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  • アストンマーティンF1 AMR26Bをさらに改良 オランダGPで5項目アップデート

    アストンマーティンF1 AMR26Bをさらに改良 オランダGPで5項目アップデート

    アストンマーティンF1は、2026年F1オランダGPにAMR26Bのさらなる空力アップデートを投入した。FIAが公開した資料によると、変更はフロントウイング、フロントウイング・エンドプレート、オプショナルフラップ、フロアフェンス、ディフューザーの計5項目に及ぶ。

    前戦ハンガリーGPで16項目もの大規模アップデートを投入したアストンマーティンだが、開発の手を緩めてはいない。

    ハンガリーで投入した新フロントウイングをさらに改良
    フロントでは3項目の変更がFIAに申告された。

    まずフロントウイングでは、最終エレメントのアウトボード側のコード長を短縮。さらにフロントウイング・エンドプレートでは、内側のフット部分の形状が変更された。

    アストンマーティンはFIAへの提出資料で、この2つの変更について、前戦で導入した新しいフロントウイングの性能を改善するためのものだと説明している。

    つまり、ハンガリーGPで投入されたフロントウイングをそのまま継続使用するのではなく、実戦投入直後のオランダGPで早くも細部をアップデートした形だ。

    3つ目は、新しいオプショナル・フロントウイングフラップである。このフラップは単純にフロントの空力荷重を増やすことだけを目的としたものではない。

    FIA資料によれば、フロントウイングの調整によって得られるマシンバランスの範囲を広げ、セットアップを最適化することが狙いとされている。

    ザントフォールトは高速コーナーだけでなく、バンクを持つターン3や最終コーナーなど独特の特性を備えている。フロントウイングの調整幅を広げることは、こうしたコースで前後の空力バランスを合わせ込むうえでも重要な意味を持つ。

    リアは新パッケージ評価後に空力荷重を追加
    リア側では、フロアフェンスとディフューザーに変更が施された。

    フロアフェンスについては、ディフューザー部分に新しいフェンスを追加。ディフューザーでは、ウイングレットの下端形状が変更されている。

    ここで注目されるのが、アストンマーティンがFIAに示した変更理由だ。

    チームは、これらリア部分の変更について「新しいパッケージの性能を評価した後、リアの空力荷重を増加させるために組み合わせて機能する」と説明している。

    前戦ハンガリーGPで投入した大規模な新パッケージを評価したうえで、その性能をさらに引き出すためにリア側へ手を加えたことが読み取れる。

    フロアフェンスとディフューザーは個別に機能するのではなく、一体となってリアの空力荷重を高める設計となっており、AMR26Bの空力パッケージをさらに発展させるアップデートと位置づけられる。

    16項目の大改修からわずか1戦で追加アップデート
    アストンマーティンはハンガリーGPで、AMR26に16項目もの変更を加えた大規模アップデートを投入。従来型から大きく姿を変えたマシンは「AMR26B」とも呼ばれ、シーズン後半戦に向けた巻き返しの重要なステップとなった。

    そして、わずか1戦後のオランダGPでさらに5項目を追加した。今回のFIA資料では、フロントウイングについて前戦投入仕様の性能改善であることが明記され、リア側についても新パッケージの評価を踏まえた変更であることが示されている。

    そのため今回のアップデートは、ハンガリー仕様とは独立した新パッケージというより、そこで導入したコンセプトを実戦データを基に磨き込む継続的な開発と見ることができる。

    さらにオランダGPでは、車体側の空力アップデートと同時にホンダもRA626Hの新スペックを投入。アストンマーティンにとっては、シャシーとパワーユニットの両面で性能向上を図る重要な週末となる。

    ハンガリーで大きく刷新されたAMR26Bが、今回の5項目の空力変更とホンダの新スペックPUによってどこまで前進できるか。ザントフォールトでの走行データは、シーズン後半に向けたアストンマーティンの開発方向を占う重要な材料となりそうだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム / オランダグランプリ

    アルピーヌは最多8項目 フェラーリも5項目を投入
    オランダGPではアストンマーティン以外にも複数のチームがアップデートを投入している。FIAへの申告数で最多となったのはアルピーヌで、計8項目の変更を持ち込んだ。

    アルピーヌはフロアボディ、フロアボード、フロアエッジ、ディフューザー、サイドポッド/コーク、リアコーナー、リアインパクトストラクチャー、リアウイングを変更。フロアを中心にマシン後方まで広範囲に手を加え、空力荷重の増加と気流の改善を狙っている。オランダGPではピエール・ガスリーが新パーツを使用し、フランコ・コラピントには次戦イタリアGPから同仕様が用意される予定だ。

    フェラーリもアストンマーティンと同じ5項目を申告。SF-26のフロアボディ、フロアボード、フロアエッジを改良したほか、ディフューザーとビームウイングにも変更を施した。FIA資料では、作動領域全体で空力荷重を増やすとともに、リアディフューザーへ送り込む気流のエネルギーを高めることが狙いと説明されている。

    マクラーレンは3項目で、新しいリアウイングに加えてエンジンカバーとリアコーナーを変更。リアウイングとボディワークを連携させて空力効率を高めるとともに、リアブレーキダクトの変更によって気流とブレーキ冷却性能の改善を図った。

    メルセデスはフロントコーナーの1項目のみ。ブレーキダクト入口からドラム前端のリップを分離してキャンバーも調整し、ステアリングの作動範囲を通じた気流の安定化とマシン後方への流れの改善を狙う。

    レッドブル・レーシングもフロントコーナーの1項目だが、こちらはパフォーマンスではなく信頼性向上が目的。高いステアリング角でホイールボディワークにかかる負担を減らすため、ロワーウィッシュボーン後方レッグのコード長などを変更している。

    一方、ウィリアムズ、レーシングブルズ、ハース、アウディ、キャデラックは、今回のオランダGPに向けたアップデートをFIAに申告していない。

    ザントフォールトではアルピーヌの8項目を筆頭に、アストンマーティンとフェラーリが各5項目、マクラーレンが3項目を投入した。シーズン後半戦最初の一戦から、各チームの開発競争も再び活発に動き始めている。

  • アストンマーティンF1 2027年もアロンソ続投が最優先「他の選択肢はない」

    アストンマーティンF1 2027年もアロンソ続投が最優先「他の選択肢はない」

    アストンマーティンF1は、2027年のドライバーとしてフェルナンド・アロンソの続投を最優先しており、現時点で後任候補を検討していない。トラックサイド・オペレーションズ・ディレクターのマイク・クラックは、アロンソ本人の決断を待つ姿勢を改めて明確にした。

    2027年のアストンマーティンではランス・ストロールの残留が確実視される一方、45歳のアロンソはF1で現役を続けるかどうかをまだ正式に表明していない。

    チーム側は「プランB」を準備するのではなく、アロンソとの継続を軸に来季の体制を考えている。

    アロンソの決断を待つアストンマーティン
    フェルナンド・アロンソはこれまで、2027年もF1でレースを続けるのであれば、アストンマーティン以外のチームへ移籍する考えはないことを示している。

    したがって焦点となっているのは移籍の可能性ではなく、アロンソ自身が現役続行を選択するかどうかだ。

    45歳となったアロンソは、2027年の技術レギュレーションについて必ずしも好意的な見方を示していない。一方で、競争力のあるマシンで戦い、納得できる形でF1キャリアを締めくくりたいという思いもある。

    特にアストンマーティンにはエイドリアン・ニューウェイがおり、アロンソにとってニューウェイが手掛けるマシンで戦うことは長年望んできた機会でもある。

    さらに、2026年からアストンマーティンとワークス体制を組むホンダはF1オランダGPで改良型パワーユニットを投入する。今後の競争力を見極めるうえで、ホンダとシャシー双方の進歩がアロンソの判断材料になるとの見方もあり、去就については9月中に明らかになる可能性が高い。

    「他の選択肢は検討していない」
    これまでアストンマーティンをめぐっては、フェルナンド・アロンソの後任候補として複数のドライバーの名前が取り沙汰されてきた。

    2025年にはマックス・フェルスタッペンやジョージ・ラッセルへの関心が報じられ、最近ではカルロス・サインツJr.やエステバン・オコンの名前も浮上していた。

    しかし、フェルスタッペンはレッドブル・レーシングとの契約を2030年まで延長し、サインツJr.もウィリアムズとの契約を更新。現在のドライバー市場を考えても、トップクラスのドライバーを新たに獲得できる選択肢は限られている。

    それでもクラックは、代替案を探していない理由を市場環境だけに求めず、アロンソとの継続がチームにとって最も重要だと強調した。

    「以前にも言ったように、我々は彼の決断を待っている。それからどうなるかを見ていく」

    他の選択肢を検討しているのかと問われると、クラックは明確に否定した。

    「いや、検討していない。我々は常に、重要なのはフェルナンドとこれからも一緒にやっていくことだと言ってきた」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソ本人の意思も尊重
    一方でアストンマーティンは、チーム側の希望だけでアロンソの去就を決めるつもりはない。

    クラックは、アロンソが自ら将来を決断するための時間を与えることも重要だと語った。

    「これまで言ってきたように、我々は良い結果を得られるとかなり確信している。その一方で、フェルナンド自身が決断したいという希望も尊重しなければならない」

    アロンソも自身の将来について、ローレンス・ストロールやニューウェイと話し合い、チームが自分を必要としているかどうかも含めて判断する意向を示している。

    2026年のアストンマーティンは苦しいシーズン序盤を過ごしたものの、AMR26Bの投入をはじめとする開発によって改善の兆しを見せている。ホンダもパワーユニットの改良を進めており、チームは今後さらに競争力を高めることを目指している。

    アストンマーティンにとって理想的なシナリオは、そのプロジェクトを2027年もアロンソとともに継続することだ。現時点でチームに「プランB」はなく、まずはアロンソ本人が下す決断を待つことになる。

    仮にアロンソが現役引退を選択した場合には、アストンマーティンはその時点で初めて外部のドライバー獲得、あるいは育成プログラムからの昇格を含めた後任選びに動くことになりそうだ。

  • アストンマーティンF1に米億万長者ウッディ・ジョンソンが出資 副会長に就任

    アストンマーティンF1に米億万長者ウッディ・ジョンソンが出資 副会長に就任

    アストンマーティンF1チームは、米国の億万長者ロバート・ウッド・“ウッディ”・ジョンソンが少数株式を取得し、新たな株主としてチームに加わったことを明らかにした。ジョンソンは取締役会にも入り、副会長に就任する。

    79歳のジョンソンは、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン創業家の一員として知られ、NFLニューヨーク・ジェッツのオーナーを務めるほか、イングランド・プレミアリーグのクリスタル・パレスにも大きな持分を保有する。

    ローレンス・ストロールが進めるアストンマーティンのF1プロジェクトに、世界的なスポーツビジネスで豊富な経験を持つ新たな投資家が加わる形となった。

    ウッディ・ジョンソンがアストンマーティンF1の少数株式を取得
    今回の取引でジョンソンが取得した株式の比率や金額は公表されていない。また、チームへの新規資金投入による増資なのか、既存株主から株式を取得したものなのかも明らかにされていない。

    一方で、アストンマーティンはジョンソンが日常的なチーム運営に関与することはないとしている。副会長として取締役会に加わり、スポーツビジネスや米国市場における知見を提供する役割を担うことになる。

    ジョンソンは第1次ドナルド・トランプ政権下の2017年から2021年まで駐英国米国大使を務めており、英国との関係も深い。

    「駐英国米国大使を務めていた期間に、アストンマーティンの豊かな歴史、そしてローレンス・ストロールの戦略的なビジョンと起業家精神に強い敬意を抱くようになった」

    ジョンソンはそう語り、F1チームへの投資を決めた背景を説明した。

    「彼とパートナーを組み、チームのさらなる発展に貢献できることを楽しみにしている。目標は、このスポーツの最高レベルで戦える組織を築くことだ」

    「また、僕たちは米国でファンベースを拡大し、より多くの人々にF1の興奮を届けたいという思いも共有している」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    米国市場でのアストンマーティンF1の存在感強化へ
    ジョンソンの加入には、競技面だけでなく商業面での狙いもある。F1は近年、米国市場で急速に存在感を高めており、アメリカでは複数のグランプリが開催されるなど、各チームにとって重要なマーケットとなっている。

    ニューヨーク・ジェッツのオーナーとして米国プロスポーツ界に長く関わってきたジョンソンは、スポンサーシップやブランドビジネス、ファン層拡大などの分野で豊富な経験を持つ。

    さらにクリスタル・パレスへの投資を通じて欧州サッカーにも関わっており、米国と英国双方のスポーツ市場にネットワークを持つ点は、アストンマーティンにとって大きな意味を持つ。

    ローレンス・ストロールはジョンソンの加入について歓迎のコメントを発表した。

    「ウッディをアストンマーティンファミリーに迎えることができて非常にうれしく思う。彼の経験、情熱、そして投資によって、我々が競争力向上に向けた次の段階へ進むなかで、チームの立場はさらに強固になる」

    「我々のブランドに対する深い理解に加え、イノベーションと商業的な機会への強い意欲を持つ彼は、将来を見据える我々にとって理想的なパートナーだ」

    ニューウェイとホンダに続く大型プロジェクトの強化
    アストンマーティンF1は、ストロールの下でF1のトップチーム入りを目指した大規模な投資を続けている。

    英国シルバーストンには新たなファクトリーや風洞などの施設を整備し、技術部門の拡充を進めてきた。さらにF1を代表するデザイナーのエイドリアン・ニューウェイを迎え、2026年からはホンダとワークスパートナーシップを開始している。

    チームは単なるF1参戦組織ではなく、技術、ブランド、商業の各分野を含めた長期的な成長プロジェクトを進めている。そこへジョンソンが加わることで、とりわけ米国でのブランド価値向上やスポンサー獲得に新たな可能性が生まれることになる。

    F1では近年、チームの企業価値が大幅に上昇しており、世界的な富豪や投資会社、スポーツビジネス関係者がチーム株式を取得する例も増えている。ジョンソンによる今回の投資も、F1チームが競技組織であると同時に世界規模のスポーツ資産として評価されている流れを象徴する動きといえる。

    アストンマーティンは、ニューウェイの技術力、ホンダとのワークス体制、シルバーストンの新施設に加え、ジョンソンの資金力とスポーツビジネスにおける人脈を獲得した。ストロールが進めるF1トップチーム化の計画は、サーキット内外の両面でさらに規模を拡大している。

  • アストンマーティンF1 AMR26開発4カ月遅れ ニューウェイが明かす風洞投入の誤算

    アストンマーティンF1 AMR26開発4カ月遅れ ニューウェイが明かす風洞投入の誤算

    アストンマーティンF1のチーム代表エイドリアン・ニューウェイが、2026年型マシン「AMR26」の風洞開発開始がライバルより大幅に遅れた理由を説明した。ニューウェイの加入時期が原因との見方を否定し、チームが新しい自社風洞の稼働を待つことを選択した結果だったと明かしている。

    2026年の新テクニカルレギュレーションに向け、各F1チームは2025年1月から新車の空力開発を開始することが認められていた。

    しかし、アストンマーティンがAMR26のモデルを風洞に投入したのは4月中旬。ニューウェイによれば、この出遅れによって研究・設計期間は極めて圧縮されたという。

    AMR26はライバルより約4カ月遅れて風洞へ
    アストンマーティンの2026年シーズンは、開幕前から厳しい状況に置かれていた。

    バルセロナで行われたプレシーズンのシェイクダウンでは序盤の大半を走ることができず、AMR26が初めてコースに姿を現したのは走行期間の終了間際だった。ランス・ストロールが最初にステアリングを握り、最終日にフェルナンド・アロンソが走行を引き継いだ。

    ニューウェイは以前、その背景としてAMR26の風洞開発開始が大幅に遅れていたことを明かしている。

    「実際のところ、2026年型マシンのモデルを風洞に入れられたのは4月中旬だった」

    「一方で、ほとんどすべてとは言わないまでも、大半のライバルは前年1月初めに2026年向けの空力テスト禁止期間が終了した瞬間から、風洞にモデルを入れていただろう」

    「そのため、我々は約4カ月遅れた状態になった。それによって研究と設計のサイクルが非常に、非常に圧縮されることになった」

    AMR26は完成後も複数の問題を抱えた。シャシーは重量超過となり、ダウンフォースも不足。さらにホンダ製パワーユニットから発生する振動の問題も重なり、アストンマーティンはシーズン序盤から苦戦を強いられた。

    ニューウェイ加入待ちではなかった
    風洞投入が遅れた理由については、ニューウェイがアストンマーティンで正式に仕事を始めたのが2025年3月だったことから、「ニューウェイの加入を待っていたのではないか」との見方もあった。

    しかし、ニューウェイはこれを否定した。自身がファクトリーに初出勤した時点でも、そもそも風洞に投入できるAMR26のモデルは完成していなかったという。

    「実際のタイムラインとしては、作業を始められるモデルがまだ準備できていなかった」

    そのうえでアストンマーティンは、従来使用していたメルセデスのブラックリーの風洞で短期間だけ開発を始めるのではなく、新設した自社風洞の稼働開始を待つという判断を下した。

    「同時に、正しかったか間違っていたかは別として、我々は自社の風洞が稼働するまで2週間ほど待つという決断をした」

    「ブラックリーで非常に短い期間だけ作業を始めて、その直後にまた移動するよりも、その方がいいと判断した。それが当時のタイムラインだった」

    つまり、AMR26の風洞開発の遅れはニューウェイの加入を待った結果ではなく、モデルそのものの準備の遅れに加え、新しい自社風洞への移行時期が重なったことによるものだった。

    ニューウェイは、特定のひとつの出来事だけが原因だったわけではないとも説明する。

    「ただ、大きな積み重ねだったと思う。そういう意味では、すべてが後手に回っていた。できることをやって、前に進むしかない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ハンガリーGPでAMR26Bを投入
    苦しいシーズン序盤を経て、アストンマーティンは第11戦ハンガリーGPで大規模アップデートを実施。ニューウェイの指揮のもと、16項目の新パーツを盛り込んだBスペック仕様のAMR26Bを投入した。

    フェルナンド・アロンソは予選で今季最高の16番手を獲得し、決勝では14位。チームメイトのランス・ストロールは13位でフィニッシュした。

    まだポイント獲得には届かなかったものの、ニューウェイは今回のアップデートが2026年シーズンの悪循環から抜け出すきっかけになることを期待している。

    「そう願っている」

    「最初の数戦は完全な悪夢だった。その通りだ。これから少なくとも1ポイントを獲得して、ある程度の体裁を取り戻せればと思っている。それが当面の目標だ」

    「そこから、さらに前進し続けられるようにしたい」

    オランダGPではホンダも新スペックPU投入
    サマーブレイク明けの第12戦オランダGPでは、アストンマーティンにもうひとつ重要なアップデートが加わる。ホンダが改良型パワーユニットを投入する予定となっている。

    新スペックについては一部で「50馬力向上」との情報も伝えられているが、ホンダのチーフエンジニアを務める折原慎太郎は、その数字について慎重な見方を示している。

    「その数字があればいいなとは思いますが、かなり大きな数字です」

    「パワーの詳細については説明できませんが、私の感覚では、いや、それが実際の数字ではないと思います」

    2026年型マシンの開発開始で大きく出遅れ、その影響をシーズン序盤まで引きずったアストンマーティン。AMR26Bによるシャシー側の改善に加え、オランダGPからはホンダの新スペックPUも投入される。まずは今季初ポイントを獲得して「体裁を取り戻す」というニューウェイの目標に向け、後半戦でどこまで巻き返せるかが焦点となる。

  • アストンマーティンF1 2026年前半戦総括 苦戦の末に見えた反撃の兆し

    アストンマーティンF1 2026年前半戦総括 苦戦の末に見えた反撃の兆し

    アストンマーティンにとって、2026年F1シーズン前半戦は期待とは大きく異なる厳しいものとなった。新レギュレーションとホンダとのワークス体制が始まった重要なシーズンだが、11戦を終えた段階でチーム選手権では下位に低迷している。

    それでも、サマーブレイク直前のハンガリーGPで投入した大規模アップデートには明確な前進が見られた。

    フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが初めて純粋なペースで中団勢と争えるところまで接近し、後半戦に向けてようやく反撃への足掛かりをつかんでいる。

    ベストリザルト:アロンソのモナコGP 10位
    アストンマーティンのシーズンは、開幕前から厳しい状況にあった。AMR26はシャシーとホンダ製パワーユニット(PU)の双方に問題を抱え、プレシーズンテストでは全チーム中最少の走行距離に終わった。

    開幕戦オーストラリアGPでも慢性的な振動に悩まされ、アロンソとストロールは十分な周回を重ねることができなかった。その後、対策は段階的に進められたものの、ライバルとのパフォーマンス差は依然として大きかった。

    そのなかで結果を残したのがモナコGPだった。アストンマーティンは積極的な戦略を採用し、展開にも恵まれたことでアロンソが10位に入り、今季初ポイントを獲得した。

    アロンソはこの結果について、苦しい状況で作業を続けてきたチーム全体にとって「いいご褒美になった」と振り返っている。

    現時点で、この1ポイントがアストンマーティンの2026年前半戦における唯一の得点となっている。

    予選対決:アロンソがストロールに9勝2敗
    AMR26の競争力不足は予選でも顕著だった。アロンソとストロールはグリッド後方からスタートするレースが多く、Q1突破そのものが大きな目標となる状況が続いた。

    それでもチームメイト対決ではアロンソが明確に優位に立っている。前半11戦の予選対決はアロンソの9勝2敗だ。

    さらに、ハンガリーGPではアロンソがアストンマーティンにとって今季初となるQ2進出を果たした。単なるチーム内対決以上に、この結果はアップデートされたAMR26の進歩を示す材料となった。

    決勝対決:アロンソが6勝2敗
    決勝でもアロンソがストロールを上回っている。両者がともにリタイアしたオーストラリア、中国、バルセロナの3戦を除く直接対決では、アロンソが6勝2敗となっている。

    ただし、サマーブレイク前最後のハンガリーGPではストロールが13位でフィニッシュし、14位のアロンソを上回った。

    重要なのは順位そのものだけではない。大規模アップデートを投入したAMR26で、2台がそれまでより明確にライバルとのギャップを縮めたことだった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ベストモーメント:ハンガリーでAMR26の大規模アップデートが機能
    結果だけを見れば、アロンソがポイントを獲得したモナコGPが前半戦最大のハイライトとなる。しかし、チームの将来という観点では、ハンガリーGPの方が重要な週末だったと言える。

    アストンマーティンはシーズン中に小規模なアップデートを繰り返すのではなく、変更をまとめて投入する方針を選択した。その結果、最初の10戦ではライバルが進歩する一方で、自分たちは「立ち止まっている」ように感じる期間を受け入れなければならなかった。

    チーム代表のエイドリアン・ニューウェイも、この方針を「苦しい決断だった」と認めている。

    しかし、その我慢はハンガロリンクで一定の成果につながった。アップデートを施されたAMR26は最も近いライバルとのギャップを縮め、決勝では複数のマシンを実力で上回った。

    2026年に入ってから、アストンマーティンが純粋なパフォーマンスで中団グループと戦える兆候を示したのは、このハンガリーGPが初めてだった。

    ワーストモーメント:開幕前に判明した想定以上の遅れ
    アストンマーティンの前半戦には厳しい場面がいくつもあったが、最大の打撃はシーズンが始まる前に、自分たちが置かれている状況の深刻さを認識したことだった。

    チームはバルセロナでのシェイクダウンへの参加が遅れ、続くバーレーンでのプレシーズンテストでも十分な準備を整えられなかった。

    テストのラップタイムだけから各チームの実力を判断することは難しいが、新規参戦のキャデラックに対しても明確なペース不足が見られたことは、AMR26に根本的な問題が存在する可能性を示していた。

    さらにホンダ製PUにも信頼性上のトラブルが発生した。結果としてアストンマーティンのテスト走行距離はメルセデスのおよそ3分の1にとどまり、シーズン開幕を前に大きな遅れを背負うことになった。

    新レギュレーション初年度に加え、ホンダとの新たなワークス体制をスタートさせるシーズンだけに、この走行不足はシャシーとPU双方の理解を深めるうえでも大きな痛手となった。

    後半戦:ザントフォールトでホンダのPUアップデート投入へ
    それでもハンガリーGPを終えた時点で、チーム内の空気には変化が生まれている。

    アロンソはブダペストでのレース後、新しいマシンについて「取り組んでいくためのいいベースができた」と評価。サマーブレイク後についても「チャンピオンシップが新しく始まるような感覚」にできる可能性があるとの期待を示した。

    もちろん、課題が解決したわけではない。わずか3年前には定期的に表彰台を争っていたチームが本来の位置へ戻るには、まだ大幅な改善が必要だ。ハンガリーGPの金曜日にもストロール車で信頼性問題が発生しており、安定してパフォーマンスを引き出せる段階には達していない。

    そして後半戦最初のザントフォールトでは、ホンダのPUアップデートが投入される予定となっている。

    チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックは、今後について「次の数レースで何を引き出せるのかを見ていく」と説明している。

    アストンマーティンにとって2026年前半戦は、モナコでの1ポイントよりも、なぜこれほど苦戦したのかを理解するための期間だったとも言える。開幕前から露呈したシャシーとPUの問題、少ない走行距離、そしてライバルに対する大幅な性能不足。その代償は大きかった。

    一方、ハンガリーでAMR26の大規模アップデートが一定の成果を示したことで、後半戦への方向性はようやく見え始めた。ザントフォールトから加わるホンダPUの進化と合わせて、この改善を継続できるか。アストンマーティンの2026年は、サマーブレイク明けから事実上の「再スタート」を迎える。

  • ホンダF1 苦境でもアストンマーティンは「一度も不満を言わなかった」

    ホンダF1 苦境でもアストンマーティンは「一度も不満を言わなかった」

    ホンダF1とアストンマーティンは、2026年シーズン序盤に深刻なトラブルに直面しながらも、互いを非難することなく問題解決に取り組んできた。

    HRC(ホンダ・レーシング)のトラックサイドマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原慎太郎は、厳しい状況でもアストンマーティンから「一度も不満を言われなかった」と明かしている。

    ホンダとアストンマーティンによる新たなワークス体制の船出は決して順調ではなかった。信頼性不足やパフォーマンス不足に加え、バッテリーに関連した激しい振動が発生。プレシーズンテストから問題が相次ぎ、シーズン開幕後もしばらくは性能向上より信頼性の確立を優先せざるを得ない状況が続いた。

    「アストンマーティンはホンダに一度も不満を言わなかった」
    アストンマーティンは2026年からホンダのワークスパートナーとなったが、その関係はスタート直後から大きな試練にさらされた。

    特にプレシーズンテストではホンダの新パワーユニット(PU)にバッテリー関連の問題が発生。アストンマーティンは全チームで最も少ない走行距離にとどまり、マシンを伝わる振動も信頼性とドライバーの身体の両面で深刻な懸念となった。

    それでも折原慎太郎によれば、アストンマーティンがその不満をホンダにぶつけることはなかったという。『RacingNews365』の独占インタビューで、両者がシーズン序盤から築いてきた関係について語った。

    「ウインターテストでは、ご存じの通り厳しい状況がありました。ただ、トラックサイドではシーズン序盤からすでに良い関係を築けていました。マイク(クラック/アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサー)のおかげでもあります」

    「アストンマーティンからホンダに不満を言われたことは一度もありませんでした。もちろん、私たちはプロフェッショナルですから、何が問題なのか、どう対応すべきなのかについて議論します。ただ、彼らは常にホンダをリスペクトしてくれていました。そのため、今年の初めから関係は良好でした」

    工場レベルでも同様だった。

    「ファクトリー側でも今年の初めから良いコミュニケーションが取れていましたし、そのコミュニケーションはさらに改善されています。バッテリーの振動問題が発生したときには、より密接に協力して取り組むようになりました」

    「ですから、シーズンを通してコミュニケーションのレベルも関係性も、どんどん良くなっていると思います」

    HRC Sakuraとアストンマーティンが「毎日」対策会議
    その協力関係を象徴するのが、プレシーズンテスト後に行われた集中的な対策だ。

    バッテリー問題は単なる性能不足ではなく、開幕戦から実戦を戦えるかどうかにかかわる重大な問題だった。折原慎太郎は、日本のHRC Sakuraとアストンマーティンが毎日会議を行っていたことを明かした。

    「問題が起きていたときは、日本のHRC Sakuraとアストンマーティンの間で毎日ミーティングを行っていました。本当に毎日、何をすべきなのかについて話し合っていました」

    「ウインターテストではバッテリーの問題があり、それが非常に重大なものでした。何も対策をしなければ、第1戦、第2戦、第3戦を乗り切ることはできなかったと思います」

    開幕までに残された時間はわずかだった。そのなかで両者は原因の分析と対策を並行して進めた。

    「ウインターテストから開幕戦までの間、毎日何をすべきなのかを議論しました。そして一緒に対策を準備して開幕戦に持ち込み、そこで乗り切ることができました。そうしたことが舞台裏で行われていました」

    この対策によって、少なくともバッテリーの振動がさらなる故障につながる事態は抑えられた。一方、車体そのものに発生する振動は引き続き課題として残った。

    シーズン序盤にはエイドリアン・ニューウェイも問題の深刻さに言及。ミラーをはじめとするパーツが振動によって緩み、フェルナンド・アロンソは手足のしびれを訴えるほどだった。長期的には神経への影響も懸念されるレベルだったという。

    英国チームとの文化の違いは「問題ではない」
    日本のメーカーであるホンダと英国を拠点とするアストンマーティン。技術的な問題が続けば、文化や仕事の進め方の違いが関係悪化につながる可能性もある。

    しかし折原慎太郎は、そこに大きな障壁はないと考えている。

    「ホンダが英国のチームと仕事をするのは今回が初めてではありません。マクラーレンとも仕事をしてきましたし、レッドブルとも仕事をしてきました。イタリアのチームと仕事をした経験もあります」

    「英国の組織と仕事をする経験は十分にあります。そのため、文化の違いや言葉の壁は問題ではないと思っています」

    むしろ、今回の苦境が両者の結束を強めたという。

    「厳しい時期を一緒に経験したからこそ、関係をかなり強くすることができたと思います。現在、ホンダとアストンマーティンの関係という意味では、良い状態にあると思っています」

    ホンダF1とアストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    10戦リタイアの苦境からハンガリーで見えた変化
    良好な関係とは対照的に、コース上の結果は厳しいものだった。

    アストンマーティンは開幕11戦で計10件のリタイアを経験し、コンストラクターズ選手権では1ポイントで10位。新規参戦のキャデラックと争う位置まで後退した。

    しかし、第11戦ハンガリーGPではひとつの転機が訪れた。

    アストンマーティンはAMR26に軽量化や空力変更を含む16項目のアップデートを投入。アロンソは改良型マシンを「かなり良くなった」と評価し、ランス・ストロールも近年で最も手応えのあるアップデートだったとの認識を示した。

    ニューウェイもこれを「心強い最初の一歩」と表現。実際のパフォーマンスが事前のシミュレーションや予測と一致したことは、今後の開発にとって重要な材料となった。

    ホンダはオランダGPで初のADUOアップグレード
    シャシー側に改善の兆しが見え始めたタイミングで、今度はホンダが大きな一歩を踏み出す。

    ザントフォールトで行われるF1オランダGPでは、ホンダが2026年シーズン初となるPUアップグレードを投入する予定だ。

    2026年から導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)は、競争力で遅れているPUメーカーに追加開発の機会を認める制度だ。

    ホンダは評価基準となるトップPUに対して4%以上の差があると判定され、2026年に2回の開発機会を得ている。ただし、ホンダはその機会を小規模なアップデートに分散させるのではなく、夏場の大規模アップグレードに開発リソースを集中させる方針を選んだ。

    アストンマーティンがハンガリーでシャシー開発の方向性に一定の手応えを得た直後だけに、ホンダのアップグレードが加わるオランダGPは今後を占う重要な週末となる。

    苦戦がホンダのモチベーションに
    ホンダにとって現在の状況が満足できるものでないことを、折原慎太郎も認めている。ただし、トップとの差は撤退理由ではなく、むしろ追いつくためのモチベーションになっているという。

    「もちろん、トップの競争相手になれているのがベストなシナリオです。ただ一方で、大きなチャレンジがあれば、それは私たちにとって大きなモチベーションになります」

    「ホンダには常に『never give up』という精神があります。難しい状況だからこそ、大きなモチベーションがあります」

    「ですから、現時点が決して満足できる状況ではないことは確かです。それでも、どうやってパフォーマンスを改善し、いつかトップの競争相手に追いつくのかということにワクワクしています。私たちはこのチャレンジを楽しんでいます」

    2026年のアストンマーティン・ホンダは、期待されたスタートとは程遠い苦境からシーズンを始めた。しかし、プレシーズンテストから続いたトラブルに対し、互いを責めるのではなく、HRC Sakuraとアストンマーティンが毎日協議して対策を積み重ねてきたことは、ワークス体制の土台という意味で重要だ。

    ハンガリーでシャシー側に改善の兆しが見え、続くオランダではホンダのPUアップグレードが投入される。序盤の危機によって強まった両者の関係を、ここから実際のF1での競争力へと結びつけられるかが次の焦点となる。

  • エイドリアン・ニューウェイに「終焉」説 アストンマーティンF1苦戦で浮上

    エイドリアン・ニューウェイに「終焉」説 アストンマーティンF1苦戦で浮上

    アストンマーティンF1は2026年シーズン、エイドリアン・ニューウェイを中心とする新体制とホンダとのワークス提携で大きな期待を集めたが、ここまでその期待に応える結果を残せていない。

    元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、この苦戦を受け、ニューウェイがキャリアの「下降スパイラル」に入り始めた可能性があるとの大胆な見方を示した。

    一方で、アストンマーティンはF1ハンガリーGPで大幅改良型のAMR26Bを投入し、フェルナンド・アロンソがQ2進出、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。

    さらにホンダもオランダGPで新スペックのパワーユニットを投入する予定であり、チームが復調への足掛かりをつかみつつある段階でニューウェイの「終焉」を論じるのは、時期尚早ともいえる。

    ハーバートが唱えるニューウェイの「下降スパイラル」
    2026年からアストンマーティンのチーム代表を務めるニューウェイは、F1史上屈指のデザイナーとして知られている。これまで関わったマシンはドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権を合わせて計26回のタイトル獲得に貢献してきた。

    しかし、3度のF1優勝経験を持つハーバートは、アストンマーティンの現状について疑問を投げかけた。

    「アストンマーティンが揃えたものを見てみれば、エイドリアン・ニューウェイがいて、新しいファクトリーがあって、さらにフェルナンドもいる。それなのに、なぜこれほどまでうまくいかなかったのか理解するのは難しい」

    「理由が何であれ、エイドリアンは彼らが目指しているものに対して、優れたマシン、あるいは少なくともある程度競争力のあるマシンを作れるチームをまとめ上げることができていない」

    そしてハーバートは、ニューウェイ自身のキャリアが転換点を迎えている可能性にまで言及した。

    「興味深いのは、これがエイドリアン・ニューウェイの終焉なのかということだ。彼が下降スパイラルに入り始めた最初の兆候なのだろうか?」

    「スポーツでは、最高の人間にだってそういうことは起こる。いつかは必ず起きることだった。まだその時ではないとしても、いずれそういう時点はやって来る」

    AMR26の開発方針が前半戦の低迷につながる
    ただし、アストンマーティンの2026年前半戦の低迷を、単純にニューウェイの能力低下と結びつけることには慎重になる必要がある。

    アストンマーティンとホンダは2026年の新レギュレーション導入に合わせてワークス体制をスタートさせたが、AMR26は開幕当初から期待された競争力を発揮できなかった。

    ニューウェイは小規模なアップデートを連続して投入するのではなく、マシンの根本的な問題に対応する大規模な改良パッケージに開発リソースを集中させる方針を選択。その結果、アップデートを待つ間にライバルとの差が広がり、シーズン前半にはグリッド後方へと沈んだ。

    その大規模改良の成果としてハンガリーGPに登場したのがAMR26Bだった。

    アロンソは予選でQ2に進出し、決勝ではストロールが13位、アロンソが14位。ポイント獲得には届かなかったものの、従来型AMR26と比較してマシンの挙動や競争力には改善が見られた。

    ハーバートの発言はアストンマーティンの期待値の高さを反映したものではあるが、AMR26Bの投入によってニューウェイが進めてきた開発の方向性がようやく形になり始めたタイミングでもある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダの新スペックPUでオランダGPから次の段階へ
    さらにアストンマーティンは、オランダGPで復調に向けた次のステップを踏み出す予定だ。

    ホンダはハンガリーGP終了後、ハンガロリンクでAMR26を使用してアップグレード版パワーユニットの走行テストを実施。ホンダ側は新スペックが社内で設定していた目標を達成したことを確認しており、オランダGPでの正式投入を予定している。

    ニューウェイ自身も、シーズン序盤に課題を抱えていたホンダとの関係について、改善が進んでいることを強調している。

    「ホンダとの関係という点では、我々が進めている進歩に非常に満足している」

    さらに、オランダGP以降に向けてニューウェイはこう付け加えた。

    「通常、関係が改善すれば、パフォーマンスも改善するものだ」

    アストンマーティンとホンダが目指している最終的な目標は、F1世界選手権のタイトル獲得である。2026年のスタートが期待を大きく下回ったことは事実だが、AMR26Bとホンダの新スペックPUという2つの大きなアップデートが揃うのはこれからだ。

    ハーバートが指摘するニューウェイの「下降スパイラル」が本当に始まっているのか、それとも2026年前半の苦戦が新体制構築に伴う一時的なものだったのか。アストンマーティンの今後のパフォーマンスが、その評価を大きく左右することになりそうだ。

  • アストンマーティンF1 アラムコの2027年支援凍結報道 中東情勢が影響

    アストンマーティンF1 アラムコの2027年支援凍結報道 中東情勢が影響

    アストンマーティンF1チームの将来計画に、中東情勢を巡る新たな懸念が浮上した。サウジアラビア側が2027年に向けて予定していたスポンサー支援の拡大計画を凍結したと、F1のビジネス事情に詳しいジャーナリストが報じている。

    報道のポイントは、アラムコとの既存契約が打ち切られたという話ではなく、2027年に向けて検討されていた支援拡大が保留になったとされていることだ。

    アストンマーティンとアラムコはいずれも現時点で公式発表を行っておらず、確定情報としてではなく、関係者からの情報に基づく動きとして見る必要がある。

    2027年のスポンサー拡大計画が凍結か
    F1のビジネス分野を取材し、『Business Book GP』を手掛けるマルク・リマッハーによると、サウジアラビアは数カ月にわたる協議を経て、2027年のアストンマーティンF1チームに対するスポンサー計画を凍結したという。

    リマッハーは、サウジアラビア側がアラムコによるスポンサー支援を増額するとともに、新たに3社目となるスポンサーをチームのポートフォリオへ加える計画だったと伝えている。

    しかし、その計画は現在ストップしているという。

    「サウジアラビアは数カ月にわたる協議の末、2027年のアストンマーティンF1チームへのスポンサーシップを凍結した」

    リマッハーはさらに、その背景について「イランでの戦争によってプロジェクトが遅れている」と説明している。

    中東情勢の緊迫化によってサウジアラビア政府を取り巻く経済的、戦略的な優先順位が変化し、F1を含む国際的なマーケティング投資にも影響が及んでいる可能性がある。

    ただし、今回報じられたのはあくまで2027年に向けたスポンサー計画の「凍結」であり、アラムコがアストンマーティンから撤退することが決まったわけではない。

    アラムコは2028年までタイトルパートナー契約
    アラムコはアストンマーティンにとって重要なパートナーだ。2023年末には契約延長が発表され、2024年から「Aston Martin Aramco Formula One Team」の名称が使用されている。

    契約は2028年までとされており、アラムコは単なるスポンサー以上の役割を担っている。

    特に重要なのが、2026年からスタートしたホンダとのワークス体制だ。

    アストンマーティンは2026年からホンダのパワーユニットを独占的に使用するワークスチームとなった。新しいパワーユニット規則では100%持続可能な燃料が導入されており、アラムコはホンダとの技術協力の一環として燃料や潤滑油の開発にも関与している。

    そのため、アラムコとの関係はチームの広告収入だけでなく、アストンマーティン、ホンダ、アラムコによって構築された技術プロジェクトにも結び付いている。

    スポンサー問題と技術提携は切り分けて考える必要
    一方で、今回の報道からアラムコによる技術支援まで停止すると判断するのは早計だ。

    元記事では、スポンサー資金が凍結された場合に燃料供給を含む技術面にも影響する可能性が示されているが、リマッハーが伝えている中心的な内容は2027年のスポンサー計画についてだ。

    既存の2028年までのタイトルパートナー契約や、ホンダと進めている燃料・潤滑油開発が変更されたとの公式発表は出ていない。

    したがって現段階では、「アラムコが撤退する」「燃料供給が止まる」といったところまで話を広げるのではなく、2027年に予定されていた追加投資が中東情勢によって保留されている可能性がある、と捉えるのが適切だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    大型投資を続けるアストンマーティンへの影響
    アストンマーティンはローレンス・ストロールの下で、F1世界選手権制覇を目標に大規模な投資を続けてきた。

    シルバーストンには新たなAMRテクノロジーキャンパスを建設し、自社風洞を含む最新設備を整備。さらにエイドリアン・ニューウェイをはじめとする有力な技術者を獲得し、2026年からはホンダとのワークス体制へ移行した。

    こうした長期プロジェクトを進めるうえで、スポンサー収入の拡大は重要な要素となる。

    特に2027年にアラムコからの支援増額と新スポンサーの加入が計画されていたのであれば、その延期はチームの中長期的な財務計画に一定の影響を与える可能性がある。

    ただし、F1にはコストキャップが存在するため、スポンサー収入の減少がそのままマシン開発費の減少につながるわけではない。チームの設備投資やマーケティング、組織運営など、コストキャップ対象外を含めた事業全体への影響として考える必要がある。

    中東情勢がF1ビジネスにも波及
    今回の報道が事実であれば、アストンマーティン固有の経営問題というより、地政学的な情勢がF1のスポンサー市場に直接影響を及ぼしたケースとなる。

    アラムコは2028年までアストンマーティンのタイトルパートナーを務める契約を結んでおり、ホンダとの技術プロジェクトにも関与している。それだけに、2027年に向けた追加支援がどの程度の規模で計画され、今回の凍結がどこまで影響するのかが焦点となる。

    現時点ではアストンマーティン、アラムコともに報道について公式なコメントを発表していない。既存契約や技術提携の変更も確認されておらず、まずは2027年に向けたスポンサー拡大計画が中東情勢を理由に保留されたとの報道段階にある。

    アストンマーティンがホンダとのワークス体制を本格化させるなか、アラムコとの関係が今後どのように推移するのか。チームの競争力だけでなく、長期的なF1プロジェクトを左右するビジネス面の動きとしても注目される。

  • アストンマーティンF1は4秒差から1秒差へ モントーヤが語るニューウェイの「奇跡」

    アストンマーティンF1は4秒差から1秒差へ モントーヤが語るニューウェイの「奇跡」

    アストンマーティンF1は、ハンガリーGPで投入したAMR26Bをきっかけに復調への兆しを見せている。

    元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤは、その変化をエイドリアン・ニューウェイの影響力を示すものと評価し、さらにホンダのアップデートによってトップとの差が縮まると予想した。

    モントーヤは、シーズン序盤に最大4秒規模だった差が、今後は「1秒」程度まで縮まる可能性があると分析。AMR26Bを事実上ニューウェイが本格的に手掛けた最初のマシンと位置づけ、2027年にはアストンマーティンとホンダがさらに大きな飛躍を遂げると期待している。

    AMR26Bで流れが変わったアストンマーティン
    2026年の新レギュレーション導入とともに始まったアストンマーティンのシーズンは、当初の期待とは大きく異なるものとなった。

    ニューウェイの加入、ホンダとのワークス体制、新ファクトリーと新風洞。勝利を狙うための条件を揃えたように見えたが、AMR26は開幕から深刻な競争力不足に苦しんだ。

    しかし、ハンガリーGPで大幅にアップデートされたAMR26Bが投入されると状況に変化が生まれた。まだトップ争いに加われる段階ではないものの、マシンの挙動や競争力には明確な改善が確認されている。

    この変化を高く評価しているのが、ウィリアムズやマクラーレンで活躍したモントーヤだ。かつてマクラーレンでニューウェイと仕事をした経験を持つモントーヤは、67歳の英国人デザイナーがアストンマーティンの将来にとって極めて重要な存在だと考えている。

    「アストンマーティンは最後尾から競争できるところまで来た。それはニューウェイの影響が実を結び始めていることを示している」

    「これがニューウェイの最初の本当のマシン」
    モントーヤは、AMR26Bについてニューウェイの思想が本格的に反映された最初のアストンマーティンだと評価する。

    「これがニューウェイにとって最初の本当のマシンだと思う。エイドリアンが加入したときには、すでに多くのことが決まっていた。それは彼が望んでいたものではなかった。だから、すでに決められていたものを使って仕事をするしかなかったんだ」

    ただし、この点については実際の開発経緯とは若干異なる。

    ニューウェイ自身が明かしているように、2025年3月1日にアストンマーティンへ正式加入した時点で、2026年型マシンの開発はむしろ十分に進んでいなかった。

    他チームがFIAの規定に従って1月1日から2026年型マシンの空力開発を開始していたのに対し、アストンマーティンは出遅れていた。さらに、新しい風洞の稼働を待ったことで実質的な作業開始は遅れ、ニューウェイは短期間で設計をまとめる必要に迫られた。

    ホンダ側も、ニューウェイの加入後に多くの設計変更を求められ、パワーユニットについても修正が必要になったことを明かしている。

    つまり、AMR26の問題はニューウェイが既存の完成されたコンセプトを引き継いだことよりも、開発開始そのものが遅れ、十分な検証時間を確保できなかったことにあった。

    その意味では、シーズン途中まで開発を重ねたAMR26Bこそ、ニューウェイが落ち着いた環境で方向性を定め、現在の技術陣とともに作り込んだ最初の仕様と見ることができる。

    ホンダの新パワーユニットがザントフォールトで投入へ
    モントーヤが期待しているのはシャシーだけではない。ホンダも夏休み明けにパワーユニットのアップデートを投入する予定であり、これがアストンマーティンのさらなる前進につながると考えている。

    「これからさらに新しいものが入ってくる。次のザントフォールトでは新しいエンジンが投入される。それがまた一歩前進になるはずだ」

    そして、シーズン後半にはポイント争いへ加わることも可能だと予想した。

    「マドリードやマレーシアの頃になれば、彼らがポイントを獲得していても驚かないよ」

    ホンダが準備している新仕様は、ICEを中心に燃焼効率やフリクション、ターボなどを改善したものとなる。アストンマーティンはハンガリーGP後にテストを実施しており、夏休み明けのオランダGPで正式投入される見通しだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    「4秒差だった。それが1秒になる」
    モントーヤは、ホンダが一度のアップデートですべての問題を解決するとは考えていない。それでも、パワーユニットの競争力は大きく改善すると予想している。

    「エンジンにはまだ問題が残ると思う。でも、パワー面での差は半分くらいまで縮められるんじゃないかな」

    そして、アストンマーティン全体の改善幅について具体的な数字を挙げた。

    「それでも1秒くらいは離されると思う。でも以前は4秒だったんだ」

    モントーヤが強調するのは、単純なラップタイムだけではない。2026年の新レギュレーションで多くのチームがマシン開発に苦戦するなか、ニューウェイが短期間でアストンマーティンの方向性を修正した点を評価している。

    「ニューウェイがやっていることは、ウィリアムズやアルピーヌ、ハースが苦しんでいる状況を見るとよく分かる。この人がやって来て、最初のマシンですでに大半のチームより良いものを作っているんだからね」

    本当の勝負は2027年
    一方、モントーヤはアストンマーティンが夏休み明けから直ちに優勝争いを始めるとは考えていない。

    2026年後半はAMR26Bとホンダの新パワーユニットによって着実に差を縮め、その成果を2027年につなげることが重要だと見ている。

    「夏休み明けにはアストンマーティンが一歩前進すると期待している。でも、本当の大きなジャンプは来年になると思う」

    ホンダにとっても、2026年シーズンを通じて得られる実戦データは大きな意味を持つ。

    「ホンダには今、2027年に向けてさらに大きなステップを踏むための時間がある。ホンダとアストンマーティンは素晴らしい物語を作ると思うよ」

    アストンマーティンにとってAMR26Bは、単なるシーズン途中のアップデートではなく、ニューウェイ主導の開発体制が本格的に機能し始めたことを示す最初の試金石となる。

    モントーヤが示した「4秒から1秒」という数字はあくまで本人の見立てだが、夏休み明けにはホンダの新パワーユニットも加わる。2026年後半でどこまで差を縮められるかが、ニューウェイとホンダによる2027年のアストンマーティンF1の競争力を占う重要な指標となりそうだ。

  • アストンマーティンF1 AMR26失敗の原点 ニューウェイ「開発はほぼ未着手だった」

    アストンマーティンF1 AMR26失敗の原点 ニューウェイ「開発はほぼ未着手だった」

    アストンマーティンF1は、2026年シーズン前半に深刻な苦戦を強いられたAMR26について、その開発の出発点から大きな問題を抱えていた。テクニカル・マネージング・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイは、自身がチームに加入した時点で2026年マシンの作業がほとんど進んでいなかったことを明かしている。

    ハンガリーGPでは大規模アップデートを施したAMR26Bを投入し、ようやく改善の兆しを見せ始めたアストンマーティン。

    しかし、そこに至るまでの約半年間は苦難の連続だった。67歳のニューウェイは、2026年マシンの失敗につながった背景として、新レギュレーションへの準備不足に加え、新風洞への移行に伴う開発開始の遅れがあったと振り返った。

    ニューウェイ加入時には2026年マシンの開発がほとんど進まず
    2026年のF1では、シャシーとパワーユニットの双方で大幅なレギュレーション変更が導入された。各チームは2025年1月1日から、風洞やCFD(数値流体力学)を使用した2026年マシンの本格的な空力開発を開始することが認められていた。

    ニューウェイがアストンマーティンで正式に仕事を始めたのは2025年3月1日。ライバルチームがすでに2カ月にわたって新規則に基づく空力開発を進めていた時期だった。

    だが、ニューウェイがシルバーストンで目にした状況は、期待していたものとは異なっていた。

    「2026年のマシンについては、ほとんど作業が進められていなかった」

    ニューウェイは2025年6月にそう明かしている。

    「もちろん、それまでに行われていた作業にも役立つ部分はあった。ただ、それ以降の方がはるかに大きな進歩を遂げている。これほど広範囲で根本的なレギュレーション変更に取り組むのは大きな挑戦だし、期限というものは思っている以上に早く迫ってくる」

    ニューウェイは、自身の加入が3月だったことだけを出遅れの理由にはしていない。正式なレギュレーションが確定する以前から、各チームには準備を進めるだけの情報があったと考えている。

    「レギュレーションの最終版が出たのは1月1日だった。ただ、それ以前でも、きちんとした仕事を進められるだけのことは十分に分かっていたと思う。実際、多くのチームはそうしていたはずだ」

    「だから、そこから少なくとも4カ月遅れてしまえば、どうしても追いつこうとする立場になる。ただ、それが我々の置かれていた状況だった」

    新風洞を待つために開発開始をさらに2週間延期
    アストンマーティンの出遅れには、もうひとつ大きな要因があった。シルバーストンの新ファクトリーに建設した自前の風洞が、2026年マシンの開発開始時点ではまだ使用できる状態になっていなかったことだ。

    それまでアストンマーティンは、ブラックリーにあるメルセデスの風洞を借りて開発を行っていた。

    そのため、まずブラックリーでAMR26の開発を始め、シルバーストンの新風洞が完成した段階で移行することも可能だった。しかし、チームは別の道を選択した。

    ハンガリーGPでAMR26Bを投入した後、ニューウェイは改めて当時の状況を説明した。

    「現実として、私が加入したときには、すぐに作業を始められるようなモデルが何も準備されていなかった」

    さらにアストンマーティンは、メルセデスの風洞を短期間だけ使用するのではなく、自前の設備が完成するまで待つことを決断した。

    「正しい判断だったのか、間違っていたのかは分からない。ただ、我々は自分たちの風洞が使えるようになるまで、さらに2週間ほど開始を遅らせることにした」

    「ブラックリーでごく短期間だけ作業を始め、その後でもう一度シルバーストンへ移すよりは、その方がいいと判断したということだ」

    この判断には理由があった。

    異なる風洞を短期間で切り替えれば、それぞれの設備から得られるデータの相関を確認する必要がある。2026年のような大規模なレギュレーション変更では、マシンの基本コンセプトを決める重要な時期に、設備間の差を検証するための時間を費やすことになりかねない。

    新しい風洞も完成すれば終わりではなかった
    さらに、新風洞は完成した瞬間から最大限の能力を発揮できるわけではない。

    実際の開発に使用しながらデータの精度や再現性を検証し、CFDや実車との相関を構築する必要がある。ニューウェイによれば、アストンマーティンでも新設備を本格稼働させるまでに相当な作業が必要だった。

    「かなり大掛かりな立ち上げ作業だった。そういう意味では、すべてが最初から少し後手に回った状態で始まった」

    「そうなれば、できることをやるしかない。そして、そのまま前へ進んでいく。それだけだ」

    ニューウェイの言葉からは、当時の状況を誰かの責任として断定するというより、すでに発生していた遅れを現実として受け入れ、その中で可能な限り開発を進めてきたという姿勢がうかがえる。

    しかし結果として、2026年マシンの空力開発そのものが遅れていたうえ、新風洞の完成を待つためにさらに時間を失い、その設備を立ち上げるための作業も必要になった。

    アストンマーティンは、新レギュレーションへの対応でライバルを追いかけるところからAMR26の開発を始めることになった。

    開幕後に露呈したAMR26の問題
    その影響は2026年シーズンが始まると明確になった。

    AMR26は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンはシーズン前半を通じて厳しい戦いを強いられた。新しいホンダ製パワーユニットにも課題があり、車体側だけに原因を求めることはできないものの、シャシーについても基本的な開発方向を修正する必要に迫られた。

    特に大きかったのは、開発期間そのものが不足していたことだ。

    新規則の初年度は、各チームが異なるコンセプトを模索するため、初期段階で選択した方向性がその後の開発余地を大きく左右する。スタートが遅れれば、単純に風洞で試せるパーツの数が減るだけではなく、失敗したコンセプトを検証して修正するための時間も少なくなる。

    ニューウェイが語った「常に追いつこうとする立場」という言葉は、AMR26が置かれていた状況を端的に表している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ハンガリーで投入したAMR26Bが反撃への第一歩
    それでも、アストンマーティンはシーズン中の開発を継続した。

    ハンガリーGPでは16項目に及ぶ変更を盛り込んだAMR26Bを投入。細かなパーツ変更にとどまらず、マシンの基本的な挙動を改善することを狙った大規模なアップデートとなった。

    決勝ではランス・ストロールが13位、フェルナンド・アロンソが14位に終わり、ポイント獲得には届かなかった。それでもアロンソはアップデート後のマシンについて、以前より挙動を予測しやすくなったと評価している。

    チーム側も、AMR26Bによってようやく開発の方向性に手応えを得始めた。

    ニューウェイの説明を踏まえれば、AMR26Bには単なる通常のシーズン中アップデート以上の意味がある。

    開発初期の遅れによって十分に検証できなかったマシンを理解し、問題点を洗い出しながら、本来あるべき開発方向へと戻していく。その成果がようやく形になり始めたのがハンガリーだったと見ることができる。

    2027年はニューウェイが最初から関与するマシンへ
    AMR26の苦戦を、ニューウェイ加入以前の準備不足だけで説明することはできない。

    2026年からワークス体制を組むホンダの新パワーユニットにも複数の課題があり、新しいファクトリーやシミュレーション設備など、アストンマーティンという組織そのものが大きな変革の途上にある。

    それでも、ニューウェイ自身が指摘するように、2026年マシンの開発がライバルより遅れた状態で始まったことは大きなハンディキャップとなった。

    現在は状況が異なる。

    シルバーストンの新風洞は稼働し、ニューウェイも開発体制の中心にいる。2026年シーズンを通じて得られる実戦データも、翌年のマシン開発へ直接生かすことができる。

    何より、加入時に「ほとんど作業が進められていなかった」というAMR26とは違い、2027年マシンではニューウェイが開発の早い段階から深く関与できる。

    AMR26Bで見え始めた改善がシーズン後半にどこまで進むのか。そして、開発初期からニューウェイの思想を反映できる2027年マシンがどこまで競争力を高めるのか。

    AMR26で露呈した出遅れを繰り返さないことが、アストンマーティンにとって最初の条件となる。2026年の苦戦を経て開発環境がようやく整った今、2027年こそニューウェイ加入の真価が問われるシーズンとなる。