レーシングブルズF1のチーム代表アラン・パーメインは、2027年のドライバー候補としてニコラ・ツォロフが「我々の検討対象に入っている」と認めた。一方で、リアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドについても「素晴らしいドライバー」と高く評価しており、決定を急ぐ必要はないとの考えを示している。
F2参戦1年目のツォロフは2026年のタイトル争いをリードしており、すでに6勝を記録。レッドブル・ジュニアの有力株としてF1昇格への期待が高まっている。
ローソンとリンドブラッドもレーシングブルズで結果を残しており、2027年のシート争いは激しくなりそうだ。ただし、最新の情報では2027年にF1へ直接昇格せず、レッドブルのリザーブドライバーを務めながらスーパーフォーミュラに参戦する育成プランも浮上している。
ツォロフも2027年の候補 パーメイン「検討対象に入っている」
F1スペインGPで2027年のドライバーラインアップについて質問されたパーメインは、PlanetF1.comなどに対し、まだ判断を下す段階ではないと説明した。
「正直なところ、我々にとってはまだ少し早い。我々は伝統的にもう少し待つ。来年どうするのかを今発表しなければならないようなプレッシャーはない」
そのうえで、F2で好成績を残しているツォロフが候補であることを認めた。
「もちろん、ニコラは我々の検討対象に入っている。彼は信じられないようなシーズンを送っている。F2参戦1年目で選手権をリードしている。すべてが彼にとって良い方向に進んでいる」
「とはいえ、私にはリアムとアービッドという2人の素晴らしいドライバーもいる。だから、これはうれしい悩みだ」
レーシングブルズは2026年、ローソンとリンドブラッドを起用。ルーキーのリンドブラッドが印象的なパフォーマンスを見せる一方、ローソンもシーズンを通じて評価を高めてきた。
ただし、ローソンは現在、夏休み中のトレーニングで左手首を負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングに乗っている。オランダGPからイタリアGP、スペインGPまで3戦にわたってRB22をドライブしており、レーシングブルズ復帰のタイミングはハジャーの回復状況に左右されている。
ローソンは2台を同時に準備「理想的ではない」
ローソンにとって難しいのは、自身の2027年の去就だけではない。各グランプリを前に、レッドブルとレーシングブルズのどちらで出場する可能性にも備えなければならない状況が続いている。
ローソンはイタリアGPで、どちらのマシンをドライブすることになるのか直前まで不透明な状況について「理想的ではない」と認めていた。
レッドブルRB22とレーシングブルズVCARB 03についても、「ドライブの仕方がまったく違う。だから理想的ではない」と説明している。
それでも、ローソンに対するレーシングブルズの評価は変わっていない。ツォロフの台頭によって2027年のシートをめぐる憶測が強まっているものの、パーメインは今回もローソンを高く評価していることを強調した。

F2首位ツォロフ イモラでF1マシン690kmを走行
一方、ツォロフは2025年からレッドブル・ジュニアチームに所属し、2026年はF2にステップアップ。ルーキーイヤーながら選手権をリードし、ここまで6勝を挙げている。レッドブルリンクからシルバーストンにかけては3レース連続優勝も達成した。
さらに8月にはイモラでレーシングブルズの2025年型マシン「VCARB 02」を使ったTPC(Testing of Previous Cars)に参加。690kmを走り込み、初めてF1マシンを本格的に経験した。
そのテストについてツォロフは、さまざまな感情が入り交じっていたと振り返った。
「正確にどんな感覚だったのかは、ちょっと思い出すのが難しいくらいだった。いろいろなことが同時に起きていたからね」
「もちろん良いパフォーマンスを見せたい。でも同時にクラッシュしたくないし、楽しみたいとも思う。いろいろな感情が混ざっていた」
「最初の走行で数周すると、どんどんリラックスできるようになった。その瞬間に自分の夢を実現できたことに、ほっとしたという感じだった」
事前のシミュレーター作業も実車への適応に大きく役立ったという。
「最初からかなり自信があった。シミュレーターが実際に経験したものと本当に近かったからだ。そのコースでは事前にシミュレーターで3回か4回セッションをやっていたので、かなり走り込んでいた」
2027年はリザーブ+スーパーフォーミュラ案も浮上
もっとも、レーシングブルズの候補に入っていることが、そのまま2027年のF1昇格を意味するわけではない。
9月16日には、ツォロフを2027年にF1へ直接昇格させるのではなく、レッドブルのリザーブドライバーを務めながら日本のスーパーフォーミュラに参戦させる案が検討されていると報じられた。
レッドブルは過去にも、F1昇格を控えた若手の育成にスーパーフォーミュラを活用している。ピエール・ガスリーは2017年、ローソンは2023年に日本でフル参戦し、ともにランキング2位を獲得。その後F1でレギュラーシートを手にした。
ツォロフについても、スーパーフォーミュラで実戦経験を積ませながら、F1ではリザーブ業務、TPC、シミュレーター、FP1などを組み合わせ、2028年以降の昇格に備えるプランが考えられる。
この育成策が実現すれば、レーシングブルズはローソンとリンドブラッドを2027年も継続起用しながら、ツォロフを将来のF1候補として育てる余地が生まれる。ローソンにとっても、ツォロフの即時昇格によってシートを失う可能性が低下することになる。
ツォロフ「F1に行く準備はできている」
注目が集まる2027年について、ツォロフ自身は具体的な話し合いが進んでいるわけではないと明かしている。
「僕はまだF2に完全に集中している。まずシーズンを終えなければならないから、レースごと、1日ごとに取り組んでいる。それが自分にとっても一番いいことだと思う」
「それ以上のことについて話し合いはない。良い結果を出し続ければ、チームが僕にとってベストなことをしてくれると思っている。だから、正しい決断をしてくれるとレッドブルを完全に信頼している」
そして、F1昇格のチャンスが訪れた場合には「準備はできている」と自信を示した。
レーシングブルズにとって2027年の選択肢は豊富だ。現在のラインアップを構成するローソンとリンドブラッドに加え、F2で急速に評価を高めているツォロフも候補に入っている。一方でツォロフにはリザーブとスーパーフォーミュラを組み合わせた育成案も浮上しており、レッドブルがF1昇格を急がない可能性も出てきた。パーメインが「うれしい悩み」と表現するドライバー選考は、ローソンの将来も含めて今後さらに注目を集めそうだ。