GAZOO Racing(GR)は9月10日、入門用レーシングカート「GR KART」を国内で発売した。メーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。全国36拠点のカートコースと7拠点のGR Garageで販売を開始し、今後順次拡大する。
GR KARTは、子どもやファミリー層がモータースポーツに触れる入口を広げることを目的に開発された。ノアやヴォクシーで運搬でき、立てた状態で保管することも可能。
さらに身長135cmから185cmまで対応するポジション調整機構を備え、子どもから大人まで家族で1台を共有できることも特徴となっている。
モータースポーツへのハードルを下げる「GR KART」
レーシングカートは、マシンを操る楽しさをダイレクトに体感でき、F1をはじめとするトップカテゴリーで活躍する多くのレーシングドライバーがキャリアの第一歩として経験している。
一方、個人で始めるには車両価格だけでなく、運搬用車両や保管場所、日常的な整備などが必要となり、初心者にとってハードルが高い側面もある。
GRは、こうした負担を減らし、より多くの人がモータースポーツに挑戦できる環境をつくることを目指してGR KARTを開発した。
モリゾウことトヨタ自動車会長の豊田章男は、野球やサッカーのようにモータースポーツも、より多くの人が挑戦できるものにしたいとの思いを持ち続けてきたという。
GRは「クルマ屋がつくるカート」として、自動車開発で培った知見や工夫をGR KARTに投入。生産は「蒲郡GR KART工房」が担当し、TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)の考え方を取り入れながら品質確保や工程改善、原価低減を進める。

価格は38万5000円
GR KARTのメーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。入門者が購入しやすい価格を目指すだけでなく、購入後の整備や調整にかかる手間を減らし、長期間使用できるよう耐久性にも配慮した。
全長は1,820mm、全幅1,160mm、全高670mm、ホイールベース1,045mm。車両重量は83kgで、総排気量215ccのエンジンを搭載する。
一般公道を走行することはできず、カートコースなどのクローズドコースおよび競技での使用を前提とした専用車両となる。
ノアやヴォクシーでそのまま運搬
GR KARTが特に重視したのが運搬と保管のしやすさだ。
車体は分解することなくノアやヴォクシーに積載できるサイズとされ、大型の専用トランスポーターを用意せず、普段使用しているミニバンでカートコースまで運べる。
保管時には車体を立てることも可能。立置き対応のエンジンオイルキャッチタンクや、フロート室を持たないダイヤフラム式キャブレターを採用したほか、燃料が漏れにくい給油口の向きとすることで、ガソリンやエンジンオイルを入れた状態でも立置きできる構造とした。
別売りの立置き台車も用意され、自宅などで必要となる保管スペースを抑えることができる。

身長135cmから185cmまで1台で対応
家族で1台を共有できるよう、ドライビングポジションを簡単に変更できる機構も盛り込まれた。
ワンタッチで操作できるペダルスライドとステアリングチルトを採用し、身長135cmから185cmまで対応。子どもが走ったあとに大人が乗るといった使い方を想定している。
また、レース参戦時には最大15kgのウエイトを搭載できる別売りのウエイトBOXを装着可能。ドライバーに合わせた重量調整を容易に行えるほか、トランスポンダーの装着スペースも設けられている。
チェーンではなくベルト駆動を採用
初心者が整備ではなく走行そのものに集中できるよう、メンテナンス性にも工夫が施された。
駆動方式には一般的なチェーンではなくベルト駆動を採用。チェーンオイルによる汚れをなくし、オートテンショナーによって張り調整も不要とした。
エンジンには自己充電式バッテリーを内蔵し、別体バッテリーの搭載や充電作業も不要となっている。
新開発の4ストローク用ダイヤフラム式キャブレターはフロート室を持たず、コーナリング時の横Gによる燃料液面変化の影響を受けにくい構造とした。始動前に燃料をキャブレターへ送るプライマリポンプも装備する。
初心者を考えた安全性と耐久性
長期間使用できるよう、リヤシャフトには錆びにくいステンレス材を採用。燃料タンク内部の配管には、ガソリンによる劣化を抑える金属製部品を使用した。
安全面では、接触時に他車がリヤタイヤへ乗り上げることを抑えるバンパー形状を採用。リヤハブには万一の脱落を防ぐストッパーピンを設けた。
シートについても、乗り降りする際に手をつく部分を上部に設け、熱を持つマフラーに手が触れにくい形状としている。また、アクセルワイヤーの固定方法にも配慮し、アクセルが開いたままになるトラブルを防ぐ設計とした。
専用アプリでカートデビューをサポート
GR KARTでは専用アプリ「GR app」を活用し、購入前の学習から購入後の走行までをサポートする。
アプリではGR KARTに関する情報に加え、走行に必要な知識を学べる座学コンテンツを提供。利用者登録や「ドライバーパスポート」の取得・管理も行える。
ドライバーパスポートに対応するカートコースでは、GR KART購入者は別途コースライセンスを取得せずにスポーツ走行を楽しむことができる。ただし、SLカートミーティングのGR KARTレースに参戦する場合には、別途指定されたライセンスが必要となる。
GR KARTは9月10日から全国36カ所のカートコースと7カ所のGR Garageで販売を開始した。用品やスペアパーツについては楽天市場内の専用ECサイトでも販売する。
車両価格だけでなく、運搬、保管、整備、家族での共有といったレーシングカートを所有する際のハードルそのものを下げることを狙ったGR KART。GRが掲げるモータースポーツの裾野拡大に向け、新たなエントリーモデルとして展開される。
