カテゴリー: ホンダF1

  • ランス・ストロール ホンダF1新PUで19番手「ドライバビリティに課題」

    ランス・ストロール ホンダF1新PUで19番手「ドライバビリティに課題」

    アストンマーティンのランス・ストロールは、F1オランダGPで投入されたホンダのアップグレード版パワーユニットについて、週末前に「ラップタイムにつながらなければ意味がない」と率直な期待を口にしていた。しかし、金曜日のスプリント予選では19番手に終わり、ドライバビリティを含めて改善が必要だと語った。

    アストンマーティンはザントフォールトでホンダのアップグレード版パワーユニットを投入。

    前戦ハンガリーGPでマシンの競争力が大きく改善したこともあり、ストロールはパワーユニット側の進歩がシーズン後半の戦力を左右すると考えている。

    「ラップタイムにつながらなければ意味がない」
    走行開始前の木曜日、ストロールは新しいホンダ製パワーユニットへの期待について質問されると、前戦ハンガリーGPでの改善を振り返った。

    「間違いなく、とてもポジティブな前進だった。ブダペストの日曜日はいいレースができたし、マシンは今年これまでよりずっと競争力があった」

    「だから本当によかったし、今度はエンジン側でも前進できればと思っている。明日になればもっと分かるはずだ」

    さらに、アップグレードによってシーズン後半をより楽観的に迎えられるかと問われると、その評価は新しいパワーユニットの性能次第だと強調した。

    「今週末のエンジンが、その質問への答えになると思う。エンジン側で大きくパワーを得られれば、シーズン後半はもっと競争力を持てると思う」

    そして、単に開発が前進したというだけでは十分ではないとした。

    「前進になっていればいい。でも、ラップタイムにつながらない進歩なら意味がない。だから、単純に良くなっていて、そこから大きくラップタイムを見つけられることを期待している」

    シーズン序盤から問題となっていた振動などについては改善を認める一方、依然としてパワー不足を課題に挙げた。

    「そういう部分は改善している。でも、まだかなりパワーが足りない。だから、とにかくパワーを見つけられることを期待している」

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    スプリント予選は19番手「まだ理解する必要がある」
    しかし、実際にアップグレード版パワーユニットで走行した金曜日は期待どおりの展開とはならなかった。

    ストロールはスプリント予選SQ1で1分15秒391を記録したものの19番手で敗退。アストンマーティンはドライバビリティに苦しみ、十分なペースを引き出すことができなかった。

    「今日はもっとできたと思う。ドライバビリティに苦しんでいたし、ほかにもいくつかうまくいっていない部分があった。なぜそうなったのか理解する必要がある」

    「かなり風が強かったけど、それは全員同じだ。今夜すべてを確認してデータを見て、明日に向けて改善していく」

    走行後、アップグレード版パワーユニットについて改めて尋ねられたストロールは、まだ評価を下す段階ではないとの姿勢を示した。

    「分からない。もっといいラップはできたと思うけど、それでも僕たちはかなり離されている。だから理解する必要がある」

    特に課題として挙げたのが、フェルナンド・アロンソも指摘していたドライバビリティだった。

    「そうだね。ドライバビリティには取り組む必要がある。それ以外にも、何ができるか考えないといけない部分がある」

    ザントフォールトは強風と低いグリップもドライバーを苦しめたが、ストロールはそれを言い訳にはしなかった。

    「とても風が強くて、グリップもかなり低い。でも風が強いのは全員同じだから、予選に向けてどうすればマシンを良くできるか考えないといけない」

    投入前にはホンダのアップグレードによる「大きなパワー向上」を期待していたストロールだが、初日の段階ではその効果を十分なラップタイムとして示すことはできなかった。アストンマーティンにとっては、ドライバビリティを含めたパワーユニットの特性を理解し、残る週末でどこまで性能を引き出せるかが焦点となる。

  • ホンダF1 スペック2実戦投入で性能向上を確認「信頼性にも問題なし」

    ホンダF1 スペック2実戦投入で性能向上を確認「信頼性にも問題なし」

    ホンダ・レーシング(HRC)は、2026年F1第12戦オランダGPで初投入したスペック2パワーユニットについて、初日の走行で従来のスペック1からのパフォーマンス向上を確認した。

    ザントフォールトでは21日(金)にFP1とスプリント予選が行われ、アストンマーティンは新しいホンダ製パワーユニットを搭載して走行。スプリント予選ではランス・ストロールが19番手、フェルナンド・アロンソが22番手と2台ともSQ1で敗退したが、パワーユニットそのものについては性能向上と信頼性の両面でポジティブな初日となった。

    スペック1からのパフォーマンス向上を実走で確認
    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを初めて実戦投入した。Honda F1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、FP1とスプリント予選を終え、狙っていた性能向上を実車でも確認できたと説明した。

    「今週のオランダGPで初めてスペック2のパワーユニットを投入し、今日の走行でスペック1からのパフォーマンス向上を確認できました」

    事前の開発やテストだけでなく、グランプリ週末の実戦環境でも旧仕様からの進歩を確認できたことになる。

    また、初日の2セッションではパワーユニットに信頼性上のトラブルは発生しなかった。

    「FP1とスプリント予選の両セッションで、信頼性の問題なくフルディスタンスを走り切ることができ、パワーユニットとアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチームのシャシーとの統合も良好でした」

    スペック2の初実戦という点では、性能だけでなく、アストンマーティンのシャシーとの統合を含めて予定された走行を消化できたことも重要な収穫となった。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    ドライバビリティには改善余地
    一方、初日の走行ですべてが完成したわけではない。折原伸太郎は、特にドライバビリティに関連するデータ設定について改善の余地が見つかったことを明かした。

    「一方、スプリント予選では、特にドライバビリティに関するデータ設定について、まだ改善すべき点があることも分かりました」

    ホンダはスペック2投入に伴い、単純な出力向上だけでなく、実際にドライバーがパワーを扱いやすい状態へ仕上げていく作業も進める必要がある。

    「HRC Sakuraでは今夜から明日にかけてデータを解析し、エンジンベンチでのテストを行いながら、週末の残りの走行に向けてこれらのパラメーターを最適化していきます」

    ザントフォールトで得られた実走データを日本のHRC Sakuraへ送り、エンジンベンチでの検証と並行して設定を詰める。スプリント以降に向け、ドライバビリティをどこまで改善できるかが次の焦点となる。

    アストンマーティンはスプリント予選で2台SQ1敗退
    パワーユニット側では前進を確認した一方、スプリント予選の結果は厳しいものとなった。ストロールは19番手、アロンソは22番手に終わり、アストンマーティンは2台ともSQ1で敗退した。

    特にアロンソはアタック中にコースを外れる場面があり、スプリント予選を最下位で終えた。

    それでもホンダにとってスペック2の初日は、旧仕様からのパフォーマンス向上を実走で確認し、信頼性の問題なくFP1とスプリント予選を完走できたという点で重要な一歩となった。一方でドライバビリティという新たな調整ポイントも明確になり、HRC Sakuraでの解析とベンチテストを通じて、オランダGPの残りのセッションに向けた最適化が進められる。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bをさらに改良 オランダGPで5項目アップデート

    アストンマーティンF1 AMR26Bをさらに改良 オランダGPで5項目アップデート

    アストンマーティンF1は、2026年F1オランダGPにAMR26Bのさらなる空力アップデートを投入した。FIAが公開した資料によると、変更はフロントウイング、フロントウイング・エンドプレート、オプショナルフラップ、フロアフェンス、ディフューザーの計5項目に及ぶ。

    前戦ハンガリーGPで16項目もの大規模アップデートを投入したアストンマーティンだが、開発の手を緩めてはいない。

    ハンガリーで投入した新フロントウイングをさらに改良
    フロントでは3項目の変更がFIAに申告された。

    まずフロントウイングでは、最終エレメントのアウトボード側のコード長を短縮。さらにフロントウイング・エンドプレートでは、内側のフット部分の形状が変更された。

    アストンマーティンはFIAへの提出資料で、この2つの変更について、前戦で導入した新しいフロントウイングの性能を改善するためのものだと説明している。

    つまり、ハンガリーGPで投入されたフロントウイングをそのまま継続使用するのではなく、実戦投入直後のオランダGPで早くも細部をアップデートした形だ。

    3つ目は、新しいオプショナル・フロントウイングフラップである。このフラップは単純にフロントの空力荷重を増やすことだけを目的としたものではない。

    FIA資料によれば、フロントウイングの調整によって得られるマシンバランスの範囲を広げ、セットアップを最適化することが狙いとされている。

    ザントフォールトは高速コーナーだけでなく、バンクを持つターン3や最終コーナーなど独特の特性を備えている。フロントウイングの調整幅を広げることは、こうしたコースで前後の空力バランスを合わせ込むうえでも重要な意味を持つ。

    リアは新パッケージ評価後に空力荷重を追加
    リア側では、フロアフェンスとディフューザーに変更が施された。

    フロアフェンスについては、ディフューザー部分に新しいフェンスを追加。ディフューザーでは、ウイングレットの下端形状が変更されている。

    ここで注目されるのが、アストンマーティンがFIAに示した変更理由だ。

    チームは、これらリア部分の変更について「新しいパッケージの性能を評価した後、リアの空力荷重を増加させるために組み合わせて機能する」と説明している。

    前戦ハンガリーGPで投入した大規模な新パッケージを評価したうえで、その性能をさらに引き出すためにリア側へ手を加えたことが読み取れる。

    フロアフェンスとディフューザーは個別に機能するのではなく、一体となってリアの空力荷重を高める設計となっており、AMR26Bの空力パッケージをさらに発展させるアップデートと位置づけられる。

    16項目の大改修からわずか1戦で追加アップデート
    アストンマーティンはハンガリーGPで、AMR26に16項目もの変更を加えた大規模アップデートを投入。従来型から大きく姿を変えたマシンは「AMR26B」とも呼ばれ、シーズン後半戦に向けた巻き返しの重要なステップとなった。

    そして、わずか1戦後のオランダGPでさらに5項目を追加した。今回のFIA資料では、フロントウイングについて前戦投入仕様の性能改善であることが明記され、リア側についても新パッケージの評価を踏まえた変更であることが示されている。

    そのため今回のアップデートは、ハンガリー仕様とは独立した新パッケージというより、そこで導入したコンセプトを実戦データを基に磨き込む継続的な開発と見ることができる。

    さらにオランダGPでは、車体側の空力アップデートと同時にホンダもRA626Hの新スペックを投入。アストンマーティンにとっては、シャシーとパワーユニットの両面で性能向上を図る重要な週末となる。

    ハンガリーで大きく刷新されたAMR26Bが、今回の5項目の空力変更とホンダの新スペックPUによってどこまで前進できるか。ザントフォールトでの走行データは、シーズン後半に向けたアストンマーティンの開発方向を占う重要な材料となりそうだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム / オランダグランプリ

    アルピーヌは最多8項目 フェラーリも5項目を投入
    オランダGPではアストンマーティン以外にも複数のチームがアップデートを投入している。FIAへの申告数で最多となったのはアルピーヌで、計8項目の変更を持ち込んだ。

    アルピーヌはフロアボディ、フロアボード、フロアエッジ、ディフューザー、サイドポッド/コーク、リアコーナー、リアインパクトストラクチャー、リアウイングを変更。フロアを中心にマシン後方まで広範囲に手を加え、空力荷重の増加と気流の改善を狙っている。オランダGPではピエール・ガスリーが新パーツを使用し、フランコ・コラピントには次戦イタリアGPから同仕様が用意される予定だ。

    フェラーリもアストンマーティンと同じ5項目を申告。SF-26のフロアボディ、フロアボード、フロアエッジを改良したほか、ディフューザーとビームウイングにも変更を施した。FIA資料では、作動領域全体で空力荷重を増やすとともに、リアディフューザーへ送り込む気流のエネルギーを高めることが狙いと説明されている。

    マクラーレンは3項目で、新しいリアウイングに加えてエンジンカバーとリアコーナーを変更。リアウイングとボディワークを連携させて空力効率を高めるとともに、リアブレーキダクトの変更によって気流とブレーキ冷却性能の改善を図った。

    メルセデスはフロントコーナーの1項目のみ。ブレーキダクト入口からドラム前端のリップを分離してキャンバーも調整し、ステアリングの作動範囲を通じた気流の安定化とマシン後方への流れの改善を狙う。

    レッドブル・レーシングもフロントコーナーの1項目だが、こちらはパフォーマンスではなく信頼性向上が目的。高いステアリング角でホイールボディワークにかかる負担を減らすため、ロワーウィッシュボーン後方レッグのコード長などを変更している。

    一方、ウィリアムズ、レーシングブルズ、ハース、アウディ、キャデラックは、今回のオランダGPに向けたアップデートをFIAに申告していない。

    ザントフォールトではアルピーヌの8項目を筆頭に、アストンマーティンとフェラーリが各5項目、マクラーレンが3項目を投入した。シーズン後半戦最初の一戦から、各チームの開発競争も再び活発に動き始めている。

  • ホンダF1新PUは15馬力向上か オランダGPで約0.2秒短縮の可能性

    ホンダF1新PUは15馬力向上か オランダGPで約0.2秒短縮の可能性

    アストンマーティンは、F1オランダGPでホンダの新スペック・パワーユニットを投入する。注目される性能向上について、AutoRacerは約15馬力になると報じた。当初期待されていた約30馬力の半分程度だという。

    それでも15馬力の向上は小さくない。ホンダは2026年の新パワーユニット規則への対応でライバルに後れを取ってシーズンをスタートしており、今回のアップデートはその差を縮めるための最初の本格的な改良となる。

    ただし、現時点ではトップ勢との差を一気に埋めるほどのステップにはならないとみられている。

    ホンダは内燃エンジンを重点的に改良
    今回のアップデートでホンダが重点を置いたのは、内燃エンジン(ICE)だ。燃焼を中心に改良を加え、効率向上とドライバビリティの改善を同時に追求してきた。

    一方、バッテリーとMGU-Kについては大幅な変更はないとされる。

    2026年世代のF1パワーユニットでは、単純な最高出力だけで競争力を判断することはできない。エネルギーマネジメントや回生効率、そして蓄えた電気エネルギーをどのように展開するかというデプロイメントの質が、ラップタイムに大きく影響するためだ。

    そのため、アストンマーティンにとって重要なのは、約15馬力という出力向上を実際のラップタイムにどこまで結びつけられるかになる。

    15馬力でザントフォールトでは約0.2秒の改善か
    AutoRacerによる単純計算では、ザントフォールトで15馬力の向上は1周あたり約0.2秒に相当する可能性がある。

    もちろん、実際の効果はエネルギーの使い方やマシンの空力効率、セットアップなどによって変化する。それでも、シーズン前半にパワーユニット面で苦戦したアストンマーティンにとっては無視できない改善幅となる。

    また、今回の15馬力がホンダの最終到達点というわけではない。開発段階で確認された信頼性と性能が実戦でも裏付けられれば、当初計画していた約30馬力の向上を最終的に実現することを目指しているという。

    つまり、オランダGPで投入される仕様は完成形ではなく、ホンダが進めている性能回復プロセスの重要な一段階という位置づけになる。

    ホンダF1(ホンダ・レーシング) / アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bと新PUで巻き返しを狙うアストンマーティン
    アストンマーティンはシャシー側でも改善を進めている。ハンガリーGPで投入されたAMR26Bでは、空力とシャシーの両面で一定の進歩が確認された。

    そこに今回のホンダ製パワーユニットのアップデートが加わることで、シーズン前半に露呈した弱点に対する最初の大規模な修正サイクルがひと区切りを迎えることになる。

    重要なのは、それぞれの改善が単独でどれだけの数字を生み出すかだけではない。AMR26Bの改善と新しいパワーユニットを組み合わせた状態で、アストンマーティンがトップグループとの差をどこまで縮められるかが焦点となる。

    フェルナンド・アロンソの2027年にも影響
    そして、このアップデートには2026年シーズンの競争力だけではない意味もある。

    フェルナンド・アロンソは、まだ2027年の契約延長にサインしていない。45歳となったアロンソにとって、残されたF1キャリアの時間は重要な判断材料であり、アストンマーティンのプロジェクトが実際に勝利を争えるレベルへ到達できるのかを見極めようとしている。

    アストンマーティンには最新のファクトリーや設備があり、多額の投資も続けられている。さらに技術面ではエイドリアン・ニューウェイがプロジェクトを率いる。しかし、アロンソを完全に納得させるためには、そうした環境だけでなく、サーキット上で具体的な成果を示す必要がある。

    現時点ではアロンソとアストンマーティンの契約延長が最も可能性の高いシナリオとみられているものの、今後数戦で示される開発力はその判断にも影響を与えることになりそうだ。

    F1オランダGPで投入されるホンダの新スペックは約15馬力の向上が見込まれる。当初期待されていた約30馬力には届かないものの、ザントフォールトでは理論上約0.2秒の改善につながる可能性がある。重要なのは、その数字を実際のラップタイムへ変換できるか、そして今後さらに当初目標の30馬力へ近づけられるかだ。アストンマーティンとホンダにとって、ザントフォールトは2026年だけでなく、その先の競争力を占う重要な一戦となる。

  • アストンマーティンF1 2027年もアロンソ続投が最優先「他の選択肢はない」

    アストンマーティンF1 2027年もアロンソ続投が最優先「他の選択肢はない」

    アストンマーティンF1は、2027年のドライバーとしてフェルナンド・アロンソの続投を最優先しており、現時点で後任候補を検討していない。トラックサイド・オペレーションズ・ディレクターのマイク・クラックは、アロンソ本人の決断を待つ姿勢を改めて明確にした。

    2027年のアストンマーティンではランス・ストロールの残留が確実視される一方、45歳のアロンソはF1で現役を続けるかどうかをまだ正式に表明していない。

    チーム側は「プランB」を準備するのではなく、アロンソとの継続を軸に来季の体制を考えている。

    アロンソの決断を待つアストンマーティン
    フェルナンド・アロンソはこれまで、2027年もF1でレースを続けるのであれば、アストンマーティン以外のチームへ移籍する考えはないことを示している。

    したがって焦点となっているのは移籍の可能性ではなく、アロンソ自身が現役続行を選択するかどうかだ。

    45歳となったアロンソは、2027年の技術レギュレーションについて必ずしも好意的な見方を示していない。一方で、競争力のあるマシンで戦い、納得できる形でF1キャリアを締めくくりたいという思いもある。

    特にアストンマーティンにはエイドリアン・ニューウェイがおり、アロンソにとってニューウェイが手掛けるマシンで戦うことは長年望んできた機会でもある。

    さらに、2026年からアストンマーティンとワークス体制を組むホンダはF1オランダGPで改良型パワーユニットを投入する。今後の競争力を見極めるうえで、ホンダとシャシー双方の進歩がアロンソの判断材料になるとの見方もあり、去就については9月中に明らかになる可能性が高い。

    「他の選択肢は検討していない」
    これまでアストンマーティンをめぐっては、フェルナンド・アロンソの後任候補として複数のドライバーの名前が取り沙汰されてきた。

    2025年にはマックス・フェルスタッペンやジョージ・ラッセルへの関心が報じられ、最近ではカルロス・サインツJr.やエステバン・オコンの名前も浮上していた。

    しかし、フェルスタッペンはレッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長し、サインツJr.もウィリアムズとの契約を更新。現在のドライバー市場を考えても、トップクラスのドライバーを新たに獲得できる選択肢は限られている。

    それでもクラックは、代替案を探していない理由を市場環境だけに求めず、アロンソとの継続がチームにとって最も重要だと強調した。

    「以前にも言ったように、我々は彼の決断を待っている。それからどうなるかを見ていく」

    他の選択肢を検討しているのかと問われると、クラックは明確に否定した。

    「いや、検討していない。我々は常に、重要なのはフェルナンドとこれからも一緒にやっていくことだと言ってきた」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソ本人の意思も尊重
    一方でアストンマーティンは、チーム側の希望だけでアロンソの去就を決めるつもりはない。

    クラックは、アロンソが自ら将来を決断するための時間を与えることも重要だと語った。

    「これまで言ってきたように、我々は良い結果を得られるとかなり確信している。その一方で、フェルナンド自身が決断したいという希望も尊重しなければならない」

    アロンソも自身の将来について、ローレンス・ストロールやニューウェイと話し合い、チームが自分を必要としているかどうかも含めて判断する意向を示している。

    2026年のアストンマーティンは苦しいシーズン序盤を過ごしたものの、AMR26Bの投入をはじめとする開発によって改善の兆しを見せている。ホンダもパワーユニットの改良を進めており、チームは今後さらに競争力を高めることを目指している。

    アストンマーティンにとって理想的なシナリオは、そのプロジェクトを2027年もアロンソとともに継続することだ。現時点でチームに「プランB」はなく、まずはアロンソ本人が下す決断を待つことになる。

    仮にアロンソが現役引退を選択した場合には、アストンマーティンはその時点で初めて外部のドライバー獲得、あるいは育成プログラムからの昇格を含めた後任選びに動くことになりそうだ。

  • ホンダF1 新PU初走行で「興味深いデータ」 AMR26Bとの実車テストで手応え

    ホンダF1 新PU初走行で「興味深いデータ」 AMR26Bとの実車テストで手応え

    ホンダは、2026年F1第12戦オランダGPで実戦投入する新スペックのパワーユニット(PU)について、7月末にハンガロリンクで実施した初走行で「信頼性と性能の両面で内部目標を達成した」と明らかにした。

    ホンダ・レーシングのF1チーフエンジニアを務める折原慎太郎によれば、新PUは7月29日のフィルミングデーでアストンマーティンAMR26Bに初めて搭載された。走行距離などに制限があるなかでも、実車からドライバビリティに関する有益なデータを収集。オランダGPに向けてベンチ上でセッティングの最適化を進めている。

    新PUをAMR26Bに初搭載
    アストンマーティンは前戦ハンガリーGPでAMR26Bに大規模なアップデートを投入し、シーズン前半に苦戦していた状況から中団争いへと前進した。そしてザントフォールトでは、ホンダ側もPUのアップデートを投入する。

    ホンダはADUO(追加開発・アップグレード機会)によって認められた開発余地を活用し、内燃エンジンを中心に改良した新スペックを用意。その実戦投入に先立ち、7月29日にハンガロリンクで行われたフィルミングデーでAMR26Bに搭載した。

    フィルミングデーは走行距離が200kmに制限され、通常のレース用タイヤではなくデモンストレーション用タイヤを使用するなど、本格的なテストとは条件が異なる。それでもホンダにとっては、新PUを実際の車体に搭載して確認する最初の重要な機会となった。

    「フィルミングデーでしたので、学習できるプログラムには限りがありました。ただ、実際にコースを走れば必ず何かを発見できます」

    折原慎太郎はそう説明する。

    「まず、新しいエンジンスペックをシャシーに搭載したのはこれが初めてでしたが、パワーユニットが期待どおりに機能することを確認できました。それはポジティブでした」

    ドライバビリティで「興味深いデータ」
    ホンダがハンガロリンクで得た収穫は、単純にPUが正常に作動したという確認だけではなかった。特に重要だったのが、エンジンとシャシーを組み合わせた際のドライバビリティに関するデータだったという。

    「ドライバビリティについて、いくつか興味深いデータを見つけることができました」

    「そのデータをベンチに持ち帰り、今回のオランダGPに向けてセッティングを最適化しました。私たちにとって良い前進になりましたし、もうひとつポジティブだったのは、問題なく予定していた学習プログラムをすべて完了できたことです」

    実車で得られたデータをベンチテストへフィードバックし、ザントフォールトに向けて制御やセッティングを調整したことになる。

    シーズン前半のAMR26では振動も課題のひとつとして表面化していたが、新PUについて折原慎太郎は現時点で懸念していない。

    「現在、振動について心配していることはありません。ですから、今のところ問題は起きないと確信しています」

    「魔法のアップデートではない」
    一方、折原慎太郎は新PUによって勢力図が一変するとの見方には慎重だ。

    「F1では現実的でなければなりませんので、魔法のようなアップデートを持ち込むことはできません。ただ、今回のアップデートによって、いくつか良いステップを踏めると考えています」

    ホンダは2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとしてF1に復帰したが、シーズン前半はライバルメーカーに対する性能面の遅れや信頼性の問題に直面してきた。

    折原慎太郎も、依然としてトップのPUメーカーとの差が残っていることを認める。

    「主要なライバルに対して、まだいくらか不利な部分があります。ただ、ハンガリーではアストンマーティンが大きなアップデートを投入し、中団に戻ることができました」

    そこで重要になるのが、わずかなラップタイムの改善だ。

    「中団では50ミリ秒や100ミリ秒が順位を上げるうえで非常に重要になります。今回のアップデートによって、そのようなラップタイムの改善をもたらすことができると考えています」

    つまりホンダが新PUに期待しているのは、一気にトップ勢へ追いつくほどの飛躍ではなく、0.05~0.1秒単位の改善を積み重ね、接戦の中団でアストンマーティンを押し上げることだ。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    バッテリーは変更せず 内燃エンジンを改良
    今回のアップデートでは、バッテリーや発電システムそのものには変更が加えられていない。一方で、内燃エンジンの性能向上は電気エネルギーのデプロイにも間接的な効果をもたらす。

    「バッテリーや発電システムについては何も変更していません。ただ、エンジン性能を向上させることはパワーデプロイにも役立ちます」

    「ですから、新しいエンジンスペックによって私たちのパワーデプロイがどのように機能するのか確認していきます」

    2026年F1のPUでは内燃エンジンと電動システムをどのように組み合わせ、限られたエネルギーをラップ全体で効率的に使用するかが重要な性能要素となっている。そのため、内燃エンジン側の効率改善は電動側の使い方にも影響を与えることになる。

    信頼性と性能「内部目標を達成」
    ホンダは新PUの投入時期を急がず、性能向上と同時にシーズン前半に経験した信頼性上の問題を解消することを重視してきた。

    折原慎太郎によれば、実車へ搭載する前にベンチ上で十分な検証を行い、必要な信頼性を確認したという。

    「このエンジンについては、求めていた性能を見つけるところまで持っていくために多くの時間をかけました。同時に、信頼性の問題も解決してきました」

    「このエンジンを投入する前に、ベンチ上で信頼性を実証しています。ですから、信頼性と性能の両方について、私たちの内部目標を達成できたと考えています」

    オランダGPは2027年へ向けた重要な検証
    ザントフォールトでの実戦投入は、単に2026年シーズン後半の競争力を高めるだけのアップデートではない。ホンダにとっては、今後のPU開発の方向性そのものを確認する意味も持っている。

    「今回のイベントについて重要なのは、私たちの開発ロードマップの一部だということです」

    「実際のコースで私たちの方向性が正しいことを確認できれば、正しい方向に開発を進められているという自信につながります」

    ハンガロリンクでは、新PUがAMR26Bとの組み合わせで想定どおりに作動することを確認し、ドライバビリティについても新たなデータを得た。さらにベンチ上で信頼性と性能の内部目標をクリアしたというホンダ。次の段階は、レースウイークという厳しい環境でその成果を証明することになる。

    アストンマーティンがAMR26Bのアップデートで中団へと前進したなか、ホンダの新PUが50~100ミリ秒という接戦を左右する差を生み出せるのか。ザントフォールトで行われるオランダGPは、2026年後半戦だけでなく、ホンダの今後のF1開発ロードマップを占う重要な実戦テストとなる。

  • アストンマーティンF1 AMR26開発4カ月遅れ ニューウェイが明かす風洞投入の誤算

    アストンマーティンF1 AMR26開発4カ月遅れ ニューウェイが明かす風洞投入の誤算

    アストンマーティンF1のチーム代表エイドリアン・ニューウェイが、2026年型マシン「AMR26」の風洞開発開始がライバルより大幅に遅れた理由を説明した。ニューウェイの加入時期が原因との見方を否定し、チームが新しい自社風洞の稼働を待つことを選択した結果だったと明かしている。

    2026年の新テクニカルレギュレーションに向け、各F1チームは2025年1月から新車の空力開発を開始することが認められていた。

    しかし、アストンマーティンがAMR26のモデルを風洞に投入したのは4月中旬。ニューウェイによれば、この出遅れによって研究・設計期間は極めて圧縮されたという。

    AMR26はライバルより約4カ月遅れて風洞へ
    アストンマーティンの2026年シーズンは、開幕前から厳しい状況に置かれていた。

    バルセロナで行われたプレシーズンのシェイクダウンでは序盤の大半を走ることができず、AMR26が初めてコースに姿を現したのは走行期間の終了間際だった。ランス・ストロールが最初にステアリングを握り、最終日にフェルナンド・アロンソが走行を引き継いだ。

    ニューウェイは以前、その背景としてAMR26の風洞開発開始が大幅に遅れていたことを明かしている。

    「実際のところ、2026年型マシンのモデルを風洞に入れられたのは4月中旬だった」

    「一方で、ほとんどすべてとは言わないまでも、大半のライバルは前年1月初めに2026年向けの空力テスト禁止期間が終了した瞬間から、風洞にモデルを入れていただろう」

    「そのため、我々は約4カ月遅れた状態になった。それによって研究と設計のサイクルが非常に、非常に圧縮されることになった」

    AMR26は完成後も複数の問題を抱えた。シャシーは重量超過となり、ダウンフォースも不足。さらにホンダ製パワーユニットから発生する振動の問題も重なり、アストンマーティンはシーズン序盤から苦戦を強いられた。

    ニューウェイ加入待ちではなかった
    風洞投入が遅れた理由については、ニューウェイがアストンマーティンで正式に仕事を始めたのが2025年3月だったことから、「ニューウェイの加入を待っていたのではないか」との見方もあった。

    しかし、ニューウェイはこれを否定した。自身がファクトリーに初出勤した時点でも、そもそも風洞に投入できるAMR26のモデルは完成していなかったという。

    「実際のタイムラインとしては、作業を始められるモデルがまだ準備できていなかった」

    そのうえでアストンマーティンは、従来使用していたメルセデスのブラックリーの風洞で短期間だけ開発を始めるのではなく、新設した自社風洞の稼働開始を待つという判断を下した。

    「同時に、正しかったか間違っていたかは別として、我々は自社の風洞が稼働するまで2週間ほど待つという決断をした」

    「ブラックリーで非常に短い期間だけ作業を始めて、その直後にまた移動するよりも、その方がいいと判断した。それが当時のタイムラインだった」

    つまり、AMR26の風洞開発の遅れはニューウェイの加入を待った結果ではなく、モデルそのものの準備の遅れに加え、新しい自社風洞への移行時期が重なったことによるものだった。

    ニューウェイは、特定のひとつの出来事だけが原因だったわけではないとも説明する。

    「ただ、大きな積み重ねだったと思う。そういう意味では、すべてが後手に回っていた。できることをやって、前に進むしかない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ハンガリーGPでAMR26Bを投入
    苦しいシーズン序盤を経て、アストンマーティンは第11戦ハンガリーGPで大規模アップデートを実施。ニューウェイの指揮のもと、16項目の新パーツを盛り込んだBスペック仕様のAMR26Bを投入した。

    フェルナンド・アロンソは予選で今季最高の16番手を獲得し、決勝では14位。チームメイトのランス・ストロールは13位でフィニッシュした。

    まだポイント獲得には届かなかったものの、ニューウェイは今回のアップデートが2026年シーズンの悪循環から抜け出すきっかけになることを期待している。

    「そう願っている」

    「最初の数戦は完全な悪夢だった。その通りだ。これから少なくとも1ポイントを獲得して、ある程度の体裁を取り戻せればと思っている。それが当面の目標だ」

    「そこから、さらに前進し続けられるようにしたい」

    オランダGPではホンダも新スペックPU投入
    サマーブレイク明けの第12戦オランダGPでは、アストンマーティンにもうひとつ重要なアップデートが加わる。ホンダが改良型パワーユニットを投入する予定となっている。

    新スペックについては一部で「50馬力向上」との情報も伝えられているが、ホンダのチーフエンジニアを務める折原慎太郎は、その数字について慎重な見方を示している。

    「その数字があればいいなとは思いますが、かなり大きな数字です」

    「パワーの詳細については説明できませんが、私の感覚では、いや、それが実際の数字ではないと思います」

    2026年型マシンの開発開始で大きく出遅れ、その影響をシーズン序盤まで引きずったアストンマーティン。AMR26Bによるシャシー側の改善に加え、オランダGPからはホンダの新スペックPUも投入される。まずは今季初ポイントを獲得して「体裁を取り戻す」というニューウェイの目標に向け、後半戦でどこまで巻き返せるかが焦点となる。

  • ホンダF1新スペックPU 30馬力増に届かず? 初テストで期待下回ったとの報道

    ホンダF1新スペックPU 30馬力増に届かず? 初テストで期待下回ったとの報道

    アストンマーティンとホンダが2026年F1シーズン後半戦の巻き返しに向けて投入する新スペック・パワーユニット(PU)は、ハンガロリンクで行われた初テストで明確な前進を確認した一方、当初期待されていた性能向上には届かなかったと報じられている。

    新PUは今週末のF1オランダGPで実戦投入される予定だ。アストンマーティンはハンガリーGPで大幅改良型シャシー「AMR26B」を投入し、マシン側では大きな改善を果たした。

    次に焦点となるのは、シーズン前半から大きな課題となってきたホンダPUがどこまで差を縮められるかだ。

    ホンダが狙った「30馬力増」 初期テストでは届かず
    イタリア版『Motorsport.com』の情報として伝えられたところによれば、ホンダは新スペックPUによって約30馬力の出力向上を目標としていた。

    しかし、7月にハンガロリンクで非公開に行われたテストでは、得られた数値がその目標を「大幅に下回った」という。

    それでも、従来仕様と比較すれば明確な「ステップアップ」は確認されているとされる。問題は、その改善幅がアストンマーティン側が期待するラップタイム約0.5秒の短縮につながる水準に達しているかどうかだ。

    今回のアップデートは内燃機関(ICE)が中心となる。燃焼効率やフリクション、ターボ周辺などの改善に重点が置かれる一方、電気系についても改良が盛り込まれる。

    ハンガリーでのテストは実戦投入前にデータを収集する重要な機会となったが、新PUの能力を最大限に引き出すには、複数のグランプリを通じたセッティングと制御の最適化が必要になる可能性がある。

    AMR26Bとは異なり「即効性」は限定的か
    アストンマーティンはハンガリーGPでAMR26Bを投入し、従来型から推定約1.8秒という大幅なラップタイム改善を果たした。

    シャシー側のアップデートが投入直後から効果を示したのに対し、PUについては事情が異なる。ICEそのものの性能だけでなく、エネルギーマネジメントやドライバビリティ、冷却、車体との統合などを最適化する必要があり、性能を完全に引き出すまでには時間を要する。

    その意味で、オランダGPは新スペックPUの完成形を評価する場というより、ホンダにとって実戦環境での「回復フェーズ」を本格的に開始する週末になる。

    さらにフェルナンド・アロンソとランス・ストロールにはPU交換によるグリッド降格ペナルティを受ける可能性もあり、その場合、ザントフォールトでの週末は結果以上に新PUのデータ収集を優先する意味合いが強まる。

    後方グリッドからのスタートとなれば、雨などによる波乱がない限りポイント獲得のハードルは高くなる。

    ホンダにはライバル以上の開発機会
    ホンダが抱える課題の大きさは、FIAの追加開発機会にも表れている。

    2026年F1パワーユニット規則では、基準となるICE性能から一定以上遅れているメーカーに対して、追加の開発機会を認めるADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)が設けられている。

    ホンダはベンチマークとされるレッドブル・フォードのICEに対して10%以上の差があると評価され、追加で約1100万ドルの開発費と230時間のベンチテストが認められているとされる。

    これはホンダにとって大きなアドバンテージである一方、ライバルが開発を停止するわけではない。

    フェラーリとアウディにも2026年と2027年にそれぞれ複数回のアップデート機会があり、メルセデスにもシーズンごとの開発枠が与えられている。そのため、ホンダが追いかけている目標そのものも動き続けることになる。

    ただし、現在の性能差が大きいからこそ、ホンダにはライバルよりも大きな改善余地が残されているとも言える。

    ホンダF1

    ニューウェイの指摘と重なるホンダの出遅れ
    ホンダが2026年シーズン序盤から苦戦している背景には、新レギュレーションへの準備期間の不足もある。

    ホンダは一度F1から撤退する方針を決め、その後に2026年からアストンマーティンと組んで正式復帰することを決断した。そのため、新規則PUの開発開始時点でメルセデスやフェラーリなどに対して遅れを取った。

    さらに、アストンマーティンのチーム代表兼マネージングテクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイはシーズン序盤、ホンダ側にF1経験の少ない人材が配置されていたことも課題のひとつだったと指摘していた。

    ホンダ側もその後、F1プロジェクトに十分な経験を持たないスタッフがいたことを認めており、現在は開発体制そのものを含めて立て直しを進めている。

    過去を振り返れば、ホンダが2015年にマクラーレンとF1へ復帰してから、レッドブルとともに勝利を争えるPUを完成させるまでには数年を要した。

    ただし今回は追加開発制度が存在し、アストンマーティンとのワークス体制も構築されている。前回と条件は大きく異なる。

    ハンガリーで確認された数値が当初の30馬力という目標を大幅に下回ったとしても、重要なのは新スペックが従来型から明確な前進を果たしている点だ。

    ザントフォールトで投入される新PUがどこまで実戦で性能を発揮できるのか。そしてホンダが追加開発枠を生かし、シーズン後半にどこまでトップメーカーとの差を縮められるのか。AMR26Bで改善の兆しを見せたアストンマーティンにとって、次の焦点はホンダ側の開発スピードとなる。

    【関連】
    ・ホンダF1 新スペックPUをオランダGP投入「最大の弱点はパワー性能」

  • ホンダF1 新スペックPUをオランダGP投入「最大の弱点はパワー性能」

    ホンダF1 新スペックPUをオランダGP投入「最大の弱点はパワー性能」

    ホンダは、2026年F1第12戦オランダGPで待望の新スペック・パワーユニット(PU)を投入する。アストンマーティンとの新たなワークス体制で苦しいシーズン前半を過ごしたホンダにとって、競争力を引き上げるための重要なアップデートとなる。

    ホンダF1のトラックサイド兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、新スペックPUで最優先したのは明確に「パワー性能」だと説明した。

    そのうえで、燃焼特性の変化に合わせてドライバビリティを再構築し、実戦を通じてさらに仕上げていく方針を明らかにしている。

    ホンダが新スペックPUで最優先した「パワー性能」
    ホンダとアストンマーティンは、2026年から新たなワークスパートナーシップを開始したが、シーズン前半は期待通りの結果を残せていない。

    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでAMR26Bに大規模なアップデートを投入し、マシンの競争力に改善の兆しを見せた。次に注目されるのが、オランダGPで実戦投入されるホンダの新スペックPUだ。

    折原伸太郎はRacingNews365の独占インタビューで、これまでのPUで最大の弱点となっていた部分を率直に説明した。

    「我々の最大の弱点はパワー性能です。そのため、新しいエンジンではエンジン性能の向上に重点を置きました」

    新スペックでは、まず純粋な出力性能を高めることを最優先している。

    「新スペックのエンジンでは、純粋にエンジン性能を向上させることに集中しました。そして、燃焼特性をベースにドライバビリティを作り上げています」

    2026年のF1パワーユニットは、内燃機関だけでなく電動側とのエネルギーマネジメントもラップタイムを左右する。そのなかでホンダは、まず根本的なパワー不足への対応を優先した形だ。

    従来型PUで得た知見を新スペックへ移行
    新スペックPUは燃焼特性そのものが変化するため、単純に従来型のセッティングを引き継げるわけではない。それでも、シーズン前半に蓄積したデータや経験は大きな財産になると折原伸太郎は説明する。

    「このスペックのエンジンから多くのことを学びました。その知識の一部は新しいエンジンにも移すことができます」

    「ただ、新しいエンジンには新しい燃焼特性があります。そのため、ドライバビリティのクオリティをもう一度作り上げていく必要がありますが、すでに多くのことを学んでいます」

    「ゼロからスタートするわけではありません。最初に重点を置くのはパフォーマンスで、その後、イベントを通じてドライバビリティを継続的に改善していきます」

    つまり、オランダGPに持ち込まれる仕様が完成形というわけではない。まずパワー向上を実現し、その新たな燃焼特性に合わせてサーキット上で細かな制御を最適化していくことになる。

    ホンダF1 F1 オランダGP

    アロンソとストロールのフィードバックも開発に反映
    ホンダにとってもうひとつ重要なのが、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールから得られるフィードバックだ。

    アストンマーティンは今季ここまで厳しい戦いを強いられており、ドライバーからはマシンとPUの双方について改善要求が寄せられてきた。ホンダは、その要求すべてに個別対応するのではなく、根本的な性能向上とのバランスを取る必要があると考えている。

    「ドライバーからの要求や不満にどう対応するのか、そして我々の開発プログラムをどこに集中させるのか、その妥協点を見つけることが重要です」

    折原伸太郎は、ファクトリーとサーキットで担う役割にも違いがあると説明する。

    「繰り返しになりますが、我々の主な弱点はパフォーマンスです。そのため、ファクトリー側ではエンジン性能の開発に集中しています。一方、トラックサイドでは、ドライバーからの要求に合わせてドライバビリティやエネルギーマネジメントを改善するためにパラメーターを調整できます」

    サーキットで確認された問題は、ファクトリー側にもフィードバックされ、将来的な開発へとつなげられる。

    「ファクトリー側ともコミュニケーションを取っています。ドライバーがラップタイムを見つけるうえで重要な項目があれば、ファクトリーがその問題を解決するために対応します。そうやって妥協点を見つけていきます」

    オランダGPは新スペックPUの重要な実戦評価
    ホンダの新スペックPUは、単なる出力向上だけでなく、燃焼特性の変更に伴うドライバビリティやエネルギーマネジメントの再構築も伴う。

    そのため、ザントフォールトでのオランダGPは、新スペックの純粋な性能を確認すると同時に、アロンソとストロールのフィードバックを受けながら制御面を最適化していく重要な実戦評価の場となる。

    ハンガリーGPでシャシー側に大規模な改良を投入したアストンマーティンに続き、今度はホンダがPU側から競争力向上を狙う。シーズン後半に向けて巻き返しを図る両者にとって、オランダGPで新スペックPUがどこまで弱点だったパワー性能を改善できるかが大きな焦点となる。

  • ホンダF1 人材面の課題を認める「昨年末はF1に十分なレベルではなかった」

    ホンダF1 人材面の課題を認める「昨年末はF1に十分なレベルではなかった」

    ホンダF1は、アストンマーティンとの新たなワークス体制に向けた準備段階で、人材面にも課題を抱えていたことを認めた。ホンダ・レーシング(HRC)の折原慎太郎は、2025年末の時点では組織全体として「F1に対応するには十分なレベルではなかった可能性がある」と振り返っている。

    これは、アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイが2026年シーズン序盤に指摘していた問題とも重なる。

    レッドブルとのF1活動を終えた後、ホンダでは多くの技術者が別プロジェクトへ移っており、新たなF1プロジェクトの立ち上げでは経験の浅いスタッフを含めた組織の再構築が必要になっていた。

    ニューウェイが指摘していたホンダF1の人材問題
    アストンマーティンとホンダは2026年からワークスパートナーとしてF1に参戦しているが、新しいパワーユニット(PU)の開発は決して順調ではなかった。

    ニューウェイは3月のオーストラリアGPで、ホンダの準備状況について厳しい現実を明かしていた。

    「我々がそれに気づいたのは昨年11月になってからだった。ローレンス、アンディ・コーウェル、私の3人で東京へ行った。開幕戦までに当初の目標としていた出力に届かないのではないかという話が出始めていたからだ」

    ニューウェイによれば、その過程でホンダがF1活動を再始動した際、以前のプロジェクトを支えていたスタッフの多くが戻っていないことも分かったという。

    「元々いたメンバーの多くが、再始動した際に戻っていなかった。彼らはソーラーパネルか何か、そういった別の仕事をしていた」

    レッドブルと組んでいた時代にF1の最前線を経験した人材が、そのまま新プロジェクトへ再集結したわけではなかった。

    折原慎太郎「スタッフは常にプロジェクト間を行き来する」
    折原慎太郎も、ニューウェイの指摘には事実に即した部分があったことを認めている。

    「ホンダは非常に独特な会社です。そのため、人材はロードカーのプロジェクトとF1プロジェクトの間を、いわば常に行き来しています」

    ホンダではモータースポーツだけに人材を固定するのではなく、F1で培った技術や経験を市販車開発へ還元し、その一方で別部門で経験を積んだエンジニアをF1へ投入するという人材交流が行われている。

    「昨年は多くのスタッフがいました。新人というわけではなく、非常に優秀な人材です。ロードカーのプロジェクトから来た人もいれば、レッドブルとのプロジェクトで働いていた人もいました」

    「私たちはF1プロジェクトを通じて常に人材を育成し、ホンダ全体の知識を高めようとしています」

    つまり、問題はエンジニア個々の能力そのものではなく、F1特有の開発環境や仕事の進め方を経験している人材が十分ではなかったことにあった。

    「F1に対応するには十分ではなかった」
    折原慎太郎は、2025年末の段階では組織としてF1に必要なレベルへ完全には到達していなかったとの認識を示している。

    「おそらく昨年末の時点では、人材育成という意味での全体的なレベルが、F1に対応するには十分ではなかったと思います」

    その弱点が表面化したのが、2026年シーズン開幕前の冬季テストだった。

    アストンマーティンとホンダはバーレーンやバルセロナで厳しい問題に直面し、新しいPUと車体を組み合わせた実戦環境の中で、多くの課題への対応を迫られた。

    だが折原慎太郎は、その苦しい期間そのものがエンジニアの成長につながったと考えている。

    「冬季テストではかなり厳しい時期もありました。ただ、その経験によってスタッフは成長できたと思います。F1で仕事をするために何が必要なのか、多くのことを学びました」

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    技術力ではなく「F1でどう働くか」の経験
    折原慎太郎が強調するのは、投入されたスタッフに技術的な能力が欠けていたわけではないという点だ。

    「彼らにはすでに十分な知識と高いレベルのスキルがありました。そのうえで、F1ではどのように仕事をしなければならないのかという経験を身につけました」

    F1では短期間で問題を分析し、設計、製造、実車確認までを高速で繰り返す必要がある。さらにPUメーカーには、単体性能だけでなく、シャシー側との統合やエネルギーマネジメント、ドライバビリティ、信頼性などを同時に成立させることが求められる。

    市販車開発で高い能力を持つエンジニアであっても、このF1特有の開発サイクルに適応するには実戦経験が必要になる。

    冬季テストで発生した問題への対応は、ホンダにとってPUそのものを改善するだけでなく、組織をF1仕様へ鍛え直す期間にもなった。

    冬季テストを経て「大きく進歩した」
    その経験を積んだことで、現在のホンダF1プロジェクトは数カ月前とは異なる状態にあると折原慎太郎は語る。

    「新しく加わったスタッフも、冬季テストを通じてそうした経験を積むことができました。それ以降、人材育成という面でもかなり進歩したと思っています」

    「現在は、強力なパワーユニットを開発すること、そして優れたエネルギーマネジメントを構築することの両方において、良いポジションにいると自信を持っています」

    2026年F1ではPU性能だけでなく、電気エネルギーをどこで回生し、どこで放出するかというエネルギーマネジメントも競争力を大きく左右する。そのため、ハードウェアの改良と並行して制御面を成熟させることも重要な開発テーマとなる。

    ザントフォールトで新スペックPU投入へ
    ホンダは今週末のオランダGPで新スペックPUを投入する予定であり、アストンマーティン側もAMR26に追加の空力アップデートを持ち込む。

    シーズン序盤にはPUの性能と信頼性、車体との統合など複数の問題に苦しんだアストンマーティンとホンダだが、開発を進めるだけでなく、その過程でF1経験の少なかったスタッフも実戦のノウハウを蓄積してきた。

    ニューウェイがシーズン序盤に指摘した人材面の問題をホンダ側も認めた形だが、折原慎太郎の説明から浮かび上がるのは、単純な「人材不足」というよりも、F1特有の開発スピードと仕事の進め方に組織全体を適応させる必要があったという実情だ。

    新スペックPUとAMR26のアップデートが投入されるザントフォールトは、その数カ月にわたる技術開発と組織強化が、実際の競争力としてどこまで成果を生み始めたのかを測る重要な週末となる。