カテゴリー: メルセデスF1

  • トト・ヴォルフ ホンダF1への特別救済措置を支持「彼らにはもっと必要」

    トト・ヴォルフ ホンダF1への特別救済措置を支持「彼らにはもっと必要」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、2026年F1パワーユニット(PU)でライバルに後れを取っているホンダについて、既存のキャッチアップ制度だけでは十分でない場合、規則をさらに調整することに理解を示した。

    FIAはすでにADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)を導入しており、一定以上の性能差が確認されたPUメーカーには追加開発を認めている。

    ホンダも対象となっているが、ヴォルフはF1に参戦する主要メーカーが競争力を持つことはスポーツ全体にとって重要だとの考えを示した。

    ライバルのメルセデスもホンダへの追加措置に理解
    発端となったのは、FIA会長モハメド・ビン・スライエムがF1スペインGPを前にマドリードで行われたビジネスフォーラムで語った発言だった。

    ビン・スライエムは、アストンマーティンとホンダの現在の競争力を背景にフェルナンド・アロンソがF1引退を選択する可能性について言及し、ホンダの改善を支援するための話し合いを行っていることを明かした。

    「我々は5月にも、規則に沿った形でチームとエンジンを改善するためのことを行った」とビン・スライエムは説明した。

    さらにアロンソとの会話について「彼に『我々が何をするつもりなのかは言わない。あなたはドライバーなのだから、結果を改善するために我々に何をしてほしいのか教えてほしい』と伝えた」と明かし、「我々は支援するためにもここにいる」と語った。

    この発言は、FIA会長が特定メーカーやドライバーの競争力向上にどこまで関与すべきなのかという議論を呼んだ。

    しかし、ヴォルフはビン・スライエムとアロンソの話し合い自体には問題はないとの見方を示している。

    「この場合、ADUOはキャッチアップのための仕組みとして設計されたものだと思う。そして、その制度はホンダに適用された」

    ヴォルフはF1スペインGPのマドリードでそう語った。

    「そして、彼らにはもっと必要だ。会長がアロンソと行った話し合いについても、妥当なものだと思う」

    「我々は、こうしたトップコンストラクターすべてにこのスポーツにいてほしい」

    「彼らには競争力を持ち、成功してほしいと思っている」

    「規則というものは、スポーツにとって最善となるように作られている。そして、ときには調整が必要になることもある。だから、妥当な話し合いだと思う」

    ホンダF1

    ホンダはすでにADUOの最大枠を獲得
    2026年から導入されたADUOは、PUメーカー間に大きな性能差が生じた場合に、それを縮小するためのキャッチアップ制度である。FIAはシーズン中の定められた評価期間ごとにICE(内燃エンジン)のパフォーマンスを分析し、トップメーカーとの差に応じて追加のホモロゲーションやダイノテスト、コストキャップ上の措置を認める。

    FIAが8月26日に公表した2026年の評価結果では、第1評価期間にメルセデスがトップICEから2~4%の範囲、フェラーリ、アウディ、ホンダが4%を超える差と判定された。

    これによりメルセデスには2026年と2027年にそれぞれ1回、フェラーリ、アウディ、ホンダにはそれぞれ2回の追加ホモロゲーション機会が認められた。ホンダは現行ADUOで設定されている最大のキャッチアップ枠をすでに得ていることになる。

    一方、第2評価期間では、いずれのPUメーカーにも新たな追加ホモロゲーションは付与されなかった。FIAは具体的な性能指数については、メーカーの機密情報や知的財産を理由に公開していない。

    つまり、ヴォルフが「彼らにはもっと必要だ」と語った背景には、ホンダが現行制度で最大限の追加開発機会を与えられているにもかかわらず、アストンマーティン・ホンダが依然として競争力の向上を必要としているという状況がある。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスも、ADUOについて「今年が初年度であり、PUメーカーとの協議を通じて今後発展させていく可能性のある領域が当然存在する」と説明しており、制度そのものが将来的な見直しを前提としている。

    2026年規則はすでにシーズン中に修正
    2026年のF1規則は固定されたものではなく、シーズン開幕後も実際の走行データを基に複数の調整が行われている。

    FIAは4月、開幕3戦で収集したデータを基に、F1、各チーム、PUメーカーとの協議を経て規則の改良案に合意。さらに5月にはチーム代表、F1、5つのPUメーカーが参加する会議で、2026年規則をさらに進化させるための変更案について原則合意した。

    そのため、ヴォルフが示した「必要なら規則を調整する」という考え方自体は、2026年シーズンにすでに採られている規則運用の延長線上にある。

    ただし、今後ホンダにさらなる開発機会が認められるとしても、それが特定メーカーだけを対象とした措置になるのか、ADUOの基準や許容範囲そのものを変更する形になるのかは現時点では明らかになっていない。

    ホンダはF1オランダGPで大規模なPUアップグレードを投入したが、アストンマーティンは依然として上位争いへの浮上に苦戦している。そんななか、直接のライバルであるメルセデスを率いるヴォルフが、ホンダの競争力向上を目的とした制度のさらなる調整に理解を示したことは、今後のADUOを巡る議論を考えるうえで注目される発言となった。

  • メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

    メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1スペインGPで5位に終わったジョージ・ラッセルについて、本来の能力を再び引き出すことがチームの課題だと語った。

    ラッセルはマドリンクでタイヤデグラデーションへの対応に苦しみ、優勝したチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに対して週末を通じて後手に回った。

    決勝では2ストップ戦略を採用したものの、最終的には5位。アントネッリとの差はドライバーズランキングで81ポイントまで広がった。

    ラッセルが疑問を呈した2ストップ戦略
    ラッセルは決勝でまずバーチャル・セーフティカー(VSC)中に新品ミディアムへ交換し、その後さらにハードへ履き替えた。一方、アントネッリを含む多くのドライバーは1ストップで走り切った。

    レース中、ラッセルはレースエンジニアのマーカス・ダドリーに対し、なぜ2度目のピットストップを行ったのか無線で疑問を呈した。当時は後方のランド・ノリスを抑えることができたと考えていたためだ。

    しかし、ヴォルフはメルセデスの判断を擁護した。

    「ジョージはミディアムの状態があまり良くないと言っていた。我々としても、あのタイヤで最後まで行けるとは考えていなかった」

    「そこでピットに入る機会があった。赤旗が出るのを期待してそのまま待つのではなく、タイヤを交換してレースを続けるという判断だった」

    レース後、ラッセル自身も戦略を振り返り、結果的には別の選択をしても順位は変わらなかったとの見方を示した。

    「その瞬間は疑問に思っていたけど、ハードが優れたタイヤだった」

    「ルクレールと一緒にステイアウトすることもできたかもしれない。でも、それでも彼の後ろでフィニッシュしていたと思う」

    「最後にもう一度ハードへ交換しないという選択肢もあったかもしれない。でも、何をやっても結局は同じ順位に戻っていた。単純に、このコースではオーバーテイクができないからだ。それは残念だね」

    「最速だった時間帯もある」ヴォルフは速さを強調
    ラッセルはマドリンクでタイヤのデグラデーションをうまく管理できなかったことを認めており、週末の一部ではアントネッリから1周あたり数十分の1秒遅れる状況に陥った。

    それでもヴォルフは、決勝終盤にシャルル・ルクレールを追い上げた際のペースを例に挙げ、ラッセル本来の速さそのものが失われたわけではないと強調した。

    「終盤にルクレールを追いかけていたときのペースを見れば分かる。彼はコース上で最速だった」

    「だが、タイヤ交換の後にはそのペースがなかった。正直なところ、それがどこへ行ってしまったのか分からない」

    「我々はそこを分析しなければならない。彼の中に速さがあることは明らかだし、マシンにもそれはある。我々はただ、それを解放する必要がある」

    ヴォルフ「我々が話しているのはすべてを勝ってきたドライバー」
    今季はアントネッリがタイトル争いをリードする一方、ラッセルにとって思い通りにならないレースが続いている。ヴォルフは技術的な問題だけでなく、心理的な側面も含めてラッセルを支える必要があると考えている。

    「良いレースもあれば悪いレースもある。良い年もあれば悪い年もある。だが、我々が話しているのは、それまで勝てるものをすべて勝ってきたドライバーだ」

    「カートの選手権、ルーキーイヤーのF3、そしてルーキーイヤーのF2。その後、彼はウィリアムズへ行った。つまり、我々が話しているのはトップドライバーだ」

    「彼がそのポテンシャルを発揮するために何が欠けているのかを突き止めなければならない。当然、そこには心理的な側面もある」

    「今年のような流れが続けば、精神的に打撃を受けるものだ。だが、偉大なドライバーはそこから立ち上がる。ジョージにはチャンピオンシップを争うために必要なものがすべて備わっていると思っている」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差でもタイトルを諦めないメルセデス
    スペインGPを終え、アントネッリはラッセルに81ポイント差をつけてランキング首位。ラッセルは3番手ルイス・ハミルトンを20ポイント上回っている。

    ラッセル自身はレース後、今季のドライバーズタイトル争いについて現実的には厳しいとの認識を示したが、ヴォルフは残り6戦で状況が大きく変化する可能性を指摘した。

    「これはモータースポーツだ。リタイアすることもあれば、クラッシュすることもある。それが2戦続くことだってある」

    「そうなれば、突然、それまで十分に見えていたポイントリードがそうではなくなる。まだ6レース残っているからだ」

    「だから私としては、数学的にタイトル獲得が現実的ではなくなるまではポイントを無視すべきだと思っている。それまでは各週末に集中し、ベストを尽くすだけだ」

    メルセデスはすでに2027年型マシンの開発へリソースを振り向けているが、ヴォルフは現在の選手権状況に左右されるものではなく、計画通りに進めていると説明している。

    「2027年に向けた開発はかなり前、夏よりも前から始まっている。我々は来年へリソースを振り向けており、それは選手権での順位に関係なく、計画通りに進んでいる」

    アントネッリが勝利を重ねる一方で、ラッセルにも速さそのものは残っている。その力を安定して引き出せない原因を突き止め、「ポテンシャルを解放する」ことが、シーズン終盤に向けたメルセデスの重要なテーマとなる。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP優勝も「僕たちは勝利に値しなかった」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP優勝も「僕たちは勝利に値しなかった」

    メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1スペインGPで今季8勝目を挙げたものの、「今日は僕たちは勝利に値しなかった」と振り返り、本来ならランド・ノリスが勝つべきレースだったとの考えを示した。

    マドリンクで初開催されたF1スペインGPで2番グリッドからスタートしたアントネッリは、序盤にノリスと首位を争った後、バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングを生かして首位に浮上。最終的にマックス・フェルスタッペンを抑え、2戦連続となる勝利を手にした。

    「ランドが勝利に値した」
    しかし、チェッカー後のアントネッリは、勝利を手放しでは喜ばなかった。

    「勝てたのはもちろんうれしい。でも、今日はそれほど気分がいい勝利ではない。ランドが勝利に値したと思うからだ」

    ノリスはポールポジションからレースをリードし、アントネッリとのギャップを築いていた。しかし、VSCが導入された時点ですでにピット入口を通過しており、その恩恵を受けることができなかった。

    一方、アントネッリはVSC導入直後にピットへ入り、ハードタイヤへ交換。通常より大幅に少ないタイムロスでタイヤ交換を済ませ、実質的な首位に立った。

    「VSCが出た瞬間にピットへ飛び込んで、少ないロスでハードに交換し、実質的な首位に立つことができた。だから、おそらく僕たちは勝利に値しなかったと思う。でも、もちろんこの結果は受け取る」

    それでも、純粋なレースペースについては手応えを感じている。

    「それ以外では、とても強いレースだった。特に最後のハードでは本当にいいペースがあった。これからもプッシュし続けないといけない」

    「本来なら2位か3位」スタートの攻防を反省
    FIAのレース後記者会見でも、アントネッリは自身の勝利を冷静に評価した。

    「現実的に、正直に言えば、今日は僕たちは勝利に値しなかった。ランドが勝つべきレースだったと思う」

    「僕たちの結果は、おそらく2位、あるいは3位だったと思う。スタートで僕が十分にいい仕事をできなかった。少しアグレッシブになりすぎて、自分を悪いポジションに追い込んでしまった。間違いなく改善しなければならない部分がある」

    スタート直後、アントネッリはノリスに対して積極的に仕掛けた。しかし、シケインをカットする形となり、その後の攻防でも再びコースをショートカットすることになった。

    「仕掛けてみたけど、当然ランドだって簡単に抜かせてくれるわけではない。彼はやるべきことをやった」

    「2つ目のシケインでは行けるかもしれないと思ったけど、接触するにはリスクが高すぎると感じた。それで諦めることにした」

    無理にターンインしていれば、レースそのものを失う可能性もあったという。

    「もし僕がターンインしていたら、ランドと接触して、おそらくウォールに行って道路を塞いでいたと思う。間違いなくいい結果にはならなかった」

    この一連の攻防によってアントネッリは難しい位置に置かれ、フェルスタッペンにも先行を許した。

    「その後は少し厄介なポジションになって、マックスにターン7のアウト側から抜かれた。見直すべきところは間違いなくあるけど、それでもチームとしては素晴らしい仕事だった」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(スペイングランプリ)

    フェルスタッペンの順位返上にも「少し混乱した」
    アントネッリは、序盤にフェルスタッペンからポジションを返された場面についても説明した。

    フェルスタッペンはルイス・ハミルトンとの攻防でコース外へ出たことを受け、レッドブルからポジションを戻すよう指示された。その過程でアントネッリも再びフェルスタッペンの前に出ることになった。

    「少し混乱した。マックスが僕をコース外から抜いたとは思っていなかったからだ。普通に抜かれたと思っていた」

    「その後、彼がルイスにポジションを返さなければならないと聞いた。ルイスにはブレーキの問題も出ていたから、特にマックスにとっては少し変な状況だったと思う」

    ハミルトンはその後、ブレーキシステムのトラブルによってリタイア。アントネッリにとっては、序盤の順位変動からVSCまで、複数の展開が自身に有利に働いたレースでもあった。

    「だから今日の勝利は、さっき言ったように素晴らしいものだけど、僕が望んでいた勝ち方ではない」

    予想を下回ったタイヤデグラデーション
    レース前にはマドリンクで高いタイヤデグラデーションが予想されていたが、実際には想定ほど激しくなかった。

    アントネッリは、路面にラバーが乗っていったことに加え、ハードタイヤが特にグレイニングに対して強かったことを理由に挙げた。

    「デグラデーションはかなり低かった。もちろん多少はあったけど、予想よりずっと低かった。路面にラバーが乗っていったこともあって、1ストップが可能になった」

    「最後にはタイヤはかなり終わっていたけど、このコースはオーバーテイクが難しい。だからタイヤを持たせながら、そのまま最後まで走ることができる」

    シャルル・ルクレールがハードタイヤで約50周に及ぶロングスティントを敢行しながら、一定のペースを維持したことも、その耐久性を示していた。

    「シャルルもハードでほぼ50周走って、それでもまずまずのペースを維持していた。予想外だったけど、一番大きかったのはハードタイヤが特にグレイニングに対して強かったことだと思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差にも「タイトルを考えながら走りたくない」
    アントネッリは今回の勝利で今季8勝目を記録。13戦連続で少なくとも1周をリードし、ドライバーズランキングでは2位に対するリードを81ポイントまで広げた。

    それでも、20歳のアントネッリはタイトルを意識して守りに入る考えを否定した。

    「それこそ僕がやりたくないことだ。1レースずつプッシュして、結果を出し続けて、最後まで楽しみたい。そして毎レース、自分のベストを尽くす。そのうえで年末にどこにいるかを見るだけだ」

    「もちろん大きなリードはある。でも何が起こるかは分からない。だから何にでも対応できるようにして、得られるすべてのチャンスを最大限に生かしていかないといけない」

    記者会見では、すでにF1ワールドチャンピオン経験者であるフェルスタッペンとノリスにも、若きランキングリーダーへのアドバイスを求める質問が飛んだ。

    アントネッリはすかさず「彼らは逆転を願っていると思うけどね」と冗談を飛ばしたが、フェルスタッペンは「キミは今やっていることを続ければいい」と高く評価した。

    ノリスも「80ポイント以上リードしているのは、彼が信じられないほどいい仕事をしているからだ」と称え、「20歳になったばかりで、恐ろしいほどいい仕事をしている」とそのパフォーマンスを評価した。

    好調でも父親が「地に足をつけてくれる」
    圧倒的なリードを築く中で、どう冷静さを保っているのか。アントネッリは家族とチームの存在が大きいと語った。

    「本当にいい人たちが周りにいるのは幸運だと思う。素晴らしいチームが支えてくれているし、家族もいる。特に父は僕を地に足をつけさせてくれる存在だ」

    「僕が少し道を外れそうになっていると感じたら、遠慮なく叱ってくれるし、ちゃんと地に足をつけるように言ってくれる。いい人たちが周りにいることは間違いなく大きな助けになっている」

    自身としては、タイトル争いを必要以上に意識することなく、これまでと同じ姿勢を貫くつもりだ。

    「僕は毎レース、自分のベストを尽くそうとしているだけだ。マシンに乗ったらできるだけ速く走る。そして年末にどこにいるかを見る」

    「物事を複雑に考えすぎたり、チャンピオンシップや結果を心配しながら走ったりしたくない。ただ走って、自分のベストを尽くすだけだ」

    VSCという幸運を最大限に生かしてマドリンク初代ウイナーとなったアントネッリ。それでも本人は勝利そのものより、自身のスタートでの判断や改善点に目を向けている。81ポイントという大きなリードを築いたタイトル争いでも姿勢を変えず、次戦アゼルバイジャンGPに向けて「バクーではもっと良くなりたい」とさらなる改善を誓った。

  • ジョージ・ラッセル F1王座争いから事実上の撤退「現実的に僕はもう争っていない」

    ジョージ・ラッセル F1王座争いから事実上の撤退「現実的に僕はもう争っていない」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1スペインGPを5位で終え、ドライバーズタイトル争いについて「現実的に僕はもう争っていない」と認めた。メルセデスのチームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリがマドリンクで今季8勝目を挙げたことで、両者のポイント差は81点まで拡大した。

    一方、コンストラクターズ選手権ではメルセデスが優位な立場にあり、ラッセルは今後、個人タイトルではなくレースごとの結果とチームのタイトル獲得に集中する姿勢を示している。

    b style=”font-size:1.1em;”>アントネッリとの差は81ポイントに拡大
    ラッセルはF1スペインGPの週末を好調にスタートし、金曜日のFP1ではトップタイムを記録した。しかし、その後は勢いを維持できず、予選では6番手。決勝でも5位にとどまった。

    対照的にアントネッリは、前戦F1イタリアGPに続いて2連勝を達成。今季8勝目を挙げ、ドライバーズランキング首位の座をさらに強固なものとした。

    レース後、ラッセルはタイトル争いについて次のように語った。

    「僕たちはコンストラクターズ選手権を勝つうえで、明らかにとてもいい位置にいる」

    「現実的に言えば、僕はもうドライバーズタイトル争いには加わっていない。だからこそ、レースごとに集中して、いい結果を出すことに専念できる」

    スペインGPを迎える前、ラッセルはアントネッリについて「チームメイトの方が僕よりいい仕事をしている」と認めていた。ただし、その時点ではタイトル獲得の可能性を完全には否定せず、ポイント差を縮めるにはある程度の幸運も必要になるとの見方を示していた。

    しかし、マドリンクでその状況が好転することはなかった。

    2度のピットストップに疑問も「結局は同じ順位」
    スペインGP決勝では戦略面でもラッセルにとって難しい展開となった。

    多くのドライバーが1ストップ戦略を採用するなか、メルセデスはラッセルを2度ピットに入れた。まずバーチャル・セーフティカー(VSC)中に新品ミディアムへ交換し、その後さらにハードタイヤへ履き替えた。

    ラッセルはレース中、レースエンジニアのマーカス・ダドリーに対して、なぜピットストップを行ったのか無線で質問。後方のランド・ノリスを抑えられたのではないかとの考えを伝えていた。

    ただし、レース後にはチームの判断を理解したと説明している。

    「その瞬間は疑問に思っていたけど、ハードタイヤの方が優れたタイヤだった」

    「ルクレールと一緒にステイアウトすることもできたかもしれない。でも、それでも僕は彼の後ろでフィニッシュしていただろう」

    「最後にもう一度ピットに入ってハードに交換しないという選択肢もあったかもしれない。でも、何をやったとしても結局は同じ順位に戻っていたと思う」

    その理由としてラッセルが挙げたのが、マドリンクでのオーバーテイクの難しさだった。

    「このコースではオーバーテイクできないからだ。それは残念だね」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    個人タイトルよりメルセデスのコンストラクターズ王座へ
    開幕前には2026年F1ドライバーズタイトルの有力候補とみられていたラッセルだが、ここまでのグランプリ勝利は2回。ランキング2位は維持しているものの、アントネッリとの差は81ポイントに広がった。

    スペインGPを終えたラッセルの発言からは、今後の目標が自身のドライバーズタイトルからメルセデスのコンストラクターズタイトル獲得へと移りつつあることがうかがえる。

    「ここ2戦はよりポジティブになっている。今日の結果は決して素晴らしいものではなかったけどね」

    「でも、ある意味では今シーズンを象徴しているようなものだ。僕は自分のパフォーマンスに集中して、チームを助け続ける必要がある」

    「僕たちはコンストラクターズ選手権を勝つうえで、明らかにとてもいい位置にいる」

    アントネッリが連勝で勢いをさらに強める一方、ラッセルは個人タイトルへの期待を事実上封印した。次戦F1アゼルバイジャンGP以降は、レースごとのパフォーマンスを追求しながら、メルセデスのコンストラクターズタイトル獲得を支えることが最大の目標となりそうだ。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP決勝を警戒「最初の10周はおばあちゃん運転」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP決勝を警戒「最初の10周はおばあちゃん運転」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1スペインGPの決勝でタイヤデグラデーションが大きな鍵になると警戒している。フリー走行のロングランでは早い段階でプッシュすると急激にタイヤが落ちる傾向が確認されており、「最初の10周はおばあちゃん運転になる」と冗談を交えてタイヤ管理の重要性を語った。

    メルセデスのアントネッリはマドリンクで行われた予選で1分31秒835を記録。Q3最後のアタックで一時トップに立ったものの、ランド・ノリスにわずか0.011秒上回られ、2番グリッドから初開催のF1スペインGP決勝を迎える。

    「最初の10周はおばあちゃん運転」
    アントネッリが決勝に向けて最大の課題に挙げたのがタイヤデグラデーションだ。

    「最大のチャレンジは明日だと思う。デグラデーションがかなり大きそうだからね」

    決勝でタイヤをどのように持たせる必要があるかと聞かれると、アントネッリは笑いを誘う表現で答えた。

    「たぶん最初の10周は“おばあちゃん運転”になると思う。でも、どうなるか見てみよう」

    「ロングランでは、早くプッシュしすぎるとデグラデーションがどれだけ急激になるか分かった。もちろん、明日レースを始めてみたらデグラデーションがずっと小さい可能性もある。だから、その場で判断する必要がある」

    メルセデスの公式コメントでも、アントネッリは決勝について「全員にとって大きなチャレンジになる」と予想している。

    「明日は未知の部分がたくさんあって、全員にとって大きなチャレンジになる。タイヤのマネジメントが鍵になると思う」

    2ストップか3ストップか ハードも未知数
    タイヤ戦略についても不確定要素は多い。特にハードタイヤについては十分なデータがなく、どれだけ長いスティントを走れるかはまだ明確になっていない。

    「ハードがどういうタイヤなのか、どれくらい耐えられるのかはまだよく分かっていない。明日は2ストップになるかもしれないし、3ストップになるかもしれない」

    重要になるのは、特にレース序盤の第1スティントだという。

    「できるだけタイムを失わないようにしながら、特に第1スティントではタイヤをできる限りマネジメントすることが重要になる」

    マドリンクでは高い路面温度もタイヤを扱う難しさを増している。予選でもアントネッリは、アウトラップからプッシュラップ終了までタイヤを適切なウインドウに維持することに苦労した。

    「とても激しい予選だった。路面がかなり熱かったから、タイヤとのバランスを正しく合わせるのが難しかった」

    「アウトラップでの準備を正しく行うのも難しかったし、そのうえでプッシュラップ全体を通してタイヤを正しいウインドウに保たなければならなかった」

    オーバーテイクも難しいマドリンク
    タイヤを温存する必要がある一方で、マドリンクではオーバーテイクが難しいという別の問題もある。

    アントネッリはフリー走行でウィリアムズの後方を走った際、追い抜くまでに2周を要した経験を明かした。

    「プラクティスではウィリアムズの後ろで2周もかかって、かなり苦労してようやく抜けた。本当に難しい」

    「もともとデグラデーションが大きいのに、後ろを走るとさらにスライドが増えて、もっと難しくなる」

    ペースが近いマシンをコース上で抜くのは簡単ではなく、タイヤの使い方や戦略によってチャンスを作る必要があると考えている。

    「前のマシンにプレッシャーをかけて、ミスをさせるか、よりタイヤを消耗させる。そして戦略を使うしかない。同じくらいのペースなら、オーバーテイクするのは難しい」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    2番グリッドからノリスを狙う
    それだけに、2番グリッドから迎えるスタートは重要になる。

    「スタートは間違いなくすごく重要だし、ターン1までの走りも重要になる」

    予選直後のインタビューでは、ポールシッターのノリスをスタートでかわすことへの期待も口にした。

    「いいスタートができればいいね。そこで前に出られればと思っている」

    「勝つチャンスが来れば、それを取りにいく。それがなければ、自分たちにできる最高のレースをして、どうなるか見てみよう」

    メルセデスの公式コメントでも「オーバーテイクは難しくなると思うけど、ランドにプレッシャーをかけて、勝利を争うために何ができるか見てみたい」と語った。

    アントネッリは予選Q3最後のアタックでポールを取ったと思ったというほどの手応えを得ていたが、最後にノリスが0.011秒上回った。

    「こういう形で終わったのは少しほろ苦い。ポールを取ったと思ったからね。でもランドが奪っていった」

    それでも2番グリッドは、オーバーテイクが難しいと予想されるマドリンクでは絶好の位置だ。スタートでノリスに仕掛けつつ、序盤は“おばあちゃん運転”でタイヤを守るという相反する要求をどう両立するか。高いデグラデーションと未知のハードタイヤを巡る戦略が、アントネッリの勝利争いを左右することになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1スペインGP予選「タイヤがオーバーヒートしてすべて失った」

    ジョージ・ラッセル F1スペインGP予選「タイヤがオーバーヒートしてすべて失った」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1スペインGPの予選で6番手に終わった原因としてタイヤのオーバーヒートを挙げた。Q3最後のアタックでは途中までポールポジション争いに加わるペースを見せていたものの、ラップ終盤にタイヤが厳しくなり、タイムを失ったという。

    初開催となるマドリンクでラッセルはFP1最速と好スタートを切ったが、路面コンディションが改善していくにつれてタイヤからパフォーマンスを引き出すことに苦戦。

    予選ではQ1でトップタイムを記録したものの、最終的には今季自己ワーストタイとなる6番手にとどまった。

    Q3最終アタックで「限界まで攻めた」
    ラッセルはQ3最後のアタックについて、途中まではポールポジションを狙える手応えがあったと振り返った。

    「ポールを争える位置にはいたし、Q3最後のラップでは本当に限界まで攻めた」

    「途中ではコンマ3秒くらい速かったんだけど、ラップ終盤にタイヤがオーバーヒートして、そのアドバンテージを全部失ってしまった」

    「かなり残念だったね。みんなの差が本当に小さかったし、その結果がこの順位だ」

    ラッセルは予選Q1で最速タイムをマーク。最初のアタックではウォールに接触する場面もあったが、その後はペースを上げ、ポールポジション候補のひとりとしてQ3へ進出した。

    しかし、最後のアタックではランド・ノリスやチームメイトのキミ・アントネッリらに届かず6番手。ラッセルにとってはF1ハンガリーGP以来となる低い予選順位となった。

    路面が速くなるほどタイヤに苦戦
    ラッセルが特に問題視しているのは、週末が進み、路面のグリップが向上するにつれてタイヤをうまく使えなくなっている点だ。

    「最初にマシンに乗ったときはすごく快適だったし、自信もあった」

    「でも、路面が速くなっていくにつれて、タイヤから最大限のパフォーマンスを引き出すことに苦戦するようになった」

    「コーナーをより速く曲がれるようになるのではなく、ただスライドするようになっている。なぜそうなっているのか理解する必要がある」

    ラッセルは金曜日のFP1ではトップタイムを記録したが、FP2では5番手、土曜日のFP3では6番手と徐々に順位を落としていた。予選では一時的に速さを取り戻したものの、タイヤのオーバーヒートという問題がQ3で再び表面化した格好だ。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    決勝でもタイヤ管理が大きな課題
    マドリンクでは金曜日からタイヤのデグラデーションやオーバーヒートが大きなテーマとなっている。ラッセル自身も初日の走行後、タイヤへの負荷の大きさについて「6ストップが最速だと思ったくらい」と冗談交じりに語っていた。

    決勝では予選以上に長いスティントでタイヤを管理する必要があるだけに、メルセデスにとって原因の解明は重要になる。

    一方で、チームメイトのアントネッリは予選でフロントローを獲得しており、マシンそのものに上位を争う速さがないわけではない。ラッセルが自身のタイヤの使い方とセットアップの問題をどこまで改善できるかが、F1スペインGP決勝での追い上げを左右することになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1スペインGPのタイヤを懸念「6ストップが最速と思うくらい」

    ジョージ・ラッセル F1スペインGPのタイヤを懸念「6ストップが最速と思うくらい」

    ジョージ・ラッセルは、F1スペインGPの舞台となる新設マドリンクでの初日走行を終え、日曜日の決勝ではタイヤデグラデーションが大きな焦点になると予想した。特に高速バンクのラ・モニュメンタル(La Monumental)がタイヤに大きな負荷を与えているという。

    メルセデスは金曜日に好調なスタートを切り、FP1ではラッセルがトップ、FP2ではキミ・アントネッリが最速タイムを記録した。一方、ロングランではタイヤの消耗と温度管理という新たな課題が浮かび上がっている。

    ラッセル「6ストップが最速かと思った」
    マドリンクは高速コーナーが連続する一方、タイヤを十分に休ませられる長いストレートが少ない。ラッセルはFP1で確認されたデグラデーションの大きさについて、冗談交じりに驚きを表現した。

    「タイヤデグラデーションについては大きな疑問符がある。FP1で僕たち全員が経験したデグラデーションを見たときは、6ストップが一番速いレースになるんじゃないかと思ったくらいだよ!」

    「もちろん、日曜日にはタイヤデグラデーションも改善していると思う。でも、長いラ・モニュメンタルでは本当にタイヤが厳しくなる。そこは全員にとって大きなチャレンジになるだろう」

    特にターン12のラ・モニュメンタルは、高速で長時間にわたって横方向の荷重がかかり続けるため、タイヤへのエネルギー入力が大きい。路面そのものは比較的スムーズだが、摩耗だけでなく熱による性能低下が決勝を左右する可能性がある。

    メルセデスもタイヤの熱影響を警戒
    メルセデスの副チーム代表ブラッドリー・ロードも、マドリンク特有のレイアウトが通常とは異なるタイヤ挙動を引き起こす可能性を指摘した。

    「タイヤが非常に高温で走り続け、しかもコーナーが連続してタイヤを休ませる機会がほとんどないため、通常とは異なるタイヤの影響が出る可能性がある」

    「コーナー、コーナー、またコーナーというレイアウトだ。タイヤがそれにどう対処するかが決定的になる。路面はスムーズなので摩耗自体は予想ほど大きくないかもしれないが、事前のシミュレーションとは異なる熱的な影響が出る可能性もある」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    フェラーリは予選重視へ方針修正
    金曜日にメルセデスへ最も迫ったのはフェラーリだった。FP2ではシャルル・ルクレールが2番手、ルイス・ハミルトンが3番手につけ、いずれもアントネッリから0.2秒以内に入った。

    ルクレールは新コースでの初日について「とても興味深い一日だった。全員にとって完全に新しいコースで、かなりチャレンジングだ。予選はエキサイティングになると思う」と振り返った。

    「明日に向けてマシンを改善するために、まだかなり作業が必要だ。でも今日はうまくいった。予定していたプログラムをこなし、できるだけ多くの周回を走るという大きな目標のひとつも達成できた」

    一方、フレデリック・バスール代表は、追い抜きの難しさを踏まえてフェラーリが金曜日から重点を修正する必要があると認めた。

    「ロングスティントは予想通りだった。オーバーテイクは非常に難しい。つまり、スタート時のトラックポジションが極めて重要になる」

    「だから、少し重点を変える必要もある。もちろんレースペースが良いに越したことはないが、予選順位が重要になる。全体としてはまずまずの金曜日だった」

    マドリンクではタイヤを守るレースペースと、追い抜きの難しさを考慮した予選でのトラックポジションという二つの要素が絡み合う。初日のデータを見る限り、土曜日の予選だけでなく、日曜日に各チームがタイヤの熱とデグラデーションをどこまで管理できるかが、初開催のF1スペインGPを左右する重要なポイントになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1タイトル争いで現実直視「アントネッリは僕よりいい仕事」

    ジョージ・ラッセル F1タイトル争いで現実直視「アントネッリは僕よりいい仕事」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1ドライバーズ選手権でチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに66ポイント差をつけられている現状について、「今年は僕よりいい仕事をしている」と率直に認めた。

    メルセデスのタイトル争いでは、開幕戦で圧倒的な強さを見せたラッセルに対し、その後アントネッリがグランプリ5勝を挙げる快進撃を披露。

    フェラーリやマクラーレンも勝利を挙げるなか、アントネッリは着実にリードを広げてきた。ラッセルは逆転の可能性を捨ててはいないものの、自分には「運も必要」だと現実的に状況を捉えている。

    「彼は首位に立つにふさわしい」
    現在、アントネッリはラッセルに66ポイント差をつけてドライバーズ選手権をリードしており、史上最年少F1ワールドチャンピオン獲得に向けて有利な位置につけている。

    ラッセルは、残されたレースでこの差を逆転することが簡単ではないと認め、チームメイトの今季のパフォーマンスを高く評価した。

    「現実離れしたことを考えるつもりはない。実際のところ、今年はチームメイトの方が僕よりいい仕事をしている」

    「彼には不運もあったけど、それでも選手権をリードするにふさわしいし、今のところ、このポジションにいるだけの仕事をしている」

    そのうえでラッセルは、タイトルだけを意識するのではなく、残された一戦一戦で最大限の結果を狙っていくと説明した。

    「僕としては、一戦ずつ取り組んで、できるだけ多くのレースで勝つことを目指すだけだ」

    「このチャンピオンシップで勝ちたいなら、僕にはある程度の運も必要になる。それが今の状況だ。僕たちが置かれている立場については、かなり現実的に考えている」

    モンツァでアントネッリとの直接対決に敗北
    ラッセルにとって大きな痛手となったのが、前戦F1イタリアGPだった。

    アントネッリは19番グリッドから猛烈な追い上げを見せ、レース中にはラッセルと何度もホイール・トゥ・ホイールの攻防を展開。最終的にチームメイトを2番手へ退け、劇的な優勝を飾った。

    モンツァでの敗戦をどのように受け止めたのかと尋ねられたラッセルは、今季はそうした結果を消化する経験を十分に積んできたと語った。

    「今年は物事を受け止める練習をかなりしてきたよ。僕自身はいい状態だし、どの週末からもポジティブなものを持ち帰っている」

    「もちろん、モンツァでは勝ちたかったし、キミとのあのバトルを最後まで続けたかった」

    それでも、アントネッリの現在の勢いについて言い訳をすることはなかった。

    「実際のところ、彼は今、本当に素晴らしい仕事をしている。それについては彼を評価しなければならない」

    「僕自身もいくつかいい改善ができているし、この流れを続けて、また彼に戦いを挑みたい。それが今の僕のメンタリティだ」

    ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    初開催マドリンクで反撃へ
    ラッセルにとって次の反撃の機会となるのが、今週末にマドリンクで初開催されるF1スペインGPだ。

    過去のデータが存在しない新しいサーキットだけに、勢力図が通常とは異なる可能性もある。ラッセルは特に高速コーナーとアグレッシブな縁石を警戒し、ドライバーが自信を持って限界へ近づいていくことが重要になると考えている。

    「F1にいる全員のレベルはものすごく高い。ここは自信が必要になるサーキットだ」

    「かなりチャレンジングだし、高速コーナーがたくさんあって、縁石もアグレッシブだ。間違いなく特別な経験になると思う。とにかくウォールに当てないようにして、少しずつペースを上げていくことだね」

    一方で、タイトル争いを考えれば慎重になりすぎることもできない。

    「すべてのレースがチャンスだ。このサーキットは今季でも特にリスクの高いサーキットのひとつだと思う」

    「すべてを懸けてポールポジションと勝利を狙いたい気持ちはある。でも、このレースへのアプローチとしては、いつも通り自分たちの仕事をするだけだ」

    アントネッリの実力と現在の優位を認めたラッセルだが、タイトル争いから降りるつもりはない。66ポイントという大きな差を逆転するには運も必要だと認識しながら、まずは初開催のマドリンクで勝利を取り戻し、チームメイトへの反撃を開始することを目指す。

  • ジョージ・ラッセル F1イギリスGPに専用「GRandstand」誕生 ノリスに対抗

    ジョージ・ラッセル F1イギリスGPに専用「GRandstand」誕生 ノリスに対抗

    ジョージ・ラッセルの願いが実現し、2027年F1イギリスGPで自身の名を冠した専用グランドスタンド「GRandstand」がシルバーストンに誕生することが決まった。

    シルバーストンでは、ランド・ノリスのファン専用エリア「Landostand」がすでに名物となっている。ラッセルは以前から自身のグランドスタンドを望んでおり、母国のライバルに対抗する形でついに専用エリアを手に入れることになった。

    ラッセル念願の「GRandstand」が2027年に誕生
    近年のF1では、母国GPでドライバーを前面に押し出したプロモーションが活発になっている。その代表例が、シルバーストンのストウ・コーナーに設けられているランド・ノリスの「Landostand」だ。

    2026年のF1イギリスGPではLandostandが大幅に拡張され、1万6000人以上のファンが詰めかけた。鮮やかな蛍光カラーに染まった巨大なスタンドは、ハンガーストレートからストウへ向かうドライバーの目にも飛び込んでくるシルバーストンの名物となっている。

    ラッセルも2026年のF1イギリスGPで、自身の専用グランドスタンドについて尋ねられ、実現に向けて動いていることを明かしていた。

    「以前からチームと話していたことなんだ。おそらく来年に向けて取り組んでいることのひとつだと思う」

    さらに、どこに設置したいかと聞かれると、ラッセルはノリスを意識して冗談交じりに語っていた。

    「ランドはストウのアウト側にかなりいい場所を持っているから、そこを彼から奪ってみようかな」

    ノリスの場所を奪うという希望こそ実現しなかったものの、ラッセルには別の一等地が用意された。

    「GRandstand」が設置されるのは、ターン1のアビーからターン2、そしてビレッジへと続く序盤区間に位置するファーム・カーブ。シルバーストンによれば、2027年から正式にジョージ・ラッセル・グランドスタンドとして使用される。


    「サーキットで最高の場所のひとつ」
    ラッセルは専用グランドスタンドの誕生を喜び、そのロケーションについて次のように説明した。

    「2027年のグランプリで、僕たち自身の『GR Grandstand』ができることを発表できて本当にうれしい」

    「場所はターン1の出口だ。だからターン1全体とターン2、それにターン3へのオーバーテイクポイント、そしてターン4まで見ることができる。本当に、本当にクールな場所だよ。僕の意見では、サーキットで最高の場所のひとつだ」

    ファーム・カーブはシルバーストンのオープニングセクションに位置し、スタート直後の攻防を含め、最初の4つのコーナーを広く見渡せる場所となる。

    「GRandstand」という名称は、ラッセルのイニシャルである「GR」と英語の「Grandstand」を組み合わせたもの。ノリスの名前と「stand」を掛け合わせた「Landostand」と同様、ドライバー名を生かしたネーミングとなっている。

    シルバーストンでは現在、GRandstandのチケットについて優先アクセスの登録を受け付けており、一般販売に先駆けて購入機会が提供される予定となっている。

    2027年のF1イギリスGPでは、ストウを埋め尽くすノリスの「Landostand」に加え、ファーム・カーブにラッセルの「GRandstand」が登場する。イギリスを代表する2人のF1ドライバーによるコース上の戦いだけでなく、シルバーストンのスタンドを舞台にしたファン同士の応援合戦も新たな見どころとなりそうだ。

  • メルセデスF1 11歳のイタリア人逸材ニッコロ・ペリコと育成契約

    メルセデスF1 11歳のイタリア人逸材ニッコロ・ペリコと育成契約

    メルセデスF1は、イタリア出身の11歳のカートドライバー、ニッコロ・ペリコをジュニアプログラムに迎え入れた。ペリコはすでに国内外のカートカテゴリーでタイトルを獲得しており、キミ・アントネッリをF1まで育て上げたメルセデスの育成システムで新たなキャリアをスタートさせる。

    2026年F1イタリアGPが行われたモンツァでは、メルセデスのチームカラーを身にまとったペリコがガレージを訪問。

    トト・ヴォルフ、シモーネ・レスタ、ブラッドリー・ロードらとともに過ごし、ヘッドセットを装着してエンジニアの無線に耳を傾ける姿も見られた。

    11歳ですでに国内外のタイトルを獲得
    ニッコロ・ペリコは2014年12月、イタリア・アルツァーノ・ロンバルドで生まれた。父親はラリードライバーとして活動してきたアレッサンドロ“アレックス”・ペリコで、幼い頃からモータースポーツに身近な環境で育った。

    ペリコはカートを始めてから早い段階で頭角を現した。2023年にはMini U10クラスのトロフェオ・デッレ・インドゥストリエを制覇。翌2024年には同カテゴリーのACIイタリア・カート選手権でチャンピオンに輝いた。

    2025年には活動の舞台をさらに広げ、ROKスーパーファイナルとChampions of the Future Academy Trophyで勝利を記録。イタリア国内だけでなく、国際舞台でも将来性を示す結果を残した。

    そして2026年には、WSKスーパーマスターシリーズのOK-NJクラスで5大会中4勝を挙げ、タイトルを獲得。現在はKart Republicからレースに参戦しており、メルセデスのサポートを受けながら国際ジュニアカテゴリーへのステップアップを進めている。

    メルセデス育成責任者「国際デビューは並外れていた」
    メルセデスのドライバー育成アドバイザーを務めるグウェン・ラグリューは、ペリコがMiniカテゴリーで見せてきた走りだけでなく、OK-NJへの移行後すぐに結果を残した点を高く評価している。

    「彼はMiniでの最初の数シーズンから非常に印象的だった。そして、国際舞台でのOK-NJデビューは並外れたものだった」

    ラグリューによれば、ペリコは次のステップとしてOKJカテゴリーへの昇格を予定しており、参戦時には同カテゴリーで最年少ドライバーになる見込みだという。メルセデスは目先の成績だけではなく、長期的な育成対象としてペリコに大きな可能性を見いだしている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリを育てたメルセデスの育成プログラム
    11歳のイタリア人ドライバーをメルセデスが早い段階から支援するという構図から、キミ・アントネッリとの比較は避けられない。

    アントネッリも幼少期からカートで実績を積み、メルセデスのジュニアプログラムによる長期的な支援を受けてフォーミュラカテゴリーへ進出。最終的にメルセデスのF1ドライバーへと昇格した。

    もっとも、ペリコはまだ11歳だ。現段階でF1への道筋を語るにはあまりにも早く、今後もカートやジュニアフォーミュラで多くのステップを踏む必要がある。

    それでも、MiniからOK-NJへとカテゴリーを上げてもすぐに結果を残し、メルセデスがこの年齢から育成プログラムに加えたことは、その評価の高さを物語っている。アントネッリに続くイタリアの新たな才能として、ニッコロ・ペリコの成長が長期的な注目を集めることになりそうだ。