タグ: タイヤ

  • フェラーリとレーシングブルズ 2027年F1タイヤ開発テストでイモラ走行

    フェラーリとレーシングブルズ 2027年F1タイヤ開発テストでイモラ走行

    ピレリはイモラ・サーキットで2027年F1シーズンに向けたタイヤ開発テストを2日間にわたって実施し、フェラーリとレーシングブルズが走行を担当した。

    初日はルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール、2日目はアントニオ・ジョビナッツィ、リアム・ローソン、アービッド・リンドブラッドが参加。2日間で合計400周、1963kmに及ぶデータが収集された。

    ハミルトンとルクレールが初日を担当
    初日はフェラーリが2027年用プロトタイプタイヤのテストを担当。午前はルイス・ハミルトン、午後はシャルル・ルクレールがステアリングを握った。

    テストされたコンパウンドは、レンジの中で最もソフトな3種類となるC3、C4、C5。両ドライバーは各コンパウンドについて複数の仕様を試しながら5周のパフォーマンスランを行い、その後、より適切な仕様を絞り込むためにロングランを実施した。

    ハミルトンは64周、314kmを走行し、ベストタイムは1分19秒485。ルクレールは63周、309kmを走り、1分18秒832を記録した。

    初日のコンディションは厳しい暑さとなり、路面温度は最高50度、気温は32度まで上昇した。

    タイヤ F1 ピレリ

    2日目はローソンとリンドブラッドがレーシングブルズを担当
    2日目はレーシングブルズが加わり、リアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドがマシンをシェア。フェラーリからはアントニオ・ジョビナッツィが参加した。

    直近3戦でレッドブル・レーシングからF1に出場しているローソンは、午前中にC3とC4で複数のパフォーマンスランを実施。その後はC4を使用したロングランに重点を移した。

    リンドブラッドも基本的に同様のプログラムをこなし、午後にはC3とC5をテストした。

    一方、ジョビナッツィはC3だけを使用し、予選シミュレーションとロングランの両方を担当した。

    ローソンは65周、319kmを走行して1分18秒471を記録。リンドブラッドは73周、358kmを走り、今回の2日間で最速となる1分18秒454をマークした。

    ジョビナッツィは3人の中で最も多い135周を走行。走行距離は663kmに達し、ベストタイムは1分19秒894だった。2日目も路面温度は最高49度、気温は31度まで上昇した。

    アントニオ・ジョビナッツィ

    イモラで2日間合計1963kmを走破
    今回のイモラテストでは、2日間を通じて5人のドライバーが合計400周、1963kmを走行した。

    各ドライバーの走行結果は以下の通り。

    ルイス・ハミルトン:64周/314km/1分19秒485
    シャルル・ルクレール:63周/309km/1分18秒832
    リアム・ローソン:65周/319km/1分18秒471
    アービッド・リンドブラッド:73周/358km/1分18秒454
    アントニオ・ジョビナッツィ:135周/663km/1分19秒894

    なお、タイムはそれぞれ異なるタイヤ仕様やテストプログラムで記録されたものであり、ドライバーやマシンの純粋なパフォーマンス比較を目的としたものではない。

    ピレリの次回のタイヤ開発テストは10月中旬、フランスのマニクール・サーキットで予定されている。同地ではコースに備えられた人工散水システムを使用し、ウェットコンディション向けの新たなタイヤソリューションが評価される。

    イモラでの2日間は、2027年F1タイヤの候補を絞り込むための重要な走行となり、フェラーリとレーシングブルズの協力によって幅広いコンパウンドと走行条件のデータが蓄積された。

  • F1スペインGP ピレリ総括:予想以上のデグラデーション「ハードが決勝の鍵」

    F1スペインGP ピレリ総括:予想以上のデグラデーション「ハードが決勝の鍵」

    2026年F1第14戦スペインGPの初日走行を終え、ピレリは新設マドリンクで予想以上のタイヤデグラデーションが確認されたと報告した。特に左側のフロントとリアにはグレイニングが発生し、決勝ではハードタイヤが重要な選択肢になるとの見方を示している。

    金曜日は路面温度がFP2開始時に51度まで上昇し、気温も32度に達した。路面自体は非常にスムーズながらグリップレベルが高く、ピレリによれば今季ここまででも最高水準。高いグリップと高温、そしてマシンのスライドが組み合わさることで、タイヤの摩耗とデグラデーションが想定以上に進む状況となった。

    ミディアムが全周回の58%を占める
    初日に最も多く使用されたのはC3ミディアムで、全周回数の58%を占めた。オリバー・ベアマンは1セットのC3で最多となる23周を走行した。

    C4ソフトではシャルル・ルクレールが1セットで17周を走行し、同コンパウンドでの最長スティントを記録した。一方、C2ハードを使用したのはFP1のガブリエル・ボルトレトとFP2のニコ・ヒュルケンベルグのみ。ヒュルケンベルグは1分35秒746を記録し、ハードでの初日最速タイムを残した。

    FP2ではキミ・アントネッリがC4ソフトで1分33秒662をマークして初日総合トップ。シャルル・ルクレールが0.113秒差の2番手、ルイス・ハミルトンが1分33秒811で3番手に続いた。

    また、アントネッリはミディアムでも1分33秒926を記録しており、これが初日のC3最速タイムとなった。ピレリによると、ミディアムとソフトの性能差は平均約0.5秒で、事前の予想よりも小さかったという。

    左右両輪ではなく左側タイヤにグレイニング
    ピレリのチーフエンジニア、シモーネ・ベッラは、新サーキットで初めて実走データを収集できたことの重要性を強調する一方、FP2でアービッド・リンドブラッドのクラッシュによる赤旗が出たことで、決勝に向けたロングランのデータ収集が制限されたと説明した。

    「今日は完全に新しいサーキットで、我々と各チームが初めて実走データを収集できたという意味で、特に重要な一日だった」

    「残念ながらFP2の中盤に出た赤旗によってロングランの周回数と長さの両方が減り、決勝という観点では得られた情報が限られることになった」

    タイヤの状態については、左側の前後輪でグレイニングが確認されたという。

    「フロントとリアの左タイヤの両方でグレイニングが見られ、場合によってはかなり顕著だった。特にスライドしやすいマシンでは、それが摩耗を加速させる要因になっていた」

    「スティントを通じて、どのチームがより効果的にタイヤを管理できているのかという点でも、すでに違いが見え始めている」

    スペイングランプリ タイヤ

    高グリップの滑らかな路面がグレイニングを誘発
    マドリンクの路面について、ベッラは走行開始直後から予想以上に高いグリップが得られていたと説明する。

    「路面コンディションは最初から非常に良く、グリップレベルは今季ここまでで最も高い部類だった。高いグリップと非常に滑らかな路面の組み合わせによってグレイニングが発生しやすくなった」

    もっとも、走行によって路面がラバーインしていけば状況は改善するとみられており、その傾向は金曜日の段階ですでに確認されたという。

    「サーキットのコンディションが進化していけば、グレイニングは多少軽減されるはずだ。その傾向は一日を通してすでに確認できていた」

    決勝ではC2ハードが重要な選択肢
    初日のデータを踏まえ、ピレリが特に注目しているのがC2ハードだ。事前予測を上回るデグラデーションに加え、週末を通じて高温が続く予報となっているため、決勝では重要性が高まると分析している。

    「デグラデーションのレベルが当初の予想より高く、今後数日間も高温が続くと予想されていることを考えれば、ハードタイヤは決勝に向けて最も重要な選択肢になる」

    一方、土曜日の予選ではソフトタイヤをいかに早く機能させるかがポイントになる。高い路面温度によって熱による性能低下が早く始まる可能性があり、アタックラップを重ねるよりも最初のフライングラップを最大限に生かすことが求められる。

    「予選では熱によるデグラデーションが始まる前に、最初のフライングラップを最大限に生かすことが非常に重要になる。同時にトラフィックを慎重に管理する必要があり、それがこのサーキットでは決定的な要素になる可能性がある」

    マドリンクでは初日から高いグリップと予想以上のデグラデーションという特徴が浮かび上がった。路面の進化によってグレイニングがどこまで改善するかに加え、決勝でC2ハードをどう組み込むかが各チームの戦略を左右することになりそうだ。

  • F1タイヤ空気圧引き下げ案をチームが拒否 ドライバーの不満届かず

    F1タイヤ空気圧引き下げ案をチームが拒否 ドライバーの不満届かず

    2026年F1でドライバーから不満が相次いでいるタイヤの最低空気圧について、ピレリが後半戦から引き下げを可能にする規則変更を提案したものの、F1チーム側の反対によって実現しなかった。

    FIAは提案された安全対策を実施可能と判断していたが、規則変更に必要なチームの特別多数を得られなかった。The Raceによれば、現在の高い最低空気圧は2026年シーズン終了まで維持され、2027年も継続される可能性が高いという。

    2026年F1で高まるタイヤ空気圧への不満
    2026年F1でドライバーから繰り返し指摘されている問題のひとつが、ピレリによって指定される最低タイヤ空気圧の高さだ。

    高い空気圧によってタイヤから得られるグリップが低下し、マシンが扱いにくくなっているほか、コーナー進入時にはホイールロックも起こりやすくなっている。

    さらに、状況によってはタイヤを適切な作動温度まで上げることが難しく、その一方でスティントを通じてタイヤを労わることも難しくなっている。

    ハースのオリバー・ベアマンは今年のF1スペインGPで、その感覚を「風船」に例えて不満を口にしていた。

    「今はタイヤの中にものすごくたくさんの空気が入っていて、本当に悪夢だ。デグラデーションも大きいし、1周だけでもかなりオーバーヒートする」

    「右足の下にはものすごいパワーがあるのに、グリップはほとんどない。タイヤが巨大な風船みたいだからだ」

    高い空気圧はアクティブエアロの安全対策
    2026年の最低タイヤ空気圧は、サーキットの特性によって異なるものの、2025年と比較して3~4psi程度高く設定されることが多い。

    その背景にあるのが、2026年からF1に導入されたアクティブエアロダイナミクスだ。

    現在のF1マシンは、ストレートでドラッグを減らす「ストレートモード」と、コーナーでより大きなダウンフォースを発生させる「コーナーモード」を使い分ける。このダウンフォース量の変化によって、タイヤが受ける垂直荷重も大きく変動する。

    ピレリが特に警戒しているのは、アクティブエアロに故障が発生し、ウイングがコーナーモードのまま固定されるケースだ。

    高ダウンフォース状態のままストレートを高速走行すれば、タイヤには極めて大きな荷重が加わる。空気圧が低すぎれば最終的にタイヤが破損する危険性があるため、現在の高い最低空気圧はアクティブエアロ故障時に備えたフェイルセーフとして設定されている。

    ピレリが提案した「5周後にオレンジボール旗」
    ドライバーからの不満を認識していたピレリは、2026年シーズン後半から最低空気圧を引き下げることを可能にする新たな規則を提案した。

    その内容は、アクティブエアロが故障してストレートモードを使用できなくなったマシンについて、コース上を走り続けられる時間を制限するというものだった。

    具体的には、マシンがコーナーモードに固定された状態で5周走行した場合、ドライバーに黒地にオレンジ色の丸が描かれた旗、いわゆるオレンジボール旗を提示する。

    これはマシンに危険な状態や機械的問題があることをドライバーに知らせるための旗で、提示されたドライバーはピットに戻らなければならない。問題を修復できなければ、そのレースを続行することはできない。

    このルールが導入されれば、高ダウンフォース状態のマシンがストレートを長時間走り続けるリスクを排除できる。そのためピレリは、現在想定している最悪のケースを基準にタイヤ空気圧を設定する必要がなくなり、ドライバーが求めていた水準まで最低空気圧を引き下げることが可能になると考えていた。

    早ければ夏休み明け最初のレースとなるF1オランダGPから導入することも可能だったという。

    FIAは実施可能と判断もF1チームが拒否
    FIAは、ピレリが提案したオレンジボール旗を使用する方法について実施可能と判断していた。

    しかし、シーズン途中で規則を変更するにはF1のガバナンス手続き上、チームから特別多数の支持を得る必要がある。実際に協議が行われたものの、必要な支持には届かず、過半数のチームが変更に賛成しなかった。

    一部のチームは、シーズン途中で最低空気圧を変更すれば競争力に影響を与える可能性があるとして反対したとみられている。

    また別のチームからは、アクティブエアロに故障が発生しても走行を続けることが可能であれば、マシンを最後まで走らせてポイントを獲得するチャンスを残すべきだとの考えもあったという。

    新ルールではアクティブエアロが故障して5周が経過すればピットインを余儀なくされるため、本来なら走り切れる可能性があるマシンの好結果が自動的に失われることへの懸念があった。

    タイヤ F1

    ピレリ「多数派は高い空気圧の維持を決めた」
    チーム側から必要な支持を得られなかったことで、現在の高い最低タイヤ空気圧は2026年シーズン終了まで継続されることになった。さらにThe Raceは、2027年も同様の状況が続く可能性が高いとしている。

    ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラは、ドライバーが変更を求めていたにもかかわらずチームが提案に反対したことについて、「特に驚いてはいない」と語った。

    「多数派は、より高い空気圧を維持することを決めた。僕たちとしては、それで問題ない」

    「高い空気圧にしている理由がストレートモードの状況にあることは、これまで何度も説明してきた。実際には、それほど頻繁に起きる状況ではない」

    「僕たちにとっては、タイヤ空気圧を決める際にどの手順を考慮するのかという問題にすぎない。そして僕たちは、最悪のシナリオを基準にする」

    2025年水準まで引き下げることも可能だった
    ベッラによれば、オレンジボール旗を使用する新ルールが導入されていれば、タイヤ空気圧を2025年と同程度まで戻せる可能性があった。

    アクティブエアロ故障時のリスクを考慮する必要がなくなった場合、どの程度空気圧を変更できるのかと問われ、ベッラは次のように答えた。

    「かなり大きな差になる可能性がある。基本的にはサーキット次第だ。フロントとリアで、およそ1~3psiの範囲で下げられる可能性がある」

    「リアについては、さらに下げることも可能だろう」

    2026年F1の高いタイヤ空気圧は、通常走行時の要求ではなく、アクティブエアロが故障した際の最悪のケースを想定した安全策という側面が大きい。ピレリはその前提を変える具体策を提示したものの、競争力への影響や故障時のレース続行を重視したチーム側の支持を得られなかった。

    結果として、ドライバーが求めていたタイヤ空気圧の引き下げは少なくとも今季中は実現しない。ピレリが安全上の前提を変更できない以上、2027年に向けても高い最低空気圧がF1の課題として残る可能性が高い。

  • ピレリが解説 2026年F1タイヤを左右するホイール開発とドライビングスタイル

    ピレリが解説 2026年F1タイヤを左右するホイール開発とドライビングスタイル

    2026年のF1では、ダウンフォースの減少やアクティブエアロ、エネルギー回生システムの影響により、タイヤを適正な作動温度へ入れる方法が従来とは異なっている。ピレリのモータースポーツ責任者を務めるダリオ・マラフスキは、特にフロントタイヤのウォームアップが難しくなったと説明した。

    さらに、自由度が拡大されたホイールの設計は、タイヤの温度と内圧を制御する重要な開発領域となっている。

    各チームの設計思想に加え、ドライバーのステアリング操作やコーナー進入時のスタイルも、タイヤの温度と摩耗に明確な違いを生み出しているという。

    2026年型F1マシンはタイヤを温めにくい
    2026年型マシンは、2025年型よりもタイヤへ伝えるエネルギーが少ない。マラフスキは、全体的なダウンフォースの減少に加え、アクティブエアロと回生ブレーキがタイヤの熱収支を変化させていると説明した。

    「簡単に言えば、2026年型マシンは発生するエネルギーが少なく、複数の要因によってタイヤへ伝わる熱も少なくなっています」

    「まず、全体的なダウンフォース量が2025年よりも低くなっています。さらにアクティブエアロがあります。ストレートでウイングが開くとダウンフォースが減少するため、高速走行中にタイヤを路面へ押しつける力も前年より小さくなります」

    回生ブレーキの割合が増えたことも、タイヤの温度に影響している。通常のブレーキで発生する熱が減り、ブレーキディスクからホイールを介してタイヤへ伝わる熱量も小さくなるためだ。

    「エネルギー回生の影響もあります。電気モーターによる回生ブレーキでは、ブレーキディスクからホイール、そしてタイヤへ伝わる熱が少なくなります」

    「その結果、タイヤの熱的な状態は低くなり、熱収支も前年とは異なります。この点はタイヤの設計段階から考慮していました」

    2026年のタイヤは前年より小型化され、形状と材料も変更された。しかし、モナコのようにタイヤへ加わる負荷が小さいサーキットでは、依然としてウォームアップに時間が必要になる。

    モナコGPの予選では、多くのドライバーがアタックラップの前に通常より1周多い準備周回を行った。

    「モナコはタイヤへの負荷が小さいサーキットです。そのため、タイヤを温める段階に少し長い時間が必要になります」

    「C5コンパウンドの性能水準も再調整しましたが、C5はモナコだけではなく、ほかのサーキットでも使用できなければなりません。そのため、モナコGPの週末には、ほぼすべてのチームが準備周回を行いました」

    特にフロントタイヤのウォームアップが難しい
    2026年型タイヤでは、温度を維持することよりも、まず適正温度へ到達させることが課題になっている。特にフロントタイヤは、リアよりも温めるのが難しい傾向がある。

    「重要なのは、タイヤを適切な温度まで到達させることです。また、フロントとリアを分けて考える必要があります」

    「多くの場合、アウトラップで適切なエネルギー量と手順を見つけ、フロントとリアの両方を理想的な作動領域へ入れなければなりません」

    「一般的には、リアタイヤよりもフロントタイヤを適切な温度へ入れるために、より多くの作業が必要です」

    フロントを積極的に温めようとするとリアタイヤへ負担が集中する可能性があり、リアを守ればフロントが十分な温度へ到達しない場合もある。

    そのバランスはマシンのセットアップだけでなく、アウトラップ中のブレーキングやステアリング操作、ドライバーごとの準備手順にも左右される。

    ホイール設計が新たな性能開発領域
    2026年はホイール設計の自由度が拡大され、各チームが独自の形状を開発できるようになった。テレビ映像では確認しにくい部分だが、マラフスキはタイヤ性能に大きな影響を与えていると説明した。

    「ホイール設計の自由度は、チームにとって明確な開発機会です。テレビでは一般の方に見えにくい部分ですが、非常に重要です」

    「ホイールの設計は前年から大きく変化しています。中空のスポークを備えたホイールも見られます。チームによっては、それを『ポケット』と呼んでいます」

    中空スポークは、ブレーキダクト周辺の冷却空気とホイールとの間で熱交換を促進するために使われている。

    「中空スポークは、ブレーキダクトから来る冷却との熱交換を促進するためのものです。各チームがこの領域を管理する方法には違いがあります」

    「どこかのチームが優れていて、別のチームが劣っているという単純な話ではありません。異なる方法を採用しているということです」

    チームによってはタイヤを積極的に温めることを重視し、別のチームは温度の上昇を抑えることを重視する。

    「あるチームにとっての目標はタイヤを温めることかもしれません。一方、別のチームにとっては冷やすことが目標になる場合があります。それはマシンのバランスによって異なります」

    「ブレーキダクト、ブレーキドラム、ホイールの設計は、タイヤを最適な作動領域へ入れるためのエンジニアリングツールになっています」

    タイヤ F1

    低い内圧を維持できるほどグリップで有利
    F1では安全上の理由から、ピレリが走行開始時と走行中の最低内圧を指定している。チームはその範囲内で、タイヤ温度の上昇による内圧増加を抑えようとしている。

    一般的にタイヤの内圧が低いほど接地面積を確保しやすく、グリップ面では有利になる。しかし、タイヤが発熱すれば内圧も上昇するため、ロングランでは温度と内圧を適正な範囲へ保つ必要がある。

    「チームは、スタート時の内圧から安定した作動内圧へ移行するまでの上昇量を効果的に制御できます」

    「特にロングランでラップタイムの安定性を分析すると、それはホイールなどを利用して内圧を制御し、スティント全体を通して最適な領域へ保つ能力によっても決まります」

    ただし、すべてのチームが低温、低内圧を目指しているわけではない。マシンの特性によっては、タイヤを積極的に発熱させる必要がある。

    「一般論としては、低い内圧で走ることはグリップ面で有利です。しかし、レースペースやマシンの性能によっては、タイヤへ多くの熱を発生させるため、内圧を低く維持することが難しいチームもあります」

    「一方で、まったく反対の問題に直面するチームもあります。すべてのチームが同じことをしているわけではありません」

    ドライビングスタイルでも摩耗に差
    タイヤの使い方は、マシンの設計だけでなく、ドライバーのコーナー進入時の操作によっても変わる。

    マラフスキは、ターンイン時に急激なステアリング操作を行い、フロントタイヤを意図的に飽和させるドライビングスタイルを例に挙げた。

    「コーナー進入時のマシン挙動を把握しにくい問題へ対応するため、一部のドライバーはターンインの瞬間にフロントタイヤを飽和させる傾向があります」

    「フロントを飽和させるというのは、非常に急激で速いステアリング操作を行い、フロントタイヤへ瞬間的に大きな舵角を与えることです」

    フロントタイヤへ大きな舵角を与えると、マシンは一度直進しようとする。その間にリアが安定し、その後にフロントタイヤが徐々にグリップを得る。

    「マシンが最初に直進しようとすることで、リアアクスルがより安定します。そして、フロントが徐々にグリップを得る形になります」

    「このようにフロントを意図的に過飽和させるドライビングスタイルは、タイヤの摩耗と温度にも影響します」

    ピレリは各レース、各セッションでタイヤの摩耗を測定しており、ドライバーによる違いも確認しているという。

    「我々は各レース、各セッションで、各チームのタイヤを分析し、摩耗量を測定しています。実際に違いが確認されています」

    ただし、摩耗パターンはドライビングスタイルだけで決まるわけではない。アンダーステア傾向を強めたセットアップや、キャンバー角の変更もタイヤの使い方へ影響する。

    「もちろん、その違いにはセットアップ上の選択も混ざっています。すべてがドライビングスタイルだけで決まるわけではありません」

    「チームがアンダーステア傾向の強いセットアップを選択する可能性もあります。また、リアを安定させるためにフロントのキャンバー角を減らす場合もあります」

    「その結果として、摩耗パターンを通じてタイヤの使い方に違いが見られます」

    2027年も5種類 C6は導入せず
    ピレリは2027年に向けてコンパウンド開発を進めているが、ドライタイヤは現在と同じ5段階を維持する。現在のC5より柔らかいC6は追加しない方針だ。

    「コンパウンドは常に開発しています。これまでのテストですでに基礎的な作業を行い、2027年に使用する可能性がある新しい材料パッケージの土台を作りました」

    「現時点でお伝えできるのは、2027年も5段階を維持するということです。追加もしませんし、削減もしません」

    ピレリはC6の導入も検討したが、モナコGPでC5を使った予選が十分に成立したことや、C6をほかのサーキットで活用しにくいことから見送った。

    「追加コンパウンドの導入については検討し、議論も行いました。しかし、モナコではC5を使用した戦いが非常にエキサイティングでした。そのため、さらに柔らかいコンパウンドを加える必要はないと考えています」

    「仮にモナコ向けにC6を用意しても、シーズンのほかのレースでは使い道がありません」

    2027年は、各コンパウンドの性能差を明確にしながら、異なるピット戦略が成立しやすい特性を目指す。

    「来年のパフォーマンス目標に合わせ、5段階のコンパウンドを再調整します」

    「最大ラップタイムという点で5段階に明確な性能差を持たせ、それに応じてデグラデーションにも段階的な違いを設けることが目標です」

    「セーフティカーやレースの中断が発生しなければ、チームとドライバーが異なる戦略を選択できる余地を作りたいと考えています」

    ピレリは、インターミディエイトとフルウエットの間を埋める「スーパーインターミディエイト」の開発も継続している。ただし、2026年はウエットテストや雨天走行の機会が少なく、2027年に導入できるかはまだ確定していない。

    2026年のF1タイヤ性能は、コンパウンドだけで決まるものではない。ダウンフォース、アクティブエアロ、回生ブレーキ、ホイールとブレーキ冷却の設計、マシンのセットアップ、ドライバーのステアリング操作が相互に影響する。中でも、タイヤの温度と内圧を管理するホイール開発は、各チームの性能差を生み出す重要な領域となっている。

  • ピレリがバルセロナでF1タイヤテストを完了 2日間で605周を走破

    ピレリがバルセロナでF1タイヤテストを完了 2日間で605周を走破

    ピレリは、2027年シーズン用スリックタイヤ開発を目的としたバルセロナ・カタルーニャ・サーキットでの2日間のテストを終了した。

    最終日はフェラーリからアーサー・ルクレールが参加し、前日に走行した兄シャルル・ルクレールに代わってマシンを担当。キャデラックでは周冠宇が引き続きテストプログラムを消化した。

    高温コンディションでC2タイヤの評価を実施
    この日の午前中は、C2コンパウンドの異なる構造仕様を比較するプログラムが行われた。まず短距離走行で基本特性を確認し、その後ロングランでデータを収集した。

    昼休憩後は、複数のC2コンパウンド仕様について長距離走行を中心に評価を継続。路面温度は最高58℃、気温は36℃まで上昇し、タイヤ開発には厳しい条件となった。

    2027年の新世代マシン導入に向け、ピレリは構造とコンパウンドの両面から開発を進めており、今回のテストもその重要なプロセスの一環となる。

    タイヤ F1

    アーサー・ルクレールは141周を走破
    アーサー・ルクレールは141周、657kmを走行し、ベストタイムは1分17秒430を記録した。

    一方の周冠宇は130周、605kmを走破。ベストタイムは1分19秒321だった。

    今回のバルセロナテストには初日にアストンマーティンも参加しており、2日間合計では605周、2817kmの走行距離が記録された。

    次回テストはシルバーストンで開催
    ピレリの次回タイヤ開発テストは、F1イギリスGP終了直後の火曜日と水曜日にシルバーストンで実施される予定だ。

    このテストにはメルセデスとウィリアムズが参加し、今回と同様に2027年仕様のスリックタイヤ開発が続けられる。各チームの協力を得ながら、ピレリは新レギュレーション時代に向けたタイヤ性能の最適化を進めていく。

  • アストンマーティンF1含む3チームが参加 ピレリ2027年タイヤテスト初日を実施

    アストンマーティンF1含む3チームが参加 ピレリ2027年タイヤテスト初日を実施

    ピレリは6月17日(水)、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットで2027年仕様スリックタイヤの開発テストを実施した。初日のテストにはフェラーリ、アストンマーティン、キャデラックの3チームが参加した。

    高温コンディションの中で各チームは新タイヤの構造や性能を評価。フェラーリのシャルル・ルクレールが134周を走破したほか、アストンマーティンのジャック・クロフォード、キャデラックの周冠宇も開発プログラムに取り組んだ。

    2027年タイヤ開発へ向けた重要な実走テスト
    今回のテストは2027年シーズンに向けたスリックタイヤ開発を目的として実施されたものだ。

    午前中はC2コンパウンドを使用し、異なる構造仕様のタイヤを比較する8周のパフォーマンスランを実施。午後は選別された有力候補を用いてロングラン評価が行われた。

    当日の路面温度は最高57℃、気温は34℃まで上昇し、タイヤにとって厳しい条件下でデータ収集が進められた。

    シャルル・ルクレールが134周を走行
    フェラーリではシャルル・ルクレールがテストを担当し、134周・624kmを走破。ベストタイムは1分16秒619を記録した。

    アストンマーティンではF2ドライバーのジャック・クロフォードがステアリングを握り、146周・680kmを走行。ベストタイムは1分23秒709だった。

    一方、キャデラックでは周冠宇が走行を担当したが、技術的なトラブルの影響で54周・251kmの走行にとどまった。ベストタイムは1分21秒543を記録している。

    タイヤ F1 ピレリ

    2日目はアーサー・ルクレールがフェラーリを担当
    テストは18日(木)も継続される。

    2日目はフェラーリとキャデラックの2チームのみが参加予定。キャデラックでは周冠宇が引き続きステアリングを握り、フェラーリではシャルル・ルクレールに代わって弟のアーサー・ルクレールが走行を担当する。

    2027年の新レギュレーション導入に向け、ピレリは各チームの協力を得ながらタイヤ開発を進めており、今回のテストもその重要なプロセスのひとつとなっている。

    【関連】
    ・角田裕毅 レッドブルF1のTPCで2レース分を走破「まるで離れていなかったかのよう」

  • ピレリF1新責任者マラフスキに難題 カナダGPで噴出した“雨タイヤ不安”

    ピレリF1新責任者マラフスキに難題 カナダGPで噴出した“雨タイヤ不安”

    ピレリF1部門が、2026年F1カナダGPで大きなプレッシャーにさらされていた。

    決勝では懸念されていた本格的な雨には見舞われなかったが、週末を通してドライバーたちは2026年型ウェットタイヤの性能に強い不安を示していた。そんな中、長年F1部門を率いてきたマリオ・イゾラに代わり、ダリオ・マラフスキがF1オペレーション責任者に就任。新体制は厳しい船出となった。

    2026年F1ウェットタイヤにドライバーから懸念
    フランス紙『レキップ』によると、ピレリでは長年F1部門の顔だったマリオ・イゾラが前線業務から退き、新たにエンジニアのダリオ・マラフスキがF1オペレーションを統括する体制へ移行した。

    しかし、その新体制はモントリオールでいきなり難題に直面していた。

    2026年F1レギュレーション下でのウェットタイヤ性能について、パドックではドライバーたちから不安の声が相次いでいたからだ。

    ジョージ・ラッセルはタイヤ性能への懸念を率直に語っていた。

    「ドライバーたちはタイヤが十分ではないと感じている」とジョージ・ラッセルはコメント。

    「このタイヤは温度が入っている時しか機能していないように感じる」

    「明日は気温が12〜13度程度しかないので、本当に厳しい状況になると思う」

    フェルナンド・アロンソも、レースそのものが“完走サバイバル”になる可能性を示唆していた。

    「ただでさえドライでもグリップが低いサーキットだ。だから全員にとって完走するだけでも難しいレースになると思う」とアロンソは語った。

    さらに、今年ピレリのウェットテストを担当したアイザック・ハジャーは、より踏み込んだ見解を示していた。

    「このタイヤは22台でレースをするために作られていないと思う」とアイザック・ハジャーはコメント。

    「グリップがなく、適正温度に持っていくのが本当に難しい」

    結果的に決勝は大雨にはならなかったものの、2026年型マシンとタイヤの組み合わせに対する不安は、週末を通してパドック全体に広がっていた。

    ピレリは2026年型マシンの急速進化にも警戒
    一方でピレリは、2026年型マシンの急激な進化にも神経を尖らせていた。

    ピレリのシモーネ・ベラは、各チームのアップグレードによってタイヤへの荷重が急速に増加している状況を注視していると説明した。

    「我々は次のイベントに非常に集中している。状況を監視している」とシモーネ・ベラは語った。

    ベラによれば、モナコGP後のスペインGPが、新世代マシンの進化速度を測る最初の重要な基準になるという。

    「現時点では、まだ我々にも見えていない部分が多い」

    「ここでも大きなステップがあると思うし、バルセロナでもさらに進化があると思う」

    また、ピレリ側が2027年F1レギュレーションに向けてダウンフォース削減を求めているとの見方については否定した。

    「正直に言って、我々も私自身もダウンフォース削減を求めたことはない」とベラは強調した。

    それでも、F1ではすでに2027年に向けたPU、シャシー、空力規則の議論が始まっており、ピレリには迅速な対応が求められている。

    「我々は非常に早くターゲットを定義し、最初の数戦に素早く対応する必要がある」とベラは説明。

    「もし変更が必要なら、次回のテストでその変更を実施しなければならない」

  • F1タイヤテストで再燃 ニュルブルクリンク復帰をドライバーが要望

    F1タイヤテストで再燃 ニュルブルクリンク復帰をドライバーが要望

    ドイツのニュルブルクリンクで実施されているピレリのタイヤテストを背景に、現役F1ドライバーが同サーキットのカレンダー復帰を望む声を上げた。

    ジョージ・ラッセルとオスカー・ピアストリは2027年タイヤ開発プログラムの一環として走行に参加し、限られた走行機会の中でもコースの魅力と歴史的価値を改めて強調した。

    限られたテスト機会とドライバーの本音
    現在のF1ではテスト機会が厳しく制限されており、今回の走行もタイヤ開発のみに限定されている。

    「F1は走行機会が少ないから難しいが、それがルールだ」とラッセルは語った。

    「本当はスタート練習をたくさんやりたいが、それも許されていない」

    ピアストリも制約を認めつつ、その価値を強調した。

    「レースウイークや実戦とは全く同じではないが、それでも何もないよりはいい」

    ニュルブルクリンクの魅力と“ドイツ不在”
    両ドライバーはテストの本来目的を超え、ニュルブルクリンクそのものへの評価にも言及した。

    「今朝の走行は本当に楽しかった。このコースが大好きだ。ノルドシュライフェも数周走ったが、本当に気に入っている。伝統的でオールドスクールなサーキットだ」とラッセルは語る。

    「いまF1はドイツでレースをしていないが、いつかここでまた開催できたらいい。メルセデスにとってもカレンダー復帰は良いことだと思う」

    ピアストリも同様に、このコースの特性を高く評価した。

    「素晴らしいサーキットだ。最後にレースしたのは2019年だが、バンプや独特の縁石があって非常に特徴的だ」

    「ミスの許容範囲がほとんどなく、グラベルや芝生がすぐそこにある。いくつかのセクションは非常に難しく、現代のF1マシンではコースがかなりコンパクトに感じる」

    タイヤ F1 ニュルブルクリンク

    F1復帰への現実的な距離感
    ニュルブルクリンク復帰についてピアストリは慎重ながらも前向きな姿勢を示した。

    「もちろんだ。個人的に一番好きなコースではないが、とても興味深くユニークだ」

    「高低差も大きく、この場所の歴史も重要だ。レーサーはこういうオールドスクールなサーキットを好む」

    「縁石やランオフエリアも含めて、うまく走れたときの満足感は大きい。復帰すれば良いが、どうなるかは分からない」

    現在のF1カレンダーにドイツGPは存在せず、復帰には政治的・商業的なハードルも多い。ただし、現役ドライバーのこうした発言は、伝統サーキット再評価の流れを示す一端とも言えそうだ。

  • ピレリF1 ニュルブルクリンクでタイヤテスト開始 ラッセル最多127周

    ピレリF1 ニュルブルクリンクでタイヤテスト開始 ラッセル最多127周

    ピレリが主催するタイヤ開発テストが4月14日、ニュルブルクリンクで始まった。初日はオスカー・ピアストリがマクラーレン、ジョージ・ラッセルがメルセデスから参加し、ウエットコンディションで始まった1日を通じてプログラムを消化した。

    夜通し降った雨の影響でコースは朝の時点で濡れており、当初予定されていたスリックタイヤでの走行開始は見送られた。その後、路面状況の改善を待って走行が本格化し、C3コンパウンドを使った複数の構造バリエーションの比較評価が進められた。

    雨で始まった初日 スリックでのプログラムは遅れて開始
    ピレリがニュルブルクリンクで実施している開発テスト初日は、インターミディエイトタイヤでの数周のインスタレーションラップからスタートした。

    夜のあいだ降り続いた雨によってコースは濡れた状態のままで、午前の後半には薄日が差したものの、ドライバーたちは路面状況が改善するまで待機することになった。そのため、当初予定されていたスリックタイヤでのプログラムは、予定より遅れて始まった。

    C3の構造違いを比較 有望案はロングランで確認
    プログラム前半では、マクラーレンのオスカー・ピアストリとメルセデスのジョージ・ラッセルが、それぞれ8周のランを複数回行い、C3コンパウンドで複数の構造バリエーションをテストした。

    その後、より有望と判断された仕様については、午後遅くにラッセルがより長い距離で評価を担当し、実戦に近い走行距離のなかで挙動の確認が行われた。

    一方で、ピアストリの車両には技術的な問題が発生し、昼休み以降からセッション終盤近くまでガレージにとどまる時間が続いた。

    タイヤ F1

    ラッセルは127周を走破 2日目はノリスとアントネッリが担当
    路面温度は日が当たる区間で37度まで上がったが、気温は終日15度を超えなかった。

    ベストタイムはピアストリが1分35秒096、ラッセルが1分33秒899を記録した。走行距離はピアストリが65周で合計335キロ、ラッセルが127周で654キロだった。

    テストは15日に2日目を迎え、最終日はマクラーレンからランド・ノリス、メルセデスからアンドレア・キミ・アントネッリがステアリングを握る予定となっている。

  • ピレリF1 マイアミ&カナダで最も柔らかいタイヤ選択 C3〜C5を投入

    ピレリF1 マイアミ&カナダで最も柔らかいタイヤ選択 C3〜C5を投入

    F1は中東ラウンド中止による約5週間の中断期間を経て、5月のマイアミGPでシーズンを再開する。これに向けてピレリは、マイアミおよびカナダGPで使用するタイヤコンパウンドを発表し、両戦で最も柔らかいレンジを採用することを明らかにした。

    選択されたのはC3・C4・C5の3種類で、それぞれハード、ミディアム、ソフトとして運用される。2026年シーズンにおけるタイヤ戦略の方向性とともに、各サーキット特性に合わせた狙いが浮かび上がっている。

    マイアミとモントリオールで共通する“ソフトレンジ”の意図
    ピレリは、マイアミ・インターナショナル・オートドロームおよびモントリオール市街地サーキットの両方で、最も柔らかいコンパウンドであるC3〜C5を投入する。

    マイアミは路面が非常に滑らかで摩耗が少ない特性を持ち、高温環境による熱的デグラデーションが支配的となる。一方で、過去の傾向ではタイヤの劣化は比較的抑えられており、スティント序盤にはドライバーが制限なくプッシュできることで、コース上でのバトル増加につながっていた。

    こうした背景から、ピレリは今回もソフトレンジを採用することで、グリップレベルを最大化しつつレース序盤の攻防を活性化させる狙いを持っている。

    カナダは低摩耗+強い減速ゾーンへの対応
    続くカナダGPでも同様にC3〜C5が使用されるが、その理由はやや異なる。

    モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは、路面の粗さが小さく摩耗が少ない一方で、強いブレーキングを伴う減速ゾーンが多い。ピレリは「強い減速が求められる区間で十分なグリップを確保するため」として、ソフト寄りの選択を行ったとしている。

    また、開催時期が前年より前倒しされていることもあり、天候の変動が戦略に与える影響も無視できない要素となる。

    C6消滅と戦略傾向の変化
    2025年シーズンにはカナダGPでC6タイヤが投入されていたが、このコンパウンドはシーズン終了とともにラインナップから外された。

    当時は理論上ソフトとして位置付けられていたC6が戦略上ほとんど使用されず、実質的にはハードとミディアムによる2ストップ戦略が主流となっていた。今回のC3〜C5構成は、その反省も踏まえた現実的な選択といえる。

    再開初戦から“戦えるタイヤ”を重視
    シーズン再開直後の2連戦において、ピレリはあえて攻めたコンパウンド選択を行った。

    滑らかな路面と低摩耗特性を持つ2つのサーキットに対し、グリップ重視のタイヤを投入することで、レース展開の活性化を狙う意図は明確だ。中断明けのリスタートという文脈も含め、序盤からの激しいバトルと戦略の多様化が期待される。

    F1 タイヤ マイアミグランプリF1 タイヤ カナダグランプリ