カテゴリー: レッドブル・レーシング

  • アストンマーティンF1の2028年PU変更構想 メルセデスとレッドブルは消極的

    アストンマーティンF1の2028年PU変更構想 メルセデスとレッドブルは消極的

    アストンマーティンが将来的なF1パワーユニット供給先の変更を検討するなか、メルセデスは同チームへの再供給に消極的な姿勢へと転じているという。ローレンス・ストロールはメルセデスとレッドブル・パワートレインズに接触したと報じられているが、いずれも前向きな反応を示していないとされる。

    アストンマーティンは2026年からホンダF1とワークス体制を構築したものの、新レギュレーション初年度は厳しい戦いが続いている。

    オランダGPで待望のアップデートが投入された後も、ホンダF1のパワーユニットによってラップあたり約1秒を失っているとの見方もあり、ストロールは2028年以降を視野に代替案を探っているという。

    メルセデスはアストンマーティンへの再供給に消極的
    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、2026年シーズン開幕戦オーストラリアGPを前に行われたチーム代表会見で、メルセデスとしてはアストンマーティンとのパートナーシップを2026年以降も継続する用意があったと説明していた。

    メルセデスは、アストンマーティンの前身であるフォース・インディア時代の2009年からパワーユニットを供給してきた。しかし、ローレンス・ストロールはカスタマーチームではなく事実上のワークスチームになる道を選択し、ホンダF1との提携に踏み切った。

    一方、アルピーヌは自社製パワーユニットによるワークス体制を終了し、メルセデスとのカスタマー契約を締結した。

    「アストンマーティンは長年にわたってメルセデスのカスタマーであり、パートナーでもあった。現在もロードカー部門にはエンジンやその他のコンポーネントを供給している。だから、アストンマーティンとの関係を終わらせるというのはメルセデス側の決定ではなかった」とヴォルフは語っている。

    「彼らはホンダ、そしてパートナーのアラムコとともにワークスチームになるという意識的な決断をしたのだと思う。だから我々は彼らを手放さなければならなかった」

    しかし、その後の状況は変化したようだ。

    イタリア版Motorsport.comのジャーナリスト、フランコ・ヌニェスによれば、現在のヴォルフはアストンマーティンとの新たなパートナーシップに積極的ではなく、レッドブル側も供給契約を結ぶ「意思」を示していないという。

    メルセデスは次のレギュレーションサイクルでカスタマーチームを2チームに限定したい意向とされており、ここからアストンマーティンを供給先に追加することは、その方針と一致しない。

    ストロールは2028年を視野に他メーカーへ接触
    ヌニェスは、ホンダF1側も現状を受けて大幅な改善が必要だと認識したと説明する。

    「私が把握しているところでは、ホンダはクオリティ面で大きな飛躍が必要だと認識した」

    「リスクとしてあったのは、ローレンス・ストロールが別のエンジンを探しに行く可能性だ。2027年ではない。すでにマシンの開発段階に入っており、すぐにエンジンを変更することは問題外だからだ。しかし、2028年を見据えた動きだ」

    「ストロールはあらゆるドアをノックしてみたが、他のメーカー側にはエンジンを供給しようという意思がそれほどなかった」

    仮にアストンマーティンがホンダF1との関係を終了し、新たな供給元を確保できなかった場合、レギュレーション上の仕組みによってパワーユニットメーカーが割り当てられる可能性もある。

    ヌニェスによれば、その場合には供給チーム数が最も少ないメーカーとしてアウディが候補になるという。ただし、アウディのパワーユニットについても現時点では競争力の面で大きく遅れているとの見方を示している。

    「レギュレーション上では、アストンマーティンにエンジンを供給する役割はアウディに回ることになる。供給しているチーム数が最も少ないメーカーだからだ。ただし、ドイツのエンジンもかなり遅れている」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    メルセデスとレッドブルへの接触はホンダへの圧力だった可能性
    一方で、ストロールがメルセデスやレッドブル・パワートレインズと接触した背景には、実際のパワーユニット変更だけでなく、ホンダF1にプレッシャーをかける狙いがあったとの見方も出ている。

    その動きが一定の効果をもたらした可能性もある。ホンダF1では最近、F1プロジェクトの責任者を務めてきた角田哲史氏が退任し、副責任者だった深尾洋一郎氏が10月から後任を務めることが発表された。

    ヌニェスは、シーズン終了を待たずに行われる今回の人事変更は、ホンダF1のさくら拠点における組織文化にも変化をもたらす可能性があると指摘する。

    「これは非常に重要なニュースだと思う」

    「通常、彼らがシステムや組織構造を変更するのはシーズン終了後だ。チャンピオンシップがまだ続いている段階で責任者を交代させたという事実は、明確な戦略変更を示している」

    さらに、前任者のマネジメントスタイルにも言及した。

    「前任の責任者は、あらゆることを完全にコントロールしたい人物だったと言われていたことも覚えておくべきだ。副責任者を昇格させることで、組織内部のエネルギーを解放し、新たなアイデアの波を生み出すことができるかもしれない。それはホンダにとってプラスになる可能性がある」

    アストンマーティンとホンダF1の契約は、2026年から始まったばかりだ。フェルナンド・アロンソもホンダF1の施設、人材、プロジェクトへの投資を挙げて「100%」信頼していると強調している。一方で、現在のパフォーマンス不足が長期化することへの懸念から、ストロールが2028年以降に向けた選択肢を探っているとの報道は続いている。

    かつてアストンマーティンとの関係継続に前向きだったメルセデスも、現在はカスタマー数を絞る方針から再提携に消極的とされ、レッドブル・パワートレインズも供給に前向きではないという。ホンダF1が組織変更と今後の開発によって性能差をどこまで縮められるかは、アストンマーティンの長期的なF1計画を左右する重要な要素になりそうだ。

  • リアム・ローソン フェルスタッペンの「感覚が鈍い」2026年F1マシン論に異論

    リアム・ローソン フェルスタッペンの「感覚が鈍い」2026年F1マシン論に異論

    リアム・ローソンは、2026年F1マシンについてマックス・フェルスタッペンが「ドライバーの入力に対して感覚が鈍い」と評したことについて、その主張の一部には理解を示しながらも、完全には同意できないとの考えを示した。

    夏休み中に手首を負傷したアイザック・ハジャーが回復を続けるなか、ローソンはF1オランダGPから一時的にレッドブル・レーシングへ昇格。一方、ローソンが離れたレーシングブルズには角田裕毅が入っている。

    ローソンと角田裕毅が短期間で2026年型F1マシンに適応
    ローソンはレッドブルで出場した3戦で7位、14位、6位という結果を残した。一方、角田裕毅は新世代マシンでのわずか2戦目となったF1イタリアGPでポイントを獲得している。

    2026年のF1マシンは、新しいパワーユニットの設計に伴い、高度なエネルギーマネジメントが求められる。

    こうした状況を踏まえ、レッドブルのフェルスタッペンは、現在のマシンについて「ドライバーの入力に対して感覚が鈍い」と表現。ローソンと角田裕毅がすぐに競争力を発揮できた背景には、2026年型マシンが以前よりドライブしやすくなっていることも関係しているとの見方を示していた。

    フェルスタッペンは、ドライバーがマシンによって「締め付けられている」ような状態にあり、本来の能力を発揮するうえで「抑え込まれている」とも語っている。

    ただしフェルスタッペン自身も「それでも良いラップをまとめ、攻めなければならない」と認めている。

    この見解について尋ねられたローソンは、フェルスタッペンが何を意味しているのかは理解できるとしながらも、必ずしも全面的には同意しなかった。

    「分からないね。一般的に言えば、マシンが単純になったわけではない。実際、どうドライブしなければならないか、エネルギーをどう扱うかという部分ではかなり複雑になっている」とローソンはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「エネルギーの扱い方という意味では、僕たち自身でコントロールできることが少なくなっている部分もあるので、言っていることは理解できる」

    「でも同時に、実際にこうしたマシンに途中から乗ったのは僕と裕毅だけなんだ」

    「新しいマシンに乗って、そこからペースを上げていくことがどういうものなのかを知っているのは僕たちだけだ。だから、間違いなく単純なことではない」

    ローソンは、2026年はチーム間のパフォーマンス差が以前より広がっていることが、途中からマシンに乗ったドライバーが短期間で結果を残しやすく見える一因かもしれないと説明する。

    「確かに、ペースを上げるという点ではそう言えるかもしれない。今年はチーム間のギャップが少し大きくなっている。最近はそこまで大きな差はなく、かなり接近していたからね」

    「だから、そういう見方をすれば『分かった。ペースを上げるのは少し簡単になっているのかもしれない』と言うことはできる」

    「でも、僕が自分の(レーシングブルズの)マシンで、この1年半の間に慣れてきたものや、気に入っているものはたくさんある。それをこういうマシンに乗って、そのまま適用できるわけではないんだ」

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)

    レッドブルとレーシングブルズの違いに苦戦
    ローソンはさらに、自身が普段ドライブするレーシングブルズでは当たり前になっていた細かな部分が、現在乗っているレッドブルのコックピットには存在しないと説明した。

    それは単純なマシン性能だけではなく、ドライバーが長い時間をかけて築いてきた好みや操作感にも関係しているという。

    「ここ数戦では、僕にとってあまり快適ではない部分があって、そこを何とかドライビングで補おうとしてきた」

    「そういうものは、紙の上で見ればすぐに分かるような単純なことではない」

    「本当にドライバー個人の問題なんだ。誰にでも、自分のマシンのなかで快適だと感じるものがあるからね」

    「だから、どのマシンも飛び乗ってドライブすること自体はできるし、ある程度のペースまで持っていくのは比較的簡単なのかもしれない」

    「でも、この数週間、僕が理解しようとしてきたのはそういう部分なんだ。僕のマシンとは違うところだからね」

    ローソンは、2026年型F1マシンではエネルギーマネジメントなどドライバーが直接コントロールできない領域が増えたというフェルスタッペンの指摘には一定の理解を示した。一方で、レーシングブルズからレッドブルへ実際に乗り換えた経験から、異なるマシンへ短期間で適応する作業そのものが簡単になったわけではないと強調した。

  • レッドブルF1 RB22に深刻な性能低下問題 メキース「2027年にも残る」

    レッドブルF1 RB22に深刻な性能低下問題 メキース「2027年にも残る」

    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、RB22が走行を重ねるにつれてパフォーマンスを失っていく問題を抱えていることを認め、その解決には時間がかかるとの見通しを示した。問題は2026年F1シーズン中に完全には解消されず、2027年まで持ち越される可能性があるという。

    マックス・フェルスタッペンは以前から、セッションやレースが進むにつれてRB22の挙動が悪化し、マシンをコントロールすることが難しくなると訴えてきた。

    メキースはその指摘が正しいことを認め、単純な部品の不具合ではなく、より複雑な問題としてチームが調査を続けていることを明かした。

    フェルスタッペンが訴えてきたRB22の性能低下
    「セッション中やレース中にマシンのパフォーマンスが低下していく問題があるとマックスが言っていることについては、彼が正しいと思う」

    メキースはそう語り、フェルスタッペンが数カ月にわたって指摘してきたRB22の問題を認めた。

    この現象は、単発の故障や特定の部品の明確な不具合というものではない。走行を重ねるにつれて徐々にパフォーマンスが失われ、その影響がラップを重ねるごとに大きくなっていくという。

    フェルスタッペンは夏休み明けにも、レースが進むにつれてマシンそのものが「劣化」していくように感じられ、ドライビングが次第に難しくなると説明していた。

    ハンガリーでは再びマシンのコントロールに苦しみ、F1イタリアGPが行われたモンツァでも、フリー走行から決勝までリアアクスルの挙動について繰り返し不満を訴えていた。

    可動式リアウイングとは別の空力損失
    メキースによれば、レッドブルは空力面でのパフォーマンス低下を確認している。ただし、それは可動式リアウイングの作動に関連したものではなく、問題の原因は当初考えられていた以上に複雑だという。

    「これは新しい問題ではないという彼の指摘も正しい。この件について我々が何もせずにいたわけではなく、さまざまな方法で対処しようとしてきた」

    「もちろん、私はこれを複雑な問題だと考えている。そうでなければ、すでに解決できているはずだからだ」

    問題をさらに難しくしているのが、部品の品質や性能の一貫性だという。同一仕様の部品であっても、それぞれのパフォーマンスに違いが生じるケースがあり、2026年には複数のF1チームが同様の現象を確認しているとされる。

    期待された性能を部品が発揮できなければ、そのままラップタイムの損失につながる。場合によっては部品を交換する必要もあり、コストキャップ下では予算面にも影響を及ぼすことになる。

    「マシンのパフォーマンスを構成する要素のひとつが、時として最適なレベルを維持できていないということだ」

    「我々が話しているのは、ラップタイムに大きな影響を与える問題だ」

    レッドブル・レーシング

    問題を抱えながらもフェルスタッペンは結果を残す
    それでもフェルスタッペンは、RB22がシーズンの多くで上位勢に対して苦戦する状況のなか、6回の表彰台を獲得している。

    F1スペインGPでも、序盤の展開からは表彰台獲得が難しい状況に見えたが、ルイス・ハミルトンのリタイアとバーチャルセーフティカー(VSC)のタイミングも追い風となり、最終的に2位でフィニッシュした。

    レッドブルとしても問題を放置しているわけではない。マドリンクで行われたF1スペインGPの週末には、問題を理解するうえでいくつかの前進があったとメキースは説明する。

    「週末を通じて、その点ではいくつか前向きなステップを踏むことができた」

    「突然すべてを完全に理解できるようになることはないが、理解という面では確実に前進している」

    「2027年にも残る問題になるだろう」
    ただし、レッドブルがすでに完全な解決策を見つけたわけではない。メキースは、現在把握している改善策のすべてをRB22に適用できているわけではないと説明した。

    「まだすべての解決策をマシンに適用できているわけではないが、正しい方向に進んでいると信じている」

    そして、短期間で問題が消える可能性については慎重な見方を示した。

    「すぐに解決できるようなものではない。だから、おそらく来年も我々に残る問題になるだろう」

    レッドブルにとって、RB22で表面化しているパフォーマンス低下は、2026年シーズンだけで完結する問題ではなくなりつつある。

    フェルスタッペンが以前から訴えてきた症状についてチーム側も認識を共有し、原因の理解は進んでいるものの、完全な解決には至っていない。レッドブルは残る2026年F1シーズンで改善を進めながら、2027年に向けてもこの問題への対策を継続することになりそうだ。

  • マックス・フェルスタッペン F1王座迫るアントネッリに助言「考えすぎるな」

    マックス・フェルスタッペン F1王座迫るアントネッリに助言「考えすぎるな」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年のF1ドライバーズ選手権で首位を独走するキミ・アントネッリに対し、「ストレスを感じすぎる必要はない」とアドバイスした。現在のアントネッリについて「絶好調だ」と評価し、今やっていることをそのまま続ければいいと語った。

    20歳のアントネッリは今季ここまで8勝を挙げ、メルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけてランキング首位に立っている。

    8勝は、ラッセルがF1通算166戦で記録している7勝をすでに上回る数字だ。フェラーリのルイス・ハミルトンには101ポイント差をつけている。

    フェルスタッペン「キミは今やっていることを続ければいい」
    自身初のF1ワールドチャンピオン獲得へ近づいているアントネッリに何かアドバイスはあるかと尋ねられたフェルスタッペンは、若きイタリア人の現在の戦い方を高く評価した。

    「キミは今やっていることをそのまま続ければいい。素晴らしいし、本当にうまくいっている。あまりストレスを感じすぎる必要はないし、実際に彼がそうしているとも思わない」

    「彼はただ結果を出し続けている。自信もあるし、どんどん経験を積んでいる」

    「まだ若いし、キャリアも本当に始まったばかりだけど、今は絶好調だ。すべてがうまく機能している」

    フェルスタッペンは、タイトルを意識するあまり、それまで機能していたアプローチを変える必要はないと考えている。

    「だから、物事を複雑に考えすぎる必要はない。実際、彼はそうしていない。周囲には彼に何が必要なのかを理解している優秀な人たちがたくさんいる。だから、すべてがうまくいっている」

    マックス・フェルスタッペンとアンドレア・キミ・アントネッリ

    ヴォルフ「4度の王者と比較すべきではない」
    フェルスタッペンの発言は、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが繰り返してきた考えとも重なる。ヴォルフは、まだF1参戦2年目のアントネッリをフェルスタッペンのような実績ある王者と比較し、過度な期待を背負わせることに慎重な姿勢を示している。

    「4度のワールドチャンピオンと、F1参戦2年目で、まだ勝利数も一桁のドライバーを比較することはできない。それに、キミに過度なプレッシャーをかけるべきではない」

    またヴォルフは、タイトル争いの先頭に立ちながらアントネッリが冷静さを保っている理由として、その若さと生まれ持った気質を挙げた。

    「20歳という若さは彼にとって大きな助けになっている。このスポーツであと20年走ることだってできるし、これから非常に多くのチャンスがある」

    「彼は我々の期待も、自分自身の期待もはるかに上回っている。ただ流れに乗っているんだ。そこには遺伝的な要素もあると思う。生まれつき冷静な人間なのか、そうではないのかということだ」

    昨年の経験から「プレッシャーを受け入れる」
    アントネッリ自身も、F1でタイトルを争う重圧との向き合い方について語っている。

    ルーキーだった2025年には、ヨーロッパラウンドで苦しい時期を経験した。その経験を踏まえ、今季はプレッシャーから逃れようとするのではなく、受け入れることを意識しているという。

    「できる限りプレッシャーを受け入れるようにしている。昨年のヨーロッパラウンドのように、プレッシャーに自分を壊されたくないからだ」

    8勝を挙げてランキング首位を走るアントネッリに対し、4度のF1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンが伝えたのは、タイトルを意識して何かを変えるのではなく、現在のアプローチを貫くことだった。残るシーズンでアントネッリが重圧をどうコントロールするかも、初タイトル獲得に向けた焦点となる。

  • アイザック・ハジャー F1復帰を阻む手首骨折の負担 ロズベルグ「想像以上に過酷」

    アイザック・ハジャー F1復帰を阻む手首骨折の負担 ロズベルグ「想像以上に過酷」

    アイザック・ハジャーは、夏休み中のトレーニングで左手首を骨折して以来、レッドブル・レーシングのF1マシンに戻れていない。F1アゼルバイジャンGPでの復帰が期待されるなか、2016年F1王者のニコ・ロズベルグが、手首の負傷がF1ドライバーにとって特に厄介な理由を説明した。

    ハジャーは夏休み中に手首を負傷し、F1オランダGPを欠場。その後も復帰には至らず、イタリアGP、スペインGPと3戦連続で欠場した。

    レッドブルは「100%」を復帰の条件に
    スペインGPが行われたマドリンクで、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、ハジャーの状態と本人の感覚を最優先していると説明した。

    「簡単な判断だった。彼は100%だと感じていなかった。それが我々が用いた唯一の基準だ。100%なのか? そこから先の判断は簡単だった」

    「我々は常に、100%健康な状態での復帰を最優先すると言ってきた。それに基づいて判断した」

    レッドブルは現在、ハジャーが次戦F1アゼルバイジャンGPに出場できるまで回復することを期待している。

    最終的な判断を下す前にはシミュレーターを使用し、F1マシンをドライブする際にかかる身体的な負荷に耐えられるかを確認する予定だ。

    現時点でバクーでの復帰は確定していない。市街地コースであるバクーはコース脇にウォールが迫り、ミスをした際の衝撃も考慮する必要がある。

    ロズベルグ「手首を負傷した状態でF1を運転するのは本当にひどい」
    ロズベルグは、ハジャーの復帰に時間がかかっている理由について、F1マシン特有の身体的な負荷を挙げた。

    比較対象となるのがランス・ストロールだ。ストロールは2023年、サイクリング中の事故で右手首を骨折したものの、わずか2週間後にはF1マシンに復帰した。

    ただし、ストロールは2025年にも手首の問題を抱え、詳しい内容は明らかにされなかったものの、再び手術を受けてスペインGPを欠場している。

    「手首を負傷した状態で運転するのは本当にひどい」とロズベルグは語った。

    「数年前にランス・ストロールがやってのけたのを見た。信じられないことだった。でも、ダウンフォースによる負荷などを考えると、本当に過酷なんだ。彼は痛みを乗り越えて走っていて、みんなが驚いていた」

    特に大きな問題になるのがブレーキングだという。ドライバーは減速時に大きな前後方向のGを受け、その力に対抗するためステアリングを強く支える必要がある。

    「そして、あまり考えないかもしれないけど、ブレーキングでは身体がシートベルトに対して前方へ押し出される」

    「そこでステアリングを使って身体を支えなければならない。そうしなければ身体が前へ行ってしまうし、当然ながらシートベルトだけに身体を預けたくはない」

    「だからステアリングにものすごく強い力をかけなければならない。でも、手首を骨折していたらそれはできない。痛みがあまりにも強すぎるからだ」

    アイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)

    バクー復帰はシミュレーターで最終判断
    F1スペインGPの週末にはハジャー本人もマドリンクを訪れていたが、負傷の回復状況について公の場ではコメントしなかった。レッドブルはメディアに対し、ハジャーの負傷について本人へ質問しないよう求めていた。

    一方、メキースは回復そのものに問題はなく、この種の負傷として通常の経過をたどっていると説明している。

    「アイザックの回復には何の問題もない。この種の負傷として、基本的には通常の回復期間だと理解している」

    「だから我々は同じアプローチを続ける。バクーに向けて状態を評価し、彼がどう感じているかを確認したうえでシミュレーターに乗せ、実際に近い負荷をかける」

    「100%に近いと感じられれば、挑戦する。まだ回復が完了していないと本人が感じるのであれば、我々はこれまでの方針を貫き、回復を最優先する」

    ハジャーにとって重要なのは、単に骨折箇所が回復することだけではない。強烈なブレーキングやステアリング操作を繰り返しても痛みなく走り切れる状態まで戻す必要がある。レッドブルはシミュレーターでその状態を確認したうえで、F1アゼルバイジャンGPでの復帰可否を決めることになる。

  • 角田裕毅 F1シート喪失時のヘルムート・マルコを回想「彼もかなり落胆していた」

    角田裕毅 F1シート喪失時のヘルムート・マルコを回想「彼もかなり落胆していた」

    角田裕毅が、2025年限りでF1のレギュラーシートを失うことをヘルムート・マルコから直接告げられた当時を振り返った。長年にわたって自身のキャリアを支えてきたマルコも、その決定に「かなり落胆していた」という。

    2021年にアルファタウリからF1デビューを果たした角田裕毅にとって、マルコは単なるレッドブルのモータースポーツアドバイザーではない。17歳の頃から自身を見いだし、レッドブル・ジュニアチーム、そしてF1へと導いた人物だった。

    マルコ本人から告げられたF1シート喪失
    角田裕毅は2025年、開幕時にはレーシングブルズから参戦していたが、リアム・ローソンがわずか2戦でレッドブル・レーシングのシートを失ったことで、第3戦からその後任として昇格した。

    しかし、マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして苦戦を強いられ、レッドブルで獲得したポイントは30点にとどまった。シーズン終了後、チームは2026年にアイザック・ハジャーを昇格させることを決定。角田はレギュラーシートを失うことになった。

    『Beyond The Grid』で角田裕毅は、その決定をマルコ本人から直接伝えられたと明かした。

    「今でもその瞬間を覚えています。僕に直接伝えたのはヘルムートでした」

    「ヘルムートは僕をF1に連れてきてくれた人ですし、その前にレッドブルのジュニアプログラムにも入れてくれた人です。17歳の頃からずっと一緒でした」

    レッドブルの若手育成を長年率いてきたマルコと角田の関係は、F1に昇格する以前から続いていた。それだけに、レギュラーシート喪失を告げる場面では、マルコ自身にも複雑な感情があったという。

    「そのとき、彼もかなり落胆していたのを覚えています。そして、それを伝えられたとき、僕自身はそこまで大きな落胆とか、打ちのめされたような感覚はありませんでした」

    「2025年はこれまで以上に戦った」
    もちろん、角田裕毅にとってF1シートを失うことが何でもなかったわけではない。ただ、その結末はある程度予想していたという。

    「もちろん、翌年にレースをできないことには落胆していましたし、かなり悲しかったです。でも、予想していなかったわけではありませんでした。なぜなのかは分からないですけど、何となく……」

    角田は2025年を、自身のキャリアの中でも特に厳しく戦ったシーズンだったと振り返る。

    「本当に懸命に戦いました。2025年は、それまで以上に戦ったと思います。今振り返っても、それほど後悔はありません。すべてを出し切りました」

    「もちろん、カタールで聞かされた結果は僕が望んでいたものではありません。でも、本当にすべてを出し切ったので、それが結果なのであれば、受け入れなければならないと思いました」

    角田にとって重要だったのは、結果そのものだけではなく、自分にできることをやり切ったという感覚だった。レッドブルではフェルスタッペンとの差に苦しみ、厳しい評価にもさらされたが、それでも2025年を振り返って大きな後悔はないと語っている。

    角田裕毅(レッドブル・レーシング)

    ハース移籍の可能性も実現せず
    角田裕毅は2026年もF1に残ることを望み、ハースから関心を寄せられていた。しかし当時、レッドブル側が翌年のドライバーラインアップをまだ確定させていなかったこともあり、移籍は実現しなかった。

    結果として角田は2026年をレッドブル・レーシングのリザーブドライバーとしてスタートした。

    それでも、F1への道が完全に閉ざされたわけではなかった。夏休み中に手首を負傷したアイザック・ハジャーが欠場したことでドライバーの入れ替えが発生し、リアム・ローソンがレッドブル・レーシングへ移動。角田はレーシングブルズからF1復帰を果たした。

    ザントフォールト、モンツァ、マドリンクでのF1スペインGPと3戦に出場し、再びグリッド上で自身の力を示す機会を得た。

    2027年のF1シート獲得を目指す角田裕毅
    一度はレギュラーシートを失った角田裕毅だが、F1でのキャリアを終える考えはない。

    2026年の代役参戦を経て、現在は2027年のレギュラーシート獲得を目指している。レッドブル陣営での今後だけでなく、他チームの候補としても名前が取り沙汰されており、キャデラックのシートをめぐる動向でも候補のひとりとして報じられている。

    17歳の頃から自身を支え、F1への道を開いたマルコから告げられた2025年末のシート喪失。角田裕毅にとって厳しい瞬間だったことは間違いないが、「すべてを出し切った」と振り返るその経験を経て、現在は再びF1のレギュラーシートを取り戻すことに照準を合わせている。

  • レッドブルF1代表 ホンダへの特別救済措置を支持「必要なら解決策を見つける」

    レッドブルF1代表 ホンダへの特別救済措置を支持「必要なら解決策を見つける」

    ホンダF1が抱えるパフォーマンス不足をめぐり、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースが、FIAによる支援策の導入に理解を示した。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムはF1スペインGPが開催されたマドリードで、アストンマーティン・ホンダの状況を改善するため、FIAに何ができるのかフェルナンド・アロンソに説明するよう求めたことを明らかにしていた。

    アロンソが2027年以降もF1を続けるかどうか決断を保留しているなか、ホンダF1のパワーユニットの競争力不足が、その判断を左右する要素のひとつになっていると報じられている。

    メキース「スポーツのために全チームが賛成した」
    ホンダF1の折原伸太郎はその後、状況を一変させるような「魔法の解決策」はないとの考えを示し、あくまで自社の開発プログラムに集中していることを強調した。

    一方、ローラン・メキースは『La Gazzetta dello Sport』に対し、大きく後れを取ったメーカーを支援するため、F1が全体として対応した前例がすでに存在すると指摘した。

    「今年の初めにも、大きく後れを取ったところを助けるため、まさにADUOのレギュレーションに最初の変更が加えられた」

    「スポーツ全体の利益のため、全チームがそれに賛成した」

    さらにメキースは、各チームの利害が必ずしも一致しないF1においても、必要な場合には共通の解決策を見いだすことは可能だと語った。

    「すべてについて意見が一致するわけではない。だが、解決したり支援したりする必要がある状況なら、我々は解決策を見つける」

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    ヴォルフも公平性を条件に支援策を支持
    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフも、同様の考えを示している。競争の公平性が保たれ、選手権全体の利益につながるのであれば、ホンダF1を含めた競争力の低いパワーユニットメーカーに対する調整について議論すること自体は妥当だとの立場だ。

    2026年からF1のパワーユニット規則は大幅に変更され、各メーカーの間にはパフォーマンス差が生じている。こうした格差を一定の条件下で縮小するための仕組みとして導入されているのがADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)である。

    ビン・スライエムがさらなる対応の可能性に言及したことで、ホンダF1に追加の開発機会などを認めるべきかどうかが新たな焦点となっている。

    とりわけアストンマーティンにとって状況は重要だ。ホンダF1のパワーユニットの競争力不足が続くなか、その改善速度はチームの今後だけでなく、アロンソが2027年もF1に残るかどうかを判断する材料のひとつになるとみられている。

  • 角田裕毅 レッドブルF1時代の最大の過ち「フェルスタッペンのセットアップを模倣」

    角田裕毅 レッドブルF1時代の最大の過ち「フェルスタッペンのセットアップを模倣」

    角田裕毅は、2025年にレッドブル・レーシングで苦戦した原因を振り返り、マックス・フェルスタッペンのマシンセットアップを再現しようとしたことが「最大の過ちだった」と明かした。

    リアム・ローソンに代わってレッドブルのシートを手にした角田裕毅だったが、RB21への適応には最後まで苦しんだ。本人によれば、それまで自分のドライビングスタイルを変えようと考えたことはほとんどなかったものの、フェルスタッペンと同じチームで走ったことで初めてその考えが揺らいだという。

    フェルスタッペンに近づこうとして犯した「最大の過ち」
    角田裕毅は『Beyond The Grid』で、自身のドライビングに対する考え方について語った。

    「正直に言えば、僕は自分のドライビングスタイルを変えないくらいのエゴを持っています。ドライビングについて自分が何をしているのかは分かっていますし、自分自身を信じています」

    「だから、相手がどれだけ競争力があって速いドライバーだったとしても、他のドライバーに合わせて自分のドライビングスタイルを変えようとしたことはありませんでした」

    しかし、相手がフェルスタッペンとなると状況は違った。

    「もちろん、マックスの場合はまったく別です。彼はワールドチャンピオンですし、多くのことを証明しています。僕も彼のドライビングから今でも多くのことを学んでいます」

    「それでも、僕のドライビングの基本的な部分は変わりません。ただ、たぶんレースを始めてから初めて、自分のドライビングスタイルを変えて、マックスに似たことをやってみようと考えました」

    角田裕毅は、データ上ではフェルスタッペンとのドライビングそのものに極端な違いがあるようには見えなかったという。そのため、より大きな問題として目を向けたのがマシンのセットアップだった。

    「僕の視点では、データだけを見れば、ドライビングにものすごく大きな違いがあるようには見えませんでした」

    「僕が一番やってしまったこと、そして今になって考えると昨年最大の過ちだったと思うのは、彼がやっているセットアップを再現しようとしたことです」

    オーバーステアに苦しみながらさらに敏感な方向へ
    フェルスタッペンは、方向転換に対して非常に敏感なマシン特性を好むことで知られている。角田裕毅は、自分のマシンですでに強いオーバーステアを感じていたにもかかわらず、フェルスタッペンに近いセットアップを選択することがあったと振り返る。

    「自分のマシンがマックスのマシンよりもかなり強いオーバーステアだと感じているときでさえ、理論的には方向転換に対してさらに敏感にすればマシンを悪化させると分かっているのに、そのセットアップを選ぶ傾向がありました」

    「すでにオーバーステアに苦しんでいたにもかかわらずです」

    フェルスタッペンの速さを理解しようとするあまり、自分自身が必要としていたセットアップとは異なる方向へマシンを進めてしまったというのが、角田裕毅が現在下している分析だ。

    角田裕毅 レッドブル・レーシング

    「最後まで何のクルマを運転しているのか分からなかった」
    さらに角田裕毅は、レッドブルで経験した問題について、2025年シーズンが終了した後も完全には理解できていないと明かした。

    「普通なら、自分が運転しているマシンについて、どんな特性なのかを理解することができます」

    「でも、アブダビが終わった後でさえ、自分が何のクルマを運転していたのか分からないような感覚でした。何が問題だったのか、何が原因でこのマシンについて学んだり、慣れたりすることにあれほど苦労したのか、今でも理解できていません」

    角田裕毅によれば、常に自信を失っていたわけではない。それでも週末によって突然マシンへの信頼感がなくなることがあり、その理由を突き止めることができなかったという。

    「自信はあると感じていました。でも、いくつかのレースでは、なぜかその自信を失ってしまいました」

    「正直に言って、今でもあのマシンについて理解できていません」

    2025年限りでレッドブルのレギュラーシートを失った角田裕毅は、2026年にはリザーブドライバーを務め、その後アイザック・ハジャーの負傷に伴うドライバー変更によってレーシングブルズからザントフォールト、モンツァ、F1スペインGPの3戦に出場した。

    2027年のF1グリッド復帰を目指す角田裕毅にとって、フェルスタッペンのセットアップを追いかけ、自分に合った方向性を見失った2025年の経験は、今後のマシン作りやドライビングに生かすべき大きな教訓となっている。

  • リアム・ローソン レッドブルF1復帰3戦で評価一変「2025年とはまったく違う」

    リアム・ローソン レッドブルF1復帰3戦で評価一変「2025年とはまったく違う」

    2025年にはわずか2戦でレッドブル・レーシングのシートを失ったリアム・ローソンが、約1年半を経てその評価を大きく変えた。負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブルに復帰した直近3戦では、ザントフォールトで7位、2026年F1第14戦スペインGPで6位に入り、ローラン・メキース代表から「非常に力強い」と高い評価を受けている。

    2025年の最初のレッドブル在籍時には予選で18番手、20番手と苦戦し、わずか2戦でレーシングブルズへ戻されたローソン。

    しかし、経験を積んで戻ってきた今回は、グリッド降格の影響を受けなかった2戦でともに予選8番手を獲得するなど、当時とは明らかに異なるパフォーマンスを披露している。メキースも「2025年の最初の2戦とはまったく違う姿」と、その変化を強調した。

    「2025年の最初の2戦とはまったく違う」
    「彼はとてもいい仕事をしたと思う。我々全員が、違うチーム、違うマシンに突然乗ることがどれほど難しいか分かっている。そのなかで、彼は我々が期待できる最大限の仕事をしてくれたと思う」

    メキースはスペインGPでの6位だけでなく、ローソンが代役を務めた3戦すべての内容を評価している。

    「今日は6位で非常に重要なポイントを獲得した。ザントフォールトでも同じようにポイントを獲得したし、モンツァでもニコ(ヒュルケンベルグ)との接触とフロントウイングのダメージがなければ、同じような結果を残していたはずだ」

    「だから、彼は非常にいい仕事をしたと思う。2025年の最初の2戦でチームにいたときとは、まったく違う姿だ。我々としては感謝しているし、とても満足している」

    ローソンは2025年開幕時にレッドブルへ昇格したものの、オーストラリアGPと中国GPのわずか2戦でレーシングブルズへ戻された。当時は予選で18番手と20番手に終わり、中国GPのスプリントでも20番グリッド。2戦ともポイントを獲得できなかった。

    一方、今回のレッドブル復帰では状況が大きく変わっている。グリッド降格の影響を受けなかったザントフォールトとスペインでは、いずれも予選8番手を獲得。決勝ではそれぞれ7位、6位に入り、チームにポイントをもたらした。

    モンツァでは多数のパワーユニットコンポーネント交換によるグリッド降格を受け、さらに決勝でヒュルケンベルグと接触してフロントウイングを損傷したため、本来の結果を残すことができなかった。

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    経験を積み「非常に落ち着いたドライバー」に
    メキースは、2025年のレッドブル在籍時から約1年半を経て、ローソン自身がドライバーとして成長したことも今回のパフォーマンスにつながっていると分析する。

    「彼はドライバーとして成長し続けていると思うし、マシンの中では非常に落ち着いていて、とても集中している」

    「意識的にそうしているのかどうかは分からないけど、チームとのやり取りや、自分自身のパフォーマンス、マシンのパフォーマンスへの向き合い方を非常にシンプルに保つことができている」

    ローソンが特に重視しているのは、細部に踏み込む前に基本的な部分を確実に仕上げることだという。

    「彼は本質的な部分に集中している。まず基本を正しくやろうとしていて、それが彼にとってうまく機能している。当然、マシンに乗る時間が増えれば、さらに細かい部分まで突き詰められるようになるだろう」

    「でも、彼のそのアプローチは非常に、非常に力強いと思う」

    ローソンにとって今回の代役は決して簡単な条件ではなかった。ザントフォールトではスプリントを含む週末に途中加入し、スペインGPではF1初開催となったマドリンクでRB22を走らせなければならなかった。それでも短期間で適応し、マックス・フェルスタッペンとのペース差でも一定の競争力を示した。

    アイザック・ハジャーは夏休み中に負った左手首の負傷から回復を続けており、ローソンが次戦でもレッドブルをドライブするかはまだ決まっていない。ただ、2025年にはわずか2戦で降格を告げられたローソンが、約1年半後の復帰では結果を残してチーム代表から称賛を受けるまでに評価を変えた。今回の3戦は、ローソンにとってレッドブルでの印象を塗り替える機会となった。

  • 角田裕毅 レッドブルF1時代の苦悩を告白「人生を楽しめていなかった」

    角田裕毅 レッドブルF1時代の苦悩を告白「人生を楽しめていなかった」

    角田裕毅は、2025年にレッドブル・レーシングでマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務めた時期を振り返り、キャリアで最も厳しい1年だったと明かした。シーズン後半にはレースを離れても疲労が抜けず、「人生を楽しめていない」と感じるほど精神的に追い込まれていたという。

    2026年にレーシングブルズからF1復帰を果たした角田裕毅は、その経験を乗り越えたことで、現在はプレッシャーの大きな状況でも以前より落ち着いて対処できるようになったと語っている。

    「2025年は間違いなくキャリアで最も厳しい年でした」
    レッドブルのセカンドシートは長年、ドライバーにとって難しいポジションとなってきた。ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、セルジオ・ペレス、リアム・ローソンはいずれもフェルスタッペンと同じチームで苦戦を経験した。

    2025年序盤にはローソンがわずか2戦でシートを失い、代わって角田裕毅がレッドブルへ昇格した。しかし、角田はそれまでRB21をドライブした経験がなく、シーズン途中から厳しい状況に飛び込むことになった。

    角田はシーズンを通じて苦戦し、ドライバーズランキング17位で終了。一方、フェルスタッペンはタイトル争いを最終盤まで続け、わずか2ポイント差でランキング2位となった。

    『Beyond The Grid』のポッドキャストで、角田はフェルスタッペンとの差を縮めようと取り組み続けた当時について語った。

    「間違いなく、2025年は僕のキャリアで最も厳しい年でしたし、本当に多くのことを学びました」

    「僕はおいしいものを食べたりすれば、レースとレースの間で気持ちをリセットできるタイプなんです。でも、特にシーズン後半になると、本当に苦しくなってきました。なぜか家に帰っても、すごく疲れ切っているように感じていました」

    好きなことをしても「エネルギーが戻ってこなかった」
    それまでの角田であれば、好きな食事をしたり、自分が楽しめることをしたりすることで気持ちを切り替えられていた。しかし、2025年後半には、それまで通用していた方法でも回復できなくなったという。

    「普段なら、自分の好きなものを食べたり、好きなことをしたりすればリセットできて、またエネルギーが戻ってくるんです。でも、そのエネルギーが戻ってくる感じがまったくありませんでした。それでもレースは次から次へと続いていきました」

    「本当に浮き沈みが激しくて、ある時、自分自身で『人生をあまり楽しめていないな』と気づいたんです。今の状況を楽しめていないというか、おそらくF1をドライブすること自体も、最初の3年間ほど楽しめていませんでした」

    そこで角田は、レース以外の時間に自分自身の状態を改善する方法を探し始めた。

    「本当に厳しい時期でした。それでレース以外のところで、この問題をどう解決すればいいのか、自分に何ができるのかを考えました」

    「振り返ってみて、食事とかそういうもの以外に、自分を幸せにしてくれるものは何だろうって考えたんです。普段なら友達なんですけど、僕の友達はほとんど日本にいます。それで『そうか、自分は日本から離れているんだ』と改めて気づきました」

    「そんなことは、おそらくF3に参戦した最初の年以降、一度も考えたことがありませんでした」

    角田裕毅(レッドブル・レーシング)

    心理面でもサポート「自分自身を見つめる機会になった」
    自分だけで解決するのは簡単ではなく、角田は心理面を含め、周囲からさまざまなサポートを受けたという。

    「これは厳しい、自分自身で解決しなければならない問題だと思いました。心理面のサポートやトレーナーなど、いろいろなところからかなり助けてもらいました」

    「ただ、シーズン後半はレーススケジュールもかなり忙しかったので、本当に大変な時期でした。でも同時に、あの1年は、それまでのどの年よりも自分自身を深く見つめる機会を与えてくれたと思っています」

    2025年限りで角田はレギュラーシートを失った。2026年はアイザック・ハジャーがレッドブルへ昇格し、アービッド・リンドブラッドがレーシングブルズからF1デビュー。角田は両チームのリザーブドライバーとなった。

    しかし、夏休み中にハジャーが左手首を負傷。ローソンがレッドブルで代役を務めることになり、空いたレーシングブルズのシートに角田が復帰した。

    ザントフォールトから直近3戦に出場した角田は、2025年の苦しい経験によって、自分は以前より強いドライバーになったと感じている。

    F1復帰ではプレッシャーを感じず「むしろ心地よかった」
    角田にとって今回の復帰も決して簡単な状況ではなかった。初めて乗るVCARB-03でいきなり実戦に臨み、レーシングブルズはコンストラクターズランキング5位を争っている。結果を求められる環境だった。

    それでも、2025年に経験したプレッシャーと比べれば、落ち着いて受け止めることができたという。

    「2025年ほどのプレッシャーや苦しさ、難しい時間を、これから経験することがあるのかは分かりません」

    「だから、今まで大きなチャレンジがあっても、なぜかそういうプレッシャーのかかる瞬間を楽しめるようになっていますし、すごく心地よく感じています」

    「一度もドライブしたことのないマシンにいきなり乗って、スプリント予選のフォーマットで、しかもレーシングブルズはすごく調子が良くてコンストラクターズランキング5位にいます。レースで失敗するわけにはいかないし、ポイントを獲りたいという状況でした」

    「でも、なぜか『大丈夫だ』という感覚でした。そこまで大きなプレッシャーは感じませんでした」

    そして、今後のキャリアで2025年より厳しい時期が訪れると思うかと問われると、角田は端的に答えた。

    「そうは思いません」

    レッドブルで結果を求め続け、F1を楽しむ感覚さえ失いかけた2025年。その経験は角田裕毅に大きな負担を与えた一方、自分自身と向き合い、プレッシャーへの対処法を身につける転機にもなった。現在のレーシングブルズでの復帰戦を落ち着いて戦えている背景には、キャリアで最も厳しかった1年を乗り越えた経験がある。