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  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1に奮起要求「王座を狙うならもっと攻めないと」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1に奮起要求「王座を狙うならもっと攻めないと」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1タイトル争いでメルセデスを打ち破る可能性を残すためには、フェラーリがシーズン後半戦でさらにパフォーマンスを引き上げる必要があると訴えた。

    第12戦オランダGPを終え、ハミルトンはドライバーズランキング首位のキミ・アントネッリから59ポイント差。ジョージ・ラッセルとは同点でランキング2位につけている。

    コンストラクターズランキングでもフェラーリは2位を維持しており、タイトル争いから脱落したわけではない。

    全戦入賞の安定感でタイトル争いに踏みとどまるハミルトン
    ハミルトンは今季ここまで1勝にとどまっているものの、12戦すべてでポイントを獲得している唯一のドライバーであり、その安定感によってタイトル争いに踏みとどまっている。

    一方、メルセデスはシーズン序盤に信頼性トラブルによってポイントを失ったものの、W17は当初、ライバル勢に対して明確なペース面での優位性を示していた。その後、フェラーリを含む追撃勢が徐々に差を縮めている。

    フェラーリのホームレースとなる次戦イタリアGPを前に、ハミルトンはチームにさらなる奮起を求めた。

    「僕たちは過去とはかなり違う状況にいる」

    「コンストラクターズ選手権ではまだ2位だし、シーズン前半から持ち帰れるポジティブな材料はたくさんある。でも、これからのレースでは本当にもっと攻めていかなければならない。彼らを倒すチャンスを得たいなら、もっと熱を上げていく必要がある」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    オランダGPでは2位争いに届く可能性も
    オランダGPでハミルトンは4位でフィニッシュした。異なる戦略を採っていたシャルル・ルクレールを前に出す判断がフェラーリからもっと早く下されていれば、2位に届いた可能性もあった。

    レース終盤にはラッセルの背後まで迫ったものの、バーチャルセーフティカー(VSC)の導入もハミルトンにとって不利に働いた。

    ハミルトンはレース中、チームがルクレールとの順位を入れ替える判断に時間を要したことに対し、無線で皮肉を込めた発言をしていた。その後、その言葉遣いについて謝罪している。

    ただし、本人は感情的な状況の中でも一線を越えた発言ではなかったと振り返った。

    「汚い言葉を使ったわけじゃないよ! 悪態をついたり、そういうことは何も言っていなかったと思う」

    「心拍数は170まで上がっていて、僕は勝とうとしているんだ。分かるだろう!」

    フェラーリのアップデートを評価も「もっとパワーが必要」
    その一方で、ハミルトンはフェラーリがオランダGPにアップデートを持ち込んだことを高く評価している。シーズン序盤と比較すればメルセデスとの差は縮まりつつあり、その進歩自体には手応えを感じている。

    「僕がチームについて本当に誇りに思っていることのひとつは、この週末にアップデートを持ち込んでくれたことだ。僕たちは彼ら(メルセデス)に近づいている」

    しかし、ハミルトンがタイトル争いを続けるうえで最大の課題として挙げたのが、パワーユニットの出力だ。

    「この半年間、僕たちはパワーで劣っていた。だから彼らと戦えるところまで近づき、差を縮めようとするなら、本当にもっとパワーを引き出す必要がある」

    2026年シーズンは残り10戦から12戦となる見通しで、中東情勢によって最終的な開催数には依然として不透明な部分が残る。それでも59ポイント差であれば、タイトル獲得の可能性は数字上残されている。

    フェラーリにとって次戦モンツァはホームレースであると同時に、メルセデスとの差をどこまで縮められたのかを測る重要な一戦となる。ハミルトンが求める「もっと攻める」姿勢を結果につなげられるか。タイトル争いを継続するためにも、フェラーリにはパワーとレース運営の両面でさらなる前進が求められる。

  • アイザック・ハジャー F1イタリアGP復帰に前進「腫れはない」水曜日に最終判断

    アイザック・ハジャー F1イタリアGP復帰に前進「腫れはない」水曜日に最終判断

    手首の負傷によりF1オランダGPを欠場したアイザック・ハジャーは、次戦イタリアGPでの復帰に向けて順調に回復していることを明かした。患部の腫れはすでになく、日に日に可動域も広がっているという。

    レッドブル・レーシングは、9月4~6日にモンツァで開催されるイタリアGPへのハジャーの出場について、負傷の回復状況と実際にF1マシンをドライブできる状態にあるかを確認したうえで、水曜日に最終判断を下す予定だ。

    ハジャーは夏休み中、トレーニングの一環として行っていたボクシングで手首を負傷。小さな骨折が確認され、ザントフォールトで行われたオランダGPへの出場を断念した。

    ただし、ハジャーはレースウイーク中もチームに帯同し、ガレージからセッションを見守った。レッドブルが公開したオランダGPの舞台裏映像では、これが自身にとって初めて経験する本格的な負傷だと説明している。

    「実際、これが僕の人生で初めてのケガなんだ。これまでの人生でも、キャリアでも、本当に初めてだ」

    ドライバーとしてレースに出場できず、ガレージから見守る状況には強いフラストレーションを感じたという。

    「ベンチにいるのは変な感じだし、僕自身にとってもチームにとっても、うれしいことではない。もちろん、僕はすべてのラップでそこにいたい」

    「腫れはない」モンツァ復帰へ回復進む
    一方、ハジャーが明かした現在の手首の状態には明るい材料がある。固定具を装着した患部を示しながら、腫れがなくなり、可動域も日々改善していると説明した。

    「腫れていないんだ。それはすごくポジティブだし、いい兆候だ。実際、かなり早く治っている」

    「毎日少しずつ動かせる範囲が広がっている。モンツァに行けることを願っているよ」

    F1マシンの運転では、ステアリング操作だけでなく、縁石から伝わる衝撃や高速コーナーでの負荷などが手首にかかる。日常生活で痛みがなくなったとしても、それだけでレース出場が可能とは判断できない。

    そのため、レッドブルは回復状況を引き続き確認し、水曜日にイタリアGP出場の可否を最終決定する。

    欠場した週末も「学べることはある」
    ハジャーにとって、オランダGPはF1のレースウイークに参加しながらマシンをドライブしない初めての経験となった。

    普段は自身のマシンで発生している問題への対応に集中するため、ガレージ全体で交わされている情報の一部を見落とすこともあるという。今回は外からチームの仕事を見ることで、通常とは異なる視点を得られたと語った。

    「実際に参加せずにレースウイークを過ごすのは初めてだったけど、それはそれで興味深かった」

    「夏休み明けだから、ここに来てF1のリズムに戻れたのはよかった。学べることはいつだってある」

    「普段のレースウイークでは、特定の問題を解決することに集中していて、トンネルの中にいるような感覚になる。だから、ときには役立つかもしれない情報を見落としてしまうこともあるんだ」

    アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)

    ハジャー欠場ならローソンと角田裕毅が再び代役
    ハジャーがイタリアGPに出場できない場合、レッドブルはオランダGPと同じドライバー交代を行う見通しだ。

    ザントフォールトでは、レーシングブルズのリアム・ローソンがハジャーに代わってレッドブル・レーシングに入り、マックス・フェルスタッペンのチームメイトを務めた。そして、空いたレーシングブルズのシートには角田裕毅が起用された。

    急きょレッドブルのマシンに乗ることになったローソンは、短期間で環境に適応。決勝では7位に入り、6ポイントを獲得した。

    レッドブル・レーシング代表のローラン・メキースも、ほとんど準備期間がない状況でマシンを乗り換えたローソンの仕事を高く評価している。

    このため、ハジャーがモンツァに間に合わなければ、ローソンが再びレッドブル・レーシングへ移り、角田裕毅がレーシングブルズをドライブする体制を継続できる。

    ただし、レッドブルにとって第一の選択肢はハジャーの復帰だ。本人も「モンツァに行けることを願っている」と前向きな姿勢を示しており、患部の腫れがなくなったことも回復が進んでいることを示す材料となっている。

    最終的な焦点は、回復した手首がF1マシンを限界で走らせる負荷に耐えられるかどうかにある。ハジャーのイタリアGP出場については、水曜日に判断が下される。

  • マックス・フェルスタッペン F1のV8復活を2030年まで待つ覚悟「受け入れる」

    マックス・フェルスタッペン F1のV8復活を2030年まで待つ覚悟「受け入れる」

    マックス・フェルスタッペンは、F1とFIAとの協議を経て、将来的なV8エンジン復活を見据えながら、現行パワーユニット(PU)規則を受け入れる姿勢を示した。現在の2026年型PUには依然として満足していないものの、2027年と2028年に予定される変更、さらに2030年を視野に入れた次世代エンジン構想を踏まえ、「待つ用意がある」と語っている。

    2026年に導入された新PU規則をめぐっては、フェルスタッペンはシーズン前から厳しい批判を続けてきた。

    一方でF1とFIAも電動側への依存度を抑える方向で規則を段階的に修正する方針を固めており、その先にはV8エンジン復活という大きな選択肢も浮上している。

    2026年型PUを「素晴らしいとは言えない」と評価
    2026年のF1では、内燃エンジン(ICE)と電動側の出力比率が大きく変化した。2025年まではおおむねICEが80%、電動側が20%だったのに対し、新規則では両者の比重が大幅に接近した。

    このコンセプトにフェルスタッペンは早い段階から疑問を呈していた。プレシーズンテストでは新世代マシンを「アンチ・レーシング」と表現し、「ステロイドを使ったフォーミュラEのようだ」とまで評している。

    特に問題視してきたのが、電気エネルギーのマネジメントがドライビングやレースそのものに与える影響だ。サーキットによってはエネルギーの使い方がパフォーマンスを大きく左右し、従来のF1とは異なる走らせ方を要求される。

    当時は、状況次第ではF1から早期に退く可能性まで示唆していたフェルスタッペンだが、その後レッドブル・レーシングとの契約を2030年末まで延長した。

    そして現在は、現行規則に対する不満そのものは変わっていないものの、その先に予定されている改善を含めて受け止めようとしている。

    「僕は今の状況を受け入れている。もちろん、個人的には満足していない」

    フェルスタッペンは現在のPU規則についてそう語った。

    「でも同時に、F1やFIAと話し合ってきたなかで、来年とその翌年に向けて少しずつ改善しようとしている。それに僕が契約した年まで考えれば、V8が復活する可能性への扉も開かれている。だから僕はそれを受け入れるつもりだ。ただ、現時点で素晴らしいかと言われれば、そうではない」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    2027年と2028年にICEの比重を段階的に拡大
    フェルスタッペンが「少しずつ改善」と表現した背景には、すでに決まっているPU規則の変更がある。

    2027年にはICEの最大出力が現行の420kWから450kWへ引き上げられ、ICEと電動側の出力配分も見直される。さらに2028年にはICE側の比重を一段と高め、出力配分を60対40まで変更する方向となっている。

    つまり2026年規則をそのまま維持するのではなく、F1とFIAは段階的にICEへの依存度を高めることで、現在表面化している問題への対応を進める。

    フェルスタッペン自身も、F1およびFIAとの協議に参加しながら、こうした方向性について意見を交わしてきた。

    「僕は今でもレースが大好きだ。今もF1マシンであることに変わりはないし、サーキットによって良いところもあれば、そうではないところもある。そして、いくつかの部分について改善できることは間違いなく分かっている」

    「だから、これから数年かけて少しずつ良くなっていくことを願っている」

    2030年のV8復活が長期契約の先に
    その先にあるのがV8エンジンの復活だ。

    FIA会長モハメド・ベン・スレイエムは、2030年を次世代PU導入のターゲットとしており、V8エンジンをF1に復活させる構想を推進している。実現すれば、2013年以来のV8復活となる。

    フェルスタッペンがレッドブル・レーシングと新たに結んだ契約も2030年末までとなっている。このため、現在の契約期間は次世代PUへの移行が想定される時期と重なる。

    今回の発言で重要なのは、フェルスタッペンが単純に現行PUへの批判を撤回したわけではない点だ。「個人的には満足していない」「現時点では素晴らしくない」という評価は変えていない。

    その一方で、F1とFIAとの直接的な話し合いを通じて、2027年、2028年と段階的に改善し、その先にV8復活の可能性を残すロードマップであれば受け入れられるという姿勢に変化している。

    そしてV8が実際に2030年から復活することになれば、フェルスタッペンが2030年代もF1でレースを続ける可能性も出てくる。

    現行PUへの不満から将来の引退まで口にしていたフェルスタッペンにとって、V8復活への「開かれた扉」は、F1に残り続けるうえで無視できない要素となっている。

  • アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1が、フェルナンド・アロンソとの契約延長に向けて、ホンダに年俸の一部負担を求めているとスペインのスポーツメディア『ElDesmarque』が報じた。ローレンス・ストロールは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やし、その一部をアロンソの残留に充てたい考えだという。

    アロンソの現行契約は2026年末で満了する。2027年と2028年については年俸4000万ユーロ(約74億円)を要求しているとされ、2年間では総額8000万ユーロ(約148億円)に達する。

    この高額な契約を成立させるため、アストンマーティン側はワークスパートナーであるホンダにも協力を求めているようだ。

    ストロールがホンダにアロンソの年俸負担を要請か
    『ElDesmarque』は、F1のビジネス事情に詳しいジャーナリスト、マルク・リマシェの情報として、ローレンス・ストロールがホンダにフェルナンド・アロンソの将来の給与の一部を負担してもらうことを望んでいると伝えている。

    アストンマーティンは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やすことを求めており、その追加資金の一部をアロンソとの契約延長に充てる考えだという。

    アロンソの要求額については、リマシェが今月初め、2027年と2028年の契約延長に向けて1シーズンあたり4000万ユーロ(約74億円)を求めていると報告。この情報はイタリアの『La Gazzetta dello Sport』も取り上げ、「2年間で8000万ユーロ」と報じている。

    アロンソは現在45歳だが、F1で依然として高い評価を受けており、アストンマーティンにとってはマシン開発においても重要な存在となっている。チームはエイドリアン・ニューウェイを中心にタイトルを争える体制の構築を進めており、そのプロジェクトに2度のF1ワールドチャンピオンを残すことを望んでいる。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソ残留にはホンダの競争力も重要
    一方で、アロンソが2027年以降もF1参戦を続けるかどうかは、契約条件だけで決まるわけではない。

    アロンソは自身の将来について、ローレンス・ストロールやエイドリアン・ニューウェイらと話し合ったうえで判断する考えを示している。その決断を左右する重要な要素のひとつが、アストンマーティンとホンダの競争力だ。

    2026年からアストンマーティンはホンダのワークスパートナーとなり、新しいF1パワーユニット規則のもとでホンダ製PUを搭載している。『ElDesmarque』は『The Race』の報道も引用し、ホンダの今後の進歩がアロンソの将来を左右する可能性があると指摘している。

    ホンダ製PUがシーズン後半に十分な進歩を示し、アストンマーティンが勝利やタイトル争いを現実的に狙える状況になれば、アロンソがF1参戦を続ける大きな理由になる。一方で期待するレベルに届かなければ、45歳という年齢も含めて引退を選択する可能性も残されている。

    HRCの渡辺康治社長も、アロンソが2027年もアストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。渡辺社長はアロンソと仕事をすることはホンダにとって「極めて重要」と語り、その経験と開発能力を高く評価している。

    今回の報道が事実なら、ホンダには競争力のあるF1パワーユニットを提供するだけでなく、アロンソをチームに残すための経済的な協力まで求められていることになる。

    アロンソが求めているとされる年俸4000万ユーロ、アストンマーティンのマシン開発、そしてホンダF1パワーユニットの競争力。2027年以降もアロンソがF1で戦い続けるかどうかをめぐり、今後はホンダも重要な鍵を握ることになりそうだ。

  • ハースF1 2027年ドライバー決定を急がず 小松礼雄「2人から最大限を引き出す」

    ハースF1 2027年ドライバー決定を急がず 小松礼雄「2人から最大限を引き出す」

    ハースF1の小松礼雄代表は、2027年のドライバーラインアップについて「急いでいない」と語った。オリバー・ベアマンとエステバン・オコンはともに今季限りで契約満了を迎える一方、チームはポルティマオで平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラを起用したTPC(旧型車テスト)を実施。将来に向けた選択肢の評価も進めている。

    しかし、小松礼雄は現時点で後任候補の選定を優先する考えはない。

    2026年の大規模なF1レギュレーション変更による開発競争のなか、まずはマシン側の問題を改善し、ベアマンとオコンが本来の能力を発揮できる環境を整えることが重要だと強調した。

    2027年ラインアップは「急いでいない」
    オランダGPの週末、ベアマンとオコンの将来について質問された小松礼雄は、ハースが早期決定を迫られているとの見方を否定した。

    「僕たちはまったく急いでいません」

    「今はオリーとエステバンという2人のドライバーに集中して、彼らから最大限を引き出そうとしています。彼らには難しいチャレンジがありますよね」

    「彼らに何ができるかは分かっています。オリーはそれを何度も示していますし、エステバンもマシンに満足できているときに何ができるかは分かっています」

    「ですから、本当に集中しなければならないのは、彼らに可能な限り最高のマシンを提供し、セットアップを適応させて、2人から最大限を引き出すことです。そして、2人のドライバーも完全にそこに集中しています」

    小松礼雄の発言からは、今季の成績だけを材料にベアマンとオコンを評価するのではなく、まずチーム側がドライバーの能力を引き出せるパッケージを用意する必要があるとの考えがうかがえる。

    平川亮ら3人をポルティマオで比較
    一方、ハースは将来に向けたドライバー評価も並行して進めている。

    チームはポルティマオで3日間のTPCを実施し、2025年型VF-25を平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラに走らせた。

    32歳の平川亮は、2022年のル・マン24時間レース優勝者で、2020年にはスーパーフォーミュラでランキング2位を獲得。F1ではこれまで6回のFP1出走経験を持ち、マクラーレンやアルピーヌでリザーブドライバーを務めた後、2025年にハースのリザーブドライバーに就任した。

    21歳のフォルナローリはFIA F2王者で、2026年6月にもハースのテストに参加している。同じく21歳のカマラはフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属で、今季F2では2勝を挙げてタイトル争いを展開している。

    今回のテストが直接2027年のレースシート選考を意味するわけではない。ただし、現レギュラー2人の契約が今季限りとなっている状況で、ハースが複数の候補について実走データを収集していることは、今後の選択肢を広げる動きといえる。

    「史上最大」の規則変更で開発競争に苦戦
    小松礼雄がドライバー評価を急がない背景には、ハース自身が直面している開発面の課題もある。

    2026年シーズン序盤、ハースは新レギュレーションへの対応で予想以上の競争力を示した。しかし、シーズンが進んで各チームのアップデートが本格化すると、F1で最小規模の組織であることによる制約が表面化したという。

    「これは史上最大のレギュレーション変更です」

    「ですから、僕たちは最小のチームなので、開発競争で他の大きなチームについていくのに本当に苦労するだろうと予想していました」

    「シーズンのスタートは非常に良かったです。誰もが考えていたよりもはるかに良かったと思います。でも、その時点から先は、これが現実なんだと思います」

    「僕たちは制約があるなかで可能な限り速くマシンを開発しようとしていますが、他のチームは僕たちよりも速いペースでマシンにパフォーマンスを加えています。それが現実です」

    この状況では、単純な獲得ポイントや順位だけでドライバーを判断することは難しい。マシンそのものの競争力やドライバビリティも含めて評価する必要があるというのが小松礼雄の認識だ。

    ハースF1チーム

    「チームのみんなに問題があるわけではない」
    小松礼雄は、シーズン中盤以降に競争力が低下した責任をスタッフやドライバーに求める考えも否定した。

    「正直に言って、チームのみんなに問題があるわけではありません」

    「みんな素晴らしい仕事をしていますし、一緒になって取り組んでいます。他のチームについていくチャンスを得るためには、僕たちの場合、すべてが完璧でなければならないんです。本当にすべてです。でも人生では、常にそれを求めることはできませんよね」

    小松礼雄はむしろ、チーム代表としてスタッフやドライバーが能力を発揮できる環境を改善することを自身の責任として挙げた。

    「僕自身が、彼らにもっと良い環境を提供し、彼らが持っている能力を示せるようにしなければならないと本当に思っています。それは間違いありません」

    「でも、こういう厳しい時期には人間性が表れますよね。僕たちには誰かを責めるような文化はありません」

    ダウンフォース不足とドライバビリティを分析
    現在のハースでは、単に結果が出ないことを問題とするのではなく、その原因を技術的に分解して改善作業を進めている。

    「僕たちは問題を見ています。何が問題なのか、どこでダウンフォースが不足しているのか、なぜドライバビリティが良くないのか、ドライバーは何に苦しんでいるのか。全員が同じ認識を持って、問題を解決し、マシンにパフォーマンスを加えようとしています」

    「もちろん、それには時間がかかります」

    「僕たちが現在進めている多くの取り組みは、実際に成果として現れるまで時間がかかります。でも、自分たち自身とチームワークを信じて、お互いを支え合っていかなければなりません。そうすれば、過去2年間と同じように乗り越えられると思っています」

    ハースにとって2027年のドライバー選択は、単純にベアマンとオコンの成績を比較するだけの問題ではない。現在のVF-26が抱えるダウンフォースやドライバビリティの問題を改善したうえで、2人がどこまで能力を発揮できるかを見極める必要がある。

    その一方で、平川亮、フォルナローリ、カマラをTPCで走らせることで、将来に向けた比較材料も着実に蓄積している。小松礼雄が「急いでいない」と強調する2027年のラインアップ決定は、現レギュラードライバーの評価と将来候補の検証を並行しながら進められることになりそうだ。

  • ミハエル・シューマッハ F1史上初の7度目の王座獲得から22年

    ミハエル・シューマッハ F1史上初の7度目の王座獲得から22年

    2004年8月29日、ミハエル・シューマッハはF1ベルギーGPで自身7度目となるワールドチャンピオンを確定させた。それまで自らが持っていた最多6回の記録を更新し、現在も破られていない「7度のF1世界王者」という歴史的記録を打ち立てた。

    ただし、シューマッハが7つ目のタイトルを決めたスパ・フランコルシャンで、表彰台の頂点に立ったのは彼ではなかった。圧倒的なシーズンを送っていたフェラーリのエースは、この日は「わずか」2位。それでもタイトル獲得には十分な結果だった。

    F1史に残る圧倒的な2004年シーズン
    2004年のシューマッハは、F1史上でも屈指の支配的なシーズンを展開した。全18戦のうち13勝を挙げ、6度の世界王者から史上初の7度の世界王者へと到達した。

    第14戦ベルギーGPを迎えるまでに、シューマッハは13戦中12勝。開幕戦オーストラリアGPからスペインGPまで5連勝を飾り、モナコGPを挟んでヨーロッパGPからハンガリーGPまでさらに7連勝を記録していた。

    唯一勝利を逃していたのがモナコGPだった。セーフティカー導入中、トンネル内でファン・パブロ・モントーヤと接触してリタイア。これによって13連勝という記録達成は阻まれた。

    思い出深いスパで7度目の王座に王手
    ベルギーGPの舞台となったスパ・フランコルシャンは、シューマッハにとって特別な場所だった。

    1991年に同地でF1デビューを果たし、その翌年の1992年にはF1初優勝を達成。数々の歴史を刻んできたサーキットに、2004年はチャンピオン決定の可能性を携えて戻ってきた。

    ベルギーGPを前に、シューマッハはフェラーリのチームメイト、ルーベンス・バリチェロに38ポイント差をつけていた。ベルギーGP終了後には残り4戦となるため、タイトル争いを決着させる絶好の状況だった。

    当時のF1では上位8台に「10-8-6-5-4-3-2-1」のポイントが与えられていた。バリチェロがタイトル争いを継続するには勝利が必要であり、シューマッハは7位以上に入れば5年連続のワールドチャンピオンが決まる状況だった。

    ライコネンが勝利 シューマッハは2位で王座確定
    予選ではヤルノ・トゥルーリがポールポジションを獲得し、シューマッハは2番手。タイトル逆転のために勝利が必要だったバリチェロは6番手にとどまり、この時点でシューマッハの優位はさらに大きくなった。

    一方、マクラーレンのキミ・ライコネンは10番グリッドからスタート。苦戦が続いていたマクラーレンにとって厳しいシーズンだったが、ライコネンはそこから追い上げ、シーズン初勝利を挙げた。

    ライコネンはシューマッハに3.132秒差をつけて優勝。シューマッハは2位でチェッカーを受けた。

    勝利こそ逃したものの、その瞬間にタイトル争いは決着した。シューマッハは5年連続、通算7度目のF1ワールドチャンピオンとなった。

    F1世界王者の最多記録が更新された歴史
    F1世界選手権の歴史において、最多タイトル記録が更新されたケースは非常に少ない。

    1953年にアルベルト・アスカリが2度目のタイトルを獲得してジュゼッペ・ファリーナの記録を更新。1955年にはファン・マヌエル・ファンジオが3度目の王座を獲得してアスカリを上回った。

    その後、ファンジオは最終的に5度までタイトル数を伸ばし、その記録は数十年にわたって破られなかった。

    2003年、シューマッハが6度目の世界王者となってファンジオを抜き、F1史上最多記録を更新。そして翌2004年、自らの記録をさらに更新する7度目のタイトルを獲得した。

    F1世界選手権 最多タイトル記録の更新
    1953年:アルベルト・アスカリ(2回)/ジュゼッペ・ファリーナを更新
    1955年:ファン・マヌエル・ファンジオ(3回)/アルベルト・アスカリを更新
    2003年:ミハエル・シューマッハ(6回)/ファン・マヌエル・ファンジオを更新
    2004年:ミハエル・シューマッハ(7回)/自身の記録を更新

    シューマッハが2004年のスパで打ち立てた7度の世界王者という記録には、後にルイス・ハミルトンが2020年に並んだものの、現在も誰にも更新されていない。2004年8月29日のベルギーGPは、シューマッハがF1史上初の7度の世界王者となった歴史的な一戦として刻まれている。

  • メルセデスF1 ダブル表彰台もW17に不可解な挙動「原因を調査する必要がある」

    メルセデスF1 ダブル表彰台もW17に不可解な挙動「原因を調査する必要がある」

    メルセデスは2026年F1オランダGPでキミ・アントネッリが2位、ジョージ・ラッセルが3位に入り、ダブル表彰台を獲得した。しかし、華々しい結果とは裏腹に、W17にはチーム側でも原因を完全には説明できないパフォーマンス低下が発生していた。

    優勝したランド・ノリスには11秒以上の差をつけられ、さらに後方からはフェラーリのルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが接近。

    メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、特にザントフォールトの高速コーナー区間で現れた弱点について詳細な調査が必要だと明かした。

    ターン7〜9で顕著だったW17の弱点
    メルセデスが最も問題視しているのが、ザントフォールトのターン7、8、9と続く高速セクションだ。この区間ではW17とマクラーレンのMCL40との差が特に大きくなっていた。

    「調査しなければならないパフォーマンス上の疑問がいくつかある」とショブリンはNu Silver Arrows Podcastで語った。

    「特にターン7、8、9で弱かった。この高速セクションでは左側のタイヤにも継続的に大きな負荷がかかるが、なぜそこで苦戦したのか、まだ完全には理解できていない」

    メルセデスには原因についていくつかの仮説があるものの、今季の他のサーキットでは同様の現象が確認されていないという。

    「いくつか考えていることはあるが、今シーズンの他の場所では遭遇していない問題だ。単純に速度だけが原因ではなく、右コーナーが連続するレイアウトそのものが関係している可能性もある」

    「最も高速なコーナーで少しペースが不足していて、その後のコーナーに進むにつれて問題が大きくなっていった。それ以外のラップについてはしっかりしていた」

    つまりW17が高速コーナー全般で単純に遅かったわけではない。高速右コーナーが連続し、左側タイヤに負荷が蓄積していくザントフォールト特有の条件で弱点が表面化した可能性がある。

    予選で改善すると別の場所に悪影響
    メルセデスは予選に向けて問題の改善を試み、アントネッリのマシンでは一定の成果を得た。しかし、それも完全な解決策にはならなかった。

    「決勝グリッドを決める予選では、キミについてその部分を少し改善することができた。ただ、そこで得たものによって、別の場所では何かを失ったように見えた」

    これはセットアップ変更によって単純に解消できる問題ではなかったことを示している。特定区間にW17を合わせれば、ラップの別の部分で性能を犠牲にするというトレードオフが生じていた。

    スティントごとに変化したマシンバランス
    さらにメルセデスを悩ませたのが、72周の決勝を通じてW17の挙動が一定ではなかったことだ。

    「スティントごとのペースにも変動があった。ジョージは最初のスティントがその後と比較して比較的弱かった一方、キミは序盤が強く、その後にペースが落ちていった」

    通常であれば、セットアップや電子制御などを大きく変更すればマシンバランスが変化することは説明できる。しかし、今回はそうではなかった。

    「電子制御の設定やフラップ角を大きく変更していたわけではない。それにもかかわらず、スティントごとにバランスが違って感じられた」

    タイヤのコンディションや燃料搭載量などはレース中に変化するが、ショブリンが問題として挙げているのは、それだけでは説明しきれないほどW17のバランスが変化していた点だ。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルはアンダーステア アントネッリはオーバーステア
    さらに興味深いのは、同じW17を走らせた2人のドライバーが、レース終盤には正反対ともいえるバランスを抱えていたことだ。

    「2人のドライバーは最終的に対照的なバランス特性になっていた。ジョージはよりアンダーステアが強く、キミはよりオーバーステアが強かった」

    「なぜこれほど大きな違いが生じたのかを理解する必要がある」

    同じサーキット、同じレースでありながら、ラッセルとアントネッリで異なる症状が発生した。この点も、メルセデスが単純なセットアップ上の問題として片付けられない理由になっている。

    ダブル表彰台でも「頭を悩ませる必要がある」
    結果だけを見れば、オランダGPはメルセデスにとって成功した週末だった。アントネッリが2位、ラッセルが3位に入り、大量得点を持ち帰った。

    一方で、ノリスのマクラーレンには明確な差をつけられ、ハミルトンはラッセルからわずか0.8秒差、ルクレールもさらに0.5秒後方まで迫った。少なくともザントフォールトの決勝では、マクラーレンだけでなくフェラーリに対しても余裕のある状況ではなかった。

    ショブリンは、それでも本来の力を発揮できない週末にダブル表彰台を確保したことを前向きに評価している。

    「それでも、ベストの状態ではないときに多くのポイントを獲得できたことは励みになる。日曜日のレースは楽しめたし、ピットウォールは素早く判断しなければならなかった。そしてチームはその状況にしっかり対応した」

    「良い結果だった。ただ、少し頭を悩ませる必要がある」

    モンツァで行われる次戦イタリアGPは、ザントフォールトとは性格が大きく異なる超高速・低ダウンフォースのサーキットとなる。そのため今回の弱点がそのまま再現されるとは限らない。

    それでも、高速右コーナーの連続でなぜ性能を失ったのか、なぜスティントごとにバランスが変化したのか、そしてなぜラッセルとアントネッリでアンダーステアとオーバーステアという異なる症状が現れたのか。ダブル表彰台の裏で残された複数の疑問を解明することが、メルセデスにとって今後のW17の競争力を左右する重要な課題となる。

  • レーシングブルズF1 ローソン&リンドブラッド続投が最有力 ツォロフはリザーブか

    レーシングブルズF1 ローソン&リンドブラッド続投が最有力 ツォロフはリザーブか

    レーシングブルズは、2027年F1シーズンもリアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドのコンビを継続する方向に傾いている。GPblogが独自情報として報じた。

    F2選手権をリードするニコラ・ツォロフも2027年のレーシングブルズ昇格候補として注目されているが、現時点ではレースシートではなく、テスト兼リザーブドライバーに起用される可能性が最も高いという。

    レーシングブルズに「3人で2席」の選択肢
    レーシングブルズは2027年に向けて、恵まれた状況にある。現在レギュラードライバーを務めるリアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドに加え、レッドブル育成のツォロフがF2で好成績を残し、F1昇格を強くアピールしているからだ。

    つまり、レーシングブルズには事実上「3人の有力候補に対して2つのF1シート」という状況が生まれている。

    しかし、レーシングブルズCEOのピーター・バイエルは、それを問題とは捉えていない。

    「いいえ。アービッドもリアムも素晴らしい仕事をしているからだ。リアムは現在ドライバーズ選手権9位だったと思うし、予選でもレースでも非常に速いことを示している」

    「実際、ニコラについても同じことが言える。彼はF2で非常にいい仕事をしている」

    バイエルはGPblogを含むメディアにそう語った。

    ツォロフはイモラでF1初テスト
    ツォロフは今週、レーシングブルズの旧型F1マシンを使用したTPC(Testing of Previous Cars)に参加し、イモラで初めてF1マシンをドライブした。

    レーシングブルズにとっては、現在F2選手権首位に立つブルガリア人ドライバーが、現段階でF1にどこまで適応できるのかを直接評価する重要な機会となった。

    ただし、バイエルはテストを前に、ツォロフが2027年のレーシングブルズのシートを獲得するかどうかについて明言を避けていた。

    「最終的に来年のドライバーラインアップを決めるのは、チーム代表のアラン・パーメインだ。だから彼がチームにとって最善の判断をすることになる」

    ツォロフはTPCでクラッシュすることなく最低300kmを走行すれば、F1のフリー走行に出走するための条件を満たすことになる。レーシングブルズが今季終盤にFP1の機会を与える可能性も高いとみられている。

    ニコラ・ツォロフ(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    ローソン&リンドブラッド残留が現時点の本命
    一方、GPblogが関係者から得た情報によると、現時点でレーシングブルズが最も有力視している2027年の布陣は、ローソンとリンドブラッドの続投だという。

    ローソンは予選、決勝の双方で速さを示し、ポイントを積み重ねている。リンドブラッドもF1ルーキーとして経験を重ねながら評価を高めており、チーム側は現在のコンビを変更する必要性を強く感じていないようだ。

    そのため、F2でタイトル争いをリードするツォロフが好成績を残していても、即座にレギュラーシートへ昇格させることが既定路線になっているわけではない。

    ツォロフは2027年テスト兼リザーブが有力
    GPblogによれば、現時点で最も可能性が高いシナリオは、ツォロフを2027年のレーシングブルズのテスト兼リザーブドライバーに据えるというものだ。

    この形であれば、レーシングブルズはローソンとリンドブラッドという現在のラインアップを維持しながら、ツォロフにF1での経験を積ませ、将来的なレギュラー昇格に備えることができる。

    もちろん、2027年のドライバーラインアップが正式決定したわけではない。ツォロフのTPCでの評価や今後のF2での成績、ローソンとリンドブラッドのシーズン終盤のパフォーマンスも判断材料となる。

    それでも、現段階ではレーシングブルズが2027年もローソンとリンドブラッドをレースドライバーとして残し、ツォロフをテスト兼リザーブとしてF1プロジェクトに組み込む構想が最有力となっている。

  • 元F1ドライバーのニキータ・マゼピンが欧州レース復帰 FIAのロシア人規制解除受け

    元F1ドライバーのニキータ・マゼピンが欧州レース復帰 FIAのロシア人規制解除受け

    元F1ドライバーのニキータ・マゼピンが、FIA(国際自動車連盟)によるロシア人ドライバーへの規制解除を受け、ヨーロッパのモータースポーツに復帰した。

    マゼピンはベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されたSpezial Tourenwagen Trophy(STT)にTeam Motoparkから参戦。メルセデスAMG GT3をドライブし、予選では2番手に約4秒という大差をつけてポールポジションを獲得した。

    F1離脱から4年 マゼピンが欧州レースに復帰
    マゼピンは2021年にハースからF1にデビューしたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年シーズン開幕前にチームとの契約を解除された。

    ハースは同時に、マゼピンの父ドミトリー・マゼピンと関係の深いロシア企業ウラルカリとのタイトルスポンサー契約も打ち切った。これによってマゼピンはわずか1シーズンでF1のシートを失った。

    その後、FIAはロシアおよびベラルーシのドライバーに対し、FIA公認競技へ参加する場合は自国の国旗や国歌を使用せず、中立的な立場で出場することなどを求める措置を導入した。

    こうした状況のなか、マゼピンがヨーロッパでレース活動を行う機会は大幅に制限されていたが、FIAによる規制解除を受けて今回の復帰が実現した。

    メルセデスAMG GT3で2番手に約4秒差
    27歳のマゼピンが復帰の舞台として選んだのは、F1ではなくGTレースだった。スパ・フランコルシャンで行われたSTTにTeam Motoparkからエントリーし、メルセデスAMG GT3をドライブした。

    予選ではポールポジションを獲得。しかも2番手に対する差は約4秒に達した。

    一見すると異例ともいえる大差だが、マゼピンにとってGTカーはまったく未知のカテゴリーではない。F1を離れた後もレース活動を完全に停止していたわけではなく、ドバイ24時間レースやアジアン・ル・マン・シリーズなどに参戦し、GTマシンで実戦経験を積んできた。

    特にアジアン・ル・マン・シリーズではプロトタイプカーでのレース経験も重ねており、シングルシーター以外のマシンへの適応を進めていた。その経験が今回のスパでの速さにもつながったとみられる。

    他のロシア人ドライバーも欧州シリーズへ
    FIAの措置変更を受けてヨーロッパでの活動を再開しているのはマゼピンだけではない。

    同じロシア人ドライバーのリナト・サリホフも、ニュルブルクリンクで行われるGTワールド・ヨーロッパ・シリーズに参戦しており、国際モータースポーツの舞台に戻っている。

    また、スパでマゼピンが参戦したSTTには、かつてF1でジャガーやレッドブルをドライブしたクリスチャン・クリエンも出場。クリエンはF1引退後もスポーツカーなどでレース活動を続け、現在はオーストリアのテレビ局でF1解説者も務めている。

    マゼピンのF1復帰とは別の話
    今回の参戦は、マゼピンが再びヨーロッパでレースできる環境が整ったことを示すものではあるが、F1復帰に直接つながる動きが報じられているわけではない。

    2021年のF1参戦以来、マゼピンはグランプリに出場しておらず、その間にF1のドライバー市場やレギュレーションも大きく変化した。今回の活動もGT3による比較的小規模なシリーズへの参戦であり、現段階では本格的なF1復帰への布石と見る材料はない。

    それでも、FIAのロシア人ドライバーを巡る規制変更によって、マゼピンが再びヨーロッパのサーキットで競技できるようになったことは大きな転換点となる。

    F1のシートを失ってから約4年。マゼピンはスパ・フランコルシャンでメルセデスAMG GT3を駆り、約4秒差のポールポジションという結果とともに欧州モータースポーツへの復帰を果たした。

  • ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    アストンマーティンとホンダは、2026年F1オランダGPで今季最高水準のパフォーマンスを見せた。フェルナンド・アロンソは9位に入り、ホンダがザントフォールトで投入した新スペックのパワーユニット(PU)も、ベンチテストで設定していた性能目標をサーキット上で達成したという。

    しかし、アストンマーティン・ホンダが本来の性能を引き出すには、まだ重要な課題が残されている。

    ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原伸太郎は、The Raceの取材に対し、現在最大のテーマとなっている「ドライバビリティ」の具体的な問題を説明した。

    この問題は単純なアクセル操作に対する出力特性だけではない。2026年F1パワーユニットでは、MGU-Kによる最大350kWのエネルギー回生、エンジンブレーキ、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ギアボックスのダウンシフトを極めて高い精度で同期させる必要があり、その制御がアロンソとランス・ストロールが訴えてきたマシン挙動にも直結している。

    ホンダ新スペックPUはダイノでの目標を達成
    ホンダにとって、ザントフォールトで投入した新しいパワーユニットには明確な成果があった。

    週末を通じて信頼性上の大きなトラブルはなく、改良された冷却系と潤滑系についても想定通りに機能したという。

    「すべて期待通りに機能していました」と折原伸太郎は説明した。

    出力向上幅についてホンダは具体的な数字を明かしていない。The Raceは現時点で10~30bhp程度の範囲にある可能性を指摘している。

    「ダイノで設定していた社内目標を達成し、サーキットでも同じ改善を確認できました」

    一方で、折原伸太郎はホンダがF1のトップPUメーカーから「まだかなり遠い」と認めている。

    そして、次に解決しなければならない最大の課題については、アロンソ、ストロール、アストンマーティンF1代表のエイドリアン・ニューウェイ、そしてホンダ自身の認識が一致している。

    「ドライバビリティには改善の余地があることは分かっています。今後のレースに向けて、これは我々にとって最重要課題であり続けます」

    アロンソを苦しめる「ドライバビリティ」の正体
    F1で使われるドライバビリティという言葉は幅広いが、基本的にはドライバーの要求に対してパワーユニットがどれだけ正確かつ予測可能に反応するかを意味する。

    一般的にはアクセルを踏んだ際の出力特性が注目されるが、問題は加速時だけではない。

    コーナー進入時のエンジンブレーキも重要な要素だ。

    2026年のF1では、ドライバーがアクセルを戻したりブレーキを踏んだりすると、パワーユニットは後輪を駆動する状態からMGU-Kを利用してエネルギーを回収する状態へ移行する。

    ここでは内燃エンジンによるエンジンブレーキ、MGU-Kによる回生、リアブレーキを制御するブレーキ・バイ・ワイヤ、さらにギアボックスのダウンシフトまでを同期させなければならない。

    折原伸太郎は、その難しさを具体的に説明する。

    「ドライバーがアクセルを戻せばエンジンブレーキがかかりますが、同時にMGU-Kは350kWで回生しています。そのため、動作点はほぼ2倍になります」

    「そこからMGU-Kのパワーが低下し、エンジントルクも低下します。しかしドライバーが要求しているのは0Nです。この0Nを実現するのは非常に複雑です」

    「エンジン、燃焼、MGU-K制御の間で連携しなければなりません。この組み合わせをどう構成するかは、我々が改善しなければならない領域のひとつです」

    バッテリーが満充電になる瞬間にも挙動が変わる
    さらに難しいのが、MGU-Kによる回生量が一定ではないことだ。

    バッテリーが100%に達した場合や、チームが特定のコーナーに設定した充電上限に達した場合、MGU-Kは即座に回生を停止しなければならない。

    すると、それまで減速力の一部を担っていた回生トルクが失われる。

    その瞬間に通常のエンジンブレーキへ滑らかに移行できなければ、ドライバーが期待していた減速量と実際のマシンの挙動にズレが生じる。

    制御が合わなければ、エンジンブレーキが強すぎてリアが不安定になることもあれば、十分なエネルギーを回収できない場合もある。エンジン側のトルクによってアンダーステアが発生したり、回転数が同期せずギアボックスがダウンシフトを受け付けなかったりする可能性もある。

    アロンソがオランダGP後に指摘していたダウンシフトやエンジンブレーキの不規則な挙動は、こうした複数のシステムの協調制御と密接に関係している。

    2026年F1規則で難易度がさらに上昇
    この問題が2026年に一段と難しくなった理由は、新しいF1パワーユニット規則にある。

    電気エネルギーが総出力に占める割合が大幅に増えたため、MGU-Kによる回生を効率的かつ正確に行う重要性も増した。

    同時にMGU-Hが廃止された。

    従来はターボからMGU-Hで回収した電気エネルギーをMGU-Kとの間で利用することができ、バッテリーを介さないエネルギーのやり取りも可能だった。2026年規則ではその選択肢がなくなったことで、MGU-Kと内燃エンジンの協調制御がさらに重要になっている。

    そしてホンダには、もうひとつ課題がある。

    燃焼そのものだ。

    「時々、我々の燃焼は安定していません」と折原伸太郎は認めた。

    2026年のPU規則変更に加え、ホンダは燃料でアラムコ、潤滑油でバルボリンという新たなパートナーと開発を進めている。燃焼特性を最適化できれば、加速時だけでなく減速時のドライバビリティ改善にもつながる。

    逆に言えば、この問題を解決するまでは、アストンマーティンもホンダも現在のPUが持つ本当の性能を把握できない。

    アロンソが新スペックPUの改善幅をまだ正確には評価できないとしている理由もここにある。

    ホンダF1 ホンダ・レーシング

    ホンダはザントフォールトで一晩のうちに制御を修正
    ホンダはすでに対策を進めている。

    ザントフォールトで金曜日の走行を終えた後、収集したデータを日本のさくら研究所へ送り、ドライバビリティ改善に向けた作業を夜間に実施した。

    その成果として土曜日の予選では新しいキャリブレーションが導入され、一定の改善が確認された。

    ただし、折原伸太郎によれば、それでも「ドライバーにとってはまだ十分ではない」。

    次戦イタリアGPに向けてもさらなる改善を進める。

    一度のアップデートですべてを解決できる問題ではない。ザントフォールトからモンツァまでの期間にダイノで作業を続け、その後もコーナー特性、エネルギー要求、エンジンブレーキへの要求、路面特性が異なるサーキットを走りながら理解を深めていく必要がある。

    アロンソ「あとコンマ数秒ある」
    アロンソは、ホンダがパッケージを最適化できれば「あとコンマ数秒」は改善できると考えている。

    その水準まで到達すれば、アストンマーティンは安定してポイントを争える位置まで浮上する可能性がある。

    実際、今季序盤と比較すると改善幅は大きい。

    アストンマーティンはシーズン序盤、Q1の基準タイムから3.1%遅れていた。その後、ライバルの開発が進むにつれてバルセロナ、レッドブル・リンク、シルバーストンでは4%以上の差まで後退した。

    しかし、アップグレードされたシャシーを投入したハンガリーGPで差を縮め、ザントフォールトではさらに前進した。

    オランダGP予選では、アロンソがアウトラップでエステバン・オコンにつかえるなど理想的なセッションではなかった。それでもQ1のタイムは基準からわずか1.4%差だった。

    Q1最速だったマクラーレンのオスカー・ピアストリとの差は約1.3秒だった。

    シーズン中にはトップから4秒以上離されることもあっただけに、アロンソはこの急激な改善をこう表現した。

    「2レースで3秒改善した。これはすごいことだよ」

    ホンダの進歩がアロンソの2027年F1継続を左右
    次の焦点は、この改善が継続するかどうかだ。

    モンツァのようにパワーへの依存度が高いサーキットでは、アストンマーティン・ホンダが再び苦戦する可能性も残されている。

    それでも、ホンダがドライバビリティを改善し、新スペックPUが持つ性能をさらに引き出すことができれば、アロンソが2027年もチームに残る判断を後押しする重要な材料になる。

    現時点では、アロンソが2027年もアストンマーティンに残りたいと考えているのか、あるいはF1そのものを続けるのかについて正式な結論は出ていない。

    The Raceによれば、オランダGP終了後の日曜夜には、アストンマーティンのモーターホームでアロンソとニューウェイが長時間にわたって話し込む姿が目撃された。さらにイタリアGPまでの期間には、オーナーのローレンス・ストロールと将来について話し合う可能性があるという。

    アストンマーティンはシャシー側で前進し、ホンダも新スペックPUでダイノ上の目標を達成した。しかし、両者のパッケージが本当に競争力を取り戻したと判断するには、PUのドライバビリティという最後の大きな課題を解決する必要がある。

    その進展は2026年後半戦のアストンマーティンの成績だけではなく、アロンソが2027年もF1グリッドに立つかどうかを左右する材料にもなりそうだ。