F1ドライバーの「肉弾戦」が減少 アルボン「今はメンタルの戦い」

F1ドライバーの「肉弾戦」が減少 アルボン「今はメンタルの戦い」

アレクサンダー・アルボンは、2026年のF1ではドライバー同士の「フィジカルな戦い」よりも「メンタルの戦い」の比重が大きくなり、ホイール・トゥ・ホイールで必要とされてきた重要な攻防のスキルが失われつつあると感じている。

2026年に導入された新たなエネルギーマネジメントは、ドライバーがオーバーテイクを組み立てる方法を大きく変えた。

エネルギーマネジメントが左右する2026年F1の攻防
こうした問題が特に顕著なのは、オーストラリアのアルバート・パーク、日本の鈴鹿、イギリスのシルバーストン、ベルギーのスパ、イタリアのモンツァといった「エネルギー不足」になりやすいサーキットだ。

一方、モナコ、ハンガリーのハンガロリンク、オランダのザントフォールトなどは「エネルギーリッチ」なサーキットとされ、マシンは継続的にエネルギーを回収し、それをデプロイすることができる。

プレシーズンには、こうした新たな要求が「高速のチェス」に例えられていた。ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンはさらに踏み込み、以前ならライバルとの間で仕掛けられた特定の「駆け引き」が、現在ではできなくなっていると説明した。

「フィジカルな戦いという意味では、メンタルの戦いの方が上回るようになったと思う。今はエネルギーマネジメントが非常に大きな部分を占めている」

アルボンはRacingNews365を含むメディアにそう語った。

「より戦術的になったと思う。昨年までにも戦術的な要素はあったけど、できるのは基本的にDRSを使った駆け引きだった。例えば、わざとペースを落としてDRSラインの前で相手を先に行かせるようなことだ」

「オーバーテイクされないためにできることは当時もあった。でも今は、ファクトリーでGPSデータを分析して、周囲のマシンが何をしているのかを予測しながら、僕たちが何をできるのか、どのモードスイッチを変更すべきなのかについて、すぐにフィードバックを受けているような状態だ」

「いろいろな意味で戦術的ではある。でも同時に、どうすることもできないと感じることもある。もうディフェンスすること自体ができないような場合もあるんだ」

アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

「本当の意味でのディフェンス技術がない」
アルボンはさらに、現在のF1レギュレーションによって、バトルのなかでドライバーがディフェンス能力を発揮する機会が制限されていると指摘した。

「本当の意味でのディフェンス技術というものがない。オーバーテイクするときの速度差があまりにも大きいからだ」

「以前はブレーキングで抜かなければならなかったし、レーシングラインを外してマシンを走らせなければならなかった。クリーンエアを得たり、ダーティエアのなかを走ったりする必要もあった。僕はそういうものが恋しい」

「ただ、戦術という意味では、今年は昨年よりもはるかに多くの時間をHPP(メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ)との話し合いに費やしている」

2026年のF1では、ドライバー自身のブレーキングやライン取りによる直接的な攻防だけでなく、バッテリーの残量やデプロイのタイミング、さらにはファクトリーから送られるデータを活用した戦術が重要性を増している。アルボンにとって、その変化はレースをより戦術的にする一方で、ドライバーが自らの技術でポジションを守る余地を減らすものでもある。