2026年F1第12戦オランダGPを終え、F1公式サイトがザントフォールトで評価を高めた6組の「勝者」と、厳しい週末を過ごした5組の「敗者」を選出。急きょレーシングブルズからF1復帰を果たした角田裕毅が「勝者」のひとりに選ばれた。
F1公式サイトのコレスポンデント、ローレンス・バレットは、角田裕毅について2026年型マシンを一度もドライブしていなかったにもかかわらず「ブランクを感じさせなかった」と高く評価。
決勝は11位で惜しくもポイントを逃したが、2027年のフルタイムシート獲得を目指すタイミングで「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評した。
以下、F1公式が選んだ6組の勝者と5組の敗者を掲載する。
勝者:ランド・ノリス
ランド・ノリスは、スプリントでジョージ・ラッセルに勝利を争うことができなかったため、ポールポジションからオランダGP決勝を制することができるのか、自身でも確信を持てずにいた。
しかし、決勝では再スタートでキミ・アントネッリに先行を許したものの、中盤のハードタイヤで誰にも真似できないペースを発揮。アントネッリを抜き返し、さらにフェラーリのルイス・ハミルトンもオーバーテイクして首位を奪還した。
これでノリスは2026年にアントネッリ以外で唯一となる2連勝を達成。F1通算13勝目で、そのうち10勝がポールポジションからの勝利となった。また、2021年にザントフォールトがF1カレンダーへ復帰して以降、すべてのオランダGPでポールシッターが優勝する記録も継続した。
ドライバーズ選手権首位のアントネッリとは83ポイント差があり、ノリス自身はタイトル争いについて語ろうとはしなかった。それでも、ノリスとマクラーレンが現在のフォームを維持できれば、タイトル防衛の可能性は高まっていく。
敗者:マックス・フェルスタッペン
4度のF1ワールドチャンピオンが最後の地元オランダGPで再び特別な走りを見せることを期待し、ザントフォールトにはオレンジ色のファンが詰めかけた。しかし、その期待は1周目を走り切る前に消えた。
フェルスタッペンは濡れた路面の最終コーナーで白線に触れたことでレッドブルの挙動を乱し、そのままバリアへクラッシュした。本人にけがはなかったものの、これまでオランダGPで一度も2位より下で終えたことがなかった記録は途絶えた。
今季の1周目リタイアはモナコGPに続いて2度目。ドライバーズランキングは6位となり、選手権首位との差は130ポイントまで広がった。
勝者:キミ・アントネッリ
好スタートでノリスを抜き、決勝の一部をリードしたアントネッリにとって、今季7勝目につなげられなかったことには多少の失望が残ったはずだ。
しかし、一歩引いて週末全体を見れば、選手権リーダーにとって再び成功と言える内容だった。FP1ではトップタイムを記録したものの、スプリント予選でフロアを損傷して以降は劣勢となり、決勝前までの3つの競争セッションではチームメイトのラッセルに上回られた。
それでも大量ポイントが懸かった決勝では立て直し、力強い走りでラッセルのひとつ前となる2位でフィニッシュ。選手権リードを今季最大となる59ポイントまで拡大した。
これで11戦連続で少なくとも1周をリード。次戦は母国イタリアGPとなる。エンジンコンポーネント交換によるグリッド降格ペナルティが予定されているとはいえ、好結果を手にモンツァへ向かう。
敗者:ウィリアムズ
ウィリアムズにとって、ザントフォールトは再び苦しい週末となった。カルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンのどちらもポイント争いに加われず、11チーム中10番手の速さまで後退したように映った。
予選でQ2へ進んだのはアルボンだけで、サインツJr.をわずか0.022秒上回った。アルボンがサインツJr.に予選で勝ったのは今季3度目だった。
決勝ではアルボンが序盤に4つポジションを上げたものの、徐々に後退。14番手を争うなかでサインツJr.と接触した。
サインツJr.はこの接触について自身の責任を認めた。ただし、両者とも互いに腹を立てていたわけではなく、それ以上に大きな懸念となったのは、下位ポジションをチームメイト同士で争わなければならないほどマシンの根本的なペースが不足していたことだった。
勝者:フェルナンド・アロンソ
アストンマーティンは2戦連続でシャシーのアップデートを投入し、さらにホンダもパワーユニットをアップグレードしたが、スプリント予選ではSQ1、通常予選でもQ1を突破できず、日曜日を前に状況は決して明るくなかった。
しかし、決勝ではフェルナンド・アロンソが見事なレースを披露した。ソフトタイヤで34周に及ぶ第1スティントを走り切り、1ストップ戦略を成立させて9位でフィニッシュした。
アロンソにとって今季2度目のポイント獲得となり、自身とアストンマーティンの獲得ポイントは3点となった。厳しいシーズンを送ってきたチームが明確な上昇軌道に乗りつつあるとの期待を高める結果となった。
敗者:ハース
ハースにとっては、1周のペースでもロングランのペースでも苦戦する厳しい週末となった。
オリバー・ベアマンは予選20番手に終わり、チームにとって今季最低の予選結果となった。決勝でも状況は好転せず、わずか2周でリタイア。今季3度目のDNFとなった。
チームメイトのエステバン・オコンは、決勝では予選時よりもややペースが劣るように見え、ポイント争いに加わることができないまま52周目にリタイアした。
これによりハースは2024年モナコGP以来となるダブルDNFを喫した。

勝者:角田裕毅
角田裕毅は、負傷したアイザック・ハジャーの代役としてリアム・ローソンがレッドブルへ昇格したことで、急きょレーシングブルズのF1シートに呼び戻された。しかも、2026年型マシンを一度もドライブした経験がない状態での復帰だった。
しかし、角田裕毅にブランクを感じさせるところはなかった。コースに出た瞬間から速さを示し、すべての競争セッションを通じてルーキーのチームメイト、アービッド・リンドブラッドに近いパフォーマンスを見せた。
予選では12番手を獲得し、10番手のリンドブラッドからわずか2つ後ろにつけた。決勝ではポイント獲得が見える位置まで浮上し、元チームメイトで友人でもあるピエール・ガスリーに対して鮮やかなオーバーテイクを成功させた。
終盤にガスリーの逆転を許し、最終的には11位。惜しくもポイントには届かなかった。
それでもF1公式は、2027年のフルタイムシートを探している角田裕毅にとって「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評価。突然の復帰、そして2026年型マシン未経験という難しい条件のなかで、自らの存在価値を示す週末となった。
敗者:バルテリ・ボッタス
バルテリ・ボッタスには、なかなか流れが向いてこない。ザントフォールトではまずまずの週末を送り、予選ではチームメイトのセルジオ・ペレスを上回った。
ペレスは実験的にマシンへ複数の変更を施したものの、それがうまく機能しなかった。ボッタスがペレスを予選で上回るのは、これで4戦連続となった。
決勝の第1スティントも悪くなく、ウィリアムズからそれほど離されずに走っていた。しかし、今季の多くのレースと同様に、レースが進むにつれてその勢いは失われていった。
最後はリアウイングに影響を及ぼす油圧系の問題によってリタイア。これで直近7戦のうち5戦でリタイアし、2026年通算では6度目のDNFとなった。これより多くのリタイアを喫しているのはランス・ストロールだけだ。
勝者:リアム・ローソン
角田裕毅と同様、リアム・ローソンもハジャーの負傷によって突然、大きな役割を任された。レーシングブルズからレッドブルへ昇格し、フェルスタッペンのチームメイトとしてオランダGPに臨んだ。
ローソンには2026年型F1マシンの経験があり、好調な走りを続け、ミッドフィールドで最も力強いドライバーのひとりとして存在感を高めていた。
それでも、前年にわずか2戦でシートを失ったレッドブルへ戻るという状況は簡単なものではなかった。
しかし、12カ月前とは違うドライバーになったことを結果で示した。予選ではフェルスタッペンから0.1秒強の差につけ、決勝では見事な7位フィニッシュを達成した。
これでポイント獲得は7戦連続。突然巡ってきたレッドブルでのチャンスをしっかりとものにした。
敗者:ガブリエル・ボルトレト
ガブリエル・ボルトレトはザントフォールトで速さを示し、スプリントとグランプリの両方で予選トップ10入りを果たした。
しかし、スプリントでは9位となり、わずかにポイント獲得を逃した。
決勝ではスタートでポジションを落とし、さらに1周目に360度スピンを喫して4つのポジションを失い、18番手まで後退した。
そこから挽回を試みたものの、ポイント圏内まで戻ることはできず、最終的には13位。週末を通じて示していた速さを結果につなげることができなかった。
勝者:ニコ・ヒュルケンベルグ
ボルトレトとは対照的に、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは日曜日に大きな成果を挙げた。
まず1周目には、目の前でスピンしたボルトレトを驚異的な反応で回避。その後は力強いペースを発揮するとともにタイヤをうまく管理し、トップ10圏内へと順位を上げていった。
最終的には8位でフィニッシュし、アウディのF1における自己最高順位に並んだ。
ヒュルケンベルグ自身にとっても2戦連続のポイント獲得となった。それ以前の10戦では一度もトップ10でフィニッシュできていなかっただけに、流れを変える結果となった。
オランダGPでは優勝したノリスや選手権リードを広げたアントネッリだけでなく、突然の代役起用という難しい状況に置かれた角田裕毅とローソンもF1公式の「勝者」に選ばれた。一方、地元で1周目にリタイアしたフェルスタッペンや、速さを結果につなげられなかったウィリアムズ、ハースらにとっては厳しいザントフォールトとなった。