アストンマーティンF1チームは、米国の億万長者ロバート・ウッド・“ウッディ”・ジョンソンが少数株式を取得し、新たな株主としてチームに加わったことを明らかにした。ジョンソンは取締役会にも入り、副会長に就任する。
79歳のジョンソンは、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン創業家の一員として知られ、NFLニューヨーク・ジェッツのオーナーを務めるほか、イングランド・プレミアリーグのクリスタル・パレスにも大きな持分を保有する。
ローレンス・ストロールが進めるアストンマーティンのF1プロジェクトに、世界的なスポーツビジネスで豊富な経験を持つ新たな投資家が加わる形となった。
ウッディ・ジョンソンがアストンマーティンF1の少数株式を取得
今回の取引でジョンソンが取得した株式の比率や金額は公表されていない。また、チームへの新規資金投入による増資なのか、既存株主から株式を取得したものなのかも明らかにされていない。
一方で、アストンマーティンはジョンソンが日常的なチーム運営に関与することはないとしている。副会長として取締役会に加わり、スポーツビジネスや米国市場における知見を提供する役割を担うことになる。
ジョンソンは第1次ドナルド・トランプ政権下の2017年から2021年まで駐英国米国大使を務めており、英国との関係も深い。
「駐英国米国大使を務めていた期間に、アストンマーティンの豊かな歴史、そしてローレンス・ストロールの戦略的なビジョンと起業家精神に強い敬意を抱くようになった」
ジョンソンはそう語り、F1チームへの投資を決めた背景を説明した。
「彼とパートナーを組み、チームのさらなる発展に貢献できることを楽しみにしている。目標は、このスポーツの最高レベルで戦える組織を築くことだ」
「また、僕たちは米国でファンベースを拡大し、より多くの人々にF1の興奮を届けたいという思いも共有している」

米国市場でのアストンマーティンF1の存在感強化へ
ジョンソンの加入には、競技面だけでなく商業面での狙いもある。F1は近年、米国市場で急速に存在感を高めており、アメリカでは複数のグランプリが開催されるなど、各チームにとって重要なマーケットとなっている。
ニューヨーク・ジェッツのオーナーとして米国プロスポーツ界に長く関わってきたジョンソンは、スポンサーシップやブランドビジネス、ファン層拡大などの分野で豊富な経験を持つ。
さらにクリスタル・パレスへの投資を通じて欧州サッカーにも関わっており、米国と英国双方のスポーツ市場にネットワークを持つ点は、アストンマーティンにとって大きな意味を持つ。
ローレンス・ストロールはジョンソンの加入について歓迎のコメントを発表した。
「ウッディをアストンマーティンファミリーに迎えることができて非常にうれしく思う。彼の経験、情熱、そして投資によって、我々が競争力向上に向けた次の段階へ進むなかで、チームの立場はさらに強固になる」
「我々のブランドに対する深い理解に加え、イノベーションと商業的な機会への強い意欲を持つ彼は、将来を見据える我々にとって理想的なパートナーだ」
ニューウェイとホンダに続く大型プロジェクトの強化
アストンマーティンF1は、ストロールの下でF1のトップチーム入りを目指した大規模な投資を続けている。
英国シルバーストンには新たなファクトリーや風洞などの施設を整備し、技術部門の拡充を進めてきた。さらにF1を代表するデザイナーのエイドリアン・ニューウェイを迎え、2026年からはホンダとワークスパートナーシップを開始している。
チームは単なるF1参戦組織ではなく、技術、ブランド、商業の各分野を含めた長期的な成長プロジェクトを進めている。そこへジョンソンが加わることで、とりわけ米国でのブランド価値向上やスポンサー獲得に新たな可能性が生まれることになる。
F1では近年、チームの企業価値が大幅に上昇しており、世界的な富豪や投資会社、スポーツビジネス関係者がチーム株式を取得する例も増えている。ジョンソンによる今回の投資も、F1チームが競技組織であると同時に世界規模のスポーツ資産として評価されている流れを象徴する動きといえる。
アストンマーティンは、ニューウェイの技術力、ホンダとのワークス体制、シルバーストンの新施設に加え、ジョンソンの資金力とスポーツビジネスにおける人脈を獲得した。ストロールが進めるF1トップチーム化の計画は、サーキット内外の両面でさらに規模を拡大している。
