイにも間接的な効果をもたらす。

    「バッテリーや発電システムについては何も変更していません。ただ、エンジン性能を向上させることはパワーデプロイにも役立ちます」

    「ですから、新しいエンジンスペックによって私たちのパワーデプロイがどのように機能するのか確認していきます」

    2026年F1のPUでは内燃エンジンと電動システムをどのように組み合わせ、限られたエネルギーをラップ全体で効率的に使用するかが重要な性能要素となっている。そのため、内燃エンジン側の効率改善は電動側の使い方にも影響を与えることになる。

    信頼性と性能「内部目標を達成」
    ホンダは新PUの投入時期を急がず、性能向上と同時にシーズン前半に経験した信頼性上の問題を解消することを重視してきた。

    折原慎太郎によれば、実車へ搭載する前にベンチ上で十分な検証を行い、必要な信頼性を確認したという。

    「このエンジンについては、求めていた性能を見つけるところまで持っていくために多くの時間をかけました。同時に、信頼性の問題も解決してきました」

    「このエンジンを投入する前に、ベンチ上で信頼性を実証しています。ですから、信頼性と性能の両方について、私たちの内部目標を達成できたと考えています」

    オランダGPは2027年へ向けた重要な検証
    ザントフォールトでの実戦投入は、単に2026年シーズン後半の競争力を高めるだけのアップデートではない。ホンダにとっては、今後のPU開発の方向性そのものを確認する意味も持っている。

    「今回のイベントについて重要なのは、私たちの開発ロードマップの一部だということです」

    「実際のコースで私たちの方向性が正しいことを確認できれば、正しい方向に開発を進められているという自信につながります」

    ハンガロリンクでは、新PUがAMR26Bとの組み合わせで想定どおりに作動することを確認し、ドライバビリティについても新たなデータを得た。さらにベンチ上で信頼性と性能の内部目標をクリアしたというホンダ。次の段階は、レースウイークという厳しい環境でその成果を証明することになる。

    アストンマーティンがAMR26Bのアップデートで中団へと前進したなか、ホンダの新PUが50~100ミリ秒という接戦を左右する差を生み出せるのか。ザントフォールトで行われるオランダGPは、2026年後半戦だけでなく、ホンダの今後のF1開発ロードマップを占う重要な実戦テストとなる。

  • ホンダF1新スペックPU 30馬力増に届かず? 初テストで期待下回ったとの報道

    ホンダF1新スペックPU 30馬力増に届かず? 初テストで期待下回ったとの報道

    アストンマーティンとホンダが2026年F1シーズン後半戦の巻き返しに向けて投入する新スペック・パワーユニット(PU)は、ハンガロリンクで行われた初テストで明確な前進を確認した一方、当初期待されていた性能向上には届かなかったと報じられている。

    新PUは今週末のF1オランダGPで実戦投入される予定だ。アストンマーティンはハンガリーGPで大幅改良型シャシー「AMR26B」を投入し、マシン側では大きな改善を果たした。

    次に焦点となるのは、シーズン前半から大きな課題となってきたホンダPUがどこまで差を縮められるかだ。

    ホンダが狙った「30馬力増」 初期テストでは届かず
    イタリア版『Motorsport.com』の情報として伝えられたところによれば、ホンダは新スペックPUによって約30馬力の出力向上を目標としていた。

    しかし、7月にハンガロリンクで非公開に行われたテストでは、得られた数値がその目標を「大幅に下回った」という。

    それでも、従来仕様と比較すれば明確な「ステップアップ」は確認されているとされる。問題は、その改善幅がアストンマーティン側が期待するラップタイム約0.5秒の短縮につながる水準に達しているかどうかだ。

    今回のアップデートは内燃機関(ICE)が中心となる。燃焼効率やフリクション、ターボ周辺などの改善に重点が置かれる一方、電気系についても改良が盛り込まれる。

    ハンガリーでのテストは実戦投入前にデータを収集する重要な機会となったが、新PUの能力を最大限に引き出すには、複数のグランプリを通じたセッティングと制御の最適化が必要になる可能性がある。

    AMR26Bとは異なり「即効性」は限定的か
    アストンマーティンはハンガリーGPでAMR26Bを投入し、従来型から推定約1.8秒という大幅なラップタイム改善を果たした。

    シャシー側のアップデートが投入直後から効果を示したのに対し、PUについては事情が異なる。ICEそのものの性能だけでなく、エネルギーマネジメントやドライバビリティ、冷却、車体との統合などを最適化する必要があり、性能を完全に引き出すまでには時間を要する。

    その意味で、オランダGPは新スペックPUの完成形を評価する場というより、ホンダにとって実戦環境での「回復フェーズ」を本格的に開始する週末になる。

    さらにフェルナンド・アロンソとランス・ストロールにはPU交換によるグリッド降格ペナルティを受ける可能性もあり、その場合、ザントフォールトでの週末は結果以上に新PUのデータ収集を優先する意味合いが強まる。

    後方グリッドからのスタートとなれば、雨などによる波乱がない限りポイント獲得のハードルは高くなる。

    ホンダにはライバル以上の開発機会
    ホンダが抱える課題の大きさは、FIAの追加開発機会にも表れている。

    2026年F1パワーユニット規則では、基準となるICE性能から一定以上遅れているメーカーに対して、追加の開発機会を認めるADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)が設けられている。

    ホンダはベンチマークとされるレッドブル・フォードのICEに対して10%以上の差があると評価され、追加で約1100万ドルの開発費と230時間のベンチテストが認められているとされる。

    これはホンダにとって大きなアドバンテージである一方、ライバルが開発を停止するわけではない。

    フェラーリとアウディにも2026年と2027年にそれぞれ複数回のアップデート機会があり、メルセデスにもシーズンごとの開発枠が与えられている。そのため、ホンダが追いかけている目標そのものも動き続けることになる。

    ただし、現在の性能差が大きいからこそ、ホンダにはライバルよりも大きな改善余地が残されているとも言える。

    ホンダF1

    ニューウェイの指摘と重なるホンダの出遅れ
    ホンダが2026年シーズン序盤から苦戦している背景には、新レギュレーションへの準備期間の不足もある。

    ホンダは一度F1から撤退する方針を決め、その後に2026年からアストンマーティンと組んで正式復帰することを決断した。そのため、新規則PUの開発開始時点でメルセデスやフェラーリなどに対して遅れを取った。

    さらに、アストンマーティンのチーム代表兼マネージングテクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイはシーズン序盤、ホンダ側にF1経験の少ない人材が配置されていたことも課題のひとつだったと指摘していた。

    ホンダ側もその後、F1プロジェクトに十分な経験を持たないスタッフがいたことを認めており、現在は開発体制そのものを含めて立て直しを進めている。

    過去を振り返れば、ホンダが2015年にマクラーレンとF1へ復帰してから、レッドブルとともに勝利を争えるPUを完成させるまでには数年を要した。

    ただし今回は追加開発制度が存在し、アストンマーティンとのワークス体制も構築されている。前回と条件は大きく異なる。

    ハンガリーで確認された数値が当初の30馬力という目標を大幅に下回ったとしても、重要なのは新スペックが従来型から明確な前進を果たしている点だ。

    ザントフォールトで投入される新PUがどこまで実戦で性能を発揮できるのか。そしてホンダが追加開発枠を生かし、シーズン後半にどこまでトップメーカーとの差を縮められるのか。AMR26Bで改善の兆しを見せたアストンマーティンにとって、次の焦点はホンダ側の開発スピードとなる。

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