ピエール・ガスリーは、2026年F1オランダGPでアルピーヌが投入した大型アップデートに確かな手応えを感じている。スプリント予選ではSQ3進出を果たして8番手を獲得し、「パフォーマンスという点では間違いなく大きな前進」と評価した。
アルピーヌは今季序盤こそコンストラクターズ選手権5位につけていたものの、ライバル勢とのアップデート投入時期のずれによって徐々に競争力を失い、サマーブレイク前には安定してポイントを重ねたレーシングブルズに抜かれて6位へ後退。
今回のザントフォールトでは、その流れを変えるための重要なアップデートが投入された。
モンツァ予定の大型アップデートを1戦前倒し
アルピーヌがザントフォールトに持ち込んだ新パッケージには、フロア、ディフューザー、リアウイング、サイドポッドの改良が含まれている。
当初は次戦F1イタリアGPで投入される予定だったが、エンストンのスタッフによる作業によって1戦前倒しで実戦投入が実現した。
ただし、短期間で準備したため現時点で用意できた新パーツは1セットのみ。オランダGPではガスリー車だけに搭載され、チームメイトのフランコ・コラピントは従来仕様で走行している。コラピントには次戦モンツァからアップデートが与えられる予定だ。
ガスリーは走行開始前から、今回のアップデートがコンストラクターズ選手権5位奪還に向けて重要になると説明していた。
「パフォーマンスという意味では、もちろんシーズン終了までの目標はコンストラクターズ選手権5位を取り戻すことだ」
「シーズン序盤は良かったけど、サマーブレイク前の数戦は全体的なペースという点で明らかに厳しくなっていた。僕たちが戦っている他のチームと比べると、開発計画が少しずれていたと思う」
シミュレーション段階では、新パッケージから期待できる数字が確認されていたという。
「この戦いの最前線に戻るためのパフォーマンスを得るという意味で、僕たちにとって重要なアップデートになると思う。データやシミュレーションでは期待できるものだった」
A526は「あらゆるタイプのコーナー」でペース不足
アルピーヌが抱えていた問題は、特定のコーナーだけに限定されたものではなかった。
ガスリーによれば、シーズン前半の途中からいくつかの問題が表面化し、直近のレースではA526が幅広い条件で純粋なペースを失っていた。
「いくつか問題がある。シーズン前半の途中から出てきたものもある。最近の数レースを見ると、ほぼすべてのタイプのコーナーでペースが不足していたと思う」
「新しいレギュレーションの最初の年だから、まだ引き出せるポテンシャルはたくさんある。僕たちの開発計画では、他のチームより少し時間がかかってしまった」
「このパーツは本来モンツァで投入する予定だった。でもチームが頑張って、ザントフォールトに1セット持ってくることができた」
「改善しなければならないことはいくつもある。シーズン序盤は今ほど大きな差ではなかったからね。今回のアップデートで間違いなく近づけることを期待している」

ガスリーが中団トップの8番手
新パッケージの最初の実戦データは、ポジティブなものとなった。
ガスリーはFP1を8番手で終え、従来仕様のコラピントに0.915秒差をつけた。ただし、両者の走行プログラムが異なっていたため、この差をそのままアップデートによる改善幅と判断することはできない。
スプリント予選ではSQ1で0.641秒、SQ2では0.719秒の差がついた。今季を通じてガスリーがコラピントを上回る場面が多いことに加え、SQ2ではガスリーがより有利なタイミングでアタックできたため、単純比較には注意が必要だ。
それでも、新仕様のA526が競争力を増したことを示す材料は揃っていた。
ガスリーはSQ3へ進出すると8番手を獲得。アウディのガブリエル・ボルトレトとレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドを上回り、トップ4チームに続く中団勢の先頭に立った。
「グリップが増えて反応も良くなった」
実際にマシンを走らせたガスリーも、アップデートによる変化をはっきりと感じている。
「間違いなくポジティブだ。マシンのフィーリングはかなり良くなった。グリップが増えたし、僕がやろうとしていることや、コックピットでのドライビングに対する反応も良くなった」
「まだ2セッションしか走っていないから、理解しなければならないことはたくさんある。でもパフォーマンスという点では、間違いなく大きな前進だ。それはポジティブだし、ここからさらに積み上げていければと思う」
一方、ザントフォールト特有のバンクやバンピーな路面によって、ドライバーが感じるフィーリングだけでは評価しにくい部分もあるという。
「かなり特殊なサーキットだよね。バンクも大きいし、バンプも多い。F1マシンの中では必ずしも最高の感触というわけではない」
「でも結局、重要なのはパフォーマンスとラップタイムだ。僕たちとしては、ここ数戦より明らかに良くなった。それについては満足している」
「まだもっと引き出す必要があるし、完璧ではない。でも全体としては間違いなく良いステップだ」
アルピーヌが再びコンストラクターズ5位争いへ
今回の結果だけでアルピーヌが完全に勢力図を逆転したと判断するのは早い。ライバルチームも今後のレースでアップデートを投入するため、中団の力関係は再び変化する可能性がある。
それでも、サマーブレイク前にトップ10から徐々に遠ざかっていたアルピーヌにとって、ザントフォールトでの初日は明確な前進となった。
ガスリー自身も、シーズン前半の終盤には競争力低下にフラストレーションを感じていたことを認めている。
「僕は競争力を持つために本当に一生懸命取り組んでいる。シーズン前半の終盤には、少しずつトップ10から離れていくのを見て、がっかりしたし、少しフラストレーションも感じていた」
「でも同時に、開発競争になることは最初から分かっていた。僕たちは自分たちのプロセスを信頼しなければならないし、まだ戦えると信じている」
ガスリーは2024年F1サンパウロGPでアルピーヌが2位と3位を獲得した例を挙げ、シーズン終盤まで状況を変えるチャンスは残されていると強調した。
「まだポイントを獲得できるレースはたくさんある。こういう状況に直面するのは初めてではないし、大量ポイントを獲得するチャンスはこれからもたくさんある。2024年のブラジルで何が起きたかも覚えている」
「最終戦まで何が起きるか分からない。でもチームとしては、今回のアップデートでパフォーマンスを大きく引き上げることが本当に重要だ」
オランダGP初日の段階では、その狙いはラップタイムにも表れている。ガスリーがトップ4チームに続く8番手を確保したことで、アルピーヌは少なくともザントフォールトではレーシングブルズとアウディを上回る位置につけた。
コラピントにも同じパッケージが投入されるモンツァ以降、この改善が異なる特性のサーキットでも再現されるかが、アルピーヌのコンストラクターズ選手権5位奪還を左右する重要なポイントとなる。
