マクラーレンF1代表 フェルスタッペンの「2026年マシンは簡単」説に反論

マクラーレンF1代表 フェルスタッペンの「2026年マシンは簡単」説に反論

2026年F1ではチームメイト間のタイム差が従来以上に小さくなっている。

マックス・フェルスタッペンは、新世代マシンではドライバーが限界を見つけやすくなったことが理由だと分析する一方、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは「むしろ運転は難しくなっている」と異なる見方を示した。

第12戦オランダGPでは、負傷したアイザック・ハジャーに代わってレッドブル・レーシングをドライブしたリアム・ローソンが、予選でフェルスタッペンからわずか0.115秒差につけた。レーシングブルズから今季初出場を果たした角田裕毅も、レギュラーのアービッド・リンドブラッドに接近。この結果が、2026年F1マシンにおけるドライバー間の差について新たな議論を呼んでいる。

フェルスタッペン「今のマシンは限界を見つけるのがずっと簡単」
フェルスタッペンは、特に予選では2026年型マシンの特性によってドライバーがパフォーマンスの上限に到達しやすくなっていると考えている。

「特に予選ではそうだと思う。今のマシンでは限界を見つけるのがずっと簡単になっている。かなり多くの場所でバッテリーも不足するから、すべてをまとめることも少し簡単になる」

「以前のマシンと比較して、今週末はそれがかなりよく表れていたと思う。僕にとっては驚きではない」

フェルスタッペンは、これによってチームメイトのパフォーマンスそのものを過小評価すべきではないとも強調している。オランダGPで代役を務めたローソンについて「今週末は非常に堅実な仕事をした」と評価した。

一方で、2026年シーズンを通じてドライバー間のタイム差そのものが縮小していることは明確だと指摘する。

「今季ずっとそうなっていると思う。誰もが常に0.1秒、0.2秒以内にいる。本当に悪い予選だったとしても0.3秒くらいだ。差はいつもものすごく小さい」

「裕毅を見ても分かる。乗ってすぐにそこにいる」

角田裕毅はオランダGPで今季初めてレーシングブルズのVCARB-03をドライブし、予選Q2ではリンドブラッドとの差を0.102秒まで縮めた。異なるマシンへの即時適応という点でも、フェルスタッペンにとっては自身の見方を裏付ける例となった。

アンドレア・ステラ(マクラーレン)

ステラは反論「2026年F1マシンは運転が難しい」
しかし、ステラはチームメイト間の差が縮まっていることを、マシンが運転しやすくなった証拠とは捉えていない。

マクラーレンではランド・ノリスとオスカー・ピアストリの両ドライバーから、2026年型マシンは扱いが難しいというフィードバックを受けているという。

「他のチームについては分からないが、我々の2人のドライバーは、このマシンを運転が難しいマシンだと分類している」

「昨年は2人のドライバー間のばらつきがはるかに小さかった。今年はドライバーが少し後手に回るだけで、その差が大きくなることがある」

ステラが難しさの理由として挙げたのは、2026年に導入されたシャシーとパワーユニット双方の新レギュレーションだ。

「いくつかの理由から運転が難しい。シーズン序盤はコーナーで、それからストレートでも難しさがあった」

「コーナーではグリップが低く、ダウンフォースも大幅に少なく、タイヤも小さい。ストレートではエネルギーデプロイメントの一貫性がなかったり、ブレーキング直前に突然スーパークリップが発生したりする。それによってブレーキングの基準を失ってしまう」

ここでいう「スーパークリップ」は、電気エネルギーの供給が急激に制限され、ストレートで突然加速力が落ちる状態を指す。2026年のF1では電動側の出力とエネルギー管理の重要性が大幅に増しており、その挙動がドライバーのブレーキングポイントにも影響する。

「あるいは、もっと早くアクセルを踏んだのに、その結果として後でデプロイメントを失うこともある。そうしたさまざまな側面から、今年のマシンは運転がより難しくなっている」

「以前のF1マシンの方が簡単だった」
ステラは、シーズンが進むにつれてドライバーとエンジニアが2026年型パワーユニットのエネルギーマネジメントを理解し、扱い方を改善してきたことは認めている。

ただし、それはマシンそのものが簡単になったことを意味しないという。

「すべてのチームがダウンフォースを追加してきたとしても、ブレーキングでどんな問題が起きるのか、あるいはトラクションをかけたときにマシンが突然スナップするのかをドライバーが予測するのは非常に難しい」

「前世代のマシンには空力的にはるかに大きな荷重があり、タイヤから得られるグリップもはるかに大きかった。以前の方が簡単だった」

同じ「僅差」でもフェルスタッペンとステラで異なる解釈
両者が共通して認めているのは、2026年F1ではドライバー間のタイム差が極めて小さいという点だ。ただし、その理由についての解釈は正反対に近い。

フェルスタッペンは、2026年型マシンでは限界を把握してラップをまとめやすくなり、ドライバーがパフォーマンスの上限に到達しやすくなった結果として差が縮まったとみている。

一方のステラは、低ダウンフォース、小型タイヤ、エネルギーデプロイメントなど複数の要素によってマシンはむしろ予測しにくくなっており、シーズンを重ねるなかでドライバー側がその複雑さへの対処を習得してきたと分析する。

ローソンが初週末からフェルスタッペンに0.115秒まで迫り、角田裕毅もリンドブラッドから0.102秒差につけたオランダGPは、その議論を象徴する週末となった。2026年F1でチームメイト間の差が縮まっている背景が「マシンの限界を引き出しやすくなったから」なのか、それとも「複雑なマシンへの適応が進んだから」なのか。フェルスタッペンとステラは、同じタイム差から異なる結論を導き出している。