ブログ

  • 角田裕毅 F1公式パワーランキング9位「2027年のドライバー市場に再浮上も」

    角田裕毅 F1公式パワーランキング9位「2027年のドライバー市場に再浮上も」

    2026年F1イタリアGP終了後のF1公式「パワーランキング」が発表され、19番グリッドから劇的な逆転優勝を飾ったキミ・アントネッリが満点の10.0でトップに立った。

    レーシングブルズからF1復帰2戦目を迎えた角田裕毅もトップ10入り。15番グリッドから10位まで順位を上げて今季初ポイントを獲得した走りについて、F1公式は「来季のドライバー市場に再び加わる可能性がある」と評価し、2027年に向けた角田の将来にも言及した。

    1位:キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    週末を前にパワーユニット交換によるペナルティを受け、19番グリッドからのスタートを余儀なくされたアントネッリ。当初はドライバーズランキング首位としてダメージを最小限に抑えることが目標になると思われていた。

    しかし、メルセデスのアントネッリは次々と前車を攻略し、レース半分を迎える前にはチームメイトのジョージ・ラッセルと首位を争うまでに浮上。バーチャル・セーフティカー(VSC)中にピットインすると、より新しいタイヤを生かしてポジションを取り戻しながらラッセルとの差を急速に縮めた。

    そして残り4周でタイトル争いのライバルを抜き去り、母国ファンの前で優勝。イタリア人ドライバーとして60年ぶりとなるF1イタリアGP制覇を成し遂げた。F1公式の審査員は「歴史に残るドライブ」と絶賛し、満点の10.0を与えた。

    2位:ピエール・ガスリー(アルピーヌF1チーム)
    日曜日のアントネッリの勝利が今季最高のパフォーマンスだったとすれば、その前日にピエール・ガスリーが披露した予選での走りも、それに大きく劣るものではなかった。

    アルピーヌとガスリーはメルセデス製パワーユニットの性能を最大限に引き出し、アタックラップを完璧にまとめた。ガスリーはQ1でトップタイムを記録すると、重要なQ3でも最速タイムを叩き出し、自身初のF1ポールポジションを獲得した。

    53周の決勝で首位を守り続けるのは現実的に困難だったが、最終的に7位でフィニッシュ。それでも上位勢に次ぐ「ベスト・オブ・ザ・レスト」の座を確保した。

    3位:マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
    メルセデス勢のアントネッリとラッセルに対してストレートスピードで劣っていたものの、マックス・フェルスタッペンは両者を苦しめる存在となった。

    レッドブル・レーシングのフェルスタッペンは5番手から序盤に2番手まで浮上し、その後トップに立って3周にわたってレースをリードした。

    最終的にはラッセルとアントネッリに抜かれたものの、しばらくはメルセデス勢についていき、アントネッリと同様にVSC中にピットイン。そこから再び順位を上げて3位でチェッカーを受け、直近4戦で3度目となる表彰台を獲得した。

    4位:アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドは、今回も目立たないながら堅実な仕事をやってのけた。

    9番グリッドからスタートし、シャルル・ルクレールのクラッシュやフランコ・コラピントのコースオフもあって順位を上げ、8位でフィニッシュ。貴重なポイントをチームにもたらした。

    これでリンドブラッドは直近8戦のうち7戦でポイントを獲得。レーシングブルズがコンストラクターズランキングでアルピーヌを上回るうえでも重要な役割を果たしている。

    5位:ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    ラッセルは、チームメイトのアントネッリがグリッド降格ペナルティを受けることから、ドライバーズランキングで59ポイントあった差を縮める絶好のチャンスとしてモンツァに乗り込んだ。

    予選では最終アタックでフェルスタッペンの影響を多少受け、わずかな差でポールポジションを逃したものの、決勝では首位に浮上。アントネッリとの間で激しいトップ争いを繰り広げた。

    しかし、バッテリーマネジメントやスリップストリームの効果もあり、アントネッリを引き離すことはできなかった。さらにハードタイヤを装着していたため、ミディアムを履いていたアントネッリのようにVSCでピットインする選択肢も現実的ではなかった。

    大きなミスのない堅実な週末だったが、最終的にはアントネッリに敗れ、タイトル争いではさらに厳しい一撃を受ける結果となった。

    6位:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
    ザントフォールトではチームメイトのランド・ノリスに及ばず苦戦したオスカー・ピアストリだったが、モンツァでは本来の調子を取り戻した。

    予選では3番手タイムを記録したものの、Q2の第1シケインでリアム・ローソンを妨害したとして3グリッド降格ペナルティを受けた。

    それでも決勝では順位を上げ、前半には4位を巡ってルイス・ハミルトンとバトル。フェラーリを攻略すると、終盤にはチームメイトのノリスとの直接対決となり、最終ラップで先行を許して5位となった。

    7位:ランド・ノリス(マクラーレン)
    2連勝を飾ってモンツァに乗り込んだランド・ノリスだったが、メルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンは優勝争いに加わるだけのパフォーマンスを発揮できなかった。

    ノリス自身も予選最後のアタックをまとめ切れず、8番グリッドからスタート。決勝ではスリップストリームの列の中で走る時間が長くなった。

    それでもガスリーやハミルトンを攻略し、終盤にはピアストリとの激しいバトルを展開。最終ラップのアスカリ・シケインへのアプローチでチームメイトを抜き、4位まで挽回した。

    8位:ガブリエル・ボルトレト(アウディ)
    ガブリエル・ボルトレトとアウディにとって、あと一歩が届かない週末となった。

    予選ではわずか0.001秒差でQ3進出を逃したが、アントネッリのグリッド降格によって決勝はトップ10圏内からスタートした。

    しかし決勝ではレーシングブルズやアルピーヌに対抗するだけのペースがわずかに足りず、ポイント圏内まで7秒差でフィニッシュした。

    9位:角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    レーシングブルズでF1復帰を果たしてからわずか2戦目となった角田裕毅は、15番グリッドから順位を上げ、10位でフィニッシュしてポイントを獲得した。

    F1公式はこのパフォーマンスについて、角田が「来季のドライバー市場に再び加わる可能性がある」と指摘。2027年のF1レギュラーシート獲得を目指す角田にとって、復帰後早い段階で結果を残したことを評価した。

    角田は次戦F1スペインGPでもレーシングブルズから出場することが決定している。負傷したアイザック・ハジャーに代わってリアム・ローソンが引き続きレッドブル・レーシングをドライブするため、角田にも再びチャンスが与えられる。

    10位:カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
    メルセデス製パワーユニットを搭載しているものの、ウィリアムズはモンツァで苦戦することを事前に予想しており、実際に厳しい週末となった。

    それでもカルロス・サインツJr.は13位まで順位を上げ、ローソンのレッドブルやアップグレードを投入した2台のハースを上回った。ポイント獲得には届かなかったものの、10位から16秒差まで迫る堅実なレースを見せた。

    トップ10入りを逃したドライバー
    今回のパワーランキングで惜しくもトップ10入りを逃したのは、フランコ・コラピントとオリバー・ベアマンだった。

    コラピントは一時3番手まで浮上しながらコースオフで後退したものの、アルピーヌを9位に導いた。ベアマンはアップグレードが投入されたハースを駆り、15位でレースを終えている。

    アントネッリの歴史的な逆転優勝が最大のハイライトとなったF1イタリアGPだが、角田にとってもレーシングブルズ復帰2戦目でポイントを獲得し、F1公式パワーランキングで9位に選ばれた意味は小さくない。

    2027年のレギュラーシートはまだ決まっていないものの、F1公式がドライバーマーケットへの「再浮上」にまで言及したことは、角田が短期間で自身の評価を取り戻しつつあることを示すものとなった。次戦F1スペインGPは、その流れをさらに強められるかを占う重要な一戦となる。

    2026年のF1世界選手権 イタリアグランプリ

  • ランス・ストロール F1イタリアGP無線でエンジニアに激怒「目を覚ませ!」

    ランス・ストロール F1イタリアGP無線でエンジニアに激怒「目を覚ませ!」

    ランス・ストロールが、2026年F1イタリアGPの決勝中にアストンマーティンのレースエンジニアへ「目を覚ませ!」と怒りをぶつけていたことが、テレビでは放送されなかったチーム無線から明らかになった。

    ストロールはモンツァでエネルギーマネジメントとパワー不足に苦しみ、順位を落とした末、油圧系のトラブルによって27周目にマシンを止めた。アストンマーティンにとってはフェルナンド・アロンソもリタイアとなり、厳しいダブルDNFの週末となった。

    「いつも言うのが遅すぎる」ストロールが無線で激怒
    問題のやり取りは、レース序盤のリスタート後に起きた。

    モンツァではアストンマーティンの直線での弱さが顕著となっており、ストロールはパラボリカからの加速でセルジオ・ペレスのキャデラックに引き離される場面もあった。

    その後、メインストレートでアレクサンダー・アルボンのウィリアムズを抜いた際、ストロールはバッテリーに問題があることを無線で報告した。

    「バッテリー……」

    これに対し、レースエンジニアのゲイリー・ギャノンは設定変更を指示した。

    「モード9、モード9」

    しかし、アルボンが再び勢いを取り戻してターン1への進入でストロールを抜き返すと、ギャノンは再度指示を伝えた。

    「できるときにモード9。集団についていくためだ」

    ストロールは、そのタイミングの遅さに強い苛立ちを示した。

    「いつも僕に言うのが遅すぎる! まったく、目を覚ませよ!」

    順位を落とした背景にエネルギー不足
    ストロール自身もレース後、リスタート後に順位を失った原因のひとつがエネルギーマネジメントだったことを認めている。

    何が問題だったのかと聞かれると、ストロールは簡潔に答えた。

    「エネルギーの問題だ」

    2026年のF1ではパワーユニットの電動領域がこれまで以上に重要となっており、バッテリーから十分な電力を使えない状態ではストレートで大きな不利を背負う。

    特にモンツァは長い全開区間を持つ超高速サーキットであり、アストンマーティンが抱えているパワー面の弱点が表面化しやすいコースだった。

    予選でもアロンソが21番手、ストロールが22番手に沈み、チームは最後列から決勝をスタートしている。

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「もっとパワーが必要」ホンダPUの不足を改めて指摘
    ストロールはレース後、モンツァがアストンマーティンにとって難しい週末になることは予想していたかと問われ、ホンダ製パワーユニットを含めたパワー不足に言及した。

    「そうですね、間違いなく。ホンダのこともあるし、とにかくパワーが足りないんだ」

    さらに、今回のイタリアGPから何を学べるかとの質問には笑いながら答えた。

    「もっとパワーが必要だ! それは分かっている。僕たちは分かっているよ。今回もそれを証明しただけだ」

    アストンマーティンは前戦オランダGPで2026年シーズン2度目となるポイント獲得を果たしていたが、モンツァでは再び直線速度不足という根本的な課題に直面した。

    27周目には油圧トラブルでストップ
    ストロールのレースは、最終的に別の機械的トラブルによって終わった。

    27周目、ギャノンはストロールにマシンを安全な場所へ止めるよう指示した。

    「マシンを止めろ、ランス。止めるんだ。油圧系の問題がある。シフト操作はしないでくれ。ペダルは長くなり、ステアリングも重くなる。安全な場所に止めてくれ」

    ストロールは指示に従ってマシンを停止。アストンマーティンはアロンソもマシンダメージによってレースを終えており、2台そろって完走できなかった。

    F1スペインGPでは改善を期待
    一方、ストロールは次戦F1スペインGPの舞台となるマドリンクについては、アストンマーティンにより適したレイアウトになる可能性があるとみている。

    「紙の上では、僕たちにはもっと良さそうだ。コーナーが多いからね」

    「すごく単純なんだ。コーナーが多くてストレートが少ない場所は僕たちに向いている。長いストレートが多くてコーナーが少ない場所は、あまり良くない」

    モンツァで露呈したエネルギー不足と直線でのパワー不足は、ストロールがエンジニアに怒りを爆発させた無線の背景にもなっていた。アストンマーティンにとって、よりコーナーの多いマドリンクでどこまで弱点を隠し、競争力を取り戻せるかが次の焦点となる。

  • アウディF1 2戦連続最速ピットストップの裏に元レッドブル“フェルスタッペン担当”

    アウディF1 2戦連続最速ピットストップの裏に元レッドブル“フェルスタッペン担当”

    アウディF1がピットストップで目覚ましい進歩を遂げている。オランダGPとイタリアGPでは2戦連続でレース最速のピットストップを記録。その改善を支えている人物として、レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、元レッドブルのリー・スティーブンソンの存在を挙げた。

    スティーブンソンはレッドブルで長年にわたって経験を積み、マックス・フェルスタッペンのチーフメカニックまで務めた人物だ。

    現在はアウディのチームマネージャーに昇格し、ガレージ内のオペレーション構築で重要な役割を担っている。

    レッドブルでフェルスタッペンを支えたスティーブンソン
    リー・スティーブンソンはレッドブルの組織内でキャリアを重ね、最終的にはフェルスタッペン担当のチーフメカニックを務めた。

    その後、ザウバーがアウディの2026年F1参戦に向けて準備を進めるなかでチームに加入。現在はチームマネージャーへと昇格している。

    これはレッドブルでジョナサン・ウィートリーが担っていたものに近い役割だ。ウィートリーの在籍時代、レッドブルのピットクルーはF1でも屈指の存在として知られ、ピットストップの世界記録も保持していた。その記録は2023年F1カタールGPでマクラーレンがランド・ノリスを1.80秒で送り出すまで破られなかった。

    アウディの現在の姿は、わずか数年前とは大きく異なる。

    2024年にはホイールナットに関連する技術的な問題を抱え、ピットストップで大幅にタイムを失うケースがあった。しかし、現在ではオランダGPとイタリアGPで2戦続けてレース最速のピットストップを記録するまでに改善している。

    「同じメンバーが非常に安定して結果を出している」
    マクニッシュは、当時の問題について人的なミスではなく、技術的な要因が大きかったと説明する。

    「技術的な問題だった。実際、それは2024年のことで、当時は技術的な問題だった」

    そのうえで、ピット作業の改善は昨年末から今年初めにかけて継続的に進めてきた取り組みの成果だと語った。

    「この部分については、昨年末から今年初めにかけて本格的に取り組んできた。チームという意味では、昨年我々のところに来たリーが、何をする必要があるのかをよく理解していた」

    「結局のところ、そこにいるのはほぼ同じメンバーだ。そして今では非常にうまく、安定して仕事をしている」

    マクニッシュが特に評価しているのは、単発で速いピットストップを記録しているだけではない点だ。

    「ザントフォールトでも最速だった。それに、私の立場から見て重要なのは、必ずしもひとつのストップだけではないということだ」

    「複数回のストップがあるときも、すべてのストップがいい。だから、そこでチームは非常にうまく機能している」

    アウディ F1

    僅差の中団争いではピット作業も大きな武器
    現在のF1では中団勢のパフォーマンス差が非常に小さく、わずかなピットストップの差が順位を左右する可能性がある。

    マクニッシュは、だからこそピットクルーの改善がアウディにとって重要な武器になると強調した。

    「我々にとっても重要なことだ。レースでは得られるアドバンテージをすべて引き出さなければならない」

    「中団では大きな差があるわけではない。彼らは間違いなく、ドライバーがレースからより多くのものを引き出すための機会を提供してくれている」

    一方で、マクニッシュは、レッドブルで培われたスティーブンソンのノウハウをアウディが単純に持ち込んだわけではないとも説明する。

    「彼の強みをそのまま受け継いだとは言わない。我々自身で発展させてきたものだと思う」

    「ただ、結局のところ、リーがチームに加わった理由のひとつは、ガレージ内のチームを作り上げることだった」

    そして、その成果はピットストップのタイムだけではなく、ガレージ全体の仕事ぶりにも表れているという。

    「彼と、そこにいるチームは非常にいい仕事をしていると思う。今の彼らを見れば、ピットストップだけでなく、マシンに対するすべての作業の進め方が分かる。本当にいい光景だ」

    2024年にはピット作業の技術的トラブルに苦しんでいたチームが、アウディF1として迎えた2026年には2戦連続で最速ピットストップを記録するまでになった。フェルスタッペンをガレージから支えてきたスティーブンソンの経験と、既存スタッフを生かしたチーム作りが、僅差の中団争いでアウディの新たな強みになりつつある。

  • レーシングブルズF1 独自フロントウイング機構にモントーヤ驚き「唯一のチーム」

    レーシングブルズF1 独自フロントウイング機構にモントーヤ驚き「唯一のチーム」

    レーシングブルズが2026年F1イタリアGPで投入したVCARB 03のフロントウイングに、元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤが強い関心を示した。注目したのは、ストレートモードを作動させるための機構だ。

    モントーヤによれば、ライバル勢がノーズ周辺に作動機構を配置するのに対し、レーシングブルズはフロントウイングの左右それぞれにアクチュエーターを配置。グリッドで唯一となる独自のアプローチを採用していたという。

    モントーヤが発見したレーシングブルズ独自の機構
    この特徴が確認されたのは、モンツァで行われたイタリアGP金曜日のFP2だった。当時F1TVで解説を務めていたモントーヤは、ピットレーンでレーシングブルズのVCARB 03を間近で観察し、フロントウイングの構造に目を留めた。

    「レーシングブルズのところにいるんだけど、とても興味深いものがある。彼らのフロントウイングのストレートモードには、実際に2つのアクチュエーターが使われている」

    モントーヤはそう説明し、他チームとの違いを指摘した。

    「みんなノーズ側に配置しているけど、彼らはフロントウイングの両側にそれぞれアクチュエーターを付けてここへ持ち込んだ。これは完全に違う。これをやっているのは彼らだけだ。だから、とても興味深いと思った」

    2026年のF1では従来のDRSに代わり、可動式のフロントウイングとリアウイングを使用するアクティブエアロが導入された。直線では「ストレートモード」に切り替えて空気抵抗を減らし、コーナーでは「コーナーモード」によって必要なダウンフォースを確保する。

    レーシングブルズは、そのフロントウイングを動かす方式でライバルとは異なる設計思想を採用していたことになる。

    モンツァ仕様のVCARB 03に複数のアップデート
    レーシングブルズは高速特性を持つモンツァに合わせ、VCARB 03に複数の変更を加えていた。

    リアウイングにはストレートモード時のフラップ可動量を増やす新しいアセンブリーが導入され、直線でより効率的にドラッグを削減することを狙った。また、エキゾーストのテールパイプも位置と形状が変更され、マシン中央付近の気流を整えることでフロアとリアウイングの効率向上を図っていた。

    こうしたモンツァ向けのパッケージとともに、モントーヤが注目した左右2基のフロントウイング作動機構もVCARB 03の特徴として浮かび上がった。

    角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    角田裕毅もストレートモードへの適応に苦戦
    この週末、レーシングブルズにはリアム・ローソンに代わって角田裕毅が出場していた。ローソンが左手首を負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングから参戦したためで、角田にとってはザントフォールトに続くVCARB 03での2戦目だった。

    金曜日のFP2ではアービッド・リンドブラッドが1分23秒349で7番手、角田裕毅は1分23秒455で10番手。角田はリンドブラッドからわずか0.106秒差まで迫り、2台そろってトップ10に入った。

    ただし、2026年型マシンへの経験が限られていた角田にとって、アクティブエアロそのものへの対応も課題のひとつだった。

    「楽しかったです。FP1は自分としてはもう少しまとまりがなかったと思います。昨年より検知ポイントや作動ポイントが多くて、ターン11の前ではSLM(ストレートラインモード)を作動させるのを何度も忘れてしまいました」

    「昨年とはいろいろ変わっていて、同じではありません。いくつか難しいところはありましたけど、最終的にはかなりうまくいきました。整理しなければならない部分はいくつかありますが、かなり満足しています」

    角田はさらに、ブーストをどこで使用するかも重要になると説明し、エネルギーデプロイメントについても金曜日の走行を通じて違いを学んだと語っていた。

    独自設計で存在感を示したレーシングブルズ
    レーシングブルズのVCARB 03はイタリアGPで競争力を示し、決勝ではリンドブラッドが8位、角田裕毅が10位に入り、2台そろってポイントを獲得した。

    チーム代表のアラン・パーメインもレース後、角田がVCARB 03でわずか2戦目ながらポイントを獲得したことを評価。レーシングブルズはホームレースとなったモンツァでダブル入賞を果たした。

    モントーヤが発見した左右2基のアクチュエーターがVCARB 03の速さにどの程度寄与しているかを単独で判断することはできない。それでも、2026年F1の新たな開発領域となったアクティブエアロで、レーシングブルズが他チームとは異なる独自の解決策を追求していることを示す興味深いディテールとなった。

  • トヨタGR 入門用レーシングカート「GR KART」発売 価格38万5000円

    トヨタGR 入門用レーシングカート「GR KART」発売 価格38万5000円

    GAZOO Racing(GR)は9月10日、入門用レーシングカート「GR KART」を国内で発売した。メーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。全国36拠点のカートコースと7拠点のGR Garageで販売を開始し、今後順次拡大する。

    GR KARTは、子どもやファミリー層がモータースポーツに触れる入口を広げることを目的に開発された。ノアやヴォクシーで運搬でき、立てた状態で保管することも可能。

    さらに身長135cmから185cmまで対応するポジション調整機構を備え、子どもから大人まで家族で1台を共有できることも特徴となっている。

    モータースポーツへのハードルを下げる「GR KART」
    レーシングカートは、マシンを操る楽しさをダイレクトに体感でき、F1をはじめとするトップカテゴリーで活躍する多くのレーシングドライバーがキャリアの第一歩として経験している。

    一方、個人で始めるには車両価格だけでなく、運搬用車両や保管場所、日常的な整備などが必要となり、初心者にとってハードルが高い側面もある。

    GRは、こうした負担を減らし、より多くの人がモータースポーツに挑戦できる環境をつくることを目指してGR KARTを開発した。

    モリゾウことトヨタ自動車会長の豊田章男は、野球やサッカーのようにモータースポーツも、より多くの人が挑戦できるものにしたいとの思いを持ち続けてきたという。

    GRは「クルマ屋がつくるカート」として、自動車開発で培った知見や工夫をGR KARTに投入。生産は「蒲郡GR KART工房」が担当し、TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)の考え方を取り入れながら品質確保や工程改善、原価低減を進める。

    GR KART

    価格は38万5000円
    GR KARTのメーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。入門者が購入しやすい価格を目指すだけでなく、購入後の整備や調整にかかる手間を減らし、長期間使用できるよう耐久性にも配慮した。

    全長は1,820mm、全幅1,160mm、全高670mm、ホイールベース1,045mm。車両重量は83kgで、総排気量215ccのエンジンを搭載する。

    一般公道を走行することはできず、カートコースなどのクローズドコースおよび競技での使用を前提とした専用車両となる。

    ノアやヴォクシーでそのまま運搬
    GR KARTが特に重視したのが運搬と保管のしやすさだ。

    車体は分解することなくノアやヴォクシーに積載できるサイズとされ、大型の専用トランスポーターを用意せず、普段使用しているミニバンでカートコースまで運べる。

    保管時には車体を立てることも可能。立置き対応のエンジンオイルキャッチタンクや、フロート室を持たないダイヤフラム式キャブレターを採用したほか、燃料が漏れにくい給油口の向きとすることで、ガソリンやエンジンオイルを入れた状態でも立置きできる構造とした。

    別売りの立置き台車も用意され、自宅などで必要となる保管スペースを抑えることができる。

    ノアやヴォクシーでそのまま運搬

    身長135cmから185cmまで1台で対応
    家族で1台を共有できるよう、ドライビングポジションを簡単に変更できる機構も盛り込まれた。

    ワンタッチで操作できるペダルスライドとステアリングチルトを採用し、身長135cmから185cmまで対応。子どもが走ったあとに大人が乗るといった使い方を想定している。

    また、レース参戦時には最大15kgのウエイトを搭載できる別売りのウエイトBOXを装着可能。ドライバーに合わせた重量調整を容易に行えるほか、トランスポンダーの装着スペースも設けられている。

    チェーンではなくベルト駆動を採用
    初心者が整備ではなく走行そのものに集中できるよう、メンテナンス性にも工夫が施された。

    駆動方式には一般的なチェーンではなくベルト駆動を採用。チェーンオイルによる汚れをなくし、オートテンショナーによって張り調整も不要とした。

    エンジンには自己充電式バッテリーを内蔵し、別体バッテリーの搭載や充電作業も不要となっている。

    新開発の4ストローク用ダイヤフラム式キャブレターはフロート室を持たず、コーナリング時の横Gによる燃料液面変化の影響を受けにくい構造とした。始動前に燃料をキャブレターへ送るプライマリポンプも装備する。

    初心者を考えた安全性と耐久性
    長期間使用できるよう、リヤシャフトには錆びにくいステンレス材を採用。燃料タンク内部の配管には、ガソリンによる劣化を抑える金属製部品を使用した。

    安全面では、接触時に他車がリヤタイヤへ乗り上げることを抑えるバンパー形状を採用。リヤハブには万一の脱落を防ぐストッパーピンを設けた。

    シートについても、乗り降りする際に手をつく部分を上部に設け、熱を持つマフラーに手が触れにくい形状としている。また、アクセルワイヤーの固定方法にも配慮し、アクセルが開いたままになるトラブルを防ぐ設計とした。

    専用アプリでカートデビューをサポート
    GR KARTでは専用アプリ「GR app」を活用し、購入前の学習から購入後の走行までをサポートする。

    アプリではGR KARTに関する情報に加え、走行に必要な知識を学べる座学コンテンツを提供。利用者登録や「ドライバーパスポート」の取得・管理も行える。

    ドライバーパスポートに対応するカートコースでは、GR KART購入者は別途コースライセンスを取得せずにスポーツ走行を楽しむことができる。ただし、SLカートミーティングのGR KARTレースに参戦する場合には、別途指定されたライセンスが必要となる。

    GR KARTは9月10日から全国36カ所のカートコースと7カ所のGR Garageで販売を開始した。用品やスペアパーツについては楽天市場内の専用ECサイトでも販売する。

    車両価格だけでなく、運搬、保管、整備、家族での共有といったレーシングカートを所有する際のハードルそのものを下げることを狙ったGR KART。GRが掲げるモータースポーツの裾野拡大に向け、新たなエントリーモデルとして展開される。

  • アービッド・リンドブラッド F1初開催マドリンクを警戒「マカオとジェッダに近い」

    アービッド・リンドブラッド F1初開催マドリンクを警戒「マカオとジェッダに近い」

    アービッド・リンドブラッドが、2026年F1第14戦スペインGPに向けて、初開催となるマドリンクの難しさを語った。シミュレーターですでにコースを走ったリンドブラッドは、その特徴をマカオやジェッダに例え、ドライバーが休む暇のないテクニカルなレイアウトだと分析している。

    前戦イタリアGPでは8位入賞を果たしたリンドブラッド。モンツァでポイント圏内に戻ったことを自信につなげながら、未知の市街地コースでは金曜日から走行時間を最大限に活用することが重要になると考えている。

    モンツァでの入賞を自信に
    「モンツァでポイント圏内に戻れたのは素晴らしかった。今週末のマドリードを皮切りに、これからのレースに向けて自信になる」

    「素晴らしい都市で、全員にとって新しいサーキットを走れるのはエキサイティングだ。いいレースになって、ファンにも楽しんでもらえればと思う」

    リンドブラッドはイタリアGPで8位に入り、レーシングブルズに貴重なポイントをもたらした。スペインGPでは角田裕毅とともに、引き続きレーシングブルズのVCARB 03をドライブする。

    シミュレーターで走行「かなり激しい」
    マドリンクについては、すでにシミュレーターで事前準備を進めている。リンドブラッドが比較対象として挙げたのは、マカオとF1サウジアラビアGPの舞台であるジェッダだ。

    「シミュレーターでコースを走ったけど、かなり激しい。最も近い比較対象として思い浮かぶのはマカオとジェッダだ。コーナーが多く、休める時間がほとんどないので、ステアリングを握っている間は常に忙しい」

    「非常にテクニカルなレイアウトなので、チームにとってもドライバーにとっても大きなチャレンジになる。学ばなければならないこと、取り組まなければならないことがたくさんある」

    アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム) マドリンク

    追い抜きの難しさも予想
    さらにリンドブラッドは、マドリンクではオーバーテイクが難しくなる可能性も指摘した。長いストレートが少ないことから、予選でできるだけ前のグリッドを確保することが重要になるとみている。

    「長いストレートがあまりないので、オーバーテイクも難しくなりそうだ」

    「だからこそ、週末の最初から走行時間を最大限に活用し、できる限り多くのデータを集めて、強い結果を争える最高の状態で予選を迎えることが本当に重要になる」

    全チーム、全ドライバーが同じスタートラインに立つ初開催のマドリンク。リンドブラッドはモンツァでの入賞を勢いに変え、マカオやジェッダを思わせるというテクニカルなコースを攻略して、F1スペインGPでの連続入賞を狙う。

  • セバスチャン・ベッテル F1最年少王者記録更新へ進むアントネッリに「喜んで譲る」

    セバスチャン・ベッテル F1最年少王者記録更新へ進むアントネッリに「喜んで譲る」

    セバスチャン・ベッテルは、自身が16年間にわたって保持しているF1最年少ワールドチャンピオン記録を、キミ・アントネッリが更新する可能性について「喜んで彼に譲る」と語った。

    2026年のF1世界選手権でランキング首位を独走するアントネッリは、前戦イタリアGPで19番グリッドから歴史的な逆転優勝を飾り、今季7勝目を獲得。ランキング2位のジョージ・ラッセルに66ポイント差をつけており、20歳での初タイトル獲得に向けて大きく前進している。

    ベッテルが16年間保持するF1最年少王者記録
    現在のF1最年少ワールドチャンピオン記録を持つのはベッテルだ。

    1987年7月3日生まれのベッテルは、レッドブル・レーシング時代の2010年11月14日に初のF1ワールドチャンピオンを獲得。当時の年齢は23歳4カ月11日だった。

    2006年8月25日生まれのアントネッリは、2026年8月に20歳になったばかり。今季中にタイトルを獲得すれば、ベッテルの記録を3年以上も更新することになる。

    仮に2026年のタイトル争いが最終戦まで持ち越されたとしても、12月6日の時点でアントネッリは20歳3カ月12日。ベッテルが保持する記録を大幅に塗り替えることになる。

    イタリアGP終了時点でアントネッリはラッセルに66ポイント差をつけており、残り最大10戦という状況で大きなリードを築いている。

    「記録は破られるためにある」
    16年間守ってきた記録を失うことについて、ベッテルに複雑な思いはないようだ。

    アントネッリに記録を更新されることをほろ苦く感じるかと尋ねられたベッテルは「いや」と否定した。

    「彼のためにとても嬉しく思うよ。彼は信じられないような一年を過ごしているし、『記録は破られるためにある』という昔からの言葉もある」

    「彼には、それを成し遂げるための年月がまだたくさん残されている」

    2022年限りでF1を引退したベッテルは、現在は一人のファンとしてタイトル争いを見守っていると説明。一方で、アントネッリだけが抜け出すのではなく、ライバルたちが再び争いに加わる展開も期待しているという。

    「僕はこのスポーツが大好きだから、観客として見ていてとてもエキサイティングだ。他のみんなにも追いついて、もっと争いに加わってほしいと思っている」

    「でも、僕はある意味では独立した立場だから、彼らのことを素直に喜べる。そこに到達するために、どれだけ多くの仕事が必要なのかを知っているからね」

    「そして、最終的に誰が勝ったとしても、その人がタイトルにふさわしいと思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    F1史上最年少ワールドチャンピオン記録
    現在のF1史上最年少ワールドチャンピオン記録は以下の通り。

    1位 セバスチャン・ベッテル(2010年)23歳4カ月11日
    2位 ルイス・ハミルトン(2008年)23歳9カ月26日
    3位 フェルナンド・アロンソ(2005年)24歳1カ月27日
    4位 マックス・フェルスタッペン(2021年)24歳2カ月12日
    5位 セバスチャン・ベッテル(2011年)24歳3カ月6日
    6位 マックス・フェルスタッペン(2022年)25歳0カ月9日
    7位 フェルナンド・アロンソ(2006年)25歳2カ月23日
    8位 セバスチャン・ベッテル(2012年)25歳4カ月22日
    9位 エマーソン・フィッティパルディ(1972年)25歳8カ月29日
    10位 ミハエル・シューマッハ(1994年)25歳10カ月10日

    アントネッリが2026年に初のF1ワールドチャンピオンに輝けば、このランキングのトップに20歳という圧倒的な若さで名前を刻むことになる。16年間にわたって破られていないベッテルの記録が更新される日は近づいているが、当のベッテルは、その瞬間を歓迎する構えだ。

  • 角田裕毅 F1スペインGPで連続入賞へ「自信を持って限界まで攻めたい」

    角田裕毅 F1スペインGPで連続入賞へ「自信を持って限界まで攻めたい」

    角田裕毅が、2026年F1第14戦スペインGPに向けて意気込みを語った。前戦イタリアGPで10位入賞を果たした角田裕毅は、その勢いをマドリードに持ち込み、レーシングブルズでさらなるポイント獲得を目指す。

    角田裕毅にとってレーシングブルズのVCARB 03をドライブするのは3戦連続となる。全ドライバーにとって未知のマドリンクが舞台となるなか、まずはマシンへの理解をさらに深め、最大限のパフォーマンスを引き出すことを目標に掲げた。

    イタリアGPの入賞で自信
    「特に先週末にポイントを獲得できた直後ということもあり、VCARB 03をドライブする機会をもう一度得られて、とても楽しみにしています」

    「ポジティブな結果でしたし、自信を積み上げるうえでも素晴らしい形になりました。その勢いを持って、チームと一緒にもう一戦戦えることを楽しみにしています」

    角田裕毅は、夏休み中のトレーニングで左手首を負傷したアイザック・ハジャーの欠場に伴うドライバー変更により、オランダGPからレーシングブルズのレースシートに復帰。復帰2戦目となったイタリアGPでは10位でフィニッシュし、今季初ポイントを獲得した。

    角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    未知のマドリンク「準備がたくさん必要」
    スペインGPの舞台となるマドリンクは、F1にとって初開催となる新しいコースだ。さらに市街地コースという特徴もあり、角田裕毅は限界まで攻めるためには、走行を重ねながら自信を構築することが重要になると考えている。

    「マドリンクは全員にとって新しいサーキットですし、市街地コースということで、さらに複雑さが加わります」

    「こういうサーキットで本当にプッシュして限界を見つけるために必要な自信を築いていくには、たくさんの準備が必要になります」

    「僕の目標は、できる限り多くのことを学び続け、マシンへの理解をさらに深めていくことです。そうすることで、チームのために最大限のパフォーマンスを引き出したいと思っています」

    「すべてをうまくまとめて、またポイントを獲得できればと思います」

    前戦モンツァで結果につなげた角田裕毅にとって、スペインGPはレーシングブルズ復帰後の流れをさらに確かなものにする機会となる。未知の市街地コースでVCARB 03への理解を深めながら、2戦連続となるポイント獲得を狙う。

  • シャルル・ルクレール F1事故修理費がランス・ストロールの5倍超

    シャルル・ルクレール F1事故修理費がランス・ストロールの5倍超

    シャルル・ルクレールが2026年のF1シーズンに起こしたクラッシュによる修理費が、推定188万8000ドル(約2億9000万円)に達している。これはランス・ストロールの推定37万5000ドル(約5800万円)の5倍以上にあたり、今季のドライバーで最も高額な事故修理費だという。

    ルクレールはF1イタリアGP決勝でもパラボリカで大クラッシュを喫してリタイア。今季のクラッシュ回数は4回となった。

    一方、今季ノーポイントでモンツァではF1史上初となる通算100回目のQ1敗退を記録したストロールだが、意外にも今季のクラッシュはわずか1回にとどまっている。

    ルクレール188万8000ドル対ストロール37万5000ドル
    事故によるマシン損傷の修理費の推定では、ルクレールが今季ここまで188万8000ドル(約2億9000万円)を積み上げている。

    対するストロールは37万5000ドル(約5800万円)。単純に比較すると、ルクレールの修理費はストロールの約5.03倍となる。

    両者の差はクラッシュ回数にも表れている。ルクレールが今季4回のクラッシュを喫しているのに対し、ストロールはわずか1回だ。

    ストロールは2025年には7回のクラッシュを経験しており、そのうちモナコではルクレールが絡む事故もあった。しかし、2026年は状況が大きく変わっている。

    今季のストロール唯一のクラッシュはF1モナコGP決勝60周目、アントニー・ノゲで発生したものだった。

    ストロール自身は路面状態が原因だったとはしていないものの、その場所では路面が荒れており、ウォールに滑り込む直前には右フロントタイヤに大量のタイヤかすが付着している様子も確認されていた。

    それ以外のリタイアはいずれもメカニカルトラブルによるもので、F1ベルギーGPのフリー走行ではグラベルに飛び出したものの、大きなクラッシュには至っていない。

    ルクレールは今季すでに4回クラッシュ
    一方、ルクレールはモンツァ以前にも3回のクラッシュを経験していた。

    F1モナコGPでは予選Q3でクラッシュ。さらに決勝66周目にも事故を起こしており、これはストロールがアントニー・ノゲでクラッシュしたわずか数周後だった。

    その後、バルセロナで行われたF1スペインGPの予選でもマシンをクラッシュさせている。

    そして4回目となったのが、F1イタリアGP決勝での大事故だった。

    ルクレールは決勝序盤、オスカー・ピアストリとポジションを争うなか、パラボリカ出口でSF-26のリアを失った。マシンは高速でグラベルを横切り、そのままタイヤバリアに激突した。

    衝撃は約60Gに達し、レースは赤旗中断となった。

    233km/hで発生したモンツァの大クラッシュ
    モンツァでの事故については、SF-26のテレメトリーデータから事故直前の状況も明らかになっている。

    ルクレールはパラボリカ出口で233km/hに達していた。注目されるのは、その際のアクセル操作だ。

    事故直前にはアクセル開度を2度にわたって100%から90%未満まで落としており、2度目には83%まで低下していたという。

    この時点でルクレールはピアストリの前方にいたが、相手に十分なスペースを残すために通常とは異なるラインを取る必要があった。

    その状態から再びフルスロットルに戻した際、SF-26は理想的なラインから外れ、排水用のグレーチング方向へ向かっていた。同時にリアタイヤもグリップの限界付近にあり、こうした要因が重なったことでリアが急激にブレイクしたとみられている。

    推定では、このモンツァでのクラッシュは2026年シーズンで2番目に高額な単独事故となった。

    今季ここまで最も高額な修理費が発生したとみられているのは、F1マイアミGPでピエール・ガスリーが起こした横転を伴う大クラッシュだ。

    ただし、シーズンを通じた累計ではルクレールが188万8000ドルに達し、事故による修理費でグリッド最多となっている。

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)とランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ノーポイントのストロールより5倍以上の修理費
    この数字が際立つのは、比較対象となるストロールが2026年に厳しいシーズンを送っているためでもある。

    ストロールは今季ここまでノーポイント。さらにF1イタリアGPではQ1敗退を喫し、現在の3セッション制の予選が導入されて以降、史上初めて通算100回のQ1敗退を記録したドライバーとなった。

    それでも、クラッシュという一点ではストロールの方がはるかに少ない。

    ルクレールの4回に対してストロールは1回。事故修理費でも約2億9000万円に達するルクレールに対し、ストロールは約5800万円にとどまっている。

    ルクレールにとって今季は結果面でも厳しい状況が続く。チームメイトのルイス・ハミルトンは2026年シーズンで唯一、ここまで全レースの全周回を走破しているドライバーだが、ルクレールは3度チェッカーフラッグまで到達していない。バルセロナではリタイアしながらも完走扱いとなった。

    両者のポイント差も36ポイントまで広がっている。

    予算制限下のフェラーリにも痛手
    事故による修理費は、予算制限が設けられている現在のF1ではチームにとって無視できない問題となる。

    2026年のコストキャップは2億1500万ドル。ルクレールの事故によって発生したと推定される188万8000ドルは、その枠組みのなかで本来ならマシンの開発などに振り向けられた可能性のある資金でもある。

    特にシーズン後半は、限られた予算をどこに投入するかが重要になる。フェラーリがSF-26の開発を続けるなか、モンツァで新たに発生した大規模な修理費は歓迎できるものではない。

    今季ノーポイントのストロールがクラッシュを1回に抑え、修理費も推定37万5000ドルにとどまる一方、ルクレールは4回の事故で188万8000ドル。5倍以上という両者の差は、ルクレールが苦戦する2026年シーズンを別の角度から示す数字となっている。

  • オスカー・ピアストリ F1イタリアGPで“転機” F1TV記者「今季初めて本来の走り」

    オスカー・ピアストリ F1イタリアGPで“転機” F1TV記者「今季初めて本来の走り」

    オスカー・ピアストリにとって、2026年F1第13戦イタリアGPは今季の転機となるレースだったのかもしれない。F1TVのローレンス・バレットは、モンツァでのピアストリについて、今季初めてマクラーレンのマシンで「自分ができると分かっている走り」ができたように感じたと指摘した。

    2026年の新レギュレーションへの適応に苦しんできたピアストリだが、イタリアGPでは予選でリアム・ローソンを妨害したとして3グリッド降格ペナルティを受けながら、決勝では5位まで挽回。

    終盤にはチームメイトのランド・ノリスと激しい4位争いを繰り広げ、最終的には敗れたものの、レース後には自身のパフォーマンスに前向きな手応えを示していた。

    2026年で初めて見えたピアストリ本来の走り
    ピアストリは今季、マクラーレンMCL40から安定してパフォーマンスを引き出すことに苦戦してきた。特にレースペースは本人も課題として認めており、ブレーキングスタイルがエネルギーマネジメントにも影響を及ぼしているとされている。

    その一方で、ノリスはハンガリーGPとオランダGPで優勝。チームメイトが結果を積み重ねるなか、ピアストリにとってモンツァは重要な週末になっていた。

    F1TVのレポーターとしてシーズンを通してピアストリを取材してきたバレットは、『F1 Nation』で、その表情や言葉にこれまでとは異なるものを感じたと語った。

    「オスカーにとって非常に大きな週末だった。彼自身も本当に必要としていたと思う。ランドはハンガリーとザントフォールトで2勝を挙げていたからね」

    「才能が突然なくなるわけではない。だから、彼にとって重要な週末だったと思う。金曜日から感触が良かった。それが非常に重要だったと思う」

    「予選では徐々に調子を上げて、ポールポジション争いに加われるところまで来ていた」

    ピアストリは予選Q2でローソンを妨害したとして3グリッド降格を科され、決勝ではノリスより後方からスタート。それでも順位を上げ、終盤にはノリスと直接対決するところまで追い上げた。

    2人の争いではノリスが一時コース外の芝生に出る場面もあったが、ピアストリはポジションを守る権利を持ちながらフェアにバトルした。最終ラップにノリスの先行を許し、4位と5位でチェッカーを受けた。

    「今日のレースでの彼の対処の仕方は印象的だった」とバレットは続ける。

    「TVペンで話したとき、コース上ではまたチームメイトに負けたにもかかわらず、自分自身のレースの進め方や、非常にフェアにバトルできたことにかなり満足していた」

    そして、バレットが最も大きな変化として挙げたのが、ピアストリがMCL40を自分の望むようにドライブできているように見えたことだった。

    「彼は今年、自分にはできないのではないかと個人的には心配していたかもしれないような方法で、マシンをドライブすることができた」

    「まだひとつのサーキットにすぎないから、あまり興奮しすぎるつもりはない。ただ、今年ずっと彼と話してきた僕にとっては、オスカーがこのマクラーレンで、自分ができると分かっていることをできたと感じたのは初めてだった」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    ノリスに敗れても得られた手応え
    結果だけを見れば、ピアストリはイタリアGPでもノリスの後塵を拝した。しかし、モンツァで重要だったのは5位という順位以上に、2026年型マシンを自分のスタイルで操れる感覚をつかみ始めたことだった。

    ピアストリは2026年シーズンを通じて新世代F1マシンへの適応という課題と向き合ってきた。モンツァだけで復調を断定することはできないものの、金曜日から競争力を示し、予選ではポール争いが視野に入るペースを発揮。決勝でもノリスと直接争えるところまで持ち込んだ。

    次戦F1スペインGPの舞台となるマドリンクは、全ドライバーにとって未知の新コースとなる。イタリアGPで得た感触を異なる特性のサーキットでも再現できれば、モンツァはピアストリにとって2026年シーズンの転機だったと振り返られる一戦になるかもしれない。