カテゴリー: ピレリ

  • F1イギリスGP初日 ピレリ総括「ソフトも有力な選択肢」

    F1イギリスGP初日 ピレリ総括「ソフトも有力な選択肢」

    ルイス・ハミルトンがF1イギリスGPのスプリント予選でポールポジションを獲得し、母国ファンを大いに沸かせた。フェラーリのハミルトンは唯一のフリー走行に続いてスプリント予選でも最速タイムを記録し、好調な週末のスタートを切った。

    ピレリは初日のタイヤ挙動について「事前の想定どおり」と評価。ソフトタイヤも十分に競争力を示しており、土曜日のスプリントではタイヤ選択が見どころのひとつになりそうだ。

    ハミルトンが母国シルバーストンでスプリントPP
    ルイス・ハミルトンは1分28秒376を記録し、メルセデスのキミ・アントネッリを0.011秒差で抑えてスプリントポールを獲得した。3番手にはマックス・フェルスタッペンが続いた。

    ハミルトンはこの日、唯一のフリー走行でもトップタイムを記録しており、C1(ハード)、C2(ミディアム)、C3(ソフト)の3種類すべてで最速タイムをマークする圧倒的な速さを見せた。

    予選は規定どおりタイヤを使用
    スプリント予選ではレギュレーションに従い、SQ1ではミディアムタイヤ1セット目、SQ2ではミディアムタイヤ2セット目、SQ3ではソフトタイヤを使用した。

    SQ3へ進出した10人のドライバーは全員がソフトタイヤで3周のアタックランを実施し、最後のタイムアタックに臨んだ。

    フリー走行でもフェラーリが好調
    ハミルトンはフリー走行でも1分29秒260を記録してトップタイムをマークした。

    このセッションではまずハードタイヤで合計21周を3回のランに分けて走行し、セッション終盤には再びC1タイヤで周回を重ねた。

    2番手はキミ・アントネッリ、3番手はフェラーリのシャルル・ルクレールだった。

    イギリスグランプリ タイヤ

    ピレリ「タイヤの挙動は想定どおり」
    ピレリのモータースポーツディレクター、ダリオ・マラフスキは、初日のタイヤパフォーマンスについて次のように総括した。

    「シルバーストンでの週末は、タイヤに関しては事前の予想どおりのスタートとなった。一方で、地元ファンにとってはイギリス人ドライバーがスプリントポールを獲得するという嬉しいサプライズになった」

    「唯一のフリー走行前半では、シルバーストンでは初使用となるC1タイヤの特性を各チームが確認した。C2とC3については主にパフォーマンスランで使用され、週末に向けた有益なデータを収集できた」

    ソフトタイヤも有力候補に浮上
    マラフスキは、タイヤの摩耗と性能差についても説明した。

    「今日の2つのセッションでは、デグラデーションは想定どおりだった。燃料搭載量が同じ条件で比較した場合、ミディアムとソフトの初期性能差は約0.4秒で、シミュレーションより約0.1秒小さい値となった」

    「現時点ではソフトタイヤも十分に競争力があり、特にグリッド後方からスタートするドライバーにとっては、スプリントで有力な選択肢になる可能性がある。どのコンパウンドが実際に使われるのか注目している」

    初日の走行では気温は約25℃、路面温度はフリー走行中に42℃まで上昇した。土曜日と決勝日の日曜日も同様のコンディションが予想されており、各チームはタイヤマネジメントを含めた戦略面でも重要な判断を迫られることになりそうだ。

  • F1イギリスGP ピレリ展望:シルバーストンの高速コーナーがタイヤを酷使

    F1イギリスGP ピレリ展望:シルバーストンの高速コーナーがタイヤを酷使

    ピレリは、タイトルスポンサーを務める2026年F1イギリスGPを前に、シルバーストン・サーキットの特性やタイヤ戦略の見通しを公開した。

    今年のイギリスGPでは最も硬いC1、C2、C3コンパウンドが投入され、1ストップ戦略が有力視されている。また、レース後には2027年仕様ドライタイヤの開発テストも実施される予定だ。

    シルバーストンはF1の歴史を象徴するサーキット
    2026年のF1イギリスGPは、今年ピレリがタイトルスポンサーを務める2大会のひとつとなる。もう一方はイタリアGPであり、F1世界選手権を象徴する2つの伝統あるグランプリにピレリの名が冠されることになる。

    イギリスGPとイタリアGPは、1950年の世界選手権創設以来、一度も中断することなく同じ名称で開催され続けている唯一のイベントでもある。

    1950年にシルバーストンで行われた記念すべき最初のF1世界選手権レースでは、ジュゼッペ・ファリーナがアルファロメオを駆り、ピレリの「ステラ・ビアンカ」タイヤで優勝を飾った。

    今年のイギリスGPは通算77回目、シルバーストン開催としては60回目となり、ピレリにとってはF1参戦518戦目となる。

    イギリスグランプリ

    高速コーナーがタイヤへ極めて大きな負荷
    シルバーストンは全長5.891kmで、2010年にアビーからブルックランズまでの新セクションが追加されたのが最後の大規模改修となっている。

    現在のレイアウトは18コーナー(右10、左8)で構成され、マゴッツ、ベケッツ、チャペルへと続く高速S字区間では、連続する方向転換によって非常に大きな横Gが発生する。

    ルイス・ハミルトンが「戦闘機のコックピットにいるようだ」と表現したように、高速コーナーと長いストレートが組み合わさることで、ドライバーにもマシンにも大きな負荷がかかるサーキットとなっている。

    タイヤへの負担も非常に大きく、一部区間では鈴鹿やスパ・フランコルシャンと同様に5Gを超える加速度が発生する。特に右コーナーが多いため、左フロントタイヤへの負荷が最も大きい。

    一方で路面そのものは摩耗性が低く、年間を通じて四輪・二輪レースが数多く開催されているため、自然なラバーの蓄積によって高いグリップが確保されている。

    C1・C2・C3を投入 1ストップが有力
    ピレリは今週末に最も硬いC1、C2、C3の3種類を選択した。

    サーキットの高いタイヤ負荷を考慮すると、決勝ではグリップ性能に優れるC2とC3を組み合わせた1ストップ戦略が最も有力と予想している。

    過去のデータでは、C3のみ軽度のグレイニングが確認されている一方で、C1とC2は機械的な安定性に優れた特性を示してきた。

    今年はスプリントフォーマットのため、FP1ではハードタイヤを積極的に使用するチームが多くなるとみられる。

    イギリスグランプリ F1 タイヤ

    英国特有の天候も勝敗を左右
    イギリスGPでは天候も重要な要素となる。

    過去2年連続で決勝中に雨が降り、各車はインターミディエイトタイヤを使用した。イギリスの夏は天候が変わりやすく、今年も雨がレース展開を左右する可能性がある。

    レース終了後の火曜日と水曜日には、メルセデスとウィリアムズの協力のもと、2027年用ドライタイヤの開発テストがシルバーストンで実施される予定だ。

    2025年は雨と晴れが交錯する難しいレース
    昨年のイギリスGPは変わりやすい天候となり、レース前半はインターミディエイトタイヤが主役となった。

    フォーメーションラップでは全車がインターミディエイトを装着していたが、決勝スタート直前に5台がスリックタイヤへ交換。しかし再び雨が降り出したことで、全車がインターミディエイトへ戻る展開となった。

    終盤には路面が乾き、多くのドライバーがミディアムまたはソフトへ交換してチェッカーフラッグを受けた。

    シルバーストン最多勝はハミルトン
    イギリスGPはこれまで76年にわたる歴史を持ち、シルバーストンで59回、エイントリーで5回、ブランズハッチで12回開催されてきた。

    シルバーストンで最多9勝を挙げているのはルイス・ハミルトンで、ジム・クラークとアラン・プロストが5勝で続く。

    コンストラクター別ではフェラーリが18勝で最多を誇り、マクラーレンを3勝上回っている。

    イギリスグランプリ トロフィーイギリスグランプリ キャップ

    英国らしさを表現した特別トロフィーと表彰式キャップ
    今年の表彰台トロフィーは、アーティストのポール・オズがピレリの依頼で制作した。

    F1マシンのフロントウイングをモチーフに、シルバーストンが旧飛行場から現代的サーキットへ発展した歴史を表現。航空機を象徴するアルミニウムと、現代F1を象徴するカーボンファイバーを組み合わせ、ユニオンジャックをデザインに取り入れている。

    マーシャル賞のトロフィーは、イタリアのバルトッチーニ・プレミアツィオーニがステファノ・ズエックとの協力で制作。シルバーストンサーキットのレイアウトを再現し、周囲に配置された星が安全を支えるマーシャルたちを象徴している。

    また、表彰台ではピレリのタイトルスポンサー大会限定として、デニス・デコヴィッチがデザインした特別仕様のイエローキャップが使用される。英国で親しまれている千鳥格子柄を取り入れたデザインとなっている。

  • F1オーストリアGP決勝 ピレリ総括「ハード主体の2ストップ戦略が最速だった」

    F1オーストリアGP決勝 ピレリ総括「ハード主体の2ストップ戦略が最速だった」

    2026年F1第8戦オーストリアGPは、気温36度、路面温度55度という酷暑のレッドブル・リンクで行われ、タイヤマネジメントが勝敗を左右するレースとなった。

    優勝したジョージ・ラッセル(メルセデス)は、ミディアムタイヤでスタートし、ハードタイヤへ2度交換する2ストップ戦略を採用。2位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位キミ・アントネッリ(メルセデス)も同様の戦略を選択し、表彰台を獲得した。

    2ストップが予想通りの最速戦略
    レース前から最速と予想されていた2ストップ戦略が、そのまま勝利への方程式となった。

    シャルル・ルクレール、ルイス・ハミルトン、ピエール・ガスリーのみが3ストップ戦略を選択し、それ以外のドライバーは全員が2ストップを採用した。

    スタートタイヤはほぼ全車がミディアムコンパウンドを装着。カルロス・サインツJr.とガブリエル・ボルトレトだけがソフトタイヤでスタートした。

    上位4台はいずれも、ミディアムでスタートした後、ハードタイヤを2セット使用する同じ戦略を採用。ラッセルはフェルスタッペンに1.611秒差をつけて優勝し、アントネッリもフェルスタッペンから0.3秒あまり遅れた3位でフィニッシュした。

    この勝利によりラッセルはドライバーズランキング2位に浮上。一方でアントネッリは171ポイントでランキング首位を維持している。

    フェラーリは3ストップで勝負
    フェラーリは今回もライバルとは異なるアプローチを選択した。

    ルクレールとハミルトンは3ストップ戦略を採用し、終盤には燃料搭載量の軽い状況でソフトタイヤを使用。タイヤ性能は良好だったものの、2ストップ勢を逆転するには至らなかった。

    また、フェラーリ勢とガスリーはアンダーカットを狙って早めに最初のピットストップを実施した一方、オーバーカットを試みたドライバーたちは期待した効果を得られなかった。

    レース中盤にはサインツJr.のマシントラブルによるバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、戦略全体への影響は限定的だった。アントネッリはやや早いタイミングでピットインしたため、VSC中のピットストップによるタイムメリットを十分に活用できなかった。

    ピレリ「タイヤ開発の成果が表れた」
    ピレリのモータースポーツディレクター、ダリオ・マッラフスキは、高温下でもタイヤが安定した性能を発揮したことを評価した。

    「今日のレースでは、2ストップと3ストップの両戦略で3種類すべてのコンパウンドが使用された。予想どおり、高い熱劣化のため1ストップ戦略は現実的ではなかった」

    「2ストップ戦略は、金曜日から各チームが保有していたタイヤセットの状況にも左右されたが、最終2スティントをハードタイヤで走る方法が最も効果的であり、表彰台の3人がそれを実践した」

    「フェラーリは今回も異なる戦略を試し、3ストップに加えてソフトタイヤも使用した。燃料搭載量が少ない条件もあり、ソフトタイヤは非常に良いパフォーマンスを見せた」

    「フェラーリ勢とガスリーはアンダーカットを狙って早めにピットへ入ったが、それ以外のチームは私たちが想定していたピットウインドウどおりに動いた。一方で、オーバーカットを試みたケースは期待した成果を上げられなかった」

    「サインツJr.によるVSCも戦略を大きく変えることはなく、影響を受けたとすれば、やや早めにピットへ入ったアントネッリくらいだ。ニュートラライズ中のピットストップによるタイムアドバンテージを十分に得られなかった」

    「これほど路面温度が高いコンディションにもかかわらず、グレイニングもブリスターも発生しなかった。これはピレリが進めてきたタイヤ開発がサーキットで確かな成果を上げていることを示している」

    オーストリアグランプリオーストリアGP

  • F1オーストリアGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    F1オーストリアGP 決勝:持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2026年F1第8戦オーストリアGPは、メルセデスのジョージ・ラッセルがポールポジションからスタートする。しかし、レッドブル・リンクではポールポジションが勝利を保証するわけではない。

    高いタイヤデグラデーション(性能劣化)と路面温度55℃に達する酷暑が予想されるなか、決勝では2ストップ戦略が基本となる一方、状況次第では3ストップ戦略も有力な選択肢となる可能性がある。

    2ストップが本命 ハードタイヤ2セットが鍵
    ピレリのシミュレーションでは、最速戦略は「ミディアム→ハード→ハード」の2ストップとされている。

    この戦略では1回目のピットストップを17~24周目、2回目を44~52周目に行うのが理想とされる。

    この戦略を実行できるのはハードタイヤを2セット温存している7台で、偶然ではなく、その7台はいずれもグリッド上位7台を占めている。

    一方で、マックス・フェルスタッペンは異なる選択肢を残している。新品ハード2セットに加え、新品ミディアム2セットも温存しており、「ミディアム→ハード→ミディアム」の2ストップも選択可能だ。この戦略では18~24周目と44~50周目でのピットインが想定されている。

    同様の戦略はトップ10に入った他のレッドブル陣営のマシンにも用意されている。

    F1 オーストリアGP タイヤ戦略

    高温で3ストップ戦略も現実味
    10日前の予測では1ストップと2ストップの差はわずかだった。しかし現在は状況が大きく変化している。

    オーストリアは現在、ヨーロッパを襲う熱波の影響を受けており、決勝日は気温34℃、路面温度は55℃前後まで上昇する見込みだ。

    こうした高温条件ではタイヤ摩耗が大きく増加し、デグラデーションは前戦バルセロナ・カタルーニャGPとほぼ同水準になるとピレリは分析している。

    その結果、1ストップは現実的な選択肢からほぼ消え、3ストップが2ストップと互角、純粋な計算上ではわずかに速い戦略となっている。

    ただし、ピレリのモータースポーツディレクターであるダリオ・マラフスキは、交通状況など実際のレース要素を考慮すると3ストップは約5秒不利になると説明している。

    F1 オーストリアGP 持ちタイヤ数

    3ストップ戦略が現実味を帯びる最大の理由は、強力なアンダーカット効果にある。

    タイヤ劣化が大きいレースでは、新品タイヤへ早めに交換することで一気にポジションを奪える可能性が高まる。誰かが早めに動けば、それに対抗する形で各チームが次々とピットへ向かう「ピットストップ合戦」が始まる可能性もある。

    近年のレッドブル・リンクはオーバーテイクが多いサーキットだったが、今年は従来の3か所のDRSゾーンに代わってオーバーテイクモードが導入される。その効果は未知数であり、追い抜きやすさによって戦略も大きく左右されそうだ。

    F1 オーストリアGP タイヤパフォーマンス差

    アンダーカットが戦略を左右

    後方勢はソフトスタートも有力
    今年のC5ソフトタイヤは昨年より耐久性が向上しており、今週末はグレイニングやブリスターの兆候も確認されていない。

    そのため、2025年にニコ・ヒュルケンベルグが最後尾から9位まで追い上げたような「ソフト→ミディアム→ハード」の2ストップも魅力的な選択肢となる。

    この場合、1回目のピットは14~20周目、2回目は39~45周目が理想とされる。

    スタート時の高いグリップを生かせるため、後方グリッドだけでなく順位アップを狙うドライバーにとっても有効な戦略となる可能性がある。

    決勝は2ストップが基本戦略となる見通しだが、高温によるタイヤ摩耗、アンダーカット、オーバーテイクモードの効果など複数の要素が絡み合う。レース展開次第では3ストップへ切り替えるチームが現れ、戦略勝負がレース結果を大きく左右する一戦となりそうだ。

  • F1オーストリアGP予選 ピレリ総括「2ストップ中心も3ストップに勝機」

    F1オーストリアGP予選 ピレリ総括「2ストップ中心も3ストップに勝機」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)が2026年F1第8戦オーストリアGP予選でポールポジションを獲得した。レッドブル・リンクで行われた予選Q3では1分06秒113を記録し、2番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に0.2秒以上の差をつける圧巻の走りを披露した。

    3番手にはルイス・ハミルトン(フェラーリ)が続き、ランキング首位のキミ・アントネッリ(メルセデス)は4番手。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は最後のアタックでアクシデントを喫したものの、最初のアタックタイムで5番手グリッドを確保した。

    ラッセルがソフトタイヤで最速タイム
    ラッセルは予選を通じてC5ソフトタイヤを使用し、4セットを投入。新品ソフトで臨んだ最後のアタックで最速タイムとなる1分06秒113を記録し、ポールポジションを手にした。

    単独アタックではソフトタイヤが最も高いパフォーマンスを発揮し、上位5人はいずれもフリー走行3回目からソフトタイヤを中心に予選への準備を進めていた。

    FP3でもラッセルが1分07秒096でトップタイムを記録。アントネッリは同じタイヤでの2回目のアタックで2番手タイムをマークし、ロングランでも好調さを見せた。

    予選日は気温36度、路面温度53度まで上昇する厳しいコンディションとなり、決勝でも同様の暑さが予想されている。

    ピレリ「2ストップが最有力」
    ピレリのモータースポーツディレクターを務めるダリオ・マラフスキは、決勝は2ストップ戦略が最も競争力の高い選択肢になるとの見方を示した。

    ミディアム(C4)とハード(C3)はロングランでほぼ同等のデグラデーション特性を示しており、グリップ面ではミディアムがわずかに優位だという。

    ミディアムスタートのチームは、ハードタイヤを2セット温存していれば、その2セットでレースを走り切る戦略が可能。一方でミディアムを2セット残している場合は、中盤をハード、終盤を新品ミディアムとするプランも考えられるとしている。

    オーストリアGP タイヤ

    ソフトスタートや3ストップも選択肢
    一部チームは土曜日のロングランでソフトタイヤもテストしており、スタート時の高いグリップを生かす戦略も検討されている。

    その場合は14~20周付近で最初のピットストップを行い、ミディアム、ハードへとつなぐ2ストップが想定される。

    さらにピレリは、ソフトスタートから全3種類のコンパウンドを使う3ストップ戦略にも可能性があると分析。シュピールベルクではアンダーカット効果が大きいため、早めのピットストップでライバルより先に動く戦略が有効になる可能性があるという。

    通常は交通の影響やオーバーテイクを考慮すると3ストップは2ストップより約2秒遅いと見積もられるが、クリーンエアを確保できれば逆に2ストップより速く走れる可能性もあると説明。マラフスキは、ハミルトンが同様の戦略で勝利を収めたバルセロナ・カタルーニャGPの例を挙げ、「リスクを取るチームが現れるかもしれない」と決勝の戦略戦を展望した。

  • F1オーストリアGP ピレリ初日総括「決勝は2ストップが現実的」

    F1オーストリアGP ピレリ初日総括「決勝は2ストップが現実的」

    メルセデスのキミ・アントネッリが、2026年F1第8戦オーストリアGP初日のフリー走行で最速タイムを記録した。気温35℃、路面温度53℃という酷暑のレッドブル・リンクでは、全チームがピレリの3種類のドライタイヤを評価し、ロングランを含めて豊富なデータを収集した。

    ピレリは初日の走行データを分析した結果、高温と路面の高い摩耗性によりタイヤデグラデーションが大きく、現時点では決勝は2ストップ戦略が有力との見解を示した。

    一方で3種類すべてのコンパウンドがレースで使用可能な可能性もあり、戦略の幅は広いとしている。

    3種類すべてのタイヤを評価
    FP1では各チームが主にミディアム(C4)とハード(C3)で走行を開始したが、レッドブルだけは序盤からソフト(C5)を投入した。セッション終盤までには全ドライバーがソフトタイヤでアタックを実施した。

    FP2ではミディアムとソフトを中心に走行が進められ、アントネッリがソフトタイヤで1分07秒014を記録してトップタイムをマーク。オスカー・ピアストリが0.2秒あまり差の2番手、ランド・ノリスが3番手に続いた。

    トップ3はいずれもロングランをミディアムタイヤで実施。大半のチームも同様のプログラムを消化したが、一部チームはソフトやハードでのロングランも評価しており、バルセロナ・カタルーニャGP同様、3種類すべてのコンパウンドが決勝で戦略候補となる可能性が示された。

    ピレリ「2ストップがより現実的」
    ピレリのチーフエンジニア、シモーネ・ベラは、初日の走行で各コンパウンドの性能と耐久性に関する重要なデータを収集できたと説明した。

    「今日は性能評価とロングランの両面で、全コンパウンドについて非常に有益なデータを収集できた。ハードタイヤを1セット温存したチームもあれば、すでに使用したチームもあり、この違いは日曜日の戦略にも影響する可能性がある。現時点では複数の戦略が考えられる状況だ」

    さらに高温コンディションと路面特性を踏まえ、決勝は2ストップが有力との見方を示した。

    「高温によってデグラデーションがさらに大きくなり、加えてレッドブル・リンクは非常に摩耗性の高い路面であることから、決勝は2ストップになる可能性が高い」

    オーストリアグランプリ

    ソフトは好感触も耐久性は未知数
    ベラによると、C3(ハード)とC4(ミディアム)はグリップ特性が非常に近く、路面状態はまだ完全ではないものの、週末を通して改善していく見込みだという。

    一方、ソフトタイヤについては予想以上に好印象だった。

    「ソフトタイヤはすでに非常に高いパフォーマンスを示している。いくつかの走行では2周目にさらにタイムを更新できるケースも見られた。ただし、それが予選でも再現されるかどうかは明日確認する必要がある」

    ただし、ソフトでのロングランは十分な周回数が得られておらず、耐久性能はまだ判断材料が少ないという。

    「ソフトタイヤでのロングランは限られていたため、ミディアムやハードほど耐久性を把握できていない。そのため、気温がさらに上昇するという予報も踏まえると、各チームが保守的な戦略を選択した場合には、ソフトは最も採用されにくいコンパウンドになる可能性がある」

    高温と路面特性によってタイヤマネジメントが勝敗を左右する週末となりそうだ。現時点では2ストップ戦略が有力視される一方、各コンパウンドの性能差が小さいことから、チームごとに異なる戦略が展開される可能性もあり、予選と最終プラクティスで得られる追加データが決勝のタイヤ選択を左右することになりそうだ。

  • 2026年F1オーストリアGP:レッドブルリンクのタイヤ戦略と注目ポイント

    2026年F1オーストリアGP:レッドブルリンクのタイヤ戦略と注目ポイント

    2026年F1第8戦オーストリアGPの舞台となるレッドブルリンクは、標高660mの高地に位置する全長4.326km、10コーナーの高速サーキットである。急激な高低差と強力なブレーキングゾーンを特徴とし、短いラップの中で加速と減速を繰り返す「ストップ&ゴー」型レイアウトがタイヤに独特の負荷を与える。

    ピレリは今週末、最も柔らかいC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)を投入する。タイヤ摩耗よりも熱によるデグラデーションが支配的となるコースであり、戦略面では1ストップへの移行も注目される。

    Characteristics
    レッドブルリンクはブレーキングとトラクション性能が重要なサーキットだ。路面は使用年数を重ねており、ミクロ・マクロ両面で粗さが大きく、その特性がタイヤ内部に熱を発生させる要因となる。

    また年間を通じて数多くのモータースポーツイベントが開催されるため路面グリップは高く、週末を通じてラバーが乗ることでコンディションは大きく向上していく。

    コーナー立ち上がりでの強い加速はリアタイヤへの負担を増加させる一方、下り勾配でのブレーキングではフロントタイヤにも大きなストレスがかかる。コース全体で63mの高低差があり、この点ではスパに次ぐレベルだ。

    オーストラリアグランプリ

    Technical Analysis
    2026年型パワーユニットは従来より高い出力を発生するため、下り区間のブレーキングではフロントタイヤのロックアップが発生しやすくなる可能性がある。

    さらに標高660mという環境も重要な要素だ。空気密度の低下によりダウンフォースが減少し、タイヤのスリップ量が増加する傾向がある。これはタイヤ温度上昇や熱劣化を促進する要因となる。

    気温も戦略を左右する。6月下旬のシュピールベルクはバルセロナ並みの高温になることもある一方、シュタイアーマルク州の山岳地帯に位置するため天候が急変しやすく、雨や気温低下が突然訪れる可能性もある。

    オーストラリアグランプリ タイヤ戦略

    Race Strategy
    2025年大会では大半のチームが2ストップ戦略を採用した。スタートタイヤはソフト(C5)とミディアム(C4)に分かれ、表彰台を獲得したドライバーはいずれもハードタイヤで中盤スティントを走行した後、ミディアムでフィニッシュしている。

    しかしピレリは現在のタイヤが昨年より安定性を増していることから、2026年大会では1ストップ戦略が有力になる可能性があると見ている。

    タイヤ摩耗が比較的小さい一方で熱管理が重要となるため、各チームは路面温度や気象条件を見極めながら柔軟な戦略判断を迫られることになりそうだ。

    Records
    オーストリアGPは今年で39回目の開催となる。初開催は1964年のツェルトヴェークで、その後1970年から現在の開催地近郊へ移転した。

    ドライバー最多勝はマックス・フェルスタッペンの4勝で、アラン・プロストの3勝を上回る。コンストラクターではマクラーレンが7勝でトップを維持し、フェラーリとメルセデスがそれぞれ6勝で続いている。

    また新型コロナウイルス流行の影響を受けた2020年と2021年には、同サーキットでシュタイアーマルクGPも開催された。

    【関連】
    ・F1オーストリアGP テレビ放送時間・配信日程(フジテレビNEXT・FOD)

  • ピレリがバルセロナでF1タイヤテストを完了 2日間で605周を走破

    ピレリがバルセロナでF1タイヤテストを完了 2日間で605周を走破

    ピレリは、2027年シーズン用スリックタイヤ開発を目的としたバルセロナ・カタルーニャ・サーキットでの2日間のテストを終了した。

    最終日はフェラーリからアーサー・ルクレールが参加し、前日に走行した兄シャルル・ルクレールに代わってマシンを担当。キャデラックでは周冠宇が引き続きテストプログラムを消化した。

    高温コンディションでC2タイヤの評価を実施
    この日の午前中は、C2コンパウンドの異なる構造仕様を比較するプログラムが行われた。まず短距離走行で基本特性を確認し、その後ロングランでデータを収集した。

    昼休憩後は、複数のC2コンパウンド仕様について長距離走行を中心に評価を継続。路面温度は最高58℃、気温は36℃まで上昇し、タイヤ開発には厳しい条件となった。

    2027年の新世代マシン導入に向け、ピレリは構造とコンパウンドの両面から開発を進めており、今回のテストもその重要なプロセスの一環となる。

    タイヤ F1

    アーサー・ルクレールは141周を走破
    アーサー・ルクレールは141周、657kmを走行し、ベストタイムは1分17秒430を記録した。

    一方の周冠宇は130周、605kmを走破。ベストタイムは1分19秒321だった。

    今回のバルセロナテストには初日にアストンマーティンも参加しており、2日間合計では605周、2817kmの走行距離が記録された。

    次回テストはシルバーストンで開催
    ピレリの次回タイヤ開発テストは、F1イギリスGP終了直後の火曜日と水曜日にシルバーストンで実施される予定だ。

    このテストにはメルセデスとウィリアムズが参加し、今回と同様に2027年仕様のスリックタイヤ開発が続けられる。各チームの協力を得ながら、ピレリは新レギュレーション時代に向けたタイヤ性能の最適化を進めていく。

  • アストンマーティンF1含む3チームが参加 ピレリ2027年タイヤテスト初日を実施

    アストンマーティンF1含む3チームが参加 ピレリ2027年タイヤテスト初日を実施

    ピレリは6月17日(水)、バルセロナ・カタルーニャ・サーキットで2027年仕様スリックタイヤの開発テストを実施した。初日のテストにはフェラーリ、アストンマーティン、キャデラックの3チームが参加した。

    高温コンディションの中で各チームは新タイヤの構造や性能を評価。フェラーリのシャルル・ルクレールが134周を走破したほか、アストンマーティンのジャック・クロフォード、キャデラックの周冠宇も開発プログラムに取り組んだ。

    2027年タイヤ開発へ向けた重要な実走テスト
    今回のテストは2027年シーズンに向けたスリックタイヤ開発を目的として実施されたものだ。

    午前中はC2コンパウンドを使用し、異なる構造仕様のタイヤを比較する8周のパフォーマンスランを実施。午後は選別された有力候補を用いてロングラン評価が行われた。

    当日の路面温度は最高57℃、気温は34℃まで上昇し、タイヤにとって厳しい条件下でデータ収集が進められた。

    シャルル・ルクレールが134周を走行
    フェラーリではシャルル・ルクレールがテストを担当し、134周・624kmを走破。ベストタイムは1分16秒619を記録した。

    アストンマーティンではF2ドライバーのジャック・クロフォードがステアリングを握り、146周・680kmを走行。ベストタイムは1分23秒709だった。

    一方、キャデラックでは周冠宇が走行を担当したが、技術的なトラブルの影響で54周・251kmの走行にとどまった。ベストタイムは1分21秒543を記録している。

    タイヤ F1 ピレリ

    2日目はアーサー・ルクレールがフェラーリを担当
    テストは18日(木)も継続される。

    2日目はフェラーリとキャデラックの2チームのみが参加予定。キャデラックでは周冠宇が引き続きステアリングを握り、フェラーリではシャルル・ルクレールに代わって弟のアーサー・ルクレールが走行を担当する。

    2027年の新レギュレーション導入に向け、ピレリは各チームの協力を得ながらタイヤ開発を進めており、今回のテストもその重要なプロセスのひとつとなっている。

    【関連】
    ・角田裕毅 レッドブルF1のTPCで2レース分を走破「まるで離れていなかったかのよう」

  • ハミルトンのフェラーリF1初勝利を支えた3ストップ戦略 ピレリが勝因分析

    ハミルトンのフェラーリF1初勝利を支えた3ストップ戦略 ピレリが勝因分析

    2026年F1バルセロナ・カタルーニャGPでは、タイヤ戦略が勝敗を大きく左右した。

    53℃に達した路面温度と高いデグラデーションのなか、各チームは2ストップから4ストップまで異なるアプローチを採用。そのなかでフェラーリはルイス・ハミルトンに3ストップ戦略を選択し、見事に今季初勝利、そしてフェラーリ移籍後初優勝を手にした。

    ピレリのモータースポーツディレクターであるダリオ・マラフスキは、今回のレースを今季屈指の戦略戦と評価。タイヤマネジメントとピットタイミングが、ドライバーのパフォーマンスだけでなくチームの判断力をも試す「チェスゲーム」だったと振り返った。

    ハミルトンの3ストップ戦略が勝負を決定づける
    ハミルトンはソフトタイヤでスタートすると、11周目にハードへ交換。さらに27周目にミディアムへ履き替え、41周目のVSC(バーチャル・セーフティカー)中に再びハードへ交換してチェッカーまで走り切った。

    一方、ジョージ・ラッセルとランド・ノリスはミディアムとハードのみを使用する2ストップ戦略を採用。理論上は十分に競争力のある作戦だったが、フェラーリは早めのピットインによるアンダーカットを積極的に仕掛け、ライバル陣を戦略的に追い込んでいった。

    マラフスキは、フェラーリが推奨ピットウインドウより大幅に早く最初のストップを行ったことで戦局を動かしたと説明。「ライバルに同じ戦略への対応を強いることに成功した」と評価した。

    バルセロナ・カタルーニャGP タイヤ

    フェラーリはハミルトンとルクレールで戦略を分けた
    フェラーリは2台に異なる戦略を与えた。10番グリッドからスタートしたシャルル・ルクレールには2ストップを選択する一方で、ハミルトンには3ストップを託した。

    結果として、この判断が大きな差を生んだ。ルクレールはレース終盤まで表彰台争いに加わったものの、リタイアするまでチームメイトのペースに匹敵することはできなかった。マラフスキは、ミディアムタイヤの競争力が際立っていたことを指摘しながらも、ハミルトンの戦略とタイヤマネジメントが優勝の決め手だったと分析している。

    また、VSC中のピットストップによるタイムロス削減も勝利を後押しした重要な要素だった。

    タイヤ F1 バルセロナ・カタルーニャGP

    3種類のタイヤすべてがレースの鍵を握る
    今回のレースでは、ソフト、ミディアム、ハードの3種類すべてが幅広く使用された。週末に選択されたコンパウンドは2025年より柔らかい組み合わせとなっており、高温コンディションも相まってタイヤ性能の低下が顕著に表れた。

    特にミディアムタイヤはグリップと耐久性のバランスに優れ、決勝で最も競争力の高いコンパウンドだったとピレリは評価している。一方でソフトタイヤもスタートや終盤のスティントで活用され、戦略の幅を広げる役割を果たした。

    マラフスキは「2ストップ戦略も非常に有効だったが、日曜日に3ストップを選択したチームの判断力こそが勝負を決めた」と総括。フェラーリが見せた柔軟な戦略判断と実行力が、ハミルトンのフェラーリ初勝利という歴史的な結果につながったと強調した。

    タイトル争いにも大きな影響
    この勝利によってハミルトンは選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリとの差を縮めた。レース終盤にリタイアしたアントネッリは156ポイントでランキング首位を維持しているものの、ハミルトンは115ポイントまで積み上げ、その差は41ポイントとなった。

    ランキング3位には106ポイントのラッセルが続いており、タイトル争いは中盤戦に向けてさらに激しさを増している。タイヤ戦略が勝敗を左右したバルセロナ・カタルーニャGPは、今後の選手権を占う上でも重要な一戦となった。