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  • ホンダF1 折原伸太郎 オーストリアGPは高地攻略が鍵「FP1で挙動を確認」

    ホンダF1 折原伸太郎 オーストリアGPは高地攻略が鍵「FP1で挙動を確認」

    2026年F1第8戦オーストリアGPが、6月26日(金)からレッドブル・リンクで開幕する。大会は通常フォーマットで実施され、初日にフリー走行1回目(FP1)とフリー走行2回目(FP2)、27日(土)にフリー走行3回目(FP3)と予選、28日(日)に決勝レースが行われる。

    ホンダF1は大会開幕を前に、トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎が、レッドブル・リンク特有の環境や2026年パワーユニットに求められる対応について説明した。

    高地サーキットでターボ制御が重要に
    レッドブル・リンクは標高の高い山岳地帯に位置するため、他のサーキットと比べてターボチャージャーへの負荷が大きいことで知られている。

    折原は、2026年レギュレーションではMGU-Hが廃止されたことで、高地でのパワーユニット運用がこれまで以上に難しくなっていると説明した。

    「今週末の舞台となるレッドブル・リンクは標高の高い山岳地帯に位置しており、他のサーキットと比べてターボチャージャーへの負荷が大きくなります。昨年まではMGU-Hがターボチャージャーをアシストしており、エネルギー回生にも貢献していました。しかし、MGU-Hが廃止された2026年レギュレーションでは、高地でターボチャージャーとエンジンを最適な状態で機能させることがこれまでより難しくなります」

    さらに、最初の走行となるFP1では各システムの状態を慎重に確認するとともに、高温が予想される週末では冷却性能も重要なテーマになると語った。

    「まずはFP1で、それぞれの挙動を確認していきます。気温が高いレースウィークになることが予想されており、冷却も重要な要素となります」

    ホンダ F1 オーストリアグランプリ

    ストレート区間でPU性能が試される週末
    折原は、レッドブル・リンクは全長こそ短いものの、3本の長いストレートを持つレイアウトであるため、パワーユニットへの負荷が大きいサーキットだと指摘した。

    そのうえで、ライバルメーカーとの戦いは厳しくなると認めつつも、エネルギーマネジメントやドライバビリティの最適化によって性能を引き出していく考えを示した。

    「また、このサーキットは全長こそ短いものの、3本の長いストレートを備えており、パワーユニットへの負荷が大きいのも特徴です。ここでも他のPUマニュファクチャラーとの戦いは厳しいものになることが予想されますが、性能を最大化するために、エネルギーマネジメントやドライバビリティを最適化していきます」

    高地と高温という厳しい条件が重なるオーストリアGPは、2026年型パワーユニットの実力が試される重要な一戦となる。ホンダはFP1で得られるデータをもとに最適なセッティングを探り、週末を通して性能の最大化を目指す。

    【関連】
    ・F1オーストリアGP テレビ放送時間・配信日程(フジテレビNEXT・FOD)

  • ホンダF1が声明 「期待した結果ではないが団結して前進する」

    ホンダF1が声明 「期待した結果ではないが団結して前進する」

    ホンダは、アストンマーティンとの2026年F1プロジェクトについて声明を発表し、「期待した結果ではない」と現状を認めた。

    アストンマーティンは開幕から苦戦が続き、スペインGPではフェルナンド・アロンソがパワーユニットトラブルでリタイア。それでもホンダは「団結し、集中力を保ち、前進し続ける」と強調し、今後の巻き返しに向けた姿勢を示した。

    ホンダが現状を率直に認める
    アストンマーティンとホンダは2026年の新レギュレーション導入に合わせて本格的なパートナーシップを開始したが、シーズン序盤から厳しい戦いを強いられている。

    モナコGPではアロンソが今季初ポイントを獲得したものの、AMR26の根本的な課題は依然として解決されていない。空力性能や車体バランス、そしてパワーユニットを含む複数の要素が競争力不足の要因となっている。

    スペインGPではアロンソがパワーユニットトラブルによって母国レースをリタイア。チームの苦境が改めて浮き彫りとなった。

    こうした状況のなか、HRC UKは声明を発表した。

    「アストンマーティンとともに戦うなかで、現在のサーキットでの結果は私たちの期待に達していない」

    ホンダは期待通りの結果を得られていないことを認めながらも、開発への取り組みに揺らぎはないと強調した。

    「私たちの集中力は依然として完全なものだ」

    渡辺康治社長が英国拠点を訪問
    声明によると、HRCおよびHRC UKの社長を務める渡辺康治氏は英国ミルトンキーンズの拠点を訪問し、現場で働くスタッフたちと直接対話を行った。

    ホンダは日本のさくら研究所と英国ミルトンキーンズの拠点が一体となって開発を進めていることを改めて強調している。

    「F1における進歩は新たな発見だけによって生まれるものではない。エンジニアや技術者たちが積み重ねる何千時間もの努力によっても実現される」

    「私たちは日本のさくらと英国ミルトンキーンズを結ぶ一つのグローバルチームだ」

    現場への支援と開発体制への信頼を示すことで、ホンダは苦境のなかでも着実に前進していることをアピールした。

    ホンダ・レーシング 渡辺康治

    巻き返しへ向けて結束を強調
    ホンダは声明の最後で、現在の苦戦にもかかわらず組織全体の結束が揺らいでいないことを強調した。

    「私たちは団結し続け、集中力を保ち、前進し続けている」

    アストンマーティンとホンダは今後投入されるアップデートや、パワーユニット性能調整策として導入が予定されているADUO制度による改善に期待を寄せている。

    ただし、現状のAMR26にはパワーユニットだけでなくシャシーや空力面を含む複数の課題が残されており、一朝一夕で状況が好転するわけではない。

    それでもホンダは、かつてハイブリッド時代初期の苦戦を乗り越え、レッドブル・レーシングとともに世界タイトルを獲得した経験を持つ。今回の声明でも現状を率直に認めながら、長期的な視点で改善を続ける姿勢を鮮明にした。

    開幕から7戦でアストンマーティンは2台合計9回のリタイアを喫しているが、ホンダはなおチームとの結束を強調しており、夏以降の巻き返しに向けて開発を継続していく構えだ。

  • ホンダPUアップデートに遅れ? アストンマーティンF1反攻計画に誤算

    ホンダPUアップデートに遅れ? アストンマーティンF1反攻計画に誤算

    アストンマーティンF1が今季後半戦の巻き返しに向けて準備している大型アップデートに、新たな懸念材料が浮上した。英BBCによると、マシン側の大規模な空力アップデートに対し、ホンダ製パワーユニット(PU)の改良投入は大幅に遅れる可能性があるという。

    今季のアストンマーティンはグリッド後方で苦戦が続いており、チームはエイドリアン・ニューウェイ主導で事実上の“Bスペック”ともいえる大規模刷新を進めている。

    アストンマーティンは全面刷新を計画
    バルセロナ・カタルーニャGPでダブルリタイアに終わったアストンマーティンは、現行AMR26の競争力不足を認めている。

    チーフトラックサイドオフィサーのマイク・クラックはチームの方向性について次のように語った。

    「我々にはリーダーがいて、その決断にコミットしている」

    これはエイドリアン・ニューウェイが主導する開発計画を指しているとみられる。

    チーム関係者は新パッケージを“Bスペック”とは呼んでいないものの、マシンの特性を大きく変えるレベルのアップデートになるとみられている。

    チームアンバサダーのペドロ・デ・ラ・ロサも改善の必要性を認めている。

    「すべてを改善しなければならない」

    また、フェルナンド・アロンソもバルセロナで厳しい現状を率直に語っていた。

    「僕たちはエンジンが悪い。おそらく最悪だ。空力も良くないし、エネルギーマネジメントも良くない」

    空力アップデート先行 ホンダPUは8月投入か
    BBCによると、最も大規模な空力アップデートは7月のベルギーGPで投入される見込みだ。

    フロアやボディワークなどの主要な空力パーツが更新され、まずはマシン性能の底上げが図られるという。

    しかし、ホンダが開発を進めているパワーユニット側の改良については、夏休み明けのオランダGPまで投入がずれ込む可能性があると報じられている。

    その場合、ベルギーGPとハンガリーGPでは新空力パッケージのみを使用し、オランダGPでようやく完全版アップデートが揃うことになる。

    アストンマーティンは現在、下位グループでの戦いを強いられており、チーム内部ではパワーユニット性能差によるタイムロスも課題として認識されている。PU改良の投入が遅れれば、巻き返し計画にも影響を及ぼしかねない。

    ホンダF1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソの決断を左右する重要な夏
    今回のアップデートは単なる性能向上策ではなく、チームの開発体制そのものを評価する試金石でもある。

    アストンマーティンは2023年や2024年にも大型アップデートを投入したが、期待した成果を得られず、一部仕様を撤回した経験がある。そのため今回のパッケージが実際に機能するかどうかは、ファクトリーとサーキットの相関性が改善されたかを示す重要な指標となる。

    さらに、その結果はフェルナンド・アロンソの将来にも関係してくる。

    BBCは、もしアストンマーティンが十分な改善を実現できなければ、アロンソが今後について再考する可能性があると伝えている。

    来月45歳を迎えるアロンソは、これまで何度もプロジェクト再建に挑んできた。しかし今季のような苦戦が続く状況を再び受け入れる考えはないとみられている。

    アストンマーティンの反攻計画、そしてアロンソの将来。その両方の行方を占う重要な夏が近づいている。

  • ホンダF1 RA273参戦60年 タミヤと“1/1×1/12”特別展示

    ホンダF1 RA273参戦60年 タミヤと“1/1×1/12”特別展示

    ホンダは、F1参戦60年を記念した特別展示「TAMIYAとHondaの世界展」をホンダコレクションホールで開催している。期間は2026年3月14日から7月12日までで、歴史的マシンと精密模型を通じて両社のものづくりの魅力を紹介する内容となっている。

    1964年に日本メーカーとして初めてF1へ挑戦したホンダは、参戦2年目の最終戦メキシコGPで初優勝を達成。その後、1966年イタリアGPでデビューしたRA273が今回の展示の主役となる。

    一方、タミヤも1968年にドイツのトイショーへ日本企業として初出展し、「1/12 Honda F1」で世界的な評価を得た。両社は同時期に世界へ挑戦した共通点を持つ。

    展示では、実車のRA273に加え、タミヤによる1/12スケールの精密モデルを並べて公開。「1/1」と「1/12」の対比により、実車の迫力と模型の緻密さを同時に体感できる構成となっている。また、模型は完成品だけでなく部品状態でも展示され、製作過程の精巧さも確認できる。

    さらに会場には、1992年のマクラーレン・ホンダ MP4/7も展示。アイルトン・セナがドライブした名車とともに、ホンダF1の歴史を多角的に振り返る内容となっている。

    展示はホンダコレクションホール3階中央エリアで開催されており、期間中は展示車両が変更される可能性もあるとしている。

    ホンダ F1 タミヤ

  • 【解説】 ホンダにとって“運命の判定” F1カナダGP後に下されるADUO評価の仕組み

    【解説】 ホンダにとって“運命の判定” F1カナダGP後に下されるADUO評価の仕組み

    2026年F1カナダGPは、単なるシーズン第5戦ではない。ホンダにとっては、新世代パワーユニット(PU)の競争力がFIAによって初めて正式評価される“最初の審判の日”になる可能性がある。

    2026年から導入された新制度「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」では、FIAが各PUメーカーのICE(内燃エンジン)性能を数値化し、一定以上遅れているメーカーに対して追加開発を認める仕組みを採用している。

    その判定基準となるのが、「ICE Performance Index(ICE性能指数)」だ。これは単なる最高速比較ではなく、実戦でのICE性能を総合的に数値化するFIA独自の評価システムであり、2026年F1の勢力図を左右する極めて重要な指標として注目されている。

    ICE Performance Indexは何を見ているのか
    ICE Performance Indexは、PU全体ではなく“ICE単体の競争力”を評価するための指標だ。

    FIAはTechnical Regulations Appendix C5の中で、以下のデータをもとに指数を算出すると説明している。

    ■ エンジン回転数
    ■ 入力シャフトトルク
    ■ MGU-K出力
    ■ ラップタイムへの出力影響度
    ■ エネルギー効率

    重要なのは、これが単純な“馬力ランキング”ではないという点だ。

    2026年PUは電動比率が50%近くまで高まっているため、単にピークパワーだけではなく、加速時のトルク特性、エネルギー回生との連携効率、高速域での伸び、出力持続性まで含めて評価されるとみられている。

    つまりFIAは、「どのメーカーのICEが実戦で本当に速いのか」をデータベース化しようとしているのである。

    ホンダにとってカナダGPが重要な理由
    2026年シーズンの第1評価期間は、以下の5戦で構成される。

    ■ オーストラリアGP
    ■ 中国GP
    ■ 日本GP
    ■ マイアミGP
    ■ カナダGP

    FIAはこの5戦のデータをもとにICE Performance Indexを算出し、カナダGP終了後2週間以内に各PUメーカーへ結果を通知する予定だ。

    つまりカナダGPは、“最初のADUO判定が締め切られるレース”という意味を持つ。

    特にモントリオールは、長い全開区間と低速立ち上がりが連続するサーキットであり、ICE効率やエネルギーマネジメント性能が露呈しやすい。加えて、強い加速性能と回生制御の完成度も問われるため、2026年型PUの総合力が見えやすいコースでもある。

    そのため、このレースのデータはICE Performance Indexにも少なからず影響を与えるとみられている。

    “2%ライン”がF1政治の焦点に
    ADUOは、トップICEから2%以上遅れていると判定されたメーカーに追加開発を認める制度だ。

    遅れ幅に応じて、追加ホモロゲーション回数は変化する。

    ■ 2〜4%遅れ
    → 当年1回+翌年1回の追加開発

    ■ 4%以上遅れ
    → 当年2回+翌年2回の追加開発

    さらに重要なのが、追加コストキャップ枠までセットで付与されることだ。

    つまりADUOは単なる“開発許可”ではなく、「追加予算込みの救済制度」として機能する。

    そのため現在のF1では、“2%ライン”が極めてセンシティブな数字になっている。

    仮にホンダが「1.9%遅れ」なら救済なし。しかし「2.0%遅れ」なら追加開発権と追加予算を獲得できる。

    つまり、“少し遅れている方が有利”という逆説的な状況すら生まれている。

    ADUOで認められる追加開発の範囲
    ADUO対象に認定されたメーカーは、通常のホモロゲーション制限を超えて追加アップグレードを行うことができる。

    対象範囲は非常に広い。

    ■ ICE本体
    ■ 排気システム
    ■ ターボチャージャー
    ■ ウエイストゲート/ポップオフ
    ■ ERS関連システム
    ■ MGU-K
    ■ 冷却系
    ■ 制御電子系
    ■ センサー類
    ■ 油圧機能
    ■ 作動液
    ■ バラスト

    つまりADUOは、「エンジン本体を少し直せる」だけの制度ではない。燃焼効率、ターボ効率、電動回生、熱管理、制御ソフト、信頼性対策まで幅広く手を入れられる可能性がある。

    ホンダにとっては、振動対策や出力制御、ERSとの協調、冷却効率の改善など、開幕から課題とされてきた領域に開発余地が生まれる点が大きい。

    ただし、ADUOの開発権はシーズン内で累積されない。最初に対象と認定された時点で付与されるものであり、使わなかった分を翌年へ持ち越すこともできない。

    ホンダ F1パワーユニット(エンジン)

    追加予算は最大1100万ドル(約20億3500万円)
    ADUOが重要なのは、単に「開発してよい」という許可だけでなく、コストキャップ上の追加支出枠も認められる点にある。

    ICE Performance Indexでトップからどれだけ遅れているかに応じて、PUメーカーには以下の追加予算枠が与えられる。

    ■ 2〜4%遅れ
    → 最大300万ドル(約5億5500万円)

    ■ 4〜6%遅れ
    → 最大465万ドル(約8億6025万円)

    ■ 6〜8%遅れ
    → 最大635万ドル(約11億7475万円)

    ■ 8〜10%遅れ
    → 最大800万ドル(約14億8000万円)

    ■ 10%以上遅れ
    → 最大1100万ドル(約20億3500万円)

    さらに2026年に限っては、10%以上の大きな遅れがあるメーカーに追加支援が提供される可能性もある。

    FIAシングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジスは、この制度について「ADUOはBoP(Balance of Performance)ではない」と強調している。

    「メーカーが突然、より多くの燃料流量や軽い重量を与えられるわけではない。これはコストキャップ救済メカニズムだ」

    トンバジスはそう説明した。

    さらに、「遅れているメーカーに“ブラウニーポイント”を与える魔法の制度ではない」とも語っている。

    「メーカーは依然として最高のエンジンを作らなければ勝てない。ADUOは、Technical Regulationsの枠組みの中で、パワーユニットを開発するための余地を与えるものだ」

    つまりFIAの狙いは、“性能均一化”ではなく、“競争不能レベルの差”を固定化させないことにある。

    特に2026年は完全新規PU時代の初年度であり、ホンダ、アウディ、レッドブル・パワートレインズ・フォードなど、新たな体制で挑むメーカーも多い。そのためFIAは、開幕時点の差が数年間固定化される事態を避けようとしている。

    ホンダは“救済対象”になるべきなのか
    2026年のホンダPUには、振動問題、制御系の未成熟、エネルギーマネジメント効率不足など複数の課題が指摘されてきた。

    マイアミGPでは、フェルナンド・アロンソが“コンマ5秒規模のロス”を抱えていたとも報じられており、さくらの施設では現在も対策が続けられているとされる。

    だからこそ、カナダGP後のADUO判定は極めて重要だ。

    もしホンダがADUO対象になれば、追加ホモロゲーションと追加予算を得た上で、後半戦へ向けて大規模改善を進められる可能性がある。

    一方で、“ギリギリ対象外”になった場合は最も苦しい。改善の必要性を抱えながら、開発制限だけは維持されるためだ。

    2026年F1において、ICE Performance Indexは単なる技術指標ではない。それは、開発自由度、政治的立場、シーズン後半の勢力図まで左右する“新たな戦場”になろうとしている。

    そして、その最初の判定がカナダGP後に下される。ホンダにとって2026年F1カナダGPは、単なる1戦ではなく、“今季の未来”を左右する評価レースになる可能性がある。

  • ホンダ EV関連損失1.4兆円で4239億円赤字 北米計画見直し

    ホンダ EV関連損失1.4兆円で4239億円赤字 北米計画見直し

    ホンダは5月14日に発表した2026年3月期決算で、EV市場環境の急変を受けて四輪電動化戦略を大幅に見直したことを明らかにした。

    北米向けEVモデルの開発中止や製造終了、中国市場での商品計画修正などにより、EV関連損失は総額1兆4536億円規模に達した。営業損益は4143億円の赤字、最終損益も4239億円の赤字へ転落している。

    EV市場失速で戦略を全面修正
    ホンダは決算資料の中で、EV市場環境が「日々激しく変化し、先行きが不透明な状況」と説明した。

    特に米国では、EV補助金見直しや化石燃料規制の緩和によってEV市場の拡大スピードが鈍化。販売奨励金の増加やEV販売台数の減少が進み、中国市場では新興EVメーカーとの競争激化が進行しているという。

    こうした状況を受け、ホンダは北米で生産予定だった一部EVモデルについて、上市および開発中止を決定。共同開発していたEVモデルについても製造終了や生産台数削減に踏み切った。

    さらに2026年3月12日には、四輪電動化戦略そのものを見直し、追加のEV計画停止を決断したことも開示している。

    “1兆円超”のEV関連損失
    今回の決算で最大の焦点となったのは、EV関連損失の規模だ。

    ホンダは売上原価に1兆479億円、研究開発費に3978億円、持分法投資損益に1241億円などを計上。EV関連損失は総額1兆4536億円に達した。

    特に大きかったのは、北米EV計画の中止に伴う減損処理だ。

    北米EV向け製造設備や開発資産について、ホンダは「売却および他への転用は困難」と判断。回収可能価額をゼロ評価とし、5213億円の減損損失を計上した。

    加えて、上市前に開発中止となったEVモデルに関連する開発資産についても3314億円の除却損失を計上している。

    関税と米国政策転換も直撃
    決算資料では、米国政府の政策転換も重要な要因として挙げられている。

    ホンダは、関税やEV税制優遇措置廃止、排出規制緩和などによって経済合理性が大きく変化したと説明。不利な契約に対する引当金として1062億円を計上した。

    さらに、部品供給契約や業務提携契約に関する補償費用などを含む引当金として5610億円を計上。EV戦略見直しがサプライチェーン全体へ波及している実態も浮き彫りとなった。

    それでもホンダは黒字回復を予想
    一方でホンダは、2027年3月期には黒字回復を見込んでいる。

    通期見通しでは、営業利益5000億円、親会社株主に帰属する当期利益2600億円を予想。EV関連損失についても、2026年3月期の1兆4536億円規模から5000億円規模へ縮小する見通しを示した。

    今回の決算は、世界的なEV市場減速と政策転換が、自動車メーカーの戦略をいかに大きく揺さぶっているかを象徴する内容となった。

  • ホンダF1「後退と復活」は文化?繰り返される浮き沈みの歴史

    ホンダF1「後退と復活」は文化?繰り返される浮き沈みの歴史

    2026年シーズン序盤、アストンマーティンとホンダの新体制は厳しいスタートを強いられている。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは開幕から後方に沈み、完走すら難しいレースが続いている。

    しかし、こうした苦戦はホンダにとって初めての出来事ではない。過去にも同様の低迷を経験しながら、そのたびに競争力を取り戻してきた歴史がある。現在の状況は、その“後退と復活”のサイクルの一部に過ぎないのか――。

    「一度落ちてから戻る」ホンダのサイクル
    元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティン・ホンダにフェルナンド・アロンソというスペイン人ドライバーが所属している現状にも触れつつ、モータースポーツにおけるスペイン勢の存在感を語った。

    「これはスペイン人にとっては痛いことだろう。ただ、彼らは非常に強い存在だ。カルロス・サインツもいるし、MotoGPではグリッドのほとんどがスペイン人だ。モータースポーツでの存在感は非常に大きい」

    そのうえで本題に入り、ホンダの現状について次のように続けた。

    「アストンマーティンに話を戻すと、ホンダがどうしてここまで厳しい状況にあるのかは正直分からない」

    「おそらく旧レギュレーションの段階でプロジェクトを止めて、人員を入れ替え、ゼロからやり直したのだと思う」

    「ゼロからのスタートというのは、すべてを学び直すことを意味する」

    旧体制との断絶 新チームによる再出発
    現在の苦戦について、シュタイナーは組織構造の変化にも言及する。

    「レッドブルとともに4度のタイトルを獲得した体制があったが、あのチームはすでに別の場所にある」

    「以前のスタッフはレッドブル側に残り、新しいチームが立ち上がり、新しい技術に取り組んでいる」

    「紙の上では大きな違いがないように見えても、このプロセスは決して簡単ではない」

    MotoGPでも見られた浮き沈み
    さらにシュタイナーは、ホンダの浮き沈みが他カテゴリーでも見られると指摘する。

    「MotoGPでも同じことが起きた。マルク・マルケスとともにすべてを勝ち取ったあと、一気に競争力を失った」

    「外から見ると非常に奇妙に感じる」

    「日本の組織は外部からは見えにくい部分が多い」

    そのうえで、ホンダの本質についてこう語った。

    「だが彼らは挑戦を続ける。そして最終的には必ず競争力を取り戻す」

    「ホンダは毎回、一度後退してからまた上がってくる。それを繰り返している」

    「おそらくこれは彼らの文化の一部なんだろう」

    ホンダ F1 本田技研工業

    マクラーレン後の復活が示す再現性
    シュタイナーは過去の具体例として、マクラーレンとの決別後の流れを挙げた。

    「マクラーレンがホンダと別れたとき、誰も彼らを欲しがらなかった」

    「だがどうなった?2年後にはチャンピオンになっていた」

    「これは本当に驚くべきことだ」

    そして、現在の状況にも同じ構図が当てはまると示唆する。

    「彼らは必ず戻ってくる。ただし、それを簡単にはやらない」

    問われるのは時間とプロセス
    アストンマーティンにとって現状は厳しく、結果も伴っていない。しかしその裏側には、組織再編と技術刷新という不可避のプロセスがある。

    ホンダはこれまでも、後退と復活を繰り返してきた。その歴史を踏まえれば、現在の苦戦もまた同じサイクルの中にある可能性がある。今回も同様に“戻る”のかどうか――その答えは、時間と開発の積み重ねの中で示されることになる。

  • ホンダF1 PUアップデート許可が濃厚 ADUO前倒しはカナダGP後に決着へ

    ホンダF1 PUアップデート許可が濃厚 ADUO前倒しはカナダGP後に決着へ

    ホンダF1にとって巻き返しの契機となる可能性が浮上している。パワーユニット開発を制御するADUO(追加開発機会)の初回評価が前倒しされる見通しとなり、早期アップデート解禁が現実味を帯びてきた。

    現時点では、ホンダが基準エンジンに対して一定の性能差を抱えていると見られており、ADUOによる改良許可を得る可能性は高い。評価時期の前倒しは、そのタイミングをさらに早めることになる。

    ホンダF1に追い風 ADUO前倒しで早期アップデートへ
    2026年F1シーズンでは、パワーユニット開発を管理する仕組みとしてADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)が導入されている。

    この制度では、グリッド上の基準エンジンに対して2%以上の性能差があるメーカーに限り、シーズン中のアップデートが許可される。現状、その基準はメルセデスとされている。

    当初、この初回評価は6戦終了後に実施される予定だった。しかし、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によりカレンダーが変更されたことで、評価時期が後ろ倒しになる問題が生じた。

    そのため、FIAとF1、そして各チームは評価タイミングの前倒しを検討。パドック内では、初回評価をカナダGP後に設定する案が有力視されている。これは本来よりも1戦分早いタイミングとなる。

    決定は来週へ FIAとチームで最終判断
    このADUOの評価時期については、チーム代表とFIAの会合で発表されると見られていたが、現時点では正式な言及は行われていない。

    ただし関係者の間では、来週中にも最終決定が下されるとの見方が強く、制度の具体的な運用が間もなく明らかになる見込みだ。

    ホンダ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    勢力図に影響 ホンダはアップデート許可が濃厚
    評価時期の前倒しは、開発面で遅れを取るメーカーにとっては大きな意味を持つ。

    とりわけホンダは、現状のパフォーマンス差からADUOによるアップデート許可を得る可能性が高いと見られている。これが実現すれば、シーズン序盤の段階で巻き返しに向けた開発を進めることが可能となる。

    一方で、メルセデスにとってはライバル勢の改善が早まるリスクを意味する。また、フェラーリやレッドブル、アウディについては、性能差が2%以内であればアップデートは認められない。

    今回の前倒しが正式決定となれば、ホンダにとっては開発の遅れを取り戻す重要な転機となる。2026年F1の勢力図は、このADUOの初回評価をきっかけに大きく動き出す可能性がある。

  • ホンダF1 アストンマーティンと共同対策 さくらで改善へ連携強化

    ホンダF1 アストンマーティンと共同対策 さくらで改善へ連携強化

    ホンダF1が、アストンマーティンとの共同体制で問題解決に向けた開発を加速させている。日本GP後、両者はホンダ・レーシング(HRC)のさくら研究開発拠点で連携し、対策強化に取り組んでいる。

    シーズン序盤の不振を受けた対応は継続中で、改善には時間を要する見通しとしながらも、次戦マイアミGPに向けて開発は止まっていない。現場の取り組みについて、ホンダ側の技術責任者が現状を説明した。

    さくらで進む共同開発 ホンダとアストンマーティンが連携
    ホンダF1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、現在の開発状況について次のように語った。

    「みなさんご存知の通り、バーレーンGPとサウジアラビアGPは延期となりましたが、それでも作業が止まったわけではありません」

    「日本GPの後、アストンマーティン・アラムコF1チームのメンバーとホンダ・レーシングは、日本のさくらにあるHRC研究開発センターで共同作業を続けています」

    「東京から約3時間の場所にあるこの施設で、私たちは対策強化に向けて取り組んでいます」

    ホンダ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「改善を強化」 次戦マイアミGPへ開発継続
    折原伸太郎は、現在の課題に対する取り組みと今後の見通しについても言及した。

    「対策の改善をさらに強化しており、この作業は次のF1レースであるマイアミに向けて今後も継続していきます」

    「解決には時間がかかることは理解していますが、私たちは引き続き協力して懸命に取り組んでいきます」

    課題抱える中でも前進 鈴鹿で見えた変化
    ホンダとアストンマーティンは、シーズン序盤に複数の課題に直面しているものの、日本GPでは一定の進展も見られた。こうした変化を踏まえ、両者は引き続き連携を強化しながら改善を進めていく構えだ。

  • ホンダF1を左右するADUO評価 “エンジンだけ”を見る仕組み

    ホンダF1を左右するADUO評価 “エンジンだけ”を見る仕組み

    2026年F1シーズンはパワーユニット性能差が早くも顕在化し、ホンダにとって厳しい立ち上がりとなっている。出力面だけでなく、エネルギーマネジメントやバッテリー信頼性といった複合的な課題がパフォーマンスに影響している状況だ。

    そのなかで注目されているのが、追加開発機会「ADUO」だ。この制度は巻き返しの手段として位置づけられているが、その評価の仕組み自体がホンダのシーズンに大きく関わる可能性がある。

    ADUOは巻き返しのための制度
    ADUOは、パワーユニット性能で後れを取るメーカーに対して開発機会を追加で与える制度だ。

    ホモロゲーション変更の柔軟化や開発時間の拡張などが認められ、遅れている側に挽回の余地が与えられる仕組みとなっている。

    現状のパフォーマンス差を踏まえれば、ホンダはこの制度の対象に最も近い存在と見られており、シーズンを立て直すための重要な要素となる。

    “エンジンだけ”を見る評価の仕組み
    今回のADUOは、パワーユニット全体ではなく“エンジン(内燃機関)だけ”を評価する仕組みになっている。

    この評価方法が、ホンダの現状をどう映し出すかがポイントとなる。

    現在ホンダが抱えている課題は、エンジン出力だけでなく、バッテリーの信頼性やエネルギーマネジメント、デプロイメント制御といった電動領域にも広がっている。

    つまり実戦でのパフォーマンス差はPU全体の完成度によって生まれているにもかかわらず、評価はその一部に限定されている。

    このため、エンジン単体の評価が重視されることで、実戦でのパフォーマンス差との間にズレが生じる可能性がある。

    また評価の軸が限定されることで、開発リソースの配分にも影響が及び、改善の方向性に違いが生まれる可能性もある。

    ホンダ F1 フォーミュラ1エンジン

    基準エンジン次第で見え方は変わる
    さらに重要なのが、評価の基準となるエンジンの存在だ。

    現時点ではメルセデスが基準と見られているが、エンジン単体という評価軸では異なる結果になる可能性も指摘されている。

    この基準設定次第で、ホンダがどの程度遅れていると判断されるかが変わることになる。

    制度運用を巡っては慎重な判断を求める声も出ており、評価のあり方は単なる技術問題にとどまらず、各メーカーの思惑が絡む要素となっている。

    現状のパフォーマンスが意味するもの
    一方で、実戦でのパフォーマンス差は明確に存在している。

    ホンダのパワーユニットを搭載するアストンマーティンは現時点で後れを取っており、その総合的な差は評価にも影響を与える要素となる。

    そのため、エンジン単体評価という枠組みであっても、結果としてADUOの対象となる可能性は高いと見られる。

    重要なのは、その評価によってどの程度の開発機会が与えられるかという点にある。

    ホンダの行方を左右する評価の仕組み
    ADUOは一見すると救済制度だが、その実態は評価方法と運用によって結果が大きく変わる仕組みを持っている。

    ホンダにとっては、単に対象となるかどうかではなく、どのように評価されるのかが重要になる。

    “エンジンだけ”を見るこの仕組みが、現状をどう映し出すのか。

    その判断ひとつが、2026年F1におけるホンダの立ち位置を左右することになる。