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  • シャルル・ルクレール F1シンガポールGPでオールブラック仕様 限定キャップを発表

    シャルル・ルクレール F1シンガポールGPでオールブラック仕様 限定キャップを発表

    スクーデリア・フェラーリは、2026年F1シンガポールGPでシャルル・ルクレールが着用する限定版キャップを発表した。ナイトレースが行われるマリーナ・ベイに合わせ、全面をブラックで統一した特別仕様となっている。

    公開された映像では、ルクレール自身も全身ブラックのレーシングスーツ姿で登場。通常とは大きく異なるスタイルが披露されたことで、ファンの間ではSF-26のカラーリングにも何らかの変更が施されるのではないかとの憶測が広がっている。

    ルクレールがシンガポールでオールブラック仕様
    F1はアゼルバイジャンGPを終え、次戦シンガポールGPへと向かう。マリーナ・ベイの市街地コースで開催されるナイトレースを前に、フェラーリはルクレールのための特別なアイテムを用意した。

    フェラーリが公式SNSで公開したのは、シンガポールGP限定となるオールブラックのキャップだ。ルクレールはレースウイークを通じて、この限定キャップを着用する予定となっている。

    デザインはほぼ全面がブラックで統一され、フロント部分にあしらわれたルクレールのカーナンバーとフェラーリの跳ね馬エンブレムのみがシルバーで表現されている。派手な配色を避けたシンプルな仕上がりが特徴だ。

    公開されたプロモーション映像では、ルクレールがブラック一色のレーシングスーツを着用していることも注目を集めた。


    SF-26にも特別カラーリング? ファンの間で憶測
    今回の発表を受け、一部のF1ファンからは、フェラーリがシンガポールGPでSF-26にも特別なカラーリングを採用するのではないかとの声が上がっている。

    現時点でフェラーリが発表しているのはルクレールの限定キャップであり、SF-26のスペシャルリバリーについて公式な発表はない。

    ただし、ルクレールをブラックのレーシングスーツ姿で登場させた演出もあり、マリーナ・ベイでさらなるサプライズが用意されているのではないかという期待につながっている。

    今回の2026年F1シンガポールGP限定キャップは、マリーナ・ベイでのレースウイークを迎える10月5日(月)からオンラインで販売される予定だ。

    シンガポールの夜をイメージしたオールブラック仕様で臨むルクレール。限定キャップだけの特別仕様となるのか、それともフェラーリがSF-26にも何らかの変化を加えるのか、シンガポールGPに向けて注目を集めそうだ。

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)シャルル・ルクレール(シンガポールグランプリ仕様)

  • アストンマーティンF1 辛辣発言ニューウェイの露出抑制「マイクの前に立たせない」

    アストンマーティンF1 辛辣発言ニューウェイの露出抑制「マイクの前に立たせない」

    アストンマーティンF1のチーム代表を務めるエイドリアン・ニューウェイは、グランプリの現場に姿を見せる機会が少なく、サーキットを訪れた際にもメディアの前で発言することはほとんどない。その背景には、開幕戦オーストラリアGPで行われた記者会見での率直すぎる発言があるという。

    ニューウェイはもともと表舞台に立つことを好まず、チーム代表として対外的な役割を担うよりも、マシン設計に集中するスタイルを取っている。

    そのため不在時には、チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックやアンバサダーのペドロ・デ・ラ・ロサが、苦戦するチームの主なスポークスマンを務めている。

    ニューウェイの「極めて批判的」な会見で広報戦略を変更
    ニューウェイは2026年F1開幕戦オーストラリアGPで、シーズン最初のチーム代表記者会見に出席した。しかし、その場での発言がアストンマーティンにとって広報上の問題になったとされている。

    ニューウェイは、レッドブル時代に成功を支えたホンダF1のパワーユニット技術者について、その一部が「ソーラーパネルか何かの仕事に移ってしまった」と明かした。

    しかもアストンマーティン側がその状況を把握したのは、シーズン開幕のわずか5カ月前に日本を訪問した際だったという。

    さらにニューウェイは、バッテリーの損傷率について「恐ろしい」と表現。問題への対応によってチームのエネルギーが奪われ、メカニックたちが「疲弊しきっている」と率直に語った。

    ニューウェイの発言については、ホンダF1に対するコストキャップ上の救済措置をFIAから引き出すため、意図的に厳しい状況を公にしたとの見方もある。

    しかし、少なくともアストンマーティンの広報部門にとって、その率直さは想定外だったとされる。通常、F1チーム代表はこうした問題について、より慎重かつ外交的な表現を選ぶ。

    スペインのAutoNocionによると、この「極めて批判的」な記者会見を受け、アストンマーティンはニューウェイを「マイクの前に立たせない方がいい」と判断したという。

    その後、ハンガリーGPでニューウェイがメディア対応を行った際には、オーストラリアでの会見とは対照的に、はるかに控えめな内容となった。

    また、ニューウェイ自身からの情報発信についても、現在はチームの公式チャンネルを中心に行われている。アストンマーティンの公式サイトに掲載されるロングインタビューなど、発言内容を管理しやすい形が中心となっている。

    エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ライバル勢はホンダF1の2027年の進歩に懐疑的との報道
    一方、アストンマーティン内部ではホンダF1の開発状況に対する懸念も伝えられている。

    チームの匿名の「上級幹部」が、ホンダF1の進歩の遅さにいら立ちを強めているとされる。F1オランダGPで投入された待望のパワーユニットのアップグレードについても、その成果は期待を下回ったと受け止められているという。

    ホンダは10月1日付でF1パワーユニット開発体制を変更する。LPL(ラージ・プロジェクト・リーダー)は角田哲史から、現在アシスタントLPLを務める深尾洋一郎へ交代する予定で、パワーユニット開発の加速と次世代への移行を図る。

    また、ローレンス・ストロールが将来のパワーユニット供給を巡ってメルセデスやレッドブル・パワートレインズと接触したとの報道もあり、今回の体制変更との関連も取り沙汰されている。

    ライバルチームの間では、ホンダF1が2027年に大幅な性能向上を実現できるかについて「懐疑的」な見方もあるという。過去にマクラーレンと組んだ際も、競争力のある水準に到達するまでには数年を要したことが、その根拠として挙げられている。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムは、ホンダF1を支援するための規則面での対応について言及しており、その背景にはフェルナンド・アロンソをF1に引き留めたいという意向も示している。

    メルセデスのトト・ヴォルフも、公平性が保たれる範囲であれば調整を受け入れる姿勢を示しており、レッドブル側からも救済措置への支持が伝えられている。

    開幕時にホンダF1の置かれた状況を極めて率直に語ったニューウェイだが、その発言を境にアストンマーティンはメディア対応の方法を変えたとされる。2027年に向けてホンダF1の競争力が大きな焦点となるなか、ニューウェイ自身は表舞台で多くを語るのではなく、マシン開発に集中する姿勢を続けている。

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1で2027年続投を示唆「将来に楽観的」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1で2027年続投を示唆「将来に楽観的」

    フェルナンド・アロンソが、自身のF1での将来について新たなヒントを示した。アストンマーティンの2027年に向けたプロジェクトについて「楽観的」と語り、来季もチームに残る可能性をうかがわせている。

    F1スペインGPでは、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムが、アロンソを2026年限りで引退させないために働きかける考えを示した。

    一方、ホンダF1側からはビン・スライエムの発言に慎重な見方も示されているが、アストンマーティン内部では2度のF1ワールドチャンピオンが2027年もチームに残ることへの期待がある。

    アロンソ「チーム全員が楽観的だと思う」
    アストンマーティン公式YouTubeチャンネルのインタビューで、チームアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサから将来への見通しを尋ねられたアロンソは、2027年に向けたチームの状況について語った。

    アロンソによれば、アストンマーティンは当初想定していたほどの競争力を発揮できず、その現実はチームにとって大きなショックだったという。しかし、問題が明らかになったことで、むしろチーム内の結束は強まったと説明している。

    「チーム全員が楽観的だと思う。僕たちは予想していたほど競争力がなかった。それが事実だ。正しい方向に進めていないと感じたことは、最初はショックだった」

    「でも、このチームとプロジェクトのいいところは、本当に、本当に優秀な人材がいることだ。最高の施設があるし、将来タイトルを争える存在になろうというモチベーションもある」

    2026年シーズン序盤に問題を把握した段階で、改善へ向けた方向性は明確になったとアロンソは振り返る。

    「初日を終えた時点で、どの方向へ進むべきかは明確だった。状況を改善するためなら何でもやるという姿勢で、全員がひとつになった」

    「マシンを正しい位置に持っていくために、シーズン後半まで待とうということで意見が一致した」

    「厳しいスタートになったけど、それは状況を改善するためにみんなが努力しなかったからではない。ただ時間が必要だったということだ。僕は将来について楽観的だ」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    2027年もアストンマーティンでF1継続か
    アロンソとアストンマーティンの双方から2027年について正式な発表はまだない。しかし、今回の発言は、アロンソ自身が現在のプロジェクトの先にある将来を見据えていることを示すものとなった。

    アロンソは2013年F1スペインGP以来、グランプリで勝利を挙げていない。近年は自身の引退時期について繰り返し質問を受けてきたものの、競争力を失ったシーズンを最後にF1を去ることを望んでいないことも示している。

    一部ではアロンソが2026年限りでF1キャリアに終止符を打つ可能性も取り沙汰されてきたが、最近では2027年もアストンマーティンに残留し、さらにその先まで現役を続ける可能性が報じられている。

    2026年は期待通りのスタートとはならなかったアストンマーティンだが、アロンソの「将来について楽観的」という言葉は、チームの再建だけでなく、自身のF1キャリアが2027年にも続く可能性を改めて示唆するものとなっている。

  • F1ドライバーの「肉弾戦」が減少 アルボン「今はメンタルの戦い」

    F1ドライバーの「肉弾戦」が減少 アルボン「今はメンタルの戦い」

    アレクサンダー・アルボンは、2026年のF1ではドライバー同士の「フィジカルな戦い」よりも「メンタルの戦い」の比重が大きくなり、ホイール・トゥ・ホイールで必要とされてきた重要な攻防のスキルが失われつつあると感じている。

    2026年に導入された新たなエネルギーマネジメントは、ドライバーがオーバーテイクを組み立てる方法を大きく変えた。

    エネルギーマネジメントが左右する2026年F1の攻防
    こうした問題が特に顕著なのは、オーストラリアのアルバート・パーク、日本の鈴鹿、イギリスのシルバーストン、ベルギーのスパ、イタリアのモンツァといった「エネルギー不足」になりやすいサーキットだ。

    一方、モナコ、ハンガリーのハンガロリンク、オランダのザントフォールトなどは「エネルギーリッチ」なサーキットとされ、マシンは継続的にエネルギーを回収し、それをデプロイすることができる。

    プレシーズンには、こうした新たな要求が「高速のチェス」に例えられていた。ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンはさらに踏み込み、以前ならライバルとの間で仕掛けられた特定の「駆け引き」が、現在ではできなくなっていると説明した。

    「フィジカルな戦いという意味では、メンタルの戦いの方が上回るようになったと思う。今はエネルギーマネジメントが非常に大きな部分を占めている」

    アルボンはRacingNews365を含むメディアにそう語った。

    「より戦術的になったと思う。昨年までにも戦術的な要素はあったけど、できるのは基本的にDRSを使った駆け引きだった。例えば、わざとペースを落としてDRSラインの前で相手を先に行かせるようなことだ」

    「オーバーテイクされないためにできることは当時もあった。でも今は、ファクトリーでGPSデータを分析して、周囲のマシンが何をしているのかを予測しながら、僕たちが何をできるのか、どのモードスイッチを変更すべきなのかについて、すぐにフィードバックを受けているような状態だ」

    「いろいろな意味で戦術的ではある。でも同時に、どうすることもできないと感じることもある。もうディフェンスすること自体ができないような場合もあるんだ」

    アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

    「本当の意味でのディフェンス技術がない」
    アルボンはさらに、現在のF1レギュレーションによって、バトルのなかでドライバーがディフェンス能力を発揮する機会が制限されていると指摘した。

    「本当の意味でのディフェンス技術というものがない。オーバーテイクするときの速度差があまりにも大きいからだ」

    「以前はブレーキングで抜かなければならなかったし、レーシングラインを外してマシンを走らせなければならなかった。クリーンエアを得たり、ダーティエアのなかを走ったりする必要もあった。僕はそういうものが恋しい」

    「ただ、戦術という意味では、今年は昨年よりもはるかに多くの時間をHPP(メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ)との話し合いに費やしている」

    2026年のF1では、ドライバー自身のブレーキングやライン取りによる直接的な攻防だけでなく、バッテリーの残量やデプロイのタイミング、さらにはファクトリーから送られるデータを活用した戦術が重要性を増している。アルボンにとって、その変化はレースをより戦術的にする一方で、ドライバーが自らの技術でポジションを守る余地を減らすものでもある。

  • ディーノ・ベガノビッチ フェラーリ育成を卒業へ F1昇格構想から外れる

    ディーノ・ベガノビッチ フェラーリ育成を卒業へ F1昇格構想から外れる

    フェラーリは、2020年からフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属してきたディーノ・ベガノビッチについて、2026年限りで育成プログラムから外す一方、2027年もテスト兼開発ドライバーとしてチームに残す方針を固めたとGPblogが報じた。

    現在22歳のベガノビッチはF2で2年目のシーズンを戦っているが、フェラーリはF1レースシートへの昇格候補としてではなく、シミュレーターやTPC(旧型車テスト)を担う開発要員として高く評価しているという。

    今後はF2を離れ、フェラーリのWECプログラムを含めた新たなレース活動に進む可能性もある。

    フェラーリ育成で6年間 F3とF2で勝利を経験
    ベガノビッチは2020年にFDAへ加入し、フェラーリの支援を受けながらジュニアカテゴリーでキャリアを積み重ねてきた。

    F3とF2の両カテゴリーでレース優勝を記録し、上位争いに加わる実力を示してきた一方、いずれもタイトルを本格的に争うところまでは到達していない。

    現在はDAMSからF2に参戦しており、先週末にマドリンクで行われたF2スペイン大会ではフィーチャーレースを制した。2026年シーズンはF2で2年目となるが、現時点では今季限りで同カテゴリーを離れることが基本線とされている。

    F1では4回のフリー走行に出走
    ベガノビッチはジュニアカテゴリーでの活動と並行し、フェラーリのシミュレーターおよびテストドライバーとしてF1マシンの開発にも関わってきた。

    これまでF1のフリー走行には計4回出走。2026年はスペインとオーストリアでFP1を担当し、各チームに義務付けられているルーキードライバー起用枠をフェラーリが消化するうえでも役割を担った。シーズン後半にさらに走行機会が与えられる可能性もあるという。

    こうした活動を通じ、フェラーリはベガノビッチの技術的なフィードバックや開発能力を評価している。

    フェラーリF1のレースシート昇格は構想外
    一方、ベガノビッチがフェラーリからF1のフル参戦シートを獲得する可能性は低くなっている。

    フェラーリはこれまでの働きを評価しているものの、将来的にスクーデリアのF1レースシートを与える構想には入れていないとされる。

    その姿勢は、他チームへの送り出し方にも表れている。フェラーリはオリバー・ベアマンやラファエル・カマラについて、F1で経験を積ませるために他チームのシートを確保する方向で動いてきたが、ベガノビッチについて同様の計画を進めてはいないという。

    つまり、FDAでの育成期間が終了することはフェラーリとの関係そのものが終わることを意味しない。むしろ、レースドライバー候補から開発を支えるドライバーへと役割を切り替える形となる。

    ディーノ・ベガノビッチ スクーデリア・フェラーリ

    2027年もシミュレーターとTPCで開発に参加へ
    フェラーリは2027年以降もベガノビッチをチーム内に残すことを強く望んでいるとされる。

    想定されているのは、シミュレーターでの開発作業に加え、TPC(Testing of Previous Cars)での実走テストを担当する役割だ。

    現代のF1ではシミュレーターと実車の相関確認がマシン開発において重要な意味を持つ。F1マシンでの走行経験を持ち、フェラーリのシステムを長年理解しているベガノビッチを継続して起用することには、チーム側にもメリットがある。

    特に2026年から新しいF1技術規則が導入されたなか、開発ドライバーによるシミュレーター作業やTPCでのデータ収集は、レースドライバーを支える重要な役割となる。

    F2卒業後はWEC参戦も選択肢
    まだ明らかになっていないのが、2027年にベガノビッチがどのカテゴリーでレース活動を続けるかだ。

    原則として今季限りでF2を離れる見通しだが、その後の参戦先は決まっていない。

    ひとつの選択肢として考えられるのが、フェラーリのWEC(FIA世界耐久選手権)プログラムである。

    22歳という若さに加え、シングルシーターで豊富な経験を積み、F1マシンもドライブしてきたベガノビッチは、フェラーリの耐久レース部門にとって将来を見据えた若手人材になり得る。

    ただし、現段階でWEC参戦が決定したわけではなく、2027年のレースプログラムについては不透明な部分が残っている。

    6年間にわたったFDAでの育成期間には区切りがつく見通しだが、ベガノビッチとフェラーリの関係は2027年も続くことになる。F1レースシートへの直接的な道は遠のく一方、フェラーリはその経験と開発能力を評価し、次の役割を用意する方針だ。

  • ランス・ストロール F1参戦10年で学んだこと「自信と感覚が大きな部分を占める」

    ランス・ストロール F1参戦10年で学んだこと「自信と感覚が大きな部分を占める」

    ランス・ストロールは、F1デビューから間もなく10年を迎えるなかで、自身がドライバーとしてどのように成長してきたのかを振り返った。また、苦戦が続く2026年のアストンマーティンについても語り、チームの将来を「固く信じている」と強調した。

    2017年に18歳でウィリアムズからF1デビューを果たしたストロールは、マックス・フェルスタッペンに次ぐ当時史上2番目の若さでF1に参戦。ルーキーイヤーには表彰台とフロントロウスタートも記録した。

    2019年にレーシングポイントへ移籍すると、翌2020年にはF1初ポールポジションを獲得し、さらに2度の表彰台を記録。2021年にチームが父ローレンス・ストロールが率いるアストンマーティンのワークスチームへ移行した後も在籍を続けている。

    しかし、その後の数シーズンは浮き沈みを経験し、F1のレギュレーションが大幅に変更された2026年は、新たにホンダF1と組んだアストンマーティンにとって特に厳しいシーズンとなっている。

    F1で学んだ「自信と感覚」の重要性
    アストンマーティンF1公式サイトのインタビューで、ストロールは18歳でデビューした当時から27歳となった現在までに、自身がどのように変化したのかについて語った。

    F1で過ごしてきた時間のなかでどれほど多くを学んだかと問われ、ストロールは次のように答えた。

    「たくさんある。さまざまなドライビングの戦術、マシンセットアップに関すること、変化するコンディションへの対応、それぞれのサーキットでラップタイムを稼ぐためのコツなどだ」

    「F1で過ごす時間が長くなるほど、このスポーツでは自信と感覚がどれほど大きな部分を占めているのかが分かってくる。それは常にある課題のひとつだ。毎シーズン状況が違うからね。常に学び、適応し、マシンや周囲のチームと一緒に進化しようとしている」

    さらに、肉体面でも経験によって理解が深まったという。

    「フィジカル面もそうだ。レースウイークエンドで自分が最高の状態になるために何が必要なのか、シーズンを通して精神的、肉体的にどう管理していくのかを理解すること。そういったことはすべて、時間とともに向上していく」

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    苦しい時期こそ「物事を大局的に見る」
    困難な時期にどのように対処しているのかについて、ストロールは感情に左右されすぎないことが重要だと説明した。

    「地に足をつけて、物事を大局的に見る必要がある。F1では状況がものすごく速く変化する。数カ月で状況が完全に変わることもある。だから、良いときも悪いときも感情的になりすぎると、本当に重要なことに集中し続けるのが難しくなる」

    「ドライバーなら誰だってトップで戦いたい。厳しい時期を過ごしているときは、もちろんフラストレーションがたまる。チームのみんなが信じられないほど懸命に働いていて、もっと良い結果を望んでいるからだ。でも、そういう時期も何かを築き上げていく過程の一部なんだ」

    「仕事を続け、自分たちがどこを改善しなければならないのかについて正直であり続け、すぐに結果が出なくても、そのプロセスを信頼しなければならない」

    苦戦するアストンマーティンの将来を「固く信じている」
    ストロールは、2026年シーズン序盤から苦しい戦いを強いられているアストンマーティンについても言及。最終的にレース優勝やF1世界タイトルを争うという目標を実現できると信じている理由を説明した。

    「AMRテクノロジーキャンパスには信じられないほど才能のある人たちがいるし、新しいCoreWeave AIRトンネルやシミュレーターといった設備にも非常に大きな可能性がある」

    「勝てるチームになるための要素はすべて揃っている。あとは、そのポテンシャルを引き出すだけだ」

    そしてストロールは、現在の苦戦にもかかわらず、アストンマーティンのプロジェクトに対する信頼は揺らいでいないと強調した。

    「今は厳しい時期を経験しているけど、僕はこのプロジェクトを固く信じている。未来はとても明るい。この苦しい時期を乗り越えて、僕たちが進んでいるこの旅の一員でありたい」

    2017年のF1デビューから多くの経験を積んできたストロール。2026年はアストンマーティンとホンダF1にとって厳しい戦いとなっているが、27歳となったストロールは、これまで培ってきた経験を生かしながらチームとともに苦境を乗り越える姿勢を示している。

  • マクラーレンF1 ピアストリをノリス支援に回すべきとロズベルグ「契約が許すなら」

    マクラーレンF1 ピアストリをノリス支援に回すべきとロズベルグ「契約が許すなら」

    マクラーレンF1はシーズン終盤、オスカー・ピアストリをランド・ノリスの支援役に回す可能性を検討すべきだと、2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグが語った。

    ただし、ピアストリの契約にはチーム内で平等に扱われることを保証する条項が含まれている可能性があり、簡単に実行できるものではないとも指摘している。

    それでもロズベルグは、マクラーレンが現F1ワールドチャンピオンであるノリスのタイトル防衛を本気で後押しするのであれば、いずれチームオーダーを含めた対応が必要になるとの考えを示した。

    マクラーレンのアップデートでノリスが追い上げ
    夏休み前後に投入されたアップデートパッケージ以降、マクラーレンは非常に高い競争力を発揮している。

    ノリスはその間に2勝を挙げ、F1スペインGPでも不運なVSC(バーチャル・セーフティカー)がなければ、勝利を狙える可能性があった。

    しかし、ドライバーズ選手権では首位キミ・アントネッリとの差が106ポイントまで広がっており、タイトル獲得の可能性は厳しい状況にある。

    一方、ピアストリは現在、チームメイトのノリスから66ポイント遅れている。この状況から、マクラーレンが残されたタイトルの可能性を最大化するには、2人を完全に自由に戦わせるのではなく、チームとしてノリスを支援する必要が出てくる可能性があるとロズベルグは考えている。

    ピアストリの契約条項が障壁になる可能性
    ただし、ロズベルグはピアストリとの契約そのものが、マクラーレンの選択肢を制限している可能性を指摘した。

    「まず、オスカーの契約には、常にナンバーワンドライバーとして扱われるという条項が入っていることがよくある。だから、それが最初に乗り越えなければならない障害になる。例えば、僕の契約にもそういうものが入っていた」

    ロズベルグ自身もF1ドライバー時代、チーム内での扱いに関する条項を契約に盛り込んでいたという。

    そのため、単純にマクラーレンがピアストリに対してノリスを支援するよう指示できるとは限らない。

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    「マクラーレンはできるだけ早くやるべき」
    一方、契約上の問題がなければ、ロズベルグはマクラーレンがノリスを優先する体制へ移行すべきだと考えている。

    「でも、それ以外の問題がないのであれば、もちろんマクラーレンはできるだけ早くそうするべきだ。ただ、選手権ではまだ少し早い時期でもある」

    「だから、それをいつ始めるべきなのかは分からない。でも、どこかの時点で、そういう方向へ進むことを検討する可能性はあると思う」

    現時点ですぐにピアストリを明確なサポート役とするのは時期尚早としながらも、タイトル争いの状況次第では判断が必要になるという見方だ。

    ロズベルグがノリスを高評価
    ロズベルグがノリスへの支援を提案する背景には、今季のパフォーマンスに対する高い評価もある。

    「それに、ランドは今年、本当に素晴らしい仕事をしている。これまで以上にいいドライビングをしているし、昨日の予選を除けば、マクラーレンでは明らかに一番いい走りをしている」

    「今の彼は完全に上昇傾向にある」

    アントネッリとの106ポイント差を考えれば、ノリスのタイトル防衛は容易な状況ではない。それでもマクラーレンの競争力が高まるなか、ロズベルグは残された可能性を追求するためにも、ピアストリをノリスの支援に回すという選択肢をチームが検討する時期が訪れる可能性があるとみている。

  • フレデリック・ベスティ メルセデスF1リザーブの苦悩「本当に残酷」

    フレデリック・ベスティ メルセデスF1リザーブの苦悩「本当に残酷」

    メルセデスF1のリザーブドライバーを務めるフレデリック・ベスティが、自身の置かれている状況の厳しさを率直に語った。24歳のデンマーク人ドライバーは、幼いころから追い続けてきたF1のレギュラーシート、そして将来的なF1ワールドチャンピオンという夢を今も諦めていない。

    しかし現在のベスティの仕事は、メルセデスでタイトル獲得を目指すキミ・アントネッリとジョージ・ラッセルを支えることだ。

    F1の現場にいながら、自らグランプリでマシンを走らせることはできない。その状況が、次第に大きな精神的負担になっているという。

    「本当に、本当に、本当に残酷だ」
    リザーブドライバーという役割は、ベスティにとってますますつらいものになりつつある。それでもメルセデスでの仕事には全力で取り組み、F1マシンをドライブするわずかなチャンスを得るために努力を続けている。

    母国デンマークの『Ekstra Bladet』のインタビューで、ベスティは現在のフラストレーションを隠そうとはしなかった。

    「本当に、本当に、本当に残酷だ」

    さらに難しいのは、自分自身がいつかその座を手に入れたいと願っている一方で、現在はメルセデスの2人のレギュラードライバーを支えることに仕事の大部分を費やさなければならない点だ。

    「僕の持っているポジティブなエネルギーはすべて、キミかジョージがワールドチャンピオンになるのを助けるために使っている。もちろん、それは難しい。僕自身、8歳のころからワールドチャンピオンになることを夢見てきたからね」

    それでも、ベスティは現状を受け入れて諦めたわけではない。現在はレギュラードライバーの陰にいる立場だが、チャンスが訪れたときに備え、最大限の準備を続けている。

    そのなかでも、メルセデスのシミュレーターでの作業は重要な役割を占めている。

    「僕はこのツールで懸命に仕事をしているし、誰よりもよく理解している」

    フレデリック・ヴェスティ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    2週間ごとにショブリンへ「いつ乗れる?」
    ベスティは、実際のF1マシンを次にいつドライブできるのかを確認するため、チームにも継続的に働きかけている。

    「2週間に一度、『ショブ』(トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリン)に、いつまたマシンを運転できるのか聞いている。必要なチャンスを作り出すために、できる限りプッシュしているんだ」

    だが、何よりつらいのは、グランプリの現場まで足を運びながら、自分自身はレースに参加できないことかもしれない。

    ベスティは笑みを浮かべながらも、F1が常に目の前にあることが、逆に待ち続ける苦しさを増幅させていると明かした。

    「僕はF1にいるのが嫌いなんだ。笑ってしまうかもしれないけど、それが一番強く感じていることだ」

    「F1はそこにある。でも、手が届かない。あるいは、ほとんど手が届かない。その『ほとんど』という部分が、僕に希望を持たせ続け、信じさせ続けている」

    「その間、22台のマシンがぐるぐる走っているのをただ立って見ていて、自分自身は運転することを許されていない。それ以上に残酷なことなんて、僕には想像できない」

    2028年のF1レギュラーシートを目指すベスティ
    ベスティは2027年もメルセデスのリザーブドライバーを務める見通しだ。それでも2028年に向けてチャンスが生まれることを期待し、F1のレギュラーシート獲得を目指し続けている。

    その目標は、子どものころからまったく変わっていない。

    「僕は人生ずっと、F1のワールドチャンピオンになることを夢見てきた。プロのレーシングドライバーになることを夢見ていたわけじゃない」

    「夢はF1なんだ」

    F1のすぐそばまでたどり着きながら、その最後の一歩を踏み出せないベスティ。メルセデスを支える重要な役割を果たしながらも、本人が求めているのはリザーブという立場ではなく、自らグリッドに並び、F1で勝利とタイトルを争う機会である。

  • ハースF1 2027年ドライバー選考は「速さ最優先」 小松礼雄が5人の候補を評価

    ハースF1 2027年ドライバー選考は「速さ最優先」 小松礼雄が5人の候補を評価

    ハースF1は2027年のドライバーラインナップ決定に向け、5人の候補を検討している。チーム代表の小松礼雄は、その選考における最優先事項は純粋な「パフォーマンス」だと明言した。

    2026年のリザーブドライバーを務めるジャック・ドゥーハンも候補のひとりであり、今週ヘレスで行われた旧型車テスト(TPC)でハースのF1マシンをドライブ。アルピーヌでの短いF1参戦を終えて以来、初めてF1マシンのコックピットに戻った。

    ハースF1が5人の候補を比較
    ハースは2027年について、現時点で2人のドライバーのいずれも正式発表していない。ただし、フェラーリのジュニアドライバーであるオリバー・ベアマンは3年目のシーズンを迎える可能性が高いとみられており、焦点となっているのはチームメイトの座だ。

    現職のエステバン・オコンは、ハースが獲得した21ポイントのうち3ポイントにとどまっており、チームでの将来は不透明となっている。

    ハースは候補者を評価するため、これまでに2回のTPCを実施した。

    ポルティマオで行われた最初のテストには、フェラーリのジュニアドライバーであるラファエル・カマラ、マクラーレンのリザーブドライバーであるレオナルド・フォルナローリ、トヨタと関係を持つ平川亮が参加した。

    そして今週ヘレスで実施された2回目のテストには、ジャック・ドゥーハン、平川亮、2024年スーパーフォーミュラ王者の坪井翔が参加した。

    ドゥーハンにとっては、2025年F1マイアミGP後にアルピーヌでのレギュラー参戦を終えて以来、初めてF1マシンを走らせる機会となった。


    小松礼雄「パフォーマンスが絶対的に最優先」
    小松礼雄は、PlanetF1.comを含むメディアに対し、レースシートを決めるうえで最も重要なのは速さだと説明した。

    「私は常に、ドライバーはパフォーマンスで選ぶと言ってきました。ですから、パフォーマンスが絶対的に最優先です」

    「もし2人のドライバーのパフォーマンスが同等であれば、所属先との関係や、そのドライバーが持っているパッケージも考慮します」

    「しかし、3分の3秒遅いドライバーを、トヨタやフェラーリとの関係があるから、あるいはスポンサー資金を500万多く持っているからという理由で選ぶことはありません」

    「そういうことはしません。まず何よりもパフォーマンスです」

    一方で、タイム差が極めて小さい場合には、メーカーやチームとの関係性も判断材料になるという。

    「例えば10分の1秒以内だったり、本当に非常に僅差だったりする場合には、もちろん所属先との関係やパッケージも考慮されます。それでも、我々はパフォーマンスを基準に選ぶことができると思っています」

    フェラーリやトヨタとの関係は決定打にならず
    候補者の背景はさまざまだ。トヨタはハースのパートナーであり、その支援を受けるドライバーがいる。フェラーリはハースのF1パワーユニット供給元であり、フェラーリ系ドライバーも候補に含まれる。さらにフォルナローリはマクラーレン所属だ。

    そして、現在ハースのテストドライバーを務めているドゥーハンもいる。

    ベアマンの残留が有力視されるなか、小松礼雄には、もうひとりのフェラーリ系ドライバーを起用してハースがフェラーリの「ジュニアチーム」と見られる可能性について質問が飛んだ。

    「正直、それは私にとってまったく問題ではありません。我々は本当に速いドライバーを2人欲しいんです。それが、このチームを成長させるための最善の方法だからです」

    「フェラーリのドライバーが2人でも、トヨタのドライバーが2人でも、マクラーレンのドライバーが2人でも関係ありません。フォルナローリはマクラーレンのドライバーですよね」

    「でも、本当に関係ありません。誰が一番速いのか。それが最も重要です」

    「チームの400人が最高の選択だと分かる必要がある」
    小松礼雄は、ハースで働くスタッフに対しても、純粋な能力を基準にドライバーを選んだと示すことが重要だと強調した。

    「繰り返しになりますが、ここで働いている400人全員にとって、自分たちが獲得できるなかで最高のドライバーを選んだと分かる必要があります。そして、その2人がマシンから最大限を引き出せるドライバーである必要があります」

    「追加のお金を持ってくるという理由で、0.5秒遅いドライバーを選ぶことを想像してみてください。それではチームのモチベーションは上がりません」

    「それに、コンストラクターズ選手権で1つ順位が違えば、かなり大きなお金になりますよね」

    「先ほど言ったように、私は一貫した考えを持っています。これまでも常に、ドライバーはパフォーマンスで選ぶと言ってきましたし、今もその方針で進めています」

    ハースF1チーム

    2027年ラインナップ発表はまだ先
    ドゥーハンをはじめとする候補者、そして現レギュラーのオコンを含む5人が最終的な判断を待つことになるが、ハースがすぐに結論を発表する予定はない。

    発表時期について尋ねられた小松礼雄は、次のように答えた。

    「分かりません。少なくとも来週ではない、と言っておきます」

    「我々は非常に恵まれた状況にいると思います。本当に多くのドライバーが我々のシートに興味を持ってくれています。5人ですね」

    ハースF1は、メーカーとの関係やスポンサー面の条件を完全に無視するわけではないものの、あくまで速さを最優先して2027年のドライバーを決定する方針だ。ヘレスでF1マシンに復帰したドゥーハンを含め、5人によるシート争いは今後もしばらく続くことになりそうだ。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bで劇的改善 カルディレ「以前のマシンは壊れていた」

    アストンマーティンF1 AMR26Bで劇的改善 カルディレ「以前のマシンは壊れていた」

    アストンマーティンF1は、2026年シーズン途中に投入したAMR26Bによってマシンの性格を大きく変えることに成功した。テクニカルディレクターのエンリコ・カルディレは、従来型のAMR26について、ドライバーの視点では「ある意味で壊れていた」と表現している。

    AMR26Bの進歩は単純なダウンフォース増加だけではない。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールがセットアップ変更に対して予測可能な反応を得られるようになり、ドライバビリティそのものが大幅に改善されたという。

    1ポイントから巻き返したアストンマーティンF1
    アストンマーティンは2025年のコンストラクターズ選手権を7位で終え、5位だった2024年から後退した。そして、新しいF1レギュレーションが導入された2026年は、さらに厳しいスタートを切った。

    エイドリアン・ニューウェイの設計思想のもとで開発され、カルディレが技術面を統括したAMR26は、重量超過に加えてダウンフォースが不足。さらにホンダF1のパワーユニットも出力不足と振動の問題を抱えていた。

    ハンガリーGPを迎えるまで、アストンマーティンが獲得していたポイントはわずか1点。アロンソがF1モナコGPで記録した10位が唯一の入賞だった。

    そこでアストンマーティンは、複数のレースにわたって小規模から中規模のアップデートを投入するのではなく、リソースをひとつの大規模パッケージに集中させる方針を選択した。

    カルディレ自身が「勇気のある決断」と表現したこの計画では、シャシーを再ホモロゲーションして新たなクラッシュテストを受ける必要があり、ノーズ、空力サーフェス、リアサスペンションなどにも大幅な変更が加えられた。

    その結果として誕生したのがAMR26Bだった。

    「僕たちは、いわば2つのステップを同時に踏み出した。純粋なパフォーマンスを大きく向上させると同時に、ドライバビリティも大幅に改善した」

    「以前のマシンはある意味で壊れていた」
    カルディレは、シーズン序盤にアロンソとストロールが直面していた問題の深刻さを隠そうとはしない。

    「以前は、彼らの視点からすれば、ある意味でマシンが『壊れていた』。一貫した反応をしてくれなかった」

    AMR26ではセットアップを変更しても、その効果が予測できないケースがあり、ドライバーが自分の好みに合わせてマシンを仕上げることが難しかった。

    AMR26Bでは、まさにその部分が改善されたという。

    「今のマシンはより予測しやすくなっている。セットアップ変更に対して正しく反応するので、彼らはその変更を使って自分の好みに合わせてマシンを調整できる」

    カルディレにとって、それは単なるラップタイム以上に重要な進歩だった。

    「率直に言って、彼らのためにも本当にうれしく思っている。彼らが望むようにドライブできるマシンに近づけることは、我々にとって重要だった」

    シーズン序盤、カルディレはアロンソとストロールの苦悩を間近で見ていた。

    「シーズン序盤には、彼らのフラストレーションを見たし、私自身もそれを感じていた。このレベルでは簡単なことではない」

    F1では、ドライバーがマシンを信頼できるかどうかがパフォーマンスに大きく影響する。また、挙動に一貫性がなければドライバーから得られるフィードバックの精度も低下し、開発そのものが難しくなる。

    しかし、現在ではドライバーとの会話の内容も変化しているという。

    「今では、彼らとの会話の多くが将来についてのものになっている。2026年型マシンにはどんな制約があり、2027年に向けてどうすればもう一度大きなステップを踏み出せるのか。それを考えている」

    2025年のアップデートとは根本的に違うAMR26B
    カルディレは、今回のアップデートと2025年に投入した大型パッケージには決定的な違いがあると説明する。

    「昨年、大規模なアップデートパッケージを投入したときは、その限界も分かっていた。改善幅という意味では、根本的な変化ではなかった」

    2025年のアップデートでも競争力は向上したが、マシンそのものの性格までは変えられなかったという。

    「少し競争できるようにはなったが、マシンのキャラクターを根本的に変えるものではなかった。ドライバーにとっては基本的に同じマシンで、ただ少しダウンフォースが増えただけだった。ドライブする楽しさが本当に変わったわけではなかった」

    だが、AMR26Bは違う。

    「今回は違う。全体的なダウンフォースという意味でも、このパッケージはベース車両と比較して非常に大きなステップになっている」

    さらに重要なのは、単に空力性能が向上しただけではないことだ。

    「マシンの挙動も変わっている。ドライバーへの情報の伝え方、コーナー中盤での反応、荷重変化への対応も変わった」

    「だから、いわば2つのステップを踏み出した。純粋なパフォーマンスが大幅に向上し、それと同時にドライバビリティも大きく改善した。それがドライバーにとって感覚が大きく違う理由であり、彼らから非常にポジティブなフィードバックが得られている理由でもある」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    シャシー改善でも隠せないホンダF1の出力不足
    AMR26Bの進歩は、空力性能やメカニカルバランスが重要になるサーキットでは明確に表れている。

    テクニカルなレイアウトでストレートが比較的短いザントフォールトでは、アロンソが9位に入り、シーズン2度目のポイント獲得を果たした。

    一方、パワーユニットへの依存度が高いモンツァとマドリンクでは、シャシーでは補えない弱点が露呈した。

    F1イタリアGPではアストンマーティンの2台が予選最後列に沈み、ポールポジションから約4秒遅れとなった。ストレートでは、トップチームだけでなくキャデラックなどに対しても大きなタイムを失った。

    続くF1スペインGPでは、アロンソが17位でフィニッシュ。優勝したアンドレア・キミ・アントネッリから2周遅れとなり、ストロールはブレーキトラブルによってリタイアした。

    原因のひとつがホンダF1のRA626Hだ。

    ホンダF1のパワーユニットは、FIAが基準としているレッドブルのパワーユニットに対して推定約70馬力の出力差を抱えているとされる。

    さらにレースではエネルギーマネジメントの問題も加わる。アロンソは上海で、予選では1周の約75%でパワーユニットの性能を最大限使用できる一方、ロングランではそれが約半分にまで低下すると説明していた。

    ホンダF1はザントフォールトで第2仕様のパワーユニットを投入したものの、トラックサイドのチーフエンジニアを務める折原伸太郎も、依然としてライバルに対して総合的なパワーで遅れていることを認めている。

    つまりAMR26Bによってダウンフォースが増え、ドライバビリティが改善され、以前の「壊れていた」状態から予測可能なマシンへと変貌しても、パワーが支配的なサーキットではその進歩が覆い隠されてしまう。

    シャシーは改善した。しかし、そのシャシーだけでパワーユニットの不足分を埋めることはできない。

    HRCの渡辺康治社長も、パワーユニットの問題を今シーズン中に完全に解決することは難しいとの認識を示している。

    AMR26Bを土台に2027年型マシンを開発
    アストンマーティンはすでに視線を2027年へと移している。

    カルディレによれば、ドライバーからも2027年型マシンについての質問が出るようになり、チームの開発リソースも来季プロジェクトへと重点が移されている。

    ハンガリーで投入されたAMR26Bの大型パッケージと、ザントフォールトで加えられた小規模な修正が、AMR26に予定されている最後の空力アップデートになるという。

    2027年型マシンは、AMR26Bによって確立された方向性を発展させるものになる。ただし、単純に現在のマシンを継続使用するのではなく、各コンポーネントは新たに設計される。

    その意味でAMR26Bには2つの役割がある。

    ひとつは、アロンソとストロールが自分の好みに合わせてセットアップできる予測可能なマシンを提供し、2026年シーズンの競争力を改善すること。そしてもうひとつは、2027年型マシンにつながる技術的な方向性を実戦で検証することだ。

    「これは我々にとって大きな意味を持っている。数字が変わっただけでなく、フィーリングそのものが変わったことを示している」

    シーズン序盤にはAMR26の挙動に苦しみ、フラストレーションを募らせていたアロンソとストロールだが、現在の議論はすでに2027年へと移っている。

    AMR26BによってアストンマーティンF1は、単なるダウンフォース増加以上の成果を手にした。予測不能だったマシンをドライバーが調整できるマシンへと変え、その方向性を次のF1マシンへとつなげようとしている。