レーシングブルズCEOのピーター・バイエルが、2026年F1オランダGPで急きょ実戦復帰を果たした角田裕毅について語った。
約8カ月ぶりのF1実戦、しかも2026年型マシンを初めてサーキットで走らせる難しい状況の角田裕毅に対し、レーシングブルズはプレッシャーをできる限り軽減する方針を取っている。
アイザック・ハジャーの手首負傷によってリアム・ローソンがレッドブル・レーシングへ移り、その穴を埋める形でレーシングブルズから出場することになった角田裕毅。バイエルによれば、チームがハジャーの負傷を把握したのは前週後半で、火曜日にオランダGPでのドライバー体制が正式に決まったという。
ギリシャから呼び戻された角田裕毅
「先週後半に負傷のことを知った。その後、当然ながら電話が鳴り始めて、何本か話をした。そして火曜日に、この週末をどの体制で戦うか決定した」とバイエルは説明した。
「こういうことが起きるのはもちろん望んでいないけれど、ひとたび起きれば何をすべきかは分かっている。ある意味、チェックリストに従って進めるようなものだ」
そのなかで最も大きな変更を強いられたのが、角田裕毅の予定だった。
「一番大きく変わったのは裕毅の旅行計画だった。ギリシャから戻してシミュレーターに乗せ、できる限り最大限のサポートを提供した」
角田裕毅は休暇先から急きょ呼び戻され、シミュレーターで準備したうえでザントフォールトへ向かった。
「彼にとってはホームカミング」
角田裕毅は2026年型F1マシンを実戦で走らせた経験がなく、しかもスプリント週末のため走行時間も限られている。
それでもバイエルは、レーシングブルズへの復帰にはプラス材料もあると考えている。
「確かにその通りだ。ただ一方で、裕毅にとっては少しホームカミングのようなものでもある」
「彼はチームを知っているし、メカニックたちのことも知っている。ガレージのことも分かっている。そしてフィットネスも維持してきた。正直に言って、フィジカル面でもメンタル面でも非常によく準備できている」
角田裕毅は実戦から離れている間も旧型車テストのTPCに参加しており、完全にF1マシンから離れていたわけではない。
スプリント週末を逆に利用
一般的には準備時間が短くなるスプリント週末だが、バイエルは角田裕毅に対して、それを逆に利用するよう助言したという。
「昨夜、彼にはこう話した。『スプリント週末は普通、とても忙しくて慌ただしい。でも君にとっては、むしろアドバンテージになるかもしれない』とね」
「『土曜日と日曜日のセッションに集中すればいい。フリー走行があって、予選シミュレーションがあって、何周かレースも走れる。それによって正しいマインドセットに入り、マシンにも慣れていける』と伝えた」
そしてバイエルは、角田裕毅が最初の走行から堅実な仕事をしたと評価した。
「FP1では非常に堅実な仕事をしてくれた」

メディア対応も最小限に
角田裕毅には急なF1復帰による注目が集まっているが、レーシングブルズは不要な負担を減らすための対応も取っている。
「レーシングドライバーはみんなF1マシンに乗ることを切望しているし、子どもの頃からプレッシャーへの対処を学んでいる。だから、その点についてはそれほど心配していない」
「我々としては、すでに週末から少しプレッシャーを取り除いている。『メインの予選と決勝に集中して、それ以外はFP1、FP2、FP3のようなものだと思えばいい』と伝えている」
チームはメディアやプロモーション面での仕事も削減している。
「コミュニケーションチームは、その他の義務を本当に必要最小限にしようとしている。ソーシャルメディアチームにも、30分ではなく10分で受け入れてもらった」
「プレッシャーより大きなチャンス」
バイエルは今回の復帰を、角田裕毅にとって重圧ではなく、自らの価値を示すための機会として捉えている。
「僕としては、彼にはプレッシャーよりも大きなチャンスを見てほしい」
「彼はF1にいたいと思っているし、自分にできることを世界に示したいと思っている」
さらに、レーシングブルズのマシンにはポイントを争うだけの力があるとして、決勝での結果にも期待を寄せた。
「正直に言えば、このまま積み上げていければ、彼にはポイント圏を走れるマシンがある」
「それが可能かどうかは、日曜日に分かるだろう」
急きょギリシャから呼び戻され、限られた準備でF1へ復帰した角田裕毅。レーシングブルズは結果を急がせるのではなく、セッションごとに2026年型マシンへの理解を深めさせながら、予選と決勝で本来の力を発揮できる環境を整えている。
