アウディF1がピットストップで目覚ましい進歩を遂げている。オランダGPとイタリアGPでは2戦連続でレース最速のピットストップを記録。その改善を支えている人物として、レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、元レッドブルのリー・スティーブンソンの存在を挙げた。
スティーブンソンはレッドブルで長年にわたって経験を積み、マックス・フェルスタッペンのチーフメカニックまで務めた人物だ。
現在はアウディのチームマネージャーに昇格し、ガレージ内のオペレーション構築で重要な役割を担っている。
レッドブルでフェルスタッペンを支えたスティーブンソン
リー・スティーブンソンはレッドブルの組織内でキャリアを重ね、最終的にはフェルスタッペン担当のチーフメカニックを務めた。
その後、ザウバーがアウディの2026年F1参戦に向けて準備を進めるなかでチームに加入。現在はチームマネージャーへと昇格している。
これはレッドブルでジョナサン・ウィートリーが担っていたものに近い役割だ。ウィートリーの在籍時代、レッドブルのピットクルーはF1でも屈指の存在として知られ、ピットストップの世界記録も保持していた。その記録は2023年F1カタールGPでマクラーレンがランド・ノリスを1.80秒で送り出すまで破られなかった。
アウディの現在の姿は、わずか数年前とは大きく異なる。
2024年にはホイールナットに関連する技術的な問題を抱え、ピットストップで大幅にタイムを失うケースがあった。しかし、現在ではオランダGPとイタリアGPで2戦続けてレース最速のピットストップを記録するまでに改善している。
「同じメンバーが非常に安定して結果を出している」
マクニッシュは、当時の問題について人的なミスではなく、技術的な要因が大きかったと説明する。
「技術的な問題だった。実際、それは2024年のことで、当時は技術的な問題だった」
そのうえで、ピット作業の改善は昨年末から今年初めにかけて継続的に進めてきた取り組みの成果だと語った。
「この部分については、昨年末から今年初めにかけて本格的に取り組んできた。チームという意味では、昨年我々のところに来たリーが、何をする必要があるのかをよく理解していた」
「結局のところ、そこにいるのはほぼ同じメンバーだ。そして今では非常にうまく、安定して仕事をしている」
マクニッシュが特に評価しているのは、単発で速いピットストップを記録しているだけではない点だ。
「ザントフォールトでも最速だった。それに、私の立場から見て重要なのは、必ずしもひとつのストップだけではないということだ」
「複数回のストップがあるときも、すべてのストップがいい。だから、そこでチームは非常にうまく機能している」

僅差の中団争いではピット作業も大きな武器
現在のF1では中団勢のパフォーマンス差が非常に小さく、わずかなピットストップの差が順位を左右する可能性がある。
マクニッシュは、だからこそピットクルーの改善がアウディにとって重要な武器になると強調した。
「我々にとっても重要なことだ。レースでは得られるアドバンテージをすべて引き出さなければならない」
「中団では大きな差があるわけではない。彼らは間違いなく、ドライバーがレースからより多くのものを引き出すための機会を提供してくれている」
一方で、マクニッシュは、レッドブルで培われたスティーブンソンのノウハウをアウディが単純に持ち込んだわけではないとも説明する。
「彼の強みをそのまま受け継いだとは言わない。我々自身で発展させてきたものだと思う」
「ただ、結局のところ、リーがチームに加わった理由のひとつは、ガレージ内のチームを作り上げることだった」
そして、その成果はピットストップのタイムだけではなく、ガレージ全体の仕事ぶりにも表れているという。
「彼と、そこにいるチームは非常にいい仕事をしていると思う。今の彼らを見れば、ピットストップだけでなく、マシンに対するすべての作業の進め方が分かる。本当にいい光景だ」
2024年にはピット作業の技術的トラブルに苦しんでいたチームが、アウディF1として迎えた2026年には2戦連続で最速ピットストップを記録するまでになった。フェルスタッペンをガレージから支えてきたスティーブンソンの経験と、既存スタッフを生かしたチーム作りが、僅差の中団争いでアウディの新たな強みになりつつある。
