マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

マクラーレンは、2026年F1第12戦オランダGPにリアウイング周辺のアップデートを投入した。ザントフォールトの高いダウンフォース要求に対応するため、リアウイングのエンドプレート形状を見直し、マシン後部全体の空力効率を高めることを狙った変更となっている。

今回のアップデートで注目されるのは、単純にリアウイング単体のダウンフォースを増やすのではなく、リアブレーキダクト周辺の空力パーツやディフューザーを含めた後部の気流を整える考え方だ。

ハンガリーGP仕様との比較では、エンドプレート外側の輪郭や後端部に細かな変更が確認できる。

リアウイングのエンドプレート形状を変更
マクラーレンがオランダGPに持ち込んだリアウイングでは、エンドプレート外側の表面形状が変更されている。

特に目を引くのが、スポンサーロゴ付近を横方向に走る折れ目状のラインだ。ハンガリーGPで使用された仕様と比べると、そのカーブがより明確になり、表面の立体的な処理が強調されている。

さらに下側では、エンドプレート後端のアンダーカット部分も再形成された。小さな形状変更ではあるものの、F1マシンの空力ではこうした部分が周辺の気流構造に影響を及ぼす。

重要なのは、この変更をリアウイングだけで切り離して考えないことだ。

現在のF1マシンでは、リアタイヤ、ブレーキダクト、ディフューザー、ビームウイング、リアウイングが互いに影響しながらマシン後部の気流を形成する。そのため、エンドプレートのわずかな形状変更も、後方へ流れる空気をどのように処理するかという全体設計の一部となる。

リアタイヤ周辺の乱流をコントロール
リアタイヤは高速で回転することで複雑な乱流を発生させる。特にタイヤ周辺からフロアやディフューザー方向へ入り込む気流は、マシン後部の空力性能を不安定にする要因となる。

マクラーレンはリアブレーキダクト周辺に配置されたウイングレットとリアウイングのエンドプレートを組み合わせ、こうした気流を管理している。

今回変更されたエンドプレートの表面形状も、その流れを整えるための要素と考えられる。リアタイヤから発生する乱れた空気を適切な方向へ導き、リアウイング周辺で形成される上向きの流れ、いわゆるアップウォッシュをコントロールする狙いがある。

アップウォッシュを適切に形成できれば、マシン後方の圧力場にも影響し、ディフューザーから排出される気流の働きを助けることができる。

ただし、エンドプレートの変更だけでフロアのダウンフォースが直接的かつ大幅に増えると捉えるのは適切ではない。実際にはリアウイング、ブレーキダクト、ディフューザーなどが相互作用するなかで、マシン後部全体の流れを最適化することが目的となる。

マクラーレン MCL40 オランダグランプリ

ザントフォールトに求められる高ダウンフォース
ザントフォールトは、長いストレートで最高速を追求するタイプのサーキットではない。高速コーナーとバンクを備えた連続区間が多く、安定したダウンフォースがラップタイムを左右する。

一方で、単純に大きなリアウイングを装着すればいいわけではない。ドラッグが増えればストレートでの速度を失うため、各チームには必要なダウンフォースを確保しながら空気抵抗を抑える効率が求められる。

マクラーレンが細部までリアウイング周辺の気流を調整しているのも、この空力効率を高めるためだ。エンドプレートで発生する気流をリアタイヤやブレーキダクト周辺の流れと結び付けることで、リアエンド全体からより安定した性能を引き出そうとしている。

パワーユニット使用状況にも余裕
一方、FIAのオランダGP技術代表レポートによれば、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリはともに今季3基目の内燃エンジン(ICE)と3基目のターボチャージャー(TC)を使用している。

主要な内燃機関系コンポーネントについて、両者の使用状況に大きな違いはない。一方、電装系では差があり、記事掲載時点でピアストリが2基目のコントロールエレクトロニクスを使用しているのに対し、ノリスはすでに4基を使用している。

マクラーレンにとってオランダGPのリアウイング変更は、目立つ大型パーツを追加するタイプのアップデートではない。しかし、リアタイヤからディフューザー、リアウイングへとつながる気流をひとつのシステムとして扱い、細部を最適化していく現在のF1空力開発を象徴する変更と言える。

ザントフォールトでは高いダウンフォースと空力効率の両立が重要になる。マクラーレンが投入したリアエンドの改良が、予選と決勝でどこまでパフォーマンスにつながるかが注目される。