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  • アストンマーティン・ホンダF1 モンツァで苦戦「ドライバビリティは小さな一歩」

    アストンマーティン・ホンダF1 モンツァで苦戦「ドライバビリティは小さな一歩」

    アストンマーティン・ホンダF1は、2026年F1イタリアGP初日のフリー走行で厳しいスタートを切った。ペドロ・デ・ラ・ロサは、モンツァがマシンにとって難しい舞台になることは事前に予想していたと認める一方、課題となっているドライバビリティについては「小さな一歩」を確認できたと語った。

    FP1ではフェルナンド・アロンソが21番手、ランス・ストロールが20番手。FP2でもアロンソ19番手、ストロール22番手と下位に沈んだ。

    特にアロンソはFP2序盤に電気系のトラブルが発生し、走行開始が遅れたことで予定していたプログラムをすべて消化することができなかった。

    モンツァでの苦戦は想定内「非常にサーキット特有の状況」
    「厳しいセッションだった。ここモンツァではこうなることは分かっていたし、このような場所では常に厳しくなる。現時点では非常にサーキット特有の状況だ」とペドロ・デ・ラ・ロサは説明した。

    それでも、順位だけでは見えない部分で予定していた作業を進めることはできたという。

    「ポジティブな面としては、プログラムを進めることができた。すべてのコンパウンドを試し、午前中にはフェルナンドのマシンでブレーキテストも行った。そしてランスではショートランとロングランを行い、明日に向けてタイヤデグラデーションを確認することができた」

    「全体としてプログラムは進められた。ただ、最終的な順位表だけを見れば、ラップタイムの面で厳しいことは明らかだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ドライバビリティは「小さな一歩」
    アストンマーティン・ホンダF1にとって現在の重要な課題のひとつが、パワーユニットを含めたドライバビリティの改善だ。

    ストロールも初日の走行後、「特にドライバビリティとパワーには、まだ改善しなければならない部分がたくさんある」とコメントしている。

    その点についてデ・ラ・ロサは、まだ十分ではないものの、モンツァ初日の走行で一定の前進が確認できたと明かした。

    「正しい方向に小さなステップを踏んでいると思う。まだ初期段階ではあるが、ドライバーたちもこの部分で小さな前進があったと感じている」

    「まだ改善できる部分はあるし、我々はそこに取り組んでいる。ただ、ドライバビリティという意味ではポジティブな一日だった」

    一方で、その前進が「小さなステップ」にとどまっている以上、今後さらに大きな改善が必要ではないかと問われると、デ・ラ・ロサは「もちろんだ。そうでなければならない」と認めた。

    「だからこそ我々は懸命に取り組んでいる。セッションとセッションの間だけで作業するのが理想的ではないことは明らかで、本来ならきちんとしたテストデーが欲しいところだ。ただ、現時点で我々に与えられているのはこれなので、可能な限りうまく対応していかなければならない」

    アロンソは電気系トラブルでFP2の走行が遅れる
    アロンソはFP1でコースオフを喫し、グラベルにタイヤを落とす場面があった。さらにFP2では電気系の問題が発生し、セッション序盤に十分な走行時間を確保できなかった。

    「フェルナンドには開始時に電気系の問題が発生した。そのため走行開始が遅れ、ランスよりも周回数が少なくなった。彼についてはプログラムをすべて完了することができなかった」

    限られた時間のなかで、アロンソ側はロングランを諦め、セットアップ比較を優先した。

    「最後の数周では、ロングランを行う代わりに異なるセットアップのオプションを試した。一方でランスがロングランを担当していたので、ソフトタイヤでのデータを得ることはできた。それが主な目的だった」

    アストンマーティン・ホンダF1にとって、モンツァ初日はタイムシート上では厳しい結果となった。ただし、デ・ラ・ロサはドライバビリティでわずかながら改善を確認しており、収集したタイヤやセットアップのデータをもとに予選までにどこまでマシンを前進させられるかが焦点となる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 2027年型へ開発移行 AMR26はバクーで最終仕様

    アストンマーティン・ホンダF1 2027年型へ開発移行 AMR26はバクーで最終仕様

    アストンマーティンF1は、2026年型マシン「AMR26」について、今季中に予定していた空力アップデートを終了した。今後は軽量化プログラムを完了させ、F1アゼルバイジャンGPが行われるバクーから最終仕様のマシンでシーズンを戦う方針だ。

    最高技術責任者(CTO)のエンリコ・カルディレによれば、AMR26は依然として最低重量を上回っているものの、軽量化によってすでにラップタイムは大幅に改善している。

    バクーでは最低重量に「非常に近い」水準まで到達する見込みだという。一方、パワーユニット(PU)を供給するホンダは引き続きハードウェアとソフトウェアの両面でアップデートを進める。

    AMR26の空力アップデートは終了
    アストンマーティンは直近2戦にわたり、AMR26へ一連の空力アップデートを投入してきた。しかし、カルディレはこれが2026年型マシンに予定されていた最後の空力開発になると説明した。

    「これらが、このマシンに予定していた最後の空力開発になる」

    「唯一の例外は、2027年型マシンを開発している過程で、相関関係を確認するために今年のマシンを使ってコース上でテストする意味があるものを発見した場合だ。ただ、現時点ではこれ以上予定しているものはない」

    アストンマーティンはすでに2027年型マシンの開発へ重点を移しており、今後AMR26に新しい空力パーツが投入されるとしても、それは2026年型マシンそのものの性能向上を目的としたものではなく、将来の開発に向けた検証が主目的になる。

    一方で、AMR26の軽量化についてはまだ作業が残されている。

    「軽量化プログラムについては、まだ完了させる必要がある。それはバクーあたりで完了するはずだ。バクー以降は、基本的にシーズン残りをマシンの最終仕様で走ることになる」

    バクーで最低重量に接近
    2026年のF1ではマシン重量がパフォーマンスを左右する重要な要素となっており、アストンマーティンもシーズンを通してAMR26の軽量化を進めてきた。

    カルディレによれば、これまでの軽量化だけでもラップタイムには大きな効果が表れている。ただし、現時点のAMR26はまだ規定の最低重量には達していない。

    「これまでの軽量化だけでも、ラップタイムを劇的に改善するには十分だった」

    「バクーでは最低重量に非常に、非常に近づけるはずだ。それこそ、常に目指すべき状態だ」

    これにより、アゼルバイジャンGP以降のAMR26は空力仕様だけでなく重量面でもほぼ完成形となる見通しだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダはPUアップデートを継続
    シャシー側の大規模な開発が終了する一方、ホンダは2026年型F1パワーユニットの改善を続ける。

    ホンダは前戦オランダGPで大規模なアップデートを投入。アストンマーティンの改良と合わせ、フェルナンド・アロンソは18番グリッドから9位まで挽回し、チームにとって今季最高の結果を記録した。

    カルディレは、ホンダが今後も複数の改良を予定していることを明かした。

    「ホンダは非常に懸命に取り組んでいる。エンジンの制御やマネジメント方法を改善するため、ハードウェアとソフトウェアの両方でいくつかのアップデートが予定されている」

    「必要としているパフォーマンスを引き出すため、このパワーユニットのアーキテクチャをどこまでプッシュできるかを探っている。それが今の焦点だ」

    ホンダの新スペックPUについては、オランダGP前からドライバビリティ面で課題が確認されていた。

    アストンマーティンはハンガリーGP後にフィルミングデーを実施し、そこで新仕様のエンジンを走らせた際にも望ましくない挙動を確認していたという。

    「ハンガリーGP後に行ったフィルミングデーで新スペックのエンジンを走らせた際、すでにいくつか望ましくない挙動が確認されていた」

    「それでも、サマーブレイクによるシャットダウンからオランダGPまで非常に短い時間しかなかったにもかかわらず、ホンダはそれらの問題を軽減することができた」

    モンツァは「弱点を完全に露呈させる」
    一方、カルディレは今週末のF1イタリアGPについて、アストンマーティンにとって厳しい戦いになると予想している。

    モンツァは長いストレートと少ないコーナーを特徴とする超高速サーキットであり、空気抵抗の少なさとPUの出力が大きく結果を左右する。

    「『難しい』と言うなら、おそらくかなり控えめな表現だろう」

    「モンツァにはそれほど多くのコーナーがない。つまり、ドライバーやシャシーが大きな違いを生み出せる場所が少ないということだ。基本的には数少ないコーナーを完璧に走り、ストレートでは低ドラッグと高いパワーを持つことが重要になる」

    そして、AMR26が抱える弱点がモンツァでは隠せないと認めた。

    「モンツァは我々のマシンの弱点を完全に露呈させるサーキットだ。純粋なパフォーマンスという観点では、期待について現実的にならなければならない」

    「ただ、それによってチームがこれまで遂げてきた進歩が損なわれるわけではない」

    アストンマーティンはバクーでAMR26の軽量化プログラムを完了させ、2026年型マシンの開発を事実上終了する。一方で、ホンダはPUのハードウェアとソフトウェアの改善を継続する方針であり、シーズン終盤に向けてどこまで性能とドライバビリティを引き上げられるかが焦点となる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • ジョナサン・ウィートリー F1パドック復帰 アストンマーティン代表就任へ前進か

    ジョナサン・ウィートリー F1パドック復帰 アストンマーティン代表就任へ前進か

    ジョナサン・ウィートリーが、先週末に開催されたF1オランダGPでパドックに姿を見せた。アウディF1のチーム代表を退任して以来、F1の現場から距離を置いていたウィートリーだが、アストンマーティンの次期チーム代表候補として依然有力視されている。

    元レッドブル・レーシングのスポーティングディレクターであるウィートリーは、2025年にザウバーへ加入し、アウディF1のワークス体制移行を率いるチーム代表に就任した。

    しかし、2026年3月の中国GP後に職を離れており、その直前からアストンマーティンの長期的なチーム代表候補として名前が挙がっていた。

    アウディ退任後初のF1パドック復帰
    59歳のウィートリーは、アウディを離れて以降、F1のパドックから姿を消していた。

    それだけに、ザントフォールトで開催されたオランダGPに現れたことは注目を集めた。アウディ退任後、F1のレースウイークのパドックに姿を見せたのは今回が初めてとみられている。

    ただし、今回の訪問が直接アストンマーティンとの交渉を目的としたものだったわけではないようだ。

    ウィートリーはオランダGPでアルピーヌのホスピタリティに入る姿を目撃されたが、これはベネトンおよびルノー時代の元同僚で友人でもあるスティーブ・ニールセンを訪ねるためだったとされている。ニールセンは現在、アルピーヌのマネージングディレクターを務めている。

    それでも、久々のF1パドック復帰によって、ウィートリーのアストンマーティン入りを巡る憶測は再び強まっている。

    ニューウェイのチーム代表職を引き継ぐ最有力候補
    ウィートリーは、将来的にエイドリアン・ニューウェイからアストンマーティンのチーム代表職を引き継ぐ最有力候補とみられている。

    もちろん、ニューウェイがアストンマーティンを離れるという意味ではない。

    ニューウェイは2025年11月にアンディ・コーウェルの後任としてチーム代表に就任し、自身のF1キャリアで初めてチーム運営の責任を担うことになった。しかし本来の役割は、マシンの設計と開発を統括するマネージング・テクニカル・パートナーであり、本人もチーム代表としての業務が技術面の仕事を妨げていることを認めている。

    そのためアストンマーティンでは、日常的なチーム運営を任せられる新たな責任者を据え、ニューウェイを本来の技術開発に集中させる体制が検討されている。

    その人選を主導してきた人物のひとりがニューウェイ自身であり、そこで有力候補として浮上したのがウィートリーだった。

    レッドブル時代からチーム運営の実務に精通し、アウディではチーム代表も経験したウィートリーであれば、グランプリチームの日常的なオペレーションを任せることができる。

    ニューウェイとウィートリー レッドブル黄金期を支えた2人
    ニューウェイとウィートリーには長い共通の歴史がある。

    2人はいずれもレッドブル・レーシングの黄金時代を支えた主要メンバーであり、セバスチャン・ベッテルによるタイトル連覇から、マックス・フェルスタッペンを中心とした近年の成功まで、チームの成長とタイトル獲得に大きく貢献した。

    ニューウェイとウィートリーはともに2024年にレッドブルを離れ、その後、それぞれアストンマーティンとアウディという異なるプロジェクトへ向かった。

    ウィートリーがアストンマーティンに加入すれば、かつてレッドブルで成功を築いた2人が再び同じチームで仕事をすることになる。

    ただし、ウィートリーにはアウディ退任後の契約上の通知期間やガーデニングリーブが存在するとみられており、それが正式就任の時期に影響している可能性がある。

    ジョナサン・ウィートリーとエイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ニューウェイもオランダGPで今季5度目の現場入り
    オランダGPではニューウェイ自身も現場に姿を見せた。

    ザントフォールトは、ホンダがアストンマーティン向けパワーユニットに大規模なアップグレードを投入した週末でもあり、ニューウェイにとって2026年シーズン5度目のサーキット帯同となった。

    ニューウェイは開幕戦オーストラリアGPに帯同した後、続く4戦を欠席。6月初旬のモナコGPで現場に復帰し、その後はイギリスGP、ハンガリーGP、そしてオランダGPにも帯同している。

    一時的にサーキットから離れていた理由のひとつには体調面の問題もあった。

    ニューウェイは6月、前年から体調が万全ではなく、仕事とのバランスを慎重に取る必要があったことを明かしている。

    「今は大丈夫だが、難しい時期だった。去年は正直なところ100%ではなかった。健康と仕事のバランスを以前より慎重に考えなければならなかった」

    その一方で、アストンマーティンの技術部門とは良好な関係を維持できていたと説明した。

    「チームは本当に素晴らしく対応してくれた。エンジニアたちとは非常に良い関係を保てていたし、それによって大きな停滞が起きたとは思っていない」

    「ここにいる全員が、どれだけ柔軟に対応し、お互いを支えられるかを示していると思う」

    ウィートリーが加入すれば、ニューウェイはチーム代表としての運営業務から解放され、アストンマーティン・ホンダのF1マシン設計と開発により多くの時間を割けるようになる。

    現時点でアストンマーティンから正式な発表はない。それでも、数カ月にわたってF1の現場から離れていたウィートリーが再びパドックに姿を現したことで、次期チーム代表就任に向けた動きが近く表面化する可能性に改めて注目が集まっている。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1は、大幅アップデートを施したAMR26Bとホンダ製パワーユニットについて、まだ本来のポテンシャルを完全には引き出せていないと考えている。トラックサイドオペレーションディレクターのマイク・クラックは、新しいパッケージへの理解を深めることで、今後さらにパフォーマンスを高められるとの見方を示した。

    アストンマーティンはハンガリーGPで大規模な車体アップデートを投入し、オランダGPでは新仕様のホンダ製パワーユニットを導入。わずか2戦で後方からポイント争いへと浮上した。

    特にザントフォールトではAMR26Bの競争力が明確になった一方、クラッグは現時点のパフォーマンスが完成形ではないと強調している。

    大規模アップデートは「理解するために数セッション必要」
    アストンマーティンがハンガリーGPで投入したアップデートは、新シャシーと空力パッケージを含む大規模なものだった。変更範囲が広いだけに、セットアップや運用方法についてチームが学ぶべき部分も多いという。

    「我々はこのアップデートについて、ますます理解を深めている。ブダペストで投入した大規模なパッケージについては、どのように取り組み、どのようにセットアップすべきかを学ぶために、いくつかのセッションが必要になる」

    クラッグは、オランダGPで投入されたホンダの新仕様パワーユニットについても同様だと説明する。

    「そして、今回導入したパワーユニットについても同じことが言える。我々はその使い方を学び、最適化する方法を学ばなければならない。数戦はかかると思うが、良い前進だった」

    ザントフォールトはスプリントフォーマットで行われたため、通常のグランプリ週末よりもフリー走行時間が限られていた。大規模な変更を施したマシンを理解するには、決して理想的な状況ではなかった。

    「これは、新しいものを理解しようとしているという話とも一致する。大規模な変更がある場合、セッションが非常に慌ただしいなかで、常にすべてから最大限を引き出すのは難しい」

    「セッションを重ねれば重ねるほど、よりうまくコントロールできるようになる。ただ、少し苦戦するセッションもあれば、より簡単に進められるセッションもある。今週末については、かなり良いセットアップができていた」

    つまり、ザントフォールトで見せた競争力は、AMR26Bと新しいホンダPUを完全に最適化した結果ではない。今後データを蓄積し、両者の使い方への理解が進めば、さらにパフォーマンスを引き出せる余地が残されている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは予選より決勝で競争力を発揮
    一方で、AMR26Bには依然としてサーキット特性による得意不得意が存在する。

    フェルナンド・アロンソはオランダGP後、レースが進んでタイヤが劣化するほどマシンの相対的な競争力が高まったと指摘していた。タイヤのグリップやパワーユニットの性能だけに頼る状況ではなくなることで、AMR26Bが持つ車体そのものの良さを生かしやすくなるためだ。

    クラッグも、アストンマーティンが予選より決勝で強さを発揮する傾向を認めている。

    「ブダペストの時点から、我々がレースでは少し強いことは分かっている」

    ただし、依然として課題となるのがストレートスピードだ。

    「フェルナンドが、我々の結果はストレートがどれくらい長いかによって、おおよそ決まると言っていたと思う。ここ2戦はストレートが少し短かった」

    ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも長い全開区間が少なく、AMR26Bの車体性能を生かしやすいレイアウトだった。そのため、より長いストレートを持つサーキットでは苦戦する可能性がある。

    「これからもっと難しいレースもあるだろう。ただ、それもこの世界の一部だと思う。強いレースもあれば、それほど強くないレースもある。残りのシーズンがどう展開していくのか興味深い」

    アストンマーティンにとって重要なのは、AMR26BとホンダPUの双方にまだ最適化の余地がある点だ。現時点ではサーキット特性、とりわけストレートの長さによって競争力が左右されるものの、大規模アップデートへの理解が進めば、現在以上の性能を引き出せる可能性がある。

  • アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1チームは、英国のハウスミュージック専門レーベル「Defected Records」とパートナーシップを締結した。

    モータースポーツと音楽の組み合わせ自体は珍しくないが、今回の取り組みは単なるイベント演出ではなく、F1という競技の枠を越えてファンコミュニティを広げることを狙ったものだ。

    F1とハウスミュージックはいずれも世界規模で支持を拡大しており、アストンマーティンは両者に共通する「グローバルな規模」と「ファン同士の親密なつながり」に着目した。グランプリを訪れない層にもチームの世界観に触れてもらうことで、新たなファンとの接点を築こうとしている。

    アストンマーティンF1とDefected Recordsが提携
    アストンマーティンは今週、英国を代表するハウスミュージックのレコードレーベル、Defected Recordsとのパートナーシップを発表した。

    ハウスミュージックは1980年代初頭に米国シカゴで誕生し、その後世界的なジャンルへと成長した。現在ではヒットチャートにも頻繁に登場し、若い世代を中心に大きな支持を集めている。

    F1との距離も決して遠くない。ドライバーがSNSに投稿する動画などでもハウスミュージックが使用される機会は多く、オスカー・ピアストリもその一例だ。

    アストンマーティンは今回、その関係をさらに一歩進めた。ロンドン中心部のソーホーでは、ファンコミュニティ「I/AM」のメンバーを対象とした「Driven By Sound」と題するポップアップイベントを開催した。

    一見するとF1チームとハウスミュージックのレーベルという異色の組み合わせだが、アストンマーティンF1チームの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるロブ・ブルームは、両者には共通する考え方があると説明する。

    「我々は象徴的な存在と結びつきたいと考えており、Defectedはまさにその条件を満たしている」

    「Defectedには、ハウスミュージックはダンスフロアの内外に存在し、コミュニティ文化は音楽そのもの以上のものだという考え方がある。我々アストンマーティンF1チームも、まったく同じ考え方を持っている。グランプリに行くかどうかに関係なく、ファンと交流し、我々の世界に迎え入れたい」

    「自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在」
    ブルームは、アストンマーティンというブランドそのものが、以前から自動車というカテゴリーだけに収まらない存在だったと強調する。

    「アストンマーティンというブランドには100年の歴史があるが、常に文化的な現象でもあった。その存在は中核となる製品をはるかに超えている」

    「我々は文化という領域で、自分たちのカテゴリーの外へ踏み出すことに非常に慣れている。そこが我々の活動する場所であり、単なる自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在でありたいと考えている」

    音楽とF1には以前から深いつながりがある。Fleetwood Macの「The Chain」がF1を象徴する楽曲として知られてきたほか、『F1/エフワン』でも音楽は作品を構成する重要な要素となった。

    数多くの音楽ジャンルが存在するなか、アストンマーティンがハウスミュージックを選んだ理由について、ブルームは両者の「自然な一致」を挙げた。

    「自然な親和性がある。ハウスミュージックとF1を見ると、どちらにも規模の大きさと親密さがある」

    「ハウスミュージックとF1という2つのグローバルな存在があり、世界には8億2500万人のF1ファンがいる。本当にグローバルだ」

    「しかし、今回のような小さな機会にファンを集めることで、そこに親密さが生まれる。巨大なグローバルプラットフォームでありながら、その中で非常に個人的で親密な関係や体験を作ることができる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソのレーシングスーツからホンダF1のPUサウンドまで
    ソーホーで開催されたポップアップイベントでは、I/AMメンバーがアストンマーティンF1チームをより身近に体験できるさまざまな企画が用意された。

    DJのサム・ディヴァインやRUZEによるセットを聴きながら無料のコーヒーを楽しめるほか、日曜日にはランニングクラブも開催された。

    会場内にはフェルナンド・アロンソのレーシングスーツとヘルメットも展示された。また、来場者がさまざまな音を体験できる「サウンドウォール」も設置され、チーム無線やホンダ製F1パワーユニットのサウンド、さらにF1 ACADEMYドライバーのマリ・ボヤに関連するチーム無線などを聴くことができた。

    ハウスユニット「The Shapeshifters」のプロデューサーであるサイモン・マーリンは、ダンスミュージックが生み出すコミュニティについて次のように語った。

    「僕がこの仕事を始めてから、ダンスミュージックは大きく進化した。ダンスフロアで友人を見つけることほど特別なことはない」

    「Defected Croatiaはその素晴らしい例だ。10年前には一度も会ったことがなかった人たちが、いまでは親友になり、今年のフェスティバルが終わったことを一緒に泣いて惜しんでいる」

    「そういうことは、自分が特別だと感じられ、期待していたものを超えるような共有体験によってしか起こらない。そうした瞬間が人々を結びつける。ハウスミュージックは、それを実現する最大かつ最高のプラットフォームだ。とてもポジティブな力がある」

    F1とハウスミュージックで広がる新たなファン文化
    F1とハウスミュージックの接点は、すでにさまざまな形で生まれている。世界的なDJがF1公式プレイリスト「F1 Tracks」に参加しているほか、2026年F1シンガポールGPではDiploがパフォーマンスを行う予定だ。

    元F1ドライバーが音楽の世界へ進んだ例もある。フェルナンド・アロンソと同じスペイン出身のハイメ・アルグエルスアリは、F1引退後に「Squire」の名義でDJ、音楽プロデューサーとして活動している。

    アストンマーティンとDefected Recordsの提携が示しているのは、F1チームがレース週末だけをファンとの接点とは考えなくなっていることだ。音楽やファッション、ライフスタイルといった領域を通じて、サーキットを訪れない人々とも継続的なコミュニティを形成することが、チームのブランド戦略で重要性を増している。

    世界規模のファンを持ちながら、一人ひとりには身近な体験を提供する。アストンマーティンF1チームはハウスミュージックとのコラボレーションを、その新しいファンとの関係を築く手段のひとつとして位置づけている。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1は、AMR26Bのさらなる性能向上に向けて「重量」という課題に取り組んでいる。ハンガリーGPで投入された大幅改良型は空力面で前進し、ホンダもパワーユニットの性能向上を進めているが、マシンは依然としてF1の最低重量に達していないという。

    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、チームがモンツァとバクーでAMR26Bの軽量化を進め、最低重量まで引き下げることを短期的な目標としていると明かした。

    エイドリアン・ニューウェイ率いる技術陣にとって、空力開発やホンダF1パワーユニットの改善とは別の領域でラップタイムを削る重要な取り組みとなる。

    AMR26Bで状況が一変したアストンマーティン
    2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンは厳しい状況に置かれていた。新レギュレーションが導入された最初の10戦では、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが他チームと競り合うことさえ難しいレースが続いた。

    しかし、ハンガリーGPでAMR26Bと呼ばれる大幅改良型を投入し、さらにオランダGPでもアップデートを加えたことで状況は変化した。

    ザントフォールトではアロンソが18番グリッドから9位まで挽回してポイントを獲得。アストンマーティンが中団で戦えるだけの競争力を取り戻しつつあることを示した。

    そのパフォーマンス向上には空力面の進歩に加え、オランダGPで投入されたホンダF1パワーユニットの新仕様も一定の役割を果たした。ただし、パワー面での向上が確認された一方、新仕様ではドライバビリティに新たな課題も生じた。

    ホンダF1新PUはブレーキングとシフトダウンが課題
    次戦イタリアGPに向けた課題のひとつが、ホンダF1パワーユニットのドライバビリティ改善だ。

    オランダGPでは、特にブレーキングからシフトダウンにかけての挙動が安定せず、ドライバーがマシンの性能を最大限に引き出すうえで障害となった。

    デ・ラ・ロサは、改善すべきポイントについて次のように説明している。

    「新しいエンジンについては、ドライバビリティを改善しなければならない。特にブレーキングとシフトダウンの部分だ」

    この領域ではホンダ側の改善が重要になる。一方、アストンマーティン側ではAMR26Bそのものについて、空力アップデートとは異なる性能向上策が進められている。それがマシンの軽量化だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは依然として最低重量に到達せず
    デ・ラ・ロサによれば、AMR26Bはシーズン開幕時から抱えていた重量超過を完全には解消できておらず、現在も規定の最低重量より重い状態にある。

    「もうひとつ取り組んでいるのがマシンの軽量化だ。今後2戦、モンツァとバクーで最低重量の限界まで持っていくことを目指している。まだそこには到達していない。ウィリアムズも同じだ。これが短期的な目標になる」

    F1マシンでは最低重量を上回る余分な重量は、そのままパフォーマンス上の不利につながる。空力アップデートの場合、新しいパーツによってダウンフォースを増やしてもドラッグやマシンバランスなど別の領域に影響を及ぼす可能性がある。

    これに対して軽量化は、マシンの基本性能を底上げする手段となる。余分な重量を削減できれば、加速やブレーキング、コーナリングなど幅広い領域で恩恵を得られるためだ。

    モンツァからバクーにかけて段階的に軽量化
    アストンマーティンは、まずイタリアGPが行われるモンツァで軽量化の第1段階を進め、その後のバクーで最低重量への到達を目指す方針だという。その間に開催されるマドリードGPでは、この点に関する新たな変更は予定されていないとされる。

    AMR26Bの開発では、ニューウェイを中心に空力性能の改善が進められてきた。同時にホンダはパワーユニットの出力とドライバビリティ改善に取り組んでいる。そして、そこに軽量化という第3の開発軸が加わることになる。

    アストンマーティンにとって当面の課題は明確だ。ホンダF1パワーユニットではブレーキングやシフトダウン時のドライバビリティを改善し、シャシー側ではAMR26Bを最低重量まで近づける。モンツァとバクーは、ハンガリーから始まった復調をさらに確かなものにできるかを測る重要な2戦となる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダが2026年F1シーズン後半に入って競争力を大きく引き上げている。ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は、オランダGPで示されたライバルのレースペースを目の当たりにし、「今や別のリーグ」とその差を認めた。

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤、ホンダとの新たなワークス体制で苦戦。マシンは速さと信頼性の両面で課題を抱えていた。

    しかし、ハンガリーGPで今季初となる大型アップグレードを投入し、さらにオランダGPではホンダもパワーユニットのアップグレードを投入。シーズン序盤とは異なる競争力を見せ始めている。

    サインツJr.「今の彼らは別のリーグにいる」
    一方、ウィリアムズにとってオランダGPは厳しい週末となった。サインツJr.は現在のチームの立ち位置について、事前に予想していた範囲だとしながらも、アストンマーティンとの差が大きく開いていることを認めた。

    「僕たちはだいたい予想していた位置にいる。つまり後方だ」

    「現時点で僕たちより速くないのはキャデラックだけだ。アストンマーティンのレースペースを見ただろう。今の彼らは別のリーグにいる」

    「僕たちは彼らとは戦えなかった。というか、正直、誰とも戦えなかった」

    アストンマーティンはシーズン序盤、ホンダの新パワーユニットとともに厳しいスタートを切ったが、ハンガリーGPで今季初となる大規模なアップグレードを投入。マシンのパフォーマンスを大きく向上させた。

    さらにザントフォールトでは、ホンダ側もパワーユニットのアップグレードを投入。車体とパワーユニットの双方で開発が進んだことで、アストンマーティン・ホンダは開幕当初とは異なる競争力を発揮するようになった。

    オランダGPではフェルナンド・アロンソが18番グリッドから追い上げて9位に入り、ポイントを獲得。サインツJr.にとっても、そのレースペースはウィリアムズでは対抗できないと認めざるを得ないものだった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームを警戒するカルロス・サインツJr.

    アルボンとの接触「大したものを争っていたわけではない」
    ウィリアムズの厳しい週末は、決勝終盤にさらに悪化した。サインツJr.はチームメイトのアレクサンダー・アルボンとポジションを争うなか、ターン1への進入でフロントタイヤをロックさせて接触。アルボンはこのアクシデントによってリタイアを余儀なくされた。

    「レース終盤、アレックスと僕はただ楽しみながら走っていた。でも残念ながら、ターン1のバンプで不意を突かれてフロントをロックさせてしまい、僕がミスをした」

    「でも正直なところ、僕たちが大したものを争っていたわけではない」

    シーズン序盤には速さと信頼性の両面で苦戦していたアストンマーティン・ホンダだが、相次ぐアップグレードによって状況は大きく変わった。サインツJr.の「別のリーグ」という言葉は、その進歩がライバルから見ても明確なものになったことを物語っている。

  • アストンマーティンF1 メルセデスとPU供給を協議か ホンダに圧力

    アストンマーティンF1 メルセデスとPU供給を協議か ホンダに圧力

    アストンマーティンが、将来的なF1パワーユニット(PU)の供給を巡ってメルセデスと協議しているとスペイン紙『SPORT』が報じた。2026年からワークス体制を組むホンダとの関係を直ちに見直す動きではないものの、期待する水準に届いていないホンダPUへの圧力を強める意味合いもあるという。

    その動きを象徴するものとしてSPORTが伝えたのが、メルセデスのCEO兼チーム代表を務めるトト・ヴォルフのアストンマーティン訪問だ。

    ヴォルフはF1オランダGP決勝当日の朝、ザントフォールトのパドックにあるアストンマーティンのモーターホームを訪れており、6月のスペインGPに続いて今季2度目の訪問だったという。

    ヴォルフがアストンマーティンを再訪
    F1のパドックでは、他チームの首脳がモーターホームを訪れること自体は珍しいことではない。しかしSPORTは、今回のヴォルフの訪問について、これまでの両陣営の動きを踏まえれば単なる社交的なものとは限らないと指摘している。

    ヴォルフは6月のスペインGPでもアストンマーティンを訪問していた。一方、アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールも、それ以前のオーストラリアGPでメルセデスを訪れていたという。

    そしてオランダGPでは、決勝の数時間前となる日曜日の朝にヴォルフが再びアストンマーティンを訪問。SPORTは、ヴォルフのイニシャルが入ったスクーターがアストンマーティンのモーターホーム脇に置かれていたことも伝えている。

    同紙によれば、メルセデスのホスピタリティはアストンマーティンから約100メートル離れており、こうした一連の訪問が繰り返されていることから、両者の間で何らかの協議が行われている可能性に注目している。

    メルセデスだけではない? 将来のPU供給先を模索
    SPORTは、メルセデスが将来的にアストンマーティンへPUを供給する可能性について両者が話し合っていると報道。さらに、アストンマーティンが接触しているPUメーカーはメルセデスだけではないとしている。

    ただし、現時点でアストンマーティンからホンダに対して最後通告が突きつけられたわけではなく、ホンダとの提携解消が決まったわけでもない。

    また、2027年からPUを変更するとの見方についてSPORTは「時期尚早」としており、仮に変更が実現するとすれば2028年になるとの見方を示している。

    アストンマーティンは2026年からホンダとワークス体制を構築し、それまで使用していたメルセデスPUから離れた。3年前に決定したこの計画は、カスタマーチームではなくワークスチームとしてF1世界選手権を戦うための重要な戦略だった。

    しかしSPORTは、ホンダが期待されたパフォーマンスを発揮できなければ、その方針が再び変更される可能性があると伝えている。

    背景にホンダ新PUへの不満
    こうした動きの背景にあるとされるのが、2026年型ホンダPUのパフォーマンスだ。

    ホンダはシーズン開幕以降、PUの改善を続けており、オランダGPでは新たな仕様を投入した。しかし、その進化についてホンダ側も「小さな一歩であり、革命ではない」と説明しており、アストンマーティンが期待したほどの成果にはつながらなかった。

    一方で、アストンマーティンのシャシー側は大きく前進している。エイドリアン・ニューウェイの指揮のもと、AMR26には直近2戦で合計21点の新パーツが投入され、フェルナンド・アロンソはマシンの改善について「4秒差だったところから、今では1.4秒差になった」と説明している。

    シャシーが改善するにつれて、相対的にPU側の弱点が目立つ状況になっている。

    アロンソもオランダGP後、新しいホンダPUについて期待していた結果が得られなかったことを認めた。

    「シャシーについては、進んでいる方向に満足しています。でも、エンジンについてはもう少し待つ必要があります」

    「今週末は期待していた結果にならなかったと思います。ドライバビリティやギアチェンジなど、最初のエンジンで少し改善できていた部分が、この2基目では少し振り出しに戻ってしまいました。だから、これから2、3戦をかけて最適化していく必要があります」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「結果はストレートの長さに左右される」
    アストンマーティンのマイク・クラックも、今後のレースではサーキットのストレートの長さが結果を左右する可能性があると語り、PU性能が大きな要素になることを示唆している。

    「これから厳しいレースが続く。我々の結果は各サーキットのストレートがどれだけ長いかに左右されるだろう。ただ、このパッケージについては走るたびに理解が深まっていくし、パワーユニットについても同じことが言える」

    ランス・ストロールもホンダに対して改善を求めている。

    「ドライバビリティとパワーは、次に徹底的に取り組まなければならない部分だ」

    アロンソ、クラック、ストロールの発言からも、アストンマーティン側がホンダにさらなる改善を求めていることは明らかだ。

    ローレンス・ストロールはホンダの改善を待つ姿勢
    もっとも、SPORTによれば、ローレンス・ストロールは現段階でホンダとの関係を打ち切るような急進的な考えを持っているわけではない。

    ホンダがバーレーンでのプレシーズンテスト以降、一定の進歩を遂げていることも評価しており、まずは開発を続ける時間を与える考えだという。

    その一方で、メルセデスを含む他のPUメーカーと話し合うことは、将来に向けた選択肢を確保すると同時に、ホンダへさらなる改善を促す手段にもなる。

    SPORTはこれを、アストンマーティンからホンダに対する「今はあなたと一緒にいるが、これがうまくいかなければ……」というメッセージに近いものだと表現している。

    つまり、現時点でアストンマーティンとホンダの“離婚”が決まっているわけではない。ただし、ホンダが十分な進歩を示せなかった場合に備え、アストンマーティンが別の選択肢を探り始めているというのがSPORTの報道だ。

    次戦イタリアGPが行われるモンツァは、ストレートでの性能が特に重要になるサーキットだ。AMR26のシャシーが進歩を続けるなか、ホンダPUがどこまでその性能に応えられるか。今後の数戦は、2028年以降も続くことを前提としてスタートしたアストンマーティンとホンダの関係にとって、重要な期間となりそうだ。

  • アストンマーティンF1幹部 ホンダ新PU投入も「結果はストレートの長さ次第」

    アストンマーティンF1幹部 ホンダ新PU投入も「結果はストレートの長さ次第」

    アストンマーティンF1は、F1オランダGPでホンダの新スペック・パワーユニット(PU)を投入し、フェルナンド・アロンソが9位に入って2ポイントを獲得した。しかし、チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックは、今後の成績について「結果は各サーキットのストレートの長さに左右される」と認めた。

    数カ月にわたって開発されてきたホンダの新PUは、アストンマーティンにとって後半戦の巻き返しに向けた重要なアップデートだった。

    一方、ザントフォールトではドライバビリティなどの問題も浮上。クラックの発言からも、ストレート性能が依然として今後の競争力を左右する大きな要素であることがうかがえる。

    新PU投入も残ったストレート性能への懸念
    F1オランダGPは、アストンマーティンとホンダにとって大きな転換点になることが期待されていた。

    ホンダは数カ月にわたって開発を進めてきた新スペックPUをザントフォールトで投入。アストンマーティン側でもエイドリアン・ニューウェイを中心にAMR26の改善が進められ、シャシーとPUの両面から競争力を引き上げることが狙いだった。

    決勝ではアロンソが2ストップ戦略を機能させて9位でフィニッシュ。今季2度目のポイント獲得を果たし、ニューウェイもアロンソの走りを高く評価した。

    しかし、新PUの投入によってすべての問題が解決したわけではない。

    決勝後、スペインの『AS』などの取材に応じたクラックは、アストンマーティンの今後の競争力について次のように語った。

    「我々は予選よりもレースの方がわずかに強い。ただ、結果は各サーキットのストレートの長さに左右されることになる」

    「厳しいレースが待っているが、このパッケージについてはこれからますます理解を深めていくことができる。パワーユニットについても同じだ」

    クラックはホンダPUのパワー不足を直接指摘しているわけではない。それでも、アストンマーティンが今季を通じてストレートスピードに苦しんできたなか、新PU投入後も「ストレートの長さ」が結果を左右すると語ったことは注目に値する。

    ホンダの新スペックPUには、これまでの弱点を改善することも期待されていた。しかし、少なくともザントフォールトでの初戦を終えた段階では、ストレートの長いサーキットほど厳しくなるという構図を完全に覆すまでには至っていないことが、クラックの発言からうかがえる。

    ホンダ新PUでドライバビリティの問題が再浮上
    ストレート性能だけでなく、新PUではドライバビリティにも改善すべき部分が残された。

    アロンソとランス・ストロールは予選後、エンジンブレーキやパワーデリバリーの一貫性について問題を訴えている。

    特にエンジンブレーキの挙動はドライバーにとって予測しづらく、コーナー進入時のマシンコントロールにも影響した。ストロールはその状態を「宝くじ」と表現するほどだった。

    新スペックPUでは特性が変化したため、それまで旧仕様で積み重ねてきた制御やマッピングについても、新たな仕様に合わせて最適化を進める必要がある。

    マイク・クラック(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ホンダHRC折原伸太郎「ドライバビリティには改善の余地」
    ホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイド・エンジニアリング責任者を務める折原伸太郎も、決勝後、新PUのドライバビリティには改善の余地が残されていることを認めた。

    「ドライバビリティには改善の余地があり、それが今後のレースでも引き続き我々が重点的に取り組む部分です。今回の第2仕様を投入するために必要だった作業量を考えれば、2ポイントを獲得できたのは良い結果です」

    「レース終盤では、ガスリーに対するアドバンテージを維持することに集中し、そのためにエネルギーマネジメントを最適化しました。良い結果ですし、これからの改善に集中しています」

    アロンソは終盤、背後から迫るピエール・ガスリーを抑えて9位を守り切った。ホンダ側もエネルギーマネジメントを最適化しながら、そのポジションを維持することに注力していた。

    新PUの初戦で2ポイントを持ち帰ったことは成果である一方、ホンダ自身もさらなる改善が必要であることを認識している。

    アロンソ「振り出しに戻った」
    アロンソは決勝後、新スペックPUへの変更によって、それまで旧仕様で改善してきた問題の一部が再び表面化したとの見方を示した。

    シーズンを通じてアストンマーティンとホンダはPUの問題への対応を続け、旧仕様では徐々に改善を進めてきた。しかし、大きく仕様を変更したことで、ドライバビリティなどを新たなPUに合わせて再び最適化する必要が生じている。

    アロンソはこの状況について「振り出しに戻った」と表現した。

    新PUそのものを否定しているわけではない。新しい仕様から最大限の性能を引き出すため、エンジンブレーキやパワーデリバリーを含めた制御を改めて煮詰めていく必要があるということだ。

    クラックが「このパッケージについてはこれからますます理解を深めていくことができる」とし、「パワーユニットについても同じだ」と語ったことも、その最適化がまだ途上にあることを物語っている。

    ストレートの長いサーキットで問われる新PUの真価
    ザントフォールトでの9位は、アストンマーティンとホンダにとって一定の成果となった。シャシー面でもニューウェイによる改善が進み、アロンソはそれをポイントという結果につなげた。

    一方で、「結果は各サーキットのストレートの長さに左右される」というクラックの言葉は、新PU投入後のアストンマーティンが置かれている状況を端的に表している。

    ストレートの比重が大きくなれば、PUのパワーやエネルギーマネジメントがラップタイムに与える影響も大きくなる。そこに今回浮上したドライバビリティの改善も加わるため、ホンダには新スペックをさらに煮詰めていく作業が求められる。

    オランダGPはホンダ新PUの最初の実戦にすぎない。アロンソの9位という結果を足掛かりに、ホンダとアストンマーティンが新しいパッケージへの理解をどこまで深められるか。今後のF1では、特にストレートの長いサーキットでその進化が試されることになる。