タグ: F1

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソは、2027年以降もF1参戦を続けるかどうかについて、ホンダが投入したアップグレード版パワーユニット(PU)の絶対的な性能は判断材料として「重要ではない」と語った。

    アストンマーティンとホンダは2026年F1シーズン前半に苦戦したが、アロンソが重視しているのは今回のアップデートで何秒縮められるかではない。

    開発現場で狙った改善が実際のマシンでも再現されるか、つまり開発の方向性と相関性が正しいことを確認できるかが、将来を見極めるうえで重要だと説明した。

    ホンダ新PUの性能と2027年の去就は「関係ない」
    ホンダは前戦オランダGPで今季初となるPUアップデートを投入した。シーズン前半は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンもシャシー側で苦戦したことから、両者のパートナーシップの立ち上がりは厳しいものとなった。

    そうした状況を受け、2026年限りで現在の契約を終えるアロンソが2027年もF1に残るかどうかは、ホンダの改良型PUがどれだけ進歩するかに左右されるのではないかとの見方も出ている。

    しかし、アロンソはその考えを否定した。ホンダの新PUのパフォーマンスが自身の決断にどれほど重要なのかと尋ねられると、明確に答えた。

    「重要ではない」

    「もちろん、パワーやドライバビリティ、それに僕たちに欠けていた部分で何らかの恩恵が見られることを期待している」

    「でも僕にとってもっと重要なのは、ブダペストでのシャシー側と同じように、何が必要なのかを理解したうえで開発の考え方があり、それによって前進できていることを確認することだ」

    「0.1秒でも1秒でも数字は重要ではない」
    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでシャシーのアップデートを投入した。アロンソによれば、その際も目的は一気にトップ争いへ加わることではなく、ファクトリーで進めてきた開発の方向性が実車でも正しく機能するかを確認することだった。

    「ブダペストでは、トップのポジションを争えるとは思っていなかった。でも、シャシー側で進んでいる方向が正しいのかを確認したかった。そして、それは確認できたと思う」

    「だから将来に向けて励みになる。相関性が良くて、僕たちが期待していたものが実際に得られたからだ」

    アロンソは、今回のホンダのPUアップデートについても同じ視点で評価しているという。

    「今度はエンジンでも同じだ。彼らはエンジンにいくつか変更を加えた。だから、すべてが期待どおりに機能していることを確認できればいい」

    「それが0.1秒なのか1秒なのか、その数字自体は本当に重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソが重視する「相関性」
    アロンソの発言から浮かび上がるのは、現時点のラップタイムそのものよりも、アストンマーティンとホンダが開発を正しい方向へ進められているかを重視しているという点だ。

    F1マシンの開発では、シミュレーションやダイナモ、風洞などで予測された改善がサーキットでも再現される「相関性」が重要になる。期待した効果が実車で確認できれば、その開発手法を基盤として次のアップデートへつなげることができる。

    ハンガリーGPのシャシーアップデートについて、アロンソはすでにその相関性を肯定的に評価している。ホンダのPUについても、今回の変更によって得られる絶対的なタイム短縮量ではなく、開発段階で予測した改善が実際に現れるかを確認したいということになる。

    「僕たちはかなり後ろにいるから、数字そのものを気にしている場合ではない」

    「僕たちが期待したものが、実際に届けられていることを確認したいだけだ」

    2027年のF1継続はまだ決断せず
    アロンソは現時点で、2027年もF1参戦を続けるかどうかを正式には決断していない。

    今回の発言は、ホンダの新PUが速ければ残留し、期待外れならF1を去るという単純な判断ではないことを示している。むしろアロンソが見ているのは、アストンマーティンとホンダが問題を正しく把握し、ファクトリーで想定した改善をサーキットへ確実に持ち込める組織になっているかどうかだ。

    2026年後半戦で求められているのは、一度のアップデートによる劇的な順位上昇ではない。シャシーとPUの双方で開発の相関性を確立し、継続的に前進できることを示せるか。そのプロセスこそが、アロンソにとってアストンマーティン・ホンダの将来性を判断する重要な材料になりそうだ。

  • 1962年F1モナコGPが現代に復活 『オーシャンズ11』前日譚を大規模撮影

    1962年F1モナコGPが現代に復活 『オーシャンズ11』前日譚を大規模撮影

    ブラッドリー・クーパーとマーゴット・ロビーが出演する映画『オーシャンズ11』前日譚の撮影がモナコで行われ、街中が1962年F1モナコGP当時の姿へと変貌した。

    ワーナー・ブラザースが製作する新作は、ジョージ・クルーニーが演じたダニー・オーシャンの両親を描く物語で、1962年モナコGPを舞台に大規模な強盗計画が展開される。8月24日から28日にかけて行われた撮影では、ヴィンテージF1マシンのレプリカやクラシックカー、当時の衣装をまとった300人以上のエキストラが投入された。

    1962年F1モナコGPを現代のモナコで再現
    撮影のため、モナコの有名な市街地コースは約60年前の姿に作り替えられた。撮影は5日間にわたってモナコ公国内各地で行われ、300人以上のエキストラと大規模な撮影クルーが参加した。

    ルイ2世トンネルを抜けたレーシングカーがポール・エルキュールへ飛び出し、J.F.ケネディ通りを加速していく。コース脇には1960年代のF1を思わせるヘイベイルが並べられ、その後方では当時の衣装をまとった観客役がマシンに声援を送った。

    現代であることを感じさせるのは、カメラを搭載した撮影車両とレーシングカーを追う撮影用ドローンくらいだった。ドローンはモナコのF1市街地コースを走るマシンを追跡するため、約100km/hで飛行したという。

    撮影はポール・エルキュールから始まり、モナコおよびモンテカルロ中心部、アベニュー・プランセス・グレースなどへと移動。カジノ・ド・モンテカルロ前のカジノ広場も封鎖して撮影が行われ、最終日にはポルティエ、ラルヴォット、再びポール・エルキュール周辺が使用された。

    コース上には1960年代を再現したヴィンテージF1マシンが並び、観客役だけでなく、メカニックやレーシングドライバー、消防士、ミュージシャン、船員など、当時のグランプリを再現するためのさまざまな役柄のエキストラも参加した。

    今回の作品でモナコは単なる背景ではない。物語の中心となる強盗そのものが1962年モナコGP開催中に実行される設定となっている。

    ロビーは4月のCinemaConで作品について、「ダニー・オーシャンがラスベガスに足を踏み入れるずっと前、彼にすべてを教えた2人の天才がいた。それが彼の両親です」と紹介している。

    ブラッドリー・クーパーとマーゴット・ロビーがダニー・オーシャンの両親役
    現在『Sandcastles(サンドキャッスルズ)』というワーキングタイトルで撮影されている作品は、クーパーが監督、脚本、主演、製作を兼任する。

    クーパーは『アリー/スター誕生』『マエストロ:その音楽と愛と』『Is This Thing On?』に続き、4作目の長編監督作品として本作を手掛ける。

    ロビーとクーパーは、シリーズでクルーニーが演じた犯罪の天才ダニー・オーシャンの母親と父親を演じるとみられている。ただし、ワーナー・ブラザースは両キャラクターの名前をまだ正式発表していない。

    共演者にはワグネル・モウラ、モニカ・バルバロ、ジョシュ・ギャッド、ヴィッキー・クリープス、ジョージ・マッケイ、ローレン・リドロフ、ジャック・ホールデン、オマール・シーらが名を連ねる。モウラは物語の主要な敵役を務めると報じられている。

    プロジェクトは2022年に発表されて以来、何度か体制が変更されてきた。当初はジェイ・ローチ、その後はリー・アイザック・チョンが監督候補となり、男性主演にはライアン・ゴズリングの名前も挙がっていた。チョンの離脱後、2026年にクーパーが監督を引き継いだ。

    モナコグランプリ 『オーシャンズ11』前日譚

    クーパーはモナコ・ヒストリックGPで事前調査
    クーパーは撮影に先立ち、4月に開催された第15回モナコ・ヒストリックGPを訪れていた。

    パドックやグランドスタンドを歩きながらヴィンテージレーシングカーを撮影し、コース上に寝そべって低いアングルからマシンを撮影する姿も目撃されている。1962年のF1グランプリを再現するため、現地で入念なリサーチを行っていたことがうかがえる。

    実際の1962年F1モナコGPはブルース・マクラーレンが優勝
    物語の舞台となる1962年F1モナコGPは6月3日に開催され、ブルース・マクラーレンがクーパー・クライマックスを駆って優勝した。

    ポールポジションはジム・クラークが獲得したものの、決勝ではリタイア。グラハム・ヒルが勝利目前までレースをリードしたが、100周で争われたレース終盤にBRMのエンジンが故障した。

    これによってマクラーレンが勝利を手にし、フェラーリのフィル・ヒルが2位、ロレンツォ・バンディーニが3位に入った。当日はモナコ公国のレーニエ3世とグレース公妃も会場を訪れ、優勝トロフィーを授与している。

    映画では、この実在したF1モナコGPの華やかな雰囲気を背景に、架空の強盗計画が描かれることになる。

    公開は2027年6月25日を予定
    撮影はモナコだけでなくパリでも行われている。モナコ入りする直前にもロビーとクーパーがパリの撮影現場で目撃されており、ロビーは1960年代を思わせる黒と白を基調とした衣装を着用していた。モナコでの撮影後は、ニースを含むフレンチ・リヴィエラの別の場所でも撮影が続けられる予定だ。

    モナコで1962年当時のグランプリを再現するため、エキストラの募集は6月から進められていた。対象は18歳から90歳までと幅広く、カジノのディーラー、ソムリエ、コンシェルジュ、メカニック、レーシングドライバー、消防士、ダンサー、ミュージシャン、船員など、F1開催時の街全体を再現するための多彩な役柄が用意された。

    正式タイトルはまだ発表されておらず、『Sandcastles』はあくまで撮影時のワーキングタイトルとなる。『オーシャンズ11』につながる物語として製作される新作映画は、2027年6月25日の公開が予定されている。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1と2028年まで契約か 2029年延長オプションも

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1と2028年まで契約か 2029年延長オプションも

    ルイス・ハミルトンが、少なくとも2028年末までフェラーリのF1ドライバーとして残留する契約を結んでいるとGPblogが報じた。さらに2029年まで契約を延長できる可能性もあり、実現すれば43歳までフェラーリでF1を戦うことになる。

    フェラーリはこれまでハミルトンとの契約について「複数年契約」とだけ発表しており、具体的な契約期間は明らかにしていない。しかし、フェラーリのホームレースとなるF1イタリアGPを前に、その契約内容の詳細が浮上した。

    ハミルトンは2028年までフェラーリと契約か
    GPblogが得た情報によると、7度のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンは2028年までフェラーリと契約しており、さらに1シーズン延長する可能性もあるという。

    フェラーリはハミルトンの2028年のレースシートを公式には確定させていない。しかし、F1ドライバー市場ではすでに大きな動きが起きている。

    マックス・フェルスタッペンはレッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長し、ランド・ノリスも少なくとも2030年までマクラーレンに残留する契約を結んでいる。

    F1を代表する2人のドライバーが市場から外れたことで、フェラーリの現ラインアップの長期的な計画にも注目が集まっている。

    シャルル・ルクレールはすでにフェラーリと新たな複数年契約を結んでおり、その契約は2028年以降まで続くとみられている。一方、ハミルトンについては、公にされている契約内容がこれまで比較的不透明だった。

    ハミルトンの2028年残留が確認されれば、フェラーリは新レギュレーション下でプロジェクトを進める重要な時期に、F1史上最も成功したドライバーのひとりを引き続き擁することになる。

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    8度目のF1ワールドチャンピオンを目指すハミルトン
    ルイス・ハミルトンは、史上最多となる8度目のF1ワールドチャンピオン獲得を目標に掲げ、メルセデスからフェラーリへ移籍した。そして、F1で最も象徴的なチームのひとつであるフェラーリでタイトルを獲得した最新のチャンピオンになることを目指している。

    フェラーリでの最初のシーズンは決して順調なものではなかったが、ハミルトンとフェラーリのパートナーシップは、コース上だけでなく商業面でも大きな意味を持ち続けている。

    2028年まで残留するのであれば、ハミルトンのマラネロ移籍がキャリア最後の短期間の挑戦として計画されたものではなかったことを示すことになる。

    フェラーリにとっても、ドライバーラインアップの継続性は大きな価値を持つ。チームは新たな技術規則のサイクルに合わせてマシンと組織の両面で開発を進めており、フレデリック・バスール代表も、ハミルトンの経験がフェラーリの発展にとって重要だと評価している。

    過去のレギュレーション変更を経験してきたハミルトンの知識と、ルクレールの長期的なコミットメントを組み合わせることで、フェラーリは今後数シーズンにわたって安定したドライバーラインアップを維持できる。

    フェラーリにとって一年で最も特別な週末のひとつとなるモンツァでのF1イタリアGPを前に、ハミルトンの将来も大きな注目点として浮上した。

    現時点でフェラーリから2028年のハミルトン残留に関する正式発表はなく、決定が間近に迫っているとも限らない。それでも今回の報道によれば、ハミルトンが少なくとも2028年までフェラーリでF1を戦い、さらに2029年までキャリアを続ける可能性への扉は開かれている。

  • ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、2026年F1シーズン序盤の苦戦につながった要因のひとつだった人材面の問題について、現在はすでに解消したと明かした。さらに、レッドブルとのプロジェクトで成功を支えた重要なエンジニアもF1プロジェクトに復帰しているという。

    アストンマーティン・ホンダは、新レギュレーションが導入された2026年に厳しいスタートを切った。

    ホンダは新型パワーユニット(PU)の開発開始でライバルに後れを取り、その背景には2021年末のF1撤退に伴う開発体制の縮小もあった。

    しかし、渡辺康治社長は現在のHRCについて「人数という意味でも、能力という意味でも十分なエンジニアを採用することができた」と説明。2027年に向けた巻き返しへの体制は整ったとの認識を示している。

    2021年のF1撤退で生じた開発の空白
    ホンダは2021年限りでF1への正式参戦を終了。当時F1プロジェクトに所属していた多くのエンジニアは、量産車や先進技術などホンダ社内の別部門へ異動した。

    その後もHRCを通じてレッドブルへのPU供給と技術支援を継続したものの、F1プロジェクト自体は以前より大幅に縮小されていた。

    渡辺康治社長は以前、2022年3月末にエンジニアをホンダの各部門へ戻し、2023年4月にF1復帰が承認されてから再び人材を集め始めたため、体制を100%まで戻すには時間が必要だったと説明している。

    新規則に向けて早い段階から開発を続けていたライバルに対し、この空白期間はホンダにとって大きなハンデとなった。

    渡辺康治社長は今回、2026年シーズン序盤の苦戦について、その事実を改めて率直に認めた。

    「私たちは開発を始めたのが非常に遅かったので、その遅れを取り戻す必要があります」

    「遅れを取り戻すのは簡単ではありません。予算制限がありますし、それ以外にもさまざまな制約があります」

    2023年からPUメーカーにもコストキャップが導入されたことで、単純に人員や予算を投入してライバルとの差を埋めることもできない。

    人材不足「今はもう問題ではありません」
    しかし、F1復帰当初に抱えていた人材面の問題については、すでに状況が大きく変わっている。

    「はい、以前は問題がありました。しかし、今はもう問題ではありません」

    「人数という意味でも、能力という意味でも、十分なエンジニアを採用することができました。ですから、今は大丈夫です」

    ホンダは2026年F1復帰に向けて社内から経験者を呼び戻すだけでなく、新たなエンジニアの採用も進めてきた。英国にもHRC UKを設立し、アストンマーティンの本拠地であるシルバーストンとの連携を強化する体制を構築している。

    レッドブル時代の重要エンジニアが復帰
    さらに注目されるのが、レッドブルとのF1プロジェクトを経験したエンジニアの復帰だ。

    ホンダはレッドブルとのパートナーシップでF1世界選手権を制し、マックス・フェルスタッペンのタイトル獲得を支えるなど大きな成功を収めた。

    その時代にプロジェクトを支えた人材が、現在のアストンマーティン・ホンダのF1プロジェクトにも戻ってきているのかと問われた渡辺康治社長は認めた。

    「はい、そうです」

    ただし、レッドブル時代のスタッフ全員が復帰したわけではない。

    「全員ではありません。ただ、当時そこで仕事をしていた重要な人たちはF1プロジェクトに戻ってきています」

    ホンダにとって重要なのは単純な人数だけではない。F1のPU開発や実戦運用を経験し、レッドブルとともにタイトルを争った経験を持つ人材が戻ったことで、新たに加わったエンジニアへノウハウを伝えていくことも可能になる。

    「私たちは完全に準備できています」
    人員の再構築を進めてきたHRCについて、成功を目指すために必要な体制は整ったのか。

    渡辺康治社長の答えは明確だった。

    「もちろんです。私たちは完全に準備できています」

    一方で、組織を立て直したからといって、すぐにトップメーカーとの差を埋められるわけではないとも強調する。

    「すべてのチームが毎日進化しています」

    「追いつくということは、相手よりも速いペースで進化しなければならないということです。それは簡単なことではありません」

    ホンダが追いかけているライバルも開発を続けている。現在存在する性能差を縮めるためには、ライバルを上回る速度で開発を進めなければならない。

    ホンダ・レーシング

    スペック2は「最初の一歩」
    その巻き返しに向けた具体的な一歩となったのが、F1オランダGPで投入された新仕様PUだ。

    ホンダは2026年シーズン序盤からPUの性能やドライバビリティなどで苦戦してきたが、ザントフォールトでアップデートを投入した。

    ただし、渡辺康治社長は今回のスペック2を完成形とは位置づけていない。

    「もちろんです。今回のスペック2は、状況を改善するための最初の一歩です」

    「そして、毎年少しずつ近づいていきます。私たちの目標は勝つことです」

    つまり、今回のアップデートは一度でライバルとの差を埋めるためのものではなく、今後続いていく開発のスタート地点という位置づけだ。

    ADUOを活用してライバルを追撃
    ホンダが差を縮めるうえでもうひとつ重要になるのが、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)だ。

    ADUOは、F1のPUメーカー間に一定以上の性能差が確認された場合、後れを取っているメーカーに追加の開発機会を認める仕組みである。

    渡辺康治社長も、この制度を利用して開発を加速させる必要があると語った。

    「もちろん、ADUOのレギュレーションを活用しながら開発を加速させて、近づいていかなければなりません」

    FIAが公表した最初の2回のADUO評価では、レッドブル・パワートレインズが基準となり、ホンダは4%を超える性能差があるカテゴリーに入ったことで追加開発機会を得ている。

    ホンダにとってADUOは単なる救済措置ではなく、開発開始の遅れによって生じたギャップを取り戻すために活用すべき重要な機会となる。

    2027年は「はるかに上」に
    では、人材面の立て直しを終え、スペック2を投入し、ADUOによる追加開発機会も得たホンダは、2027年にどこまで前進できると考えているのか。

    渡辺康治社長は、まず目の前の課題をひとつずつ解決していく必要があるとしながらも、来季について強い期待を示した。

    「その後、一歩ずつトップチームに近づいていきます」

    「ですから来年は、もちろん現在の状況と比べれば、はるかに、はるかに上のところにいるはずです」

    2021年のF1撤退によって生じた人材と開発の空白は、2026年のホンダに大きな影響を残した。しかし、HRCはその問題を認めたうえで組織を再構築し、現在は人数と能力の両面で必要なエンジニアを確保したとしている。

    さらに、レッドブルとともにF1タイトルを戦った時代の重要なエンジニアもプロジェクトに復帰した。

    スペック2の投入は渡辺康治社長が語るように、あくまで「最初の一歩」だ。人材不足を解消した新たな開発体制とADUOによる追加開発機会を生かし、ホンダは2027年に現在より「はるかに上」の位置へ進むことを目指している。

  • アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1は2026年からワークスチームとしてF1に参戦し、現時点ではパワーユニット(PU)の性能面でトップとの差を抱えている。しかし、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーは、ドイツ・ノイブルクに構えるPU開発施設を「他の追随を許さない」と高く評価し、長期的な飛躍につながる可能性を指摘した。

    ザウバーを完全にワークスチームへと移行させたアウディにとって、2026年は大規模なF1プロジェクトの本格的なスタートとなった。

    スメドレーは、現在の成績だけでは見えない規模の投資が進められているとして、その将来性に期待を寄せている。

    「ここ2、3年のザウバーはひどかった」
    スメドレーは、ジェイク・ハンフリーが司会を務め、元アルピーヌF1代表のオトマー・サフナウアーも出演した『High Performance Racing』ポッドキャストで、アウディF1について語った。

    まず、アウディによる本格的な変革が始まる以前のザウバーについて、スメドレーは厳しい評価を下している。

    「ザウバーは、ここ2、3年はかなり悲惨だった。とにかくひどかった。それ以外に言いようがない」

    これに対しサフナウアーは、その時期にはすでにアウディがチームを所有しており、十分な資金力に加えて一定水準の技術インフラも備えていたと指摘した。

    スメドレーも、スイス・ヒンウィルのザウバーが以前から優れた風洞を所有していたことは認めている。ただし、現在ドイツで進められているPU部門への投資は、それとはまったく異なる規模だという。

    「彼らは以前から非常に優れた風洞を持っていた。かなり長い間そうだったと思う。でも今、ドイツにある彼らの施設、エンジン施設、パワーユニット施設を見れば、他の追随を許さないレベルだ。それでもまだ建設と拡張を続けている」

    「だから、これは彼らにとって巨大なプロジェクトだ。F1施設としてのヒンウィルには、少し物足りない部分もあるかもしれない。でも、そこも拡張していて、将来どこまで持っていきたいのかという計画もある。彼らにとって本当に重要なプロジェクトなんだ」

    ノイブルクのPU施設を「他の追随を許さない」と評価
    アウディは2026年の新しいF1パワーユニット規則への参入にあたり、既存メーカーからPUの供給を受けるのではなく、独自のPUをゼロから開発する道を選んだ。

    その中核となっているのが、ドイツ・ノイブルクに置かれたPU開発拠点だ。スメドレーによれば、アウディはすでに非常に高い水準の設備を整えているだけでなく、現在もさらなる拡張を続けている。

    一方で、初年度となる2026年の競争力という点では、アウディはまだトップメーカーに追いついていない。

    FIAが新たに導入した追加開発・アップグレード機会(ADUO)の最初の評価では、アウディのPUは基準となったレッドブル・フォードのPUに対して4%以上の性能差があると判定された。

    その結果、アウディはフェラーリ、ホンダとともに最大限の開発優遇措置を受ける対象となった。2026年と2027年にそれぞれ2回の追加ホモロゲーション機会が与えられるほか、テストや開発費についても追加枠が認められる。

    アウディ F1

    ADUOの追加開発機会も追い風に
    F1で独自PUを立ち上げたばかりのアウディにとって、この追加開発機会は大きな意味を持つ。

    現在はレッドブル・フォードに対して明確な性能差を抱えているものの、PUそのものを改善する余地が通常より多く与えられるため、ノイブルクの充実した設備と豊富なリソースを実際の性能向上へと結びつけるチャンスが増える。

    また、アウディのF1プロジェクトはPU部門だけで完結するものではない。スメドレーが指摘したように、シャシー開発の本拠地であるヒンウィルについても拡張計画が進められており、ワークスチームとして組織全体の能力を引き上げようとしている。

    スメドレーの評価を踏まえれば、現在のアウディF1が抱える性能差は、プロジェクトの将来性をそのまま示すものではない。ノイブルクのPU施設への大規模投資とヒンウィルの強化、さらにADUOによる追加開発機会を生かせるかどうかが、アウディがF1のトップ争いへ近づくうえで重要な鍵となりそうだ。

  • リアム・ローソン レッドブルF1 RB22の根本的問題を実感「とにかくグリップがない」

    リアム・ローソン レッドブルF1 RB22の根本的問題を実感「とにかくグリップがない」

    2026年F1オランダGPでレッドブル・レーシングから代役参戦したリアム・ローソンは、RB22が抱えるグリップとトラクション不足をレース中に繰り返し訴えた。

    マックス・フェルスタッペンがシーズンを通じて指摘してきたマシンバランスの問題を、ローソンも72周の決勝を通じて実感することになった。無線では低速域を中心にフロントとリアの双方でグリップを失う症状を詳細に報告しており、単なるセットアップではなく、RB22が抱える根本的な弱点が浮き彫りになった。

    ローソンが訴え続けたRB22のグリップ不足
    オランダGPでは、手首を負傷したアイザック・ハジャーに代わってローソンがレッドブル・レーシングのRB22をドライブした。

    フェルスタッペンは以前から2026年型マシンについて、コーナーの進入から出口までバランスが一定せず、ドライバーが自信を持って攻められないことを問題視していた。

    オランダGPのスプリント後にもフェルスタッペンは「マシンバランスが最大の問題だ」と説明している。

    「コーナー全体を通じて一貫性がない。でも、それは今シーズンずっとそうだった」

    さらに、問題は単に扱いにくいというだけではないと語った。

    「今はマシンが抱えている根本的な問題によって、単純に制限されていると思う。それを解決する必要がある」

    「全般的に、いいバランスがなければコーナーを本当に攻めることができない。それにトラクションもなければ、コーナーからきちんと立ち上がれない。そうしたすべてがタイムを失う原因になる」

    その言葉を裏付けるように、ローソンも決勝の比較的早い段階からRB22の挙動に苦しんだ。

    10周目には「低速でまったくグリップがない」と報告。翌11周目には問題の内訳について「主にフロントだけど、コーナー出口ではリアのグリップもすでにかなり悪い」と伝えている。

    16周目には、より具体的にトラクション不足を訴えた。

    「低速でのトラクションが本当に悪い」

    18周目には「とにかくスロットルを踏めない」と報告した。

    これはフェルスタッペンが指摘していた、コーナー出口でトラクションを得られず加速に移れないというRB22の問題と重なる。

    タイヤが劣化すると前後ともにグリップを失う
    ローソンの無線からは、RB22の問題がリアだけに限定されたものではなかったことも分かる。

    19周目には高速域について「このスティントの終盤では高速が少し不安定になっている」と報告。ただし、この時点ではタイヤの状態が極端に悪化していることも原因として挙げていた。

    さらに43周目には、マシン全体のグリップ不足を訴えている。

    「とにかくものすごく滑っている。正直、フロントもリアもだ」

    54周目にも「低速だけなんだ。そこで本当に多くのグリップを失っている」と伝えた。

    そして56周目には、タイヤ交換直後とスティントが進んだ後でマシンの状態が大きく変化することを説明した。

    「僕の場合、タイヤを履いて最初の数周はグリップがある。でも、その後は特に低速でまったくグリップがなくなる」

    「4輪すべてのグリップだ。一番ひどいのはトラクションだけど、スティントが進むにつれてフロントも失っている」

    ローソンの説明を整理すると、RB22は新品タイヤでは一定のグリップを発揮するものの、タイヤの状態が変化すると低速域を中心に前後双方のグリップが急速に不足し、特にコーナー出口のトラクションが大きな制約になっていたことになる。

    フェルスタッペンが「一貫性がない」と表現してきたマシン特性を、ローソンもレースディスタンスの中で確認する形となった。

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)

    フェルスタッペンと直接バトル「Really nice」
    ローソンは決勝スタート直後、チームメイトとなったフェルスタッペンを相手に積極的なバトルを展開した。

    オープニングラップの数コーナーではフェルスタッペンに仕掛け、進路を閉じられた際には無線で「Really nice(実にいいね)」と皮肉とも受け取れる言葉を発している。

    そのフェルスタッペンは1周目終盤にクラッシュしてリタイア。ローソンはレッドブル・レーシングにとって唯一の生き残りとなった。

    また、ローソンはフォーメーションラップの段階で最終コーナーについて「完全に濡れている」とチームに報告していた。結果的に、この難しいコンディションがフェルスタッペンのクラッシュにつながることになった。

    レース中には別の意味でローソンの代役参戦を象徴するやり取りもあった。

    普段はレーシングブルズをドライブしているため、チームはピットインの際に間違えて元のチームのピットへ向かわないよう、繰り返し「レッドブルのボックス」に止まることを確認していた。

    フェルスタッペン離脱後に7位フィニッシュ
    ローソンは最終的に7位でフィニッシュし、レッドブル・レーシングにポイントを持ち帰った。

    黄旗違反による10秒ペナルティを受けたことで、最終的には前を走ったシャルル・ルクレールから47秒差でのフィニッシュとなったものの、フェルスタッペンが序盤でリタイアした状況でRB22から現実的に引き出せる結果を残した。

    一方、オランダGPでローソンが残した無線は、レッドブルの現在地を示す重要な材料にもなった。

    低速域でのフロントグリップ不足、コーナー出口でのリアグリップとトラクション不足、タイヤのスティントが進むにつれて悪化する4輪全体のグリップ、そして高速域での不安定さ。ローソンが訴えた症状の多くは、フェルスタッペンが2026年シーズンを通じて問題視してきたRB22の特性と一致している。

    異なるドライバーが同じマシンで同様の問題を指摘したことは、レッドブルが抱える課題がドライビングスタイルだけでは説明できないことを示す材料となる。

    ローソンが次戦イタリアGPでもレッドブル・レーシングをドライブするかはまだ決まっていない。手首を骨折したハジャーはモンツァでの復帰を目指しており、その回復状況次第でローソンの起用が判断されることになる。

  • アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1チームは、英国のハウスミュージック専門レーベル「Defected Records」とパートナーシップを締結した。

    モータースポーツと音楽の組み合わせ自体は珍しくないが、今回の取り組みは単なるイベント演出ではなく、F1という競技の枠を越えてファンコミュニティを広げることを狙ったものだ。

    F1とハウスミュージックはいずれも世界規模で支持を拡大しており、アストンマーティンは両者に共通する「グローバルな規模」と「ファン同士の親密なつながり」に着目した。グランプリを訪れない層にもチームの世界観に触れてもらうことで、新たなファンとの接点を築こうとしている。

    アストンマーティンF1とDefected Recordsが提携
    アストンマーティンは今週、英国を代表するハウスミュージックのレコードレーベル、Defected Recordsとのパートナーシップを発表した。

    ハウスミュージックは1980年代初頭に米国シカゴで誕生し、その後世界的なジャンルへと成長した。現在ではヒットチャートにも頻繁に登場し、若い世代を中心に大きな支持を集めている。

    F1との距離も決して遠くない。ドライバーがSNSに投稿する動画などでもハウスミュージックが使用される機会は多く、オスカー・ピアストリもその一例だ。

    アストンマーティンは今回、その関係をさらに一歩進めた。ロンドン中心部のソーホーでは、ファンコミュニティ「I/AM」のメンバーを対象とした「Driven By Sound」と題するポップアップイベントを開催した。

    一見するとF1チームとハウスミュージックのレーベルという異色の組み合わせだが、アストンマーティンF1チームの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるロブ・ブルームは、両者には共通する考え方があると説明する。

    「我々は象徴的な存在と結びつきたいと考えており、Defectedはまさにその条件を満たしている」

    「Defectedには、ハウスミュージックはダンスフロアの内外に存在し、コミュニティ文化は音楽そのもの以上のものだという考え方がある。我々アストンマーティンF1チームも、まったく同じ考え方を持っている。グランプリに行くかどうかに関係なく、ファンと交流し、我々の世界に迎え入れたい」

    「自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在」
    ブルームは、アストンマーティンというブランドそのものが、以前から自動車というカテゴリーだけに収まらない存在だったと強調する。

    「アストンマーティンというブランドには100年の歴史があるが、常に文化的な現象でもあった。その存在は中核となる製品をはるかに超えている」

    「我々は文化という領域で、自分たちのカテゴリーの外へ踏み出すことに非常に慣れている。そこが我々の活動する場所であり、単なる自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在でありたいと考えている」

    音楽とF1には以前から深いつながりがある。Fleetwood Macの「The Chain」がF1を象徴する楽曲として知られてきたほか、『F1/エフワン』でも音楽は作品を構成する重要な要素となった。

    数多くの音楽ジャンルが存在するなか、アストンマーティンがハウスミュージックを選んだ理由について、ブルームは両者の「自然な一致」を挙げた。

    「自然な親和性がある。ハウスミュージックとF1を見ると、どちらにも規模の大きさと親密さがある」

    「ハウスミュージックとF1という2つのグローバルな存在があり、世界には8億2500万人のF1ファンがいる。本当にグローバルだ」

    「しかし、今回のような小さな機会にファンを集めることで、そこに親密さが生まれる。巨大なグローバルプラットフォームでありながら、その中で非常に個人的で親密な関係や体験を作ることができる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソのレーシングスーツからホンダF1のPUサウンドまで
    ソーホーで開催されたポップアップイベントでは、I/AMメンバーがアストンマーティンF1チームをより身近に体験できるさまざまな企画が用意された。

    DJのサム・ディヴァインやRUZEによるセットを聴きながら無料のコーヒーを楽しめるほか、日曜日にはランニングクラブも開催された。

    会場内にはフェルナンド・アロンソのレーシングスーツとヘルメットも展示された。また、来場者がさまざまな音を体験できる「サウンドウォール」も設置され、チーム無線やホンダ製F1パワーユニットのサウンド、さらにF1 ACADEMYドライバーのマリ・ボヤに関連するチーム無線などを聴くことができた。

    ハウスユニット「The Shapeshifters」のプロデューサーであるサイモン・マーリンは、ダンスミュージックが生み出すコミュニティについて次のように語った。

    「僕がこの仕事を始めてから、ダンスミュージックは大きく進化した。ダンスフロアで友人を見つけることほど特別なことはない」

    「Defected Croatiaはその素晴らしい例だ。10年前には一度も会ったことがなかった人たちが、いまでは親友になり、今年のフェスティバルが終わったことを一緒に泣いて惜しんでいる」

    「そういうことは、自分が特別だと感じられ、期待していたものを超えるような共有体験によってしか起こらない。そうした瞬間が人々を結びつける。ハウスミュージックは、それを実現する最大かつ最高のプラットフォームだ。とてもポジティブな力がある」

    F1とハウスミュージックで広がる新たなファン文化
    F1とハウスミュージックの接点は、すでにさまざまな形で生まれている。世界的なDJがF1公式プレイリスト「F1 Tracks」に参加しているほか、2026年F1シンガポールGPではDiploがパフォーマンスを行う予定だ。

    元F1ドライバーが音楽の世界へ進んだ例もある。フェルナンド・アロンソと同じスペイン出身のハイメ・アルグエルスアリは、F1引退後に「Squire」の名義でDJ、音楽プロデューサーとして活動している。

    アストンマーティンとDefected Recordsの提携が示しているのは、F1チームがレース週末だけをファンとの接点とは考えなくなっていることだ。音楽やファッション、ライフスタイルといった領域を通じて、サーキットを訪れない人々とも継続的なコミュニティを形成することが、チームのブランド戦略で重要性を増している。

    世界規模のファンを持ちながら、一人ひとりには身近な体験を提供する。アストンマーティンF1チームはハウスミュージックとのコラボレーションを、その新しいファンとの関係を築く手段のひとつとして位置づけている。

  • F1スペインGPがレアル・マドリードと提携 マドリンク隣接施設を大会運営に活用

    F1スペインGPがレアル・マドリードと提携 マドリンク隣接施設を大会運営に活用

    レアル・マドリードが、2026年F1スペインGPの「ローカル・イベント・サポーター」に加わることが発表された。

    9月11~13日に初開催されるマドリンクとクラブのトレーニング拠点「シウダー・レアル・マドリード」が隣接していることを生かし、施設の一部がグランプリ運営に活用される。

    F1がスペインの首都マドリードで開催されるのは45年ぶり。新設されたマドリンクは全長約5.4km、22コーナーで構成され、IFEMA(マドリード見本市会場)周辺とバルデベバス地区、公道区間を組み合わせたハイブリッド型のサーキットとなっている。

    マドリンクとレアル・マドリードの距離はわずか200メートル
    今回の提携で大きなポイントとなるのが、両施設の近さだ。

    マドリンク北側の入口とシウダー・レアル・マドリードの正門は、わずか約200メートルしか離れていない。サーキット北部には、最大24%のバンク角を持つ新コースの象徴的なコーナー「ラ・モヌメンタル」も設けられている。

    大会主催者は公式声明で、「レアル・マドリードは、9月11日から13日まで開催されるマドリンク初開催のF1スペインGPにローカル・イベント・サポーターとして加わる」と発表した。

    「この合意は、最も多くのタイトルを獲得してきたサッカークラブと、国際的に最も権威があり、多くのファンを持ち、大きな影響力を備えたスポーツイベントのひとつを結びつけるものだ」

    「さらに興味深い偶然がある。シウダー・レアル・マドリードとマドリンク北部は、バルデベバスで隣り合っている。サーキット北側の入口からシウダー・レアル・マドリードの正門までは、わずか200メートルしか離れていない。この近さはグランプリ週末に特に大きな意味を持つことになる」

    シウダー・レアル・マドリードは約120ヘクタールの敷地を持ち、男子トップチームだけでなく、女子チーム、下部組織、バスケットボール部門などが活動している。また、アルフレッド・ディ・ステファノ・スタジアムも敷地内にある。

    この立地条件を生かし、F1スペインGPの開催期間中にはレアル・マドリードが所有する一部施設を大会運営に組み込む。主催者側にとっては、サーキットに隣接する大規模施設を利用することで、マドリンクの運営能力を拡大できるメリットがある。

    レアル・マドリードのレジェンドや選手がF1スペインGPに登場へ
    提携は施設提供だけにとどまらない。レアル・マドリードはマドリンク内の複数のホスピタリティエリアにも登場する予定で、クラブのレジェンドや著名な関係者の参加も計画されている。

    主催者は今回の提携について、「15度の欧州制覇を達成した唯一のサッカークラブであり、ブランド価値、ソーシャルメディアのフォロワー数、評価においてトップに立つレアル・マドリードが加わることで、世界中に何百万人ものファンを持つ2つのスポーツを結びつける」と説明している。

    開催週末にはレアル・マドリードの選手たちがF1スペインGPを訪れる可能性もある。スペイン『MARCA』によれば、同じ週末に予定されるレアル・マドリード対ラージョ・バジェカーノ戦の日程はまだ確定していないものの、翌週にUEFAチャンピオンズリーグが始まるため、リーグ戦が土曜日に組まれる可能性がある。その場合、ティボー・クルトワをはじめとする選手がグランプリを訪れる余地が生まれる。

    スペイングランプリの新会場となるマドリンク

    アトレティコ・マドリードともすでに提携
    F1スペインGPとマドリードのサッカークラブとの連携は、レアル・マドリードが初めてではない。

    アトレティコ・マドリードは2025年11月からF1スペインGPのローカル・イベント・サポーターとなっている。ホームスタジアムのメトロポリターノは大会の主要コンサート会場として使用されるほか、グランプリの物流拠点としても機能する。

    さらにファン向けの集合地点として、特別体験やVIPエリアを設置し、マドリンクへの直接移動手段も用意される計画となっている。

    これにより、マドリードを代表するレアル・マドリードとアトレティコ・マドリードという2大クラブが、ともにF1スペインGPを支える形となった。

    45年ぶりにマドリードへ戻ってくるF1は、単に新しい市街地サーキットでレースを開催するだけではなく、周辺のスポーツ施設や既存インフラを大会運営に組み込む。そのなかでもマドリンクからわずか200メートルに巨大な拠点を構えるレアル・マドリードとの提携は、初開催となるスペインGPの運営面とプロモーション面の双方で重要な役割を担うことになりそうだ。

  • フェラーリF1 ミハエル・シューマッハに捧げるモンツァ特別レーシングスーツ公開

    フェラーリF1 ミハエル・シューマッハに捧げるモンツァ特別レーシングスーツ公開

    フェラーリは、2026年F1第13戦イタリアGPでルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが着用する特別仕様のレーシングスーツを公開した。ミハエル・シューマッハのフェラーリでの功績に敬意を表したデザインとなっている。

    9月4~6日にモンツァで行われるホームレースを迎えるフェラーリは、シューマッハがチームにもたらした歴史的な成功を振り返る特別な週末を計画している。今回公開されたレーシングスーツは、その取り組みの一環となる。

    シューマッハの「7つの星」をデザイン
    ハミルトンとルクレールが着用するレーシングスーツは、フェラーリを象徴する赤を基調としている。

    最大の特徴は、シューマッハが自身のヘルメットデザインに使用していた「7つの星」が取り入れられていることだ。フェラーリによれば、シューマッハがモータースポーツ界に与えた影響から着想を得たデザインだという。

    シューマッハはF1で通算7度のワールドチャンピオンに輝き、そのうち5度をフェラーリで獲得した。2000年から2004年まで5年連続でタイトルを獲得し、フェラーリF1の黄金時代を築いた。

    フェラーリ初勝利から30周年
    2026年のイタリアGPは、シューマッハとフェラーリにとって節目の年に行われる。

    シューマッハは1996年にベネトンからフェラーリへ移籍。同年のスペインGPでフェラーリ加入後初勝利を挙げており、2026年はそこから30周年にあたる。また、2006年の中国GPで記録したF1最後の勝利から20周年でもある。

    モンツァとの結びつきも深い。シューマッハはフェラーリ時代にイタリアGPで5勝を挙げ、ティフォシの前で数々の象徴的な勝利を残した。

    スクーデリア・フェラーリ ミハエル・シューマッハスクーデリア・フェラーリ イタリアグランプリ<br />
    SF-26にも特別カラーリング投入か
    レーシングスーツだけでなく、フェラーリはイタリアGPでSF-26にもシューマッハへのオマージュを込めた特別カラーリングを施すと報じられている。

    フェラーリはホームレースのモンツァで、チームの歴史をテーマにした特別仕様をたびたび採用してきた。2025年にはニキ・ラウダへのトリビュートとして、伝統的なスカーレットにホワイトを加えたカラーリングを投入している。

    今回も特別レーシングスーツとマシンのカラーリングを通じ、フェラーリの歴史を代表するシューマッハの功績を称える週末となる見込みだ。

    コンストラクターズ首位メルセデスを追うフェラーリ
    フェラーリは現在、コンストラクターズ選手権2位につけており、首位メルセデスとは87ポイント差。ホームのモンツァはタイトル争いを続けるうえでも重要な一戦となる。

    ドライバーズ選手権ではハミルトンが3位。ジョージ・ラッセルと同ポイントで並び、首位アンドレア・キミ・アントネッリとは59ポイント差となっている。ルクレールはハミルトンからさらに28ポイント差の5位につける。

    シューマッハのフェラーリ初勝利から30年という節目に迎える2026年イタリアGP。特別なレーシングスーツに身を包むハミルトンとルクレールにとって、モンツァでの結果そのものが最大のトリビュートとなる。

  • 元F1ドライバー ジャン・アレジが再婚 後藤久美子との事実婚解消発表から約2カ月

    元F1ドライバー ジャン・アレジが再婚 後藤久美子との事実婚解消発表から約2カ月

    元F1ドライバーでフェラーリの人気ドライバーとして知られるジャン・アレジが、数年来のパートナーであるアニアさんと結婚した。

    挙式は8月29日、イタリア南部のソレント半島にあるマリーナ・デル・カントーネで行われ、アラン・プロストやフェラーリ元会長ルカ・ディ・モンテゼモーロを含む約100人が2人の門出を祝った。

    日本では今年6月、女優の後藤久美子がアレジとの約25年にわたる事実婚の解消を発表したばかりだった。ただし、2人がパートナーシップの解消を決断したのは約5年前とされており、アレジとアニアさんの交際も数年前から続いている。

    ジャン・アレジがアニアさんと南イタリアで挙式
    イタリア紙『Corriere della Sera』と『La Gazzetta dello Sport』によると、アレジとアニアさんの結婚式は8月29日、マッサ・ルブレンセのネラーノにあるマリーナ・デル・カントーネで行われた。

    式は親しい人々を中心としたプライベートなもので、家族や長年の友人、スポーツ界の著名人など約100人が世界各地から集まった。

    モータースポーツ界からは、4度のF1ワールドチャンピオンであるアラン・プロストに加え、フェラーリ元会長のルカ・ディ・モンテゼモーロも出席。アレジと深い縁を持つF1界の大物2人が新郎新婦を祝福した。

    海を背景に民事婚のセレモニーが執り行われ、教会による祝福も受けた。その後、招待客はネラーノ湾にある歴史的な「Lo Scoglio」に移動し、結婚披露の食事会を楽しんだ。

    アレジが長年愛してきたソレント半島
    マリーナ・デル・カントーネが結婚式の舞台に選ばれたのは、美しい景観だけが理由ではない。アレジにとってカンパニア州は以前から特別な土地であり、ソレント、アマルフィ、カプリなどをたびたび訪れてきた。

    なかでもネラーノとマリーナ・デル・カントーネを気に入っており、「Lo Scoglio」もアレジが長年通ってきた場所のひとつだという。

    『Corriere della Sera』は、マッサ・ルブレンセから海へと下っていく道路について、アレジがかつてトレーニングのための「天然のコース」のように利用していたという地元で語られる逸話も紹介している。

    結婚前夜は「Don Alfonso 1890」で祝宴
    結婚式前日の8月28日には、サンタガタ・スイ・ドゥエ・ゴルフィの名店「Don Alfonso 1890」でプレウェディングパーティーが開かれた。

    ここもアレジがカンパニア滞在中に頻繁に訪れてきた店であり、結婚式当日の「Lo Scoglio」とともに、この土地との長年のつながりを象徴する場所が選ばれた。

    雰囲気の異なる2つの店はいずれも地元の食文化と深く結びついている。今回の結婚式は2人の門出を祝うだけでなく、アレジが長年愛してきたカンパニアの土地と食文化へのオマージュともいえるものとなった。

    1931年製ロールス・ロイスで登場
    アニアさんはシンプルでエレガントな白いドレスを着用し、1931年製のヴィンテージ・ロールス・ロイスで会場に到着した。この日のために特別に用意された一台だったという。

    アレジも装いにこだわり、ナポリの老舗テーラーブランド「Eddy Monetti」が手掛けた2種類の衣装を着用した。

    後藤久美子との事実婚解消を6月に発表
    今回の再婚は、日本では後藤久美子との関係でも注目される。

    アレジは以前、フランス人女性のローレンスと結婚し、娘シャルロットをもうけた。その後、日本人女優の後藤久美子と長年にわたってパートナー関係を築き、2男1女をもうけている。

    後藤は2026年6月12日、所属事務所を通じ、アレジとのパートナーシップを解消したことを発表した。2人は1995年に婚約を公表し、婚姻届を提出しない事実婚という形で約25年にわたって生活を共にしてきた。

    後藤は発表の中で「私事で大変恐縮ではございますが、長きにわたり日々を共にしてまいりましたジャン・アレジ氏とは、パートナーシップを解消し、それぞれの道を歩む事となりました」と報告した。

    さらに「今後は、形を変えた愛情の元、互いを思いやりながら、子供達の成長を見守ってまいりたいと思います」と説明し、パートナーシップ解消後も子どもたちを見守っていく意向を示していた。

    ただし、関係者によれば、2人がパートナーシップの解消を決断したのは公表のおよそ5年前だったという。長女エレナ・アレジ・後藤、長男でレーシングドライバーのジュリアーノ・アレジ、次男を含めて家族で話し合いを重ね、次男の子育てが一段落したタイミングで今年6月の公表に至ったとされている。

    アニアさんとは数年前から交際
    一方、アレジとアニアさんの関係は数年前から続いている。『Corriere della Sera』は「数年前から交際している」と伝えており、『La Gazzetta dello Sport』によると、現在は2人でミラノとジュネーブを行き来する生活を送っているという。

    結婚式に先立つ2026年7月には、親しい友人たちを招いて結婚を祝う催しも開かれていた。今回、南イタリアで正式な挙式を迎えたことになる。

    後藤とのパートナーシップ解消が公表されてから約2カ月半での再婚となったが、実際には後藤との関係解消は約5年前に決断されていたとされ、アニアさんとの関係も数年前から続いていた。

    フェラーリ時代の英雄として今も高い人気
    1964年生まれのジャン・アレジは、1989年にティレルからF1デビュー。1991年にフェラーリへ加入し、1995年まで5シーズンにわたってスクーデリアのドライバーを務めた。

    そのキャリアを象徴するのが1995年F1カナダGPでの勝利だ。フェラーリ412 T2を駆ったアレジは、自身の31歳の誕生日にF1キャリア唯一となるグランプリ優勝を達成した。

    F1での勝利数こそ1勝にとどまったものの、情熱的なドライビングとフェラーリへの強い思いによってティフォシから絶大な支持を集め、現役引退後もフェラーリを代表する人気ドライバーのひとりとして親しまれている。

    そのアレジが、長年にわたって親しみ「第二の故郷」ともいえる存在になった南イタリアの地で、アニアさんとの新たな人生の節目を迎えた。