角田裕毅のF1復帰に海外識者注目「キャリアを左右する重要な一戦」

角田裕毅のF1復帰に海外識者注目「キャリアを左右する重要な一戦」

角田裕毅が2026年F1オランダGPでレーシングブルズからグランプリ復帰を果たす。海外メディア『The Race』は、今回の参戦について「キャリアを左右する重要な一戦」になる可能性があると指摘。将来のF1レギュラーシート獲得に向けて、自らの価値を改めて証明する大きなチャンスになると分析している。

角田裕毅のF1復帰は、レッドブル・レーシングのアイザック・ハジャーが手首の負傷によってオランダGPを欠場することから実現した。

ハジャーの代役にはレーシングブルズのリアム・ローソンが起用され、その空いたシートにレッドブルのリザーブドライバーを務める角田裕毅が入る。

レッドブル・レーシングの正式なリザーブドライバーである角田裕毅ではなく、今季レーシングブルズでレースを続けているローソンをハジャーの代役に選んだ判断には、おおむね理解を示す声がある。一方で、19歳のアービッド・リンドブラッドを抜擢すべきだったとの意見もあり、『The Race』の識者たちは、今回の人事がローソンだけでなく、角田裕毅の今後のキャリアにとっても重要な意味を持つと分析している。

角田裕毅にはレーシングブルズ参戦がむしろ好機
エド・ストローは、ハジャーの代役として角田裕毅ではなくローソンをレッドブル・レーシングに起用した判断を妥当だと評価した。

代役ドライバーが必要になった場合、チームとしては短期間でマシンに適応し、確実に仕事をこなせる人物を選ぶのが現実的だ。現在のレッドブル陣営では、ローソンがその条件を最も満たしているという。

特に2026年のF1パワーユニットでは、エネルギー回生とデプロイメントへの対応が重要となっている。ローソンはレーシングブルズで今季のレースを戦い続けており、タイヤへの習熟度やレース勘に加え、新世代パワーユニットを実戦で扱ってきた経験がある。

そのため、正式なレッドブル・レーシングのリザーブドライバーである角田裕毅ではなく、ローソンを昇格させる判断は理にかなっているとストローは分析する。

一方、角田裕毅にとっても、レーシングブルズから参戦することはむしろプラスになる可能性があるという。

レーシングブルズはオランダGPを迎える時点でミッドフィールド屈指の競争力を持っており、角田裕毅にとっても過去にF1で自身の力を最も発揮してきた環境だ。今後のF1レギュラーシートを求めて他チームにも目を向けなければならない状況を考えれば、レッドブルで厳しい戦いを強いられるよりも、レーシングブルズでミッドフィールド上位を争って存在感を示す方が、自身の将来にとって有利になる可能性がある。

角田裕毅にとって「キャリアを左右する重要な一戦」
ジャック・ベニオンはさらに踏み込み、今回のF1復帰が角田裕毅のキャリアにおける極めて重要な局面になると指摘した。

角田裕毅は2025年にレッドブルのレギュラーシートを失った後、2026年のインディカー参戦候補として名前が挙がったものの、実現には至らなかった。しかし現在も、将来的なインディカー転向の可能性が取り沙汰されている。

インディ500ウイナーのフェリックス・ローゼンクヴィストがマクラーレンへ移籍することで、メイヤー・シャンク・レーシングには空席が生まれることになり、その候補として角田裕毅が浮上しているという。

メイヤー・シャンク・レーシングはホンダエンジンを使用しており、幅広いバックグラウンドからドライバーを起用してきたチームでもある。ベニオンは角田裕毅のドライビングスタイルもインディカーに適していると評価する。

ただし、今回のオランダGPで角田裕毅が強いパフォーマンスを披露すれば、状況が変わる可能性がある。

現時点でハジャーがオランダGP以降も欠場することを示す材料はない。それでも、たとえ今回限りのF1復帰だったとしても、角田裕毅が十分なインパクトを残せれば、将来のF1レギュラーシート獲得への道を再び開くことも考えられる。

ベニオンは、角田裕毅がインディカーへ転向した場合、その後F1で再びレースをする可能性は極めて低くなると指摘。今回のオランダGPは、角田裕毅の今後のキャリアを左右しかねない重要な一戦だと位置づけている。

角田裕毅 F1 オランダGP

ローソンにはレッドブルで「2度目のチャンス」
元F1テクニカルディレクターのゲイリー・アンダーソンも、今回のローソン起用を支持している。

ローソンは以前レッドブル・レーシングに昇格した際、十分な時間を与えられないままシートを失った。そのため今回のオランダGPは、自身の本当の実力を示す2度目のチャンスになる。

こうした機会を再び得られるドライバーは多くないだけに、ローソンにとっては結果につなげる必要のある重要な週末となる。

一方、レーシングブルズでローソンとコンビを組む19歳のリンドブラッドをレッドブルに昇格させる案について、アンダーソンは時期尚早との見方を示した。

ルーキーイヤーに好パフォーマンスを見せているリンドブラッドには、まだ細かなミスを修正しながら経験を積む時間を与えるべきであり、チャンスはいずれ訪れるという考えだ。

「リンドブラッドを起用すべきだった」との異論
これに対し、ジョシュ・サティルは今回こそリンドブラッドをレッドブルで試すべきだったと主張している。

リンドブラッドはF1ルーキーながら開幕から速さを示しており、予選では平均してローソンから約0.1秒遅れる程度のパフォーマンスを発揮。スパのようにローソンを明確に上回った週末もあった。

サティルは、ローソンが将来的にレッドブル・レーシングのレギュラーシートへ戻る可能性について懐疑的だ。最初の昇格がうまくいかなかったことが大きく、角田裕毅についても同様にレッドブルへの恒久的な復帰は難しいと見ている。

それならば、将来的なレッドブル候補とみられるリンドブラッドをフェルスタッペンの隣で走らせ、その適性を早い段階で確認する方法もあったというわけだ。

過去にはフェラーリが2024年サウジアラビアGPで、当時F1未経験だったオリバー・ベアマンをカルロス・サインツJr.の代役として抜擢した。また、メルセデスも2020年サヒールGPでルイス・ハミルトンの代役としてジョージ・ラッセルを起用し、レギュラー昇格より1年以上前にトップチームでその実力を試す機会を与えた。

大胆なドライバー起用を特徴としてきたレッドブルだけに、経験を優先した今回の判断について、サティルは新体制のレッドブルが従来の方針から変化し始めた最初の兆候なのではないかとの疑問も投げかけている。

ローソンも過去の評価を覆す絶好の機会
マット・ビアーは、ローソンにとって今回のレッドブル復帰が過去の評価を覆す重要な機会になると分析した。

ローソンの最初のレッドブル・レーシング在籍は短期間で終わり、その内容も厳しいものだった。その経験が、その後のローソンのF1キャリアを評価するうえでも大きな影を落としてきた。

今季レーシングブルズに戻ってからは安定したパフォーマンスを披露しており、ドライバーズランキングでは9位。トップ4チーム以外のドライバーとして最上位につけ、レッドブルで自身の後任となったハジャーにも迫る位置にいる。チーム側も今季のローソンの成長を高く評価している。

しかし、リンドブラッドがF1参戦直後から存在感を示し、さらにレッドブル育成のニコラ・ツォロフが初のFIA F2フルシーズンで選手権をリードしている状況を考えれば、ローソンの将来が安泰とは言えない。

だからこそ、今回のレッドブル復帰には大きな意味がある。フェルスタッペンとの差を一定範囲に抑える、あるいは慣れていないマシンながらハジャーがこれまで見せてきた水準に近いパフォーマンスを披露できれば、ローソンは自身を取り巻く評価を大きく変える可能性がある。

ハジャーの負傷によって突然巡ってきたF1オランダGPは、角田裕毅とローソンの双方にとって今後のキャリアを左右する可能性を秘めた週末となる。ローソンにはレッドブルで失った評価を取り戻す機会が与えられ、角田裕毅には慣れ親しんだレーシングブルズで自らの速さと存在価値を改めて示し、F1での未来を切り開くチャンスが巡ってきた。