カテゴリー: ピレリ

  • F1オランダGP決勝 ピレリ総括 60回のピットストップと10通りの戦略

    F1オランダGP決勝 ピレリ総括 60回のピットストップと10通りの戦略

    F1オランダGP決勝は、実に60回ものピットストップが行われ、約10種類の異なる戦略が展開される戦略戦となった。ピレリは、スタート前の雨によって路面コンディションが想定から大きく変化し、前日までのデータが当てはまらなくなったことが、多彩な戦略を生み出した最大の要因だったと分析している。

    ランド・ノリスが勝利を飾ったザントフォールトでの最後のF1オランダGPでは、トップ10のドライバーがすべて異なるタイヤ戦略を採用。

    ミディアム、ハード、ソフトの全3コンパウンドが有効に機能し、1ストップでは競争力を維持できないと判断した各チームが、2ストップや3ストップへと戦略を切り替えた。

    赤旗を境に大きく分岐したタイヤ戦略
    レース序盤に赤旗が提示されたことで、多くのドライバーがスタート時とは異なるコンパウンドへ交換した。グリッドではミディアムとソフトが中心だったが、この中断を境に戦略は大きく枝分かれしていった。

    ミディアムでスタートしたノリスは赤旗中にソフトへ交換。その後は2度ピットストップを行い、いずれもハードを装着して勝利をつかんだ。

    キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルもミディアムでスタートしたが、赤旗中にはタイヤを交換せず、そのまま使用を継続した。アントネッリはその後、新品ハードへ2度交換し、バーチャルセーフティカー(VSC)導入時には中古ソフトへスイッチ。ラッセルも似た戦略を採用したが、最後のストップはVSC下ではなかった。

    フェラーリ勢は2台とも赤旗後の再スタートでソフトを選択したが、その後はルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールで戦略が分かれた。

    5位のルクレールはミディアム、ハード、ソフトと3種類すべてのコンパウンドを使用。一方、4位のハミルトンは最終ピットストップを行わず、第3スティントをハード、第4スティントをソフトで走る戦略を採った。

    アロンソは1回のピットストップを節約して9位
    フェルナンド・アロンソは赤旗中に新品ソフトを装着し、その後はハードへ交換するだけの戦略を選択した。

    この戦略によって他の多くのドライバーよりピットストップを1回少なくすることに成功し、9位でフィニッシュ。アストンマーティンに2ポイントをもたらした。

    レースでは3種類すべてのコンパウンドが使用され、ソフトではアロンソが最長となる32周を走行。ミディアムではアービッド・リンドブラッドが31周、ハードではカルロス・サインツJr.が35周の最長スティントを記録した。

    オランダグランプリオランダグランプリ タイヤ

    ピレリ「前日までの状況とはまったく違った」
    ピレリ・モータースポーツディレクターのダリオ・マラフスキは、スタート前の予想外の雨がタイヤ戦略を大きく左右したと説明した。

    「ザントフォールトでの最後のレースは、紆余曲折に富み、特に戦略面では非常に予測困難なものになった。用意した3種類すべてのコンパウンドが使われた」

    「それまでのセッションで見えていた状況は、最終的にチームにとって正確なものではなかった。新たな要素を踏まえてグランプリへのアプローチを見直さなければならず、2ストップまたは3ストップ戦略へ向かうことになった」

    最大の要因のひとつが天候だった。

    「天候が大きな役割を果たした。スタート前に予想外の雨が降ったことで、想定していたような路面の進化が起こらず、温度の状況も変わった。土曜日のスプリントと比べて明らかに高くなっていた」

    前日までは比較的小さいと考えられていたタイヤのデグラデーションも、決勝では状況が一変した。

    「前日まで比較的限定的に見えていたタイヤのデグラデーションは、かなり大きなものになった。雨によって路面コンディションが悪化し、特に滑りやすくなったことで摩耗が増加したことが主な理由だ」

    1ストップは競争力を維持できないと判断
    赤旗後のスティントを終えた段階で、各チームは1ストップ戦略では最後まで競争力を維持することが難しいと判断したという。

    「再スタート後のスティントを走った段階で、チームは1ストップ戦略では競争力を維持できないコンディションだとすぐに理解した」

    「コース上で起きた出来事にも影響されながら、それぞれのドライバーにとって最も効果的なタイヤの組み合わせを探すことになった」

    その結果、最初の赤旗後には約10種類もの異なる戦略が生まれた。

    「最初の赤旗後には、ほぼ10種類の異なる戦略が生まれ、トップチームの間でもかなりの違いが見られた」

    「例えば、ローソンはハードを使用せず、マクラーレンは最初のスタート以降、再びミディアムを装着しなかった。一方でルクレールのように、用意された3種類すべてのコンパウンドを使用したドライバーもいた」

    全3コンパウンドがそれぞれの条件で機能
    マラフスキは、ソフト、ミディアム、ハードのすべてが特定の条件下で有効に機能したことが、戦略的に興味深いレースにつながったと評価した。

    「その結果、戦略面で非常に興味深いグランプリになった。各チームはそれぞれのコンパウンドの特性を活用することができ、すべてのタイヤが特定の条件では効果的だった」

    「各チームは、それぞれのマシンの長所を最大限に生かすために最適なタイヤを見極めることができた」

    特に終盤のソフトタイヤの使い方が、その象徴だったという。

    「その点を特によく示していたのが、終盤にアントネッリとフェラーリの2人がソフトを使用したことだ。これによって直接のライバルとの差を縮めることができ、アントネッリの場合はチームメイトからポジションをひとつ奪うことさえできた」

    スタート前の雨によって、それまで積み上げられてきたタイヤデータの前提が崩れたF1オランダGP決勝。60回ものピットストップと約10種類の戦略が生まれ、ザントフォールトでの最後のグランプリは、タイヤ戦略という面でも極めて変化に富んだ一戦となった。

  • F1オランダGP予選 ピレリ総括:3種類のタイヤが決勝の選択肢 1ストップが最速予測

    F1オランダGP予選 ピレリ総括:3種類のタイヤが決勝の選択肢 1ストップが最速予測

    2026年F1第12戦オランダGPの予選がザントフォールトで行われ、ランド・ノリスがポールポジションを獲得した。ピレリは日曜日の決勝について、ソフト、ミディアム、ハードの3種類すべてが戦略上の選択肢になると分析している。

    予選ではノリスが1分11秒163を記録して最速。ジョージ・ラッセルが1分11秒265で2番手、キミ・アントネッリが1分11秒296で3番手に続いた。地元オランダのマックス・フェルスタッペンは7番手となった。

    予選終盤には雨粒が落ち始めたことで、各チームはアタックのタイミングを前倒しした。路面温度は約27度、気温は19度で推移し、決勝でも同様のコンディションが予想されている。

    同日に行われたスプリントではラッセルが優勝。シャルル・ルクレールを抑えてトップチェッカーを受け、ノリスが3位に入った。

    注目されたのはタイヤ選択だ。ラッセルとノリスがミディアムを使用した一方、ルクレールはソフトを選択。オリバー・ベアマンもソフトを履き、それ以外のドライバーはミディアムを使用した。

    ルクレールはソフトの高いグリップを生かしてノリスとの差を縮め、長いスティントでも大きなペース低下は見られなかった。この結果から、ピレリは決勝でソフトも現実的な選択肢になると判断している。

    ピレリ「3種類すべてが決勝の選択肢」
    ピレリのモータースポーツディレクターを務めるダリオ・マラフスキは、スプリントで得られたデータについて次のように説明した。

    「フェラーリとハースが今日のスプリントでソフトタイヤを使用したことで、赤いマーキングのコンパウンドも日曜日の選択肢になり得ることが示された。ハードとミディアムが最も多く選ばれると予想しているが、3種類すべてが決勝の選択肢になる」

    「C4は優れたグリップによって、ルクレールがノリスとの差を縮めるために必要としていたパフォーマンスを発揮した。長いスティントでもペース低下はなかった。比較的低い気温も、コンパウンドを最適な作動領域に保つ助けになった」

    一方、ザントフォールトではオーバーテイクが難しいこともスプリントで改めて確認された。ピットストップによってトラックポジションを失うことの代償が大きく、戦略を考えるうえで重要な要素になる。

    オランダグランプリ

    最速はミディアム→ハードの1ストップ
    ピレリのシミュレーションでは、決勝の最速戦略はミディアムでスタートし、27~33周目まで走ってからハードに交換する1ストップとなっている。

    「最速の戦略は1ストップだ。ミディアムでスタートし、27~33周目まで走ったあと、残りをハードで走る」

    もうひとつの有力な選択肢がソフトスタートだ。こちらは理論上、最速戦略との差が約1秒しかないという。

    「代替案としては、ソフトでスタートして26~32周目まで走り、その後ハードでフィニッシュする戦略がある。こちらは約1秒遅い」

    2ストップについても、クリアエアを確保できれば計算上は競争力がある。ただし、オーバーテイクが難しいザントフォールトでは、追加のピットストップによって順位を落とした場合のリスクが大きい。

    「クリアエアであれば2ストップも理論上は競争力がある。ただし、先ほど触れたように、このサーキットではオーバーテイクの機会が限られていることを考慮する必要がある」

    レース中にバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された場合や、トラフィックの状況次第でアンダーカットを狙える場合には、3スティント目を追加する可能性もあるという。

    スプリントで確認されたデグラデーションは主に熱によるものだったが、そのレベルは限定的だった。決勝ではドライバーがタイヤをより管理して走ると予想されるため、少なくともミディアムとハードについては、デグラデーションが戦略を決定づける要因にはならないとピレリは見ている。

    ポールポジションからスタートするノリスを筆頭に、各チームが基本となるミディアム→ハードの1ストップを選ぶのか、それともスプリントで可能性を示したソフトを投入するのか。オーバーテイクが難しいザントフォールトだけに、タイヤ性能だけでなくトラックポジションをどう守るかが決勝戦略の大きなポイントとなりそうだ。

  • F1オランダGP初日 ピレリ総括「ソフトとミディアムの差は約0.5秒」

    F1オランダGP初日 ピレリ総括「ソフトとミディアムの差は約0.5秒」

    2026年F1オランダGPはザントフォールトで初日の走行を終え、ピレリがフリー走行1回目(FP1)とスプリント予選を通じたタイヤの状況を総括した。

    スプリント予選ではジョージ・ラッセルがポールポジションを獲得。一方、タイヤ面では雨上がりにもかかわらず路面のグリップが予想以上に高く、摩耗やデグラデーションも現時点では大きな問題になっていない。

    ソフトとミディアムの性能差は約0.5秒と、事前のシミュレーションに沿った結果となった。

    ラッセルが0.041秒差でスプリントポール
    スプリント予選では、メルセデスのラッセルが1分11秒567を記録してトップに立った。2番手ランド・ノリスとの差はわずか0.041秒、3番手シャルル・ルクレールも0.055秒差という接戦だった。

    オスカー・ピアストリはポールタイムから0.1秒以内の4番手。規則により、SQ3では全ドライバーがC4のソフトタイヤを使用してベストタイムを記録した。

    ミディアムタイヤの使用が義務づけられたSQ2ではマクラーレン勢が速さを見せ、ピアストリが1分12秒026でトップ、ノリスが1分12秒189で続いた。

    ラッセルには、ピレリ・モータースポーツ・ディレクターのダリオ・マラフスキからスプリント・クオリファイング・アワードが贈られた。

    雨上がりでも予想以上のグリップ
    FP1では、マックス・フェルスタッペンとリアム・ローソンを除く全ドライバーがインターミディエイトタイヤで数周を走行した。しかし、路面状況は急速に改善し、ほどなくスリックタイヤへ移行。ハード、ミディアム、ソフトの3種類すべてが試された。

    最速タイムを記録したのはメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリで、1分12秒949。ノリスが2番手、ラッセルが3番手につけた。

    コンパウンド別で最も多く周回したドライバーは、ハードがアービッド・リンドブラッドの24周、ミディアムがラッセルの27周、ソフトがアレクサンダー・アルボンの22周だった。

    ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラは、雨の影響を受けた路面にもかかわらず、グリップレベルは事前の予想を上回っていたと説明した。

    「インターミディエイトでの数周のインスタレーションラップを除けば、最初のフリー走行は今週末に用意された3種類すべてのコンパウンドを評価することに充てられた。雨の後だったが、グリップという点では予想していたよりも良い路面コンディションだった」

    「ミディアムはハードよりも表面のアブレーションが多かったが、全体的に見れば、どの選択肢にも性能寿命を損なうほど大きな摩耗は見られなかった」

    ソフトは高いグリップを発揮
    ソフトタイヤについて、ベッラはセッション終盤に向けたトラックエボリューションの効果もあり、高いグリップを発揮したと評価している。

    「ソフトコンパウンドがもたらすグリップはかなり大きかった。セッション終盤に向けて路面が改善していったことも助けになった」

    FP1ではハードタイヤを使用したチームがある一方、2セットとも温存したチームもあった。ピレリは、この違いが日曜日の決勝で各チームが想定しているピットストップ回数の違いを示している可能性があるとみている。

    「FP1でハードを1セット使ったチームと、2セットとも残したチームでアプローチが分かれたことは、異なるピットストップ回数を検討していることを示す最初の兆候かもしれない」

    「タイヤデグラデーションは重要な要素になる。ただ、現時点では低い気温のおかげでコントロールできているように見える。また、このサーキットでは伝統的にセーフティカーが出る可能性が高く、それも重要になる」

    オランダグランプリ

    ソフトとミディアムの差は約0.5秒
    ピレリの初日データでは、ミディアムとソフトの性能差は約0.5秒だった。この数字は事前のシミュレーションと一致している一方、絶対的なラップタイムについては予測より約1秒遅かった。

    「ミディアムとソフトの性能差は約0.5秒で、シミュレーションから予想していた通りだ。ただ、そのシミュレーションではラップタイム自体は約1秒速いと予測されていた」

    ベッラは、一晩で雨などによって路面状況がリセットされなければ、土曜日にはさらなるタイム向上が見込まれるとしている。

    「もし一晩で路面がリセットされなければ、明日にはさらにパフォーマンスが向上するはずだ」

    決勝では3種類すべてが戦略の選択肢
    現時点でタイヤの摩耗は性能寿命を大きく制限するレベルには達しておらず、ピレリはハード、ミディアム、ソフトのすべてが日曜日の決勝で使用可能な選択肢になると分析している。

    「いずれにしても、日曜日のレース戦略では3種類すべてのコンパウンドを使うことができると考えている」

    ザントフォールトではデグラデーションに加え、セーフティカーの発生タイミングも戦略を左右する要素となる。さらにFP1でハードを使用したチームと温存したチームに分かれたことで、決勝では異なるピットストップ戦略が展開される可能性もある。

    初日の段階ではソフトとミディアムの約0.5秒という性能差が想定通り確認された一方、3種類すべてのコンパウンドに実戦で使える余地が残されている。今後の路面進化と気温によってタイヤの挙動がどう変化するかが、スプリントから決勝に向けた重要なポイントとなる。

  • F1オランダGP:タイヤ戦略とザントフォールトの注目ポイント

    F1オランダGP:タイヤ戦略とザントフォールトの注目ポイント

    2026年F1第12戦オランダGPでは、ザントフォールトで初めてスプリントフォーマットが採用される。ピレリはC2、C3、C4という前年と同じ3種類のコンパウンドを選択したが、フリー走行が1時間しかないことに加え、路面特性や天候の変化が大きく、タイヤの使い方が週末の重要なポイントになると分析している。

    全長4.259km、14コーナーで構成されるザントフォールトは、ターン3とターン14のバンク角が大きな特徴だ。

    短いラップの中に高速コーナーが連続し、タイヤにかかるエネルギー密度も高い。さらに海岸に近い立地から砂や強風の影響も受けやすく、チームには限られた走行時間でマシンとタイヤの最適な組み合わせを見つけることが求められる。

    ザントフォールト初のスプリント開催
    F1はサマーブレイクを終え、オランダGPからシーズンを再開する。今回のザントフォールトではスプリントフォーマットが採用されるため、各チームがセットアップを詰められるフリー走行は金曜日の1時間のみとなる。

    通常のグランプリ週末と比べて試行錯誤できる時間が大幅に少なく、FP1終了後にはスプリント予選に向けてマシンの方向性をほぼ決めなければならない。

    特にザントフォールトでは、空力ダウンフォースとタイヤへの負荷を両立させる必要がある。要求されるダウンフォースレベルは高く、サマーブレイク前最後の一戦となったハンガリーGPの舞台、ハンガロリンクに非常に近いという。

    オランダグランプリ

    C2・C3・C4を前年に続いて選択
    ピレリが2026年オランダGPに持ち込むのは、ハードのC2、ミディアムのC3、ソフトのC4。2025年と同じ組み合わせとなる。

    前年は比較的ソフト寄りの3種類を選んだことに加え、レース中のニュートラリゼーションも影響し、結果的に2ストップ戦略が中心となった。レースでは用意された3種類すべてのコンパウンドが使用されている。

    2025年のスタート時には14台がミディアム、4台がソフト、2台がハードを選択。なかでもC2ハードは長い第2スティントを中心に最も多く使用された。

    50周目以降にセーフティカーが導入されたことで、ほぼすべてのドライバーが追加のピットストップを実施し、多くがソフトタイヤでフィニッシュした。

    バンク角19度と18度 タイヤへの負荷は大きい
    ザントフォールト最大の特徴が、バンクのついた2つのコーナーだ。

    ターン3は約19度、最終コーナーのターン14は約18度の傾斜を持ち、インディアナポリスを上回る角度となっている。ここではタイヤに非常に大きな垂直方向と横方向の力が加わる。

    さらに全長4.259kmという短いコースに14のコーナーが配置され、その一部を高速で通過するため、1周あたりのタイヤに対するエネルギー密度は高い。

    そのため、単純にタイヤを労わるだけではなく、車高や空力バランスを含めたセットアップ全体でタイヤを適切な作動領域に収めることが重要になる。

    海から運ばれる砂でグリップが変化
    ザントフォールトはアムステルダムから約40km、北海沿岸の砂丘地帯に位置している。

    コースは過去に複数の区間で再舗装されていることもあり、もともとのグリップレベルは高くない。加えて近隣のビーチから風で砂が運び込まれるため、路面状況が変化しやすい。

    この砂の影響によって、グリップレベルは日ごとに変化するだけでなく、場合によっては同じ日のセッション間でも変わることがある。

    スプリント週末では走行時間そのものが限られるため、FP1で確認した路面状態がその後も維持されるとは限らない点も、セットアップを難しくする要因となる。

    オランダグランプリ ザントフォールト

    低気温と雨 強風も不確定要素
    2026年のオランダGPは前年より1週間早い時期に開催される。8月中旬という時期を考えれば、理論上はタイヤの熱劣化が大きな要素になり得る。

    一方、ザントフォールトでは夏でも気温が20度を大きく超えることは少なく、雨も珍しくない。そのため、実際のタイヤデグラデーションは当日のコンディションによって大きく左右される可能性がある。

    さらに海に近いため強い突風が吹くことも多い。2026年から導入された新しい空力レギュレーションのマシンでは、風向きや風速の変化がドライバーのマシンバランスにどの程度影響するかも注目される。

    決勝はハードが基準 スプリントはミディアムとソフトも候補
    ピレリは、日曜日の決勝ではハードタイヤが基準となる可能性が高いとみている。

    一方で、距離の短い土曜日のスプリントでは、ミディアムとソフトの両方が有効な選択肢になる可能性がある。タイヤの耐久性だけでなく、スタート直後のグリップやトラックポジションをどこまで重視するかによって戦略が分かれそうだ。

    ザントフォールトは本格的なストレートが実質的に1本しかなく、コース幅も狭いため、オーバーテイクが容易ではない。タイヤの性能差があっても前車を抜けない展開になれば、ピットストップのタイミングやアンダーカットの価値も大きくなる。

    オランダGPは36回目 フェラーリが最多8勝
    オランダGPはこれまでの全大会がザントフォールトで開催されており、2026年で36回目を迎える。初開催は1952年だった。

    ドライバー別ではジム・クラークが4勝で最多。コンストラクターではフェラーリが8勝で歴代最多記録を持つ。

    地元オランダのマックス・フェルスタッペンはこれまでザントフォールトで3勝を挙げており、ジャッキー・スチュワート、ニキ・ラウダと並んでいる。

    初めてスプリントが組み込まれる2026年のザントフォールトでは、わずか1時間のフリー走行でどこまでタイヤ特性を把握できるかが週末全体を左右する。砂による路面変化、低い気温、雨、強風という不確定要素も多く、決勝だけでなく土曜日のスプリントからタイヤ選択とトラックポジションを巡る戦略戦が重要になりそうだ。

  • F1タイヤ空気圧引き下げ案をチームが拒否 ドライバーの不満届かず

    F1タイヤ空気圧引き下げ案をチームが拒否 ドライバーの不満届かず

    2026年F1でドライバーから不満が相次いでいるタイヤの最低空気圧について、ピレリが後半戦から引き下げを可能にする規則変更を提案したものの、F1チーム側の反対によって実現しなかった。

    FIAは提案された安全対策を実施可能と判断していたが、規則変更に必要なチームの特別多数を得られなかった。The Raceによれば、現在の高い最低空気圧は2026年シーズン終了まで維持され、2027年も継続される可能性が高いという。

    2026年F1で高まるタイヤ空気圧への不満
    2026年F1でドライバーから繰り返し指摘されている問題のひとつが、ピレリによって指定される最低タイヤ空気圧の高さだ。

    高い空気圧によってタイヤから得られるグリップが低下し、マシンが扱いにくくなっているほか、コーナー進入時にはホイールロックも起こりやすくなっている。

    さらに、状況によってはタイヤを適切な作動温度まで上げることが難しく、その一方でスティントを通じてタイヤを労わることも難しくなっている。

    ハースのオリバー・ベアマンは今年のF1スペインGPで、その感覚を「風船」に例えて不満を口にしていた。

    「今はタイヤの中にものすごくたくさんの空気が入っていて、本当に悪夢だ。デグラデーションも大きいし、1周だけでもかなりオーバーヒートする」

    「右足の下にはものすごいパワーがあるのに、グリップはほとんどない。タイヤが巨大な風船みたいだからだ」

    高い空気圧はアクティブエアロの安全対策
    2026年の最低タイヤ空気圧は、サーキットの特性によって異なるものの、2025年と比較して3~4psi程度高く設定されることが多い。

    その背景にあるのが、2026年からF1に導入されたアクティブエアロダイナミクスだ。

    現在のF1マシンは、ストレートでドラッグを減らす「ストレートモード」と、コーナーでより大きなダウンフォースを発生させる「コーナーモード」を使い分ける。このダウンフォース量の変化によって、タイヤが受ける垂直荷重も大きく変動する。

    ピレリが特に警戒しているのは、アクティブエアロに故障が発生し、ウイングがコーナーモードのまま固定されるケースだ。

    高ダウンフォース状態のままストレートを高速走行すれば、タイヤには極めて大きな荷重が加わる。空気圧が低すぎれば最終的にタイヤが破損する危険性があるため、現在の高い最低空気圧はアクティブエアロ故障時に備えたフェイルセーフとして設定されている。

    ピレリが提案した「5周後にオレンジボール旗」
    ドライバーからの不満を認識していたピレリは、2026年シーズン後半から最低空気圧を引き下げることを可能にする新たな規則を提案した。

    その内容は、アクティブエアロが故障してストレートモードを使用できなくなったマシンについて、コース上を走り続けられる時間を制限するというものだった。

    具体的には、マシンがコーナーモードに固定された状態で5周走行した場合、ドライバーに黒地にオレンジ色の丸が描かれた旗、いわゆるオレンジボール旗を提示する。

    これはマシンに危険な状態や機械的問題があることをドライバーに知らせるための旗で、提示されたドライバーはピットに戻らなければならない。問題を修復できなければ、そのレースを続行することはできない。

    このルールが導入されれば、高ダウンフォース状態のマシンがストレートを長時間走り続けるリスクを排除できる。そのためピレリは、現在想定している最悪のケースを基準にタイヤ空気圧を設定する必要がなくなり、ドライバーが求めていた水準まで最低空気圧を引き下げることが可能になると考えていた。

    早ければ夏休み明け最初のレースとなるF1オランダGPから導入することも可能だったという。

    FIAは実施可能と判断もF1チームが拒否
    FIAは、ピレリが提案したオレンジボール旗を使用する方法について実施可能と判断していた。

    しかし、シーズン途中で規則を変更するにはF1のガバナンス手続き上、チームから特別多数の支持を得る必要がある。実際に協議が行われたものの、必要な支持には届かず、過半数のチームが変更に賛成しなかった。

    一部のチームは、シーズン途中で最低空気圧を変更すれば競争力に影響を与える可能性があるとして反対したとみられている。

    また別のチームからは、アクティブエアロに故障が発生しても走行を続けることが可能であれば、マシンを最後まで走らせてポイントを獲得するチャンスを残すべきだとの考えもあったという。

    新ルールではアクティブエアロが故障して5周が経過すればピットインを余儀なくされるため、本来なら走り切れる可能性があるマシンの好結果が自動的に失われることへの懸念があった。

    タイヤ F1

    ピレリ「多数派は高い空気圧の維持を決めた」
    チーム側から必要な支持を得られなかったことで、現在の高い最低タイヤ空気圧は2026年シーズン終了まで継続されることになった。さらにThe Raceは、2027年も同様の状況が続く可能性が高いとしている。

    ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベッラは、ドライバーが変更を求めていたにもかかわらずチームが提案に反対したことについて、「特に驚いてはいない」と語った。

    「多数派は、より高い空気圧を維持することを決めた。僕たちとしては、それで問題ない」

    「高い空気圧にしている理由がストレートモードの状況にあることは、これまで何度も説明してきた。実際には、それほど頻繁に起きる状況ではない」

    「僕たちにとっては、タイヤ空気圧を決める際にどの手順を考慮するのかという問題にすぎない。そして僕たちは、最悪のシナリオを基準にする」

    2025年水準まで引き下げることも可能だった
    ベッラによれば、オレンジボール旗を使用する新ルールが導入されていれば、タイヤ空気圧を2025年と同程度まで戻せる可能性があった。

    アクティブエアロ故障時のリスクを考慮する必要がなくなった場合、どの程度空気圧を変更できるのかと問われ、ベッラは次のように答えた。

    「かなり大きな差になる可能性がある。基本的にはサーキット次第だ。フロントとリアで、およそ1~3psiの範囲で下げられる可能性がある」

    「リアについては、さらに下げることも可能だろう」

    2026年F1の高いタイヤ空気圧は、通常走行時の要求ではなく、アクティブエアロが故障した際の最悪のケースを想定した安全策という側面が大きい。ピレリはその前提を変える具体策を提示したものの、競争力への影響や故障時のレース続行を重視したチーム側の支持を得られなかった。

    結果として、ドライバーが求めていたタイヤ空気圧の引き下げは少なくとも今季中は実現しない。ピレリが安全上の前提を変更できない以上、2027年に向けても高い最低空気圧がF1の課題として残る可能性が高い。

  • F1スペインGP初開催のマドリンク ピレリがタイヤ選択を決定

    F1スペインGP初開催のマドリンク ピレリがタイヤ選択を決定

    F1は9月中旬、スペインの首都マドリードに新設された「マドリンク」で初のグランプリを開催する。スペインGPの新たな舞台となる市街地コースを前に、ピレリはC2、C3、C4の3種類を投入することを決定した。

    過去の走行データが存在しない新設サーキットだけに、タイヤの挙動やデグラデーションには多くの不確定要素が残る。ピレリは安全性と戦略の幅を確保するため、中間レンジのコンパウンドを選択した。

    初開催のマドリンクでタイヤ挙動は未知数
    マドリンクは、市街地道路とグランプリ開催のために新設された専用区間を組み合わせたコースで、マドリード市内を縫うようにレイアウトされている。

    F1カレンダーへの追加が正式発表されたのは約2年半前だが、実際のF1マシンによる走行実績はなく、ピレリにはタイヤ選択の基準となる過去のレースデータが存在しない。

    そのため、ピレリは最も硬い側から2番目のC2をハード、C3をミディアム、C4をソフトとして指定。極端に軟らかいコンパウンドを避けながら、各チームが複数の戦略を選択できる構成とした。

    マドリンクは低速のタイトコーナーと強いブレーキングを伴う区間が組み合わされており、タイヤには大きな熱負荷がかかると予想されている。

    さらに、新しく舗装された市街地コース特有の粗い路面によって、タイヤの摩耗やデグラデーションが高まる可能性もある。

    シルバーストンやスパに近いタイヤ負荷
    ピレリは事前シミュレーションの結果、マドリンクでタイヤにかかる負荷はシルバーストンやスパ・フランコルシャンに近い水準になるとの見解を示した。

    「マドリンクを分析した結果、タイヤにかかる負荷はシルバーストンやスパ・フランコルシャンで見られるものと同程度だと考えている」

    「コース特性を踏まえ、中間レンジのコンパウンドを選択した。これにより2ストップ戦略を促すとともに、高温条件で過度なオーバーヒートが発生するリスクに対する余裕を持たせることが狙いだ。最も軟らかいコンパウンドは、そのような状況では影響を受けやすい」

    ピレリは、決勝で1ストップ戦略に収束することを避け、タイヤ交換を含めた戦略的なレースを実現したい考えだ。

    一方で、新舗装の路面はグランプリ週末を通じて急速に変化する可能性がある。走行初日はグリップが低くても、F1やサポートレースのマシンが走行を重ねることで路面にラバーが乗り、タイヤの摩耗やラップタイムが大きく変化することも考えられる。

    ザントフォールトとモンツァの選択も発表
    ピレリは、マドリードでのスペインGPに先立って開催されるオランダGPとイタリアGPのタイヤ選択も明らかにした。

    ザントフォールトではマドリンクと同じC2、C3、C4を使用する。一方、高速コースのモンツァには最も軟らかい組み合わせとなるC3、C4、C5が持ち込まれる。

    初開催となるマドリンクでは、実際の路面状況や気温、タイヤのオーバーヒートがレース展開を左右する重要な要素となる。各チームが限られた走行時間の中でどこまで正確にタイヤを理解できるかが、スペインGPの勝敗を分けることになりそうだ。

  • 2026年F1ハンガリーGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2026年F1ハンガリーGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2026年F1第11戦ハンガリーGPは、ランド・ノリス(マクラーレン)が今季初ポールポジションを獲得した。しかし、ハンガロリンクは「ポールポジションが勝利を保証しない」サーキットとして知られ、決勝ではタイヤ戦略が勝敗を大きく左右する可能性が高い。

    ピレリは1ストップと2ストップの所要時間が「ほぼ同等」と分析しており、各チームはレース中のアンダーカットやオーバーカット、さらにはタイヤコンパウンドの選択まで含めた柔軟な戦略対応を迫られることになる。

    ポールポジションでも安心できないハンガロリンク
    メルセデスが開幕から続けてきたポールポジション連続記録は、ハンガリーGPでついにストップした。これを止めたのはフェラーリではなく、大型アップデートを投入したマクラーレンだった。ランド・ノリスはFP3と予選をともにトップで終え、今季初ポールポジションを獲得している。

    一方で、ハンガロリンクは一般的なイメージとは異なり、ポールシッターが必ずしも勝てるコースではない。2020年以降、ポールポジションから優勝したドライバーはおらず、この10年間でもわずか3勝しか記録されていない。

    そのため決勝ではスタート順位以上に戦略が重要となり、ピットストップのタイミングやタイヤ選択がレースの流れを決定づけることになりそうだ。

    最速予想は2ストップ ただし1ストップとの差は極めて小さい
    シミュレーション上で最速とされる戦略は、ミディアム→ハード→ハード(2ストップ)となっている。

    推奨ピットウインドウは以下の通り。

    ・第1ストップ:16~22周目
    ・第2ストップ:40~46周目

    マクラーレン、フェラーリ、レッドブル・レーシング、メルセデスはいずれも新品ハードタイヤを2セット温存しており、この戦略を実行できる。

    ただし、これら上位チームはフリー走行でハードタイヤを使用していないため、実戦でのデグラデーションやパフォーマンスについては未知数というリスクも抱えている。

    ハンガリーGP 戦略

    ピレリ「1ストップと2ストップは同等」
    興味深いのは、ピレリが1ストップと2ストップの戦略差を極めて小さいと評価している点だ。

    モータースポーツディレクターのダリオ・マラフスキは次のように説明している。

    「私たちは常に複数の戦略が同等になることを目指している。そして今週末は、その狙い通りになった。このレースでは1ストップと2ストップは本当に同等だ」

    1ストップの基本戦略はミディアム→ハードで、ピットストップは26~32周目が最適とされる。

    2025年大会ではマクラーレンがランド・ノリスを1ストップ、オスカー・ピアストリを2ストップに分けて勝利を収めた。今年も上位勢が同様の戦略分散を採る可能性は十分ある。

    ハンガリーGP タイヤ

    中団勢はタイヤ残数が戦略を左右
    各チームが予選までに残したタイヤによって、採用可能な戦略も異なる。

    ソフトタイヤを多く残したレーシングブルズ、アウディ、アストンマーティンはソフト→ハード→ミディアムという積極策も選択可能だ。

    推奨ピットタイミングは以下の通り。

    ・第1ストップ:13~19周目
    ・第2ストップ:45~51周目

    逆にミディアム→ハード→ソフトという終盤勝負型もあり、この場合は17~23周目と50~56周目が目安になる。

    また、フェラーリはルイス・ハミルトンがQ1でミディアムタイヤを使用したことで、新品ソフトタイヤを1セット温存している。このため、ソフト→ハード→ミディアム、あるいはソフト→ハード→ハードといった他車とは異なる戦略を選ぶ可能性もある。

    一方、ウィリアムズとキャデラックは新品ミディアムを2セット残しており、ソフト→ミディアム→ミディアムという戦略も視野に入る。推奨ストップは14~20周目、44~50周目となる。

    ハンガリーGP 2026年のF1世界選手権

    暑さがタイヤを苦しめる決勝になりそうだ
    決勝では一時的な雨の可能性もあるものの、現時点ではレースへの影響は限定的とみられている。

    それ以上に注目されるのが気温だ。

    決勝日は週末で最も暑くなる見込みで、気温は約32℃、路面温度は56℃前後まで上昇する可能性がある。

    高い路面温度は特にリアタイヤへの負担を増大させるため、予選重視のセッティングを採用したマシンほどロングランではデグラデーションに苦しむ可能性がある。

    1ストップと2ストップの優劣がほぼないとされる今年のハンガリーGPでは、序盤の展開を見極めながら柔軟に戦略を変更できるチームが勝利へ最も近づくことになりそうだ。

  • F1ハンガリーGP予選 ピレリ総括:1ストップと2ストップは互角

    F1ハンガリーGP予選 ピレリ総括:1ストップと2ストップは互角

    ランド・ノリス(マクラーレン)が2026年F1第11戦ハンガリーGP予選でポールポジションを獲得した。一方で、ピレリは決勝について「1ストップと2ストップの総レースタイムに差はほとんどない」と分析しており、各チームが温存したタイヤセットの違いが戦略を左右するレースになるとの見方を示した。

    予選ではノリスが最後のアタックで1分17秒207を記録し、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えてポールポジションを獲得。

    フェラーリ勢はQ1でミディアムタイヤ(C4)を使用した唯一のチームとなり、他チームとは異なるアプローチを採用した。

    予選はフェラーリだけが異なるタイヤ戦略
    予選ではフェラーリのみがQ1でミディアムタイヤを投入した。ハミルトンはC4で3周、ルクレールは8周を走行した後にソフト(C5)へ履き替えた。

    一方、ノリスはソフトタイヤ4セットを使い切る積極策を選択。最終アタックで自己ベストを更新し、ポールポジションを手にした。

    FP3でもソフトタイヤが主流だったが、リアム・ローソン、アストンマーティン勢、アウディ勢はミディアムタイヤも使用。ニコ・ヒュルケンベルグとローソンはC4でそれぞれ15周を走り、決勝に向けたロングランデータを収集した。

    FP3ではノリスが1分17秒939でトップタイムを記録し、ハミルトン、アンドレア・キミ・アントネッリが続いた。この日の路面温度は最高53℃、気温は29℃まで上昇し、決勝日はさらにわずかに暑くなると予想されている。

    ピレリ「1ストップと2ストップは互角」
    ピレリのモータースポーツディレクター、ダリオ・マラフスキは、シミュレーションでは1ストップと2ストップのレースタイムがほぼ同等になるとの見解を示した。

    「シミュレーションでは、ハンガリーGPの1ストップと2ストップ戦略に総レースタイムの差はない。予想以上にデグラデーションが大きかったことで、両戦略の優位性がほぼ並び、各チームは手元に残した新品タイヤの状況に応じて最適なシナリオを選択できるようになった」

    マラフスキは、1ストップならミディアムでスタートし、26~32周目にハードへ交換するプランが有力だと説明した。

    「2ストップでは、新品ミディアムを2セット残しているチームが2チームしかないため、終盤はハードタイヤを使うケースが多くなるだろう。1回目のピットストップは16~22周目、2回目は40~46周目が目安になる」

    F1 ベルギーGP タイヤ

    オーバーテイク困難で戦略はさらに複雑に
    マラフスキは、ハンガロリンク特有のオーバーテイクの難しさが戦略選択に大きく影響すると指摘した。

    「昨日も述べたように、トラフィックとオーバーテイクの難しさは依然として重要な要素であり、多くのチームが1ストップを選ぶ可能性がある」

    さらに、ソフトタイヤを決勝で使用する可能性も否定しなかった。

    「ソフトタイヤは高いグリップと十分な耐久性を示している。ソフト→ハード→ミディアム、あるいはミディアム→ハード→ソフトという戦略は主流より約10秒遅くなる見込みだが、前方に十分なギャップを築けるドライバーなら追加ストップを行っても順位を失わずに済む可能性がある。また、アンダーカットを狙う選択肢もある。状況は依然として流動的で、同じチームの2台でも異なる戦略を採ることになっても不思議ではない」

    デグラデーションが想定以上に大きくなったことで、1ストップと2ストップの優劣はほぼ拮抗している。各チームが残した新品タイヤの種類と枚数、そしてレース中のトラフィックへの対応が、ハンガリーGPの勝敗を左右する重要な要素となりそうだ。

  • F1ハンガリーGP初日 ピレリ総括「2ストップ優勢の可能性」

    F1ハンガリーGP初日 ピレリ総括「2ストップ優勢の可能性」

    フェラーリがF1ハンガリーGP初日のフリー走行を支配した。フリー走行1回目(FP1)はシャルル・ルクレール、フリー走行2回目(FP2)はルイス・ハミルトンがトップタイムを記録し、ソフトタイヤ(C5)だけでなくミディアムタイヤ(C4)でも最速をマーク。

    タイヤサプライヤーのピレリは、現時点では決勝戦略について「依然として不確定要素が多い」としながらも、2ストップ戦略が優位となる可能性を示した。

    初日の走行では、路面グリップの低さやフロント左タイヤのグレイニングが確認された一方で、ソフトタイヤは優れたメカニカルグリップを発揮。予選ではタイヤのウォームアップとアタックラップのタイミングが重要な鍵になるとみられている。

    フェラーリがソフトとミディアムの両方で最速
    FP1では大半のドライバーがミディアムタイヤ(C4)で走行を開始し、キャデラック勢とアストンマーティン勢のみがハードタイヤ(C3)を装着した。

    セッション終盤、シャルル・ルクレールがソフトタイヤで1分19秒075を記録してトップタイムをマーク。さらにミディアムでも1分20秒287を記録し、両コンパウンドで最速となった。

    FP2ではチームメイトのルイス・ハミルトンがソフトタイヤで1分18秒729を記録して首位に立ち、ルクレール、ランド・ノリスが続いた。ハミルトンはミディアムタイヤでも1分19秒585を記録し、このセッションでも両コンパウンド最速となった。

    ロングランではアレクサンダー・アルボンがハードタイヤで26周を走破。ジョージ・ラッセルとバルテリ・ボッタスはミディアムで23周ずつ走行した。ソフトタイヤではルクレールが18周を走り、最も多くの周回を重ねた。

    初日の気温は約25℃、路面温度は最高46℃まで上昇し、予選もほぼ同様のコンディションが予想されている。

    F1 ハンガリーGP タイヤ

    ピレリ「現時点では2ストップが有利に見える」
    ピレリのチーフエンジニアを務めるシモーネ・ベラは、初日のデータから決勝戦略はまだ定まっていないと説明した。

    「各チームが今日のデータを解析した後で、より明確な状況が見えてくるだろう。しかし、最初の2時間のフリー走行を見る限り、日曜日のレースで何回ピットストップを行うかについては、まだ確信を持てる状況ではない」

    「6チームはハードタイヤを2セット残している一方で、それ以外のチームはすでに少なくとも1セットを使用している。これはハンガリーGPをどう戦うべきかについて、まだ各チームの見解が一致していないことを示している」

    ベラは、FP2で見られたタイヤの摩耗状況から、現時点では2ストップ戦略が有利と分析した。

    「ドライバーがよりプッシュしたFP2ではデグラデーションが大きく見られた。そのため現時点では、1ストップよりも2ストップ戦略のほうが有利になる可能性がある」

    「ただし、ハンガロリンクではオーバーテイクが難しいため、トラックポジションが依然として決定的な要素になることも考慮しなければならない」

    グレイニングとタイヤマネジメントが週末の鍵
    初日は路面グリップが全体的に低く、コンパウンドごとの特性にも違いが見られた。

    「路面グリップは一日を通して比較的低かった。ソフトタイヤは走り始めから優れたメカニカルグリップを発揮し、マシンの性能を最も引き出していた。一方でミディアムタイヤではフロント左タイヤにグレイニングが見られた」

    さらにベラは、ハンガロリンク特有のタイヤマネジメントについても言及した。

    「このサーキットではリアタイヤを保護することが非常に重要だ。同時にフロントタイヤの摩耗は避けられないが、週末を通して路面が改善されれば、その影響は徐々に小さくなっていくはずだ」

    「ソフトとミディアムの性能差は約0.8秒で、事前シミュレーションどおりだった。明日の予選ではコースが短いため、ウォームアップラップとアタックラップの最適なタイミングを見極めることが簡単ではないだろう」

    ハンガリーGP F1 セーフティカー

    新FIAセーフティカーもデビュー
    この日はFIAガレージで、新しい公式FIA F1セーフティカーとなるメルセデスAMG GT 63 PRO 4MATIC+も初披露された。

    この車両には専用開発されたピレリP Zero Rタイヤが装着されており、完全可変四輪駆動システムに最適化された専用コンパウンドとトレッドパターンを採用。ドライ性能だけでなくウェット路面での安定性も重視して開発された。

    開発ではバーチャル設計技術を活用し、メルセデスAMGと共同で最適化を実施。ニュルブルクリンクやナルドでベルント・マイランダーらセーフティカードライバーによるテストも行われ、一貫したグリップ性能と扱いやすさが高く評価された。

    初日を終えた時点ではフェラーリが一発の速さとロングランの両面で好印象を残した一方、タイヤのデグラデーションやトラックポジションを巡る戦略は依然として流動的だ。予選でのタイヤマネジメントと決勝の戦略判断が、ハンガリーGPの勝敗を大きく左右することになりそうだ。

  • F1ハンガリーGP ピレリ展望:酷暑のハンガロリンクで試されるタイヤ戦略

    F1ハンガリーGP ピレリ展望:酷暑のハンガロリンクで試されるタイヤ戦略

    2026年F1第13戦ハンガリーGPがハンガロリンクで開催される。今大会は夏休み前最後のレースとなり、各チームにとって前半戦を締めくくる重要な一戦だ。ピレリはモナコGPと同じC3・C4・C5の3種類のコンパウンドを選択し、高温下でのタイヤマネジメントがレースの鍵になると分析している。

    ハンガロリンクはオーバーテイクが難しいことで知られる一方、例年シーズン屈指の高い路面温度を記録するサーキットでもある。

    トラックポジションを重視するか、タイヤ性能を優先するかが各チームの戦略を大きく左右しそうだ。

    ハンガロリンクは「モナコに近い」特性
    ハンガロリンクは全長4.381km、14コーナーで構成されるテクニカルサーキットだ。コース全体が短くタイトなため、「カートコース」に例えられることも多い。

    ホームストレート以外に大きな追い越しポイントはほとんどなく、レースでは70回ものコーナリングを繰り返す。そのため、マシンセットアップはモナコGPに近い高ダウンフォース仕様が一般的となる。

    2026年大会では昨年のピットレーンとスターティンググリッドに続き、第1コーナーと第12コーナーが再舗装された。また、近年進められてきたパドックやホスピタリティ施設、グランドスタンドの大規模改修も完了し、新たな姿で夏休み前最後のレースを迎える。

    ハンガリーGP

    高温がタイヤ戦略を左右
    ピレリはモナコと同じC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)を投入する。低速コーナーが連続するハンガロリンクでは、トラクション性能とブレーキング時の安定性が重要になる。

    コースの多くは古い舗装が残されており、路面の粗さが大きく、グリップレベルは年間でも低い部類に入る。ただし、走行が進むにつれて路面コンディションは大きく改善していく特徴がある。

    さらに、ハンガリーGPでは例年シーズン最高レベルの路面温度を記録するため、特にリアタイヤの熱劣化が性能を左右する。ソフト寄りのタイヤではグレイニングが発生する可能性も指摘されている。

    1ストップか2ストップか 接戦の戦略勝負へ
    ピレリは2026年大会について、タイヤ摩耗の影響により1ストップと2ストップのレースタイム差が接近すると予測している。

    オーバーテイクが難しいサーキットであることから、トラックポジションを維持するために1ストップを選ぶチームもあれば、高温下でタイヤ性能を優先して2ストップを採用するチームも現れそうだ。

    特に猛暑となった場合は、耐久性に優れるC3とC4の2種類を中心にレースを組み立てるチームが増えるとみられる。

    なお、ハンガリーGP終了後もピレリはハンガロリンクに残留し、アストンマーティン、アウディ、アルピーヌとともに火曜日と水曜日の2日間にわたり、2027年用タイヤの開発テストを実施する予定だ。

    ハンガリーグランプリ

    2025年は1ストップと2ストップが互角
    昨年のハンガリーGPでは、C3・C4・C5の3種類すべてのコンパウンドが使用された。

    大半のドライバーはミディアムタイヤでスタートし、ソフトスタートが3台、ハードスタートが2台。完走したドライバーの半数が1ストップ、残る半数が2ストップを選択した。

    気温が比較的低かったことで熱劣化が抑えられ、理論上は2ストップが速いとされながらも、実際には1ストップも十分に競争力を発揮した。

    ハミルトン最多8勝 マクラーレンは13勝
    2026年大会はハンガリーGPの第41回大会となる。1986年の初開催以来、すべてハンガロリンクで開催されている。

    最多勝記録を持つのはルイス・ハミルトンで8勝。2位のミハエル・シューマッハーを4勝上回っている。コンストラクターではマクラーレンが13勝でトップだ。

    現役ドライバーでは、フェルナンド・アロンソ(2003年/ルノー)、エステバン・オコン(2021年/アルピーヌ)、オスカー・ピアストリ(2024年/マクラーレン)の3人が、このハンガロリンクでF1初優勝を飾っている。

    夏休み前最後の一戦となる2026年ハンガリーGPは、酷暑の中で繰り広げられるタイヤマネジメントと戦略勝負が、勝敗を大きく左右するレースとなりそうだ。