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  • アイザック・ハジャーだけではない F1ドライバーを襲ったサーキット外の負傷

    アイザック・ハジャーだけではない F1ドライバーを襲ったサーキット外の負傷

    F1では安全技術の進歩によって、サーキット上の事故でドライバーが大きな負傷を負うケースは以前に比べて減少している。しかし、その一方で自転車やラリー、さらには日常的なスポーツなど、F1とは直接関係のない活動中の事故がシーズンに影響を及ぼす例は繰り返されてきた。

    2026年F1オランダGPでは、レッドブル・レーシングのアイザック・ハジャーが夏休み中に手首を負傷し、欠場することが決まった。

    レッドブルは負傷の詳しい経緯を明らかにしていないが、BBCはハジャーがボクシング中に手を骨折したとみられると報じている。サーキット外でのアクシデントによってF1参戦が左右されたケースは、ハジャーが初めてではない。

    アイザック・ハジャーだけではないF1の「サーキット外リスク」
    現代のF1マシンは極めて高い安全性を備えており、大事故でもドライバーが無傷でマシンを降りる場面は珍しくなくなった。

    ところが、F1から離れた場所ではそうした安全装備に守られているわけではない。特にF1関係者の負傷例で目立つのが、自転車による事故だ。

    ハジャーの負傷をきっかけに、過去にF1ドライバーやチーム関係者を襲った代表的なサーキット外での事故を振り返る。

    トト・ヴォルフ:自転車事故などで何度も骨折
    メルセデスを率いるトト・ヴォルフは、F1関係者のなかでもサーキット外での負傷経験が多い人物だ。

    元レーシングドライバーでもあるヴォルフは2009年、ニュルブルクリンク北コースでラップレコード更新に挑戦していた際、ポルシェ911 RSRを運転中にタイヤが破裂。約190mph(約306km/h)でバリアに激突し、衝撃は27Gに達した。

    自力でマシンから脱出したものの、その直後にバリアの裏側で意識を失ったという。

    さらにウィリアムズへの投資を経てメルセデスの経営に加わった後の2014年には、F1ハンガリーGPを前にスタッフとドナウ川近くをサイクリング中に集団事故を起こした。

    ヴォルフは肩、鎖骨、肘、手首を骨折。それでも「これからはプロに任せることにした。ルイスとニコの方が、僕たちが30km/hで走るより300km/hでホイール・トゥ・ホイールをする方が上手だからね」と冗談を飛ばした。

    その数カ月後にはエクササイズボールから転落して膝蓋骨を骨折したと報じられ、2023年にも家族との休暇中にダウンヒル・マウンテンバイクで転倒して肘を骨折している。

    ランス・ストロール:両手首を骨折も12日後にF1復帰
    ランス・ストロールは2023年シーズン開幕直前、自転車でのトレーニング中に事故を起こした。

    両手首を骨折し、右手首には手術が必要となったため、バーレーンで行われたプレシーズンテストをすべて欠場。当初は開幕から数戦を欠場する可能性もあると考えられていた。

    しかし、バルセロナで専門医ハビエル・ミールの手術を受け、驚異的なペースでリハビリを進めた。

    「医療チームは骨の治癒に効果があるという証拠が少しでもあることなら、何でもやってくれた。それが僕のフルタイムの仕事になった。たとえ0.5%でも助けになるなら、すべて組み合わせようとしていた」

    ストロールは手術からわずか12日後のF1バーレーンGPに出場。痛みを抱えながら6位でフィニッシュした。

    アイザック・ハジャーの負傷で再び注目されるF1の「サーキット外リスク」

    フェルナンド・アロンソ:自転車で自動車と衝突し顎を骨折
    フェルナンド・アロンソもF1復帰を目前に控えて自転車事故に見舞われたひとりだ。

    2021年2月、スイスのルガーノで自転車に乗っていたアロンソは、自動車との衝突事故に遭った。上顎を骨折し、直ちに手術を受けることになった。

    2年間のF1離脱を経てアルピーヌから復帰する直前だっただけに、シーズンへの影響も懸念された。

    「事故が起きたときは心配だった。前年の後半からずっと待っていて、チーム発表や最初のテストに向けて準備していた。それなのに突然、自転車事故で病院にいて、回復にどれだけかかるのか分からなくなったんだ」

    幸い手術後の回復は順調で、アロンソはプレシーズンテストに参加。予定通り2021年シーズンをスタートさせた。

    マーク・ウェバー:2度の自転車事故を経験
    元レッドブルF1ドライバーのマーク・ウェバーは、現役時代に2度の自転車事故で負傷している。

    最初の大事故は2008年シーズン終了後。自身の名を冠したチャリティー耐久イベント「マーク・ウェバー・ピュア・タスマニア・チャレンジ」に参加していた際、自転車で自動車と衝突した。

    イベントはマウンテンバイク、カヤック、トレッキングなどで約250kmを走破するものだったが、ウェバーは自転車区間で事故に遭い、脚と肩を骨折。ヘリコプターで病院へ搬送された。

    2009年シーズンには復帰したものの、脚にはその後約4年間にわたって金属製のロッドが残された。

    さらに2010年、日本GP前にもマウンテンバイクで転倒し、右肩を骨折した。

    タイトルを争っていたウェバーは負傷をチームに伏せ、トレーナーのロジャー・クリアリーとFIA医師ゲイリー・ハートスタインだけに知らせた状態でシーズン終盤を戦った。

    パスカル・ウェーレイン:レース・オブ・チャンピオンズで脊椎3カ所骨折
    パスカル・ウェーレインの場合は自転車ではなく、F1以外のモータースポーツイベントが原因だった。

    2017年シーズン開幕前、マイアミで開催されたレース・オブ・チャンピオンズにセバスチャン・ベッテルとともにドイツ代表として出場。フェリペ・マッサとのレース中にポラリス・スリングショットのコントロールを失い、バリアに衝突して横転した。

    事故直後は自力でマシンから降りたものの、実際には脊椎を3カ所骨折していた。

    ウェーレインは約5週間まともに動くことができず、F1オーストラリアGPと中国GPを欠場。アントニオ・ジョビナッツィが代役を務めた。

    「メルボルンで走るのは無理だった。背中もフィットネスも準備できていなかった。脊椎を3カ所骨折してからまだ8週間だったから、あまりにも早すぎた」

    その後ウェーレインは復帰したが、2017年限りでザウバーのシートを失った。

    ロバート・クビサ:ラリー事故でF1キャリアが一変
    サーキット外の事故によってF1キャリアそのものが大きく変わった代表例がロバート・クビサだ。

    ルノーで高い評価を得ていたクビサは2011年シーズン開幕前、イタリアで開催されたロンド・ディ・アンドラ・ラリーにシュコダ・ファビアで参戦した。

    しかし、コース脇のガードレールに激突。ガードレールが車体内部に侵入する深刻な事故となり、右前腕が部分的に切断されるなど生命を脅かす重傷を負った。

    一命は取り留めたものの右腕に運動機能障害が残り、F1への即時復帰は不可能となった。

    その後ラリーで競技復帰し、ルノーやウィリアムズでF1テストを重ねた末、2019年にウィリアムズから奇跡的なF1復帰を果たした。

    クビサは後に、2012年からフェラーリで走るための事前契約を結んでいたことも明かしている。2008年F1カナダGP優勝者のキャリアは、あのラリー事故がなければ大きく異なっていた可能性がある。

    ファン・パブロ・モントーヤ:「テニス事故」を巡って飛び交った疑惑
    ファン・パブロ・モントーヤは2005年、ウィリアムズからマクラーレンに移籍した直後に肩を負傷し、F1バーレーンGPとサンマリノGPを欠場した。

    公式な説明は「テニス中の事故」だった。

    ところが、モントーヤが実際にはモトクロスバイクに乗っていて負傷したのではないかとの噂が広がった。当時、危険な活動がマクラーレンとの契約で禁止されていたのではないかとの憶測もあったためだ。

    モントーヤは一貫して否定した。

    「いろいろな話を聞いたよ。でも本当にテニスだった。バイクだったと言った方がまだ格好いいくらいだ。テニスというのはちょっと間抜けに聞こえるけど、それが実際に起きたことなんだ」

    代役を務めたペドロ・デ・ラ・ロサも、モントーヤ本人からは一貫してテニスだったと聞かされていたと証言している。

    ただし、当時マクラーレンを率いていたロン・デニスは後に、この負傷が2005年シーズンに大きな悪影響を及ぼし、両者の関係に緊張を生んだ要因だったと振り返っている。

    F1マシンを降りても消えない負傷リスク
    F1ではマシン、サーキット、ヘルメット、HANS、医療体制など、安全性向上のための取り組みが長年にわたって積み重ねられてきた。しかし、ドライバーがコックピットを離れれば、その高度な安全システムに守られているわけではない。

    ストロールやアロンソ、ウェバーの例が示すように、とりわけトレーニングとして一般的なサイクリングは、F1ドライバーにとって意外なリスクにもなってきた。一方、クビサのラリー事故のように、その後のキャリアを根本から変えてしまったケースもある。

    2026年F1オランダGPを欠場することになったハジャーの負傷もまた、サーキット外での何気ない活動がF1シーズンに直接影響を及ぼし得ることを改めて示す出来事となった。

  • キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1の新チーム代表に就任したマルチン・ブコウスキーが、チーム改革に向けた最初のテーマとして英国と米国にまたがる組織の連携状況を把握する考えを明らかにした。

    キャデラックはシルバーストンをF1活動の主要拠点とする一方、米国ではインディアナ州フィッシャーズをはじめ、ノースカロライナ州とミシガン州にも拠点を構えている。

    ブコウスキーは、この4拠点に存在する人材と技術力を最大限に生かすことが重要だと考えている。

    キャデラックF1新代表ブコウスキー まずは「聞いて観察する」
    キャデラックは先週、グレアム・ロードンの後任としてブコウスキーを新チーム代表に起用すると発表した。突然の交代はF1パドックでも驚きをもって受け止められた。

    ブコウスキーはマクラーレンやフェラーリなどで経験を積んだ空力エンジニアであり、FIAのF1技術部門責任者やアルピーヌのエグゼクティブディレクターも務めた。今週末のF1オランダGPでは、キャデラックのチーム代表として初めてピットウォールに加わる。

    就任発表時点では、まだ英国シルバーストンのファクトリーを訪れていなかった。キャデラックをめぐっては、将来的に米国フィッシャーズの拠点へ活動の比重を移す可能性も取り沙汰されているだけに、ブコウスキーがどのような組織体制を構築するのかにも注目が集まっている。

    ブコウスキーは、チーム代表として最初に行うべきことは組織を理解することだと説明した。

    「僕の最優先事項は、まず話を聞くことだ。率直に言えば、ファクトリーで話を聞き、観察する。人々に会う必要があるし、彼らがどう働いているのか、さまざまな個人や部門がどう連携しているのかを理解する必要がある」

    特に重視しているのが、ファクトリーとサーキットで活動するチームの連携だ。

    「これまでのF1での経験から、チームが信頼性の問題に苦しんでいるときには、サーキット側のオペレーションとファクトリーとの間に分断が生まれる大きなリスクがあることを知っている。キャデラックはシーズン前半にそうした問題を抱えていた」

    「どんなF1チームでも、そのつながりは非常に強固でなければならない。だから最初の週はファクトリーとザントフォールトのサーキットの両方で過ごす。それぞれの側からチームを見て、どう連携しているのかを確認したい」

    キャデラックF1チーム

    米国の技術力も活用「人材を見ないのは愚かなこと」
    キャデラックの特徴のひとつが、大西洋を挟んだ複数拠点によるF1プロジェクトである。

    現在はシルバーストンがF1活動を主導しているが、米国ではフィッシャーズに大規模な拠点を構え、さらにノースカロライナ州とミシガン州にもリソースを持っている。

    ブコウスキーは、英国だけでなく米国側に存在するエンジニアリング能力をさらに活用できる余地があるとみている。

    「米国には非常に多くの技術的な専門知識がある。彼らは将来、火星に宇宙船を送ろうとしているくらいだからね!」

    「米国側には、もっと活用できるものがたくさんあると思う。すぐにできることではないし、時間はかかる。ただ、大西洋の向こう側にいる人材や技術的な専門知識に目を向けないのは愚かなことだと思う」

    キャデラックにとって、複数拠点の存在は豊富な人材を確保できる強みである一方、距離や時差を越えて各部門を一体化させる必要があるという組織上の課題にもなる。

    特にブコウスキーが指摘したように、マシンの信頼性問題を解決するには、サーキットで発生した問題をファクトリーへ迅速かつ正確にフィードバックし、設計や製造、品質管理へ反映する仕組みが欠かせない。

    その意味でも、新代表にとって最初のオランダGPは単なるレース週末ではない。シルバーストンのファクトリーとザントフォールトの現場を行き来しながら、キャデラックという組織が実際にどのように機能しているのかを確認する最初の機会となる。

    夏休み明けから本格的に指揮を執るブコウスキー。英国と米国に広がる4拠点をひとつのF1チームとしてどこまで効率的に機能させられるかが、新体制での最初の重要課題となりそうだ。

  • リアム・ローソン レッドブルF1史上初の再昇格 ハジャー代役で雪辱へ

    リアム・ローソン レッドブルF1史上初の再昇格 ハジャー代役で雪辱へ

    リアム・ローソンが、2026年F1第12戦オランダGPでレッドブル・レーシングに復帰する。負傷したアイザック・ハジャーの代役としてマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務めることになり、一度レッドブルのシートを失ったドライバーが再び同チームからF1に参戦する史上初のケースとなる。

    2025年序盤、わずか2戦でレッドブルからレーシングブルズへ降格したローソン。それから約1年半、着実に評価を取り戻してきたニュージーランド人ドライバーに、思わぬ形で雪辱のチャンスが巡ってきた。

    複雑に入れ替わったレッドブル系ドライバー
    今回の交代劇は、近年のレッドブル系ドライバーの目まぐるしい変遷を象徴するものとなった。

    ローソンがレッドブルで代役を務めるのは、2025年に自身の後任となったハジャー。そのローソンが抜けるレーシングブルズには角田裕毅が入り、アービッド・リンドブラッドとコンビを組む。

    ローソンはもともと2023年、負傷したダニエル・リカルドの代役として当時のアルファタウリからF1デビュー。その後、2024年シーズン途中にリカルドの後任としてレギュラーシートを獲得し、2025年にはセルジオ・ペレスに代わってレッドブルへ昇格した。

    しかし、そのレッドブルでの最初の挑戦はわずか2戦で終わった。

    リアム・ローソン レッドブル・レーシング

    2025年はわずか2戦でレッドブル降格
    ローソンがレッドブルに昇格した時点で、F1決勝出走はわずか11戦だった。

    開幕戦オーストラリアGPでは、エンジントラブルによってプラクティスで十分な走行時間を確保できず、決勝では雨による難しいコンディションのなかでクラッシュ。続く中国GPも、それまで走った経験のない上海インターナショナル・サーキットで扱いの難しいRB21に苦戦した。

    レッドブルはわずか2戦でドライバー交代を決断。第3戦日本GPから角田裕毅を昇格させ、ローソンをレーシングブルズへ戻した。

    ローソンにとっては大きな挫折だったが、その後はレーシングブルズで徐々にパフォーマンスを取り戻していった。

    一度シートを失ったドライバーとして史上初のレッドブル復帰
    今回の昇格には、レッドブルのドライバー史において特別な意味がある。

    これまでレッドブルのレギュラーシートから外されたドライバーが、その後再び同チームでF1レースに出場した例はない。

    ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、セルジオ・ペレス、そして角田裕毅はいずれもレッドブルのシートを失った後、同チームのレースドライバーには戻っていない。

    ローソンは今回、ハジャーの負傷による代役という形ではあるものの、その前例を初めて破ることになる。

    2026年前半戦でランキング9位
    ローソンが再びチャンスを得た背景には、レーシングブルズで積み重ねてきた結果もある。

    2026年シーズン前半戦を終えた時点で、ローソンは43ポイントを獲得してドライバーズランキング9位。モナコGPとイギリスGPでは自己最高位となる6位に入った。

    メルセデス、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルという上位4チームに所属していないドライバーのなかでは、ランキング最上位につけている。

    2025年序盤にはレッドブルのマシンへの適応に苦しんだローソンだが、今回は当時とは異なり、F1での経験と実績を積み重ねた状態でフェルスタッペンの隣に戻ることになる。

    ニュージーランド人52年ぶりの表彰台にも期待
    オランダGPでは、ローソンに大きなチャンスが待っている。

    RB22は上位争いが可能なマシンとみられており、短期間でマシンに適応できれば、ポイント獲得だけでなく上位進出も視野に入る。

    さらに表彰台に立てば、ニュージーランド人F1ドライバーとしてはデニス・ハルムが1974年オーストリアGPで2位に入って以来、52年ぶりの快挙となる。実に913グランプリぶりだ。

    一度はわずか2戦でレッドブルのシートを失ったローソン。その後レーシングブルズでキャリアを立て直した末に巡ってきた今回のF1オランダGPは、単なる代役参戦ではなく、自らの成長を証明し、レッドブルでの評価を覆す絶好の機会となる。

  • 角田裕毅 F1オランダGP欠場のアイザック・ハジャーに「一日も早い回復を」

    角田裕毅 F1オランダGP欠場のアイザック・ハジャーに「一日も早い回復を」

    角田裕毅は、2026年F1オランダGPでレーシングブルズからグランプリ復帰することが決定したことを受け、負傷により欠場するアイザック・ハジャーに「一日も早い回復を願っています」とメッセージを送った。

    レッドブル・レーシングは、ハジャーがサマーブレイク中に手首を負傷したため、ザントフォールトで開催されるオランダGPを欠場すると発表。レーシングブルズのリアム・ローソンが代役としてレッドブルのRB22をドライブし、空いたレーシングブルズのシートにはリザーブドライバーの角田裕毅が起用される。

    角田裕毅「またマシンに乗れることをうれしく思います」
    角田裕毅は正式発表後、自身のSNSを通じてF1復帰への思いとハジャーへのメッセージを投稿した。

    「この週末に再びハンドルを握り、チームのために代役を務められるのが嬉しいです。アイザック・ハジャーの一日も早い回復を願っています!」

    この投稿にはハジャー本人も反応。「Have fun bro(楽しんで、兄弟)」とコメントを寄せ、急きょ自身に代わってF1のグリッドに戻る角田裕毅にエールを送った。

    今回のドライバー変更により、ローソンはレッドブルでマックス・フェルスタッペンと組み、角田裕毅はレーシングブルズでアービッド・リンドブラッドのチームメイトとしてオランダGPに出場する。

    角田裕毅にとってレーシングブルズは、F1キャリアの大半を過ごした馴染み深いチームだ。2021年に当時のアルファタウリからF1デビューを果たし、2025年シーズン序盤まで同チームで戦った。

    2025年は開幕2戦を終えた段階でレッドブルへ昇格し、成績不振に苦しんでいたローソンと入れ替わる形でフェルスタッペンのチームメイトとなった。しかし、レッドブルでは4度のF1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンに匹敵する結果を残すことができず、2026年はレッドブルとレーシングブルズのリザーブドライバーを務めている。

    角田裕毅 F1 オランダGP

    レーシングブルズも角田裕毅とローソンの対応力に感謝
    レーシングブルズも声明を発表し、急きょ異なるマシンでオランダGPに臨むことになったローソンと角田裕毅の「適応力」に感謝を示した。

    「ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズは、アイザック・ハジャーの手首の負傷により、リアム・ローソンが今週末のオランダGPでオラクル・レッドブル・レーシングからレースに出場することを確認する」

    「このドライバー変更に伴い、リザーブドライバーの角田裕毅が今週末のザントフォールトで、アービッド・リンドブラッドとともにレーシングブルズから出場する」

    「週末に向けて両チームが準備を進めるなか、リアムと裕毅の適応力に感謝するとともに、アイザックの一日も早い回復を願っている」

    ハジャーの負傷によって急きょ実現することになった角田裕毅のF1復帰。慣れ親しんだレーシングブルズからの参戦とはいえ、2026年型マシンで実戦を戦うのは初めてとなる。限られた準備時間のなかでどこまで対応できるかが、ザントフォールトでの大きな注目点となる。

    【関連】
    ・角田裕毅 F1オランダGP参戦決定!レーシングブルズから緊急復帰
    ・アイザック・ハジャー F1オランダGP欠場 レッドブルはリアム・ローソンを代役起用

  • フェラーリF1 マクラーレンの台頭を警戒せず「週末ごとに勢力図は大きく変わる」

    フェラーリF1 マクラーレンの台頭を警戒せず「週末ごとに勢力図は大きく変わる」

    2026年F1ハンガリーGPでマクラーレンが今季初勝利を挙げたが、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、後半戦に向けて新たな脅威として警戒する考えを否定した。週末どころかセッション間でもパフォーマンスが「大きく変動する」と指摘し、ライバルではなくSF-26の改善に集中する姿勢を強調している。

    一方、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、フェラーリが依然としてグリッド最高のシャシーを持っていると評価。

    特に低速コーナーで明確な優位が残っているとしており、ハンガリーでの勝利だけをもって勢力図が変わったとは考えていない。

    マクラーレン今季初勝利でもバスールは動じず
    2026年シーズン序盤はメルセデスが圧倒的な強さを見せたが、第7戦スペインGPでルイス・ハミルトンが勝利し、その連勝を止めた。その後、フェラーリはさらに1勝を追加し、第11戦ハンガリーGPではランド・ノリスがマクラーレンに今季初勝利をもたらした。

    ハンガロリンクではノリスがポールポジションから優勝。マックス・フェルスタッペンが2位、キミ・アントネッリが3位に入り、フェラーリ勢はシャルル・ルクレールが4位、ハミルトンが5位だった。

    フェラーリにとって完璧なレースではなかったものの、表彰台を争えるだけのペースは示していた。

    マクラーレンがメルセデス、フェラーリと並ぶトップ争いの一角に加わったのではないかと問われたバスールは、その見方自体にあまり意味はないと語った。

    「私はそういう質問を自分自身にはしていない。週末ごとに状況が違うからだ」

    「自分たち自身に集中して、マシンにパフォーマンスをもたらすことに取り組まなければならない」

    さらにバスールは、同じグランプリの中でも勢力関係が大きく変化する可能性を指摘する。

    「FP1からFP2の間だけでも、パフォーマンスには大きな振れ幅がある。勢力バランスについて考えるなら、それは興味深いことだ」

    つまり、ハンガリーでマクラーレンが勝ったという一つの結果から、後半戦の勢力図を固定的に判断することはできないという考えだ。

    スクーデリア・フェラーリ

    バスール「ランドは飛ぶように走っていた」
    バスールは、マクラーレンの勝利にはハンガロリンクでノリスが発揮した個人的な速さも大きく影響したとみている。

    「明らかなのは、ランドが非常に速かったということだ。オスカーよりもかなり速かった」

    「我々がオスカーの後ろで詰まっていたとき、おそらく我々の方が彼より速かったと思う。一方でランドは、単独で走っているときには飛ぶように速かった」

    ノリスは前年のハンガリーGPでも勝利しており、ハンガロリンクとの相性の良さを改めて示した形となった。

    この発言からも、バスールが今回の結果を単純な「マクラーレンのマシンがフェラーリを上回った」という構図では捉えていないことが分かる。

    フェラーリとマクラーレンがメルセデスを追う展開
    ハンガリーGPは、フェラーリとマクラーレンの双方がメルセデスを上回るポイントを獲得した今季2度目のレースとなった。最初はスペインGPだった。

    ただし、コンストラクターズ選手権では依然としてメルセデスが大きくリードしている。ハンガリーGP終了時点でフェラーリは72ポイント差、マクラーレンは159ポイント差を追う立場にある。

    メルセデスが序盤ほど圧倒的ではなくなっている一方で、フェラーリとマクラーレンがその差を一気に縮められる状況にはまだ至っていない。

    特にマクラーレン側は、ハンガリーで勝利したからといって、今後すべてのサーキットでフェラーリと互角に戦えるとは考えていない。

    ステラ「フェラーリにはまだ最高のシャシーがある」
    マクラーレン代表のアンドレア・ステラは、SF-26について極めて高い評価を示している。

    「フェラーリは、コーナーでグリップを生み出すという意味では、依然として最高のシャシーを持っていると思う」

    その差が特に表れているのが、ブレーキングから低速コーナーへ進入する局面だという。

    「それはブレーキングで非常に明確だ。ターン1やターン12のように、ブレーキをかけながら低速コーナーへターンインするところでは、依然として他の全チームよりかなり先にいる」

    ハンガロリンクのターン1とターン12はいずれも、強いブレーキングからマシンを旋回させる必要がある。そこでフェラーリはSF-26の強みを発揮していたというのがステラの分析だ。

    マクラーレンは中高速域でフェラーリとの差を縮小
    一方で、マクラーレンもシーズンを通して弱点を改善している。

    「我々は中高速域でマシンを改善することができた。そこではフェラーリとより近いところまで来ている」

    ただし、低速域については依然として差がある。

    「ターン1やターン12を見ると、まだかなりのタイムを失っている」

    ハンガロリンクはコーナリング性能が重要なサーキットだが、興味深いことにマクラーレンがフェラーリに対して稼いでいた部分のひとつはストレートだったという。

    「ハンガリーはコーナーでのパフォーマンスが非常に重要なコースだが、実際にはフェラーリとのラップタイム差の一部をストレートで稼いでいた」

    「いくつかの領域では改善できていて、少なくともここハンガリーではフェラーリと比較できるレベルになった。ただ、低速ではさらに改善する必要がある」

    メルセデスHPP製PUもマクラーレンの武器
    ステラはストレートでの改善について、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)製パワーユニットの恩恵もあると説明した。

    「パフォーマンスの一部はストレートから来ていた。これはHPPのパワーユニットを使っているメリットだと思う」

    2026年の新パワーユニット規則下では、エネルギーマネジメントや電気エネルギーの使い方がラップタイムを大きく左右する。ハンガリーではマクラーレンがコーナリングだけでなく、ストレートでタイムを稼げたことも勝利につながった。

    ただし、ステラ自身が認めるように、低速コーナーでのSF-26の性能は依然としてマクラーレンを上回っている。

    後半戦の焦点は「誰が速いか」より開発競争
    ハンガリーGPだけを見ればマクラーレンが勝者となったが、フェラーリとマクラーレン双方の分析は、単純な序列変更を示してはいない。

    バスールが強調するのは、FP1からFP2だけでもパフォーマンスが大きく変化するほど、現在のF1ではマシンのセットアップやサーキット特性による振れ幅が大きいという点だ。そのためフェラーリは、マクラーレンを新たな脅威として意識するよりも、SF-26からさらに性能を引き出すことを優先している。

    一方のマクラーレンも、中高速域やストレートではフェラーリとの差を縮めたものの、低速コーナーでは依然としてSF-26に優位があると分析している。

    メルセデスを追うフェラーリとマクラーレンにとって、後半戦の争点は一戦ごとの勝敗だけではない。サーキットごとに大きく変化する勢力図の中で、それぞれの弱点をどこまで減らせるかが、シーズン終盤に向けた競争力を左右することになりそうだ。

  • ホンダF1 新スペックPUをオランダGP投入「最大の弱点はパワー性能」

    ホンダF1 新スペックPUをオランダGP投入「最大の弱点はパワー性能」

    ホンダは、2026年F1第12戦オランダGPで待望の新スペック・パワーユニット(PU)を投入する。アストンマーティンとの新たなワークス体制で苦しいシーズン前半を過ごしたホンダにとって、競争力を引き上げるための重要なアップデートとなる。

    ホンダF1のトラックサイド兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、新スペックPUで最優先したのは明確に「パワー性能」だと説明した。

    そのうえで、燃焼特性の変化に合わせてドライバビリティを再構築し、実戦を通じてさらに仕上げていく方針を明らかにしている。

    ホンダが新スペックPUで最優先した「パワー性能」
    ホンダとアストンマーティンは、2026年から新たなワークスパートナーシップを開始したが、シーズン前半は期待通りの結果を残せていない。

    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでAMR26Bに大規模なアップデートを投入し、マシンの競争力に改善の兆しを見せた。次に注目されるのが、オランダGPで実戦投入されるホンダの新スペックPUだ。

    折原伸太郎はRacingNews365の独占インタビューで、これまでのPUで最大の弱点となっていた部分を率直に説明した。

    「我々の最大の弱点はパワー性能です。そのため、新しいエンジンではエンジン性能の向上に重点を置きました」

    新スペックでは、まず純粋な出力性能を高めることを最優先している。

    「新スペックのエンジンでは、純粋にエンジン性能を向上させることに集中しました。そして、燃焼特性をベースにドライバビリティを作り上げています」

    2026年のF1パワーユニットは、内燃機関だけでなく電動側とのエネルギーマネジメントもラップタイムを左右する。そのなかでホンダは、まず根本的なパワー不足への対応を優先した形だ。

    従来型PUで得た知見を新スペックへ移行
    新スペックPUは燃焼特性そのものが変化するため、単純に従来型のセッティングを引き継げるわけではない。それでも、シーズン前半に蓄積したデータや経験は大きな財産になると折原伸太郎は説明する。

    「このスペックのエンジンから多くのことを学びました。その知識の一部は新しいエンジンにも移すことができます」

    「ただ、新しいエンジンには新しい燃焼特性があります。そのため、ドライバビリティのクオリティをもう一度作り上げていく必要がありますが、すでに多くのことを学んでいます」

    「ゼロからスタートするわけではありません。最初に重点を置くのはパフォーマンスで、その後、イベントを通じてドライバビリティを継続的に改善していきます」

    つまり、オランダGPに持ち込まれる仕様が完成形というわけではない。まずパワー向上を実現し、その新たな燃焼特性に合わせてサーキット上で細かな制御を最適化していくことになる。

    ホンダF1 F1 オランダGP

    アロンソとストロールのフィードバックも開発に反映
    ホンダにとってもうひとつ重要なのが、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールから得られるフィードバックだ。

    アストンマーティンは今季ここまで厳しい戦いを強いられており、ドライバーからはマシンとPUの双方について改善要求が寄せられてきた。ホンダは、その要求すべてに個別対応するのではなく、根本的な性能向上とのバランスを取る必要があると考えている。

    「ドライバーからの要求や不満にどう対応するのか、そして我々の開発プログラムをどこに集中させるのか、その妥協点を見つけることが重要です」

    折原伸太郎は、ファクトリーとサーキットで担う役割にも違いがあると説明する。

    「繰り返しになりますが、我々の主な弱点はパフォーマンスです。そのため、ファクトリー側ではエンジン性能の開発に集中しています。一方、トラックサイドでは、ドライバーからの要求に合わせてドライバビリティやエネルギーマネジメントを改善するためにパラメーターを調整できます」

    サーキットで確認された問題は、ファクトリー側にもフィードバックされ、将来的な開発へとつなげられる。

    「ファクトリー側ともコミュニケーションを取っています。ドライバーがラップタイムを見つけるうえで重要な項目があれば、ファクトリーがその問題を解決するために対応します。そうやって妥協点を見つけていきます」

    オランダGPは新スペックPUの重要な実戦評価
    ホンダの新スペックPUは、単なる出力向上だけでなく、燃焼特性の変更に伴うドライバビリティやエネルギーマネジメントの再構築も伴う。

    そのため、ザントフォールトでのオランダGPは、新スペックの純粋な性能を確認すると同時に、アロンソとストロールのフィードバックを受けながら制御面を最適化していく重要な実戦評価の場となる。

    ハンガリーGPでシャシー側に大規模な改良を投入したアストンマーティンに続き、今度はホンダがPU側から競争力向上を狙う。シーズン後半に向けて巻き返しを図る両者にとって、オランダGPで新スペックPUがどこまで弱点だったパワー性能を改善できるかが大きな焦点となる。

  • メルセデスF1 同じPUでもカスタマーと性能差「ツールセットが違う」

    メルセデスF1 同じPUでもカスタマーと性能差「ツールセットが違う」

    メルセデスF1は、2026年に導入された新世代パワーユニット(PU)を巡り、ワークスチームとカスタマーチームの間で性能を引き出す能力に差が生じている理由を説明した。

    メルセデスは現在、マクラーレン、アルピーヌ、ウィリアムズにPUを供給している。しかし、同じメルセデス製PUを使用していても、ワークスチームほど性能を引き出せていないとの声がカスタマー側から上がっている。

    メルセデスF1の副チーム代表ブラッドリー・ロードによれば、その背景にはPUそのものではなく、シミュレーションや予測に使用する「ツールセット」の違いがあるという。

    同じメルセデスPUでも性能を引き出せないカスタマー
    2026年はF1の新パワーユニット規則が導入された最初のシーズンであり、メルセデスはここまで11戦中8勝を挙げ、新規則への対応で一歩先を行っている。

    一方、メルセデスPUを搭載するカスタマーチームからは、シーズン序盤からワークスとの差について疑問が示されてきた。

    マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは開幕戦オーストラリアGPで、メルセデスについて「彼らがやっていることを見ると、我々よりもはるかに多くのことを理解している。それに、情報の流れも想定していたものとは違っているのかもしれない」と語っていた。

    ステラは、メルセデスF1とPUを開発・製造するメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)がより密接に連携できることについては「当然だ」と認める一方、マクラーレンとしてHPPとの協力をさらに強化したいとの考えを示していた。

    この問題はその後も続き、イギリスGPではメルセデスがストレート上で使用していたスロットルリフトの手法が注目を集めた。

    ステラは「少し驚いた。これは我々が話し合ってきたものではないし、そもそも我々が利用できるものなのかさえ分からない」とコメント。「あのようにPUを使うには、おそらく何らかの追加要素が必要なのだと思う」と語った。

    メルセデス「すべてルールと契約に従っている」
    これに対し、ブラッドリー・ロードは、ワークスチームがPUからより多くの性能を引き出せている理由について、供給されるPU自体の違いではなく、それを使いこなすための技術基盤にあると説明した。

    「すべてルールに従っているし、すべて契約に従っている」

    ロードはそう強調した。

    「マクラーレン、そして他のカスタマーチームであるアルピーヌとウィリアムズは素晴らしいパートナーだと思っている。当然ながら彼らの要求水準は高い。優れたサポートと優れた製品を提供する会社と仕事をしたいからこそ、彼らはメルセデスを選んでいる」

    「ブリックスワースのPUチームは、長年にわたるカスタマー供給を通じて、非常に公平かつ適切な方法でそれを行っていることを証明してきた」

    つまり、メルセデスHPPはカスタマーチームに対して意図的に性能を制限したPUを供給しているわけではないということだ。

    性能差を生むのはPUではなく「ツールセット」
    では、なぜ同じPUを使いながら差が生まれるのか。

    ロードは、最大の要因としてシミュレーション技術やPUとシャシーの挙動を予測するためのツールを挙げた。

    「おそらく避けられないことだが、違いがあると認識されたり、カスタマー側が一歩遅れていると感じたりする部分がある。それは多くの場合、シミュレーションツールや、PUとシャシーがどのように振る舞うかを予測する能力といったところにある」

    「そして、そうしたツールセットの多くは、ブリックスワースだけで開発したものではない。MGP(メルセデス・グランプリ)のシャシーチームとブリックスワースのHPPが共同で開発してきたものだ」

    ここが重要なポイントとなる。

    PUそのものに関する技術やデータはHPPからカスタマーへ提供できても、メルセデスF1のシャシーチームが開発に関与した技術は、F1の知的財産(IP)に関する規則によって、そのまま他チームへ渡すことはできない。

    「技術レギュレーションでは、シャシーチームのIPについて、チーム間で何を共有できて何を共有できないかが非常に明確に定められている」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    カスタマー側も独自開発への投資が必要
    そのため、メルセデスがワークスチームで使用している技術をカスタマーへ提供する場合、シャシーチームのIPに該当する部分を切り離す作業が必要になるケースもある。

    あるいは、カスタマーチーム自身が予算を投入し、同様の能力を持つ独自のツールを開発しなければならない。

    「場合によっては、カスタマーチームに提供できるようにする前に、要素を切り分ける作業が必要になる」

    「あるいは、カスタマーチーム自身が作業を行い、PUを最大限に活用するためのツールを開発するために、自分たちのコストキャップ内のリソースを使って投資する必要がある」

    ロードは、これが2026年の新規則で浮上した複雑な問題のひとつだと説明する。

    「おそらく、これが我々が直面している複雑さのひとつだ。ただ、まったく新しいレギュレーションであり、しかも以前より複雑な規則であることを考えれば理解できることでもある」

    シーズン中盤でも続く新PUの学習
    2026年のPU規則は従来以上に複雑であり、ロードによれば、ワークスのメルセデス自身もまだ完全に理解し尽くしたわけではない。

    「メルボルンで開幕を迎えられるところまで持っていくこと自体、全員にとって本当に大仕事だった」

    「ここ数戦を見ても、まだ急激な学習曲線の途中にいる。シーズンの半分まで来ても、我々はデバッグを続けているし、思わぬ問題につながるものを発見し続けている」

    それでも、現時点で新PU規則を最もうまく活用しているのはメルセデスだ。

    2026年シーズン前半の11戦でメルセデスは8勝を挙げ、フェラーリが2勝、マクラーレンがハンガリーGPで1勝を記録している。

    コンストラクターズ選手権ではメルセデスがフェラーリに72ポイント差をつけて首位。ドライバーズ選手権でもキミ・アントネッリがルイス・ハミルトンに50ポイント差をつけてランキングトップに立っている。

    同じメルセデスPUを搭載していても、PUの性能を最大限に引き出すには、エンジンそのものだけでなく、シャシーとの統合、シミュレーション、制御方法を予測する技術基盤が不可欠となる。2026年の新規則では、その「使いこなす能力」がワークスとカスタマーの新たな差になっている。

  • レーシングブルズF1 ローソンとリンドブラッドに唯一のルール「接触禁止」

    レーシングブルズF1 ローソンとリンドブラッドに唯一のルール「接触禁止」

    レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインは、リアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドによる激しいチーム内バトルを歓迎しながらも、2人にひとつだけ明確なルールを課している。「互いに接触するな」というものだ。

    2026年のF1でレーシングブルズはコンストラクターズ選手権5位を争っており、現在66ポイントを獲得。アルピーヌに5ポイント差をつけ、チーム史上最高となるランキング5位を目指している。

    その一方で、ローソンとリンドブラッドの間では将来のレッドブル昇格やF1シートを巡る競争も激しさを増している。

    激しさを増すローソンとリンドブラッドのチーム内対決
    レーシングブルズは現在、F1のトップ4チームに続く「ベスト・オブ・ザ・レスト」の座を巡り、アルピーヌと接戦を繰り広げている。

    その争いと同時進行で注目されているのが、ローソンとリンドブラッドによるチーム内対決だ。

    2人は単純にチームメイト同士として競っているだけではない。将来的にレッドブル・レーシングのシートが空いた場合、その候補となる立場を争っている。さらにF2選手権をリードするレッドブル育成のニコラ・ツォロフもF1昇格候補として控えており、両者にとって現在のパフォーマンスは今後のキャリアを左右する重要な意味を持つ。

    今季はすでに両者がコース上で接近する場面が何度もあった。

    中国GPでは、ローソンがチームメイトのリンドブラッドから攻撃を受ける展開となったが、セーフティカーのタイミングがローソンに味方した。

    オーストリアGPではさらに緊張が高まった。ローソンはリンドブラッドが攻撃してこないとチームから伝えられていたにもかかわらず、実際にはリンドブラッドが仕掛けてきたことで、「チームの言うことを聞くのはこれが最後だ」と無線で不満を爆発させた。

    その後もシルバーストン、ベルギーGP、ハンガリーGPで2人は接近戦を演じている。

    興味深いことに、2人がそろってポイントを獲得した5戦のうち4戦では、ローソンとリンドブラッドが連続した順位でチェッカーを受けている。そして、その4戦はいずれもローソンが前でフィニッシュした。

    現在ローソンは43ポイントでドライバーズランキング9位につけ、23ポイントで11位のリンドブラッドを20ポイント上回っている。

    パーメイン代表が課す唯一のルール「互いに接触するな」
    チーム内での競争が激しくなっているものの、パーメインは両ドライバーのバトルを制限する考えはない。

    その代わり、レース前には必ず守るべきひとつのルールを伝えているという。

    「彼らを信頼するしかない」

    パーメインはRacerにそう語った。

    「もちろんレース前には話をする。僕は彼らに『いいか、レースをしていい。ただし互いに接触するな』と言っている」

    「それが僕からの唯一の要求だ。互いに接触するな」

    チームメイト同士がコース上で争うこと自体については、むしろ現在のレーシングブルズの競争力を示す好ましい状況だと考えている。

    「これはうれしい悩みだ。正直に言えば、彼らがコースに出れば、僕にとってはドライバーAとドライバーBだ。彼らにもそう伝えている」

    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    「どちらが前でも構わない」最優先はコンストラクターズ選手権
    パーメインにとって重要なのは、ローソンとリンドブラッドのどちらがチーム内で上位になるかではない。

    「どちらの順番でフィニッシュしても構わない。僕たちにとってコンストラクターズ選手権がすべてだ」

    レーシングブルズにとって、今季のランキング5位争いには特別な意味がある。

    チームは前身時代を含め、コンストラクターズ選手権で6位を上回ったことがない。現在の5位をシーズン終了まで守ることができれば、チーム史上最高成績となる。

    パーメインは、今季の躍進が特定のひとつの要因によるものではなく、チーム全体が機能している結果だと説明する。

    「素晴らしいシーズンになっている。もちろん、この素晴らしいチームで働く一人ひとりの努力によるものだ。ファエンツァのみんな、ミルトンキーンズのみんなの力だ」

    特に大きいのが、マシンに投入したアップグレードが期待通り機能していることだという。

    「違いを生み出しているのは、マシンに投入したものがすべて機能していることだ。かなり大きなアップグレードを持ち込んでも、コースに出ればきちんと機能している」

    「ドライバーたちも結果を出している。本当にあらゆる部分がうまく機能している」

    F1での将来も懸かる2人の競争
    ローソンは今季43ポイントを獲得し、ランキング9位と中団勢の中で存在感を示している。一方、リンドブラッドもルーキーながら23ポイントを挙げ、チームのコンストラクターズ選手権5位争いに貢献している。

    さらに背後にはF2首位のツォロフという次のレッドブル育成ドライバーも控える。レーシングブルズの2人にとって、チームメイトとの勝負は単なる2026年シーズンの順位争いだけではなく、今後のF1キャリアにも直結する。

    それでもパーメインが求めるのは、チームオーダーによって競争を封じることではない。自由に戦わせながら「接触しない」という最低限の一線だけを設定する方針だ。

    コンストラクターズ選手権5位というチーム史上最高成績を目指すレーシングブルズにとって、ローソンとリンドブラッドの激しい競争をポイント獲得につなげ続けられるかが、シーズン後半戦の重要な鍵となる。

  • FOD 2026年F1後半戦のフリー走行・スプリント予選を無料配信決定

    FOD 2026年F1後半戦のフリー走行・スプリント予選を無料配信決定

    フジテレビは8月19日、動画配信サービス「FOD」において、2026年F1シーズン後半戦のフリー走行とスプリント予選を全戦無料配信すると発表した。対象は第12戦オランダGPから最終戦アブダビGPまでで、登録なしで視聴できる。

    さらに、第12戦オランダGPについては決勝ハイライトを地上波で放送することも決定。8月23日(日)24時15分から24時55分まで、フジテレビほかで放送される。

    F1後半戦のフリー走行・スプリント予選を無料配信
    FODでは2026年シーズン、第4戦マイアミGP、第5戦カナダGP、第6戦モナコGPでも一部セッションを無料配信してきたが、今回、その取り組みをシーズン後半戦へ拡大する。

    第12戦オランダGPから最終戦アブダビGPまで、フリー走行およびスプリント予選を無料で配信する。FODへの登録は不要で、無料配信ではFOD限定のコメンタリーが使用される。

    ただし、無料配信の対象はフリー走行とスプリント予選のみ。通常の予選、スプリント決勝、決勝をライブで視聴するには、有料の「FOD F1 プラン」への加入が必要となる。

    スプリントが実施されないグランプリでは、基本的にフリー走行が無料配信の対象となる形だ。

    オランダGP決勝は地上波でハイライト放送
    シーズン後半戦の開幕戦となる第12戦オランダGPでは、決勝終了後に地上波でハイライト番組も放送される。

    番組タイトルは『2026 F1 オランダグランプリ 決勝ハイライト(Formula 1 Heineken Dutch Grand Prix 2026)』で、放送日時は8月23日(日)24時15分~24時55分。フジテレビほかで放送予定となっている。

    ライブ中継ではなく決勝のハイライト番組となるものの、F1のレースを地上波で楽しめる機会が設けられる。

    FOD F1 プランでは全戦・全セッションをライブ配信
    有料の「FOD F1 プラン」では、2026年F1シーズンの全戦・全セッションを日本語実況・解説付きでライブ配信する。

    対象はフリー走行、予選、スプリント予選、スプリント決勝、決勝で、ライブ配信に加えて配信終了後30日間の見逃し配信にも対応する。

    料金体系は「スターター」「プロ」「チャンピオン」の3コース。すべてのコースに「FODプレミアム」のコンテンツが含まれ、ドラマや映画、バラエティのほか、SUPER FORMULA全戦のライブ配信やモータースポーツ誌を含む雑誌読み放題サービスも利用できる。

    また、プロコースとチャンピオンコースでは、F1公式配信サービス「F1® TV」へのアクセス権が付与される。専用アカウントを作成してFODアカウントと連携することで、F1 TVが提供する各種機能を利用できる。

    2026年F1後半戦を無料配信でも楽しめる環境を拡大
    2026年F1シーズンはオランダGPから後半戦に入り、タイトル争いも重要な局面を迎える。

    FODの今回の無料配信拡大により、有料プランに加入していない視聴者も、オランダGPから最終戦アブダビGPまでフリー走行とスプリント予選を登録なしで視聴できるようになる。

    加えて、オランダGPでは決勝ハイライトの地上波放送も実施される。FODでのライブ配信を軸としながら、無料配信と地上波を組み合わせることで、2026年F1シーズン後半戦を国内で視聴できる機会がさらに広がることになった。

  • カルロス・サインツJr.がウィリアムズF1と契約延長 2027年ラインアップ確定

    カルロス・サインツJr.がウィリアムズF1と契約延長 2027年ラインアップ確定

    ウィリアムズF1は、カルロス・サインツJr.と新たな複数年契約を締結したことを発表した。これにより、前日に契約延長が発表されたアレクサンダー・アルボンとともに、2027年のドライバーラインアップが確定した。

    2025年にウィリアムズへ加入したカルロス・サインツJr.は、グランプリで2度、スプリントで1度の表彰台を獲得するなど、チーム再建の中心的な役割を担ってきた。

    苦戦を強いられている2026年シーズンを経てもなお、サインツJr.はウィリアムズの長期プロジェクトへの信頼を示し、F1参戦50周年を迎える2027年以降もチームに残ることを決断した。

    サインツJr.がウィリアムズと複数年契約
    ウィリアムズは、4度のF1グランプリ勝利を誇るカルロス・サインツJr.との新たな複数年契約を発表。チームは今回の契約について、将来的にF1のトップ争いへ復帰するという長期プロジェクトに対するサインツJr.の「信頼を示すもの」だと説明している。

    31歳のサインツJr.は2025年にフェラーリからウィリアムズへ移籍。持ち前の速さやレースクラフトだけでなく、詳細なエンジニアリングへのアプローチを生かし、マシンのパフォーマンスをあらゆる面で向上させるための取り組みに深く関わってきた。

    2025年にはアゼルバイジャンGPで3位に入り、ウィリアムズ加入後初の表彰台を獲得。さらにアメリカGPのスプリントでも表彰台に立ち、カタールGPでも3位に入った。

    サインツJr.とアルボンの活躍もあり、ウィリアムズは2025年に2016年以来となる好成績を残した。

    2026年はチームにとって厳しいシーズンとなっているが、舞台裏ではF1のトップ争いへ復帰するための設備投資や組織強化が続けられている。サインツJr.の契約延長は、そうした取り組みに対する信頼を改めて示した形となる。

    「初日と変わらない気持ちでウィリアムズを本来の場所へ」
    カルロス・サインツJr.は、ウィリアムズとの契約延長について喜びを語り、チームの人材と現在進められている投資に強い信頼を寄せていると強調した。

    「アトラシアン・ウィリアムズF1チームのファミリーと、この旅を続けられることを発表できて本当に嬉しい」

    「僕はファクトリーでもサーキットでも、このチームを構成している人たちを心から信じているし、舞台裏で進められている投資や懸命な努力も信じている。僕たちには力を合わせて状況を好転させるために必要なものが揃っている」

    「ウィリアムズを本来あるべき場所へ戻すために、僕は初日と変わらない気持ちで取り組んでいるし、これからチームとさらに多くの思い出を作っていくことを楽しみにしている」

    カルロス・サインツJr. ウィリアムズ・レーシング

    ジェームス・ボウルズ「カルロスはこのチームのリーダー」
    ウィリアムズF1のチーム代表を務めるジェームス・ボウルズは、サインツJr.が加入以来、ドライビングだけでなくファクトリーでの開発作業でも重要な役割を果たしてきたと評価した。

    「加入した瞬間から、ステアリングを握ったときのカルロスの才能と、ファクトリーで見せる献身的な姿勢は、このプロジェクトにとって極めて大きな価値を持ってきた。彼はエンジニアたちと毎日協力しながら、1ミリ秒でもタイムを縮めようとしている」

    「彼はこのチームのリーダーだ。我々が再建を続けるなかで、彼自身もこのチームに何が可能なのかを理解してくれていることをとても嬉しく思う」

    「際立っているのは彼のレースクラフトや速さだけではない。高いパフォーマンスを追求するために、舞台裏で行っている仕事もそうだ」

    「カルロスは、我々がアトラシアン・ウィリアムズF1チームで共有している信念と野心を持っており、それを実現するために毎日プッシュしている」

    「アレックスとともに、我々にはグリッド上で最も強力なラインアップのひとつがあると心から信じている。そして、あらゆるパフォーマンスを引き出すために一丸となって戦えるチームがある」

    アルボンとサインツJr.で2027年ラインアップ確定
    今回の発表により、ウィリアムズの2027年F1ドライバーラインアップはアレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツJr.で確定した。

    アルボンも前日にウィリアムズとの契約延長を発表しており、チームは経験豊富な現在のコンビを維持することになる。2人を合わせるとF1での出走数は370戦を超え、通算1,600ポイント以上、31回の表彰台という経験を持つ。

    2027年はウィリアムズにとってF1参戦50周年という節目でもある。

    サインツJr.はアラン・プロスト、ナイジェル・マンセルに続き、ウィリアムズ、マクラーレン、フェラーリというF1を代表する3チームすべてでレースを戦った史上3人目のドライバーでもある。2027年には、その3チームがそろってF1参戦50周年を迎える。

    ウィリアムズはコンストラクターズ選手権9回、グランプリ通算114勝という歴史を持つ名門だ。2026年は厳しい戦いを強いられているものの、チームは長期的な再建計画を継続しており、アルボンとサインツJr.という経験豊富なコンビをその中心に据えた。

    カルロス・サインツJr.の複数年契約によってドライバー体制を固めたウィリアムズは、F1参戦50周年となる2027年を新たな節目とし、再びトップ争いへ復帰するという目標に向けて再建を進めていく。