カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • マクラーレンF1代表 フェルスタッペンの「2026年マシンは簡単」説に反論

    マクラーレンF1代表 フェルスタッペンの「2026年マシンは簡単」説に反論

    2026年F1ではチームメイト間のタイム差が従来以上に小さくなっている。

    マックス・フェルスタッペンは、新世代マシンではドライバーが限界を見つけやすくなったことが理由だと分析する一方、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは「むしろ運転は難しくなっている」と異なる見方を示した。

    第12戦オランダGPでは、負傷したアイザック・ハジャーに代わってレッドブル・レーシングをドライブしたリアム・ローソンが、予選でフェルスタッペンからわずか0.115秒差につけた。レーシングブルズから今季初出場を果たした角田裕毅も、レギュラーのアービッド・リンドブラッドに接近。この結果が、2026年F1マシンにおけるドライバー間の差について新たな議論を呼んでいる。

    フェルスタッペン「今のマシンは限界を見つけるのがずっと簡単」
    フェルスタッペンは、特に予選では2026年型マシンの特性によってドライバーがパフォーマンスの上限に到達しやすくなっていると考えている。

    「特に予選ではそうだと思う。今のマシンでは限界を見つけるのがずっと簡単になっている。かなり多くの場所でバッテリーも不足するから、すべてをまとめることも少し簡単になる」

    「以前のマシンと比較して、今週末はそれがかなりよく表れていたと思う。僕にとっては驚きではない」

    フェルスタッペンは、これによってチームメイトのパフォーマンスそのものを過小評価すべきではないとも強調している。オランダGPで代役を務めたローソンについて「今週末は非常に堅実な仕事をした」と評価した。

    一方で、2026年シーズンを通じてドライバー間のタイム差そのものが縮小していることは明確だと指摘する。

    「今季ずっとそうなっていると思う。誰もが常に0.1秒、0.2秒以内にいる。本当に悪い予選だったとしても0.3秒くらいだ。差はいつもものすごく小さい」

    「裕毅を見ても分かる。乗ってすぐにそこにいる」

    角田裕毅はオランダGPで今季初めてレーシングブルズのVCARB-03をドライブし、予選Q2ではリンドブラッドとの差を0.102秒まで縮めた。異なるマシンへの即時適応という点でも、フェルスタッペンにとっては自身の見方を裏付ける例となった。

    アンドレア・ステラ(マクラーレン)

    ステラは反論「2026年F1マシンは運転が難しい」
    しかし、ステラはチームメイト間の差が縮まっていることを、マシンが運転しやすくなった証拠とは捉えていない。

    マクラーレンではランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両ドライバーから、2026年型マシンは扱いが難しいというフィードバックを受けているという。

    「他のチームについては分からないが、我々の2人のドライバーは、このマシンを運転が難しいマシンだと分類している」

    「昨年は2人のドライバー間のばらつきがはるかに小さかった。今年はドライバーが少し後手に回るだけで、その差が大きくなることがある」

    ステラが難しさの理由として挙げたのは、2026年に導入されたシャシーとパワーユニット双方の新レギュレーションだ。

    「いくつかの理由から運転が難しい。シーズン序盤はコーナーで、それからストレートでも難しさがあった」

    「コーナーではグリップが低く、ダウンフォースも大幅に少なく、タイヤも小さい。ストレートではエネルギーデプロイメントの一貫性がなかったり、ブレーキング直前に突然スーパークリップが発生したりする。それによってブレーキングの基準を失ってしまう」

    ここでいう「スーパークリップ」は、電気エネルギーの供給が急激に制限され、ストレートで突然加速力が落ちる状態を指す。2026年のF1では電動側の出力とエネルギー管理の重要性が大幅に増しており、その挙動がドライバーのブレーキングポイントにも影響する。

    「あるいは、もっと早くアクセルを踏んだのに、その結果として後でデプロイメントを失うこともある。そうしたさまざまな側面から、今年のマシンは運転がより難しくなっている」

    「以前のF1マシンの方が簡単だった」
    ステラは、シーズンが進むにつれてドライバーとエンジニアが2026年型パワーユニットのエネルギーマネジメントを理解し、扱い方を改善してきたことは認めている。

    ただし、それはマシンそのものが簡単になったことを意味しないという。

    「すべてのチームがダウンフォースを追加してきたとしても、ブレーキングでどんな問題が起きるのか、あるいはトラクションをかけたときにマシンが突然スナップするのかをドライバーが予測するのは非常に難しい」

    「前世代のマシンには空力的にはるかに大きな荷重があり、タイヤから得られるグリップもはるかに大きかった。以前の方が簡単だった」

    同じ「僅差」でもフェルスタッペンとステラで異なる解釈
    両者が共通して認めているのは、2026年F1ではドライバー間のタイム差が極めて小さいという点だ。ただし、その理由についての解釈は正反対に近い。

    フェルスタッペンは、2026年型マシンでは限界を把握してラップをまとめやすくなり、ドライバーがパフォーマンスの上限に到達しやすくなった結果として差が縮まったとみている。

    一方のステラは、低ダウンフォース、小型タイヤ、エネルギーデプロイメントなど複数の要素によってマシンはむしろ予測しにくくなっており、シーズンを重ねるなかでドライバー側がその複雑さへの対処を習得してきたと分析する。

    ローソンが初週末からフェルスタッペンに0.115秒まで迫り、角田裕毅もリンドブラッドから0.102秒差につけたオランダGPは、その議論を象徴する週末となった。2026年F1でチームメイト間の差が縮まっている背景が「マシンの限界を引き出しやすくなったから」なのか、それとも「複雑なマシンへの適応が進んだから」なのか。フェルスタッペンとステラは、同じタイム差から異なる結論を導き出している。

  • マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、メルセデスがライバルと同じペースでマシン開発を進めるための資金が不足しているというトト・ヴォルフの主張に疑問を呈した。

    2026年F1シーズン序盤に圧倒的な強さを見せたメルセデスだが、フェラーリやマクラーレンが積極的なアップデート攻勢を仕掛けるなか、勢力図は変化している。オランダGP後、ヴォルフはメルセデスにはライバルと同じように開発パーツを投入するための「金がない」と説明したが、ステラは額面通りには受け取っていない。

    メルセデスは序盤6連勝から失速
    メルセデスはシーズン開幕から6戦連続で勝利を挙げたものの、その後の6戦では2勝にとどまっている。その間にフェラーリとマクラーレンがそれぞれ2勝を挙げ、トップ争いは大きく接近した。

    特にフェラーリとマクラーレンは今季、積極的なアップデート戦略を採用しており、直近のレースでも新パーツを投入している。レッドブル・レーシングもメルセデス以上のペースで2026年型マシンの開発を続けてきた。

    一方、メルセデスが最後に大規模なマシンアップデートを投入したのは5月のカナダGPだった。次の大型開発パッケージは10月初旬のマレーシアGPで投入される予定とされている。

    オランダGPではランド・ノリスがマクラーレンを勝利に導き、2連勝を達成。こうしたライバル勢の伸長について、ヴォルフは開発資金の配分が影響していると説明した。

    「マシンに開発パーツを投入するための金がない」とヴォルフは語った。

    「シーズンを通じて均等に配分しようとしている。最大のアップデートをいつ投入できるか、そしてチャンピオンシップのポイントをどう最適化できるかという我々の計算に基づいている」

    「だが、できることをやるしかない。それが開発競争というものだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒の改善がある。それを投入できなければ、その分だけ失うことになる」

    「だから、シーズン序盤に比べれば少し厳しい戦いになっている」

    マクラーレン F1

    ステラ「信じたいが実際には信じていない」
    しかし、マクラーレンを率いるアンドレア・ステラは、メルセデスに開発へ回すリソースがないという説明を疑問視している。

    「信じたいとは思うが、実際には信じていない」とステラは語った。

    「信じていない理由は、2027年のパワーユニット規則のおかげで、すべてのチームがコストキャップの報告において一定の余裕を持つことになるからだ」

    ステラは、ライバルのパフォーマンス向上を目の当たりにしたメルセデスが、すでに開発を加速させているはずだとみている。

    「ライバルたちがレベルを引き上げているのを見て、メルセデスも今、その開発成果を投入しようとしているはずだ。現場では間違いなく進んでいると思う」

    「風洞にあるマシンは、現在サーキットを走っているマシンよりかなり速くなっているはずだ。そして、そのポテンシャルの一部を実車のアップデートへと変換したいと考えているだろう」

    「彼らがアップデートを投入してくることはほぼ間違いないと思っている。もちろん、投入されなければ我々にとってはありがたいが、そんなことは考えたくもない」

    マクラーレンはノリスの2連勝で反撃
    メルセデスが開発ペースを抑える一方、マクラーレンはアップデートによって競争力を大きく引き上げている。

    ランド・ノリスはオランダGPで2戦連続優勝を飾り、自身初のF1ワールドチャンピオンとなった2025年に続くタイトル防衛へ望みをつないだ。ランキング首位との差は83ポイントまで縮まっている。

    ヴォルフはコストキャップ下での予算配分を理由に開発ペースの違いを説明しているが、ステラはメルセデスがこのまま手をこまねいているとは考えていない。シーズン後半のタイトル争いでは、メルセデスが温存してきた開発成果をいつ実戦投入するのかも重要な焦点となりそうだ。

  • マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンは、F1オランダGPでMCL40に投入したアップデートによって単にダウンフォースを増やしただけではない。新たに導入されたフロントホイールとホイールカバーには、フロントタイヤをより効率的に温める狙いがあり、ザントフォールトでの予選パフォーマンスを支える重要な要素となった。

    ランド・ノリスがハンガリーGPに続く2連勝を飾ったことで、マクラーレンの開発が明確な成果を上げていることが示された。

    MCL40は夏休み前後に投入されたアップデートによって不足していた空力荷重を補うと同時に、タイヤを適切な作動温度へ持ち込むという別の課題にも手を入れていた。

    高速かつ長いコーナーで強さを増したMCL40
    マクラーレンの強みはスペインGPですでに表れ、スパではそれまでで最も競争力の高いMCL40が姿を見せていた。

    重要なのは、単純にコーナリングスピードが高いことではない。高速コーナーが長く続き、マシンに継続的な空力荷重が求められる状況になるほどMCL40の競争力が高まる傾向がある。アップデートによって追加されたダウンフォースが、そうした区間で大きな効果を発揮している。

    その改善幅はマクラーレン自身の予想を上回るものだった。特に高速セクションで示した強さはチーム内部の期待以上であり、MCL40は高ダウンフォースを要求されるサーキットで基準となる存在へと変化した。

    しかし、ザントフォールトでの勝利を読み解くうえでは、空力アップデートだけに注目するのは十分ではない。オランダGPでは、フロントタイヤの温度管理を目的とした新しいホイールも投入されていた。

    新フロントホイールの狙いはタイヤ温度
    マクラーレンのテクニカルディレクターのひとりであるニール・ホールディは、オランダGPを前に今回のアップデートについて説明していた。

    「フロア後部に小さな変更を加え、少し追加のダウンフォースを生み出せるようにした。それに加えて、リアブレーキダクトにもいくつか小規模な変更を施している」

    「さらに新しいフロントホイールも導入した。これによってタイヤにより多くの温度を発生させることができる。これらのアップデートはラップタイムという意味では大規模なものではないが、僕たちの競争力を少し高める助けになる」

    この変更が重要なのは、MCL40が今季抱えてきた弱点のひとつに直接働きかけるものだからだ。

    モナコで露呈したフロントタイヤの課題
    アンドレア・ステラ代表はオランダGP後、ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも高いダウンフォースを要求するため、MCL40の特性に適していたと説明した。

    一方で、同じく高ダウンフォース仕様が用いられるモナコでは状況が異なっていた。ステラはモナコGPを前に前年のように優勝争いへ加わることへの期待を隠していなかったが、実際のMCL40は期待されたほどのパフォーマンスを発揮できなかった。

    原因は単純な低速コーナーへの適性ではない。モンテカルロではセットアップの自由度が比較的高く、他のサーキットほど妥協を強いられない。それでもマクラーレンは必要なダウンフォースを十分に確保できず、さらにフロントタイヤを素早く適正温度に入れることにも苦戦した。

    フロントタイヤを十分に機能させられなければグリップを引き出すことができない。同様の傾向はオーストラリアGPや中国GPでも確認されており、MCL40はグレイニングにも苦しんでいた。

    つまりマクラーレンにとって、空力性能の向上とタイヤ温度の管理は別々のテーマではなく、マシン全体のパフォーマンスを引き出すために同時に解決すべき課題だった。

    ザントフォールト予選で表れた効果
    ザントフォールトでも週末を前に懸念されていたのが、フロントタイヤにグレイニングが発生する可能性だった。実際にはグレイニングは比較的限定的だったが、より重要だったのはドライコンディションでタイヤを素早く適正温度まで上げられるかどうかだった。

    その違いは予選Q3最後のアタックで明確に表れた。

    マクラーレンはアタックに入るとすぐにタイヤを機能させ、ランド・ノリスがポールポジションを決めるタイムを記録した。一方、フェラーリをはじめとする一部のライバルはタイヤを十分に温めることに苦戦し、さらに1周を費やして温度を作る必要があった。

    わずかな違いに見えるが、予選ではタイヤをいつピークの状態に持ち込めるかがアタックの成否を左右する。特にザントフォールトのようにタイヤへの要求が厳しいサーキットでは、その差が直接ラップタイムへつながる。

    2026年に再び開発領域となったホイール
    この改善の背景には、F1の技術規則におけるホイール開発の変化もある。今季からホイールの開発自由度が再び広がったことで、各チームにとってタイヤの温度と作動圧力を管理するための新たな開発領域となっている。

    ホイールの構造には、空気の流れ方をコントロールするための空間や形状を設けることができる。それによってホイール周辺を流れる空気を受動的に制御し、ホイール自体の温度、さらにタイヤへ伝わる熱を調整することが可能になる。

    タイヤを直接変更することはできなくても、その周囲の熱環境をコントロールすることで、タイヤを狙った作動領域へ近づけられるというわけだ。

    マクラーレン F1

    エンケイ製フロントホイールと閉じたホイールカバー
    マクラーレンはザントフォールトで、まさにこの領域へ変更を加えた。

    変更されたのは、長年のパートナーである日本のエンケイが製造するフロントホイールだ。新仕様ではホイール内部の温度をより高く維持し、その熱をタイヤへ伝えることでフロントタイヤのウォームアップを促進することを狙っている。

    同時にホイールカバーも変更され、従来より閉じた形状が採用された。外部から入ってくる冷たい空気の影響を抑えることでホイールが冷却されすぎるのを防ぎ、より高い温度を維持しやすくしている。

    興味深いのは、変更がフロントだけに限定されたことだ。

    リアは変更せず 前後で異なる温度管理
    リアホイールについては従来仕様が維持された。これはザントフォールトで各チームがリアタイヤの消耗にも苦しんでいたことと無関係ではない。

    週末を通じて強い風が吹き、マシンは高速コーナーでスライドしやすい状況にあった。こうした場面ではダウンフォースが大きいほどマシンを安定させやすいが、スライドが増えればリアタイヤへの負荷も高まる。

    さらに低速コーナーからの立ち上がりではリアタイヤに大きなトラクション負荷がかかる。そのためリア側については、フロントと同じように積極的に温度を上げる必要性はなかった。

    マクラーレンは前後で異なるタイヤの要求を見極め、ウォームアップに課題を抱えるフロント側だけに変更を集中させたことになる。

    空力だけではないマクラーレンの開発
    MCL40がハンガリーとザントフォールトで示した速さは、高ダウンフォース型サーキットとの相性だけで説明できるものではない。

    夏休み前後のアップデートによって空力荷重そのものを増やす一方、マクラーレンはホイールという細かな領域にも手を入れ、タイヤをより早く適正な作動温度へ入れるための改善を進めている。

    新しいフロントホイールだけで大幅なラップタイム短縮が得られるわけではない。しかし、予選の1周でフロントタイヤを素早く機能させられること、そしてマシンが本来持つダウンフォースを確実にグリップへ変換できることは、僅差のF1では大きな意味を持つ。

    ザントフォールトでの勝利は、MCL40が単にダウンフォースを増しただけではなく、空力とタイヤ温度管理を組み合わせることで、マシン全体の性能をより安定して引き出せるようになったことを示す結果でもあった。

  • ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリスはF1オランダGPで2連勝を飾り、マクラーレンの急速な進歩を印象づけた。しかし、2025年F1王者は自身の好調を額面通りには受け取っていない。

    ドライバーズ選手権首位のキミ・アントネッリとの差は83ポイントまで縮まったものの、現状のMCL40ではシーズンを通じてタイトルを争えるだけの力はないと考えている。

    その最大の理由が低速コーナーでの弱さだ。ハンガリーGPとオランダGPではマクラーレンの大型アップデートが威力を発揮した一方、次戦イタリアGPの舞台モンツァは長いストレートと低速シケインを組み合わせたまったく異なるコース。ノリスだけでなく、チーム代表のアンドレア・ステラもモンツァを今後のタイトル争いを占う重要な試金石と位置づけている。

    2連勝でも「簡単にタイトルを争えるとは言えない」
    ノリスは夏休みを挟んでハンガリーGPとオランダGPを連勝。さらに2戦連続でポールポジションを獲得し、選手権首位アントネッリとの差を83ポイントまで縮めた。

    しかし、ノリス自身は現在の結果だけを見てタイトル争いへの自信を深めているわけではない。

    「『ああ、残りのシーズンは簡単にチャンピオンシップを争える』と言えるほどの自信はない。確かに2戦連続で勝って、2戦連続でポールも獲っている。でも現時点では、チャンピオンシップを争うために必要なマシンを僕は持っていない」

    「かなり大きなことを言っているのは分かっている。でも去年、マシンに何が必要なのか、そして自分自身に何が必要なのかを理解した。今の自分がどのレベルにいて、どんなパフォーマンスを発揮できるのかも分かっているし、マシンに何が必要なのかも分かっている」

    「これからどんなサーキットが待っているのかも分かっていて、そこで僕たちがもっと苦戦することになるのも分かっている。でも、僕はもっと苦戦したくない」

    そのためノリスは、2連勝によってチーム内に安心感が生まれることを警戒している。

    「だから僕は自分の役割として、チームが気を緩めたり、少しでも満足したりしないようにしている。これまで以上に取り組まなければならない。チャンピオンシップを勝った過去2年間以上にね」

    最大の弱点は低速のタイトなコーナー
    ノリスが懸念している最大のポイントは、MCL40の低速コーナー性能だ。

    ザントフォールトの予選では、ターン7やターン8をはじめとする高速区間でメルセデス勢を大きく上回った。一方、低速区間では週末を通してタイムを失っていた。

    ノリスは、この弱点が土曜日のスプリントでシャルル・ルクレールに2番手を奪われた要因のひとつだったとも考えている。

    「間違いなく、低速はまだ僕たちの最大の弱点だ。特にタイトで曲がりくねったところだね」

    「もう少し流れるようなコーナーなら、それほど悪くない。ブダペストにも低速コーナーはあるけど、少し開けていて流れがある。低速ではあっても、あそこでは状況が良かった」

    「でも、本当にタイトで曲がりくねった場所になると、マシンはそれを好まない」

    そしてノリスは、低速性能を改善できれば状況は一変すると考えている。

    「この低速域を改善できれば、今シーズンのすべてのレースで勝てるという自信がある。でも改善できなければ、そう信じるのはずっと難しくなる」

    アントネッリもマクラーレンの急浮上を警戒
    選手権首位のアントネッリも、マクラーレンの進歩を無視できないと認めている。

    オランダGPでノリスに次ぐ2位となったアントネッリは、メルセデスがもはや明確な最速マシンではないとの認識を示した。

    「間違いなく、僕たちはもうグリッドで明確に最速のマシンではない。少なくとも今日のレースでは、おそらく2番目か3番目だった」

    「マクラーレンはものすごく大きなステップを踏んだ。特にハンガリー以降、大型アップデートパッケージを投入してからだ」

    アントネッリは選手権首位を維持しているが、2位にはチームメイトのジョージ・ラッセルとフェラーリのルイス・ハミルトンが並び、ともに59ポイント差。ノリスは83ポイント差の4位まで浮上した。

    83ポイントは依然として大きな差だが、逆転が数学的に非現実的な数字というわけではない。

    前年の同時期、マックス・フェルスタッペンは選手権首位オスカー・ピアストリから104ポイント差をつけられていた。それでもザントフォールト以降のレースでピアストリを合計115ポイント上回り、最終的にはノリスにわずか2ポイント差のランキング2位まで追い上げた。

    ノリスにも同様の追い上げが可能かどうかは、マクラーレンが異なる特性のサーキットでも現在の競争力を維持できるかにかかっている。

    ランド・ノリスとアンドレア・キミ・アントネッリ

    次戦モンツァがマクラーレンの本当の試金石
    次戦イタリアGPの舞台モンツァは、ザントフォールトやハンガロリンクとは正反対に近い特性を持つ。

    長いストレートに加え、低速シケインでの強いブレーキングが要求される。低速コーナーだけでなく、比較的大きな空気抵抗によってストレートスピードにも課題を抱えてきたマクラーレンにとって、厳しい条件が重なる可能性がある。

    ステラもモンツァでのパフォーマンスを重視している。

    「ザントフォールトとハンガリーで求められたものを考え、その次にモンツァで求められるものを考えれば、まったく異なる領域に入る」

    「もしモンツァでも我々の改善を確認できれば、残りのシーズンについてある程度楽観的に見ることができると思う。ただ、まずモンツァへ行き、長いストレートで我々のマシンが良いパフォーマンスを発揮できるかを確認する必要がある」

    「ドラッグが必ずしも我々のマシンの強みではないことは分かっている。また、例えばブレーキングが多いことも必ずしも強みではない。次戦に向けて確認しなければならないことはたくさんある」

    メルセデスも後半戦のアップデートを準備
    仮にマクラーレンがモンツァでも速さを証明したとしても、ライバルが現状のまま留まっているわけではない。

    メルセデスは今季前半、フェラーリやマクラーレンと比較して大型アップデートの投入回数を抑えてきた。チーム代表のトト・ヴォルフは、予算上限の余裕がなくライバルと同じペースで開発パーツを投入できないと説明する一方、年間を通じた予算配分を意図的に調整していることも明らかにしている。

    「我々には、シーズン前半のフェラーリやマクラーレンと同じペースでマシンに開発パーツを投入できるだけの資金がない」

    「以前にも話したが、最大のアップデートをいつ投入できるのか、そしてチャンピオンシップポイントをどう最適化するのかという計算に基づいて、シーズン全体にできるだけ均等に配分しようとしている。ただ、我々にできることをやるしかない」

    「だからこそ開発競争なんだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒を得る。それが我々の失っている部分だ」

    「だから、これからはシーズン序盤より厳しくなるだろう。ただ、シーズン終盤になっても彼らが今と同じだけのものをマシンに投入できるかどうかは分からない。序盤から中盤に多く使い、終盤には少なくするという異なる戦略を採っているチームもあるかもしれない」

    ヴォルフ「脅威なのはノリスだけではない」
    ヴォルフもノリスの急浮上を警戒しているが、メルセデスにとって脅威なのはマクラーレンだけではないと考えている。

    「もちろん脅威は十分に認識している。ノリスだけではない。ルイスとの差を見ても50ポイントほどしかない。それも我々が心配しなければならないことだ」

    「これは厳しい戦いになる。もっと接近する可能性もある。だから毎セッション、毎週末、最適な仕事をしなければならない。我々は組織としてレースに勝てるだけの力を持っていると思っている」

    一方でヴォルフは、マクラーレンが連勝したハンガロリンクとザントフォールトは、過去にも同チームが高い競争力を示してきたサーキットだったと指摘する。

    「彼らはここ2戦で勝った。ただ、その2つは過去数年も彼らが非常に強かったサーキットだ。だから次の数戦で我々が勢いを取り戻せるか見てみよう」

    ノリスの2連勝によって、2026年F1タイトル争いの構図は確実に変わり始めている。ただし、その勢いがマクラーレンの真の総合力を示すものなのか、それともハンガロリンクとザントフォールトというMCL40に適したコース特性によるものなのかは、まだ判断できない。

    長いストレート、低速シケイン、強いブレーキングという現在のマクラーレンが苦手とする要素が揃うモンツァは、その答えを示す最初の舞台となる。そこでMCL40が再び優勝争いに加われれば、83ポイント差からのノリスのタイトル防衛は、現実的なシナリオとして一段と存在感を増すことになる。

  • メルセデスF1 マクラーレン急追も「今は開発に使う金がない」とヴォルフ

    メルセデスF1 マクラーレン急追も「今は開発に使う金がない」とヴォルフ

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、マクラーレンが相次ぐアップデートによって急速に競争力を高めるなか、現時点ではそれに即座に対抗するための開発予算がないと明かした。

    マクラーレンは夏休みを挟んだハンガリーGPとオランダGPで大規模なアップデートパッケージを投入し、ランド・ノリスが両レースで連勝。シーズン序盤に明確な優位を築いていたメルセデスに対し、勢力図を大きく変えつつある。

    ただし、ヴォルフによれば、メルセデスがすぐさま対抗策を投入することはコストキャップの制約によって難しいという。

    マクラーレンの進歩にすぐ対抗できないメルセデス
    F1ではタイトル争いを繰り広げるライバルが大きな進歩を遂げた場合、それに対抗するアップデートを前倒しして投入することも珍しくない。しかし、現在のF1では年間の支出がコストキャップによって制限されており、どの時期に開発費を投入するかが極めて重要になっている。

    特に2026年は新レギュレーション導入初年度であり、シーズンを通じた開発計画と予算配分は例年以上に重要だ。

    現在コンストラクターズ選手権首位に立つメルセデスだが、ヴォルフはこれまでの支出状況を踏まえると、現時点でマクラーレンの進歩に即座に対抗できるだけの予算は残されていないと説明した。

    「マシンの開発に投入できる金がない」

    ヴォルフはそう語った。

    「以前にも言ったように、僕たちはシーズンを通じて予算を均等に配分しようとしている。いつ最大のアップデートを投入できるか、そしてチャンピオンシップで獲得できるポイントをどう最適化するかという計算に基づいている」

    「できないことは、できない。それだけだ」

    メルセデスは新レギュレーション時代のスタートで明確な優勝候補としてシーズンを開始した。そのことは、開幕前からシーズン序盤にかけてライバルより多くのリソースを投入していた可能性を示しており、現段階では他チームと比較してマシンをアップグレードするための財政的な余裕が小さくなっているとも考えられる。

    ただし、ヴォルフはメルセデスが年間の開発予算を使い切ったわけではなく、コストキャップ内でシーズン後半にアップデートを投入する余地を残していることも示唆した。

    「だからこそ開発競争なんだ」
    「だからこそ、これは開発競争なんだ」

    ヴォルフは語った。

    「アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒は得られる。そして今、僕たちはその分を失っている」

    「だから、そうだね。シーズン序盤よりも厳しい戦いになるだろう。ただ、シーズン終盤になったとき、彼らが今と同じくらい多くのものをマシンに投入できるかどうかは、そのときになれば分かる」

    「シーズン終盤よりも序盤や中盤に多くの予算を使うという、異なる戦略を採っているチームもあるかもしれない」

    つまり、メルセデスは年間を通して開発予算を比較的均等に配分する戦略を採る一方、マクラーレンなどのライバルはシーズン前半から中盤により多くのリソースを投入している可能性があるという見方だ。

    そして、その開発スケジュールの違いは、すでにコース上のパフォーマンスに明確に表れている。

    トト・ヴォルフ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    アントネッリ「もう最速のマシンではない」
    オランダGPを終えたメルセデスのドライバー2人は、現在の勢力図においてメルセデスがトップの座から引きずり下ろされたとの認識を示した。

    ドライバーズ選手権首位のアンドレア・キミ・アントネッリは、マクラーレンが特にハンガリーGP以降に大きな前進を果たしたと語った。

    「間違いなく、僕たちはもうグリッドで明確に最速のマシンではない」

    「おそらく2番手か3番手だと思う。少なくとも今日のレースではそうだった。そしてマクラーレンはものすごく大きなステップを踏んだ。特にハンガリー以降、大型アップデートパッケージを投入してからだ」

    マクラーレンはハンガリーGPで大型アップデートを投入すると、続くオランダGPでも新たな開発パーツを持ち込み、その両方でノリスが勝利を収めた。

    一方でアントネッリもヴォルフと同様、メルセデスが今後投入するアップデートについて自信を示している。

    「僕はチームを信頼している。チームは次に投入するパッケージについて本当に懸命に取り組んでいるし、マシンに載せたときにきちんと機能するよう、確実なものにしたいと考えている」

    「だから、このレースでは間違いなくもっと難しくなるし、厳しい戦いになる。でも、僕たちはベストを尽くして、あらゆるチャンスを最大限に生かす準備ができている」

    「そして、次は僕たちがパッケージを投入する番になって、それによってもう一度少し優位に立てるようになればいいと思う」

    メルセデスにとって現在の問題は、開発そのものが止まっていることではなく、限られたコストキャップをシーズンのどこで使うかというタイミングにある。マクラーレンが中盤戦で積極的にアップデートを投入して勢いを増す一方、メルセデスは後半戦に向けた次のパッケージを準備している。

    シーズン序盤に築いた優位が縮まり、タイトル争いがさらに接近するなか、年間を通したメルセデスの予算配分戦略が最終的に正しかったかどうかは、今後投入されるアップデートの効果によって大きく左右されることになりそうだ。

  • マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

    マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

    オスカー・ピアストリは、2026年F1シーズンでマクラーレンのMCL40から安定してパフォーマンスを引き出すことに苦戦している。オランダGPでも一時3番手を走りながら、最終的には6位まで後退した。

    マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、ピアストリが抱える問題について、心理的なものではなく、低グリップ状態のマシンに自身の自然なドライビングスタイルを適応させる必要があるという「純粋に技術的」な課題だと分析している。

    MCL40への適応に苦しむピアストリ
    オランダGPの週末は、ピアストリが最後にF1で勝利してからちょうど1年という節目でもあった。2025年はドライバーズタイトル争いを繰り広げながらシーズン終盤に勢いを失い、2026年には新世代マシンへの対応という新たな課題に直面している。

    ザントフォールトではチームメイトのランド・ノリスが優勝。ノリスは今季これでグランプリ2勝、スプリント1勝となった一方、ピアストリはここまで表彰台2回にとどまっている。

    特にハード寄りのタイヤコンパウンドでは、マクラーレンの2人がMCL40からパフォーマンスを引き出す方法に違いが見られる。ピアストリは昨年タイトル獲得に迫ったときの速さを見せる場面もあるものの、スティント後半になるとペースが低下するケースが目立っている。

    オランダGP決勝では、ピアストリはジョージ・ラッセルの隙を突く見事なオーバーテイクを決め、ハードタイヤで3番手を走行した。しかし、2セット目のハードタイヤに交換した後はペースが低下。フェラーリ勢にも先行を許し、最終的には6位でフィニッシュした。

    オスカー・ピアストリはF1オランダGPで一時3番手を走行したものの、最終的には6位に後退した

    低グリップでは自然なドライビングスタイルの変更が必要
    ステラは、こうしたピアストリの特徴は2025年シーズンにも確認されていたと説明した。

    「昨年すでにオスカーについて分かっていたことだが、技術的なドライビングという観点では、例えば昨年のメキシコやオースティンで見られたように、マシンのグリップレベルが低い場合、彼は自分のドライビングの仕方、考え方、そして期待するものを適応させる必要がある」

    「それには少し頭を使う必要があり、その結果としてコンマ数秒を失う。純粋な本能だけでドライブするのではなく、ある意味で状況を頭の中で処理しなければならないからだ。本来なら、自分が予想したことがそのまま起きる状態で走れる」

    ピアストリの場合、マシンの要求に合わせるため、本来持っている自然なドライビングスタイルを変えなければならない場面があるという。

    「だから、自分の自然なドライビングスタイルをマシンが要求するものに適応させなければならないケースのひとつだと思う。したがって、これはドライビングと技術面の領域にある問題だ」

    「心理的なものが関係しているとは思っていない。これは純粋に技術的なものだ。実際、今週末はオスカーが競争力のあるラップタイムを出しているところも見られた」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    2026年型F1マシンへの適応と序盤2戦DNSの影響
    2026年世代のF1マシンは2025年型とは大きく異なる。さらにピアストリはシーズン開幕から2戦連続でDNSとなり、実戦データを蓄積する機会を失った。

    新レギュレーション下では、ドライバー自身もエネルギーデプロイメントの最適な使い方やタイヤの扱い方を学ぶ必要がある。その状況でグランプリ2戦分の経験を得られなかったことも、ピアストリの適応を難しくした要因のひとつと考えられる。

    ただし、ステラはオランダGPで起きたすべてをピアストリのドライビングに帰するべきではないとも強調した。

    ピアストリはラッセルをオーバーテイクした後、一度はメルセデスを引き離すことに成功していた。しかし、ラッセルのピットストップをカバーするためにタイヤ交換を行った際、マクラーレン側の作業が遅れたことで再びラッセルの後方に戻ることになった。

    「レースではオスカーに影響した要因が2つあったと思う。ひとつはチーム側の責任だ。ラッセルをカバーするためにピットインしたとき、実際にはピットストップが遅かったためラッセルにポジションを奪われた。これはチームの責任であって、オスカーの責任ではない」

    2セット目のハードタイヤを機能させられず
    もうひとつの大きな問題が、2セット目のハードタイヤだった。

    「そしてハードタイヤでの2回目のスティントでは、このタイヤを機能させることができなかった。ずっと非常に、非常にグリップが低い領域にとどまっていた。最初のスティントでは見られなかったことだ」

    「だから、我々には取り組まなければならないことがいくつかある」

    ステラは同時に、2026年F1の上位争いが極めて僅差になっていることも、ピアストリの結果をより厳しいものにしていると指摘する。

    「ただ、それに加えて言っておきたいのは、今のF1は少なくとも3チームがコンマ1秒以内にいる状況だということだ。だから、何かひとつでも最適化されていなければ、順位という意味では非常に大きな損失になる可能性がある」

    「最適化できていなければ、今は6位になってしまう。その意味では非常に残酷だ」

    ステラは改善を評価「さらに良くなる」
    それでもステラは、オランダGPの週末を通じてピアストリに改善が見られたことを前向きに評価している。

    「だから、オスカーと一緒にあらゆる改善の可能性について取り組み続けるだけだ。今週末に見られた進歩には満足しているし、シーズンの残りではさらに改善していくと確信している」

    2025年にはF1タイトル争いの中心にいたピアストリだが、2026年は新世代マシンへの適応という別の難題に直面している。ただ、ステラが強調するように、それは自信や心理状態の問題ではなく、低グリップ時のMCL40にドライビングを合わせるという技術的な課題だ。

    トップチーム間がコンマ1秒単位で争う現在のF1では、そのわずかな適応の遅れが表彰台争いから6位まで順位を落とす結果にもつながる。ピアストリがMCL40の挙動に自身のドライビングを合わせ、より本能的に速さを引き出せるようになるかが、シーズン後半の巻き返しを左右するポイントとなりそうだ。

  • ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースが2027年F1シートを巡る事実上の“オーディション”を実施すると報じられている。エステバン・オコンの後任候補として、ラファエル・カマラ、レオナルド・フォルナローリ、平川亮の3人がポルティマオでテストに臨むという。

    ブラジル『UOL』のジュリアン・セラソリによれば、テストは水曜日と木曜日に行われる予定で、フェラーリとマクラーレンがそれぞれの有望株を2027年のF1グリッドに送り込もうとするなか、トヨタの支援を受ける平川亮も候補に加わる。

    オリバー・ベアマンも走行し、3人を評価するための比較対象になるとされている。

    オコン後任へポルティマオで“オーディション”
    今回のテストに参加すると報じられているのは、フェラーリ・ドライバー・アカデミーのブラジル人ドライバー、ラファエル・カマラ、マクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、現在ハースのリザーブドライバーを務める平川亮だ。

    ハースは2027年にベアマンと組むドライバーとしてオコンに代わる候補を見極めるため、非公式なオーディションを行うとされている。

    ベアマン自身もテストに参加するが、シートを争う候補ではなく、3人のパフォーマンスを判断するための比較対象という位置づけになる。

    フェラーリとマクラーレンはいずれも、自らが推すドライバーを2027年に残された数少ないF1シートのひとつに送り込もうと強く働きかけているという。

    フェラーリが推しているのがカマラで、キャデラックの候補としても名前が挙がっている。一方、マクラーレンはフォルナローリを支援している。

    さらに、32歳の平川亮についても、トヨタがF1グリッド入りを望んでいると報じられている。

    平川亮(ハースF1チーム)

    フェラーリはカマラを全面支援
    なかでもフェラーリは、カマラのF1昇格に向けて大規模な支援を行っている。

    フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは『UOL』に対し、カマラへの投資について次のように語った。

    「我々はラファエルを全面的に支援している。単なる金銭的な支援という話ではない。資金面での支援も行ってきたが、今年は旧型車を使ったトレーニングにも多額の投資をしてきた」

    「そのコストは、金銭的な支援そのものよりもはるかに大きい。来週のテスト、そして来シーズンに向けて彼を可能な限り準備させるためだ。パートナーであるハースも、来年彼をF1に送り込むための最善の方法を見つけようとしている」

    フェラーリは資金面でカマラを支援するだけでなく、旧型F1マシンを使ったトレーニングにも多額の費用を投じ、今回のテストとその先を見据えた準備を進めている。

    カマラはリザーブ起用にとどまる可能性も
    ただし、カマラが今回のテストで最もF1への準備が整ったドライバー、あるいは最も即戦力としての可能性を示したとしても、2027年のレギュラーシート獲得が保証されるわけではない。

    カマラの2027年の役割がハースのテスト兼リザーブドライバーにとどまる可能性も十分にあるという。

    ハースはF1グリッドのなかでも資金力が比較的小さいチームであり、別のドライバーがスポンサーや投資という形でより多くの資金をもたらすことができると判断すれば、別の選択肢に向かう可能性もあるとされている。

    マクラーレンはF3&F2王者フォルナローリを後押し
    その対抗候補となるのがフォルナローリだ。

    マクラーレンはフォルナローリの将来に大きく投資してきた。フォルナローリは2024年のFIA F3、2025年のFIA F2で2年連続タイトルを獲得しており、今回のテストでハースのシート候補として評価を受けることになる。

    フェラーリが全面的に支援するカマラ、マクラーレンが投資してきたフォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、すでにハースのリザーブを務める平川亮。3人が参加するとされるポルティマオでのテストは、オコンの後任を巡る2027年のF1シート争いを占う重要な機会となりそうだ。

  • ランド・ノリス F1オランダGP逆転劇「あのオーバーテイクが勝利をもたらした」

    ランド・ノリス F1オランダGP逆転劇「あのオーバーテイクが勝利をもたらした」

    ランド・ノリスは、2026年F1オランダGPで今季2勝目を挙げ、ハンガリーGPから2連勝を達成した。

    赤旗後の再スタートでアンドレア・キミ・アントネッリに首位を奪われながらも、終盤に鮮やかなオーバーテイクを決めて逆転。「あのオーバーテイクが僕に勝利をもたらした」と振り返った。

    マクラーレンは直近の大型アップグレードによって競争力を大きく高めており、ノリスはその成果を2戦連続の勝利につなげた。ドライバーズランキングでも首位アントネッリとの差を83ポイントまで縮め、タイトル防衛の可能性が再び注目され始めている。

    「最後だから少しショーを見せないといけなかった」
    ポールポジションからスタートしたノリスだったが、オープニングラップでマックス・フェルスタッペンが激しくクラッシュ。レースは赤旗中断となり、その後の再スタートでアントネッリに先行を許した。

    そこからノリスは長い追撃戦を展開。複数回のピットストップを経て一時はコース上で3番手となったものの、タイヤとペースをマネジメントしながらチャンスを待った。

    「昨日、ここでの最後のレースだから、みんなのために少しショーを見せないといけないって言ったんだ。だから今日は自分で難しくしてしまったけど、いいレースだったし、しっかり戦えた」

    「たぶん僕の勝利の中でもかなりいいもののひとつだと思う。しっかり戦わなければならなかったけど、ペースは強かった」

    「今日はすべてを信じられないくらいうまくマネジメントできた。本当に最高の気分だし、すごくうれしい。ザントフォールトでの最後のレースに勝てたのもいいね」

    勝負を決めたのは54周目だった。ターン1への進入でアントネッリのアウト側に並び、そのまま前へ。その後、同じ周にルイス・ハミルトンも攻略してトップを奪い返した。

    ランド・ノリス(マクラーレン) オランダグランプリ

    「あのオーバーテイクが僕に勝利をもたらした」
    ノリスはアントネッリを抜いた場面について、残されたチャンスがほとんどないと判断していたことを明かした。

    「いいオーバーテイクだった。チャンスがそれほど多くないことは分かっていた。彼の後ろで1周過ごすたびに、僕の可能性はどんどん下がっていった」

    「ルイスがディフェンスしているのが見えて、ここが自分のタイミングだと思った」

    そこでノリスはブレーキバランスを数クリック調整し、ターン1で勝負に出た。

    「ブレーキバランスを2クリックくらい変えた。ブレーキングで絶対に行くと決めていたし、あのオーバーテイクが僕に勝利をもたらした」

    「自分としてはうまくやれたと思う。あそこで決めなければならなかったし、本当にチャンスは一度くらいしかないと思っていた。それを最大限に生かせた」

    終盤にはバーチャルセーフティカーが導入され、アントネッリらが新品タイヤへ交換。一方、ノリスとジョージ・ラッセルはステイアウトを選択した。それでもノリスは古いタイヤで十分なペースを維持し、そのままトップでチェッカーを受けた。

    2連勝でタイトル争いに再浮上
    ハンガリーGPに続く2連勝によって、ノリスはランキング4位まで浮上。さらに選手権首位のアントネッリとの差は83ポイントとなり、シーズン後半に向けてタイトル防衛の可能性も現実味を帯び始めた。

    2025年にはフェルスタッペンが100ポイント以上の差から猛烈に追い上げ、最終的にタイトル獲得目前まで迫った例もある。それだけに、現在好調なマクラーレンとノリスの巻き返しには注目が集まる。

    しかし、ノリス本人はタイトル争いを先まで考えるつもりはないという。

    「退屈に聞こえるだろうけど、一戦ずつだよ。今はいろいろな人がそう言うけど、本当にそれが事実なんだ。そんな先のことを考えても意味はない」

    「今はちょっといい休みを取ることに集中したい。もちろん素晴らしい2戦だったけど、一度リセットして、できる限り多くのことを学ばないといけない」

    「まだ改善できることはたくさんあると思うし、チャンピオンシップを争いたいなら、もっと良くならなければならない」

    マクラーレンの進歩についても、ノリスは手応えを感じている。

    「チームには本当に満足している。みんながどれだけ努力しているかにも満足しているし、そのみんなのために結果を出して、2連勝を届けられたことがすごくうれしい」

    ただし、現在の勝ち方にはまだ満足していない。

    「それでも僕が望んでいるより難しいし、もっと大きな差が欲しい。だから、これからもハードワークを続けなければならない」

    「まだレースはたくさん残っているし、誰にでもたくさんのチャンスがある。だから下を向いて集中して、努力を続ける。そうすれば結果はついてくると思う」

    マクラーレンのアップグレードが結果につながり始めた中、ノリスはハンガリーとオランダで2連勝。ザントフォールト最後のF1オランダGPを制したことで、83ポイント差からのタイトル防衛という新たな可能性も浮上してきた。

  • ランド・ノリス F1オランダGPでポール「僕が一番タマがデカいのかも(笑)」

    ランド・ノリス F1オランダGPでポール「僕が一番タマがデカいのかも(笑)」

    ランド・ノリスは、2026年F1オランダGPの予選でポールポジションを獲得。高速コーナーで際立った速さを見せたマクラーレンについて「僕たちのマシンが高速域で一番いい。それとも僕が一番タマがデカいのかも(笑)」とジョークを飛ばした。

    スプリントでは低速コーナーでの弱点に苦しみ3位に終わったノリスだが、予選では一転して速さを発揮。Q3最後のアタックで1分11秒163を記録し、ジョージ・ラッセルを0.102秒差で退けた。前戦ハンガリーGPに続く2戦連続、通算18回目のポールポジションとなった。

    「これ以上はないね。正直、少し驚いているけど、いいラップだった」

    「どれだけ僅差か分かっていたからプッシュしていた。100分の1秒、200分の1秒が最後には大きな違いになるからね」

    「今日の序盤は少し苦戦していると感じていたけど、そこからうまく立て直すことができた。予選では間違いなくかなり強かった。チームがいい仕事をして、マシンからもう少し引き出そうとしてくれた。それが今日は間違いなく助けになった」

    スプリント後に変更「何かを試す必要があった」
    ノリスはスプリントを3位で終えた後、マクラーレンの低速域でのパフォーマンスについて「十分とは程遠い」と厳しく評価していた。

    予選までに施した変更は大幅なものではなかったが、ノリスはそのままの状態ではメルセデス勢に対抗できないと考えていた。

    「何かを試す必要があった。それまでの状態では十分ではなかったからね」

    「いくつか小さな変更をした。コンマ2秒とか、コンマ1秒を稼げるようなものではなかったけど、僕にもう少し自信を与えてくれる程度のものだった」

    「ザントフォールトのようなコースでは、マシンへの自信が必要だし、かなり攻めていきたい。今日はそれがもっとできると感じたし、それが結果につながった」

    もっとも、予選でマクラーレンの弱点そのものが消えたわけではない。ノリスによれば、低速コーナーでタイムを失う傾向はスプリントから変わっていなかった。

    「苦戦していた場所でマシンがそれほど良くなったとは感じなかった。最大のロスがあったのは、今朝と同じ場所、同じコーナーだった」

    「新品タイヤと少ない燃料によって、いくつかの問題が隠れたように思う。それが今日も当てはまったんだと思う。それに僕自身もうまく走れた。いろいろなものをうまくまとめることができた」

    「僕が一番タマがデカいのかも(笑)」高速コーナーで圧倒
    マクラーレンが特に強さを発揮したのが高速コーナーだった。その速さについて問われたノリスは、マシンの性能を認めつつ、自身のドライビングを絡めてジョークを飛ばした。

    「そこは変わっていない。僕たちのマシンが高速域で間違いなく一番いい。それとも、僕が一番タマがデカいのかも(笑)。分からないけどね」

    「でも、高速域ではものすごく強い。一方で低速では、まだ自信を持てないくらい苦戦している。少しは前進したと思うけど、明日の決勝でもそこが難しい部分になるだろう」

    ランド・ノリス(マクラーレン) オランダグランプリ

    雨の最終アタック「失うものは何もない」
    Q3最後のアタックでは雨粒が落ち始めていた。それでもノリスは、雨がラップタイムに悪影響を及ぼしたとは考えていない。むしろ路面やタイヤがわずかに冷えたことで、パフォーマンスが向上した可能性もあると分析した。

    「雨がどれだけ影響したのかは分からない。ラップタイムは予想していたより少し良かったし、もしかすると路面が少し冷えて、タイヤがラップを通してうまく機能したのかもしれない」

    一方で、ポールを決めたラップは本人の感覚として完璧なものではなかった。特にターン1では今週末でも最悪の出来だったという。

    「ターン1はかなりひどかった。今週末でほぼ最悪のターン1だったと思う。それ以外も、とんでもなくいいと感じるようなラップではなかった」

    「ただ、どれだけ僅差になるか分かっていたから、すべてにコミットするしかなかった。Q3最初のアタックを見ても、どれだけ接近しているか分かっていたからね」

    「かなり攻めたことで、むしろミスも増えそうになった。でも、そのミスのなかでも強く攻め続けたことで、失った以上に得られたところがあったと思う」

    ノリスには走行中にデルタタイムが分からなかったため、自分がどこでタイムを稼ぎ、どこで失っているのかも把握できていなかった。

    「どこで速かったのか、どこで遅かったのかは分からなかった。でも『失うものは何もない』と思って走った。それがうまくいった。こういうラップは気持ちがいい」

    スプリントではラッセルに勝利を許したものの、予選ではノリスが逆転。低速域という弱点を抱えながらも、高速コーナーでのマクラーレンの強さと自身の思い切ったアタックを武器にポールをもぎ取った。

    最後の開催となるザントフォールトで、ノリスは前戦ハンガリーGPに続く2戦連続優勝を狙う。

  • マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

    マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

    マクラーレンは、2026年F1第12戦オランダGPにリアウイング周辺のアップデートを投入した。ザントフォールトの高いダウンフォース要求に対応するため、リアウイングのエンドプレート形状を見直し、マシン後部全体の空力効率を高めることを狙った変更となっている。

    今回のアップデートで注目されるのは、単純にリアウイング単体のダウンフォースを増やすのではなく、リアブレーキダクト周辺の空力パーツやディフューザーを含めた後部の気流を整える考え方だ。

    ハンガリーGP仕様との比較では、エンドプレート外側の輪郭や後端部に細かな変更が確認できる。

    リアウイングのエンドプレート形状を変更
    マクラーレンがオランダGPに持ち込んだリアウイングでは、エンドプレート外側の表面形状が変更されている。

    特に目を引くのが、スポンサーロゴ付近を横方向に走る折れ目状のラインだ。ハンガリーGPで使用された仕様と比べると、そのカーブがより明確になり、表面の立体的な処理が強調されている。

    さらに下側では、エンドプレート後端のアンダーカット部分も再形成された。小さな形状変更ではあるものの、F1マシンの空力ではこうした部分が周辺の気流構造に影響を及ぼす。

    重要なのは、この変更をリアウイングだけで切り離して考えないことだ。

    現在のF1マシンでは、リアタイヤ、ブレーキダクト、ディフューザー、ビームウイング、リアウイングが互いに影響しながらマシン後部の気流を形成する。そのため、エンドプレートのわずかな形状変更も、後方へ流れる空気をどのように処理するかという全体設計の一部となる。

    リアタイヤ周辺の乱流をコントロール
    リアタイヤは高速で回転することで複雑な乱流を発生させる。特にタイヤ周辺からフロアやディフューザー方向へ入り込む気流は、マシン後部の空力性能を不安定にする要因となる。

    マクラーレンはリアブレーキダクト周辺に配置されたウイングレットとリアウイングのエンドプレートを組み合わせ、こうした気流を管理している。

    今回変更されたエンドプレートの表面形状も、その流れを整えるための要素と考えられる。リアタイヤから発生する乱れた空気を適切な方向へ導き、リアウイング周辺で形成される上向きの流れ、いわゆるアップウォッシュをコントロールする狙いがある。

    アップウォッシュを適切に形成できれば、マシン後方の圧力場にも影響し、ディフューザーから排出される気流の働きを助けることができる。

    ただし、エンドプレートの変更だけでフロアのダウンフォースが直接的かつ大幅に増えると捉えるのは適切ではない。実際にはリアウイング、ブレーキダクト、ディフューザーなどが相互作用するなかで、マシン後部全体の流れを最適化することが目的となる。

    マクラーレン MCL40 オランダグランプリ

    ザントフォールトに求められる高ダウンフォース
    ザントフォールトは、長いストレートで最高速を追求するタイプのサーキットではない。高速コーナーとバンクを備えた連続区間が多く、安定したダウンフォースがラップタイムを左右する。

    一方で、単純に大きなリアウイングを装着すればいいわけではない。ドラッグが増えればストレートでの速度を失うため、各チームには必要なダウンフォースを確保しながら空気抵抗を抑える効率が求められる。

    マクラーレンが細部までリアウイング周辺の気流を調整しているのも、この空力効率を高めるためだ。エンドプレートで発生する気流をリアタイヤやブレーキダクト周辺の流れと結び付けることで、リアエンド全体からより安定した性能を引き出そうとしている。

    パワーユニット使用状況にも余裕
    一方、FIAのオランダGP技術代表レポートによれば、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリはともに今季3基目の内燃エンジン(ICE)と3基目のターボチャージャー(TC)を使用している。

    主要な内燃機関系コンポーネントについて、両者の使用状況に大きな違いはない。一方、電装系では差があり、記事掲載時点でピアストリが2基目のコントロールエレクトロニクスを使用しているのに対し、ノリスはすでに4基を使用している。

    マクラーレンにとってオランダGPのリアウイング変更は、目立つ大型パーツを追加するタイプのアップデートではない。しかし、リアタイヤからディフューザー、リアウイングへとつながる気流をひとつのシステムとして扱い、細部を最適化していく現在のF1空力開発を象徴する変更と言える。

    ザントフォールトでは高いダウンフォースと空力効率の両立が重要になる。マクラーレンが投入したリアエンドの改良が、予選と決勝でどこまでパフォーマンスにつながるかが注目される。