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  • ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1チーム代表の小松礼雄は、オリバー・ベアマンの成長について「まだ限界が見えていない」と高く評価した。一方で、将来のF1ワールドチャンピオン候補と断言するには、勝利や表彰台を争えるマシンを手にしたときのパフォーマンスを見る必要があるとも慎重な姿勢を示している。

    21歳のベアマンは、ハースでフル参戦2年目を迎え、2025年メキシコGPで4位、今季中国GPで5位に入るなど存在感を高めてきた。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員でもあり、将来的にスクーデリア・フェラーリのF1シートを獲得することを目標に掲げている。

    「オリーの限界はまだ見えていない」小松礼雄が評価
    小松礼雄はPA通信の取材に対し、ベアマンの潜在能力について非常に高い評価を口にした。

    「僕には、オリーの限界がまだ見えていません」

    「現時点では制限のようなものは感じていないですね。ただ、彼はまだ一度も表彰台に上がっていませんから、ここで僕が『ワールドチャンピオンになれるドライバーです』と言うつもりはありません」

    小松礼雄が重要視しているのは、ベアマンがより競争力のあるマシンを手にしたときに、どこまで能力を引き出せるかという点だ。

    「次のレベルに進んだとき、例えば競争力のあるマシンを手にして、コンスタントに表彰台や優勝を争えるようになったときに初めて、本当にワールドチャンピオンになれるだけの力があるのかを見ることができます」

    「そこまで行けば、彼は間違いなく素晴らしい力を発揮してくれると思っています」

    21歳とは思えない成熟度「チームをどう鼓舞するか考えた」
    小松礼雄がベアマンを高く評価する理由は、純粋な速さだけではない。厳しい状況に直面した際の精神的な成熟度や、チーム全体を意識した振る舞いにも強い印象を受けているという。

    その象徴として挙げたのが、今季マイアミGPでの出来事だった。

    ハースはシーズン序盤に好調なスタートを切っていたが、マイアミではベアマンが自身に責任のない状況で苦しいレースを強いられ、さらにピットストップでもチーム側のミスが発生した。

    それでもベアマンは苛立ちを爆発させるのではなく、無線を通じてチームを励ます姿勢を見せた。

    「彼の性格について言えば、物事がうまくいっていないときでも、ただフラストレーションを溜めるようなことはありません」

    「21歳ですからね。もちろん大人ではありますけど、それでもまだ若いですし、チームの中でも最年少クラスです」

    「マイアミでは本当にフラストレーションの溜まるレースでした。彼自身には何の落ち度もなく、できることをすべてやっていました」

    「それなのに僕たちがピットストップでもミスをして、ずっと後ろに引っかかることになってしまった。彼には何もできなかったんです」

    それでもベアマンの頭に浮かんだのは、自身の不運を嘆くことではなかったという。

    「それでも彼はすぐに切り替えて、『じゃあ、このチームをどうやって鼓舞しよう?』という方向に考えたんです」

    「そこには素晴らしい状況認識と成熟度が表れていると思います」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    ハースは「両手両足を縛られているような状態」
    一方、小松礼雄はベアマンを支えるハース自体が、ライバルと同じ条件で戦えているわけではないことも強調した。

    ハースは2016年にF1へ参戦して以来、グリッドで最も規模の小さいチームとして活動してきた。2026年シーズンも11チーム中7位につけているが、ジーン・ハースの所有するチームはF1のコストキャップ上限まで予算を使える状況にはなく、アップデート競争では大規模チームに後れを取らざるを得ない。

    2024年からチーム代表を務める小松礼雄は、現在のハースを「両手両足を後ろで縛られている」ような状態だと表現した。

    「僕のチームを見ると、本当に両手両足を後ろで縛られた状態で戦っているように感じます」

    「今シーズンの最初に、彼らがどうやってあれだけのマシンを作り上げ、信頼性とパフォーマンスを実現したのか、本当に説明できないくらいです」

    限られたリソースの中でも、ハースはシーズン序盤に高い競争力を示した。

    小松礼雄によれば、少なくともシャシー面では一時期レッドブル・レーシングを上回っていたという。

    「シャシーだけを見れば、シーズン序盤は僕たちの方がレッドブルより良かったです」

    しかし、豊富な開発力を持つトップチームとの差は、その後急速に表面化した。

    「ただ、やはりレッドブルはレッドブルです。4月頃に彼らがマシンへ投入したパフォーマンス向上の量は、とんでもないものでした」

    「そもそも僕たちは、あの位置にいられるような状況ではなかったんです」

    限られた予算と開発リソースの中でも存在感を示しているハースにとって、ベアマンの成長は今後の大きな武器となる。小松礼雄は現段階でタイトル候補という言葉を使うことには慎重だが、表彰台や優勝を争える環境を手にしたとき、ベアマンがさらに高いレベルへ到達する可能性には強い期待を寄せている。

  • リアム・ローソン 2027年F1シートはレッドブル本社が決断 チーム側に決定権なし

    リアム・ローソン 2027年F1シートはレッドブル本社が決断 チーム側に決定権なし

    リアム・ローソンの2027年F1シートを巡る決定は、レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインやレッドブル・レーシング代表ローラン・メキースだけでは完結しないようだ。最終的な判断は、レッドブル本社の経営レベルに委ねられると報じられている。

    F1オランダGPで負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングに復帰したローソンは、難しい状況で7位に入り、自身の価値をあらためて証明した。

    しかし、その好走とは別に、2027年にレーシングブルズのシートを維持できるかどうかについては、F2でタイトル争いをリードするニコラ・ツォロフの存在もあり、依然として不透明な状況にある。

    ローソンの将来はレッドブル本社が最終判断へ
    レーシングブルズはNew Zealand Heraldに対し、2027年のドライバーラインアップについてまだ決定していないと説明している。ルーキーのアービッド・リンドブラッドは残留する可能性が高い一方、レッドブルはツォロフを可能な限り長く評価したい考えだという。

    レーシングブルズCEOのピーター・バイエルはオランダGPで、最終的な判断をパーメインが下すことを示唆していた。しかし、同紙によれば、実際の決定権はさらに上層部にある。

    ローソンの去就を最終的に判断するとされるのが、レッドブルのマネージングディレクターを務めるオリバー・ミンツラフだ。ミンツラフはレッドブルのオーナーシップと、F1を含む同社のスポーツ事業を結ぶ重要な立場にある。

    つまり、レーシングブルズ内部だけでなく、メキースを含むF1チーム側の判断を超えて、レッドブル本社がローソンの将来を決める構図になる。

    2025年の降格を擁護したミンツラフ
    ミンツラフは2025年、ローソンをわずか2戦でレッドブル・レーシングからレーシングブルズへ降格させた決定について、その正当性を強調していた。

    「正しい措置だった。F1はハイパフォーマンススポーツであり、彼のパフォーマンスは求められるレベルに達していなかった。リアムをあのマシンに乗せ続けることは間違いだった」

    「ますます大きくなるプレッシャーも、彼のためにはならなかっただろう。最終的には彼も理解し、受け入れた。彼がレーシングブルズに戻ってきてくれたことをうれしく思っている」

    そのミンツラフが再びローソンのキャリアを左右する判断を下す立場にあるということになる。

    一方、レッドブルを取り巻く環境は当時から変化した。若手を積極的に昇格させる一方、結果が伴わなければ素早く交代させることは長年レッドブルの特徴だったが、クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコがチームを去ったことで、以前ほど容赦のないドライバー運用ではなくなる可能性も指摘されている。

    メキース自身も過去にレッドブルがセカンドドライバーを十分にサポートできなかったケースがあったことを認めており、2025年のローソンについても、本人の能力だけで評価すべきではないとの見方につながっている。

    オリバー・ミンツラフ(レッドブル)

    オランダGPで示した適応力
    ローソンにとってオランダGPでのレッドブル復帰は、2027年の将来を左右する重要な機会となった。

    ハジャーの負傷を受けて急きょRB22をドライブすることになったローソンは、レーシングブルズのVCARB 03とは性格の異なるマシンに短期間で適応。予選ではマックス・フェルスタッペンに約0.1秒差まで迫り、決勝では7位でフィニッシュした。

    マシンのペースを考えれば現実的に狙えるほぼ最大限の結果であり、ローソンにとっては直近8戦で7度目のポイント獲得となった。2025年序盤にレッドブルから降格した当時とは異なり、現在は安定して結果を残せるドライバーであることを示している。

    同時に、ローソンにはもうひとつの戦いがある。レッドブル・レーシングへの将来的な復帰をアピールするだけでなく、まず2027年のレーシングブルズのシートを確保しなければならない。

    F2首位ツォロフがシート争いのライバル
    その最大のライバルとなる可能性があるのが、レッドブル・ジュニアのニコラ・ツォロフだ。

    ツォロフはF2選手権をリードしており、2027年のF1昇格候補として存在感を強めている。若手をF1へ送り込むことを育成プログラムの柱としてきたレッドブルにとって、ツォロフが十分な結果を残せば昇格を検討するのは自然な流れでもある。

    リンドブラッドの立場が比較的安泰とみられているため、仮にツォロフを昇格させる場合、ローソンのシートが対象になる可能性がある。

    ただし、ローソンは今季のF1で結果を積み重ねており、さらにオランダGPでは急きょレッドブルに呼び戻されながら即座に対応した。実績と経験を持つローソンを外して新人を起用することになれば、その判断には大きな注目が集まることになる。

    他チームへの移籍先も限定的
    ローソンにとって問題なのは、仮にレッドブルのF1プログラムから外れた場合、他チームの選択肢も限られていることだ。

    ウィリアムズは2027年に向けてドライバー2人との契約を更新。アストンマーティンはフェルナンド・アロンソの残留を優先しており、アウディも現在のラインアップに満足していることを明らかにしている。

    現時点でシートが動く余地を残しているのはアルピーヌ、ハース、キャデラックなどに限られるが、それぞれ現職ドライバーが残留する可能性もある。

    だからこそ、レーシングブルズのシート確保はローソンのF1キャリアにとって極めて重要になる。

    2025年にはわずか2戦でレッドブルから降格させられたローソンだが、その後はレーシングブルズで着実に結果を積み上げ、オランダGPでは再びレッドブルのマシンに乗って7位という結果を残した。それでも2027年のシートは保証されておらず、最終判断を握るのは現場のパーメインやメキースではなく、レッドブル本社のミンツラフになるとみられている。

  • レッドブルF1代表メキースがフェルスタッペン「年俸8000万ドル」説を否定

    レッドブルF1代表メキースがフェルスタッペン「年俸8000万ドル」説を否定

    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースが、マックス・フェルスタッペンの新契約をめぐって浮上した「年俸8000万ドル(約127億円)」との噂に反応した。2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグから直接その金額をぶつけられたメキースは、笑顔を見せながら否定している。

    レッドブルはF1オランダGPを前に、フェルスタッペンとの契約を2年間延長し、少なくとも2030年末までチームに残留することを発表した。

    近年はマクラーレンやメルセデスへの移籍が盛んに取り沙汰されてきたが、今回の長期契約によって将来をめぐる憶測にはひとまず終止符が打たれた。

    ロズベルグが「年俸8000万ドル」説をメキースに直撃
    フェルスタッペンの新契約について、レッドブルから給与などの金銭的条件は公表されていない。ただし、28歳のオランダ人ドライバーが今回の契約延長に伴って昇給したとみられている。

    オランダGPの週末、Sky Sports F1のインタビューでロズベルグは、自身が耳にしたというフェルスタッペンの新たな年俸についてメキースに直接質問した。

    「ローラン、マックス陣営から聞いた話では、彼が残留を決めた理由のひとつは、あなたがチームを引き継いでからのやり方を本当に気に入っているからだそうだ。あなたが作っているカルチャーや、チームを前進させている方法を評価していると。そこはおめでとうと言いたい」

    そう切り出したロズベルグは、続けて核心に踏み込んだ。

    「でも、これも聞かなければならない。僕が聞いているのは年俸8000万ドル(約127億円)だ。本当なのか? その数字に近いのか? かなり大きな金額だよね」

    これに対し、メキースは笑顔を浮かべながら答えた。

    「その2つの話は、どちらも正しくない」

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    残留の決め手は「2000人への信頼」
    メキースは、フェルスタッペンが契約延長を決断した背景について、自身の存在や巨額の報酬ではなく、レッドブルで働く約2000人のスタッフに対する信頼が大きかったと説明した。

    「本当に重要なのは、マックスがミルトンキーンズにいる2000人のスタッフを信頼しているということだ。シャシー側も、PU側も含めてね。彼は我々のスタッフに何ができるのかを知っている。そして将来に向けて、我々を信頼することを選んでくれた」

    「だから我々は、その信頼に応えようとしている。彼は我々にとって、単に世界で最も速いドライバーというだけの存在ではない。できるだけ早く、彼に速いマシンを用意できるようにしたい」

    メキースは2025年7月にクリスチャン・ホーナーが退任した後、レッドブル・レーシングのチーム代表を引き継いだ。ロズベルグはメキース就任後のチーム文化もフェルスタッペンの残留を後押ししたとの情報を示したが、メキース自身はその見方についても否定し、組織全体への信頼を強調した形だ。

    フェルスタッペン「このチームでキャリアを終えるのが目標」
    新契約へのサインに際し、フェルスタッペン自身もレッドブルへの長期的な思いを語っている。

    「僕はずっと言ってきたし、ディートリッヒ(マテシッツ)がまだ生きていたころから言っていた。僕の目標は、このチームでキャリアを終えることだ。それに近づいていると思う」

    「もちろん、まだこれから何年もある。でも、それが今も目標だ」

    フェルスタッペンにとって契約延長発表後のホームレースは残念な結末となった。F1オランダGP決勝ではオープニングラップ終盤に大クラッシュを喫し、レースを早々にリタイアしている。

    それでも、2030年末まで続く新契約によって、レッドブルとフェルスタッペンの関係はさらに長期的なものとなった。年俸8000万ドル(約127億円)という具体的な数字についてメキースは否定したが、チームがフェルスタッペンを「世界で最も速いドライバー以上の存在」と位置づけ、その信頼に速いマシンで応えることを最優先としている姿勢は明確だ。

  • F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    2026年F1第12戦オランダGPを受け、Formula 1公式サイトが恒例の「パワーランキング」を発表した。ザントフォールトで最も高い評価を受けたのは、ポールポジションから決勝を制したマクラーレンのランド・ノリスだった。

    フェルナンド・アロンソが2位、キミ・アントネッリが3位に続き、半年ぶりにF1実戦へ復帰した角田裕毅もトップ10入り。マシンの競争力そのものではなく、週末を通したドライバー個人のパフォーマンスを評価する5人の審査員から高い評価を得た。

    F1パワーランキングの評価方法
    F1公式のパワーランキングでは、5人の審査員が各グランプリ終了後、週末を通した各ドライバーのパフォーマンスを10点満点で評価する。

    評価にあたってはマシンの性能差を考慮から外し、純粋にドライバーがどれだけのパフォーマンスを発揮したかを判断する。5人の採点を平均したものが各グランプリのスコアとなり、その評価はシーズンを通した総合パワーランキングにも反映される。

    1位:ランド・ノリス(マクラーレン)
    オランダで素晴らしいフォームを見せたのがランド・ノリスだった。

    スプリントでは2番グリッドからスタートして3位でフィニッシュ。そして予選では圧巻のラップをまとめてポールポジションを獲得すると、インシデントと戦略が入り交じった決勝でも、そのポールを最終的に勝利へと結びつけた。

    これでノリスはサマーブレイク直前のハンガリーGPに続いて2連勝。現F1ワールドチャンピオンの走りにはマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラからも多くの称賛が寄せられ、パワーランキングの審査員からも高得点を獲得した。スコアは9.6で今回のトップとなった。

    2位:フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)
    ザントフォールトではアストンマーティンがさらなるマシンアップデートを投入し、ホンダも新しいパワーユニットを導入した。後者にはドライバビリティ面で問題が残っていたものの、フェルナンド・アロンソはパッケージから引き出せるものをほぼすべて引き出したように見えた。

    予選ではわずか0.1秒差でQ2進出を逃したが、決勝では巧みな戦略判断にも助けられながら順位を上げていった。

    最終的には9位でチェッカーを受け、アストンマーティンに貴重な2ポイントをもたらした。その走りは、この日のベストドライブのひとつと評される内容だった。審査員からのスコアは8.6となった。

    3位:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    キミ・アントネッリのオランダGP週末は難しい形で始まった。

    スプリント予選ではミスによってマシンを損傷し、スプリントのスターティンググリッドは5番手。それでもスプリントではひとつ順位を上げ、4位でフィニッシュした。

    その後は本来持っていた速さをより明確に示し、予選ではメルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルに次ぐ3番手を獲得した。

    決勝ではそのラッセルとのチーム内対決を制して2位でフィニッシュ。結果としてF1ドライバーズ選手権でのリードをさらに拡大することになった。パワーランキングでは8.2の評価を受けた。

    4位:ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)
    ルイス・ハミルトンはザントフォールトでのスプリント予選とスプリントでは、ともに7位と比較的静かなスタートを切った。この段階ではフェラーリのチームメイト、シャルル・ルクレールから大きく後れを取っていた。

    しかし、通常の予選と決勝では立場を逆転させ、フェラーリ勢ではハミルトンの方が強いパフォーマンスを見せた。

    予選5番手から決勝では表彰台争いに加わるところまで順位を上げた。レース中には戦略判断への不満を示し、さらにルクレールの後方で数周にわたって足止めされる場面もあったが、それでも4位という結果は週末序盤からの力強い巻き返しだった。

    パワーランキングでは8.0を獲得した。

    5位:ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    ニコ・ヒュルケンベルグは2026年シーズン前半の大部分で不運を嘆き、「もしあの出来事がなければ」と考えざるを得ない状況が続いていた。しかし、前戦ハンガリーGPではようやくアウディ加入後初となるポイントを獲得した。

    ザントフォールトのスプリントではパワー関連の問題によってレースを台無しにされたものの、決勝では力強い走りを披露した。

    スタート直後にはスピンしたチームメイトのガブリエル・ボルトレトを非常に素早い反応で回避。その後もレースをまとめ、8位でフィニッシュした。

    これによってヒュルケンベルグはグランプリ決勝で2戦連続のトップ10フィニッシュを達成した。

    6位:リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)
    リアム・ローソンのF1キャリアには、また新たな展開が加わった。

    負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル首脳陣からオランダGPへの出場を任された。奇しくもザントフォールトは、3年前にダニエル・リカルドが手首を負傷したことでローソンがF1デビューを果たした場所でもある。

    急きょレッドブルをドライブすることになった事情もあり、スプリント予選とスプリントでは当然ながらまだ少し余力を残した状態だった。

    しかし通常の予選と決勝ではそれを取り戻した。予選では8番手に入り、4度のF1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのすぐ後ろにつけた。そして決勝では7位まで順位を上げてフィニッシュした。

    急な代役起用だったことを考えれば、レッドブルでしっかり結果を残した週末となった。パワーランキングでは7.8という高い評価を受けている。

    7位:角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    角田裕毅もまた、ハジャーの負傷によって生じたドライバー変更の影響を受けたひとりだった。

    2026年はレッドブルのリザーブドライバーを務めていた角田裕毅だが、レーシングブルズからF1実戦へ復帰することになった。

    半年間レースに出場していなかったことに加え、2026年から導入された新世代F1マシンを実戦で走らせるのも初めてという状況を考えれば、その適応ぶりは称賛に値するものだった。

    角田裕毅は週末を通して着実にマシンへの理解を深め、決勝ではポイント獲得まであと一歩となる11位でフィニッシュ。急きょ決まった代役参戦ながら、ポイントを持ち帰る寸前まで迫るパフォーマンスを披露した。

    8位:ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    ジョージ・ラッセルの週末は、これ以上ないほど素晴らしい形でスタートした。

    スプリント予選でポールポジションを獲得すると、そのままスプリントで優勝。チームメイトのアントネッリが持つF1ドライバーズ選手権のリードを一時的に数ポイント削ることにも成功した。

    一方、その勢いを通常の予選とグランプリ決勝では完全には維持できなかった。

    日曜日の決勝ではノリスとアントネッリに先着を許し、3位でチェッカー。それでもラッセル自身は「かなり久しぶりに自分のベストと言える週末だった」と振り返っており、次戦イタリアGPが行われるモンツァへ向けて多くのポジティブな材料を得た。

    9位:ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
    アップデートされたアルピーヌを走らせたピエール・ガスリーは、スプリントで際立ったドライバーのひとりだった。

    スプリント予選では8番手を確保し、そのポジションをスプリントでも守って8位でフィニッシュした。

    決勝でもガスリー自身とアルピーヌにさらに数ポイントを加えられそうな展開となったものの、レース中盤に順位を落とし、最終的には10位でフィニッシュすることになった。

    それでもガスリーは週末を「ポジティブな一歩」と評価。アルピーヌはF1コンストラクターズ選手権5位のレーシングブルズを追うことを目標としており、ザントフォールトではそのための前進が見られた。

    10位:シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)
    シャルル・ルクレールはスプリント予選とスプリントではフェラーリ勢をリードしていた。

    しかし、通常の予選ではより厳しい展開となり、それが決勝に向けて大きな不利となった。日曜日のレースでは、ほとんど何ひとつルクレールの思い通りに進まなかった。

    レース後、ルクレールはバーチャル・セーフティカーのタイミングにも触れながら「僕たちにはほんの少し運が足りなかった」と振り返った。

    その一方で、結果を決定づけた最大の要因については「今日のレースを失ったのは予選のせいだ」と分析。決勝そのものだけでなく、予選で後手に回ったことが最終的な結果につながったとの考えを示した。

    トップ10入りを逃したドライバー
    今回のF1パワーランキングで惜しくもトップ10入りを逃したのは、レーシングブルズのルーキー、アービッド・リンドブラッドだった。

    リンドブラッドは週末を通して速さを見せ、スプリント予選ではSQ3、通常の予選でもQ3へ進出。しかし、その速さを決勝でのポイント獲得には結びつけることができず、わずかな差でパワーランキングのトップ10圏外となった。

    オランダGPでは勝者ノリスが文句なしの最高評価を獲得した一方、アロンソの追い上げ、急きょレッドブルをドライブしたローソン、そして半年ぶりのF1実戦にもかかわらずポイント目前まで迫った角田裕毅など、純粋な決勝順位だけでは測れないパフォーマンスも高く評価されたランキングとなった。

    2026年のF1世界選手権 オランダグランプリ

  • マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、メルセデスがライバルと同じペースでマシン開発を進めるための資金が不足しているというトト・ヴォルフの主張に疑問を呈した。

    2026年F1シーズン序盤に圧倒的な強さを見せたメルセデスだが、フェラーリやマクラーレンが積極的なアップデート攻勢を仕掛けるなか、勢力図は変化している。オランダGP後、ヴォルフはメルセデスにはライバルと同じように開発パーツを投入するための「金がない」と説明したが、ステラは額面通りには受け取っていない。

    メルセデスは序盤6連勝から失速
    メルセデスはシーズン開幕から6戦連続で勝利を挙げたものの、その後の6戦では2勝にとどまっている。その間にフェラーリとマクラーレンがそれぞれ2勝を挙げ、トップ争いは大きく接近した。

    特にフェラーリとマクラーレンは今季、積極的なアップデート戦略を採用しており、直近のレースでも新パーツを投入している。レッドブル・レーシングもメルセデス以上のペースで2026年型マシンの開発を続けてきた。

    一方、メルセデスが最後に大規模なマシンアップデートを投入したのは5月のカナダGPだった。次の大型開発パッケージは10月初旬のマレーシアGPで投入される予定とされている。

    オランダGPではランド・ノリスがマクラーレンを勝利に導き、2連勝を達成。こうしたライバル勢の伸長について、ヴォルフは開発資金の配分が影響していると説明した。

    「マシンに開発パーツを投入するための金がない」とヴォルフは語った。

    「シーズンを通じて均等に配分しようとしている。最大のアップデートをいつ投入できるか、そしてチャンピオンシップのポイントをどう最適化できるかという我々の計算に基づいている」

    「だが、できることをやるしかない。それが開発競争というものだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒の改善がある。それを投入できなければ、その分だけ失うことになる」

    「だから、シーズン序盤に比べれば少し厳しい戦いになっている」

    マクラーレン F1

    ステラ「信じたいが実際には信じていない」
    しかし、マクラーレンを率いるアンドレア・ステラは、メルセデスに開発へ回すリソースがないという説明を疑問視している。

    「信じたいとは思うが、実際には信じていない」とステラは語った。

    「信じていない理由は、2027年のパワーユニット規則のおかげで、すべてのチームがコストキャップの報告において一定の余裕を持つことになるからだ」

    ステラは、ライバルのパフォーマンス向上を目の当たりにしたメルセデスが、すでに開発を加速させているはずだとみている。

    「ライバルたちがレベルを引き上げているのを見て、メルセデスも今、その開発成果を投入しようとしているはずだ。現場では間違いなく進んでいると思う」

    「風洞にあるマシンは、現在サーキットを走っているマシンよりかなり速くなっているはずだ。そして、そのポテンシャルの一部を実車のアップデートへと変換したいと考えているだろう」

    「彼らがアップデートを投入してくることはほぼ間違いないと思っている。もちろん、投入されなければ我々にとってはありがたいが、そんなことは考えたくもない」

    マクラーレンはノリスの2連勝で反撃
    メルセデスが開発ペースを抑える一方、マクラーレンはアップデートによって競争力を大きく引き上げている。

    ランド・ノリスはオランダGPで2戦連続優勝を飾り、自身初のF1ワールドチャンピオンとなった2025年に続くタイトル防衛へ望みをつないだ。ランキング首位との差は83ポイントまで縮まっている。

    ヴォルフはコストキャップ下での予算配分を理由に開発ペースの違いを説明しているが、ステラはメルセデスがこのまま手をこまねいているとは考えていない。シーズン後半のタイトル争いでは、メルセデスが温存してきた開発成果をいつ実戦投入するのかも重要な焦点となりそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、ドライバビリティ面で残されている具体的な課題を明かした。ダウンシフトに加え、エンジンブレーキの効き方が「コーナーごとに少しランダム」だという。

    さらにアロンソは、ストレートでは依然として大きなタイムを失っていると指摘した。ただし、ホンダに改善のための時間が必要であることも理解しており、「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」とアストンマーティンとホンダへの信頼を強調した。

    「望んでいるところには達していない」
    オランダGP後、Sky Sportsのインタビューで、新PUのドライバビリティについて具体的に何が不足しているのかを問われたアロンソは、ひとつの問題に限定できるものではないと説明した。

    「何かひとつ具体的なことがあるわけではないと思う。全体的に、ドライバビリティという点ではまだ僕たちが望んでいるところには達していない」

    そして、ドライバーが感じている問題としてダウンシフトとエンジンブレーキを挙げた。

    「ダウンシフトだったり、エンジンブレーキの効き方がコーナーごとに少しランダムに感じられたりする。そういったところは、まだ細かく調整していく必要がある」

    ブレーキングからコーナー進入にかけてマシンの姿勢をコントロールするうえで、エンジンブレーキの一貫性は重要になる。現状では、その挙動をさらに安定させることが新PUの最適化における課題のひとつとなっている。

    ストレートでは「まだかなり失っている」
    課題はドライバビリティだけではない。アロンソは絶対的なパワーについても改善が必要だと指摘した。

    「それにパワー不足もあって、ストレートではまだかなり失っている」

    アストンマーティンはシャシー側の進歩によって、コーナーでは以前より競争力を発揮できるようになった。それだけに、次に改善すべき領域がよりはっきりと見えるようになったという。

    「今はコーナーではある程度競争力を持てるようになったから、そこを改善する必要がある」

    オランダGP週末には、新PUのドライバビリティに関する問題がすでに表面化していた。スプリント予選ではアロンソがブレーキング時の意図しないパワーデリバリーについて訴えており、新スペックを車体側と最適化する作業が課題となっている。

    「ホンダにも時間を与える必要がある」
    もっとも、アロンソは問題点を列挙するだけではなく、ホンダとともに解決していく姿勢を強調している。

    「でも、僕たちはすべてを一緒に進めようとしている。ホンダにも、何が問題なのか、どこを直すべきなのかを突き止めるための時間を与える必要がある」

    新スペックの投入によって新たに現れた問題を分析し、どこを修正すればドライバビリティとパフォーマンスを改善できるのか。アロンソは、ホンダ側にもそれを見極める時間が必要だとの認識を示した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」
    そして、ホンダの新PUに残された課題を率直に指摘したアロンソは、最後にプロジェクトへの信頼を明確にした。

    「僕は満足しているし、落ち着いている。シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」

    シルバーストンはアストンマーティンのF1ファクトリー、さくらはホンダ/HRCのF1パワーユニット開発拠点を指す。Sky Sportsでのアロンソの発言として、エンジンブレーキの不安定さとともに、この両拠点への信頼も伝えられている。

    アロンソの発言は、新PUへの単純な批判ではない。ダウンシフト、エンジンブレーキ、ストレートでのパワーという改善すべき領域を明確にしながら、その解決に取り組むシルバーストンとさくらの双方を信頼している。

    シャシーがコーナーで競争力を取り戻しつつあるからこそ、PU側の課題を解消できればアストンマーティンのパッケージ全体をさらに前進させられる。ホンダが新スペックをどこまで早く最適化できるかが、今後の競争力を左右する重要なポイントとなる。

  • ニコラ・ツォロフがF1初走行 レーシングブルズで690km「夢が現実になった」

    ニコラ・ツォロフがF1初走行 レーシングブルズで690km「夢が現実になった」

    FIA F2選手権でランキング首位に立つニコラ・ツォロフが、レーシングブルズのF1マシンを初めてドライブした。2027年のF1昇格候補として名前が挙がるなか、イモラで実施されたTPC(旧型車テスト)で690kmを走破した。

    レッドブル・ジュニアチームに所属するツォロフにとって、今回が待望のF1初走行となった。

    レーシングブルズのアラン・パーメイン代表も、その適応力と落ち着きを高く評価しており、今後はFIAの承認を得れば、レッドブル・レーシングまたはレーシングブルズのフリー走行に起用される可能性もある。

    2027年F1昇格候補ツォロフがVCARB 02を初ドライブ
    ニコラ・ツォロフは8月26日(水)、イモラ・サーキットでレーシングブルズのVCARB 02をドライブし、初めてF1マシンで本格的な走行を経験した。

    ツォロフは今季のFIA F2選手権でランキング首位に立っており、2027年にレーシングブルズへ昇格する候補として継続的に名前が挙がっている。一方で、F2でタイトルを争うライバルたちとは異なり、これまでF1マシンを走らせる機会は与えられていなかった。

    今回の走行はTPC(Testing of Previous Cars)として行われ、ツォロフは1日で690kmを走破した。

    690kmを走破「すべてのラップを楽しんだ」
    初めてF1マシンを走らせたツォロフは、長年目指してきた目標が実現した喜びを語った。

    「F1マシンでの初めてのTPCを終えた。今日がどう進んだか、本当に満足している」

    「すべてのラップを本当に楽しんだし、ようやくこの機会を得られたことが自分にとって何を意味するのか、言葉にするのは難しい」

    「僕を信じて、この機会を与えてくれたVCARBとレッドブル・ジュニアチームに心から感謝している。これは僕が人生を通してずっと目指してきたことだから、実際に経験できたのは本当に信じられないことだ」

    「今日、自分たちが成し遂げたことを、まだ完全には実感できていないと思う。でも、すべてのラップを楽しんだし、近いうちにさらに走行距離を重ねるチャンスを得られたらと思っている」

    ニコラ・ツォロフ(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    F1フリー走行出場への道も開く
    F1のフリー走行に出場するには通常、スーパーライセンス取得に必要な40ポイントを獲得することが基本となる。ただし、一定の条件を満たしたドライバーには「フリー走行限定」のライセンスが認められる制度がある。

    18歳以上でグレードAライセンスを保持し、FIAの理論試験に合格したうえで、F2に6戦以上出場するか、スーパーライセンスポイントを25点以上獲得していれば対象となる。

    以前はフリー走行への出場資格を得るため、F1マシンで300km以上を走行することも求められていたが、この要件は最近撤廃された。

    それでも今回ツォロフが690kmを走破したことは、F1マシンへの適応を進めるうえで大きな経験となった。

    FIAの承認を得れば、ツォロフは今季中にレッドブル・レーシング、またはレーシングブルズからFP1に出走する可能性がある。

    レッドブルは残り3回 レーシングブルズは残り1回
    2026年のF1レギュレーションでは、各チームはシーズンを通じてルーキーを計4回フリー走行に起用する必要がある。ここでいうルーキーは、F1グランプリの決勝出走経験が2戦以下のドライバーを指す。

    レーシングブルズでは、2026年のF1グリッドで唯一のルーキーであるアービッド・リンドブラッドの出走によって2回分を消化。さらに岩佐歩夢がオーストリアGPで走行しており、残る義務は1回となっている。

    一方、レッドブル・レーシングでは岩佐歩夢がスペインGPでFP1を担当しており、残り3回のルーキー走行枠がある。

    このためツォロフが必要な承認を得れば、どちらのチームからでもFP1に起用できる余地が残されている。

    アラン・パーメイン代表も高評価「適応が速かった」
    レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインは、ツォロフのF1初走行について高い評価を与えた。

    「今日はニコラにとって非常に前向きな一歩だった」

    「彼はマシンに素早く適応し、初めてF1マシンに乗るドライバーに求めたい落ち着きを見せた。今回の走行は、チームがジュニアドライバーに対して継続的に行っている育成プランの一環だ。彼らが成長するために必要なツール、走行距離、そして環境を提供している」

    「この育成ルートから何が生まれるのかは、これまで何度も見てきた。今日のような一日も、その仕組みをさらに築き上げていくプロセスの一部だ」

    今回のTPCは、単にツォロフにF1マシンを経験させるだけの機会ではない。F2タイトル争いをリードするツォロフが690kmというまとまった距離を走り切ったことで、レッドブル陣営は2027年のドライバー選考に向けて、新たな評価材料を得たことになる。

  • キミ・ライコネンの11歳長男ロビン F1育成入りを検討「今年中に大きな発表」

    キミ・ライコネンの11歳長男ロビン F1育成入りを検討「今年中に大きな発表」

    2007年のF1ワールドチャンピオン、キミ・ライコネンの長男ロビン・ライコネンが、F1チームのドライバー育成プログラム入りに向けて動き始めている。現在11歳のロビンについて、複数の選択肢を検討しており、2026年中にも「大きなニュース」が発表される可能性があるという。

    明かしたのは、ロビンのゴッドファーザーであり、ライコネン一家と長年親交を持つジーノ・ロサートだ。

    フェラーリで約30年間にわたって勤務し、現在はレッドブルのコンサルタントを務めるロサートは、ザントフォールトでフィンランド紙『Ilta-Sanomat』の取材に応じ、すでにF1チームの育成プログラムを視野に入れていることを認めた。

    ロビン・ライコネンのF1育成入りを検討
    F1では各チームが若手ドライバー育成プログラムを運営し、カートからジュニアフォーミュラ、F3、F2を経て最高峰へと進む人材を支援している。

    ロビン・ライコネンについても、そのルートに加わる可能性が具体的に検討され始めた。

    F1チームのアカデミー入りについて尋ねられたロサートは「もちろんだ。それは僕たちが取り組んでいることのひとつだ」と語った。

    「現時点では選択肢を検討している」

    かつてキミ・ライコネンがF1世界王者に輝いたフェラーリが候補に含まれているのかと質問されると、ロサートは明言を避けた。

    「それはサプライズだ」

    そう笑顔で答えたロサートは、近いうちに何らかの動きがあることを示唆した。

    「できれば今年中に、大きなニュースを発表できればと思っている」

    ロビン・ライコネン

    「名前ではなく子どもにとってベストな選択を」
    ロサートはフェラーリで約30年間を過ごし、ライコネン一家とも長年にわたって親しい関係を築いてきた。そのロサートが強調するのは、「ライコネン」という有名な名字を利用することではなく、ロビン本人の成長に適した環境を選ぶことだ。

    「僕たちは、名前にとって何がベストなのかではなく、子どもにとって何がベストなのかを考えなければならない」

    「名前が扉を開いてくれることはある。その扉を開いたままにしておくためにも、適切なプログラムに入り、適切な人たちに囲まれるようにしなければならない」

    ロビンはすでにカートで才能の片鱗を見せている。ただし、父キミと母ミントゥは息子の将来について慎重な姿勢を崩していないという。

    キミは「息子は次のセナ」と騒ぐ親ではない
    ロサートによれば、キミ・ライコネンは息子の才能を冷静に見極めており、F1ドライバーになることを無理に求めるつもりはない。

    「キミはとても現実的だ。『俺の息子は次のセナだ』と言うような熱狂的な親にはならない」

    「もし、ある時点でロビンが興味を失っている、あるいはうまくいっていないとキミが判断すれば、これを続けさせることはないと思う」

    一方でロサートは、ロビンに父親を思わせる特徴があるとも語っている。

    「彼は静かだ。本当に静かだ。そして速い」

    さらに、モータースポーツへの情熱も誰かに植え付けられたものではないという。

    「朝から晩まで、そればかり考えている。キミがそう仕向けたわけではない」

    カートからF4、F3、F2、そしてF1へ
    今後もロビンが順調に成長を続ければ、特別な近道ではなく、他の若手ドライバーと同じステップを踏ませる方針だという。

    「まずアカデミーに入り、そこから少しずつステップアップしていく。F4、F3、F2、そしてF1だ。他のみんなと同じようにね」

    キミ・ライコネンは2001年にザウバーからF1デビューし、マクラーレン、フェラーリ、ロータス、アルファロメオでF1を戦った。2007年にはフェラーリ移籍初年度にワールドチャンピオンを獲得している。

    その息子ロビンが同じF1への道を歩むことになるのかは、まだ非常に早い段階にある。ただ、単なる将来の夢ではなく、具体的な育成プログラムの選択肢を周囲が検討する段階に入ったことは確かだ。ロサートが示唆した「今年中の大きなニュース」が、ロビン・ライコネンのキャリアにとって最初の大きな一歩となる可能性がある。

  • 岩佐歩夢 レッドブルF1のRB22で117周 2027年タイヤ3種類をテスト

    岩佐歩夢 レッドブルF1のRB22で117周 2027年タイヤ3種類をテスト

    ピレリは、2027年F1シーズンに向けたタイヤ開発テストの2日目をムジェロ・サーキットで実施した。岩佐歩夢がレッドブル・レーシングのRB22で117周を走行し、この日参加した3人のドライバーで唯一、C1、C2、C3の全3種類のコンパウンドをテストした。

    2日目には岩佐歩夢のほか、マクラーレンのランド・ノリス、アウディのニコ・ヒュルケンベルグが参加。2027年用ラインナップのなかでも最もハード側となる3種類のコンパウンド開発に重点が置かれた。

    岩佐歩夢がRB22でC1、C2、C3をすべてテスト
    岩佐歩夢はレッドブル・レーシングのRB22をドライブし、午前中を中心にC1とC2の評価に取り組んだ。午後には複数のC3プロトタイプを比較するスクリーニング走行を実施。この日、3種類すべてのコンパウンドを試したのは岩佐歩夢だけだった。

    岩佐歩夢は合計117周、614kmを走行。ベストタイムは1分23秒414を記録した。

    一方、ランド・ノリスは一日を通してC2の開発に専念した。午前中に複数のプロトタイプを評価し、午後にはそのなかから有望と判断された仕様をさらに詳しく比較した。

    ノリスは115周、603kmを走行し、ベストタイムは1分21秒899だった。

    ニコ・ヒュルケンベルグはC2とC3を組み合わせたプログラムを担当。3人で最多となる121周、635kmを走り、1分24秒012のベストタイムを記録した。

    岩佐歩夢(レッドブル・レーシング)

    2日間で2948kmを走破
    ムジェロで行われた今回のテストは2日間の日程で実施され、初日にはマクラーレンのオスカー・ピアストリとレッドブル・レーシングのリアム・ローソンが走行した。

    5人のドライバーによる2日間の総走行距離は2948kmに達した。2日目は路面温度が最高52度まで上昇するコンディションとなり、2027年に向けたドライタイヤ開発のための貴重なデータが収集された。

    ピレリによる次回のドライタイヤ開発テストは9月15日と16日にイモラで予定されており、フェラーリとレーシングブルズが参加する。

    岩佐歩夢にとっては、RB22で117周を走り込み、2027年F1タイヤのハード側3種類すべてを評価する重要な役割を担ったテストとなった。

  • マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンは、F1オランダGPでMCL40に投入したアップデートによって単にダウンフォースを増やしただけではない。新たに導入されたフロントホイールとホイールカバーには、フロントタイヤをより効率的に温める狙いがあり、ザントフォールトでの予選パフォーマンスを支える重要な要素となった。

    ランド・ノリスがハンガリーGPに続く2連勝を飾ったことで、マクラーレンの開発が明確な成果を上げていることが示された。

    MCL40は夏休み前後に投入されたアップデートによって不足していた空力荷重を補うと同時に、タイヤを適切な作動温度へ持ち込むという別の課題にも手を入れていた。

    高速かつ長いコーナーで強さを増したMCL40
    マクラーレンの強みはスペインGPですでに表れ、スパではそれまでで最も競争力の高いMCL40が姿を見せていた。

    重要なのは、単純にコーナリングスピードが高いことではない。高速コーナーが長く続き、マシンに継続的な空力荷重が求められる状況になるほどMCL40の競争力が高まる傾向がある。アップデートによって追加されたダウンフォースが、そうした区間で大きな効果を発揮している。

    その改善幅はマクラーレン自身の予想を上回るものだった。特に高速セクションで示した強さはチーム内部の期待以上であり、MCL40は高ダウンフォースを要求されるサーキットで基準となる存在へと変化した。

    しかし、ザントフォールトでの勝利を読み解くうえでは、空力アップデートだけに注目するのは十分ではない。オランダGPでは、フロントタイヤの温度管理を目的とした新しいホイールも投入されていた。

    新フロントホイールの狙いはタイヤ温度
    マクラーレンのテクニカルディレクターのひとりであるニール・ホールディは、オランダGPを前に今回のアップデートについて説明していた。

    「フロア後部に小さな変更を加え、少し追加のダウンフォースを生み出せるようにした。それに加えて、リアブレーキダクトにもいくつか小規模な変更を施している」

    「さらに新しいフロントホイールも導入した。これによってタイヤにより多くの温度を発生させることができる。これらのアップデートはラップタイムという意味では大規模なものではないが、僕たちの競争力を少し高める助けになる」

    この変更が重要なのは、MCL40が今季抱えてきた弱点のひとつに直接働きかけるものだからだ。

    モナコで露呈したフロントタイヤの課題
    アンドレア・ステラ代表はオランダGP後、ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも高いダウンフォースを要求するため、MCL40の特性に適していたと説明した。

    一方で、同じく高ダウンフォース仕様が用いられるモナコでは状況が異なっていた。ステラはモナコGPを前に前年のように優勝争いへ加わることへの期待を隠していなかったが、実際のMCL40は期待されたほどのパフォーマンスを発揮できなかった。

    原因は単純な低速コーナーへの適性ではない。モンテカルロではセットアップの自由度が比較的高く、他のサーキットほど妥協を強いられない。それでもマクラーレンは必要なダウンフォースを十分に確保できず、さらにフロントタイヤを素早く適正温度に入れることにも苦戦した。

    フロントタイヤを十分に機能させられなければグリップを引き出すことができない。同様の傾向はオーストラリアGPや中国GPでも確認されており、MCL40はグレイニングにも苦しんでいた。

    つまりマクラーレンにとって、空力性能の向上とタイヤ温度の管理は別々のテーマではなく、マシン全体のパフォーマンスを引き出すために同時に解決すべき課題だった。

    ザントフォールト予選で表れた効果
    ザントフォールトでも週末を前に懸念されていたのが、フロントタイヤにグレイニングが発生する可能性だった。実際にはグレイニングは比較的限定的だったが、より重要だったのはドライコンディションでタイヤを素早く適正温度まで上げられるかどうかだった。

    その違いは予選Q3最後のアタックで明確に表れた。

    マクラーレンはアタックに入るとすぐにタイヤを機能させ、ランド・ノリスがポールポジションを決めるタイムを記録した。一方、フェラーリをはじめとする一部のライバルはタイヤを十分に温めることに苦戦し、さらに1周を費やして温度を作る必要があった。

    わずかな違いに見えるが、予選ではタイヤをいつピークの状態に持ち込めるかがアタックの成否を左右する。特にザントフォールトのようにタイヤへの要求が厳しいサーキットでは、その差が直接ラップタイムへつながる。

    2026年に再び開発領域となったホイール
    この改善の背景には、F1の技術規則におけるホイール開発の変化もある。今季からホイールの開発自由度が再び広がったことで、各チームにとってタイヤの温度と作動圧力を管理するための新たな開発領域となっている。

    ホイールの構造には、空気の流れ方をコントロールするための空間や形状を設けることができる。それによってホイール周辺を流れる空気を受動的に制御し、ホイール自体の温度、さらにタイヤへ伝わる熱を調整することが可能になる。

    タイヤを直接変更することはできなくても、その周囲の熱環境をコントロールすることで、タイヤを狙った作動領域へ近づけられるというわけだ。

    マクラーレン F1

    エンケイ製フロントホイールと閉じたホイールカバー
    マクラーレンはザントフォールトで、まさにこの領域へ変更を加えた。

    変更されたのは、長年のパートナーである日本のエンケイが製造するフロントホイールだ。新仕様ではホイール内部の温度をより高く維持し、その熱をタイヤへ伝えることでフロントタイヤのウォームアップを促進することを狙っている。

    同時にホイールカバーも変更され、従来より閉じた形状が採用された。外部から入ってくる冷たい空気の影響を抑えることでホイールが冷却されすぎるのを防ぎ、より高い温度を維持しやすくしている。

    興味深いのは、変更がフロントだけに限定されたことだ。

    リアは変更せず 前後で異なる温度管理
    リアホイールについては従来仕様が維持された。これはザントフォールトで各チームがリアタイヤの消耗にも苦しんでいたことと無関係ではない。

    週末を通じて強い風が吹き、マシンは高速コーナーでスライドしやすい状況にあった。こうした場面ではダウンフォースが大きいほどマシンを安定させやすいが、スライドが増えればリアタイヤへの負荷も高まる。

    さらに低速コーナーからの立ち上がりではリアタイヤに大きなトラクション負荷がかかる。そのためリア側については、フロントと同じように積極的に温度を上げる必要性はなかった。

    マクラーレンは前後で異なるタイヤの要求を見極め、ウォームアップに課題を抱えるフロント側だけに変更を集中させたことになる。

    空力だけではないマクラーレンの開発
    MCL40がハンガリーとザントフォールトで示した速さは、高ダウンフォース型サーキットとの相性だけで説明できるものではない。

    夏休み前後のアップデートによって空力荷重そのものを増やす一方、マクラーレンはホイールという細かな領域にも手を入れ、タイヤをより早く適正な作動温度へ入れるための改善を進めている。

    新しいフロントホイールだけで大幅なラップタイム短縮が得られるわけではない。しかし、予選の1周でフロントタイヤを素早く機能させられること、そしてマシンが本来持つダウンフォースを確実にグリップへ変換できることは、僅差のF1では大きな意味を持つ。

    ザントフォールトでの勝利は、MCL40が単にダウンフォースを増しただけではなく、空力とタイヤ温度管理を組み合わせることで、マシン全体の性能をより安定して引き出せるようになったことを示す結果でもあった。