カテゴリー: F1オランダGP

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • F1が今後のスタート手順を検証へ オランダGPでフェルスタッペンらスピン相次ぐ

    F1が今後のスタート手順を検証へ オランダGPでフェルスタッペンらスピン相次ぐ

    F1は、難しい路面コンディションで混乱が生じたオランダGPを受け、今後のレースにおけるスタート手順を検証する。ピエール・ガスリーは、セーフティカー先導を採用するのであれば、スタート前にもう1周走るべきだったとの考えを示した。

    ザントフォールトでは決勝1周目から波乱が相次いだ。マックス・フェルスタッペンは最終コーナーの濡れた部分でマシンのコントロールを失い、アウト側のコンクリートウォールにクラッシュ。

    同じオープニングラップでは、アウディのガブリエル・ボルトレトも360度スピンを喫した。

    セーフティカー先導1周からスタンディングスタート
    コースの大部分はドライだった一方、バンク角のついた最終コーナーには濡れた部分が残り、バンク下側には水も残っていた。

    こうしたコンディションを受け、通常のフォーメーションラップではなく、セーフティカーが隊列を先導。その後、各マシンはグリッドに並び、通常のスタンディングスタートでレースが開始された。

    難しいコンディションの場合、FIAのレースディレクターはローリングスタートを選択できるほか、セーフティカー先導で追加の周回を行ったうえで、スタンディングスタートまたはローリングスタートを実施することもできる。その場合、追加された周回はレースの総周回数から差し引かれる。

    ガスリーは今回の手順について、セーフティカー先導を1周だけ行ってスタンディングスタートとするのであれば、通常のフォーメーションラップの方がよかったと振り返った。

    「セーフティカーの後ろを1周して、それからスタンディングスタートというやり方なら、僕としては普通にアウトラップをした方がよかった。そうすれば、もう少し速いペースで走れたからね」

    「セーフティカーと一緒に、少なくとも一度はバンクのある最終コーナーを通ってから通常のレーススタートをすることが目的だと思っていた」

    最終コーナーには濡れた部分が残っていたものの、ガスリーはタイヤ選択そのものが変わるほどのコンディションではなかったと説明する。

    「確かに濡れていた。でも、僕たちはそれでもスリックタイヤを履いていただろうし、タイヤ選択が大きく変わったとは思わない。だから、残念ながらコンディションとタイヤ選択の問題だった」

    ピエール・ガスリー

    今後に向けドライバーのフィードバックを検証
    ガスリーによれば、今回のスタートについてドライバーから寄せられたフィードバックを確認し、今後のレースに向けて検証が行われる。

    「次のレースに向けて、ドライバーからどんなフィードバックがあったのかを検証することになる。でも僕としては、セーフティカーを使わずにフォーメーションラップを1周だけ行うか、セーフティカーを使うなら少なくとも追加でもう1周走らせるか、そのどちらかだったと思う」

    トップ10圏内からスタートしたガスリーは、1周目にフェルスタッペンがコントロールを失った際、そのすぐ近くを走っていた。

    「そこが一番濡れているコーナーだった。ターン13を立ち上がるだけでもものすごく難しかったし、マックスは濡れた部分でマシンが大きくスナップして、それを立て直すことができなかった」

    フェルスタッペンだけでなくボルトレトもスピンするなど、オランダGPではスタート直後から複数のドライバーが部分的に濡れた路面に翻弄された。今回のケースとドライバーからの意見を踏まえ、同様のコンディションでセーフティカーを使用する場合の周回数を含め、今後のF1におけるスタート手順が検証されることになる。

  • マルク・マルケス アイザック・ハジャーにF1欠場助言「悪化させれば人生が変わる」

    マルク・マルケス アイザック・ハジャーにF1欠場助言「悪化させれば人生が変わる」

    MotoGP王者のマルク・マルケスが、負傷によってF1オランダGPを欠場したレッドブル・レーシングのアイザック・ハジャーから相談を受け、レース出場を無理に強行しないよう助言していたことを明かした。

    ハジャーはトレーニングの一環として行っていたボクシングで手首を負傷。小さな骨折が判明し、ザントフォールトでのオランダGPを欠場した。

    自身も度重なる大けがと長期離脱を経験してきたマルケスは、「1レースを欠場しても人生は変わらない。でも、早く復帰してけがを悪化させれば人生が変わる」と伝えたという。

    ハジャーがマルケスに相談 負傷したままF1出場すべきか
    ハジャーはオランダGPを前に手首を負傷したものの、当初はレース出場の可能性を探っていた。

    しかし、ザントフォールトの週末にはフランスメディアが、ハジャーが最終的な判断を下す前にマルケスへ助言を求めたと報じていた。

    マルケスは8月27日、MotoGPアラゴンGPを前にMotoGP公式サイトの取材に応じ、実際にハジャーから連絡があったことを認めた。

    「ハジャーから連絡が来た」

    「もちろん僕は医者ではない。でも、アドバイスが欲しかったんだ。ライダーにとって、今回はドライバーだけど、こういう判断はものすごく難しい。自分では『もしかしたらいけるかもしれない』と感じることがあるからね」

    「でも、『分かった。このレースは欠場して、次のレースに向けてもっといい状態を作ろう』と受け入れるのは難しい」

    ハジャーは最終的にオランダGPからの欠場を決断。代役としてリアム・ローソンがレッドブルに乗り、レーシングブルズでは角田裕毅がF1復帰を果たした。

    「1レース欠場しても人生は変わらない」自身の経験から警告
    マルケスの言葉に重みがあるのは、自身が負傷を抱えたまま早期復帰を試み、その後長期間にわたって苦しんだ経験を持つからだ。

    マルケスは2020年のMotoGPスペインGPで右上腕骨を骨折。当初は早期復帰を目指したものの、その後状態が悪化し、最終的には約2年間で右腕に4度の大きな手術を受けることになった。

    2020年シーズンは事実上すべてのレースを欠場。競技人生そのものを左右する大けがとなった。

    マルケスは、その経験こそがハジャーに伝えたかった最大の教訓だったと説明する。

    「僕が言ったのはそれだけだ。過去の経験から学んだ。1レースを欠場したからといって、人生が変わることはない」

    「でも、早すぎる段階で走って、けがを悪化させてしまえば、人生が変わる可能性がある」

    「僕自身、ヘレスで負傷してから人生は大きく変わった。だから、その経験からアイザックにアドバイスしようとしただけだ」

    アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)

    ハジャーの決断を支持「長いキャリアが待っている」
    マルケスは、オランダGPを欠場したハジャーの判断について「正しかった」と評価した。

    「彼は正しい決断をしたと思う。彼にはこれから長いキャリアが待っているからね」

    ハジャーは手首に小さな骨折を負ったものの、現時点では次戦イタリアGPでの復帰が見込まれている。

    1戦の出場を優先するのではなく、完全な回復に近づけてから復帰する。その判断を後押ししたのが、負傷によって競技人生を大きく変えられた経験を持つマルケスだった。

    マルケスは近年、自身の負傷経験を生かして他のライダーにも助言を送っており、2025年に相次ぐ負傷に苦しんだホルヘ・マルティンにも同様に自身の経験を伝えている。

    F1とMotoGPというカテゴリーの違いはあっても、トップレベルの選手がけがを抱えながら競技復帰を判断する難しさは共通する。ハジャーにとって今回の欠場は苦しい決断だったが、マルケスは自身のキャリアを通じて得た教訓から、将来を優先する選択を強く勧めた。

  • F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    2026年F1第12戦オランダGPを受け、Formula 1公式サイトが恒例の「パワーランキング」を発表した。ザントフォールトで最も高い評価を受けたのは、ポールポジションから決勝を制したマクラーレンのランド・ノリスだった。

    フェルナンド・アロンソが2位、キミ・アントネッリが3位に続き、半年ぶりにF1実戦へ復帰した角田裕毅もトップ10入り。マシンの競争力そのものではなく、週末を通したドライバー個人のパフォーマンスを評価する5人の審査員から高い評価を得た。

    F1パワーランキングの評価方法
    F1公式のパワーランキングでは、5人の審査員が各グランプリ終了後、週末を通した各ドライバーのパフォーマンスを10点満点で評価する。

    評価にあたってはマシンの性能差を考慮から外し、純粋にドライバーがどれだけのパフォーマンスを発揮したかを判断する。5人の採点を平均したものが各グランプリのスコアとなり、その評価はシーズンを通した総合パワーランキングにも反映される。

    1位:ランド・ノリス(マクラーレン)
    オランダで素晴らしいフォームを見せたのがランド・ノリスだった。

    スプリントでは2番グリッドからスタートして3位でフィニッシュ。そして予選では圧巻のラップをまとめてポールポジションを獲得すると、インシデントと戦略が入り交じった決勝でも、そのポールを最終的に勝利へと結びつけた。

    これでノリスはサマーブレイク直前のハンガリーGPに続いて2連勝。現F1ワールドチャンピオンの走りにはマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラからも多くの称賛が寄せられ、パワーランキングの審査員からも高得点を獲得した。スコアは9.6で今回のトップとなった。

    2位:フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)
    ザントフォールトではアストンマーティンがさらなるマシンアップデートを投入し、ホンダも新しいパワーユニットを導入した。後者にはドライバビリティ面で問題が残っていたものの、フェルナンド・アロンソはパッケージから引き出せるものをほぼすべて引き出したように見えた。

    予選ではわずか0.1秒差でQ2進出を逃したが、決勝では巧みな戦略判断にも助けられながら順位を上げていった。

    最終的には9位でチェッカーを受け、アストンマーティンに貴重な2ポイントをもたらした。その走りは、この日のベストドライブのひとつと評される内容だった。審査員からのスコアは8.6となった。

    3位:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    キミ・アントネッリのオランダGP週末は難しい形で始まった。

    スプリント予選ではミスによってマシンを損傷し、スプリントのスターティンググリッドは5番手。それでもスプリントではひとつ順位を上げ、4位でフィニッシュした。

    その後は本来持っていた速さをより明確に示し、予選ではメルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルに次ぐ3番手を獲得した。

    決勝ではそのラッセルとのチーム内対決を制して2位でフィニッシュ。結果としてF1ドライバーズ選手権でのリードをさらに拡大することになった。パワーランキングでは8.2の評価を受けた。

    4位:ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)
    ルイス・ハミルトンはザントフォールトでのスプリント予選とスプリントでは、ともに7位と比較的静かなスタートを切った。この段階ではフェラーリのチームメイト、シャルル・ルクレールから大きく後れを取っていた。

    しかし、通常の予選と決勝では立場を逆転させ、フェラーリ勢ではハミルトンの方が強いパフォーマンスを見せた。

    予選5番手から決勝では表彰台争いに加わるところまで順位を上げた。レース中には戦略判断への不満を示し、さらにルクレールの後方で数周にわたって足止めされる場面もあったが、それでも4位という結果は週末序盤からの力強い巻き返しだった。

    パワーランキングでは8.0を獲得した。

    5位:ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    ニコ・ヒュルケンベルグは2026年シーズン前半の大部分で不運を嘆き、「もしあの出来事がなければ」と考えざるを得ない状況が続いていた。しかし、前戦ハンガリーGPではようやくアウディ加入後初となるポイントを獲得した。

    ザントフォールトのスプリントではパワー関連の問題によってレースを台無しにされたものの、決勝では力強い走りを披露した。

    スタート直後にはスピンしたチームメイトのガブリエル・ボルトレトを非常に素早い反応で回避。その後もレースをまとめ、8位でフィニッシュした。

    これによってヒュルケンベルグはグランプリ決勝で2戦連続のトップ10フィニッシュを達成した。

    6位:リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)
    リアム・ローソンのF1キャリアには、また新たな展開が加わった。

    負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル首脳陣からオランダGPへの出場を任された。奇しくもザントフォールトは、3年前にダニエル・リカルドが手首を負傷したことでローソンがF1デビューを果たした場所でもある。

    急きょレッドブルをドライブすることになった事情もあり、スプリント予選とスプリントでは当然ながらまだ少し余力を残した状態だった。

    しかし通常の予選と決勝ではそれを取り戻した。予選では8番手に入り、4度のF1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのすぐ後ろにつけた。そして決勝では7位まで順位を上げてフィニッシュした。

    急な代役起用だったことを考えれば、レッドブルでしっかり結果を残した週末となった。パワーランキングでは7.8という高い評価を受けている。

    7位:角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    角田裕毅もまた、ハジャーの負傷によって生じたドライバー変更の影響を受けたひとりだった。

    2026年はレッドブルのリザーブドライバーを務めていた角田裕毅だが、レーシングブルズからF1実戦へ復帰することになった。

    半年間レースに出場していなかったことに加え、2026年から導入された新世代F1マシンを実戦で走らせるのも初めてという状況を考えれば、その適応ぶりは称賛に値するものだった。

    角田裕毅は週末を通して着実にマシンへの理解を深め、決勝ではポイント獲得まであと一歩となる11位でフィニッシュ。急きょ決まった代役参戦ながら、ポイントを持ち帰る寸前まで迫るパフォーマンスを披露した。

    8位:ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    ジョージ・ラッセルの週末は、これ以上ないほど素晴らしい形でスタートした。

    スプリント予選でポールポジションを獲得すると、そのままスプリントで優勝。チームメイトのアントネッリが持つF1ドライバーズ選手権のリードを一時的に数ポイント削ることにも成功した。

    一方、その勢いを通常の予選とグランプリ決勝では完全には維持できなかった。

    日曜日の決勝ではノリスとアントネッリに先着を許し、3位でチェッカー。それでもラッセル自身は「かなり久しぶりに自分のベストと言える週末だった」と振り返っており、次戦イタリアGPが行われるモンツァへ向けて多くのポジティブな材料を得た。

    9位:ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
    アップデートされたアルピーヌを走らせたピエール・ガスリーは、スプリントで際立ったドライバーのひとりだった。

    スプリント予選では8番手を確保し、そのポジションをスプリントでも守って8位でフィニッシュした。

    決勝でもガスリー自身とアルピーヌにさらに数ポイントを加えられそうな展開となったものの、レース中盤に順位を落とし、最終的には10位でフィニッシュすることになった。

    それでもガスリーは週末を「ポジティブな一歩」と評価。アルピーヌはF1コンストラクターズ選手権5位のレーシングブルズを追うことを目標としており、ザントフォールトではそのための前進が見られた。

    10位:シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)
    シャルル・ルクレールはスプリント予選とスプリントではフェラーリ勢をリードしていた。

    しかし、通常の予選ではより厳しい展開となり、それが決勝に向けて大きな不利となった。日曜日のレースでは、ほとんど何ひとつルクレールの思い通りに進まなかった。

    レース後、ルクレールはバーチャル・セーフティカーのタイミングにも触れながら「僕たちにはほんの少し運が足りなかった」と振り返った。

    その一方で、結果を決定づけた最大の要因については「今日のレースを失ったのは予選のせいだ」と分析。決勝そのものだけでなく、予選で後手に回ったことが最終的な結果につながったとの考えを示した。

    トップ10入りを逃したドライバー
    今回のF1パワーランキングで惜しくもトップ10入りを逃したのは、レーシングブルズのルーキー、アービッド・リンドブラッドだった。

    リンドブラッドは週末を通して速さを見せ、スプリント予選ではSQ3、通常の予選でもQ3へ進出。しかし、その速さを決勝でのポイント獲得には結びつけることができず、わずかな差でパワーランキングのトップ10圏外となった。

    オランダGPでは勝者ノリスが文句なしの最高評価を獲得した一方、アロンソの追い上げ、急きょレッドブルをドライブしたローソン、そして半年ぶりのF1実戦にもかかわらずポイント目前まで迫った角田裕毅など、純粋な決勝順位だけでは測れないパフォーマンスも高く評価されたランキングとなった。

    2026年のF1世界選手権 オランダグランプリ

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、ドライバビリティ面で残されている具体的な課題を明かした。ダウンシフトに加え、エンジンブレーキの効き方が「コーナーごとに少しランダム」だという。

    さらにアロンソは、ストレートでは依然として大きなタイムを失っていると指摘した。ただし、ホンダに改善のための時間が必要であることも理解しており、「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」とアストンマーティンとホンダへの信頼を強調した。

    「望んでいるところには達していない」
    オランダGP後、Sky Sportsのインタビューで、新PUのドライバビリティについて具体的に何が不足しているのかを問われたアロンソは、ひとつの問題に限定できるものではないと説明した。

    「何かひとつ具体的なことがあるわけではないと思う。全体的に、ドライバビリティという点ではまだ僕たちが望んでいるところには達していない」

    そして、ドライバーが感じている問題としてダウンシフトとエンジンブレーキを挙げた。

    「ダウンシフトだったり、エンジンブレーキの効き方がコーナーごとに少しランダムに感じられたりする。そういったところは、まだ細かく調整していく必要がある」

    ブレーキングからコーナー進入にかけてマシンの姿勢をコントロールするうえで、エンジンブレーキの一貫性は重要になる。現状では、その挙動をさらに安定させることが新PUの最適化における課題のひとつとなっている。

    ストレートでは「まだかなり失っている」
    課題はドライバビリティだけではない。アロンソは絶対的なパワーについても改善が必要だと指摘した。

    「それにパワー不足もあって、ストレートではまだかなり失っている」

    アストンマーティンはシャシー側の進歩によって、コーナーでは以前より競争力を発揮できるようになった。それだけに、次に改善すべき領域がよりはっきりと見えるようになったという。

    「今はコーナーではある程度競争力を持てるようになったから、そこを改善する必要がある」

    オランダGP週末には、新PUのドライバビリティに関する問題がすでに表面化していた。スプリント予選ではアロンソがブレーキング時の意図しないパワーデリバリーについて訴えており、新スペックを車体側と最適化する作業が課題となっている。

    「ホンダにも時間を与える必要がある」
    もっとも、アロンソは問題点を列挙するだけではなく、ホンダとともに解決していく姿勢を強調している。

    「でも、僕たちはすべてを一緒に進めようとしている。ホンダにも、何が問題なのか、どこを直すべきなのかを突き止めるための時間を与える必要がある」

    新スペックの投入によって新たに現れた問題を分析し、どこを修正すればドライバビリティとパフォーマンスを改善できるのか。アロンソは、ホンダ側にもそれを見極める時間が必要だとの認識を示した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」
    そして、ホンダの新PUに残された課題を率直に指摘したアロンソは、最後にプロジェクトへの信頼を明確にした。

    「僕は満足しているし、落ち着いている。シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」

    シルバーストンはアストンマーティンのF1ファクトリー、さくらはホンダ/HRCのF1パワーユニット開発拠点を指す。Sky Sportsでのアロンソの発言として、エンジンブレーキの不安定さとともに、この両拠点への信頼も伝えられている。

    アロンソの発言は、新PUへの単純な批判ではない。ダウンシフト、エンジンブレーキ、ストレートでのパワーという改善すべき領域を明確にしながら、その解決に取り組むシルバーストンとさくらの双方を信頼している。

    シャシーがコーナーで競争力を取り戻しつつあるからこそ、PU側の課題を解消できればアストンマーティンのパッケージ全体をさらに前進させられる。ホンダが新スペックをどこまで早く最適化できるかが、今後の競争力を左右する重要なポイントとなる。

  • ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリスはF1オランダGPで2連勝を飾り、マクラーレンの急速な進歩を印象づけた。しかし、2025年F1王者は自身の好調を額面通りには受け取っていない。

    ドライバーズ選手権首位のキミ・アントネッリとの差は83ポイントまで縮まったものの、現状のMCL40ではシーズンを通じてタイトルを争えるだけの力はないと考えている。

    その最大の理由が低速コーナーでの弱さだ。ハンガリーGPとオランダGPではマクラーレンの大型アップデートが威力を発揮した一方、次戦イタリアGPの舞台モンツァは長いストレートと低速シケインを組み合わせたまったく異なるコース。ノリスだけでなく、チーム代表のアンドレア・ステラもモンツァを今後のタイトル争いを占う重要な試金石と位置づけている。

    2連勝でも「簡単にタイトルを争えるとは言えない」
    ノリスは夏休みを挟んでハンガリーGPとオランダGPを連勝。さらに2戦連続でポールポジションを獲得し、選手権首位アントネッリとの差を83ポイントまで縮めた。

    しかし、ノリス自身は現在の結果だけを見てタイトル争いへの自信を深めているわけではない。

    「『ああ、残りのシーズンは簡単にチャンピオンシップを争える』と言えるほどの自信はない。確かに2戦連続で勝って、2戦連続でポールも獲っている。でも現時点では、チャンピオンシップを争うために必要なマシンを僕は持っていない」

    「かなり大きなことを言っているのは分かっている。でも去年、マシンに何が必要なのか、そして自分自身に何が必要なのかを理解した。今の自分がどのレベルにいて、どんなパフォーマンスを発揮できるのかも分かっているし、マシンに何が必要なのかも分かっている」

    「これからどんなサーキットが待っているのかも分かっていて、そこで僕たちがもっと苦戦することになるのも分かっている。でも、僕はもっと苦戦したくない」

    そのためノリスは、2連勝によってチーム内に安心感が生まれることを警戒している。

    「だから僕は自分の役割として、チームが気を緩めたり、少しでも満足したりしないようにしている。これまで以上に取り組まなければならない。チャンピオンシップを勝った過去2年間以上にね」

    最大の弱点は低速のタイトなコーナー
    ノリスが懸念している最大のポイントは、MCL40の低速コーナー性能だ。

    ザントフォールトの予選では、ターン7やターン8をはじめとする高速区間でメルセデス勢を大きく上回った。一方、低速区間では週末を通してタイムを失っていた。

    ノリスは、この弱点が土曜日のスプリントでシャルル・ルクレールに2番手を奪われた要因のひとつだったとも考えている。

    「間違いなく、低速はまだ僕たちの最大の弱点だ。特にタイトで曲がりくねったところだね」

    「もう少し流れるようなコーナーなら、それほど悪くない。ブダペストにも低速コーナーはあるけど、少し開けていて流れがある。低速ではあっても、あそこでは状況が良かった」

    「でも、本当にタイトで曲がりくねった場所になると、マシンはそれを好まない」

    そしてノリスは、低速性能を改善できれば状況は一変すると考えている。

    「この低速域を改善できれば、今シーズンのすべてのレースで勝てるという自信がある。でも改善できなければ、そう信じるのはずっと難しくなる」

    アントネッリもマクラーレンの急浮上を警戒
    選手権首位のアントネッリも、マクラーレンの進歩を無視できないと認めている。

    オランダGPでノリスに次ぐ2位となったアントネッリは、メルセデスがもはや明確な最速マシンではないとの認識を示した。

    「間違いなく、僕たちはもうグリッドで明確に最速のマシンではない。少なくとも今日のレースでは、おそらく2番目か3番目だった」

    「マクラーレンはものすごく大きなステップを踏んだ。特にハンガリー以降、大型アップデートパッケージを投入してからだ」

    アントネッリは選手権首位を維持しているが、2位にはチームメイトのジョージ・ラッセルとフェラーリのルイス・ハミルトンが並び、ともに59ポイント差。ノリスは83ポイント差の4位まで浮上した。

    83ポイントは依然として大きな差だが、逆転が数学的に非現実的な数字というわけではない。

    前年の同時期、マックス・フェルスタッペンは選手権首位オスカー・ピアストリから104ポイント差をつけられていた。それでもザントフォールト以降のレースでピアストリを合計115ポイント上回り、最終的にはノリスにわずか2ポイント差のランキング2位まで追い上げた。

    ノリスにも同様の追い上げが可能かどうかは、マクラーレンが異なる特性のサーキットでも現在の競争力を維持できるかにかかっている。

    ランド・ノリスとアンドレア・キミ・アントネッリ

    次戦モンツァがマクラーレンの本当の試金石
    次戦イタリアGPの舞台モンツァは、ザントフォールトやハンガロリンクとは正反対に近い特性を持つ。

    長いストレートに加え、低速シケインでの強いブレーキングが要求される。低速コーナーだけでなく、比較的大きな空気抵抗によってストレートスピードにも課題を抱えてきたマクラーレンにとって、厳しい条件が重なる可能性がある。

    ステラもモンツァでのパフォーマンスを重視している。

    「ザントフォールトとハンガリーで求められたものを考え、その次にモンツァで求められるものを考えれば、まったく異なる領域に入る」

    「もしモンツァでも我々の改善を確認できれば、残りのシーズンについてある程度楽観的に見ることができると思う。ただ、まずモンツァへ行き、長いストレートで我々のマシンが良いパフォーマンスを発揮できるかを確認する必要がある」

    「ドラッグが必ずしも我々のマシンの強みではないことは分かっている。また、例えばブレーキングが多いことも必ずしも強みではない。次戦に向けて確認しなければならないことはたくさんある」

    メルセデスも後半戦のアップデートを準備
    仮にマクラーレンがモンツァでも速さを証明したとしても、ライバルが現状のまま留まっているわけではない。

    メルセデスは今季前半、フェラーリやマクラーレンと比較して大型アップデートの投入回数を抑えてきた。チーム代表のトト・ヴォルフは、予算上限の余裕がなくライバルと同じペースで開発パーツを投入できないと説明する一方、年間を通じた予算配分を意図的に調整していることも明らかにしている。

    「我々には、シーズン前半のフェラーリやマクラーレンと同じペースでマシンに開発パーツを投入できるだけの資金がない」

    「以前にも話したが、最大のアップデートをいつ投入できるのか、そしてチャンピオンシップポイントをどう最適化するのかという計算に基づいて、シーズン全体にできるだけ均等に配分しようとしている。ただ、我々にできることをやるしかない」

    「だからこそ開発競争なんだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒を得る。それが我々の失っている部分だ」

    「だから、これからはシーズン序盤より厳しくなるだろう。ただ、シーズン終盤になっても彼らが今と同じだけのものをマシンに投入できるかどうかは分からない。序盤から中盤に多く使い、終盤には少なくするという異なる戦略を採っているチームもあるかもしれない」

    ヴォルフ「脅威なのはノリスだけではない」
    ヴォルフもノリスの急浮上を警戒しているが、メルセデスにとって脅威なのはマクラーレンだけではないと考えている。

    「もちろん脅威は十分に認識している。ノリスだけではない。ルイスとの差を見ても50ポイントほどしかない。それも我々が心配しなければならないことだ」

    「これは厳しい戦いになる。もっと接近する可能性もある。だから毎セッション、毎週末、最適な仕事をしなければならない。我々は組織としてレースに勝てるだけの力を持っていると思っている」

    一方でヴォルフは、マクラーレンが連勝したハンガロリンクとザントフォールトは、過去にも同チームが高い競争力を示してきたサーキットだったと指摘する。

    「彼らはここ2戦で勝った。ただ、その2つは過去数年も彼らが非常に強かったサーキットだ。だから次の数戦で我々が勢いを取り戻せるか見てみよう」

    ノリスの2連勝によって、2026年F1タイトル争いの構図は確実に変わり始めている。ただし、その勢いがマクラーレンの真の総合力を示すものなのか、それともハンガロリンクとザントフォールトというMCL40に適したコース特性によるものなのかは、まだ判断できない。

    長いストレート、低速シケイン、強いブレーキングという現在のマクラーレンが苦手とする要素が揃うモンツァは、その答えを示す最初の舞台となる。そこでMCL40が再び優勝争いに加われれば、83ポイント差からのノリスのタイトル防衛は、現実的なシナリオとして一段と存在感を増すことになる。

  • 角田裕毅 F1公式が「勝者」に選出 オランダGP電撃復帰で高評価

    角田裕毅 F1公式が「勝者」に選出 オランダGP電撃復帰で高評価

    2026年F1第12戦オランダGPを終え、F1公式サイトがザントフォールトで評価を高めた6組の「勝者」と、厳しい週末を過ごした5組の「敗者」を選出。急きょレーシングブルズからF1復帰を果たした角田裕毅が「勝者」のひとりに選ばれた。

    F1公式サイトのコレスポンデント、ローレンス・バレットは、角田裕毅について2026年型マシンを一度もドライブしていなかったにもかかわらず「ブランクを感じさせなかった」と高く評価。

    決勝は11位で惜しくもポイントを逃したが、2027年のフルタイムシート獲得を目指すタイミングで「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評した。

    以下、F1公式が選んだ6組の勝者と5組の敗者を掲載する。

    勝者:ランド・ノリス
    ランド・ノリスは、スプリントでジョージ・ラッセルに勝利を争うことができなかったため、ポールポジションからオランダGP決勝を制することができるのか、自身でも確信を持てずにいた。

    しかし、決勝では再スタートでキミ・アントネッリに先行を許したものの、中盤のハードタイヤで誰にも真似できないペースを発揮。アントネッリを抜き返し、さらにフェラーリのルイス・ハミルトンもオーバーテイクして首位を奪還した。

    これでノリスは2026年にアントネッリ以外で唯一となる2連勝を達成。F1通算13勝目で、そのうち10勝がポールポジションからの勝利となった。また、2021年にザントフォールトがF1カレンダーへ復帰して以降、すべてのオランダGPでポールシッターが優勝する記録も継続した。

    ドライバーズ選手権首位のアントネッリとは83ポイント差があり、ノリス自身はタイトル争いについて語ろうとはしなかった。それでも、ノリスとマクラーレンが現在のフォームを維持できれば、タイトル防衛の可能性は高まっていく。

    敗者:マックス・フェルスタッペン
    4度のF1ワールドチャンピオンが最後の地元オランダGPで再び特別な走りを見せることを期待し、ザントフォールトにはオレンジ色のファンが詰めかけた。しかし、その期待は1周目を走り切る前に消えた。

    フェルスタッペンは濡れた路面の最終コーナーで白線に触れたことでレッドブルの挙動を乱し、そのままバリアへクラッシュした。本人にけがはなかったものの、これまでオランダGPで一度も2位より下で終えたことがなかった記録は途絶えた。

    今季の1周目リタイアはモナコGPに続いて2度目。ドライバーズランキングは6位となり、選手権首位との差は130ポイントまで広がった。

    勝者:キミ・アントネッリ
    好スタートでノリスを抜き、決勝の一部をリードしたアントネッリにとって、今季7勝目につなげられなかったことには多少の失望が残ったはずだ。

    しかし、一歩引いて週末全体を見れば、選手権リーダーにとって再び成功と言える内容だった。FP1ではトップタイムを記録したものの、スプリント予選でフロアを損傷して以降は劣勢となり、決勝前までの3つの競争セッションではチームメイトのラッセルに上回られた。

    それでも大量ポイントが懸かった決勝では立て直し、力強い走りでラッセルのひとつ前となる2位でフィニッシュ。選手権リードを今季最大となる59ポイントまで拡大した。

    これで11戦連続で少なくとも1周をリード。次戦は母国イタリアGPとなる。エンジンコンポーネント交換によるグリッド降格ペナルティが予定されているとはいえ、好結果を手にモンツァへ向かう。

    敗者:ウィリアムズ
    ウィリアムズにとって、ザントフォールトは再び苦しい週末となった。カルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンのどちらもポイント争いに加われず、11チーム中10番手の速さまで後退したように映った。

    予選でQ2へ進んだのはアルボンだけで、サインツJr.をわずか0.022秒上回った。アルボンがサインツJr.に予選で勝ったのは今季3度目だった。

    決勝ではアルボンが序盤に4つポジションを上げたものの、徐々に後退。14番手を争うなかでサインツJr.と接触した。

    サインツJr.はこの接触について自身の責任を認めた。ただし、両者とも互いに腹を立てていたわけではなく、それ以上に大きな懸念となったのは、下位ポジションをチームメイト同士で争わなければならないほどマシンの根本的なペースが不足していたことだった。

    勝者:フェルナンド・アロンソ
    アストンマーティンは2戦連続でシャシーのアップデートを投入し、さらにホンダもパワーユニットをアップグレードしたが、スプリント予選ではSQ1、通常予選でもQ1を突破できず、日曜日を前に状況は決して明るくなかった。

    しかし、決勝ではフェルナンド・アロンソが見事なレースを披露した。ソフトタイヤで34周に及ぶ第1スティントを走り切り、1ストップ戦略を成立させて9位でフィニッシュした。

    アロンソにとって今季2度目のポイント獲得となり、自身とアストンマーティンの獲得ポイントは3点となった。厳しいシーズンを送ってきたチームが明確な上昇軌道に乗りつつあるとの期待を高める結果となった。

    敗者:ハース
    ハースにとっては、1周のペースでもロングランのペースでも苦戦する厳しい週末となった。

    オリバー・ベアマンは予選20番手に終わり、チームにとって今季最低の予選結果となった。決勝でも状況は好転せず、わずか2周でリタイア。今季3度目のDNFとなった。

    チームメイトのエステバン・オコンは、決勝では予選時よりもややペースが劣るように見え、ポイント争いに加わることができないまま52周目にリタイアした。

    これによりハースは2024年モナコGP以来となるダブルDNFを喫した。

    ランド・ノリス(オランダGP勝者)

    勝者:角田裕毅
    角田裕毅は、負傷したアイザック・ハジャーの代役としてリアム・ローソンがレッドブルへ昇格したことで、急きょレーシングブルズのF1シートに呼び戻された。しかも、2026年型マシンを一度もドライブした経験がない状態での復帰だった。

    しかし、角田裕毅にブランクを感じさせるところはなかった。コースに出た瞬間から速さを示し、すべての競争セッションを通じてルーキーのチームメイト、アービッド・リンドブラッドに近いパフォーマンスを見せた。

    予選では12番手を獲得し、10番手のリンドブラッドからわずか2つ後ろにつけた。決勝ではポイント獲得が見える位置まで浮上し、元チームメイトで友人でもあるピエール・ガスリーに対して鮮やかなオーバーテイクを成功させた。

    終盤にガスリーの逆転を許し、最終的には11位。惜しくもポイントには届かなかった。

    それでもF1公式は、2027年のフルタイムシートを探している角田裕毅にとって「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評価。突然の復帰、そして2026年型マシン未経験という難しい条件のなかで、自らの存在価値を示す週末となった。

    敗者:バルテリ・ボッタス
    バルテリ・ボッタスには、なかなか流れが向いてこない。ザントフォールトではまずまずの週末を送り、予選ではチームメイトのセルジオ・ペレスを上回った。

    ペレスは実験的にマシンへ複数の変更を施したものの、それがうまく機能しなかった。ボッタスがペレスを予選で上回るのは、これで4戦連続となった。

    決勝の第1スティントも悪くなく、ウィリアムズからそれほど離されずに走っていた。しかし、今季の多くのレースと同様に、レースが進むにつれてその勢いは失われていった。

    最後はリアウイングに影響を及ぼす油圧系の問題によってリタイア。これで直近7戦のうち5戦でリタイアし、2026年通算では6度目のDNFとなった。これより多くのリタイアを喫しているのはランス・ストロールだけだ。

    勝者:リアム・ローソン
    角田裕毅と同様、リアム・ローソンもハジャーの負傷によって突然、大きな役割を任された。レーシングブルズからレッドブルへ昇格し、フェルスタッペンのチームメイトとしてオランダGPに臨んだ。

    ローソンには2026年型F1マシンの経験があり、好調な走りを続け、ミッドフィールドで最も力強いドライバーのひとりとして存在感を高めていた。

    それでも、前年にわずか2戦でシートを失ったレッドブルへ戻るという状況は簡単なものではなかった。

    しかし、12カ月前とは違うドライバーになったことを結果で示した。予選ではフェルスタッペンから0.1秒強の差につけ、決勝では見事な7位フィニッシュを達成した。

    これでポイント獲得は7戦連続。突然巡ってきたレッドブルでのチャンスをしっかりとものにした。

    敗者:ガブリエル・ボルトレト
    ガブリエル・ボルトレトはザントフォールトで速さを示し、スプリントとグランプリの両方で予選トップ10入りを果たした。

    しかし、スプリントでは9位となり、わずかにポイント獲得を逃した。

    決勝ではスタートでポジションを落とし、さらに1周目に360度スピンを喫して4つのポジションを失い、18番手まで後退した。

    そこから挽回を試みたものの、ポイント圏内まで戻ることはできず、最終的には13位。週末を通じて示していた速さを結果につなげることができなかった。

    勝者:ニコ・ヒュルケンベルグ
    ボルトレトとは対照的に、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは日曜日に大きな成果を挙げた。

    まず1周目には、目の前でスピンしたボルトレトを驚異的な反応で回避。その後は力強いペースを発揮するとともにタイヤをうまく管理し、トップ10圏内へと順位を上げていった。

    最終的には8位でフィニッシュし、アウディのF1における自己最高順位に並んだ。

    ヒュルケンベルグ自身にとっても2戦連続のポイント獲得となった。それ以前の10戦では一度もトップ10でフィニッシュできていなかっただけに、流れを変える結果となった。

    オランダGPでは優勝したノリスや選手権リードを広げたアントネッリだけでなく、突然の代役起用という難しい状況に置かれた角田裕毅とローソンもF1公式の「勝者」に選ばれた。一方、地元で1周目にリタイアしたフェルスタッペンや、速さを結果につなげられなかったウィリアムズ、ハースらにとっては厳しいザントフォールトとなった。

  • アイザック・ハジャー F1オランダGPで人生初の欠場「学べることは常にある」

    アイザック・ハジャー F1オランダGPで人生初の欠場「学べることは常にある」

    レッドブル・レーシングのアイザック・ハジャーは、手首の負傷により2026年F1オランダGPを欠場したことについて、7歳でレースを始めて以来、負傷を理由にレースウイークを欠場したのは初めてだったと明かした。

    当初は負傷を抱えたままザントフォールトで出場する意向だったハジャーだが、医療チームからの助言に加え、MotoGPで大きな負傷と復帰を経験してきたマルク・マルケスにも相談。最終的にリスクを避けるため欠場を決断した。

    一方、レースウイークを初めて外側から見ることで、普段とは異なる視点から学ぶ機会にもなったという。

    マルク・マルケスともボイスメッセージを交換
    ハジャーはフランス紙『L’Equipe』のインタビューで、医療チームからさまざまな助言を受ける一方、実際に重大な負傷を経験したレーサーの意見を聞くことも重要だと考えたと説明した。

    「ケガをしたあと、医療チームからたくさんのアドバイスを受けた。でも、僕にとっては同じような経験をしたライダーの意見を聞くことが重要だった」

    そこでハジャーが意見を求めたのが、MotoGPで幾度も負傷と復帰を経験してきたマルク・マルケスだった。

    「ボイスメッセージをやり取りした」

    「彼からは、こういう状況なら大きなリスクを避けるために、その週末は欠場した方がいいと言われた」

    インタビュー時、ハジャーは負傷した手首に軽いブレースを装着していた。

    7歳からレースを続けて初めての負傷欠場
    21歳のハジャーにとって、負傷を理由にレースウイークを欠場するのは今回が初めてだった。それだけに、自分が走らずにレースを外から見守るという状況には強い違和感があったという。

    「僕は7歳からレースをしている。今は21歳だけど、ケガが理由でレースウイークを欠場したことは一度もなかった」

    「参加せずに外から見ているのは本当に変な感じだった。でも、仕方ない」

    それでもハジャーはオランダGPの週末を通じてレッドブルに帯同。コックピットから離れてチームやレースウイーク全体の動きを観察したことで、普段とは異なる視点を得ることができたと振り返った。

    「学べることは常にある」外から見て得た新たな視点
    ハジャーは、実際にマシンをドライブしているレースウイークでは、自分自身が直面している問題の解決に集中するあまり、周囲の情報を十分に拾えない場合があると説明した。

    「実際に参加せずにレースウイークを追うのは今回が初めてだったけど、それはそれで興味深かった」

    「学べることは常にある。レースウイークでは普段、特定の問題を解決することに集中していて、自分が『トンネルの中』にいるような感覚になる。だから、役に立つかもしれない情報を見逃してしまうこともある」

    負傷したハジャーに代わり、ザントフォールトではリアム・ローソンがレッドブルから出場し、決勝を7位でフィニッシュした。

    7歳でレースを始めてから初めて負傷による欠場を経験したハジャー。走れないことへの違和感を抱えながらも、普段は得られない視点からF1のレースウイークを観察し、その時間を新たな学びの機会に変えた。現在は次戦イタリアGPが行われるモンツァでの復帰を目指している。

  • FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA コラピントのスポンサーによる「F1の公正性を壊している」批判に声明

    FIA(国際自動車連盟)は、F1オランダGP後にフランコ・コラピントの主要スポンサーからスチュワードに厳しい批判が向けられたことを受け、正式な声明を発表した。

    発端となったのは、アルピーヌのコラピントがザントフォールトの決勝で受けたペナルティだ。コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO(最高マーケティング責任者)ショーン・サマーズは、スチュワードについて「F1の公正性を壊している」とSNSで痛烈に批判。

    FIAはこれに対し、判定への異議とスチュワード個人への攻撃は区別されるべきだとの立場を示した。

    コラピントにドライブスルーペナルティ
    オランダGPの決勝1周目、マックス・フェルスタッペンがクラッシュし、さらに最終コーナーではガブリエル・ボルトレトがスピン。コース上には黄旗が提示された。

    この状況でコラピントは角田裕毅をオーバーテイクしたと判断され、スチュワードからドライブスルーペナルティと2点のペナルティポイントを科された。

    さらにコラピントは別の黄旗区間で十分に減速しなかったとして、追加で1点のペナルティポイントを科されている。

    コラピント自身はレース後、この裁定について「極めて厳しい」と不満を示した。角田裕毅を抜かないために急ブレーキを踏む方が、むしろ危険だったとの考えを説明している。

    「ものすごく強くブレーキを踏んで抜かないようにする方が危険だったと思う。あの判断は極めて厳しかった」

    同じオープニングラップで同様のペナルティを受けたレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドも、スチュワードの判断に疑問を呈した。

    リンドブラッドは、個々のインシデントの状況を評価するというよりも、スチュワードが今後に向けた「前例を作ろうとしている」と感じたと語っている。

    主要スポンサーがFIAを痛烈批判
    レース後、コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレのCMO、ショーン・サマーズはXを通じてFIAスチュワードを強く批判した。

    「FIAのスチュワードはF1の公正性を壊している」

    「今シーズン、彼らはひどい仕事をしており、レース結果に影響を及ぼしていることを証明している。無能なのか? 不誠実なのか? それとも両方なのか? あの組織の文化には何か深刻な問題がある」

    単なる判定への異議にとどまらず、FIAの組織文化そのものに疑問を投げかける厳しい内容だった。

    FIA(国際自動車連盟)

    FIAが正式声明「脅迫や個人攻撃を正当化するものではない」
    これを受け、FIAはオランダGP後にスチュワードへ向けられたオンライン上の攻撃について声明を発表した。

    「オランダGP後、FIAスチュワードはFIAのレギュレーションに従ってスポーティングペナルティを適用したことで、オンライン上で誹謗中傷の標的となりました」

    「United Against Online Abuse連合は、あらゆる形態の誹謗中傷やハラスメントを非難します。判定に対する意見の相違はスポーツの一部ですが、それが脅迫や個人攻撃を正当化することは決してありません」

    さらにFIAは、今回が初めての問題ではないことも強調した。

    「2023年、アメリカGP後にスチュワードのひとりが標的を絞った誹謗中傷を受けたことをきっかけに、FIAはUnited Against Online Abuse連合を立ち上げました」

    「私たちのスポーツに関わるすべての皆様に、オンライン、オフラインを問わず、敬意と責任を持って行動していただくようお願いします」

    判定そのものへの反論には踏み込まず
    一方で、今回のFIA声明は、コラピントに対するペナルティが妥当だった理由を改めて説明する内容ではない。

    コラピントやリンドブラッドが主張した黄旗下での状況判断や、サマーズが提起したスチュワードの判定基準そのものへの批判について、FIAは具体的な反論を示していない。

    FIAが声明で焦点を当てたのは、スポーツ上の判定に対する意見の相違は認められる一方、それがスチュワード個人への誹謗中傷や脅迫に発展してはならないという点だ。

    オランダGPでは黄旗を巡る裁定がコラピントとリンドブラッドのレース結果に大きな影響を及ぼし、両ドライバーから厳しすぎるとの声が上がった。その議論はレース後、スポンサーによるFIAへの異例の批判、そしてFIAによる正式声明へと発展する形となった。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1への無線発言を謝罪「最高の自分ではなかった」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1への無線発言を謝罪「最高の自分ではなかった」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1オランダGPでフェラーリの戦略をめぐって口にしたチーム無線やテレビインタビューでの発言について公に謝罪した。「あれは最高の自分ではなかった」と振り返り、自らの言動に責任を取る姿勢を示している。

    ザントフォールトで4位に終わったハミルトンは、レース中にフェラーリの判断の遅さに苛立ちをあらわにしていた。

    しかし、レース後に自身の発言を聞き返したことで考えを改め、「次はもっといい自分でいるよ」と誓った。

    フェラーリの戦略判断に無線で苛立ち
    オランダGPでハミルトンの不満が表面化したのは、前を走るチームメイトのシャルル・ルクレールとのポジションをめぐる判断だった。

    ハミルトンは異なる戦略を採っており、その前方にはメルセデスのジョージ・ラッセルがいた。ハミルトンはルクレールの前に出てラッセルを追うことを望んだが、フェラーリはすぐには決断しなかった。

    その際、ハミルトンは無線で皮肉を込めて「時間を無駄にする素晴らしい方法だね。みんな、よくやったよ」と発言した。

    最終的に4位でフィニッシュした後も不満は収まらず、無線で「僕たちは不運だったわけじゃない」と語り、フェラーリの決断の遅れについて「それで3位を失った」と主張した。

    レース後にはF1公式サイトに対し、勝利への強い思いを口にしていた。

    「僕は勝ちたい。勝つためにここにいる」

    「前を見ていて、メルセデスの2人が指示を受けたら、それがすぐに実行されるのを見るのは難しいよ」

    「彼らはキミを前に出して、そのままレースをさせた。僕は違う戦略だったし、ここでは同じようにはいかなかった」

    メルセデスはレース終盤、ラッセルにキミ・アントネッリを先行させるよう指示し、ポジションを速やかに入れ替えていた。ハミルトンは、それとフェラーリの対応を対比させていた。

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    「あれは最高の自分ではなかった」
    しかし、レースを終えて時間が経ったことで、ハミルトンは自身の言動を改めて振り返った。

    ハミルトンはInstagramを更新し、厳しい週末だったと認めながらも、まずはフェラーリのスタッフへの感謝を記した。

    「厳しい週末だったけど、チームにとって貴重なポイントを持ち帰ることができたし、僕たちが正しい方向に進んでいる手応えもあった」

    「ファクトリーでアップデートを投入し続け、パフォーマンスを引き出し、僕たちを前進させるために努力してくれているみんなを心から誇りに思っている」

    「サーキットにいるチームのみんなにも感謝している。その献身と努力を当たり前だと思ったことはない。特に1周のパフォーマンスではまだやるべきことがあるけど、これからも取り組み続け、学び、一緒に改善していく」

    そのうえで、オランダGPでの自身の無線やテレビでの発言について触れた。

    「自分の無線やテレビでのコメントをいくつか聞き返した。ああいう瞬間はフラストレーションが出てしまうこともある。特に僕はそれだけ強い思いを持っているからね」

    「でも、あれは最高の自分ではなかった。その責任は僕にある。次はもっといい自分でいるよ」

    フェラーリへの信頼を強調「僕たちはこれからだ」
    ハミルトンは、自身がそこまで感情をあらわにした背景には、フェラーリへの強い信頼があることも強調した。

    「それだけ熱くなるのは、このチームと、ここにいるみんな、そして僕たちが一緒に築いているものを信じているからだ」

    「進むべき方向は明確だ。信じる気持ちもある。そして戦いは間違いなくまだ続いている」

    「僕たちを、そして僕を支え続けてくれてありがとう。これからも築き続け、プッシュし続け、戦い続ける」

    「僕たちはこれからだ」

    ハミルトンはオランダGPを4位で終え、ドライバーズランキングでは3位に後退。ランキング首位のキミ・アントネッリとの差は59ポイントとなった。

    フェラーリの戦略判断に対してレース直後は厳しい言葉を並べたハミルトンだが、冷静になった後には自らの発言を聞き返し、その責任を認めた。一方で勝利への強い意欲とフェラーリへの信頼は変わっておらず、今回の謝罪でもチームとともに巻き返す意思を明確にしている。