カテゴリー: メルセデスF1

  • ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

    ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

    メルセデスF1でジョージ・ラッセルの立場が変わりつつある。ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍後、チームの新たなリーダーになるとみられていたラッセルだが、2年目を迎えたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリが台頭。現在は選手権でもアントネッリが59ポイント上回っている。

    元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、この状況について、かつてルイス・ハミルトンのチームメイトとして長くメルセデスに在籍したバルテリ・ボッタスとの類似性を指摘する。

    ただし、ラッセル自身がその立場を受け入れるかどうかによって、今後のキャリアは大きく変わるとみている。

    ハミルトン後のリーダー候補から状況が変化
    ラッセルは2017年にジュニアドライバーとしてメルセデスの育成プログラムに加入し、ウィリアムズでの3シーズンを経て、2022年にワークスチームへ昇格した。

    その際にラッセルが引き継いだのが、ボッタスのシートだった。ボッタスは2017年から2021年までメルセデスに所属し、ハミルトンのチームメイトとしてチームのコンストラクターズタイトル獲得に貢献した。

    その後、ハミルトンがフェラーリへ移籍すると、ラッセルがメルセデスの中心的な存在になると考えられていた。チームはハミルトンの後任として若手のアントネッリを抜擢し、経験豊富なラッセルがチームを牽引する構図になるとみられていたからだ。

    しかし、2人がチームメイトとなって2シーズン目を迎えた現在、その力関係には変化が表れている。アントネッリはドライバーズ選手権でラッセルを59ポイント上回り、パフォーマンス面でも存在感を強めている。

    シュタイナー「ボッタスのように見える」
    こうした状況から、ラッセルがメルセデスにおける「新しいボッタス」になりつつあるのではないかとの見方も出ている。

    この比較について尋ねられたシュタイナーは、断定こそ避けながらも、両者の状況に共通点があることを認めた。

    「難しい質問だ。彼がどう反応するのかを見てみよう」

    「そう見える。実際にそうなのかどうかは分からないが、そう見えるんだ。本当にそう見える」

    シュタイナーが注目しているのは、単にラッセルがアントネッリに後れを取っているという点だけではない。今後も現在の力関係が続いた場合、ラッセル自身がメルセデスでの立場をどう受け止めるかが重要になると考えている。

    ボッタスはメルセデスでハミルトンのチームメイトを5年間務めた。シュタイナーは、ラッセルが同じような立場に置かれた場合、それを受け入れるとは限らないと指摘する。

    「もしこの傾向が長期的に続くのであれば、それはジョージ次第でもある」

    「バルテリは明らかにその立場に満足していた。だからこそ、彼は非常に長い間そこにいたんだ」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルには「別の道を探す」という選択肢
    一方でシュタイナーは、ラッセルの将来がすでにメルセデスのナンバー2という立場に固定されたわけではないとも考えている。

    ラッセルがチーム内でアントネッリと同等の機会を得られていないと感じたり、将来的にチームのリーダーになることが難しいと判断したりした場合、自ら別のチームへ移るという選択肢があるからだ。

    「ジョージがこの状況に満足していないのであれば、別の道を探さなければならない」

    「ただ、別の選択肢を見つけるのは簡単ではない。来年については空いているシートがないからだ。でも、2028年なら可能性はあるかもしれない」

    つまりシュタイナーの見方では、ラッセルにとって問題となるのは現在の序列そのものよりも、それが今後も続いた場合にどう行動するかという点にある。

    メルセデスに残れば、アントネッリがチームの中心的存在へと成長していくなかで、ラッセルが事実上のナンバー2という立場に置かれる可能性もある。一方、別のチームへ移籍すれば、自らがリーダーとなれる環境を探すこともできる。

    「残りの人生ずっと2番手にはなりたくない」と考える可能性
    シュタイナーは、ラッセル自身がボッタスと同じキャリアを歩むことを望まない可能性があるとみている。

    「もしかするとジョージは『次のバルテリ・ボッタスにはなりたくない。ここに10年間いて、残りの人生ずっと2番手で終わるなんて嫌だ。どこか別の場所へ行かなければならない』と考えるかもしれない」

    「だが、それを決めるのは彼自身だ。メルセデスではない」

    アントネッリはメルセデスが長期的な将来を託して育成してきたドライバーであり、その存在感が高まれば、ラッセルを取り巻くチーム内の構図も変化していく可能性がある。

    一方で、現時点でラッセルがメルセデスの「新しいボッタス」になったと断定するのは早い。シュタイナー自身もあくまで現状に類似性があると指摘しているにすぎず、今後のパフォーマンスによって力関係が再び変わる可能性も残されている。

    それでも、アントネッリが現在の勢いを維持し、メルセデスの中心的存在として地位を固めていけば、ラッセルはいずれ重要な決断を迫られることになる。メルセデスに残って現在の環境で戦い続けるのか、それとも自らがチームを牽引できる場所を求めるのか。シュタイナーは、その分岐点として2028年がひとつの可能性になるとみている。

  • メルセデスF1 ダブル表彰台もW17に不可解な挙動「原因を調査する必要がある」

    メルセデスF1 ダブル表彰台もW17に不可解な挙動「原因を調査する必要がある」

    メルセデスは2026年F1オランダGPでキミ・アントネッリが2位、ジョージ・ラッセルが3位に入り、ダブル表彰台を獲得した。しかし、華々しい結果とは裏腹に、W17にはチーム側でも原因を完全には説明できないパフォーマンス低下が発生していた。

    優勝したランド・ノリスには11秒以上の差をつけられ、さらに後方からはフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが接近。

    メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、特にザントフォールトの高速コーナー区間で現れた弱点について詳細な調査が必要だと明かした。

    ターン7〜9で顕著だったW17の弱点
    メルセデスが最も問題視しているのが、ザントフォールトのターン7、8、9と続く高速セクションだ。この区間ではW17とマクラーレンのMCL40との差が特に大きくなっていた。

    「調査しなければならないパフォーマンス上の疑問がいくつかある」とショブリンはNu Silver Arrows Podcastで語った。

    「特にターン7、8、9で弱かった。この高速セクションでは左側のタイヤにも継続的に大きな負荷がかかるが、なぜそこで苦戦したのか、まだ完全には理解できていない」

    メルセデスには原因についていくつかの仮説があるものの、今季の他のサーキットでは同様の現象が確認されていないという。

    「いくつか考えていることはあるが、今シーズンの他の場所では遭遇していない問題だ。単純に速度だけが原因ではなく、右コーナーが連続するレイアウトそのものが関係している可能性もある」

    「最も高速なコーナーで少しペースが不足していて、その後のコーナーに進むにつれて問題が大きくなっていった。それ以外のラップについてはしっかりしていた」

    つまりW17が高速コーナー全般で単純に遅かったわけではない。高速右コーナーが連続し、左側タイヤに負荷が蓄積していくザントフォールト特有の条件で弱点が表面化した可能性がある。

    予選で改善すると別の場所に悪影響
    メルセデスは予選に向けて問題の改善を試み、アントネッリのマシンでは一定の成果を得た。しかし、それも完全な解決策にはならなかった。

    「決勝グリッドを決める予選では、キミについてその部分を少し改善することができた。ただ、そこで得たものによって、別の場所では何かを失ったように見えた」

    これはセットアップ変更によって単純に解消できる問題ではなかったことを示している。特定区間にW17を合わせれば、ラップの別の部分で性能を犠牲にするというトレードオフが生じていた。

    スティントごとに変化したマシンバランス
    さらにメルセデスを悩ませたのが、72周の決勝を通じてW17の挙動が一定ではなかったことだ。

    「スティントごとのペースにも変動があった。ジョージは最初のスティントがその後と比較して比較的弱かった一方、キミは序盤が強く、その後にペースが落ちていった」

    通常であれば、セットアップや電子制御などを大きく変更すればマシンバランスが変化することは説明できる。しかし、今回はそうではなかった。

    「電子制御の設定やフラップ角を大きく変更していたわけではない。それにもかかわらず、スティントごとにバランスが違って感じられた」

    タイヤのコンディションや燃料搭載量などはレース中に変化するが、ショブリンが問題として挙げているのは、それだけでは説明しきれないほどW17のバランスが変化していた点だ。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルはアンダーステア アントネッリはオーバーステア
    さらに興味深いのは、同じW17を走らせた2人のドライバーが、レース終盤には正反対ともいえるバランスを抱えていたことだ。

    「2人のドライバーは最終的に対照的なバランス特性になっていた。ジョージはよりアンダーステアが強く、キミはよりオーバーステアが強かった」

    「なぜこれほど大きな違いが生じたのかを理解する必要がある」

    同じサーキット、同じレースでありながら、ラッセルとアントネッリで異なる症状が発生した。この点も、メルセデスが単純なセットアップ上の問題として片付けられない理由になっている。

    ダブル表彰台でも「頭を悩ませる必要がある」
    結果だけを見れば、オランダGPはメルセデスにとって成功した週末だった。アントネッリが2位、ラッセルが3位に入り、大量得点を持ち帰った。

    一方で、ノリスのマクラーレンには明確な差をつけられ、ハミルトンはラッセルからわずか0.8秒差、ルクレールもさらに0.5秒後方まで迫った。少なくともザントフォールトの決勝では、マクラーレンだけでなくフェラーリに対しても余裕のある状況ではなかった。

    ショブリンは、それでも本来の力を発揮できない週末にダブル表彰台を確保したことを前向きに評価している。

    「それでも、ベストの状態ではないときに多くのポイントを獲得できたことは励みになる。日曜日のレースは楽しめたし、ピットウォールは素早く判断しなければならなかった。そしてチームはその状況にしっかり対応した」

    「良い結果だった。ただ、少し頭を悩ませる必要がある」

    モンツァで行われる次戦イタリアGPは、ザントフォールトとは性格が大きく異なる超高速・低ダウンフォースのサーキットとなる。そのため今回の弱点がそのまま再現されるとは限らない。

    それでも、高速右コーナーの連続でなぜ性能を失ったのか、なぜスティントごとにバランスが変化したのか、そしてなぜラッセルとアントネッリでアンダーステアとオーバーステアという異なる症状が現れたのか。ダブル表彰台の裏で残された複数の疑問を解明することが、メルセデスにとって今後のW17の競争力を左右する重要な課題となる。

  • メルセデスF1 アントネッリの母国イタリアGPでPU交換 10グリッド降格へ

    メルセデスF1 アントネッリの母国イタリアGPでPU交換 10グリッド降格へ

    メルセデスF1は、2026年F1第13戦イタリアGPでアンドレア・キミ・アントネッリのパワーユニット(PU)を全面的に交換することを決定した。

    年間使用上限を超えるコンポーネントが投入されるため、アントネッリには10グリッド降格ペナルティが科される見通しだ。

    ドライバーズ選手権首位を走るアントネッリにとって、モンツァは母国レース。メルセデスはシーズン序盤に発生した信頼性問題の影響で複数のPUコンポーネントが使用上限に達しており、シーズン終了までにペナルティを受けることは避けられない状況だった。

    メルセデスがモンツァで「フル交換」を決断
    F1ではシーズン中に使用できるPUコンポーネントの数が制限されており、規定数を超えた場合にはグリッド降格ペナルティが科される。

    アントネッリはすでにV6エンジンとエキゾーストシステムが使用上限に達している。メルセデスは複数のグランプリにペナルティを分散させるのではなく、モンツァで主要なPUコンポーネントをまとめて新品に交換することを選択した。

    チーム代表のトト・ヴォルフは、どのサーキットでペナルティによる競争上の損失を最小限に抑えられるかという計算に基づいた判断だと説明した。

    「キミについては、すべてを投入する。つまりPUの主要コンポーネントをすべて交換する」

    「理論上、我々の計算ではここがペナルティを受けるのに最適なサーキットだ」

    「もちろん、アルゴリズムは国籍までは考慮してくれない。しかし、我々は選手権を戦うためにここにいるのであって、最大限のPR効果を得るためにいるわけではない」

    「だから、そうすることにした」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    母国GPで選手権首位のアントネッリに試練
    アントネッリにとってタイミングは皮肉なものとなった。モンツァは母国イタリアでのグランプリであり、20歳になったばかりのアントネッリは現在、ドライバーズ選手権をリードしている。

    アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルとフェラーリのルイス・ハミルトンに59ポイント差をつけて首位。ラッセルとハミルトンは同ポイントでランキング2位につけている。アントネッリは今季の日本GP以降、ランキング首位を維持している。

    さらに、イタリア人F1ドライバーとして歴史的な記録にも挑むことになる。イタリア人がイタリアGPを制したのは、1966年にフェラーリのルドヴィコ・スカルフィオッティが優勝したのが最後であり、以来60年間、母国ドライバーによるモンツァ制覇は実現していない。

    グリッド降格はアントネッリにとって大きなハンデとなるが、モンツァは高速レイアウトでオーバーテイクの機会も比較的多い。それがメルセデスがPU交換の舞台としてモンツァを選んだ理由のひとつでもある。

    アントネッリ「それでもモンツァがベスト」
    前戦オランダGPでランド・ノリスに次ぐ2位に入ったアントネッリも、母国GPであることを踏まえても、モンツァでペナルティを消化するのが最善だと受け入れている。

    「もちろんモンツァではエンジンペナルティがある。でも、それでもここがペナルティを受けるには一番いいサーキットだと思う」

    「もちろん僕のホームレースだし、いろいろな意味で特別だけど、それでもここでやるのがベストだと思っている」

    「だから、それでもいい結果を出して、しっかりポイントを持ち帰るチャンスはあると思う」

    ラッセルも今季中にPUペナルティの可能性
    メルセデスは、ラッセルについてもシーズン終了までにPUの年間使用上限を超える可能性があるとみている。ただし、追加コンポーネントをどのグランプリで投入するかはまだ決定していない。

    ラッセルは夏休み前のハンガリーGPでようやく4基目のPUを投入したため、アントネッリよりもペナルティを受けるタイミングについて選択肢が残されている。

    「ジョージについては、どこでペナルティを受けるかについて現在も話し合っている」とヴォルフは語った。

    ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権の両方を争っている状況を考えれば、メルセデスが同じグランプリで自主的に2台ともグリッド降格を受ける可能性は低い。

    アントネッリにとっては母国ファンの前で後方から追い上げる難しいイタリアGPとなる。それでも、高速区間が中心で追い抜きの可能性があるモンツァを選ぶことで、メルセデスは避けられないPUペナルティによる選手権へのダメージを最小限に抑える狙いだ。

  • マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、メルセデスがライバルと同じペースでマシン開発を進めるための資金が不足しているというトト・ヴォルフの主張に疑問を呈した。

    2026年F1シーズン序盤に圧倒的な強さを見せたメルセデスだが、フェラーリやマクラーレンが積極的なアップデート攻勢を仕掛けるなか、勢力図は変化している。オランダGP後、ヴォルフはメルセデスにはライバルと同じように開発パーツを投入するための「金がない」と説明したが、ステラは額面通りには受け取っていない。

    メルセデスは序盤6連勝から失速
    メルセデスはシーズン開幕から6戦連続で勝利を挙げたものの、その後の6戦では2勝にとどまっている。その間にフェラーリとマクラーレンがそれぞれ2勝を挙げ、トップ争いは大きく接近した。

    特にフェラーリとマクラーレンは今季、積極的なアップデート戦略を採用しており、直近のレースでも新パーツを投入している。レッドブル・レーシングもメルセデス以上のペースで2026年型マシンの開発を続けてきた。

    一方、メルセデスが最後に大規模なマシンアップデートを投入したのは5月のカナダGPだった。次の大型開発パッケージは10月初旬のマレーシアGPで投入される予定とされている。

    オランダGPではランド・ノリスがマクラーレンを勝利に導き、2連勝を達成。こうしたライバル勢の伸長について、ヴォルフは開発資金の配分が影響していると説明した。

    「マシンに開発パーツを投入するための金がない」とヴォルフは語った。

    「シーズンを通じて均等に配分しようとしている。最大のアップデートをいつ投入できるか、そしてチャンピオンシップのポイントをどう最適化できるかという我々の計算に基づいている」

    「だが、できることをやるしかない。それが開発競争というものだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒の改善がある。それを投入できなければ、その分だけ失うことになる」

    「だから、シーズン序盤に比べれば少し厳しい戦いになっている」

    マクラーレン F1

    ステラ「信じたいが実際には信じていない」
    しかし、マクラーレンを率いるアンドレア・ステラは、メルセデスに開発へ回すリソースがないという説明を疑問視している。

    「信じたいとは思うが、実際には信じていない」とステラは語った。

    「信じていない理由は、2027年のパワーユニット規則のおかげで、すべてのチームがコストキャップの報告において一定の余裕を持つことになるからだ」

    ステラは、ライバルのパフォーマンス向上を目の当たりにしたメルセデスが、すでに開発を加速させているはずだとみている。

    「ライバルたちがレベルを引き上げているのを見て、メルセデスも今、その開発成果を投入しようとしているはずだ。現場では間違いなく進んでいると思う」

    「風洞にあるマシンは、現在サーキットを走っているマシンよりかなり速くなっているはずだ。そして、そのポテンシャルの一部を実車のアップデートへと変換したいと考えているだろう」

    「彼らがアップデートを投入してくることはほぼ間違いないと思っている。もちろん、投入されなければ我々にとってはありがたいが、そんなことは考えたくもない」

    マクラーレンはノリスの2連勝で反撃
    メルセデスが開発ペースを抑える一方、マクラーレンはアップデートによって競争力を大きく引き上げている。

    ランド・ノリスはオランダGPで2戦連続優勝を飾り、自身初のF1ワールドチャンピオンとなった2025年に続くタイトル防衛へ望みをつないだ。ランキング首位との差は83ポイントまで縮まっている。

    ヴォルフはコストキャップ下での予算配分を理由に開発ペースの違いを説明しているが、ステラはメルセデスがこのまま手をこまねいているとは考えていない。シーズン後半のタイトル争いでは、メルセデスが温存してきた開発成果をいつ実戦投入するのかも重要な焦点となりそうだ。

  • メルセデスF1 マクラーレン急追も「今は開発に使う金がない」とヴォルフ

    メルセデスF1 マクラーレン急追も「今は開発に使う金がない」とヴォルフ

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、マクラーレンが相次ぐアップデートによって急速に競争力を高めるなか、現時点ではそれに即座に対抗するための開発予算がないと明かした。

    マクラーレンは夏休みを挟んだハンガリーGPとオランダGPで大規模なアップデートパッケージを投入し、ランド・ノリスが両レースで連勝。シーズン序盤に明確な優位を築いていたメルセデスに対し、勢力図を大きく変えつつある。

    ただし、ヴォルフによれば、メルセデスがすぐさま対抗策を投入することはコストキャップの制約によって難しいという。

    マクラーレンの進歩にすぐ対抗できないメルセデス
    F1ではタイトル争いを繰り広げるライバルが大きな進歩を遂げた場合、それに対抗するアップデートを前倒しして投入することも珍しくない。しかし、現在のF1では年間の支出がコストキャップによって制限されており、どの時期に開発費を投入するかが極めて重要になっている。

    特に2026年は新レギュレーション導入初年度であり、シーズンを通じた開発計画と予算配分は例年以上に重要だ。

    現在コンストラクターズ選手権首位に立つメルセデスだが、ヴォルフはこれまでの支出状況を踏まえると、現時点でマクラーレンの進歩に即座に対抗できるだけの予算は残されていないと説明した。

    「マシンの開発に投入できる金がない」

    ヴォルフはそう語った。

    「以前にも言ったように、僕たちはシーズンを通じて予算を均等に配分しようとしている。いつ最大のアップデートを投入できるか、そしてチャンピオンシップで獲得できるポイントをどう最適化するかという計算に基づいている」

    「できないことは、できない。それだけだ」

    メルセデスは新レギュレーション時代のスタートで明確な優勝候補としてシーズンを開始した。そのことは、開幕前からシーズン序盤にかけてライバルより多くのリソースを投入していた可能性を示しており、現段階では他チームと比較してマシンをアップグレードするための財政的な余裕が小さくなっているとも考えられる。

    ただし、ヴォルフはメルセデスが年間の開発予算を使い切ったわけではなく、コストキャップ内でシーズン後半にアップデートを投入する余地を残していることも示唆した。

    「だからこそ開発競争なんだ」
    「だからこそ、これは開発競争なんだ」

    ヴォルフは語った。

    「アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒は得られる。そして今、僕たちはその分を失っている」

    「だから、そうだね。シーズン序盤よりも厳しい戦いになるだろう。ただ、シーズン終盤になったとき、彼らが今と同じくらい多くのものをマシンに投入できるかどうかは、そのときになれば分かる」

    「シーズン終盤よりも序盤や中盤に多くの予算を使うという、異なる戦略を採っているチームもあるかもしれない」

    つまり、メルセデスは年間を通して開発予算を比較的均等に配分する戦略を採る一方、マクラーレンなどのライバルはシーズン前半から中盤により多くのリソースを投入している可能性があるという見方だ。

    そして、その開発スケジュールの違いは、すでにコース上のパフォーマンスに明確に表れている。

    トト・ヴォルフ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    アントネッリ「もう最速のマシンではない」
    オランダGPを終えたメルセデスのドライバー2人は、現在の勢力図においてメルセデスがトップの座から引きずり下ろされたとの認識を示した。

    ドライバーズ選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリは、マクラーレンが特にハンガリーGP以降に大きな前進を果たしたと語った。

    「間違いなく、僕たちはもうグリッドで明確に最速のマシンではない」

    「おそらく2番手か3番手だと思う。少なくとも今日のレースではそうだった。そしてマクラーレンはものすごく大きなステップを踏んだ。特にハンガリー以降、大型アップデートパッケージを投入してからだ」

    マクラーレンはハンガリーGPで大型アップデートを投入すると、続くオランダGPでも新たな開発パーツを持ち込み、その両方でノリスが勝利を収めた。

    一方でアントネッリもヴォルフと同様、メルセデスが今後投入するアップデートについて自信を示している。

    「僕はチームを信頼している。チームは次に投入するパッケージについて本当に懸命に取り組んでいるし、マシンに載せたときにきちんと機能するよう、確実なものにしたいと考えている」

    「だから、このレースでは間違いなくもっと難しくなるし、厳しい戦いになる。でも、僕たちはベストを尽くして、あらゆるチャンスを最大限に生かす準備ができている」

    「そして、次は僕たちがパッケージを投入する番になって、それによってもう一度少し優位に立てるようになればいいと思う」

    メルセデスにとって現在の問題は、開発そのものが止まっていることではなく、限られたコストキャップをシーズンのどこで使うかというタイミングにある。マクラーレンが中盤戦で積極的にアップデートを投入して勢いを増す一方、メルセデスは後半戦に向けた次のパッケージを準備している。

    シーズン序盤に築いた優位が縮まり、タイトル争いがさらに接近するなか、年間を通したメルセデスの予算配分戦略が最終的に正しかったかどうかは、今後投入されるアップデートの効果によって大きく左右されることになりそうだ。

  • FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1で導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)制度について、最初の2回の公式評価結果を発表した。

    レッドブル・パワートレインズのパワーユニット(PU)が基準となり、メルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには性能差に応じた追加開発の機会が与えられる。

    なかでもフェラーリ、アウディ、ホンダは基準から4%を超える差があると判定され、2026年と2027年にそれぞれ2回ずつの追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で認められる最大の開発機会となる。

    レッドブル・パワートレインズがADUOの基準PUに
    ADUOは、F1が新しいパワーユニット規則を導入した2026年から採用された制度である。新規則では内燃エンジンと電動部分の出力比率が大きく変更され、各メーカー間に生じる性能差を一定の範囲内に収めるため、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与える仕組みが設けられた。

    FIAは今回、最初の2回の公式レビューの結果を明らかにし、レッドブル・パワートレインズが現在の基準となるPUを持っていると判定した。

    レッドブルにとって2026年は、自社製パワーユニットでF1に参戦する最初のシーズンである。それにもかかわらず、FIAによるADUOの評価では他メーカーが追うベンチマークとなった。

    ただしFIAは、各PUメーカーの性能をどのような具体的な指標によって比較し、差を算出しているのかについて詳細を公表していない。

    メルセデスは2%超の差で追加アップグレード1回
    メルセデスは、基準となるレッドブル・パワートレインズに対して2%を超える差があると判定された。

    これによりメルセデスには、2026年に1回、2027年にも1回の追加アップグレードを実施する機会が与えられる。

    さらにADUOでは、性能差に応じて開発費とベンチテスト時間についても追加枠が設けられている。

    メルセデスにはコストキャップ上の追加枠として300万ドルが認められ、さらに70時間の追加ベンチテストが許可される。

    ホンダF1 エンジン ADUO

    フェラーリ、アウディ、ホンダは4%超 最大限の追加開発
    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダについては、いずれもレッドブル・パワートレインズの基準から4%を超える差があるとFIAが判断した。

    その結果、3メーカーには2026年に2回、2027年にも2回の追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で許可される最大回数となる。

    性能差が大きくなるにつれて、コストキャップとベンチテスト時間の追加枠も段階的に拡大する。

    基準から4~6%の差がある場合は465万ドルと100時間、6~8%では635万ドルと150時間、8~10%では800万ドルと190時間の追加ベンチテストが認められる。

    ただしFIAは今回、フェラーリ、アウディ、ホンダの3メーカーが、それぞれこのスケールのどこに位置しているのかについては明らかにしていない。

    したがって現時点で公式に確認できるのは、3メーカーすべてがレッドブル・パワートレインズに対して「4%超」の差があると判定され、2026年と2027年に最大2回ずつの追加アップグレードを認められたという点までとなる。

    2026年最後のADUO評価はオランダGPからメキシコシティGP
    2026年に行われる最後のADUO評価期間は、第12戦オランダGPから第18戦メキシコシティGPまでが対象となる。

    この期間のデータをもとに再び各メーカーのPU性能が評価され、その結果が今後の追加開発機会に反映されることになる。

    2026年からF1のPUメーカーとして本格参入したレッドブル・パワートレインズが最初のADUO評価でベンチマークとなる一方、メルセデスには1回、フェラーリ、アウディ、ホンダには最大となる2回の追加アップグレードが認められた。新PU規則初年度の勢力図が、ADUOによる追加開発を通じて今後どこまで変化するのかも注目される。

    国際自動車連盟 F1 ADUO

  • トト・ヴォルフ メルセデスF1のチームオーダーを説明「厳しい決断も必要」

    トト・ヴォルフ メルセデスF1のチームオーダーを説明「厳しい決断も必要」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが、2026年F1オランダGP終盤にジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの順位を入れ替えたチームオーダーについて説明した。フェラーリ勢が背後に迫るなか、チームとして最大限のポイントを確保するための「論理的な判断」だったと強調している。

    アントネッリはランド・ノリスに次ぐ2番手を走行していたが、終盤のバーチャル・セーフティカー(VSC)でソフトタイヤに交換。ステイアウトしたノリスとラッセルの後ろ、3番手でコースへ戻った。

    新品タイヤのアントネッリを前へ「最も安全な方法だった」
    ハードタイヤで走り続けるラッセルに対し、新しいソフトタイヤを履いたアントネッリは明らかに速く、すぐにチームメイトの背後まで接近した。

    残り8周となった65周目、メルセデスはラッセルにアントネッリを先行させるよう指示。ラッセルは無線で不満を示し、「ダブル表彰台を失うかもしれない」と懸念したものの、最終的には指示に従った。

    その背後にはルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのフェラーリ勢が急接近しており、順位交換によってラッセルが攻撃にさらされるリスクもあった。

    ヴォルフは『Sky Sports F1』に対し、チームオーダーの狙いについて次のように説明した。

    「ノリスを捕まえられる状況だったとは思わない。ポイントを獲得するという意味で、あれが最も安全な方法だった」

    「オーバーテイクモードを使わせたままにすることもできたかもしれない。でも、そうすればリスクを取りすぎることになる。後ろには2台のフェラーリが迫っていた」

    「だから厳しい決断ではあったが、コンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権を戦いたいのであれば、そういう決断も必要になる」

    「誰が選手権で前にいるかは関係ない」
    今回の順位交換によってアントネッリはラッセルより3ポイント多く獲得し、両者のドライバーズランキングでの差は59ポイントに拡大した。

    しかしヴォルフは、選手権でどちらが上位にいるかは判断に影響していないと強調する。

    「これが我々のやり方だ。2人のドライバーもそれを理解している。他のチームで見られるような、こういうことが明確に話し合われていない状況を我々は避けている」

    「これは厳しい世界だ。2500人がチャンピオンシップのために働いている。ひとりだけのゲームではない。過去15年間、我々はそうやってきた」

    外から見れば難しい決断だったのではないかと問われると、ヴォルフは否定した。

    「外から見れば難しく映るかもしれないが、内部ではそうではない」

    「これは何度も話し合ってきた状況だし、今日の朝にも話した。『お互いに争ってタイムを失い、2台のフェラーリに背後まで迫られるようなことはしない』とね」

    「逆の状況だったとしても、まったく同じことをしていた。誰が選手権で前にいるかは関係ない。可能な限り良い順位を守ることだけが目的だ」

    『F1 TV』でもヴォルフは、アントネッリがVSC前までラッセルより前を走っていたことを判断材料として挙げた。

    「これは常に我々が採用している方針だ。何度も話し合っているし、朝にも確認していた。チームメイト同士でタイムを失って、フェラーリ勢に首筋まで迫られるようなことはしない」

    「順位を入れ替える前、キミはもともと前にいた。彼はピットに入る必要もなかった。その結果としてジョージがあの位置にいて、当然ながらフェラーリの脅威もあった。だから順位交換は論理的な結果だった」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルも最終的に納得「キミは前でフィニッシュするに値した」
    ラッセルはその後、ハミルトンとルクレールからのプレッシャーをしのぎ切って3位を確保。アントネッリも2位を守り、メルセデスはダブル表彰台を達成した。

    レース後、ラッセル自身もチームの判断は正しかったと認めている。

    「キミはもともと僕の前にいたから、僕より前でフィニッシュするに値した」

    「レースをしていれば、すべてのポジションを争いたいと思うものだ。でも、あのペースと新品タイヤなら、いずれにしても彼は僕を抜いていただろう。だから正しい判断だった」

    「表彰台に立てたことがうれしい。僕にとっては少し久しぶりだった。週末全体として強かったので、ポジティブな部分を受け取りたい」

    アントネッリも「ジョージは素晴らしいチームプレーヤーだった。彼も3位を守ることができて本当にうれしい」とラッセルの対応を称えた。

    メルセデスはフェラーリを上回るポイントを獲得
    一方でヴォルフは、メルセデスにはオランダGPを勝てるだけのペースがあると考えていたものの、ハードタイヤに交換してから期待したパフォーマンスを発揮できなかったことを課題として挙げた。

    「良い週末だったが、厳しい時間帯もあった。今日はレースに勝てるペースがあると思っていた。でも、ハードタイヤに履き替えたところで、それが消えてしまった」

    「なぜなのかはまだ理解できていない。ただ、ほろ苦い面から見ても2位と3位でフィニッシュできた。ポイントではフェラーリを上回ったので、それは悪くない」

    ノリスが勝利した一方、メルセデスはアントネッリとラッセルによる2台揃っての表彰台を確保した。ヴォルフは今後について、アップデート投入までの期間を確実なレース運びで乗り切る必要があると語った。

    「これは開発競争だ。そして現時点では、我々は少し停滞している。アップデートが入るまではもう少し時間があるので、とにかくパフォーマンスを発揮し、週末をしっかり実行していかなければならない」

    タイトル争いを続けるメルセデスにとって、ドライバー同士を自由に争わせることよりもチーム全体の結果を優先する方針は明確だ。オランダGPでの順位交換は、その原則を改めて示すチームオーダーとなった。

  • キミ・アントネッリ F1オランダGP2位に落胆「勝てると本気で思っていた」

    キミ・アントネッリ F1オランダGP2位に落胆「勝てると本気で思っていた」

    メルセデスのキミ・アントネッリは、2026年F1オランダGP決勝を2位で終えたことについて、勝利を狙えると「本気で思っていた」だけに落胆していると語った。

    19歳のアントネッリにとって、ザントフォールトはマシンへの自信をなかなか持てない難しい週末となった。それでも決勝では2度の好スタートを決め、一時はランド・ノリスを抑えて首位を走行。

    最終的に勝利には届かなかったものの、貴重な2位表彰台を獲得した。

    2度の好スタートで一気に首位へ
    スタートでアントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルをかわして2番手に浮上。その後、マックス・フェルスタッペンの大クラッシュによってレースが赤旗中断となり、再スタートではさらに一歩前進した。

    アントネッリは再スタートでポールシッターのランド・ノリスを攻略し、トップを奪取。その後は長い時間にわたって首位を守り続けた。

    しかし、レース終盤に入るとノリスがアントネッリとの差を縮め、最終的にオーバーテイク。アントネッリは首位の座を明け渡すことになった。

    「少しがっかりしている。レースのかなり長い時間、僕たちがトップを走っていたからね」

    「でも、最後のハードタイヤでのスティントでは、マシンに何かしっくりこないところがあった。本当に自信を持てなくなって、ペースもなかった」

    「もちろん残念だよ。勝てると本気で思っていたからね。でも、今日の最終的な結果は2位だったし、僕たちにできた最大限だったと思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) オランダグランプリ

    「僕たちを救ったのはスタート」
    アントネッリは、ザントフォールトでの週末を通してW17を思うように操れず、マシンに対する自信を欠いていたことを認めている。それだけに、難しい状況から2位という結果を持ち帰れたことには前向きな面も見いだしている。

    「間違いなく励みになる。全体的に見れば、今シーズンで最もマシンに自信を持てなかった週末のひとつだったと思う」

    「それでも、今日僕たちを本当に救ったのはスタートだった。2回ともいいスタートができて、どちらでもポジションを上げることができた」

    レース終盤にはバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、アントネッリは追加のピットストップを敢行。その結果、一時的にラッセルの後方へ下がった。

    しかし、メルセデスは両者の順位を入れ替えるチームオーダーを発令。ラッセルがアントネッリを前に出したことで、アントネッリは2位を取り戻した。

    「最終的には2位でフィニッシュすることができた。チームにとって素晴らしい結果だと思う」

    「ジョージも本当に素晴らしい仕事をしてくれた。今日は素晴らしいチームプレーヤーだった。それについては本当にうれしいし、今はモンツァを楽しみにしている」

    マクラーレンの進歩を警戒「僕たちもタイムを見つけないと」
    一方、アントネッリは今回のオランダGPを通じて、メルセデスに新たな課題が突きつけられたとも考えている。

    ノリスはアントネッリを逆転して今季2勝目を挙げ、2戦連続優勝を達成。アントネッリは、マクラーレンが大きく前進しているとして、メルセデスもさらなるパフォーマンスを引き出す必要があると認めた。

    「もちろん、チームとしてもう少しタイムを見つける必要がある。マクラーレンは大きなステップを踏んだからね」

    「僕たちもプッシュし続けなければならない」

    勝利を目前にしながら2位に終わったことで悔しさをにじませたアントネッリ。それでも、マシンへの自信を欠いた週末に2度の好スタートを武器として首位争いを演じ、2位表彰台を確保したことは、次戦イタリアGPに向けて大きな収穫となった。

  • ジョージ・ラッセル メルセデスF1のチームオーダー受け入れ「正しい判断だった」

    ジョージ・ラッセル メルセデスF1のチームオーダー受け入れ「正しい判断だった」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1オランダGP決勝終盤にメルセデスから出されたチームオーダーについて「正しい判断だった」と受け入れた。ラッセルは2番手を走っていたが、新しいタイヤで迫るチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリにポジションを譲り、最終的に3位でフィニッシュした。

    一方で、その判断によってラッセルは背後のルイス・ハミルトンから激しいプレッシャーを受けることになった。

    ドライバーとして「すべてのポジションを争いたい」という本音を明かしながらも、アントネッリのペースを考えればメルセデスの判断には合理性があったと振り返った。

    アントネッリに譲ったラッセル「いずれ抜かれていた」
    ザントフォールトでの決勝は、メルセデスにとって簡単なレースではなかった。ラッセルはスタートでアントネッリに先行を許し、赤旗後のリスタートではオスカー・ピアストリにも抜かれた。

    その後はシャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトンのフェラーリ勢と4番手を巡る接戦を展開。ピット戦略によって順位を取り戻し、レース終盤には2番手まで浮上した。

    しかし、後方からは新しいタイヤを履いたアントネッリが急速に接近していた。首位のランド・ノリスとの差は大きく、勝利を狙うのは現実的ではない状況で、メルセデスはラッセルにアントネッリを先行させるよう指示した。

    ラッセルはチームオーダーに従い、レース後にはその判断を受け入れている。

    「キミはもともと僕の前を走っていたし、前でフィニッシュするに値していた」

    「もちろんレースをしているときは、すべてのポジションを争いたい。でも、新しいタイヤでのペースを考えれば、どちらにしても彼には抜かれていただろう。だから正しい判断だった」

    「表彰台に立ててうれしいよ。僕にとっては少し久しぶりだったし、週末全体として強かった。ポジティブな部分を受け取るよ」

    チーム戦略を提案していたラッセル
    興味深いのは、チームオーダーが出される以前、ラッセル自身がメルセデスに対して「チームとして戦うことを考えよう」と無線で提案していたことだ。

    当時はラッセルとアントネッリがともに表彰台を狙える位置におり、フェラーリ勢から順位を守りながらダブル表彰台を確実にすることが重要だと考えていた。

    だが、終盤にはタイヤ戦略によって両者の状況が変化。アントネッリの方が明確に速いタイヤを履くことになったため、メルセデスは順位を入れ替える決断を下した。

    結果的にラッセルは3番手に後退し、今度はハミルトンを抑える立場となった。

    ハミルトンを0秒台の差で抑えて3位
    ラッセルにとって最大のリスクは、アントネッリに順位を譲った後だった。背後にはかつてメルセデスでチームメイトだったハミルトンが接近し、最終盤まで3位を巡る攻防が続いた。

    ラッセルは最後までポジションを守り切り、ハミルトンとの差は1秒未満でチェッカーを受けた。

    前日のスプリントではラッセルが力強い走りで優勝していただけに、決勝では対照的に守りのレースを強いられた。それでも、スプリント1位と決勝3位という結果について、ラッセルは週末全体では満足できるものだったと評価している。

    「週末全体としては満足している。ここ最近では一番いい週末だったと思う」

    「終盤の最初のVSCは厳しいタイミングだった。ルイスに実質的なフリーピットストップのチャンスを与えることになったからね」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) オランダグランプリ

    一時は「2位も狙える」と感じていた
    決勝中盤、ラッセルには2位フィニッシュの可能性も見えていた。

    アントネッリがハードタイヤで苦戦する一方、ラッセルはその差を縮めていた。さらにアントネッリがノリスに抜かれたことで、ラッセル自身は2位を狙える展開になったと感じていたという。

    「キミはハードタイヤですごく苦しんでいて、ランドに抜かれる直前には僕が彼との差を詰めていた」

    「その時点では『2位も狙えるんじゃないか』と思っていた。でも最後は、僕たちが戦略を分けることになった」

    戦略の違いによって最終的にはアントネッリがラッセルの前に出たが、現在のメルセデスの競争力を考えれば、ラッセルは十分な結果だったと考えている。

    「今の僕たちは、以前のようにチームとして圧倒的な存在ではない。この週末にスプリントで1位、決勝で3位と言われていたら、間違いなく受け入れていたよ」

    スタートとピアストリへの対応には反省
    一方、ラッセルは自身の決勝が完璧だったとは考えていない。

    スタートではアントネッリに先行され、リスタート時にはピアストリの接近に気付くのが遅れた。エネルギーの使い方に集中していたため、ミラーを確認できていなかったという。

    「完璧なレースではなかった。スタートも良くなくてポジションを失ったし、ピアストリに対してもちょっと寝ていた」

    「序盤は違うエネルギー展開を使っていて、ミラーをまったく見ていなかった。そのままコーナーに入ったら、次の瞬間には彼がイン側にいた」

    「完全に不意を突かれた。それについては少し残念だったけど、3位は妥当な結果だったと思う」

    スプリントでの勝利に続き、決勝でも表彰台を獲得したラッセル。チームオーダーによって自ら2位を譲る形にはなったものの、アントネッリのタイヤとペースを踏まえれば、その判断を受け入れる姿勢を示した。メルセデスにとっても、勝利を争えるだけの絶対的な速さがない中で、2台の結果を最大化するための現実的な判断だったと言えそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1オランダGP予選2番手「決勝ではマクラーレンより速い」

    ジョージ・ラッセル F1オランダGP予選2番手「決勝ではマクラーレンより速い」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1オランダGPの予選で2番手を獲得。ポールポジションには届かなかったものの、メルセデスの決勝ペースには強い自信を示し、「おそらく僕たちの方が少し速いレースカーを持っている」とマクラーレンとの勝負に期待を寄せた。

    スプリントでポール・トゥ・ウインを飾ったラッセルは、予選でもランド・ノリスとポールポジションを争った。雨が降り始めるなか、最後はノリスが1分11秒163を記録し、ラッセルは0.102秒差の2番手。

    チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリも3番手につけ、メルセデス勢がノリスを挟み撃ちできるグリッドを確保した。

    「ランドは素晴らしい仕事をした。彼とマクラーレンを祝福したい」とラッセルは予選後に語った。

    「僕たちにとっても強いセッションだった。ポールを争えるだけのものはあると思っていたけど、2番手にはかなり満足している。特に夏休み前の数戦はかなり厳しかったから、また自分のリズムを取り戻して、明日は彼らと戦いたい」

    「いい状態にいると感じているし、また自分らしく走れている。それは本当に重要なことだ。このサーキットを走るのはすごく楽しかったし、気温が低かったことでコースも本当に速く感じた。僕たち全員にとって走るのが楽しいコンディションだったし、決勝が楽しみだ」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) オランダグランプリ

    メルセデス2台でノリスに戦略的プレッシャー
    ラッセルが決勝に向けて強調したのは、メルセデスが2番手と3番手を確保したことによる戦略上の優位性だ。

    「かなりいい位置にいると思う。僕とキミが2番手と3番手にいるから、戦略的にランドへ少しプレッシャーをかけられるチャンスがある」

    さらにラッセルは、ザントフォールトでは予選で速かったマクラーレンよりも、決勝ではメルセデスの特性が有利に働く可能性があると分析した。

    「おそらく僕たちの方が彼らより少し速いレースカーを持っていたと思う。ランドも言っていたように、彼らは高速コーナーでとても強そうだ」

    「でも、ここみたいにタイヤデグラデーションが大きいコースでは、決勝でそのパフォーマンスをすべて使うことはできない。タイヤにあまりにも大きなストレスがかかってしまうからね。だから決勝では僕たちの方に流れが来ると思っている」

    ラッセルは当初、フェラーリも勝負に絡んでくると予想していたが、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールはそれぞれ5番手と6番手にとどまった。

    「フェラーリは僕たちが予想していたより少し後ろだった。彼らが最大の脅威になると思っていた。だから、勝負はこれからだ」

    スプリントで速さを証明したラッセルに加え、アントネッリも3番グリッドからスタートする。ポールのノリスに対し、メルセデスは2台を使った戦略も可能となるだけに、決勝では予選とは異なる構図の首位争いとなりそうだ。