2026年F1第12戦オランダGPの決勝が8月23日(日)にザントフォールト・サーキットで行われ、ランド・ノリス(マクラーレン)が優勝。ハンガリーGPに続く2連勝を飾った。2位にはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、3位にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が入った。
雨上がりの難しいコンディションで始まったレースは、2周目に地元のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が激しくクラッシュして赤旗中断。
再スタートではアントネッリが首位を奪ったが、終盤にノリスがコース上で逆転した。角田裕毅はレーシングブルズからの復帰戦でポイント圏を争い、11位でフィニッシュした。
雨上がりのザントフォールト 全車スリックでスタート
決勝直前のザントフォールトには強い雨が降り、コースの一部には濡れた箇所が残った。しかし雨脚はスタート前に弱まり、各車はスリックタイヤを選択。セーフティカー先導のフォーメーションラップを経てスタンディングスタートとなった。
ポールポジションのノリスが首位を守る一方、3番グリッドのアントネッリが好スタートを決めてラッセルをかわして2番手へ。シャルル・ルクレールもオスカー・ピアストリを抜いて4番手に浮上した。
12番グリッドからスタートした角田裕毅は11番手へポジションを上げ、ポイント圏をうかがう位置につけた。
フェルスタッペンが2周目に大クラッシュ 赤旗中断
しかし、レースは早々に大きく動いた。
2周目、最終コーナーを立ち上がったフェルスタッペンが白線にタイヤを乗せたことでリアを失い、メインストレート脇のバリアに激しくクラッシュ。マシンは大破し、コース上には大量のデブリが散乱した。
フェルスタッペンは無線で無事を伝え、自力でマシンを降りたが、レースは赤旗中断となった。直前にはガブリエル・ボルトレトもスピンしており、ニコ・ヒュルケンベルグが間一髪で接触を回避する場面もあった。
フェルスタッペンにとって、F1カレンダーから姿を消すザントフォールトでの最後の母国GPは、わずか2周で幕を閉じることになった。
再スタートでアントネッリがノリスを逆転
赤旗中にはタイヤ交換が認められ、ノリスはソフト、メルセデス勢はミディアム、ピアストリはハードを選択した。
再開に向けて各車がグリッドへ向かう途中には、オリバー・ベアマンのハースがターン10と11の間でストップ。さらに1周のフォーメーションラップが追加された。
仕切り直しのスタートではアントネッリが抜群の加速を見せ、ノリスのイン側に飛び込んで首位を奪取。ピアストリもラッセルをかわして3番手に浮上した。
アントネッリは徐々にノリスとの差を広げ、10周目には1秒以上のリードを確保。オーバーテイクモードを使わせない展開へ持ち込んだ。後方ではルクレールとルイス・ハミルトンがラッセルにプレッシャーをかけた。
角田裕毅がポイント圏で奮闘 ガスリーをオーバーテイク
中団では角田裕毅がポイント圏を巡る激しい戦いを展開した。
アービッド・リンドブラッドとフランコ・コラピントが黄旗区間での違反によりドライブスルーペナルティを受けたこともあり、角田裕毅はトップ10へ浮上。その後はピエール・ガスリー、ヒュルケンベルグらとポジションを争った。
28周前後にはガスリー、リンドブラッド、ヒュルケンベルグが激しく争い、ガスリーのロックアップをきっかけに順位が入れ替わる。その直後、角田裕毅もガスリーを鮮やかにオーバーテイクし、ポイント獲得へ向けて前進した。
ノリスがアントネッリを追撃 フェラーリ勢も浮上
首位争いではアントネッリとノリスが最初のピットストップを終えた後も接近戦を続けた。
30周目にはノリスが1秒以内まで接近。一方、後方ではルクレールがピアストリを攻略し、続いてハミルトンもピアストリをかわした。マクラーレンのもう1台が後退する一方、フェラーリ勢が表彰台争いへ加わった。
40周目にはノリスが再びアントネッリの0.7秒後方まで迫る。41周目にアントネッリがハードへ交換し、ラッセルも続いてピットイン。ノリスはステイアウトしてタイヤのオフセットを作る戦略を選んだ。
フェラーリではハミルトンがルクレールの背後まで迫ったものの、順位交換がスムーズに行われず、ハミルトンが無線で苛立ちを示す場面もあった。
ノリスがコース上で逆転 首位を奪還
48周目、首位のノリスが2度目のピットストップを行ってハードタイヤへ交換。アントネッリとの差は一時5秒以上に広がったが、新しいタイヤを履いたノリスは猛烈なペースで追撃を開始した。
52周目にはアントネッリがリアグリップ不足を訴え、ノリスが一気に背後へ接近。そして54周目、ターン1への攻防でノリスがアントネッリをオーバーテイクした。
その前方にはまだピットストップを引っ張っていたハミルトンがいたが、ノリスは翌周にハミルトンも攻略。戦略だけではなく、コース上でライバルを抜いて実質的な首位を奪い返した。アントネッリも続いてハミルトンをかわした。
VSCでメルセデスが勝負 アントネッリをソフトへ
直後、エステバン・オコンのハースがコース上でストップし、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。
ここでメルセデスはアントネッリをピットへ呼び、ソフトタイヤへ交換。一方のノリスはステイアウトした。アントネッリはラッセルの後方3番手でコースへ復帰し、フレッシュなソフトで終盤の逆転を狙う形となった。
アントネッリは急速にラッセルとの差を縮め、65周目にはメルセデスが順位交換を指示。ラッセルは不満をにじませながらもチームメイトを前へ出した。
しかし、その時点でノリスは約10秒前方。アントネッリもノリスとほぼ同等のラップタイムにとどまり、優勝争いまで持ち込むことはできなかった。
アロンソがホンダ新PUで追い上げ 9位入賞
中団では、ホンダの新スペックPUを投入したアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが粘り強いレースを展開した。
13番グリッドからスタートしたアロンソは、序盤はポイント圏外での戦いとなった。それでもタイヤをマネジメントしながらレースを組み立て、上位勢のピットストップや中団の順位変動が続くなかで着実にポジションを上げていった。
終盤に入るとアロンソは9番手へ浮上。61周目の時点では3度目のピットストップを行わずに走行を続け、10番手ガスリーに2.5秒のリードを築いていた。
残り周回ではガスリーがオーバーテイクモードを使って追撃し、その後方には角田裕毅も接近。68周目にはアロンソ、ガスリー、角田裕毅によるポイント圏を巡る攻防となった。
それでもアロンソは最後までポジションを守り切り、9位でチェッカー。ホンダ新PUを投入した週末でアストンマーティンに貴重な2ポイントを持ち帰り、今季2度目の入賞を果たした。週末序盤にはポイント獲得が難しく見えたなか、戦略とタイヤマネジメントを生かして結果につなげた。
ラッセル対ハミルトン 最終盤まで続いた表彰台争い
アントネッリを前へ出したラッセルには、今度はハミルトンが急接近。さらにその後方にはルクレールも迫り、3位を巡ってメルセデスとフェラーリが最終盤まで接近戦を繰り広げた。
70周目にはウィリアムズ勢の接触によってコース上にデブリが散乱し、再びVSCが導入された。カルロス・サインツJr.にはチームメイトとの接触を引き起こしたとして10秒ペナルティが科された。
レース再開後、ハミルトンはラッセルを最後まで追い詰めたものの、逆転には至らなかった。
ノリスが2連勝 アントネッリはランキング首位を堅持
72周を走り切ったノリスがトップでチェッカー。2位アントネッリに11.536秒の差をつけ、ハンガリーGPに続く2戦連続優勝を達成した。
アントネッリは勝利こそ逃したものの2位で18ポイントを加算。ラッセルがハミルトンを0.849秒差で抑えて3位表彰台を確保した。5位ルクレールまでが17.258秒差に収まり、終盤の表彰台争いは最後まで僅差となった。
6位はピアストリ、7位はレッドブルの代役を務めたリアム・ローソン。ローソンは黄旗違反による10秒ペナルティを受けながらも順位を維持した。8位ヒュルケンベルグ、9位アロンソ、10位ガスリーまでがポイントを獲得した。
角田裕毅は終盤までガスリーと10位を争ったが、ソフトタイヤのグリップが低下して11位。ポイント獲得にはあと1ポジション届かなかった。リンドブラッドが12位、ボルトレトが13位、コラピントが14位、セルジオ・ペレスが15位、サインツJr.が16位で完走した。

最後のザントフォールトを制したノリス タイトル争いにも変化
F1オランダGPは2026年をもってカレンダーから離れるため、今回が現時点で最後のザントフォールトでのグランプリとなった。その最終戦を制したのはノリスだった。
ドライバーズランキングではアントネッリが242ポイントで首位を維持。ラッセルとハミルトンに59ポイント差をつけている。一方、ノリスも今回の勝利によって首位との差を83ポイントまで縮めた。
メルセデスが依然として選手権をリードする一方、マクラーレンは明確に勝利を争えるレベルまで浮上。ノリス自身も「おそらく僕の中でもかなりいい勝利のひとつ」と振り返った。
フェルスタッペンの衝撃的なクラッシュ、赤旗、異なるタイヤ戦略、コース上での首位逆転、そして最終盤まで続いた表彰台争い。最後のF1オランダGPは、ザントフォールトらしい波乱に満ちた一戦となった。