フェラーリF1 マクラーレンの台頭を警戒せず「週末ごとに勢力図は大きく変わる」

フェラーリF1 マクラーレンの台頭を警戒せず「週末ごとに勢力図は大きく変わる」

2026年F1ハンガリーGPでマクラーレンが今季初勝利を挙げたが、フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールは、後半戦に向けて新たな脅威として警戒する考えを否定した。週末どころかセッション間でもパフォーマンスが「大きく変動する」と指摘し、ライバルではなくSF-26の改善に集中する姿勢を強調している。

一方、マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、フェラーリが依然としてグリッド最高のシャシーを持っていると評価。

特に低速コーナーで明確な優位が残っているとしており、ハンガリーでの勝利だけをもって勢力図が変わったとは考えていない。

マクラーレン今季初勝利でもバスールは動じず
2026年シーズン序盤はメルセデスが圧倒的な強さを見せたが、第7戦スペインGPでルイス・ハミルトンが勝利し、その連勝を止めた。その後、フェラーリはさらに1勝を追加し、第11戦ハンガリーGPではランド・ノリスがマクラーレンに今季初勝利をもたらした。

ハンガロリンクではノリスがポールポジションから優勝。マックス・フェルスタッペンが2位、キミ・アントネッリが3位に入り、フェラーリ勢はシャルル・ルクレールが4位、ハミルトンが5位だった。

フェラーリにとって完璧なレースではなかったものの、表彰台を争えるだけのペースは示していた。

マクラーレンがメルセデス、フェラーリと並ぶトップ争いの一角に加わったのではないかと問われたバスールは、その見方自体にあまり意味はないと語った。

「私はそういう質問を自分自身にはしていない。週末ごとに状況が違うからだ」

「自分たち自身に集中して、マシンにパフォーマンスをもたらすことに取り組まなければならない」

さらにバスールは、同じグランプリの中でも勢力関係が大きく変化する可能性を指摘する。

「FP1からFP2の間だけでも、パフォーマンスには大きな振れ幅がある。勢力バランスについて考えるなら、それは興味深いことだ」

つまり、ハンガリーでマクラーレンが勝ったという一つの結果から、後半戦の勢力図を固定的に判断することはできないという考えだ。

スクーデリア・フェラーリ

バスール「ランドは飛ぶように走っていた」
バスールは、マクラーレンの勝利にはハンガロリンクでノリスが発揮した個人的な速さも大きく影響したとみている。

「明らかなのは、ランドが非常に速かったということだ。オスカーよりもかなり速かった」

「我々がオスカーの後ろで詰まっていたとき、おそらく我々の方が彼より速かったと思う。一方でランドは、単独で走っているときには飛ぶように速かった」

ノリスは前年のハンガリーGPでも勝利しており、ハンガロリンクとの相性の良さを改めて示した形となった。

この発言からも、バスールが今回の結果を単純な「マクラーレンのマシンがフェラーリを上回った」という構図では捉えていないことが分かる。

フェラーリとマクラーレンがメルセデスを追う展開
ハンガリーGPは、フェラーリとマクラーレンの双方がメルセデスを上回るポイントを獲得した今季2度目のレースとなった。最初はスペインGPだった。

ただし、コンストラクターズ選手権では依然としてメルセデスが大きくリードしている。ハンガリーGP終了時点でフェラーリは72ポイント差、マクラーレンは159ポイント差を追う立場にある。

メルセデスが序盤ほど圧倒的ではなくなっている一方で、フェラーリとマクラーレンがその差を一気に縮められる状況にはまだ至っていない。

特にマクラーレン側は、ハンガリーで勝利したからといって、今後すべてのサーキットでフェラーリと互角に戦えるとは考えていない。

ステラ「フェラーリにはまだ最高のシャシーがある」
マクラーレン代表のアンドレア・ステラは、SF-26について極めて高い評価を示している。

「フェラーリは、コーナーでグリップを生み出すという意味では、依然として最高のシャシーを持っていると思う」

その差が特に表れているのが、ブレーキングから低速コーナーへ進入する局面だという。

「それはブレーキングで非常に明確だ。ターン1やターン12のように、ブレーキをかけながら低速コーナーへターンインするところでは、依然として他の全チームよりかなり先にいる」

ハンガロリンクのターン1とターン12はいずれも、強いブレーキングからマシンを旋回させる必要がある。そこでフェラーリはSF-26の強みを発揮していたというのがステラの分析だ。

マクラーレンは中高速域でフェラーリとの差を縮小
一方で、マクラーレンもシーズンを通して弱点を改善している。

「我々は中高速域でマシンを改善することができた。そこではフェラーリとより近いところまで来ている」

ただし、低速域については依然として差がある。

「ターン1やターン12を見ると、まだかなりのタイムを失っている」

ハンガロリンクはコーナリング性能が重要なサーキットだが、興味深いことにマクラーレンがフェラーリに対して稼いでいた部分のひとつはストレートだったという。

「ハンガリーはコーナーでのパフォーマンスが非常に重要なコースだが、実際にはフェラーリとのラップタイム差の一部をストレートで稼いでいた」

「いくつかの領域では改善できていて、少なくともここハンガリーではフェラーリと比較できるレベルになった。ただ、低速ではさらに改善する必要がある」

メルセデスHPP製PUもマクラーレンの武器
ステラはストレートでの改善について、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)製パワーユニットの恩恵もあると説明した。

「パフォーマンスの一部はストレートから来ていた。これはHPPのパワーユニットを使っているメリットだと思う」

2026年の新パワーユニット規則下では、エネルギーマネジメントや電気エネルギーの使い方がラップタイムを大きく左右する。ハンガリーではマクラーレンがコーナリングだけでなく、ストレートでタイムを稼げたことも勝利につながった。

ただし、ステラ自身が認めるように、低速コーナーでのSF-26の性能は依然としてマクラーレンを上回っている。

後半戦の焦点は「誰が速いか」より開発競争
ハンガリーGPだけを見ればマクラーレンが勝者となったが、フェラーリとマクラーレン双方の分析は、単純な序列変更を示してはいない。

バスールが強調するのは、FP1からFP2だけでもパフォーマンスが大きく変化するほど、現在のF1ではマシンのセットアップやサーキット特性による振れ幅が大きいという点だ。そのためフェラーリは、マクラーレンを新たな脅威として意識するよりも、SF-26からさらに性能を引き出すことを優先している。

一方のマクラーレンも、中高速域やストレートではフェラーリとの差を縮めたものの、低速コーナーでは依然としてSF-26に優位があると分析している。

メルセデスを追うフェラーリとマクラーレンにとって、後半戦の争点は一戦ごとの勝敗だけではない。サーキットごとに大きく変化する勢力図の中で、それぞれの弱点をどこまで減らせるかが、シーズン終盤に向けた競争力を左右することになりそうだ。