カテゴリー: メルセデスF1

  • メルセデスF1代表 ラッセルのタイヤ戦略を説明「変更のチャンスはなかった」

    メルセデスF1代表 ラッセルのタイヤ戦略を説明「変更のチャンスはなかった」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、2026年F1第13戦イタリアGPでジョージ・ラッセルが勝利を逃す結果となったタイヤ戦略について説明した。

    ラッセルは終盤まで優勝争いを展開したものの、フレッシュなミディアムタイヤを履いたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに逆転を許して2位。ヴォルフは、結果的に2ストップ戦略が有利だったと認めながらも、ラッセルには戦略を変更する「チャンスがなかった」と語った。

    アントネッリは19番手から逆転優勝
    エンジン関連のペナルティによって19番グリッドからスタートしたアントネッリは、序盤のリスタートでリスクを避けながら着実に順位を上げた。

    レースが進むにつれてラッセルとの争いに加わり、メルセデスの2台は何度もポジションを入れ替える展開となった。

    そして終盤、ランス・ストロールがコース上でマシンを止めたことでバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されると、アントネッリはピットインして新品のミディアムタイヤに交換した。

    一方、ラッセルはレース再開前に装着したハードタイヤで走り続けることになった。タイヤの性能差を生かしたアントネッリは終盤にラッセルをオーバーテイクし、今季7勝目を挙げた。

    ラッセルは2位でフィニッシュし、ドライバーズランキングでは首位アントネッリとの差が66ポイントに広がった。

    ヴォルフ「2ストップが最善だとは考えていなかった」
    ヴォルフは、アントネッリの走りを高く評価するとともに、メルセデスが当初は2ストップ戦略の方が速いとは予想していなかったことを明かした。

    「彼は集中を切らさず、序盤のリスタートではリスクを冒さず、そこから1台ずつ抜いていった。素晴らしいドライブだった」

    「結果的には2ストップが最善だった。でも、我々はそうなるとは考えていなかった」

    「だから、それが彼にとってうまく機能した。だが、今日の彼を止められるものは何もなかった。本当にうれしく思っている」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルは「使い古した武器」で終盤を戦った
    ヴォルフは、2ストップが有利だと判明した段階では、ラッセルの戦略を切り替える余地がなかったと説明した。

    「もちろん、ジョージは最後には使い古した武器で戦っていた」

    「だから、ワンツーという結果には本当に満足している。彼はハードを履いていた。我々は1ストップで行く必要があり、変更するチャンスはなかった」

    結果としてメルセデスはアントネッリとラッセルによるワンツーフィニッシュを達成したが、同じ戦略を採っていれば勝者が入れ替わっていた可能性も残った。

    アントネッリは19番手からの逆転で母国イタリアGP初優勝を飾り、タイトル争いでもリードを拡大。対するラッセルにとっては、終盤のVSCとタイヤ戦略が勝敗を分ける形となった。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGP母国初優勝をトロフィーいっぱいのパスタで祝福

    キミ・アントネッリ F1イタリアGP母国初優勝をトロフィーいっぱいのパスタで祝福

    キミ・アントネッリは、2026年F1第13戦イタリアGPで母国初優勝を飾った後、いかにもイタリアらしい方法で勝利を祝った。表彰台に戻り、優勝トロフィーいっぱいに盛られたパスタを味わう姿を披露した。

    メルセデスのアントネッリは、19番グリッドから驚異的な追い上げを見せ、終盤にはチームメイトでタイトル争いのライバルでもあるジョージ・ラッセルを逆転。モンツァのティフォシの前でトップチェッカーを受けた。

    モンツァの表彰台でトロフィーいっぱいのパスタ
    レース後、アントネッリは大勢のファンと喜びを分かち合い、クラウドサーフィンも披露。表彰式が終わり、ホームストレートを埋め尽くしていた数千人のティフォシが去った後も、その祝福は続いた。

    F1の機材を運ぶトラックが走り始めた頃、アントネッリは優勝トロフィーを手に再び表彰台へ戻った。

    そのトロフィーにはパスタがたっぷりと盛られていた。シンクに積み重ねられた食器から着想を得たデザインのトロフィーを巨大な皿のように使い、アントネッリはパスタを食べながら母国での勝利を祝った。

    アントネッリは、その様子とともにSNSでモンツァでの特別な一日を振り返った。

    「昨日のことを言葉で表すのは難しい。夢がかなったんだ」

    「僕が経験したことは絶対に忘れない。モンツァの表彰台は言葉では表せないよ。すべてのファンの温かさ、そしてどこまでも続く人の海だった」

    「これを可能にしてくれたすべての人、そして今年を特別なものにしてくれているすべての人に心から感謝したい」


    F1では過去にもユニークな飲食系セレブレーション
    F1では、食べ物や飲み物を使ったユニークな勝利の祝福は珍しくない。近年を代表するものが、ダニエル・リカルドが広めた「シューイ」だ。レース用シューズにシャンパンを注いで飲むこのセレブレーションには、俳優のサー・パトリック・スチュワートも参加したことがある。

    また、トロフィーを器として使う光景は、NHLのスタンレー・カップにも通じる。優勝チームの選手たちは長年にわたり、スタンレー・カップにシリアルやアイスクリーム、チキンウイング、ホットドッグなどを入れて楽しんできた。

    19番グリッドから母国モンツァで頂点まで駆け上がったアントネッリ。パスタを盛った優勝トロフィーは、初の母国F1勝利を象徴するユニークな思い出となった。

    イタリアGPを終え、アントネッリはドライバーズ選手権でラッセルに66ポイント差をつけて首位。3位のルイス・ハミルトンはさらに10ポイント後方につけており、次戦スペインGPへ向かう。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGPで母国初優勝に涙「絶対に忘れない一日」

    キミ・アントネッリ F1イタリアGPで母国初優勝に涙「絶対に忘れない一日」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1第13戦イタリアGP決勝で19番グリッドから大逆転を果たし、母国モンツァで今季7勝目を挙げた。イタリア人ドライバーによるイタリアGP制覇は1966年以来となる。

    スタート直後から猛烈な追い上げを見せたアントネッリは、赤旗中断と再スタートを経て一気に上位へ進出。チームメイトのジョージ・ラッセル、マックス・フェルスタッペンとの激しいトップ争いを展開し、終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)でフレッシュタイヤに交換すると、ラッセルを攻略して劇的な母国優勝を飾った。

    19番グリッドから大逆転「可能だと信じていた」
    アントネッリは19番グリッドという厳しい位置からスタートしたが、序盤から驚異的な追い上げを披露した。

    最初のスタートで次々とポジションを上げ、赤旗が提示された時点ですでに12番手まで浮上。再スタートでも勢いを維持し、そこからさらに順位を上げてトップ争いへ加わった。

    「可能だと信じていた。特に最初のスタートの後には12番手まで上がっていて、赤旗が出たときに『もう一度チャンスがある』と思った」

    「そこから気づいたらトップ争いの中にいて、自分にもチャンスがあると分かった。2番手まで上がって、ジョージとトップを争うようになったときには、強度を保ってプレッシャーをかけ続けなければならないと思った。その時点で僕が望んでいたのは、ただ勝つことだけだった」

    レース前には表彰台の可能性を考えていたものの、実際に勝利まで届くとは想像していなかったという。

    「表彰台は可能だと思っていた。でも、ここで勝てるとは思っていなかった。本当に信じられない。今日ここにいられるなんて想像もできなかったけど、僕たちはやり遂げた。本当に、本当にうれしい」

    ラッセルとの首位争い「勝てるチャンスがあると思った」
    再スタート後も順位を上げたアントネッリは、やがてチームメイトのラッセルに追いつき、メルセデス同士によるトップ争いに持ち込んだ。

    両者は何度も順位を入れ替え、その背後にはフェルスタッペンも迫っていた。

    「2回目のスタートの後には上位まで来ていたし、勝てるチャンスがあると分かっていた。特にジョージの後ろにいたときは、本当にそう思った」

    「でも、抜け出すのはすごく難しかった。後ろの2台もすごく強かったからね。それでもチャンスがあると思って、プッシュし続けた」

    アントネッリはタイトル争いへの影響よりも、目の前に現れた母国優勝のチャンスをつかむことだけを考えていた。

    「今日は勝つこと以外、何も考えていなかった。特にチャンスが見えたときはそうだった。かなりハードにプッシュしたし、賢くオーバーテイクして、バッテリーもうまく使おうとしていた。それがうまくいった」

    VSCで勝負のタイヤ交換
    レース終盤、VSCが導入されると勝負が大きく動いた。

    ハードタイヤのラッセルがステイアウトした一方、摩耗したミディアムを履いていたアントネッリはピットイン。フレッシュタイヤを装着してコースへ戻り、前を走るマシンを次々と攻略した。

    「VSCではポジションをいくつか失ったけど、ミディアムで追い上げて勝つだけのペースが僕たちにはあった」

    「僕たちはピットに入って、ジョージはステイアウトした。終盤には彼のタイヤが少し厳しくなっていた一方で、僕はフレッシュタイヤだったからペースを上げることができた。それで勝つことができた」

    19番手から追い上げながら、最後まで勝利を狙えるだけの速さがあったことについて、アントネッリはメルセデスの競争力も大きかったと認める。

    「今週末、僕たちが明らかに一番いいチームだったことも、追い上げるうえでは助けになった」

    グラベルに飛び出す危機「チャンスを失ったと思った」
    勝利への追撃中には、すべてを失いかねない瞬間もあった。

    ターン2付近では路面が崩れ、アントネッリはグラベルへ飛び出した。それでもコースへ復帰し、再びペースを取り戻した。

    「その瞬間はかなり怖かった。舗装が崩れていたけど、それでもコーナーを曲がれると思っていた。でも少しグラベルにも乗って、そのまま真っすぐ行ってしまった。そのときは『チャンスを失ったかもしれない』と思った」

    「でも幸い、まだペースがあった。それで最後まで持っていくことができた」

    母国での勝利を目前にしながらも、アントネッリはリスクを避けるのではなく、勝利をつかむために攻め続けた。

    「かなりハードにプッシュしていた。コースを外れる場面もあって、それは理想的ではなかったけど、今日はプッシュして、賢くオーバーテイクすることを心掛けた」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    モンツァの表彰台「想像していた以上だった」
    チェッカーを受けたアントネッリを待っていたのは、ホームストレートを埋め尽くしたイタリアのファンだった。

    「正直、想像していた以上だった。絶対に忘れない一日になると思う。これまでで一番特別な勝利だと思うし、今季最高の表彰台だ」

    「ストレート全体が信じられないくらいたくさんの人で埋め尽くされていて、その応援を感じられたのは夢のようだった」

    走行中に歓声を聞くことはできなかったものの、グランドスタンドの光景は目に入っていたという。

    「音はまったく聞こえなかった。でも、最初のシケインを出るところでは視界の端にファンが見えた。走っている最中に歓声が聞こえたら、それは大問題だからね。幸い、今のF1マシンもまだそれなりにいい音がする」

    その光景は、19番手から追い上げるアントネッリの力にもなった。

    「ファンがもう少しプッシュするための力をくれたと思う。今週末のサポートは本当に素晴らしかった。毎周グランドスタンドで応援してくれているのが見えて、それがもう少しプッシュして、もっといい走りをして勝とうという力になった」

    「絶対に忘れないレース」
    19番グリッドからの勝利は、アントネッリ自身にとっても特別なものとなった。

    「最高のレースはまだこれからだと思っている。でも、これまで走った中では間違いなく最高のレースのひとつだった。絶対に忘れないレースになる」

    アントネッリは勝利を支えたメルセデス、家族、そしてファンへの感謝も口にした。

    「チームは今日、信じられない仕事をしてくれた。素晴らしいマシンを用意してくれたし、ここまで僕を支えて助けてくれたすべての人に、いくら感謝してもしきれない」

    「夢がかなった。本当に信じられない一日だ。チーム、家族、そして僕を応援してくれるみんながいなければできなかった」

    ランキング首位でラッセルに66ポイント差
    今季7勝目を挙げたアントネッリは、ドライバーズランキングでラッセルとの差を66ポイントに広げた。それでもタイトルを意識しすぎるつもりはないという。

    「チャンピオンシップはあまり見たくない。今季は状況がものすごく早く変わることを見てきたからね。僕としては1レースずつ戦って、すべての結果、すべてのチャンスを最大限に生かすだけだ」

    「チャンピオンシップについて考えても意味はない。今この瞬間に集中して、1レースずつ戦っていかなければならない。そしてシーズンの最後にどこにいるのかを見ればいい」

    モナコGPに続いて大舞台で勝利し、今度は19番手から母国イタリアGPを制したアントネッリ。それでも残るシーズンへの姿勢は変わらない。

    「ここまでは間違いなくすごく強いシーズンだけど、まだたくさんのレースが残っているし、何が起こるか分からない。状況が一気に変わることもある」

    「だから自分にできることに集中して、1レースずつ、得られるすべてのチャンスを最大限に生かしていくことが本当に重要だ」

  • ジョージ・ラッセル F1イタリアGPで2位「VSCの正解は誰にも分からなかった」

    ジョージ・ラッセル F1イタリアGPで2位「VSCの正解は誰にも分からなかった」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1第13戦イタリアGP決勝を2位で終えた。

    序盤にトップへ浮上し、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリやマックス・フェルスタッペンと勝利を争ったが、終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)を境に形勢が逆転。母国グランプリを制したアントネッリに勝利を譲る結果となった。

    ラッセルはVSCでステイアウトし、アントネッリはピットインしてフレッシュタイヤを装着。メルセデスが2台の戦略を分けたことで、最後はタイヤの差を生かしたアントネッリがラッセルを攻略した。勝利を目前で逃したラッセルは悔しさを認めながらも、チームの判断を支持し、自身のパフォーマンスにも前向きな手応えを示した。

    序盤からトップ争い「すべてを出し切った」
    ラッセルはスタート直後こそポールポジションのピエール・ガスリーに先行を許したものの、2周目にトップを奪取。その後はフェルスタッペン、さらに19番グリッドから急浮上してきたアントネッリを交えた激しい首位争いを展開した。

    「勝利まであと少しだったのに、それを達成できなかったのは悔しい。でも、そういうこともレースではある。僕はすべてを出し切った」

    「それでもチームにとっては素晴らしい結果だし、母国レースで勝ったキミには心からおめでとうと言いたい。僕自身にとってもチームにとっても、この週末から持ち帰れるポジティブなことはたくさんある。週末を通して素晴らしいペースを示したし、レースでも最後まで懸命に戦った」

    アントネッリが序盤から猛烈な追い上げを見せていることは、ラッセルも早い段階で認識していた。

    「ほんの数周が終わった時点で、彼がもう5番手あたりにいるのを見た。まるでグリップのペナルティなんてまったくないようだった。どうやったのか分からないくらいだ。明らかに素晴らしい走りだった」

    アントネッリと何度も首位を入れ替える
    レース中盤にはラッセルとアントネッリによる直接対決となり、何度も首位が入れ替わった。ラッセルはエネルギーマネジメントを駆使しながら、攻守のタイミングを計っていたという。

    「僕はあのバトルで何をする必要があるのか、かなり正確に分かっていた。守るためのエネルギーマネジメントも、いつ攻めて仕掛けるべきかもね。このレースに向けて、その部分はかなり準備していた」

    一方で、3番手にはフェルスタッペンが迫っており、メルセデスにとってはチームメイト同士を自由に争わせ続けることが難しい状況でもあった。

    「キミとマックスとのバトルは本当に楽しかった。同じ形で最後まで戦い続けられたらよかったんだけどね」

    アントネッリとの直接対決についても、ラッセルは「お互いにハードにレースをしたけど、常にリスペクトがあった。勝利を懸けてホイール・トゥ・ホイールで戦えたのは楽しかった」と振り返った。

    VSCで明暗「誰にも正解は分からなかった」
    勝負を大きく動かしたのが、終盤に導入されたVSCだった。

    ハードタイヤを履いていたラッセルはコースに残った一方、摩耗したミディアムタイヤを履いていたアントネッリはピットイン。フレッシュタイヤに交換したアントネッリは失ったポジションを取り戻し、最後はラッセルを抜いてトップに立った。

    「VSCは間違いなくレースが変わった瞬間だった。あの時点では何が正しい判断なのか、誰にも分からなかったと思う。ピットに入るのか、ステイアウトするのか、どちらが正解なのかは誰にも分からなかった。たぶん今になっても、どちらがベストだったのかは分からない」

    ラッセル自身はピットインを考えておらず、後続もステイアウトすると予想していた。

    「僕は考えなかった。実際、後ろのドライバーたちもステイアウトすると思っていた。でも、ピットウォールでは僕たちのバトルを見ながらかなり緊張していたと思うし、2台を別々の戦略にすることには満足していたんじゃないかな」

    「マックスも争いに加わっていたから、チームの立場では両方のシナリオをカバーすることになる。あの状況で2台の戦略を分けたのは、僕たちができる最善の判断だった」

    「VSCがなければどうなっていたか興味深い」
    赤旗中断時にハードタイヤへ交換していたラッセルは、そのまま最後まで走り切れると考えていた。対してアントネッリとフェルスタッペンはミディアムを履いていたため、レース中盤には自分が有利な立場にいると感じていたという。

    「最後まで走るなら、ハードが間違いなくベストなタイヤだった。最後まで行けると思っていたし、マックスとキミがミディアムなのを見たときはかなりいい気分だった。彼らの方が僕よりデグラデーションが大きくなると分かっていたからね」

    VSCが出る直前にはラッセルがトップを走る時間帯もあり、タイヤの違いが終盤にどう作用するのかは分からないままだった。

    「VSCが出る前には、2周か3周くらい僕がトップを走っていた。チームは当然、キミと僕が争うことを望んでいなかった。だからVSCがなかったらレースがどう展開していたのか、すごく興味深かったと思う」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    アントネッリを称賛「素晴らしい仕事をした」
    戦略によって勝敗が分かれた形にはなったものの、ラッセルはアントネッリの勝利そのものには惜しみなく賛辞を送った。

    「もちろんキミには大きな祝福を送りたい。信じられない結果だ。レース序盤に順位表を見たら、もう4番手か5番手あたりまで来ていた。その時点で彼が僕たちとの争いに加わってくることはすぐに分かった」

    「今日はキミが素晴らしい仕事をした。彼の走りから何かを差し引くものは何もない」

    勝利は逃したが、ラッセルにとっては自身の状態を取り戻したことも大きな収穫だった。サマーブレイク前には厳しいレースが続いていたが、後半戦に入ってからは再び上位争いを続けている。

    「サマーブレイク前は厳しい流れだったことは隠すことでもない。でも、今日キミが何を達成したかとは切り離して、自分自身の結果を見れば、また表彰台に戻って、レースを通して勝利を争うことができた」

    「もちろん今日は勝ちたかった。でも、シャットダウン前と比べれば、僕のパフォーマンスははるかによくなっている。自分のパフォーマンスには満足している」

    選手権は66ポイント差「逆転は極めて難しい」
    イタリアGPを終え、ランキング首位のアントネッリとラッセルとの差は66ポイントに拡大した。

    ラッセルはタイトル争いについて、現時点では逆転を意識するのではなく、残るレースで可能な限り勝利を積み重ねることに集中すると語った。

    「キミが主導権を握っているのは間違いないし、それに値する走りをしている。僕自身は逆転とか、そういうことはまったく考えていない。1レースずつ集中して、毎週末を最大限に生かそうとしているだけだ」

    「彼は信じられないくらいうまくやっている。この差をひっくり返すのは極めて難しい。だから今の状況を受け入れて、ここからは楽しみながら、できるだけ多くのレースで勝ちたい」

    勝利にはあと一歩届かなかったラッセルだが、メルセデスはアントネッリとのワンツーフィニッシュを達成。ラッセル自身も、サマーブレイク前の不振から抜け出し、再び勝利を争える状態に戻ったことをモンツァで示した。

  • メルセデスF1代表 フェルスタッペンに不満「ラッセルはマックスにしてやられた」

    メルセデスF1代表 フェルスタッペンに不満「ラッセルはマックスにしてやられた」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、2026年F1イタリアGP予選でジョージ・ラッセルがポールポジションを逃した一因として、Q3最後のアタック直前にマックス・フェルスタッペンとの間で起きた駆け引きを挙げた。

    ラッセルは1分21秒846を記録して2番手。最後に驚異的なラップをまとめたアルピーヌのピエール・ガスリーにわずか0.060秒差で逆転され、ポールポジションを逃した。

    ヴォルフは、ラッセルの最終アタックがフェルスタッペンの動きによって妥協を強いられたと考えている。

    ヴォルフ「最終的にそれがポールを失わせた」
    予選前にはポールポジションの有力候補とみられていたラッセルだが、Q3最後のアタックでは自己ベストを更新できなかった。

    何か問題があったのかとSky Sports F1に問われたヴォルフは、フェルスタッペンとの位置取りが影響したと説明した。

    「そうだ。最後のランでラップを始めようとしたとき、ジョージはマックスにやられてしまったと思う」

    「単純に距離が近すぎた。それによって最終的にラップタイムが損なわれ、それがポールポジションを失わせた」

    ラッセル自身も、最終アタックを開始する際にフェルスタッペンとの間隔が近くなりすぎたと振り返っている。

    「すべて順調に見えていた。でもパラボリカに入るところで、マックスが急に強くブレーキを踏んだ。先頭で走りたくなかったんだ」

    「結果論だけど、こういうことをしようとしない方がよかったかもしれない。でも2番手はいいスタート位置だ」

    モンツァではスリップストリームの効果が大きいため、予選では各ドライバーが前を走ることを避けようとする駆け引きが発生する。ラッセルとフェルスタッペンも最終アタックを前に位置関係を探る形となり、その結果としてラッセルは十分な間隔を確保できないままアタックに入ることになった。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ガスリーのストレートスピードを警戒
    それでもラッセルは決勝をフロントロウの2番手からスタートする。さらに、タイトル争いの直接のライバルでありメルセデスのチームメイトでもあるアンドレア・キミ・アントネッリは、パワーユニット交換によるペナルティで後方からのスタートとなる。

    ラッセルにとっては59ポイントの差を縮める大きなチャンスとなるが、ヴォルフはポールポジションを獲得したガスリーを含め、周囲のライバルを軽視できないと語った。

    「誰のことも真剣に考えなければならない」

    「彼らはストレートで非常に速い。かなりドラッグを減らしてきていて、1周のラップでは、それが必要なものだったことが証明された」

    「レースはまったく別物だ。どうなるか見てみよう」

    ガスリーにとってモンツァは、2020年にF1初優勝を飾った思い出深い舞台でもある。今回はアルピーヌで自身初のポールポジションを獲得し、再び番狂わせを起こす可能性を残している。

    アントネッリの表彰台浮上には慎重
    一方、後方からスタートするアントネッリが決勝で表彰台まで挽回できる可能性について、ヴォルフは現実的には厳しいとの見方を示した。

    「それを求めるのは少し酷だと思う」

    「ある程度の後方集団を抜けていくと、そこから非常に難しくなるのが分かる。パフォーマンスの差がとても小さいからだ」

    「まったく違う戦略を採って、多少ギャンブルを仕掛けるのでなければ、表彰台まで行くのは難しいと思う」

    メルセデスにとって、ラッセルの2番手は決勝に向けて十分に勝利を狙える位置だ。一方でヴォルフには、わずか0.060秒差だっただけに、フェルスタッペンとの最終アタック前の駆け引きがなければポールポジションを獲得できたという悔しさが残った。

  • ジョージ・ラッセル F1イタリアGP予選「ガスリーは飛ぶように速かった」

    ジョージ・ラッセル F1イタリアGP予選「ガスリーは飛ぶように速かった」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1イタリアGPの予選でポールポジションをわずか0.060秒差で逃し、2番手となった。最後に逆転したのはアルピーヌのピエール・ガスリー。ラッセルにとっても予想外の結果だった。

    チームメイトのキミ・アントネッリがパワーユニット交換によるペナルティで後方グリッドからのスタートとなり、フェラーリも週末序盤の速さを予選では再現できなかったことで、ラッセルにはポール獲得の絶好のチャンスが訪れていた。

    しかし、Q1から速さを見せていたガスリーが最後に驚異的なラップをまとめ、ラッセルを上回った。

    ラッセルはQ3最初のアタックでアントネッリのトウを利用してトップタイムを記録。マシンの「フロントのロックと不安定さ」を訴えながらも、最後のアタックではさらにタイムを縮めた。

    それでもガスリーは上回った。アルピーヌは予選を通じて目を引くペースを発揮し、最後のアタックでラッセルを0.060秒差で退けてポールポジションを獲得した。

    「予選前のチェスでも負けた」ガスリーを称賛
    「まず、ピエールには本当におめでとうと言いたい。信じられないパフォーマンスだった」とラッセルは語った。

    「実は予選が始まる15分くらい前までチェスをしていて、そこで彼に負けたんだ。でも僕は『まあ、予選では僕が勝つよ』と思っていた。それがこの結果だ!」

    「また彼が僕の前にいる。だから本当におめでとう。もちろん、ポールポジションを取れなかったことにはがっかりしている。ラップを始めるところではマックス・フェルスタッペンがいて、少しごちゃごちゃしていた」

    「かなりいいラップをまとめられたと思うけど、ピエールとアルピーヌはQ1からずっとものすごく速かった。彼らがいい結果を出したのはうれしいよ」

    ラッセルは決勝をフロントローからスタートする。ドライバーズ選手権ではランキング2番手につけており、首位アントネッリとの差は59ポイント。チームメイトが後方からスタートするモンツァは、その差を縮める大きなチャンスとなる。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    モンツァでは「ポールの重要性は最も低い」
    予想外の形でポールを逃したものの、ラッセルは決勝に向けた自信を失っていない。オーバーテイクのチャンスが多いモンツァでは、2番手スタートでも勝利を十分に狙えると考えている。

    「全サーキットのなかでも、勝利を争ううえでポールポジションにいることの重要性が最も低いのは、おそらくここだと思う」

    「ピエールがポールを取ったのを見て本当にうれしかった。彼は素晴らしいドライバーだし、素晴らしい人間でもある。これまでポールを争えるマシンを手にする機会はそれほど多くなかった。でも今週末の彼らは飛ぶように速かった」

    アルピーヌの予選ペースはメルセデスにとっても想定以上だった。ラッセルは、金曜日のFP2で示されていた速さを改めて詳しく分析する必要があると認めた。

    「今になってFP2のデータをもう少し詳しく見直すことになると思う。僕たちは彼らが脅威になるとはまったく考えていなかったからね」

    「彼らが以前より競争力を増していることは分かっていた。でも、プラクティスでは燃料搭載量が少なかったり、高いパワーを使っていたりするチームもある」

    「無視していたとは言わないけど、彼らがポールポジションを争うことになると予想していた人は誰もいなかったと思う」

    わずか0.060秒でポールを逃したラッセルだが、モンツァではスタート位置以上に決勝でのレースペースやトウの使い方が重要になる。予想を覆して最前列に並んだガスリーとラッセルが、決勝の勝利争いでどのような展開を見せるか注目される。

  • キミ・アントネッリ フェラーリF1新PUを警戒「メルセデスと同じ速さになった」

    キミ・アントネッリ フェラーリF1新PUを警戒「メルセデスと同じ速さになった」

    メルセデスのキミ・アントネッリは、F1イタリアGPで投入されたフェラーリのアップグレード版パワーユニットについて、大きな進歩を遂げたとの見方を示した。金曜日の走行データから、ストレートスピードでは「今は同じ速さ」になったと分析している。

    モンツァで行われたFP2では、ジョージ・ラッセルがトップタイムを記録し、フェラーリのシャルル・ルクレールが0.120秒差の2番手、アントネッリが3番手につけた。

    これまでエンジン性能とストレートスピードでメルセデスに後れを取っていたフェラーリだが、アントネッリは新PUによってその差が縮まったと警戒している。

    フェラーリ新PUの進歩を実感
    フェラーリはホームレースとなるモンツァにアップグレード版のパワーユニットを投入した。その真の実力が明らかになるのは予選と決勝だが、アントネッリは金曜日に得られたデータから、すでに明確な変化が見えていると語った。

    「フェラーリは新しいエンジンで間違いなく一歩前進した」

    「今ではスピードは同じだ。彼らのマシンがコーナーでどれだけ優れているかは分かっているから、明日のポール争いは間違いなく接戦になると思う」

    フェラーリは今季、ストレートスピードとエンジン性能でメルセデスに対して劣勢を強いられてきた。しかし、パワーが重要となるモンツァでその差が縮まったとなれば、予選での勢力図にも大きな影響を与える可能性がある。

    実際、FP2ではラッセルとルクレールの差はわずか0.120秒。アントネッリ自身も3番手につけており、メルセデスとフェラーリが予選で激しい争いを繰り広げる展開を予想している。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    最後尾スタートを見据えてロングランを重視
    一方、アントネッリ自身は今季の信頼性問題によって規定数を超えるパワーユニットコンポーネントを使用するため、母国F1イタリアGPを最後尾からスタートすることが決まっている。

    そのため金曜日は通常とは異なり、予選に向けた1周の速さよりも決勝を想定したロングランに重点を置いた。

    「今日は普段とは少し違う一日だった。ロングランにかなり重点を置いていたから、正直に言うとちょっと変な感じだった。でも全体的にはいい一日だった。たくさんのデータを集められたし、これからの2日間が楽しみだ」

    さらにアントネッリは、他車の後方を走ることで、ライバル勢のエネルギー配分についても確認していたことを明かした。

    「今日のロングランでは、他のマシンの後ろを走って、彼らが何を違うようにやっているのか、僕たちと比べてどこでエネルギーを使っているのかを見ることができて興味深かった」

    「だから、とても面白かった。たくさんのデータを集められたと思うし、それを確認して明日に向かいたい」

    アントネッリは最後尾スタートが確定していることから、予選ではチームメイトでありタイトル争いの直接のライバルでもあるラッセルにスリップストリームを提供し、ポールポジション獲得を援護する意向をすでに明らかにしている。

    フェラーリの新PUによってストレートでの差が縮まったとすれば、メルセデスにとって予選はこれまで以上に厳しい戦いとなる。アントネッリが指摘した通り、コーナリング性能を武器とするフェラーリとメルセデスによるポール争いが、土曜日の大きな焦点となりそうだ。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGPでロッシ仕様ヘルメット 2002年ムジェロに敬意

    キミ・アントネッリ F1イタリアGPでロッシ仕様ヘルメット 2002年ムジェロに敬意

    F1世界選手権リーダーとして母国イタリアGPを迎えるアンドレア・キミ・アントネッリが、バレンティーノ・ロッシへの敬意を込めたスペシャルヘルメットをモンツァで使用する。

    デザインのモチーフとなったのは、MotoGPのレジェンドであるロッシが2002年のイタリアGP(ムジェロ)で使用したヘルメットだ。ロッシ本人との親交も深いアントネッリにとって、母国で走る特別な週末に実現させたかった個人的なトリビュートでもある。

    2002年ムジェロのロッシのヘルメットを再解釈
    今回のヘルメットは、ロッシの数々のヘルメットを手掛けてきたアルド・ドルディが、ロッシとの協力のもとでデザインしたものだ。

    ベースとなったのは2002年のムジェロでロッシが使用したデザインで、イタリア国旗を象徴するトリコローレを取り入れながら、2026年のアントネッリ仕様として再構成されている。

    アントネッリはSNSで「ホームではスペシャルカラーで走る」と紹介し、このデザインが実現した経緯を明かした。

    「僕にとって特別な願いだった。Vale(ロッシ)が使っていたヘルメットからインスピレーションを得たものをかぶって走りたかったんだ」

    「2002年のムジェロのヘルメットを提案してもらったとき、すぐにこれが正しいものだと分かった」

    「ドルディ・パフォーマンスが、今年のホームレース用としてこのバージョンに作り直す素晴らしい仕事をしてくれた。この特別な機会を与えてくれたValeには本当に感謝している。光栄だよ」

    ロッシはMotoGP最高峰クラスで7度、全クラスを合わせて9度の世界タイトルを獲得したイタリアを代表するライダーだ。最高峰クラスで89勝、全クラス通算では115勝を記録し、2021年シーズン限りでMotoGPから引退した。

    アントネッリにとってロッシは単なる憧れの存在ではなく、親しい友人でありメンターでもある。そのロッシを象徴するデザインを、自身がF1世界選手権首位として迎える母国GPで使用することになった。


    選手権首位で迎える母国モンツァ
    2026年のアントネッリは、メルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセル、そしてフェラーリのルイス・ハミルトンに59ポイント差をつけてドライバーズ選手権をリードしている。

    前年とは大きく異なる立場でモンツァに戻ってきたアントネッリは、母国GPを選手権首位として迎えることについて特別な感情があると語った。

    「とても特別な気分だ。去年とは間違いなく大きく違うし、最後尾からのスタートになるとはいえ、この週末を本当に楽しみにしている」

    ただし、レース週末には大きなハンディキャップが待っている。2026年シーズンに認められたパワーユニットの使用基数を超えたことで、アントネッリはグリッド降格ペナルティを受け、決勝を最後尾からスタートする。

    それでも本人は、この状況をプレッシャーから解放される機会として前向きに捉えている。

    「僕にとって大きなチャンスでもあるし、本当に楽しみにしている。すごく楽しめると思う。以前よりもずっと週末を楽しめるだろうし、それでも素晴らしいレースができればと思っている」

    「最後尾からスタートすることで、ある意味ではプレッシャーが軽くなると思う。もちろん、本当ならポールポジションを争って前からスタートしたいけどね。でも、ある意味では週末に向けて少しリラックスできる」

    「だからこそ、ドライビングも週末そのものも、もっと楽しめると思う」

    最後尾スタートを逆手に取った週末
    予選でどれだけ上位に入っても決勝グリッドでは後方に下がることから、メルセデスとアントネッリには通常とは異なるアプローチを試す余地も生まれる。

    特にフリー走行では、予選での一発の速さだけに重点を置くのではなく、決勝での追い上げを見据えたセットアップやタイヤの使い方を検証できる。

    「違うことを試すチャンスでもある。特にフリー走行では、普段とは違う仕事の進め方を試すことができるからね。そういう意味でも、とても興味深い週末になると思う」

    F1世界選手権リーダーとして初めて迎える母国イタリアGP。最後尾スタートという難題を背負う一方で、アントネッリは自身に大きな影響を与えたロッシへの敬意を示す特別なヘルメットとともにモンツァを走る。

  • キミ・アントネッリ フェラーリF1移籍説を一蹴「メルセデスでとても幸せ」

    キミ・アントネッリ フェラーリF1移籍説を一蹴「メルセデスでとても幸せ」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1イタリアGPを前に将来的なフェラーリ移籍をめぐる憶測について言及し、現在所属するメルセデスで「とても幸せ」だと強調した。

    母国モンツァにドライバーズ選手権首位として乗り込んだ20歳のアントネッリは、チームメイトのジョージ・ラッセルに59ポイント差をつけている。一方、パワーユニットの年間使用上限を超えたことで、決勝では最後尾からスタートすることが決まっている。

    それでも、イタリア人ドライバーがF1世界選手権をリードして母国GPを迎えるという状況は、ティフォシにとって大きな注目材料だ。アントネッリがフェラーリではなくメルセデスをドライブしているとはいえ、2026年の躍進とともに、将来的にマラネロへ移籍する可能性をめぐる話題も増えている。

    「フェラーリは巨大で素晴らしいブランド。でも僕はメルセデスで幸せ」
    イタリア人である以上、キャリアを通じてフェラーリと結びつけられることは避けられないと受け入れているかと質問されたアントネッリは、「もちろん」と答えた。

    「僕自身がイタリア人だから、僕たちがどれだけ感情的で、物事にどれだけ熱くなるかは分かっている。時には熱くなりすぎることもある」

    「だから、もちろん、こういう話はこれからもずっと出てくると思う」

    「でも結局のところ、フェラーリが巨大で素晴らしいブランドであるのと同じくらい、僕は今いる場所でとても幸せだ。メルセデスでとても幸せだよ。僕が子どものころからチャンスを与えてくれたのは彼らだからね。僕には彼らに恩返しできることがまだたくさんあると感じている」

    メルセデスの育成プログラムでキャリアを築き、F1への道を切り開いてきたアントネッリにとって、現在の成功は長年支えてきたチームとの関係の延長線上にある。フェラーリへの敬意を示しながらも、現時点で移籍を考えていないことを明確にした形だ。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) イタリアグランプリ

    最後尾スタートが母国GPのプレッシャーを軽減
    アントネッリは日曜日の決勝で、新たなパワーユニットを搭載したW17により最後尾からスタートする。

    母国ファンの前でポールポジションや優勝を争いたかったという思いはあるものの、アントネッリはグリッド降格によって週末にかかるプレッシャーが多少軽くなるという意外な側面も認めた。

    「ある意味では、プレッシャーを和らげる助けになると思う」

    「もちろん、本当ならポールポジションを争って前方からスタートしたい。でも、ある意味では、この週末に入るにあたって少しリラックスできるような気がしている」

    「だからこそ、ドライビングそのものや週末をもっと楽しめると思う」

    さらに、最後尾スタートが決まっていることで、メルセデスにはフリー走行で通常とは異なるセットアップや作業方法を試す余地も生まれる。

    「もちろん、これは違ったチャンスでもある。週末を通して違うことを試したり、特にフリー走行では普段とは違う作業方法を試したりする機会になる。今回はそれができるからね」

    選手権首位として初めて母国F1イタリアGPを迎えるアントネッリ。フェラーリ移籍を期待する声が今後も消えることはなさそうだが、本人の視線はメルセデスでのタイトル争いと、最後尾から挑むモンツァでの戦いに向けられている。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGPで挑む「60年の呪い」最後の母国優勝は1966年

    キミ・アントネッリ F1イタリアGPで挑む「60年の呪い」最後の母国優勝は1966年

    キミ・アントネッリが、2026年F1第13戦イタリアGPで60年間破られていない記録に挑む。モンツァで開催されたF1イタリアGPでは、1966年のルドヴィコ・スカルフィオッティを最後にイタリア人ドライバーが優勝していない。

    2026年に飛躍を遂げたアントネッリは、12戦を終えてドライバーズ選手権首位に立っている。2位のジョージ・ラッセル、3位のルイス・ハミルトンに59ポイント差をつけており、母国モンツァで「60年の呪い」を終わらせる最有力候補として期待を集めている。

    1966年以来イタリア人が勝てないモンツァ
    イタリアGPの歴史は1921年までさかのぼる。初期には複数の場所で開催されたが、1949年以降はサーキット改修のためイモラで開催された1980年を除き、モンツァがその舞台となってきた。

    1922年から1952年までには、イタリア人ドライバーがイタリアGPで14勝を記録している。しかし、その後は状況が大きく変わった。

    最後に母国イタリアGPを制したイタリア人は、1966年のルドヴィコ・スカルフィオッティだ。フェラーリを駆ったスカルフィオッティの勝利以来、モンツァの表彰台中央にイタリア人ドライバーが立つことはなく、2026年でちょうど60年となる。

    エリオ・デ・アンジェリスやリカルド・パトレーゼはキャリア中にイタリア国内で開催されたサンマリノGPを制しているが、モンツァでのF1勝利という意味ではスカルフィオッティが最後のままだ。

    アルボレートやパトレーゼも届かなかった母国優勝
    この60年間、何人かのイタリア人ドライバーが記録を途切れさせるところまで迫った。

    ミケーレ・アルボレートは1984年、フェラーリで2位に入り、マクラーレンのニキ・ラウダに次いでフィニッシュした。さらに1988年にも2位となり、このときはフェラーリのチームメイトであるゲルハルト・ベルガーからわずか0.5秒あまりの差だった。

    1992年にはパトレーゼが残り6周までトップを走行していたものの、油圧系のトラブルに見舞われて5位に後退。母国優勝を目前で逃した。

    その後、モンツァで表彰台に上がったイタリア人ドライバーは、2005年にルノーで3位となったジャンカルロ・フィジケラだけだ。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) イタリアグランプリ

    アントネッリがイタリアの新たな希望
    そして2026年、イタリアが待ち続けた新たな優勝候補としてモンツァに戻ってくるのがアントネッリだ。

    昨年のイタリアGPでは9位だったが、今季は状況がまったく異なる。20歳になったばかりのアントネッリはF1世界選手権をリードしており、史上最年少ワールドチャンピオンも視野に入れている。

    モンツァはアントネッリにとって特別な場所でもある。メルセデスから初めてF1公式セッションに出走した2024年のイタリアGPのFP1では、激しいクラッシュを喫し、衝撃は52Gを記録した。それから2年、今度は選手権リーダーとして同じサーキットに戻る。

    しかし、母国初優勝を目指すアントネッリには大きな障害が待っている。

    PU交換で最後尾スタートへ
    メルセデスはイタリアGPでアントネッリのパワーユニット(PU)コンポーネントを交換する予定で、年間使用上限を超えることからグリッド降格ペナルティを受ける。

    これにより、アントネッリは最後尾から決勝をスタートする見通しとなっており、本来なら優勝候補のひとりとして迎えるはずだった母国GPで極めて厳しい戦いを強いられる。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、「彼にとっても、母国レースで前方を争う姿を見たいファンにとっても残念なことだ。しかし、このスポーツは感情を考慮してはくれない」と語った。

    アントネッリにとって、まず重要になるのは後方からどこまで順位を取り戻し、選手権争いで最大限のポイントを持ち帰れるかだ。

    それでも、1966年以来途絶えているイタリア人によるモンツァ制覇という歴史がある以上、アントネッリの母国GPには特別な意味が加わる。最後尾スタートという大きなハンディを背負う2026年に「60年の呪い」を破るのは容易ではないが、イタリアの期待を背負う新たな主役であることに変わりはない。