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  • F1 2026年PU問題 エンジン出力をすぐ上げられない理由

    F1 2026年PU問題 エンジン出力をすぐ上げられない理由

    2026年F1の新レギュレーションは、内燃エンジンと電動パワーの比率を50:50に近づける設計となった。しかし開幕3戦を終えた時点で、エネルギーマネジメントの影響による“クリッピング”が顕在化し、このバランスの持続可能性に疑問が投げかけられている。

    対応策としてハイブリッド側の出力制限が議論される一方、内燃エンジン(V6)の出力を引き上げる案も浮上している。ただし、見た目ほど単純ではなく、短期的な解決策としては現実的ではない構造的な理由が存在する。

    燃料流量を増やすだけでは解決しない理由
    2026年レギュレーションでは、燃料流量が従来より約30%削減されている。この制限を緩和すれば出力向上につながる可能性はあるが、単純に数値を戻すだけでは済まない。

    まず、消費燃料が増えることでレースを完走するための燃料搭載量が増加し、より大型の燃料タンクが必要になる。これは車体パッケージングに直接影響し、重量配分や空力設計にも波及する問題となる。

    さらに、燃料を多く燃焼させるためには吸入空気量も増やす必要があり、ターボチャージャー側の設計変更が不可欠となる。単なる設定変更では対応できず、ハードウェアの見直しが避けられない。

    熱負荷と耐久性の壁
    内燃エンジンの出力向上は、同時に熱的・機械的負荷の増大を意味する。現在のパワーユニットは設計段階で想定された負荷条件のもとで最適化されており、それを超える出力を引き出すには耐久性の再設計が必要となる。

    つまり、燃料流量を引き上げるだけではなく、冷却、素材強度、内部構造に至るまで包括的な改修が求められる。このため、シーズン中に即座に対応することは極めて難しい。

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    2026年エンジンは“別物”になっている
    2026年のパワーユニットは、V6ターボという基本構造こそ維持されているものの、内部の燃焼プロセスは大きく変化している。

    代表的なのが圧縮比の低下(18→16)と点火方式の簡素化(従来の複数点火から単一スパークへ)であり、これにより燃焼速度は従来の超高速燃焼からより緩やかなものへと変わった。

    この変化により、エンジン出力は単純な設定変更で引き上げられる性質ではなくなっている。電動パワーのように制御で柔軟に出力を調整することはできず、根本的な設計領域に踏み込む必要がある。

    短期対策としての限界と意思決定のタイミング
    結果として、内燃エンジンの出力回復は技術的には可能であっても、即時対応ができる領域ではない。設計変更から実装までには相応の時間が必要であり、レギュレーション変更を伴う場合はさらに意思決定のスピードが重要となる。

    このため、現実的な短期対応は電動側の出力調整に寄る可能性が高く、内燃エンジンの強化は中長期的な開発テーマとして扱われる公算が大きい。2026年のF1は、単なるパワー競争ではなく、エネルギー配分と設計思想そのものが問われる時代に入っている。

  • F1エンジン圧縮比:FIAが常温測定継続でメルセデスの手法は合法と判断

    F1エンジン圧縮比:FIAが常温測定継続でメルセデスの手法は合法と判断

    FIA(国際自動車連盟)は木曜日、2026年F1レギュレーションで定められた圧縮比規定を巡る議論を受け、各エンジンメーカーの技術責任者を集めた会合を開催した。この場では、エンジンが高温状態で作動している際に圧縮比をどのように測定するかについて一定の前進があったものの、新たな測定手順が短期間で導入される可能性は低いとみられている。

    今回の会合は、F1の圧縮比ルールを巡って浮上した論争を受けて招集されたものだ。

    メルセデスおよびレッドブルのパワーユニットを使用する陣営に対し、ライバル勢は両社が規則上許されている以上の圧縮比でエンジンを作動させる方法を見つけたのではないかと疑念を抱いている。

    問題の背景には、2026年から導入される圧縮比16:1の上限が、レギュレーション上「常温」で測定されることしか規定されていない点がある。メルセデス、そして程度は小さいもののレッドブルが、エンジンが高温で作動する際に圧縮比が上昇するような巧妙な設計を採用し、それによって性能向上を得ているのではないか、という見方が示されている。

    フェラーリ、アウディ、ホンダが合法性について説明を求める書簡をFIAに送ったことを受け、統括団体は今後の道筋を探るため、木曜日に技術専門家による会合を設定した。関係者によれば、この会合では、将来的にエンジンが高温状態で作動している際の圧縮比をどのように測定するか、その方法論について一定の認識共有が図られたという。

    フォーミュラ1エンジン 国際自動車連盟

    ただし、新たな測定手法について合意が得られたからといって、それが直ちに導入されることを意味するわけではない。次の段階として、エンジンメーカーのトップと協議を行い、高温時の測定手順を採用するためにF1の技術レギュレーションを変更する妥当性があるかどうかが検討される。

    この変更が今季中に求められるのか、それとも2027年を見据えたものになるのかにかかわらず、規則改定には正式なガバナンス手続き、すなわちF1委員会での投票を経る必要がある。現在、メルセデス系チームは4チーム、レッドブル系は2チームを擁しており、両メーカーは多数の影響力を持つ。そのため、彼らの支持なしにルール変更を実現するのは容易ではない状況だ。

    実際、メルセデスのライバル勢も、今回の会合を受けて短期的に何かが変わるとは想定していなかった。アウディのF1プロジェクト責任者であるマッティア・ビノットは、ベルリンで行われたアウディのシーズンローンチの場で次のように述べている。

    「この会合で期待しているのは、レギュレーションそのものの明確化ではなく、将来に向けた測定方法を定義することだ」とビノットは語った。

    現時点では、規則は記載どおり有効であり、圧縮比の測定は常温で行われる。つまり、メルセデスとレッドブルが得ているとされる優位性は、当面の間は維持されることになる。

  • 2026年F1エンジン開発の現実 レギュレーションとADUOが決める進化の余地

    2026年F1エンジン開発の現実 レギュレーションとADUOが決める進化の余地

    F1パワーユニットの開発凍結は4年間続いたが、その制限が解除されたことで、2026年からは再び開発が可能になった。ただし、その自由度は極めて複雑なレギュレーションによって厳しく管理されている。

    2022年から2025年まで、F1のハイブリッド・パワーユニットは性能に関わる開発が凍結されていた。だが、サステナブル燃料を使用する次世代1.6リッターV6ハイブリッドが2026年から実戦投入され、その開発サイクルが新たに始まった。

    では、この新時代のパワーユニットは、いつ、どのような条件でアップグレードが許されるのか。

    2026年F1パワーユニットレギュレーションのサイクル
    2026年F1では、基本構成こそ従来世代と同じ1.6リッターV6ハイブリッドが採用されるが、その中身は設計思想からして全面刷新となる。

    サステナブル燃料の導入と電動化の強化により、内燃機関(ICE)と電動出力の比率はほぼ50:50に近づいた。パワーユニットレギュレーションがシャシー規則よりも先に確定した点については懸念も示されてきたが、2025年後半にはエンジン形式変更の可能性は完全に否定されている。

    サステナブル燃料を用いたV8やV10への移行案も議論されたものの、各方面で合意に至らず、さらにパワーユニットメーカー各社がすでに多額の投資を行っていたことから、エンジンレギュレーションは2026年から2030年末までの5年間にわたって継続されることが決まった。

    2026年に参戦する5社すべてのパワーユニットメーカーは、3月1日までに新設計のホモロゲーション・ドシエをFIAに提出しなければならない。この書類には、ICE、コントロールエレクトロニクス(CE)、排気系、ターボチャージャー(TC)、エナジーストア(ES)、MGU-K、さらにすべてのPU要素に付随する小部品の詳細が含まれる。なお、新世代パワーユニットにはMGU-Hは存在しない。

    このホモロゲーションは、供給先となるすべてのカスタマーチームにも同一仕様で適用される。例外として認められるのは、燃料サプライヤー、エンジンオイル仕様、そしてシャシーごとの搭載要件に対応するための最小限の変更に限られる。具体的には、配線、排気位置、ターボ位置(元の位置から20mm以内)、ウエイストゲートやポップオフバルブの配置変更などだ。

    FIAは提出から14日以内に設計を承認し、4月1日までに各メーカーは封印用のリファレンス・パワーユニットを提出する義務がある。

    フォーミュラ1エンジン

    パワーユニットの通常アップデートはどう制限されるのか
    2026年から2030年までのPU開発は、厳格なレギュレーションのもとで管理される。いったんホモロゲーションが完了すると、許可された範囲以外の変更は認められず、すべての改良は承認プロセスを経なければならない。

    これらの規則は、コスト抑制、競技の公平性、そして信頼性確保のバランスを目的としている。通常のアップグレードは、テクニカルレギュレーション第3条の範囲内でのみ許可される。

    これとは別に、FIAは性能面で後れを取ったメーカーを救済するため、「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」という制度を導入した。ADUOによるアップグレードも、パワーユニットメーカーの予算上限の枠内で行われる。

    FIAはパワーユニットとエネルギー回生システムを細かく分解し、各コンポーネントごとに「いつ」「どの条件で」開発・変更が可能かをレギュレーション上で定めている。

    そのリストは非常に詳細だ。例えば最初に挙げられるのが「メインICEアセンブリ」で、クランクケース、シリンダーヘッド(燃焼室やポート、インジェクターポート加工を除く)、クランクシャフト、カムシャフト(ローブ形状を除く)、カム駆動系、バルブ、フィンガーフォロワー、内部ギア類、ICEマウントを介してサバイバルセルとギアボックスを結ぶ構造部品などが含まれる。

    この領域は2026年のみ通常開発が許され、2027年から2030年までは原則として凍結される。ただし、ADUO対象メーカーに限り、追加変更が認められる。

    一方で、リスト中の3番目にあたるフライホイールについては、全メーカーが5年間を通じて開発可能とされている。ただし重要なのは、アップグレードは「許可された年の開幕戦」でしか導入できない点だ。2026年中に開発したフライホイールであっても、実戦投入は2027年開幕戦に限られる。

    吸気系(トランペット、スロットル、プレナム)に関しては、2026年、2027年、2029年は開発可能だが、2028年と2030年は不可とされている。そのため、2027年に開発した新仕様は、2029年開幕戦まで投入できないことになる。

    このような制限をより詳しく知りたい場合は、新テクニカルレギュレーションの付録4を参照する必要がある。

    ADUOはどのように機能するのか
    ADUOは、近年の空力テスト制限に似た考え方を、パワーユニット専用に適用した制度だ。

    付録4第4条で定められた条件を満たすメーカーは、追加のホモロゲーション機会を得ることができる。対象となるのは評価年(Year N)とその翌年(Year N+1)だ。

    ただし、燃料ポンプやインジェクター、ノックセンサー、各種温度・電気・規制センサーなど、一部コンポーネントはADUO対象外とされている。

    FIAは5年間を通じて、各メーカーのICE性能を継続的に監視する。各エンジンについて「ICEパフォーマンス指数」が算出され、メーカーやカスタマーチームから提供されるデータを基に比較評価が行われる。

    この指数が基準を下回った場合、追加アップグレードの権利が与えられる。

    ・最上位ICEから2%以上4%未満遅れている場合
     シーズンNで1回、シーズンN+1で1回の追加ホモロゲーション

    ・最上位ICEから4%以上遅れている場合
     シーズンNで2回、シーズンN+1で2回の追加ホモロゲーション

    ADUOによるアップグレードはシーズン内で累積せず、未使用分は失効する。

    2026年は24戦を6戦ずつ4期に分け、ADUOが認められたメーカーは次の期の初戦からアップデートを投入できる。例えば、開幕6戦後に権利を得た場合、導入可能なのは第13戦からとなる。

    すべての変更について、メーカーは使用予定レースの14日前までに、更新されたホモロゲーション・ドシエを提出しなければならない。

    また、信頼性、安全性、コスト削減、供給問題を理由としたごく小規模な変更については、別途承認のもとで認められる場合がある。ブランド変更や部品番号変更など、性能にほとんど影響しない修正も例外的に許可される。

    このように、2026年F1のパワーユニット開発は「再び自由になった」一方で、実際には極めて厳密に管理されたレギュレーションのもとで進められることになる。

  • 2026年F1パワーユニット:メーカーが差をつけられる3つのポイント

    2026年F1パワーユニット:メーカーが差をつけられる3つのポイント

    2026年から導入されるF1パワーユニットはMGU-Hを失う一方で、完全に白紙から設計されるわけではない。V6エンジンとMGU-Kは、2014年に始まったハイブリッド時代のコンセプトを一定程度引き継ぐ。しかし、その中でも各メーカーが競争優位を築くために注力してきた分野が存在する。

    2026年仕様のパワーユニット開発にあたり、F1の各パワートレイン部門は、過去と比べてはるかに堅固な技術基盤からスタートすることができた。

    そのため、革新や差別化を図れる要素は限定的になるが、まさにその限られた領域こそが初期の性能差を生み出す鍵となる。

    「パワーユニットの構成要素そのものはすでに存在している。だからこそ、高性能なものを作るには信じられないほど野心的な目標を設定しなければならない。コスト制限の中で最善を尽くすため、我々は多くの問いを自らに投げかけてきた」と、メルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズの責任者であるハイウェル・トーマスは語っている。

    トーマスが挙げた「差別化のポイント」は、大きく3つに集約される。それは、内燃エンジン(V6)、電動システム、そして両者の相互作用だ。

    (1) 内燃エンジン(V6)の性能
    V6エンジンは、2026年以降も依然として重要な要素であり続ける。信頼性の面では、すでに各メーカーが極めて高い水準に到達しているが、純粋な性能では差が生じる可能性が高い。

    「エンジンのパワーは間違いなく非常に重要な要素だ。我々はパワーユニットを設計・製造するエンジニアであり、エンジン出力を愛している。これは主要な焦点のひとつになる」とトーマスは強調する。

    (2) 電動システム(MGU-K)の効率
    2026年の電動システムではMGU-Kが中心となり、1周あたりに使用できるエネルギー量は従来より制限される。そのため、チームとドライバーの連携はこれまで以上に重要となり、いかに効率よくエネルギーを使い切らずに走るかが問われる。

    「2つ目のポイントは電動システムの効率性だ。この分野で効率が高ければ高いほど、システムをより長く作動させることができ、その分だけ速く走れる。これも非常に大きな役割を果たすだろう」とトーマスは述べている。

    (2) 内燃機関と電動系の統合・運用
    多くの場合、マシンは個々の要素が単独で優れているだけでは十分ではなく、全体としてどれだけうまく機能するかが重要となる。トーマスは、この「統合こそが3つ目の決定的要素」だと指摘する。

    「すべてのコンポーネントをうまく連携させることが不可欠だ。利用可能なエネルギーやパワーを過渡的な状況でどう使うのか。まったく新しいマシンと、ドライバーとをどう結びつけるのかが問われる」

    さらに彼は、エネルギーマネジメントがドライビングそのものを制約する可能性についても触れている。

    「ドライバーは望めばストレートでは非常に速く走れるかもしれない。しかし、そうすればラップの残りの部分で大きな困難に直面することになる。だから、たとえ望んでもそれはできない。その戦略的な要素、つまりどこでパワーを使うのかを理解することが、全体の中で大きな違いを生むと思う」

    F1 フォーミュラ1エンジン

    ADUOによる性能差是正の仕組み
    2026年シーズン序盤には、性能面で一歩抜きん出たパワーユニットが現れる可能性が高い。ただし、新規則では遅れているメーカーを救済するための仕組みも用意されている。それがADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)だ。

    この制度について、FIAシングルシーター部門の技術責任者であるニコラス・トンバジスは次のように説明している。

    「パワーユニットメーカー間にはコスト面での格差がある。そのため、これらの規則の初日からADUOという概念が存在していた。ここ数か月で、その運用方法を明確にするための詳細が追加された」

    「5〜6戦ごとに、各パワーユニットメーカーの平均的なパフォーマンスが測定される。定められた基準を下回ったメーカーは、その下回り具合に応じて、年間を通じて蓄積される形で恩恵を受けることになる」

    その恩恵は、具体的に3つの形で与えられる。

    「1つは追加の開発資金、2つ目はベンチテストの追加時間、そして3つ目が新たなエンジンの再ホモロゲーションを行う権利だ。つまり、後れを取ったメーカーにも挽回し、追いつく機会が与えられる」

    2026年のF1パワーユニットは、単なる技術革新だけでなく、効率、統合、そして運用戦略を含めた総合力が問われる時代へと突入することになる。

  • FIAが予測する2026年F1マシンの性能差 最重要ファクターは内燃エンジン

    FIAが予測する2026年F1マシンの性能差 最重要ファクターは内燃エンジン

    大幅なレギュレーション変更は、常にF1の勢力図に大きな差を生み出してきた。チーム、そしてFIAの双方は、2026年F1シーズン開幕当初、2025年よりもフィールドのばらつきが大きくなると見ている。ただし、FIAは2014年のような長期的な一強支配を防ぐため、複数の“セーフティネット”を規則に組み込んだ。

    2014年に始まったハイブリッド時代では、メルセデスが圧倒的に優れたパワーユニットを投入し、その優位性が何年にもわたって固定化された。

    2026年のリセットでも理論上は同様の事態が起こり得るが、FIAは過去の教訓を踏まえて対策を講じている。

    ICEが初期の主役になる理由
    パワーユニット面で最大の対策となるのがADUOシステムだ。6戦ごと(第1~6戦、第7~12戦、第13~18戦)にFIAが内燃エンジン(ICE)の出力を評価し、最強のICEから2〜4%遅れているメーカーには追加アップグレード1回、4%以上遅れているメーカーには2回の追加アップグレードが認められる。

    今回のリセットが特別なのは、パワーユニットだけでなく、シャシー規則も含めた全面刷新である点だ。新エンジン規則、アクティブエアロを含む新シャシー規則、そして完全持続可能燃料への移行が同時に行われる。

    こうした中で、2026年の最大の性能差要因は何になるのか。FIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは、次のように語っている。

    「最初はエンジン、特にICEが主な要因になると予想している。新規参入メーカーもいて、ICE規則も新しいため、初期には差が出るだろう」

    「ただし、段階的に追いつける仕組みも用意している。性能差は一時的なものになると考えている」

    さらにトンバジスは、空力面でも完全に新しい規則が導入される点を強調する。

    「空力規則も全面的に新しくなる。当然、良い解決策も悪い解決策も出てくる。最初の半年から1年で、ある程度の収束が起きるだろう」

    2022年規則が示した“収束”の前例
    この流れは2022年レギュレーションでも見られた。当初は、レッドブルのダウンウォッシュ、フェラーリのインウォッシュ、メルセデスのゼロポッドという、3つの異なるサイドポッド概念が存在した。しかし時間の経過とともに、多くのチームがレッドブル型へと近づきつつ、独自の解釈を加えていった。

    国際自動車連盟 フォーミュラ1カー フォーミュラ1エンジン

    2026年のギャップは本当に拡大するのか
    チーム間の差について、FIAの見方は二段構えだ。開幕当初は2025年より差が大きくなるが、規則が意図通り機能すれば、長期的には前サイクルよりもむしろ接近したグリッドになるという。

    「2026年に、昨年と同じレベルでグリッドが接近するとは思っていない。ただし、収束後のグリッドは、2025年よりも近くなると予想している」

    タイヤサプライヤーのピレリは、各チームの初期ダウンフォースシミュレーションに大きな差があったことを示唆している。一方で、12月に提出された2026年末を想定した最新シミュレーションでは、その差はかなり縮まっていたという。

    これについてトンバジスは慎重だ。

    「ある程度の自信にはなるが、詳細なデータを持っているわけではない。各チームが現在どれほどのダウンフォースや馬力を持っているかは分からない。初期には差が出るかもしれないが、最終的に収束した性能は、よりコンパクトなグリッドを生むと確信している」

    “面白さ”を決めるのは何か
    最後にトンバジスは、ファンにとってのエンターテインメント性は、必ずしも最速と最遅の差で決まるものではないと強調した。

    「グリッドの近さを決めるのは、必ずしも1位と最下位の差ではない。1、2チームが序盤で苦しんだからといって、それが選手権の面白さを左右するわけではない」

    「多くの場合、重要なのは上位半分、つまりポイントや勝利を争うチーム同士がどれだけ接近しているかだ。その点では、十分に接戦になると考えている」

    ICEが主役となる2026年F1の幕開けは、短期的な差と長期的な収束、その両方を内包したシーズンになりそうだ。

  • メルセデス 2026年F1エンジンの優位性を否定「ゴシップには流されない」

    メルセデス 2026年F1エンジンの優位性を否定「ゴシップには流されない」

    メルセデスF1の代表を務めるトト・ヴォルフは、2026年F1パワーユニットを巡る“優位性”の噂について語り、いかなる楽観論も否定した。

    近ごろ、メルセデスとレッドブルが、2026年F1レギュレーションのグレーゾーンを突くことでアドバンテージを得たのではないか、という報道が注目を集めている。報道によれば、ブラックリーとミルトンキーンズの両拠点で、内燃エンジンの圧縮比を“違法とは断定しにくい形”で引き上げる方法を見出した可能性があるという。

    新レギュレーションでは圧縮比は16:1に制限されているが、メルセデスとレッドブルは、2025年に求められていた18:1に近い水準を、特定の作動条件と熱状態のもとで維持できる“トリック”を発見したのではないか、とも言われている。その余剰分を測定・制限することは可能なのか、それとも開幕戦メルボルンにおいて把握できないのか、という疑問も浮上している。

    こうした“本命視”について、ヴォルフはF1公式サイトのポッドキャスト『Beyond The Grid』で問われ、次のように語った。

    「決して油断してはいけない。我々は常にコップは半分空だと見る人間で、半分満ちているとは考えない」とこの時期に出回るのは、あくまで噂話に過ぎないとヴォルフは語った。

    「すべては身内の敵から始まる。マクラーレンは今年、メルセデスのパワーユニットを使って最良のチームだった。もし仮に、我々が優れていると感じたことのないそのパワーユニットが本当に上回っているのだとしたら、まず倒さなければならないのはウィリアムズ、マクラーレン、アルピーヌだ」

    フォーミュラ1エンジン F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    彼は、メルセデスのユニットが何らかの優位性を持ってシーズンを迎える可能性自体は、否定しなかった。一方で、他チームの準備についても警戒を示す。

    「実際、彼らの一部、ウィリアムズやアルピーヌは、コンストラクターズ選手権で上位にいなかったため、風洞開発により多くの時間を使えている。こちらが把握していない革新を持ち込んでくるチームもあるかもしれない」と各チームのマシン開発は一様ではない、と評価した。

    そしてヴォルフは、噂話の危険性を皮肉交じりに指摘する。

    「だから、たとえメルセデスのパワーユニットが最も強力だったとしても、何も確実なことは言えない。こうした噂は常に危険だ。なぜなら、どこかの別チーム、別のパワーユニットメーカーや燃料サプライヤーが、『好都合だ。彼らが本命扱いされるのは歓迎だが、最終的にやるのは我々だ』と考えるからだ」。

    最後に、オーストリア人の代表は印象的な表現で締めくくった。

    「だから我々は、理髪店で交わされるようなゴシップには流されない」

    実際の力関係が明らかになるのは、1月26日から30日にかけてバルセロナで行われる非公開テストでマシンが走り出してからだ。それまで、この話題がクリスマスから年末年始にかけての“格好のネタ”であり続けることだけは確かだ。

  • ホンダ 2026年F1エンジンのパフォーマンスにおける「決定的要因」を特定

    ホンダ 2026年F1エンジンのパフォーマンスにおける「決定的要因」を特定

    ホンダは、F1の新たなレギュレーション時代に向けて、まったく新しいパワーユニットの開発を進めている。レッドブルおよびレーシングブルズとの関係を終え、現在は新たなワークスパートナーであるアストンマーティンF1とシナジーを組んで作業を行っている。

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治は、新世代パワーユニットにおける重要なポイントと、その運用面での鍵について、あらためて詳しく語った。

    「新しいエンジンには、排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換するMGU-Hが搭載されていません。つまり、ある程度のターボラグと付き合っていく必要があります」と渡辺康治は述べた。

    「もうひとつの課題は、エネルギー貯蔵容量をほぼ変えずに、電動モーターの出力を3倍にすることです。ここでの鍵は、エネルギーマネジメントをどれだけ効率的にできるかという点になります。これは新レギュレーションの中で、最も難しい技術課題です」

    「効率は、新しい時代のF1における決定的な要素になります。ホンダは、世界でも最先端のバッテリー技術を持っていることを誇りに思っています。この強みを最大限に活かしながら、エネルギーマネジメント性能をさらに高めていくことが重要になります」

    「また、2026年からはパワーユニットに年間1億3000万ドルのコストキャップが導入され、設計、製造、供給に関わるすべてのコストが対象になります」

    「これは非常に重大なテーマであり、技術的に大きな変化が進む中で、パワーユニットサプライヤーの働き方そのものが大きく変わることを意味しています」

    「私たちは、これらの課題をしっかりと乗り越えられると確信しています。ホンダは1964年からF1で経験を積み重ねてきました。アストンマーティンとひとつのチームとして取り組むことで、新しいF1の時代において非常に競争力のある存在になれると考えています」

    渡辺康治は、電動出力の増加が2026年型パワーユニットの設計だけでなく、マシンの使い方そのものをどのように変えていくのかについても説明した。

    「出力配分が50対50になることで、より多くの電気エネルギーをどのように効率よく生み出し、蓄え、そしてどこでどの程度使うのかを決める必要があります」

    「これは新しい話ではありません。現行のパワーユニットでも、エネルギーをどこで回収し、どこで使うかを慎重に管理する必要がありますが、2026年にはそれがさらに重要になります」

    「エネルギーの使用パターンはコーナーごとに異なり、ひとつのサーキットだけでも何千ものパターンが存在します。私たちはHRCの中で、パワーユニットから得られる2万以上のデータフロー・パラメータを管理し、最適なエネルギー使用パターンを定義するソフトウェアを自社開発してきました」

    「こうした作業は、一般の方々の注目を集めるものではありません。しかし、走行テストが制限されている現代のF1において、私たちが開発しているデジタル技術やシミュレーションは、極めて重要な役割を果たしています」

    「特に2026年は電動エネルギーの比重が高まり、回生とデプロイの管理がさらに複雑になります。これは非常に大きな技術課題であり、現時点ではおそらくプロジェクトの中で最も重要な課題です」

    本田技研工業 F1 フォーミュラ1エンジン

    ホンダは現時点で、V6ハイブリッドパワーユニットを他チームに供給する予定はない。アストンマーティンとの唯一無二のパートナーシップこそが、勝利につながると考えているためだ。

    「現時点では、他チームへの供給は考えていません。私たちはアストンマーティンとともに勝利を目指すことに集中したいと考えています。将来的に、複数チームへの供給がフィードバックの面で有益だと判断した場合には、もちろん検討することになるでしょう」

    渡辺康治は、競技面だけでなく、市販車にも波及するF1由来のシナジーという観点からも、アストンマーティンとの提携がホンダにとって重要である理由を説明した。

    「100%持続可能な先進燃料への移行は、スポーツにとって重要であるだけでなく、持続可能な社会を実現する上でも幅広い意味を持っています。グローバルな自動車メーカーとして、カーボンニュートラルはホンダにとって非常に重要なテーマです」

    「アストンマーティンとの技術提携に加えて、アラムコやバルボリンとも協力関係を結んでおり、最先端の持続可能燃料と潤滑油の開発に緊密に取り組んでいます」

    「ここでアンディが、新たにストラテジーディレクターとして関わってきます。ホンダは、レース用燃料や潤滑油で蓄積してきた知見を共有しながら、非常に先進的な技術を一緒に開発しています」

  • 2026年F1エンジン論争:圧縮比操作で15馬力向上「部品の膨張だけで可能」

    2026年F1エンジン論争:圧縮比操作で15馬力向上「部品の膨張だけで可能」

    12月中旬を迎えたが、次世代マシンはいまだ一度もコースを走っていない。最初のテストまではまだ1か月あり、マシン自体もまだ組み上がっていない段階だ。しかし、それにもかかわらず、「新しい」F1レギュレーションを巡る最初の嵐はすでに到来している。

    複数のエンジンメーカーが、新世代パワーユニットに関するあるグレーゾーンの可能性について、連盟に説明を求めたとされている。

    パワーユニット・ゲート 規定値を超える圧縮比で15馬力のアドバンテージか
    次世代エンジンが、従来世代とは根本的に異なるものになることは周知の事実であり、内燃機関(ICE)と電動部分による出力配分が50対50になることもよく知られている。

    新エンジンに加えられた数多くの変更点の中でも、特に重要なもののひとつが、シリンダーの圧縮比に関するものだ。圧縮比は18:1から16:1へと引き下げられる。

    ドイツのサイト「Motorsport Magazin」が最初に報じた情報によると、メルセデスとレッドブル・パワートレインのエンジン技術者たちは、エンジン内部のコンポーネント、特にピストンから始まる部分において、非常に巧妙な解決策を研究しているという。

    これらの部品は、特定の温度にさらされると膨張し、その結果として圧縮比が上昇し、旧世代エンジンの18:1に非常に近づくというのだ。

    同サイトによれば、そのメリットはおよそ15馬力に相当し、ラップタイムでは約0.3秒に換算されるとされている。

    メルセデスのパワーユニット
    この「トリック」のポイントは、連盟による測定がエンジン冷間時に行われている点にある。

    冷間状態では、両メーカーとも規則に適合しているが、内燃機関が高温状態になると、規定の上限を超えてしまう、というわけだ。

    この件について、Autoracerがここ数時間のうちに意見を求めたFIAは、すでにこの状況を把握しており、議論が進行中であると認めた。

    「圧縮比の上限が変更されたにもかかわらず、測定手順はこれまでと変わっていない。温度が熱膨張を通じて寸法に影響を与えるのは事実だが、現時点では高温時の測定は予定されていない。このテーマは、各コンストラクターとともに引き続き議論されている」

    あるエンジンメーカー関係者のAutoracerへの証言 「部品の膨張だけで圧縮比を16:1から18:1に引き上げるのは不可能だ」
    最近、フレデリック・バスールは、もしメルボルンであるチームがより優れた仕事によって優位に立っていたとすれば、それは問題ではないと述べていた。

    しかし同時に、「もし誰かがレギュレーションのグレーゾーンを利用していたとしたら、それはF1にとってもFIAにとっても非常に見栄えの悪い話であり、痛点になる」とも語っている。

    連盟の声明は非常に明確だ。

    圧縮比は、F1に限らず自動車産業全体において、常温で測定されるものであり、これは前世代のエンジンにおいても同様だった。

    ここで重要な類似点として浮かび上がるのが、昨シーズン大きく議論されたフレキシブルウイングの問題だ。

    すなわち、「エンジン冷間時に定められた上限を、エンジン高温時にも超えてはならない」と主張することは、「マシンが走行中であっても、すべての空力パーツが静止状態の位置を維持しなければならない」と言うのと同じ理屈になる。

    一方で、F1マシンはあらゆる瞬間においてレギュレーションを遵守しなければならない、と規則に明記されていることもまた事実だ。

    しかし、その逆を証明することがいかに困難かも、我々はよく知っている。

    重要なのは、たとえ一部のエンジンメーカーが、高温時に圧縮比が規定値を超える可能性についてFIAに説明を求めたのが事実であったとしても、それによって得られる有効出力の増加や、同一馬力での燃費改善といったメリットが考えられるとしても、ピストンやコンロッドなどの部品の変形だけで圧縮比を2ポイントも引き上げることは、極めて起こりにくいという点だ。

    とりわけ、燃焼室に近い一部の部品には極端な膨張を求めながら、他の部品にはそれほどの膨張を許容せず、しかも高い熱ストレスに耐えつつ、適切な潤滑を確保しなければならないことを考えれば、なおさらである。

    前世代の内燃機関エンジンを例に取ると、圧縮比を2ポイント引き上げるために、ホンダのようなエンジンメーカーでは2回のエンジン改修が必要だった。

    同一仕様のまま、熱膨張だけでそれを実現できると想像するのは、非常に困難であると言わざるを得ない。

    F1レギュレーション フォーミュラ1エンジン

    さらに、FIAが新V6に課している厳しい制限も考慮する必要がある。

    可変ジオメトリー吸気トランペットのような技術的ソリューションは禁止されており、燃焼室内の流れを制御することはより難しくなっている。

    これに新しい燃料が加わることで、燃焼制御の難易度は飛躍的に高まっている。

    このような状況下で、これほど大きな変化が「即座に」実現できるとは考えにくく、むしろシリンダー全体の設計思想そのものが変わってしまうだろう。

    一般的な見解として、これほど広い圧縮比レンジを持つエンジンは成立せず、はるかに狭い範囲に収まるはずであり、そうでなければ重大な副作用を伴うことになる。

    それでも、多くの関係者が強い懸念を抱いているのは、次世代メルセデス・パワーユニットの性能に対する警戒感が非常に高いためだ。

    そのため、連盟に対して最初から強い圧力をかけ、あらゆる側面をより厳格かつ細かく管理させようとする意図があると見る向きもある。

    この観点から、一部では、この問題は実際の影響に比べて(特に数値面で)大きく誇張されているのではないかとも言われている。

    いずれにせよ、FIAによる介入を極めて難しくしている要因は、パワーユニットがすでにホモロゲーションされている点にある。

    クランクシャフトはもはや変更できず、ピストンなど他の部品も、次に手を入れられるのは2027年、その次は2029年になる。

    さらに、今年からパワーユニットにもコストキャップが適用されており、開発は一定程度制限されている。

    ただし、2026年からはADUO(追加開発およびアップデート機会)が導入される。

    これは、シーズン中の3つのフェーズで各エンジンの性能を評価し、大きなギャップを抱えるメーカーに対して追加の開発機会を与える制度だ。

    最後に、新レギュレーションを担当するFIAシングルシーター部門責任者、ニコラス・トンバジスの言葉を思い出す必要がある。

    「あるチームが、FIAに説明を求めることなく、特定の解釈に基づいてソリューションを構築した場合、我々はそれを聞き入れない。誰かが曖昧な解釈の上にプロジェクトを築いたとしたら、それは彼らにとって災難になるだろう」

    今回のケースは、エンジンのアーキテクチャそのものを、あるグレーゾーンに基づいて設計したという話なのだろうか。

    パワーユニットの技術規則については、さまざまな側面でほぼ毎週のように議論が行われており、それらは少なくとも2月までは結論が出ないと見られている。