アストンマーティンF1は2026年シーズン、エイドリアン・ニューウェイを中心とする新体制とホンダとのワークス提携で大きな期待を集めたが、ここまでその期待に応える結果を残せていない。
元F1ドライバーのジョニー・ハーバートは、この苦戦を受け、ニューウェイがキャリアの「下降スパイラル」に入り始めた可能性があるとの大胆な見方を示した。
一方で、アストンマーティンはF1ハンガリーGPで大幅改良型のAMR26Bを投入し、フェルナンド・アロンソがQ2進出、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。
さらにホンダもオランダGPで新スペックのパワーユニットを投入する予定であり、チームが復調への足掛かりをつかみつつある段階でニューウェイの「終焉」を論じるのは、時期尚早ともいえる。
ハーバートが唱えるニューウェイの「下降スパイラル」
2026年からアストンマーティンのチーム代表を務めるニューウェイは、F1史上屈指のデザイナーとして知られている。これまで関わったマシンはドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権を合わせて計26回のタイトル獲得に貢献してきた。
しかし、3度のF1優勝経験を持つハーバートは、アストンマーティンの現状について疑問を投げかけた。
「アストンマーティンが揃えたものを見てみれば、エイドリアン・ニューウェイがいて、新しいファクトリーがあって、さらにフェルナンドもいる。それなのに、なぜこれほどまでうまくいかなかったのか理解するのは難しい」
「理由が何であれ、エイドリアンは彼らが目指しているものに対して、優れたマシン、あるいは少なくともある程度競争力のあるマシンを作れるチームをまとめ上げることができていない」
そしてハーバートは、ニューウェイ自身のキャリアが転換点を迎えている可能性にまで言及した。
「興味深いのは、これがエイドリアン・ニューウェイの終焉なのかということだ。彼が下降スパイラルに入り始めた最初の兆候なのだろうか?」
「スポーツでは、最高の人間にだってそういうことは起こる。いつかは必ず起きることだった。まだその時ではないとしても、いずれそういう時点はやって来る」
AMR26の開発方針が前半戦の低迷につながる
ただし、アストンマーティンの2026年前半戦の低迷を、単純にニューウェイの能力低下と結びつけることには慎重になる必要がある。
アストンマーティンとホンダは2026年の新レギュレーション導入に合わせてワークス体制をスタートさせたが、AMR26は開幕当初から期待された競争力を発揮できなかった。
ニューウェイは小規模なアップデートを連続して投入するのではなく、マシンの根本的な問題に対応する大規模な改良パッケージに開発リソースを集中させる方針を選択。その結果、アップデートを待つ間にライバルとの差が広がり、シーズン前半にはグリッド後方へと沈んだ。
その大規模改良の成果としてハンガリーGPに登場したのがAMR26Bだった。
アロンソは予選でQ2に進出し、決勝ではストロールが13位、アロンソが14位。ポイント獲得には届かなかったものの、従来型AMR26と比較してマシンの挙動や競争力には改善が見られた。
ハーバートの発言はアストンマーティンの期待値の高さを反映したものではあるが、AMR26Bの投入によってニューウェイが進めてきた開発の方向性がようやく形になり始めたタイミングでもある。

ホンダの新スペックPUでオランダGPから次の段階へ
さらにアストンマーティンは、オランダGPで復調に向けた次のステップを踏み出す予定だ。
ホンダはハンガリーGP終了後、ハンガロリンクでAMR26を使用してアップグレード版パワーユニットの走行テストを実施。ホンダ側は新スペックが社内で設定していた目標を達成したことを確認しており、オランダGPでの正式投入を予定している。
ニューウェイ自身も、シーズン序盤に課題を抱えていたホンダとの関係について、改善が進んでいることを強調している。
「ホンダとの関係という点では、我々が進めている進歩に非常に満足している」
さらに、オランダGP以降に向けてニューウェイはこう付け加えた。
「通常、関係が改善すれば、パフォーマンスも改善するものだ」
アストンマーティンとホンダが目指している最終的な目標は、F1世界選手権のタイトル獲得である。2026年のスタートが期待を大きく下回ったことは事実だが、AMR26Bとホンダの新スペックPUという2つの大きなアップデートが揃うのはこれからだ。
ハーバートが指摘するニューウェイの「下降スパイラル」が本当に始まっているのか、それとも2026年前半の苦戦が新体制構築に伴う一時的なものだったのか。アストンマーティンの今後のパフォーマンスが、その評価を大きく左右することになりそうだ。
