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  • レーシングブルズF1 イタリアGPで空力アップデート投入 角田裕毅が引き続き出場

    レーシングブルズF1 イタリアGPで空力アップデート投入 角田裕毅が引き続き出場

    レーシングブルズは、2026年F1第13戦イタリアGPに向けて新たな空力アップデートを投入する。モンツァはチームにとってホームレースであり、左手首の負傷から回復途上にあるアイザック・ハジャーに代わって、角田裕毅が引き続きマシンをドライブする。

    前戦オランダGPで急きょレーシングブルズに復帰した角田裕毅について、チーフテクニカルオフィサーのティム・ゴスは適応力を高く評価。モンツァでも問題なくマシンに適応できるとの自信を示した。

    2026年F1マシンで迎えるモンツァの新たな課題
    「2026年シーズンのヨーロッパラウンドは、モンツァで行われるイタリアGPへと続く。我々VCARBにとってホームレースだ」

    ティム・ゴスはそう語り、モンツァ特有の要求について説明した。

    「モンツァは長いストレート、強いブレーキングゾーン、シケイン、そしていくつかの中高速コーナーで知られている。伝統的に、各チームはコーナリングスピードとストレートスピードのバランスを最適化するため、低いダウンフォースレベルを選択してきた。しかし、2026年にレギュレーションが大幅に変更されたことで、このサーキットはまったく新しい課題をもたらすことになる」

    2026年のF1ではパワーユニットの電動化比率が大幅に高まり、ストレートの長いモンツァでは、単純な最高出力だけでなく電気エネルギーをいかに効率良く使うかが重要になる。

    「サーキットの特性として、依然としてパワーユニットの性能と空力効率が重要になる。しかし、今シーズンはハイブリッド化がさらに進んでいるため、ストレートでのスピードを最大化するために、パワーユニットの電気系コンポーネントのエネルギー効率を最適化することが我々の焦点になる」

    ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム イタリアグランプリ

    空力アップデートで効率改善を狙う
    レーシングブルズはイタリアGPに向け、VCARB-03にさらなる空力アップデートを投入する。

    特に重要になるのが、コーナリング時に必要なダウンフォースと、ストレートでドラッグを減らして最高速を伸ばす性能の両立だ。

    「シャシーについては、さらにいくつかの空力アップデートを導入する。全体的なパフォーマンスを引き上げることに加えて、コーナリングモードからストレートモードへ移行した際の揚抗比を改善することが目的だ」

    2026年型F1マシンではアクティブエアロが導入されており、コーナリングモードとストレートモードを使い分ける。高速区間の比率が非常に高いモンツァでは、この切り替えを含めた空力効率がラップタイムを大きく左右することになる。

    C3からC5の最もソフトな組み合わせ
    ピレリはイタリアGPにC3、C4、C5という最もソフト寄りの3種類のコンパウンドを持ち込む。

    ゴスは3種類すべてが決勝で使用可能な選択肢になると予想し、タイヤデグラデーションの管理次第で1ストップと2ストップの両方が考えられるとしている。

    「ピレリは最もソフトな組み合わせとなるC3、C4、C5を持ち込む。いずれもレースで使用可能な選択肢になるはずだ。タイヤのデグラデーションを各チームがどれだけうまく管理できるかによって、戦略は1ストップまたは2ストップになると考えている」

    角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    角田裕毅がイタリアGPでも続投
    レーシングブルズでは、ハジャーが左手首の負傷から引き続き回復を進めているため、角田裕毅がイタリアGPでも出場する。

    角田裕毅は前戦オランダGPで急きょレーシングブルズに復帰。限られた準備期間のなかでVCARB-03への適応を進めた。

    ゴスは、その適応ぶりを高く評価している。

    「パッケージから最大限のパフォーマンスを引き出す方法を見つけるため、忙しい週末になると予想している。アイザックがまだ手首の負傷から回復しているため、裕毅が引き続き我々のマシンをドライブする」

    「彼は先週、見事に適応してくれた。今週末も同じように適応してくれることを我々はまったく疑っていない」

    レーシングブルズにとってホームレースとなるイタリアGPでは、角田裕毅のさらなる適応とともに、新しい空力アップデート、そしてモンツァ特有の長いストレートに合わせた電気エネルギーの使い方が重要なポイントとなる。

  • アウディF1 R26を大幅刷新へ バクーで「完全に異なる」マシン

    アウディF1 R26を大幅刷新へ バクーで「完全に異なる」マシン

    アウディF1は、2026年型マシン「R26」の開発を継続し、アゼルバイジャンGPで大規模な空力アップデートを投入する。チーム内部からは、バクーではマシンが「完全に異なる」外観になるとの声も出ている。

    すでに開発リソースの多くは2027年型マシンへ移行しているが、現在4戦連続でポイントを獲得しているアウディは、R26でつかみ始めた技術的な方向性をさらに追求する方針だ。その前段階として、今週末のF1イタリアGPでは約24週間をかけて準備したギア比の変更も導入する。

    7戦連続ノーポイントから4戦連続入賞へ
    アウディの2026年シーズンは序盤から順調だったわけではない。7戦連続でノーポイントに終わる厳しい時期を経験したが、その後は4戦連続でポイントを獲得。R26の競争力は徐々に改善している。

    前戦オランダGPでもポイントを獲得し、単発の好結果ではなく、パフォーマンスそのものが上向いていることを示した。

    アウディのコンペティションディレクターを務めるアラン・マクニッシュは「ザントフォールトでは良いペースを示し、4戦連続でポイントを持ち帰ることができた。これは常に励みになることだが、もちろん、まだ改善できる領域はある」と語った。

    ただし、モンツァはザントフォールトとは性格が大きく異なる。長いストレートと低ダウンフォースが特徴の高速サーキットであり、現在のR26が抱える弱点が表面化する可能性もある。

    「モンツァは、サーキットそのものにも、その周囲にも多くの歴史があり、いつ行っても特別な場所だ」

    「今週末はこれまでとは異なる挑戦になる。最近続いているポイント獲得を維持するのが難しいコースになる可能性もある。それでも我々は実行力に集中し、手元にあるものから最大限を引き出して、今季最後の欧州連戦を良い形でスタートさせたい」

    イタリアGPで24週間かけたギア比変更を投入
    アウディはモンツァに向けて、R26のトランスミッションにも重要な変更を加える。

    シーズン序盤の実戦データを分析した結果、エンジニアは1速が短すぎる一方で、8速が長すぎることを確認した。そこでギア比を変更し、パワーユニットの特性と各サーキットの要求に、より適した状態へと修正する。

    この変更には約24週間の開発期間を要した。F1の技術規則では、一定の条件下でシーズン中にギア比を変更する機会が認められており、アウディはその制度を利用する。

    ギア比だけでなく、スタート性能もシーズン序盤から改善対象となってきた。スペインGPで小型ターボチャージャーを投入したことで一定の進歩を果たしたものの、クラッチについてはハードウェアと電子制御の両面で、なお改善の余地が残されている。

    モンツァで導入する変更は、単純な最高速対策だけではない。パワーユニットの出力特性をより効率的に利用するためのものであり、アウディがR26全体のパッケージを細部から見直していることを示すアップデートでもある。

    バクーでR26に大規模空力アップデート
    さらに大きな変化が予定されているのが、その後のアゼルバイジャンGPだ。

    アウディはすでに開発リソースの大部分を2027年型マシンへ振り向けているものの、R26の開発を完全に打ち切ってはいない。バクーには、これまでのアップデートを大きく上回る規模の空力パッケージを投入する計画だ。

    チーム内部の情報では、その変更によってR26は「完全に異なる」外観になる可能性があるという。

    具体的な変更箇所は明らかになっていないが、外観そのものが大きく変わるほどの規模とされていることから、単独のウイングやフロア部品を更新するだけではなく、複数の空力コンポーネントを連動させたパッケージになるとみられる。

    このアップデートが重要なのは、単に2026年シーズンの成績を改善するためだけではない。

    アウディはF1参戦初年度となる今季、序盤に苦戦しながらも開発を続け、直近では4戦連続入賞まで競争力を引き上げてきた。そこで得られた空力開発の方向性やマシンへの理解は、規則が変更される2027年型マシンの開発にもつながる。

    アウディ F1

    ヒュルケンベルグ「正しい方向に進んでいる」
    ニコ・ヒュルケンベルグも、最近の結果以上にチームの進歩そのものを評価している。

    「ザントフォールトの日曜日も、僕たちにとって満足できる形で終わった。またポイントを獲得できたし、それ以上に重要なのは、チームとして正しい方向に進んでいることを確認できたことだ。次のレースでも、この実行レベルを維持することが目標になる」

    一方で、中団争いは依然として極めて僅差だ。小さなミスやセットアップの違いだけで、ポイント圏内から大きく順位を落とす可能性がある。

    「モンツァに戻るのはいつだってうれしい。多くの情熱的なティフォシがいる、本当の意味でのクラシックサーキットのひとつだし、F1マシンを走らせるのが本当に楽しい場所だ」

    「中団は相変わらず信じられないほど接近している。だから、もう一度クリーンな週末をまとめて、それでどこまで行けるかを見てみたい」

    ボルトレトもR26のペースに手応え
    ガブリエル・ボルトレトも、オランダGPでは結果以上にR26のパフォーマンスに手応えを感じていた。

    「日曜日のザントフォールトは混乱したスタートもあって、望んでいた結果ではなかった。でも、マシンには快適さを感じていたし、良いペースもあった。それは休み明けのレースとして明らかにポジティブだった」

    ボルトレトにとってモンツァは個人的にも特別な場所だ。ジュニアカテゴリー時代にはイタリアを拠点として活動し、モンツァでも好成績を残してきた。

    「モンツァは僕にとっていつも特別な意味を持つ週末だ。ジュニアカテゴリーでレースをしていた間はずっとイタリアに住んでいたし、ここ数年はここで良い結果も残している」

    「何より『スピードの殿堂』でレースをするのは、いつだって楽しみにせずにはいられない。最近のレースでは僕たちは競争力を発揮できているので、今週末もその勢いを維持して、良い結果を残せればと思っている」

    モンツァからバクーへ R26開発は次の段階に
    7戦連続ノーポイントという状況から4戦連続入賞まで盛り返したアウディにとって、イタリアGPからアゼルバイジャンGPにかけては、R26の開発がさらに一段進む重要な局面となる。

    まずモンツァでギア比を変更し、パワーユニットとトランスミッションの使い方を最適化する。そしてバクーでは、マシンの外観が「完全に異なる」と表現されるほどの大規模空力パッケージを投入する。

    2027年型マシンの開発を優先しながらも、アウディは2026年型R26をまだ完成形とは考えていない。直近4戦で示した上昇傾向が本物なのか。そしてバクーの大型アップデートによって中団争いの勢力図をさらに動かせるのか。アウディF1の参戦初年度は、ここから新たな開発段階に入る。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGPで挑む「60年の呪い」最後の母国優勝は1966年

    キミ・アントネッリ F1イタリアGPで挑む「60年の呪い」最後の母国優勝は1966年

    キミ・アントネッリが、2026年F1第13戦イタリアGPで60年間破られていない記録に挑む。モンツァで開催されたF1イタリアGPでは、1966年のルドヴィコ・スカルフィオッティを最後にイタリア人ドライバーが優勝していない。

    2026年に飛躍を遂げたアントネッリは、12戦を終えてドライバーズ選手権首位に立っている。2位のジョージ・ラッセル、3位のルイス・ハミルトンに59ポイント差をつけており、母国モンツァで「60年の呪い」を終わらせる最有力候補として期待を集めている。

    1966年以来イタリア人が勝てないモンツァ
    イタリアGPの歴史は1921年までさかのぼる。初期には複数の場所で開催されたが、1949年以降はサーキット改修のためイモラで開催された1980年を除き、モンツァがその舞台となってきた。

    1922年から1952年までには、イタリア人ドライバーがイタリアGPで14勝を記録している。しかし、その後は状況が大きく変わった。

    最後に母国イタリアGPを制したイタリア人は、1966年のルドヴィコ・スカルフィオッティだ。フェラーリを駆ったスカルフィオッティの勝利以来、モンツァの表彰台中央にイタリア人ドライバーが立つことはなく、2026年でちょうど60年となる。

    エリオ・デ・アンジェリスやリカルド・パトレーゼはキャリア中にイタリア国内で開催されたサンマリノGPを制しているが、モンツァでのF1勝利という意味ではスカルフィオッティが最後のままだ。

    アルボレートやパトレーゼも届かなかった母国優勝
    この60年間、何人かのイタリア人ドライバーが記録を途切れさせるところまで迫った。

    ミケーレ・アルボレートは1984年、フェラーリで2位に入り、マクラーレンのニキ・ラウダに次いでフィニッシュした。さらに1988年にも2位となり、このときはフェラーリのチームメイトであるゲルハルト・ベルガーからわずか0.5秒あまりの差だった。

    1992年にはパトレーゼが残り6周までトップを走行していたものの、油圧系のトラブルに見舞われて5位に後退。母国優勝を目前で逃した。

    その後、モンツァで表彰台に上がったイタリア人ドライバーは、2005年にルノーで3位となったジャンカルロ・フィジケラだけだ。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) イタリアグランプリ

    アントネッリがイタリアの新たな希望
    そして2026年、イタリアが待ち続けた新たな優勝候補としてモンツァに戻ってくるのがアントネッリだ。

    昨年のイタリアGPでは9位だったが、今季は状況がまったく異なる。20歳になったばかりのアントネッリはF1世界選手権をリードしており、史上最年少ワールドチャンピオンも視野に入れている。

    モンツァはアントネッリにとって特別な場所でもある。メルセデスから初めてF1公式セッションに出走した2024年のイタリアGPのFP1では、激しいクラッシュを喫し、衝撃は52Gを記録した。それから2年、今度は選手権リーダーとして同じサーキットに戻る。

    しかし、母国初優勝を目指すアントネッリには大きな障害が待っている。

    PU交換で最後尾スタートへ
    メルセデスはイタリアGPでアントネッリのパワーユニット(PU)コンポーネントを交換する予定で、年間使用上限を超えることからグリッド降格ペナルティを受ける。

    これにより、アントネッリは最後尾から決勝をスタートする見通しとなっており、本来なら優勝候補のひとりとして迎えるはずだった母国GPで極めて厳しい戦いを強いられる。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、「彼にとっても、母国レースで前方を争う姿を見たいファンにとっても残念なことだ。しかし、このスポーツは感情を考慮してはくれない」と語った。

    アントネッリにとって、まず重要になるのは後方からどこまで順位を取り戻し、選手権争いで最大限のポイントを持ち帰れるかだ。

    それでも、1966年以来途絶えているイタリア人によるモンツァ制覇という歴史がある以上、アントネッリの母国GPには特別な意味が加わる。最後尾スタートという大きなハンディを背負う2026年に「60年の呪い」を破るのは容易ではないが、イタリアの期待を背負う新たな主役であることに変わりはない。

  • ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    アストンマーティンとともに2026年のF1新時代に挑んでいるホンダのパワーユニットをめぐり、メルセデスに約70馬力の差をつけられているとの報道がイタリアから浮上した。ただし、この数字を単純なICE(内燃エンジン)の出力差として受け取るには注意が必要だ。

    ホンダ自身も、現時点でライバルに対して総合的なパワーで後れを取っていることは認めている。

    一方、オランダGPでスペック2を投入した現在の重点課題として挙げているのはドライバビリティであり、HRC Sakuraでは燃焼制御の安定化を中心とした作業が進められている。

    パワーへの依存度が高いモンツァは、その成果を確認する重要な舞台となる。

    イタリアメディアが「70馬力差」と報道
    イタリアメディア『Autoracer.it』は、オランダGPでスペック2が投入された後も、ホンダのパワーユニットはメルセデスに対して約70馬力の差があると報じた。

    同メディアは、この差が平均して1周あたり約1.2秒のタイムロスに相当するとし、フェラーリのエンジニアの見解として、ホンダがギャップを完全に埋めるまでには複数年を要する可能性があるとも伝えている。

    ただし、約70馬力という数字はホンダやアストンマーティンが公表したものではない。また、具体的にどの条件で算出された出力差なのかも明確ではない。

    2026年のF1パワーユニットでは、ICEだけでなく大幅に強化された電動システムの性能が実際の加速や最高速に大きく影響する。そのため、「70馬力」という数字だけをもってホンダのICEそのものがメルセデスより常時70馬力低いと断定することはできない。

    2026年F1では単純な「馬力差」では測れない
    2026年のF1では、パワーユニットの競争力を従来のような最高出力だけで評価することが難しくなっている。

    ICEの性能に加え、MGU-Kによる電気エネルギーの供給、バッテリーの状態、回生効率、そして限られたエネルギーをラップのどこで使用するかというデプロイメントが実際のパフォーマンスを左右するためだ。

    例えば、ストレート前半ではライバルと同等の加速を示していても、電気エネルギーを早い段階で使い切れば、後半では出力差が急激に拡大する可能性がある。逆に、エネルギーを温存すれば別の区間でタイムを失うことになる。

    さらに、車体側の空気抵抗やギア比、コーナーからの立ち上がり速度などもストレートでの速度に影響する。このため、外部から観測された速度差をそのままパワーユニットの馬力差に置き換えることは難しい。

    『Autoracer.it』が伝えた「約70馬力」「1周約1.2秒」という数字についても、現時点ではホンダとメルセデスの絶対的なICE出力差を示す確定値ではなく、あくまでイタリアから伝えられた推定値として扱う必要がある。

    ホンダ自身は「総合的なパワー不足」を認める
    一方で、ホンダがライバルとの差そのものを否定しているわけではない。

    Honda F1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、イタリアGPを前に、スペック2による前進を認めながらも、総合的なパワーでは依然としてライバルに後れを取っているとの認識を示している。

    「今週末の舞台となるモンツァは、長いストレートと11のコーナーで構成され、2026年カレンダーの中でも全開率が最も高いサーキットのひとつです。このコースでは、限られたエネルギーを各区間にどう配分するかが重要で、特に予選ではその影響が大きくなります。モンツァのラップタイムはパワーに非常に敏感です」

    「ザントフォールトでスペック2エンジンを導入し、パフォーマンス面では一歩前進することができました。ただ、総合的なパワーという点ではまだライバルに遅れていることは分かっていますので、今週末については現実的に考える必要があります」

    重要なのは、折原が「総合的なパワー」と表現している点だ。

    ホンダは具体的な馬力差には言及しておらず、70馬力という数字を認めたわけでもない。ICEだけでなく電動システムやエネルギーマネジメントまで含めた2026年型パワーユニット全体として、まだ競争力を高める必要があるというのがHRC側から示されている現状認識となる。

    スペック2で浮上したドライバビリティの課題
    ホンダはオランダGPで、ADUO(追加開発・アップグレード機会)による開発を反映したスペック2のパワーユニットを投入した。

    性能面では前進した一方、ザントフォールトでは新たな課題も表面化した。特に問題となったのがドライバビリティだった。

    フェルナンド・アロンソは週末を通じて、ダウンシフトやエンジンブレーキの挙動に一貫性がない状況に苦しんだ。最終的には18番グリッドから9位まで追い上げて2ポイントを獲得したものの、スペック2の性能を完全に引き出せたとは言い難い週末となった。

    つまりホンダにとって現在必要なのは、単純に最高出力を積み増すことだけではない。ドライバーがアクセル操作に対して予測可能なレスポンスを得られ、コーナー進入から立ち上がりまで安定してパワーユニットを使える状態を作る必要がある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    HRC Sakuraで燃焼制御の安定化に集中
    オランダGP以降、ホンダが重点的に取り組んできたのが、このドライバビリティの改善だ。

    折原はイタリアGPに向けた作業について説明している。

    「イタリアGPでの重要なテーマは、ドライバビリティを改善することです」

    「オランダGP以降、HRC Sakuraのダイナモで多くの作業を行ってきました。特に、安定して一貫性のある燃焼制御を実現することに取り組んでいます」

    「モンツァではその作業の効果を確認しながら、さらにチューニングを進めていきます。それによって、今後のレースでより高い競争力につなげていきたいと考えています」

    スペック2でハードウェア側の性能を引き上げても、燃焼状態やトルクの出方にばらつきがあれば、ドライバーはその性能を安定して利用できない。特にコーナー進入時のエンジンブレーキや、立ち上がりでのICEと電動システムの協調は、ラップタイムだけでなくドライバーのマシンに対する信頼にも直結する。

    そのため現在のホンダにとって、燃焼制御の安定化は単なる扱いやすさの改善ではなく、スペック2が本来持つ性能を引き出すための重要な開発項目となっている。

    モンツァでホンダの現在地が見える
    イタリアGPの舞台となるモンツァは、ホンダにとって厳しい一方で、その現在地を測るには適したサーキットでもある。

    長い全開区間ではICEの性能だけでなく、電気エネルギーをどこまで効率的に使い続けられるかが問われる。折原が指摘するように、特に予選では限られたエネルギーを1周のどこに配分するかが重要になる。

    したがって、モンツァで注目すべきなのは「本当に70馬力遅れているのか」という数字だけではない。

    スペック2によって総合的なパワー差がどこまで縮まったのか。そしてオランダGP後にHRC Sakuraで進められた燃焼制御の安定化によって、ドライバビリティがどこまで改善されるのか。アストンマーティンのストレートでの競争力と実際のラップタイムは、その成果を判断する重要な材料になる。

    約70馬力という衝撃的な数字の真偽を外部から正確に確認することは難しい。しかし、ホンダ自身が総合的なパワーでライバルに後れを取っていることを認めているのも事実だ。高速のモンツァは、その差の大きさとスペック2の改善効果をより鮮明に映し出す週末となりそうだ。

  • セルジオ・ペレス F1は「あと3年くらい」キャデラックの成長に懸ける

    セルジオ・ペレス F1は「あと3年くらい」キャデラックの成長に懸ける

    セルジオ・ペレスは、自身のF1キャリアについて「あと3年くらい」との見通しを示した。36歳のペレスにとって、キャデラックを競争力のあるチームへと成長させることが、F1で取り組む最後の大きなプロジェクトになる可能性が高いという。

    2024年末にレッドブル・レーシングのシートを失ったペレスは、1年間の休養を経て2026年にF1へ復帰。新規参戦したキャデラックでバルテリ・ボッタスとコンビを組んでいる。

    経験豊富な2人には、単にマシンを走らせるだけでなく、新チームの技術面や組織づくりを前進させる役割も求められている。

    キャデラック育成がF1最後の大きな挑戦
    ペレスが現在のプロジェクトに魅力を感じている理由のひとつが、完成されたチームに加入するのとは異なり、自らチームの方向性に影響を与えられることだ。

    キャデラックのF1プロジェクトを成長させることは、ペレスにとってキャリア終盤の重要な目標となっている。一方で、いつまでF1を続けるのかについても考え始めているという。

    ペレスはF1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』で、ドライバーが引退を考える基準について、年齢そのものよりも競争に対する意欲が重要だと説明した。

    「ある年齢になると衰え始める部分はあると思う。でも、僕が重要だと思うのは自分の内側にある原動力だ。意欲のことだよ。マシンに乗っていないときに、エンジニアやマシンのことをどれだけ考えているかということだ」

    サーキットを離れてからレースについて考える時間が減り始めることが、ひとつの兆候になるという。

    「サーキットを離れて、そのことをだんだん考えなくなってきたら、それが最初の警告だと思う。何かが失われ始めているということだからね」

    「若いころは、次に何があるのか、どうすればもっと速く走れるのか、どんな違うテクニックを使えるのか、そういうことばかり考えている」

    「フェルナンドは60歳まで走るかもしれない」
    ただし、そうした変化が訪れる時期はドライバーによって大きく異なるとペレスは考えている。その象徴として挙げたのが、40代になってもF1で戦い続けるフェルナンド・アロンソだった。

    「ドライバーによって違う。20代後半でそうなる人もいれば、30代半ば、40代半ばの人もいる。それに、フェルナンドは60歳まで走っているかもしれないね! 彼は今でも非常に高いレベルで走っている。でも、フェルナンドは特別だと思う」

    「彼には今でも内側にその原動力がある。チャンスがあるとき、何かを利用できる状況になったときには、必ずそれをつかもうとする。それが見ていて分かる。でも、人それぞれなんだ」

    ペレスはアロンソのモチベーションを高く評価する一方、自分自身が同じ年齢までF1を続けることは考えていない。

    「フェルナンドがこのスポーツで成し遂げてきたことと、彼が持っているモチベーションを僕は本当に尊敬している。でも、僕の場合はそこまで長くはならない。F1以外にもやりたいことがあるからね」

    引退を決めるのは年齢ではなく自分自身
    ペレスは、F1ドライバーに一律の「引退年齢」が存在するとの考えには否定的だ。

    「何歳という数字があるとは思わない。F1はとてもフィジカルで要求の厳しいスポーツだけど、サッカーやテニスのような他のスポーツと違って、トレーニングそのものが限界になるわけではない。F1では、むしろ脳や視覚の部分の方が大きいと思う」

    それ以上に難しいのは、自分自身の競争力が十分ではなくなったことを認めることだという。

    「同時に、ドライバーにとって『もう十分だ』『自分が望むほど競争力がなくなった』『もうやめるべきだ』と自分で気づくのは本当に難しいと思う。ドライバーとしてその決断を下すのは簡単ではない」

    「でも最後には、自分自身に対してすごく正直にならなければならない。そして、すべてを始めた子どものころの自分に感謝して、『今が別のことをする時だ』と言えるようにならなければならない」

    セルジオ・ペレス キャデラックF1チーム

    「あと3年くらい」キャデラックの成長を見届けたい
    もっとも、ペレス自身はまだその段階には達していないと感じている。具体的な引退時期を決めているわけではないが、現在の感覚ではF1で戦う時間は残り数年になると見ている。

    「数字を言うのは難しい。もちろん、それほど多くの時間が残っているわけではない。そうだね、あと3年くらいかな。このプロジェクトが成長していくところを見たいんだ。それにはもう少し時間が必要だと思う」

    この発言からは、単にあと3年間ドライバーを続けたいというより、キャデラックがF1チームとして成長するまでの時間を自身の残されたキャリアと重ね合わせていることがうかがえる。

    新規参戦チームが上位勢との差を縮め、組織やマシン開発の基盤を確立するには時間が必要になる。ペレスにとって、そのプロセスに深く関与すること自体が現在のF1参戦の大きな意味となっている。

    2027年に向け他チームから接触も「何も変わっていない」
    一方、ペレスをめぐっては2027年に向けて他チームとの接触も取り沙汰されている。本人も、複数のチームと何らかのやり取りがあったことは認めた。

    「もちろん、他のチームと多少の話はあったし、いくつかのチームから連絡もあった。でも、僕の側では何も変わっていない。このプロジェクトを自分のプロジェクトだと思っているし、キャデラックの冒険の一員でいたい。本当にこのプロジェクトを信じている」

    そして、キャデラックとの関係を1年限りのものとして考えていないことを強調した。

    「これは1年だけのプロジェクトだとは考えていない。僕が関わっていたい長期的なプロジェクトなんだ。もちろん話し合いはあるだろうけど、僕がいたいのはここだし、僕の側では何も変わっていない」

    レッドブル離脱と1年間のF1不在を経て、ペレスが選んだのは既存のトップチームで結果を追う道ではなく、新たなチームを一から育てる仕事だった。残されたF1キャリアを「あと3年くらい」と見積もる36歳のペレスにとって、キャデラックをどこまで成長させられるかが、グランプリでの勝敗と並ぶ最後の大きな挑戦になりそうだ。

  • ランド・ノリス 若手をF1へ導く新チーム「LN4 Fusion」設立 2027年F3参戦

    ランド・ノリス 若手をF1へ導く新チーム「LN4 Fusion」設立 2027年F3参戦

    ランド・ノリスが、若手ドライバーをF1へと送り出すことを目的とした新レーシングチーム「LN4 Fusion」を共同設立した。2027年からイタリアF4、フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権、FIA F3への参戦を予定し、将来的なFIA F2進出も目指す。

    チーム代表には、ジュニアカテゴリーの名門プレマで長年チームを率いてきたルネ・ロシンを招聘。さらに、才能ある若手を資金面から支援する「LN4 Legacy Programme」も立ち上げ、レーシングチームと育成プログラムという2つの柱から次世代のF1ドライバーを支援する。

    ノリスが若手育成に本格参入
    LN4 Fusionは、モータースポーツ界で経験を積んだ人材を集めて新たに設立されたチームだ。2027年シーズンにはイタリアF4、FIAフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権、FIA F3に参戦する計画で、すでに英国F4への参戦を視野に入れたテストプログラムも開始している。

    さらに将来的にはFIA F2への参戦を目指しており、すでに参戦申請のプロセスをスタートさせている。

    ノリスは、新プロジェクトについて「次の世代のために、コース上でもコース外でも機会を作りたい。そして、このスポーツで上を目指している若いドライバーたちに、本当の意味で違いを生み出せたらと思っている」と説明した。

    ノリス自身、家族からの支援を受けてジュニアカテゴリーを戦い、その後マクラーレンのサポートを得ながらF1まで到達した。その経験から、速さだけではF1への道を切り開けないことを理解しているという。

    「僕はキャリアを通じて、本当に素晴らしい人たちに恵まれてきた。F1にたどり着くためには、才能だけでは足りないということも分かっている。周囲に適切な人たちがいて、適切なサポートがあり、そして適切なタイミングでチャンスを得る必要がある。この2つのプロジェクトは、まさにそのためのものなんだ」

    ランド・ノリス LN4 Fusion

    元プレマ代表ルネ・ロシンがチーム代表
    LN4 Fusionの競争力を支える中心人物となるのがルネ・ロシンだ。ロシンは、世界有数のジュニアフォーミュラチームとして知られるプレマで長年チーム運営を担い、さまざまなカテゴリーで40以上のタイトル獲得に関わってきた。2026年にプレマを離れた後、その去就が注目されていたが、LN4 Fusionのチーム代表に就任することになった。

    さらに、プレマで長年エンジニアとして活動してきたギヨーム・カピエットも加入する。

    ノリスはチームの狙いについて、「LN4 Fusionでは、ジュニアモータースポーツのトップチームと競えるレーシングチームを作りたい。優秀な人たちを集め、ドライバーが成長できる素晴らしい環境を作ることが目標だ」と語った。

    AIX RacingのF3関連資産を取得
    LN4 Fusionには、ダン・リチャーズが率いる投資グループも参画している。チームはAIX Racingから一部資産を取得しており、その中には2027年末まで有効なFIA F3参戦ライセンスに関連するものも含まれる。新規チームがゼロから参戦枠を確保するのではなく、既存のF3参戦基盤を活用する形でトップジュニアカテゴリーへ進出する。

    欧州の本拠地はイタリア北部ベネト州に置かれ、現在新施設を建設している。一方、英国ではケンブリッジシャーに拠点を構え、これまで国内外のカート選手権で実績を残してきたFusion Motorsportを率いるダン・ヘイズルウッドが運営を担当する。

    LN4 FusionのCEOを務めるリチャーズは、「さまざまな要素をひとつにまとめるために、非常に大きなチームワークが必要だった。しかし、最初からの目標は、正しい方法で組織を作り、長期的に発展させていくことだった」と語った。

    ランド・ノリス フォーミュラ3 LN4 Fusion

    若手を完全支援する「LN4 Legacy Programme」
    ノリスが立ち上げるもうひとつの柱が「LN4 Legacy Programme」だ。これは才能を持ちながら、資金面などの理由で十分なチャンスを得られない若手ドライバーを対象とする完全支援型の育成プログラムで、元アルピーヌのスポーティングディレクターであるジュリアン・ラウズが責任者を務める。

    ノリスは、「LN4 Legacy Programmeは、才能ある若いドライバーに、普通なら得られないかもしれないチャンスを与えるためのものだ」と説明している。

    現在のジュニアフォーミュラでは、ドライバーの能力だけでなく、F4、フォーミュラ・リージョナル、F3、F2とカテゴリーを上がるごとに必要となる多額の参戦資金を確保できるかどうかもキャリアを左右する。自身もジュニア時代から支援を受けてF1まで進んだノリスが、今度は支援する側に回ることになる。

    F1の育成ピラミッド強化にも期待
    LN4 Fusionの設立には、F1のステファノ・ドメニカリCEOも期待を寄せている。

    ドメニカリは、「ランド・ノリスがこの新しいプロジェクトに関わるということは、F3とF2のピラミッドがF1の未来にとってどれほど重要なのかを示す素晴らしいメッセージだ。ランドの投資と経験を通じて、新しいドライバー、エンジニア、メカニックを育て、モータースポーツファンに受け継がれていく新しい伝統を築いていくことができる」と語った。

    LN4 Fusionが特徴的なのは、単に現役F1ドライバーが自身の名前を冠したチームを設立するだけではない点にある。プレマで実績を残したロシンをチーム代表に据え、F4からF3まで実際の参戦基盤を構築し、その先にはF2まで見据えている。

    さらにLN4 Legacy Programmeを組み合わせることで、才能の発掘、資金支援、実戦環境の提供までを一体化する構想となっている。

    現役F1ドライバーであるノリスの経験と知名度に、ジュニアカテゴリーで実績を積んだロシンらのノウハウを融合したLN4 Fusion。2027年から始まるプロジェクトが、将来のF1ドライバーを生み出す新たな育成ルートとなるか注目される。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1の「アグレッシブ」な開発姿勢を絶賛

    シャルル・ルクレール フェラーリF1の「アグレッシブ」な開発姿勢を絶賛

    シャルル・ルクレールは、2026年F1シーズンにフェラーリが展開しているアグレッシブなアップグレード戦略について「非常に印象的」と評価した。SF-26にはシーズン序盤から継続的に改良が投入されており、ライバルを上回るペースで進められる開発がタイトル争いでの反撃を支えているという。

    フェラーリは第13戦イタリアGPを前に、コンストラクターズ選手権で首位メルセデスを87ポイント差で追っている。

    フェラーリが仕掛ける「アグレッシブ」なアップグレード戦略
    2026年のフェラーリを特徴づけているのが、シーズンを通じた高頻度のアップデートだ。

    SF-26にはマイアミ、バルセロナ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、そして前戦オランダGPと相次いでアップグレードが投入されてきた。さらにホームレースとなるイタリアGPでは、ADUOトークンを活用したパワーユニットのアップグレードも予定されている。

    対照的にメルセデスは、5月のカナダGP以降アップグレードを投入していない。その間にフェラーリだけでなくマクラーレンもメルセデスとの差を縮めており、シーズン中の開発競争が勢力図を急速に変えつつある。

    ルクレールは、フェラーリには明確な開発方針があり、シーズン前半を通じてSF-26の弱点もはっきりしてきたと説明する。

    「非常に明確な開発プログラムがあるし、まだ改善したいことはたくさんある」

    「シーズン前半における主な制約が何だったのかも、とても明確になっている。現時点でメルセデスやレッドブルと比較して最も不足しているのはエンジンとパワーで、そこに重点を置いている」

    フェラーリではパワーユニット、シャシー、エアロダイナミクスの各部門が開発を進めているが、ルクレールによれば、チームとして目指す方向は明確に定まっている。

    「エンジン、シャシー、エアロの各チームがあるけど、プログラムは決まっているし、僕たちはどこへ向かいたいのかを分かっている。それは良いことだと思う」

    「シーズン前半には特に悪い意味でのサプライズはなかったと思う。前世代のマシンでは、マシンが路面に接触することもあって難しかった」

    「時には風洞で得られたものが実際のマシンでは得られないこともあった。今年はそういうことがほとんどない。それは今後マシンに投入したいものを開発していくうえで、とてもポジティブなことだ」

    ここでルクレールが強調しているのは、単純にアップデートの数が多いということだけではない。風洞で予測された性能と実車との相関が安定していることで、フェラーリが開発の方向性に確信を持ちながら次のアップデートへ進めていることも重要な要素となっている。

    ルクレールが評価するフェラーリの「革新性」
    フェラーリは開発スピードだけでなく、2026年のF1レギュレーションの中で新たな解決策を探し出す姿勢でも存在感を示している。

    その象徴となっているのが、いわゆる「マカレナ・リアウイング」や、エキゾースト出口付近に設けられた小型ウイングレットなど、SF-26に採用された独創的なアイデアだ。

    ルクレールは、こうした革新的なアプローチそのものが現在のフェラーリにとってポジティブな兆候だと考えている。

    「非常に印象的だ。今年の僕たちは、他のチームと比べても非常にアグレッシブなアプローチを取っている」

    「まずイノベーションという点で、これは非常にポジティブな兆候だと思う。僕たちが革新を続け、レギュレーションの中で解決策を見つけるために、これまでのやり方から一歩踏み出していることを示している」

    そして、ルクレールがもうひとつ高く評価しているのが、アップグレードを短期間で実戦投入するフェラーリの生産体制だ。

    F1の開発競争では、設計部門が性能向上につながるパーツを生み出しても、それを迅速に製造してサーキットへ届けられなければ効果を発揮できない。フェラーリは2026年シーズン前半、この設計から製造、実戦投入までのサイクルをアグレッシブに進めてきた。

    「そして2つ目が、アップグレードを投入するアグレッシブな、非常にアグレッシブな計画だ。シーズン前半、生産部門は僕たちが可能な限り早くパーツを受け取れるように全力で取り組んでくれた。本当に素晴らしい仕事をしていると思う」

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)

    新レギュレーション初年度だからこそ開発速度が重要
    2026年は新しいF1技術レギュレーションが導入された最初のシーズンであり、各チームのマシンにはまだ大きな開発余地が残されている。

    レギュレーションが成熟した時期とは異なり、開発初期ではひとつのアップデートによって得られるパフォーマンス向上も大きい。そのため、アップグレードをどれだけ早く投入できるかが、シーズン中の競争力を左右する重要な要素となる。

    ルクレールも、現在のフェラーリが持つ開発スピードは、まさに新レギュレーション初年度だからこそ大きな意味を持つと強調した。

    「今年のように開発の非常に初期段階にいるシーズンでは、それが大きな違いを生んでいる。投入するアップグレードひとつひとつが非常に大きな違いにつながるからだ」

    「だからシーズン後半も、このようにプッシュし続けていく」

    フェラーリにとって残された大きな課題は、ルクレール自身が認めるようにメルセデスやレッドブルに対するパワー面での不足だ。一方で、SF-26は風洞と実車の相関が安定し、空力面では新たなアイデアを積極的に採用。それを生産部門が短期間で実戦投入する開発サイクルも機能している。

    首位メルセデスとの87ポイント差を逆転するには、シーズン後半にさらに大きなパフォーマンス向上が必要になる。それでもルクレールの発言からは、フェラーリが明確な開発ロードマップを持ち、アグレッシブなアップグレード攻勢によってタイトル争いでの反撃を狙っていることがうかがえる。

  • 岩佐歩夢 F1イタリアGPのFP1に出走 フェルスタッペンのRB22をドライブ

    岩佐歩夢 F1イタリアGPのFP1に出走 フェルスタッペンのRB22をドライブ

    岩佐歩夢が、2026年F1第13戦イタリアGPのフリー走行1回目(FP1)にレッドブル・レーシングから出走することが決まった。マックス・フェルスタッペンに代わってRB22をドライブする。

    レッドブルとレーシングブルズのリザーブドライバーを務める岩佐歩夢にとって、2026年シーズン3度目のFP1出走となる。レッドブルはF1レギュレーションで義務付けられているルーキードライバーのフリー走行起用枠を消化する目的で、モンツァで岩佐歩夢を起用する。

    岩佐歩夢は自身のSNSでイタリアGPでのFP1出走に反応し、再びRB22をドライブできることへの期待を示した。

    「モンツァで再びRB22に乗れることをとても楽しみにしています!」

    岩佐歩夢がフェルスタッペンのRB22をドライブ
    岩佐歩夢は今季、第6戦スペインGPでもフェルスタッペンのRB22を担当。バルセロナで21周を走行し、FP1を14番手で終えている。

    その翌週に行われた第7戦オーストリアGPではレーシングブルズのVCARB 03をドライブし、レッドブル・リンクで19周を走行して15番手だった。

    今回のイタリアGPでは再びレッドブルのマシンに乗り込み、超高速サーキットとして知られるモンツァでRB22を走らせることになる。

    24歳の岩佐歩夢は、すでにF1のFP1経験を豊富に積んでいる。初めて公式セッションに出走したのは2024年日本GPで、当時レーシングブルズのダニエル・リカルドに代わってマシンをドライブ。角田裕毅との日本人コンビが実現した。

    同年のアブダビGPでもFP1に出走し、2025年バーレーンGPでは初めてフェルスタッペンのマシンを担当。その後もレーシングブルズからメキシコシティGPなどでFP1に出走し、2026年シーズン開幕前までに計5回のフリー走行経験を積んでいた。

    岩佐歩夢(レッドブル・レーシング) イタリアグランプリ

    ローソンは引き続きレッドブルからイタリアGPに出場
    一方、イタリアGPのレース週末ではリアム・ローソンが引き続きレッドブル・レーシングから出場し、フェルスタッペンのチームメイトを務める。

    アイザック・ハジャーはサマーブレイク中のトレーニングで左手首を負傷し、前戦オランダGPを欠場。レッドブルは復帰の可能性を検討していたが、モンツァでも欠場させることを決めた。

    オランダGPでハジャーの代役を務めたローソンは、予選8番手から決勝7位に入り6ポイントを獲得。イタリアGPでもそのままレッドブルのシートに座る。

    これにより、モンツァのFP1ではフェルスタッペンに代わって岩佐歩夢がRB22をドライブし、その後フェルスタッペンがマシンを引き継ぐ。岩佐歩夢にとっては、レッドブルの2026年型マシンで経験をさらに積む重要な機会となる。

  • 角田裕毅 F1イタリアGPもレーシングブルズから参戦 ハジャー欠場で続投決定

    角田裕毅 F1イタリアGPもレーシングブルズから参戦 ハジャー欠場で続投決定

    角田裕毅が、2026年F1第13戦イタリアGPでもレーシングブルズから出場することが決まった。レッドブル・レーシングは、左手首を負傷しているアイザック・ハジャーの欠場を正式に決定し、リアム・ローソンを再び代役として起用する。

    ハジャーはサマーブレイク終盤に左手首を骨折し、前戦オランダGPを欠場。レッドブルは9月2日(水)まで回復状態を見極めていたが、モンツァで復帰させるにはリスクがあると判断した。

    これにより、ローソンがハジャーに代わってマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務め、角田裕毅が再びレーシングブルズのシートに収まる。

    角田裕毅が2戦連続でレーシングブルズから出場
    レッドブルはイタリアGPを前に、ハジャーの欠場とローソンの起用を正式発表した。

    「リアムはモンツァで行われるイタリアGPでマックスとともに走る。一方、アイザックはサマーブレイク中に負った手首の負傷から、引き続き順調な回復を見せている」

    「チームは彼のリハビリを注意深く見守っており、競技復帰について不必要なリスクを冒すことはない。一日も早い回復を願っている」

    この決定によって生じるもうひとつのドライバー変更が角田裕毅の起用だ。

    角田裕毅は2026年シーズンをレッドブルのリザーブドライバーとして過ごしていたが、ハジャーが欠場したオランダGPでレーシングブルズからF1復帰。今回も同じ体制が採用され、ローソンがレッドブルに移り、空いたレーシングブルズのシートを角田裕毅が担当する。

    つまりイタリアGPでは、レッドブルがフェルスタッペンとローソン、レーシングブルズが角田裕毅とアービッド・リンドブラッドという布陣になる。

    レッドブルがハジャーのモンツァ復帰を見送った理由
    ハジャーについては、イタリアGPでの復帰を目指して回復が進んでいた。しかし、レッドブルは水曜日に行われた最終的な状態確認を経て、まだF1マシンでレースを戦わせるべき段階ではないと判断した。

    特に懸念材料となるのがモンツァのレイアウトだ。

    モンツァは時計回りのサーキットであり、右コーナーでは左手首に大きな負荷がかかる。高速域から強烈なブレーキングを行う場面も多く、まだ完全に治癒していない骨折箇所を悪化させる可能性がある。

    ハジャーを無理に復帰させた結果、負傷を悪化させれば、イタリアGPだけではなく2026年シーズンの残りのレースにも影響しかねない。そのためレッドブルは、1戦の復帰を急ぐよりも完全な回復を優先した。

    ローソンはオランダGPで7位 代役として結果
    ローソンにとっては2戦連続となるレッドブルでのレース出場となる。

    前戦オランダGPでは、突然の代役起用ながらRB22をドライブして7位でフィニッシュ。6ポイントを獲得し、限られた準備時間のなかで代役として求められた役割を果たした。

    2025年にレッドブルで短期間を過ごした後、レーシングブルズへ戻ったローソンにとって、今回の2戦は自身の評価を改めて高める機会にもなっている。

    一方で、これがそのまま2027年のレッドブル昇格につながるとは限らない。

    ドイツ誌『Auto Motor und Sport』の報道では、レッドブル内部ではハジャーとの契約延長に向けた動きが進んでおり、その将来について近く決定が下される可能性があるという。

    ハジャーは2025年のレーシングブルズでのルーキーシーズンを経て、2026年にレッドブルへ昇格。フェルスタッペンのチームメイトとして高い評価を得ており、チームが長期的な戦力として残す方向に傾いているとみられている。

    角田裕毅に再び訪れたF1アピールの機会
    そして今回の決定は、角田裕毅にとっても重要な意味を持つ。

    角田裕毅はオランダGPで約8カ月ぶりとなるF1実戦復帰を果たし、予選ではQ2に進出して12番手。Q3進出を果たしたチームメイトのリンドブラッドとの差はわずか0.102秒だった。

    決勝では11位でフィニッシュし、ポイントには届かなかったもののリンドブラッドを上回った。長期間レースから離れ、VCARB-03で初めてグランプリを戦うという条件を考えれば、短期間で競争力を取り戻した週末だったと言える。

    特に予選後には「限界を探す感覚を取り戻した」と手応えを語り、決勝後にも「できることはすべてやりました」と振り返っていた。

    その直後にイタリアGPでも出場機会が巡ってきたことで、今度は前戦で得た感覚をそのまま次のグランプリへ持ち込むことができる。

    これは角田裕毅にとって大きな違いだ。

    オランダGPでは急きょ実戦に戻る形だったが、モンツァではすでにVCARB-03で予選と決勝を経験した状態からスタートできる。マシンへの理解だけでなく、エンジニアとのコミュニケーションやセットアップの方向性という面でも、前戦より準備された状態で週末を迎えられる。

    角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム) イタリアグランプリ

    2027年F1シート争いへモンツァでも存在感を示せるか
    さらに角田裕毅にとって重要なのが、2027年のF1シートをめぐる状況だ。

    レーシングブルズではローソンとリンドブラッドがレギュラードライバーを務めている一方、F2ランキング首位を走るニコラ・ツォロフもF1昇格候補として存在している。

    ツォロフがF2タイトルを獲得すれば、規則上F2に残留することはできない。レッドブルは2027年に向けてスーパーフォーミュラやインディカーを含む別カテゴリーで経験を積ませる選択肢も検討していると報じられている。

    ローソンについてもレーシングブルズの2027年シートが完全に保証されているわけではなく、レッドブル系4台をめぐるドライバー市場は依然として流動的だ。

    そこへ再び実戦機会を得た角田裕毅が加わる。

    オランダGP後、角田裕毅は2027年のF1シートを求めていることを隠さず、「Call me, please!(僕に電話してください!)」と各チームに向けてアピールした。

    実際、オランダGPでの走りを受けて、角田裕毅が2027年のハースのドライバー候補として再び検討対象に入ったとの報道も出ている。つまり、今回のモンツァでの出場はレーシングブルズのシートだけを争う機会ではない。

    角田裕毅にとって重要なのは、現在のF1パドックに対して、自身がブランクを経てもすぐに競争力を発揮できるドライバーであることを示し続けることだ。

    ザントフォールトでは約8カ月の実戦ブランクを経ながら、予選でリンドブラッドに0.102秒まで迫り、決勝ではそのリンドブラッドを上回った。モンツァでも同様に結果を残せれば、オランダGPでのパフォーマンスが一過性ではなかったことを証明できる。

    しかも今回は、VCARB-03で1戦を経験した直後の連戦となる。角田裕毅にとっては、オランダGP以上のパフォーマンスを期待できる条件が整っている。

    ハジャーの回復を最優先したレッドブルの判断によって実現した2戦連続の代役体制。ローソンが再びレッドブルでフェルスタッペンと組む一方、角田裕毅にはモンツァでも自身のF1キャリアを左右し得る重要なアピールの機会が与えられた。

    2027年のグリッドを目指す角田裕毅にとって、イタリアGPは単なる代役としての2戦目ではない。ザントフォールトで取り戻した感覚と評価を、具体的な結果へつなげられるかが注目される。

  • リアム・ローソン F1イタリアGPもレッドブルから参戦 ハジャー欠場で2戦連続代役

    リアム・ローソン F1イタリアGPもレッドブルから参戦 ハジャー欠場で2戦連続代役

    リアム・ローソンが、2026年F1第13戦イタリアGPでもレッドブル・レーシングから出場することが決まった。左手首を負傷しているアイザック・ハジャーの欠場が正式に決定し、前戦オランダGPに続いてローソンがマックス・フェルスタッペンのチームメイトを務める。

    ハジャーはサマーブレイク終盤に左手首を骨折し、オランダGPを欠場。レッドブルはイタリアGPでの復帰を目指して回復状態を見極めてきたが、9月2日(水)の最終的なチェックを経て、モンツァで復帰させるにはリスクがあると判断した。

    これによりローソンに2戦連続でレッドブルをドライブする機会が巡ってきた。

    ローソンがモンツァでもレッドブルをドライブ
    レッドブルはイタリアGPを前に、ローソンの継続起用を正式に発表した。

    「リアムはモンツァで行われるイタリアGPでマックスとともに走る。一方、アイザックはサマーブレイク中に負った手首の負傷から、引き続き順調な回復を見せている」

    「我々は彼のリハビリを注意深く見守っており、競技復帰について不必要なリスクを冒すつもりはない。一日も早い回復を願っている」

    ローソンは前戦オランダGPでもハジャーの代役としてレッドブルに招集された。今回も同じ体制が採用され、フェルスタッペンとともにRB22を走らせる。

    ローソンにとって、レッドブルで2戦連続のグランプリを戦えることは大きい。オランダGPでは急きょマシンを乗り換える形だったが、今回はすでにRB22で予選と決勝を経験した状態でモンツァへ入ることができる。

    オランダGPでは7位入賞
    ローソンはオランダGPで代役として期待に応える結果を残した。

    レッドブル復帰初戦となったザントフォールトでは7位でフィニッシュし、チームにポイントを持ち帰った。RB22のパフォーマンスを考えれば、限られた準備時間での代役として堅実な結果だった。

    2025年にレッドブルで2戦を戦った後、レーシングブルズへ戻ったローソンにとって、再びトップチームのマシンで自らの能力を示す機会となった。

    今回はさらに条件が整う。

    前戦では突然の代役だったのに対し、モンツァではRB22の特性を理解したうえで週末をスタートできる。フェルスタッペンとの比較を含め、ローソンが2戦目でどこまでパフォーマンスを引き上げられるかは注目点となる。

    ハジャーは左手首への負担を考慮して欠場
    一方、ハジャーについてはイタリアGPでの復帰が検討されていた。

    負傷後の回復は順調とされていたものの、レッドブルは水曜日の状態確認を経て、復帰を急がせないことを決めた。

    特にモンツァのコース特性が判断材料のひとつになったとみられる。

    モンツァは時計回りのサーキットで、右コーナーでは負傷している左手首への負荷が大きくなる。また、F1屈指の高速サーキットであり、長いストレートからのハードブレーキングも繰り返される。

    完全に回復していない状態でレースに出場し、骨折箇所を悪化させれば、イタリアGPだけではなく残りの2026年シーズンにも影響する可能性がある。

    そのためレッドブルはハジャーの回復を優先し、ローソンを続投させる道を選んだ。

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング) イタリアグランプリ

    2戦連続の代役はローソンに新たなアピール機会
    ローソンにとって今回のイタリアGPは、単なる代役以上の意味を持つ。

    2025年にレッドブルへ昇格したローソンは、わずか2戦でレーシングブルズへ戻された。その後は着実にパフォーマンスを立て直し、2026年にはレーシングブルズで評価を回復。そしてハジャーの負傷によって、再びレッドブルをドライブする機会を手にした。

    オランダGPで7位という結果を残した直後だけに、モンツァで再びフェルスタッペンと同じマシンを走らせることは、自身の現在地を示す絶好の機会となる。

    ただし、今回の代役起用と2027年のレッドブルのレギュラーシート争いは切り分けて考える必要がある。

    『Auto Motor und Sport』によれば、レッドブル内部ではハジャーとの契約延長に向けた動きが進んでおり、その将来について近く発表される可能性があるという。

    ハジャーは2025年にレーシングブルズで印象的なルーキーシーズンを送り、2026年にレッドブルへ昇格。フェルスタッペンのチームメイトとして高い評価を得ており、チームは今後もハジャーを起用する方向に傾いているとされる。

    その場合、ローソンが今回の代役で好成績を残したとしても、すぐにレッドブルのレギュラーシートにつながるとは限らない。

    さらにローソン自身の2027年レーシングブルズ残留についても、まだ確定していないと報じられている。F2ランキング首位のニコラ・ツォロフがF1昇格候補として控え、アービッド・リンドブラッドもルーキーシーズンで評価を高めているためだ。

    それだけに、ローソンにとってモンツァでの一戦は重要になる。

    オランダGPでは突然巡ってきたレッドブル復帰の機会を7位入賞につなげた。今度はRB22を一度経験した状態で迎える2戦目。ローソンがイタリアGPで再び結果を残せれば、2027年に向けた自身の価値をさらに高めることになる。