ランス・ストロールが、2026年F1イタリアGPの決勝中にアストンマーティンのレースエンジニアへ「目を覚ませ!」と怒りをぶつけていたことが、テレビでは放送されなかったチーム無線から明らかになった。
ストロールはモンツァでエネルギーマネジメントとパワー不足に苦しみ、順位を落とした末、油圧系のトラブルによって27周目にマシンを止めた。アストンマーティンにとってはフェルナンド・アロンソもリタイアとなり、厳しいダブルDNFの週末となった。
「いつも言うのが遅すぎる」ストロールが無線で激怒
問題のやり取りは、レース序盤のリスタート後に起きた。
モンツァではアストンマーティンの直線での弱さが顕著となっており、ストロールはパラボリカからの加速でセルジオ・ペレスのキャデラックに引き離される場面もあった。
その後、メインストレートでアレクサンダー・アルボンのウィリアムズを抜いた際、ストロールはバッテリーに問題があることを無線で報告した。
「バッテリー……」
これに対し、レースエンジニアのゲイリー・ギャノンは設定変更を指示した。
「モード9、モード9」
しかし、アルボンが再び勢いを取り戻してターン1への進入でストロールを抜き返すと、ギャノンは再度指示を伝えた。
「できるときにモード9。集団についていくためだ」
ストロールは、そのタイミングの遅さに強い苛立ちを示した。
「いつも僕に言うのが遅すぎる! まったく、目を覚ませよ!」
順位を落とした背景にエネルギー不足
ストロール自身もレース後、リスタート後に順位を失った原因のひとつがエネルギーマネジメントだったことを認めている。
何が問題だったのかと聞かれると、ストロールは簡潔に答えた。
「エネルギーの問題だ」
2026年のF1ではパワーユニットの電動領域がこれまで以上に重要となっており、バッテリーから十分な電力を使えない状態ではストレートで大きな不利を背負う。
特にモンツァは長い全開区間を持つ超高速サーキットであり、アストンマーティンが抱えているパワー面の弱点が表面化しやすいコースだった。
予選でもアロンソが21番手、ストロールが22番手に沈み、チームは最後列から決勝をスタートしている。

「もっとパワーが必要」ホンダPUの不足を改めて指摘
ストロールはレース後、モンツァがアストンマーティンにとって難しい週末になることは予想していたかと問われ、ホンダ製パワーユニットを含めたパワー不足に言及した。
「そうですね、間違いなく。ホンダのこともあるし、とにかくパワーが足りないんだ」
さらに、今回のイタリアGPから何を学べるかとの質問には笑いながら答えた。
「もっとパワーが必要だ! それは分かっている。僕たちは分かっているよ。今回もそれを証明しただけだ」
アストンマーティンは前戦オランダGPで2026年シーズン2度目となるポイント獲得を果たしていたが、モンツァでは再び直線速度不足という根本的な課題に直面した。
27周目には油圧トラブルでストップ
ストロールのレースは、最終的に別の機械的トラブルによって終わった。
27周目、ギャノンはストロールにマシンを安全な場所へ止めるよう指示した。
「マシンを止めろ、ランス。止めるんだ。油圧系の問題がある。シフト操作はしないでくれ。ペダルは長くなり、ステアリングも重くなる。安全な場所に止めてくれ」
ストロールは指示に従ってマシンを停止。アストンマーティンはアロンソもマシンダメージによってレースを終えており、2台そろって完走できなかった。
F1スペインGPでは改善を期待
一方、ストロールは次戦F1スペインGPの舞台となるマドリンクについては、アストンマーティンにより適したレイアウトになる可能性があるとみている。
「紙の上では、僕たちにはもっと良さそうだ。コーナーが多いからね」
「すごく単純なんだ。コーナーが多くてストレートが少ない場所は僕たちに向いている。長いストレートが多くてコーナーが少ない場所は、あまり良くない」
モンツァで露呈したエネルギー不足と直線でのパワー不足は、ストロールがエンジニアに怒りを爆発させた無線の背景にもなっていた。アストンマーティンにとって、よりコーナーの多いマドリンクでどこまで弱点を隠し、競争力を取り戻せるかが次の焦点となる。
