投稿者: dbcheck

  • キミ・ライコネンの11歳長男ロビン F1育成入りを検討「今年中に大きな発表」

    キミ・ライコネンの11歳長男ロビン F1育成入りを検討「今年中に大きな発表」

    2007年のF1ワールドチャンピオン、キミ・ライコネンの長男ロビン・ライコネンが、F1チームのドライバー育成プログラム入りに向けて動き始めている。現在11歳のロビンについて、複数の選択肢を検討しており、2026年中にも「大きなニュース」が発表される可能性があるという。

    明かしたのは、ロビンのゴッドファーザーであり、ライコネン一家と長年親交を持つジーノ・ロサートだ。

    フェラーリで約30年間にわたって勤務し、現在はレッドブルのコンサルタントを務めるロサートは、ザントフォールトでフィンランド紙『Ilta-Sanomat』の取材に応じ、すでにF1チームの育成プログラムを視野に入れていることを認めた。

    ロビン・ライコネンのF1育成入りを検討
    F1では各チームが若手ドライバー育成プログラムを運営し、カートからジュニアフォーミュラ、F3、F2を経て最高峰へと進む人材を支援している。

    ロビン・ライコネンについても、そのルートに加わる可能性が具体的に検討され始めた。

    F1チームのアカデミー入りについて尋ねられたロサートは「もちろんだ。それは僕たちが取り組んでいることのひとつだ」と語った。

    「現時点では選択肢を検討している」

    かつてキミ・ライコネンがF1世界王者に輝いたフェラーリが候補に含まれているのかと質問されると、ロサートは明言を避けた。

    「それはサプライズだ」

    そう笑顔で答えたロサートは、近いうちに何らかの動きがあることを示唆した。

    「できれば今年中に、大きなニュースを発表できればと思っている」

    ロビン・ライコネン

    「名前ではなく子どもにとってベストな選択を」
    ロサートはフェラーリで約30年間を過ごし、ライコネン一家とも長年にわたって親しい関係を築いてきた。そのロサートが強調するのは、「ライコネン」という有名な名字を利用することではなく、ロビン本人の成長に適した環境を選ぶことだ。

    「僕たちは、名前にとって何がベストなのかではなく、子どもにとって何がベストなのかを考えなければならない」

    「名前が扉を開いてくれることはある。その扉を開いたままにしておくためにも、適切なプログラムに入り、適切な人たちに囲まれるようにしなければならない」

    ロビンはすでにカートで才能の片鱗を見せている。ただし、父キミと母ミントゥは息子の将来について慎重な姿勢を崩していないという。

    キミは「息子は次のセナ」と騒ぐ親ではない
    ロサートによれば、キミ・ライコネンは息子の才能を冷静に見極めており、F1ドライバーになることを無理に求めるつもりはない。

    「キミはとても現実的だ。『俺の息子は次のセナだ』と言うような熱狂的な親にはならない」

    「もし、ある時点でロビンが興味を失っている、あるいはうまくいっていないとキミが判断すれば、これを続けさせることはないと思う」

    一方でロサートは、ロビンに父親を思わせる特徴があるとも語っている。

    「彼は静かだ。本当に静かだ。そして速い」

    さらに、モータースポーツへの情熱も誰かに植え付けられたものではないという。

    「朝から晩まで、そればかり考えている。キミがそう仕向けたわけではない」

    カートからF4、F3、F2、そしてF1へ
    今後もロビンが順調に成長を続ければ、特別な近道ではなく、他の若手ドライバーと同じステップを踏ませる方針だという。

    「まずアカデミーに入り、そこから少しずつステップアップしていく。F4、F3、F2、そしてF1だ。他のみんなと同じようにね」

    キミ・ライコネンは2001年にザウバーからF1デビューし、マクラーレン、フェラーリ、ロータス、アルファロメオでF1を戦った。2007年にはフェラーリ移籍初年度にワールドチャンピオンを獲得している。

    その息子ロビンが同じF1への道を歩むことになるのかは、まだ非常に早い段階にある。ただ、単なる将来の夢ではなく、具体的な育成プログラムの選択肢を周囲が検討する段階に入ったことは確かだ。ロサートが示唆した「今年中の大きなニュース」が、ロビン・ライコネンのキャリアにとって最初の大きな一歩となる可能性がある。

  • 岩佐歩夢 レッドブルF1のRB22で117周 2027年タイヤ3種類をテスト

    岩佐歩夢 レッドブルF1のRB22で117周 2027年タイヤ3種類をテスト

    ピレリは、2027年F1シーズンに向けたタイヤ開発テストの2日目をムジェロ・サーキットで実施した。岩佐歩夢がレッドブル・レーシングのRB22で117周を走行し、この日参加した3人のドライバーで唯一、C1、C2、C3の全3種類のコンパウンドをテストした。

    2日目には岩佐歩夢のほか、マクラーレンのランド・ノリス、アウディのニコ・ヒュルケンベルグが参加。2027年用ラインナップのなかでも最もハード側となる3種類のコンパウンド開発に重点が置かれた。

    岩佐歩夢がRB22でC1、C2、C3をすべてテスト
    岩佐歩夢はレッドブル・レーシングのRB22をドライブし、午前中を中心にC1とC2の評価に取り組んだ。午後には複数のC3プロトタイプを比較するスクリーニング走行を実施。この日、3種類すべてのコンパウンドを試したのは岩佐歩夢だけだった。

    岩佐歩夢は合計117周、614kmを走行。ベストタイムは1分23秒414を記録した。

    一方、ランド・ノリスは一日を通してC2の開発に専念した。午前中に複数のプロトタイプを評価し、午後にはそのなかから有望と判断された仕様をさらに詳しく比較した。

    ノリスは115周、603kmを走行し、ベストタイムは1分21秒899だった。

    ニコ・ヒュルケンベルグはC2とC3を組み合わせたプログラムを担当。3人で最多となる121周、635kmを走り、1分24秒012のベストタイムを記録した。

    岩佐歩夢(レッドブル・レーシング)

    2日間で2948kmを走破
    ムジェロで行われた今回のテストは2日間の日程で実施され、初日にはマクラーレンのオスカー・ピアストリとレッドブル・レーシングのリアム・ローソンが走行した。

    5人のドライバーによる2日間の総走行距離は2948kmに達した。2日目は路面温度が最高52度まで上昇するコンディションとなり、2027年に向けたドライタイヤ開発のための貴重なデータが収集された。

    ピレリによる次回のドライタイヤ開発テストは9月15日と16日にイモラで予定されており、フェラーリとレーシングブルズが参加する。

    岩佐歩夢にとっては、RB22で117周を走り込み、2027年F1タイヤのハード側3種類すべてを評価する重要な役割を担ったテストとなった。

  • マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンは、F1オランダGPでMCL40に投入したアップデートによって単にダウンフォースを増やしただけではない。新たに導入されたフロントホイールとホイールカバーには、フロントタイヤをより効率的に温める狙いがあり、ザントフォールトでの予選パフォーマンスを支える重要な要素となった。

    ランド・ノリスがハンガリーGPに続く2連勝を飾ったことで、マクラーレンの開発が明確な成果を上げていることが示された。

    MCL40は夏休み前後に投入されたアップデートによって不足していた空力荷重を補うと同時に、タイヤを適切な作動温度へ持ち込むという別の課題にも手を入れていた。

    高速かつ長いコーナーで強さを増したMCL40
    マクラーレンの強みはスペインGPですでに表れ、スパではそれまでで最も競争力の高いMCL40が姿を見せていた。

    重要なのは、単純にコーナリングスピードが高いことではない。高速コーナーが長く続き、マシンに継続的な空力荷重が求められる状況になるほどMCL40の競争力が高まる傾向がある。アップデートによって追加されたダウンフォースが、そうした区間で大きな効果を発揮している。

    その改善幅はマクラーレン自身の予想を上回るものだった。特に高速セクションで示した強さはチーム内部の期待以上であり、MCL40は高ダウンフォースを要求されるサーキットで基準となる存在へと変化した。

    しかし、ザントフォールトでの勝利を読み解くうえでは、空力アップデートだけに注目するのは十分ではない。オランダGPでは、フロントタイヤの温度管理を目的とした新しいホイールも投入されていた。

    新フロントホイールの狙いはタイヤ温度
    マクラーレンのテクニカルディレクターのひとりであるニール・ホールディは、オランダGPを前に今回のアップデートについて説明していた。

    「フロア後部に小さな変更を加え、少し追加のダウンフォースを生み出せるようにした。それに加えて、リアブレーキダクトにもいくつか小規模な変更を施している」

    「さらに新しいフロントホイールも導入した。これによってタイヤにより多くの温度を発生させることができる。これらのアップデートはラップタイムという意味では大規模なものではないが、僕たちの競争力を少し高める助けになる」

    この変更が重要なのは、MCL40が今季抱えてきた弱点のひとつに直接働きかけるものだからだ。

    モナコで露呈したフロントタイヤの課題
    アンドレア・ステラ代表はオランダGP後、ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも高いダウンフォースを要求するため、MCL40の特性に適していたと説明した。

    一方で、同じく高ダウンフォース仕様が用いられるモナコでは状況が異なっていた。ステラはモナコGPを前に前年のように優勝争いへ加わることへの期待を隠していなかったが、実際のMCL40は期待されたほどのパフォーマンスを発揮できなかった。

    原因は単純な低速コーナーへの適性ではない。モンテカルロではセットアップの自由度が比較的高く、他のサーキットほど妥協を強いられない。それでもマクラーレンは必要なダウンフォースを十分に確保できず、さらにフロントタイヤを素早く適正温度に入れることにも苦戦した。

    フロントタイヤを十分に機能させられなければグリップを引き出すことができない。同様の傾向はオーストラリアGPや中国GPでも確認されており、MCL40はグレイニングにも苦しんでいた。

    つまりマクラーレンにとって、空力性能の向上とタイヤ温度の管理は別々のテーマではなく、マシン全体のパフォーマンスを引き出すために同時に解決すべき課題だった。

    ザントフォールト予選で表れた効果
    ザントフォールトでも週末を前に懸念されていたのが、フロントタイヤにグレイニングが発生する可能性だった。実際にはグレイニングは比較的限定的だったが、より重要だったのはドライコンディションでタイヤを素早く適正温度まで上げられるかどうかだった。

    その違いは予選Q3最後のアタックで明確に表れた。

    マクラーレンはアタックに入るとすぐにタイヤを機能させ、ランド・ノリスがポールポジションを決めるタイムを記録した。一方、フェラーリをはじめとする一部のライバルはタイヤを十分に温めることに苦戦し、さらに1周を費やして温度を作る必要があった。

    わずかな違いに見えるが、予選ではタイヤをいつピークの状態に持ち込めるかがアタックの成否を左右する。特にザントフォールトのようにタイヤへの要求が厳しいサーキットでは、その差が直接ラップタイムへつながる。

    2026年に再び開発領域となったホイール
    この改善の背景には、F1の技術規則におけるホイール開発の変化もある。今季からホイールの開発自由度が再び広がったことで、各チームにとってタイヤの温度と作動圧力を管理するための新たな開発領域となっている。

    ホイールの構造には、空気の流れ方をコントロールするための空間や形状を設けることができる。それによってホイール周辺を流れる空気を受動的に制御し、ホイール自体の温度、さらにタイヤへ伝わる熱を調整することが可能になる。

    タイヤを直接変更することはできなくても、その周囲の熱環境をコントロールすることで、タイヤを狙った作動領域へ近づけられるというわけだ。

    マクラーレン F1

    エンケイ製フロントホイールと閉じたホイールカバー
    マクラーレンはザントフォールトで、まさにこの領域へ変更を加えた。

    変更されたのは、長年のパートナーである日本のエンケイが製造するフロントホイールだ。新仕様ではホイール内部の温度をより高く維持し、その熱をタイヤへ伝えることでフロントタイヤのウォームアップを促進することを狙っている。

    同時にホイールカバーも変更され、従来より閉じた形状が採用された。外部から入ってくる冷たい空気の影響を抑えることでホイールが冷却されすぎるのを防ぎ、より高い温度を維持しやすくしている。

    興味深いのは、変更がフロントだけに限定されたことだ。

    リアは変更せず 前後で異なる温度管理
    リアホイールについては従来仕様が維持された。これはザントフォールトで各チームがリアタイヤの消耗にも苦しんでいたことと無関係ではない。

    週末を通じて強い風が吹き、マシンは高速コーナーでスライドしやすい状況にあった。こうした場面ではダウンフォースが大きいほどマシンを安定させやすいが、スライドが増えればリアタイヤへの負荷も高まる。

    さらに低速コーナーからの立ち上がりではリアタイヤに大きなトラクション負荷がかかる。そのためリア側については、フロントと同じように積極的に温度を上げる必要性はなかった。

    マクラーレンは前後で異なるタイヤの要求を見極め、ウォームアップに課題を抱えるフロント側だけに変更を集中させたことになる。

    空力だけではないマクラーレンの開発
    MCL40がハンガリーとザントフォールトで示した速さは、高ダウンフォース型サーキットとの相性だけで説明できるものではない。

    夏休み前後のアップデートによって空力荷重そのものを増やす一方、マクラーレンはホイールという細かな領域にも手を入れ、タイヤをより早く適正な作動温度へ入れるための改善を進めている。

    新しいフロントホイールだけで大幅なラップタイム短縮が得られるわけではない。しかし、予選の1周でフロントタイヤを素早く機能させられること、そしてマシンが本来持つダウンフォースを確実にグリップへ変換できることは、僅差のF1では大きな意味を持つ。

    ザントフォールトでの勝利は、MCL40が単にダウンフォースを増しただけではなく、空力とタイヤ温度管理を組み合わせることで、マシン全体の性能をより安定して引き出せるようになったことを示す結果でもあった。

  • レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1シーズンに導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)の第2評価期間の結果を公表した。第1期間で最も高い性能を持つパワーユニット(PU)と判定されたレッドブル・フォード・パワートレインズには、第2期間でも追加のホモロゲーション枠は与えられなかった。

    これにより、レッドブルは2026年シーズン終了までADUOを利用したPUアップグレードを行うことができない。

    一方、第1期間の評価で基準となるレッドブルから一定以上の性能差があると判定されたメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには、すでに追加開発の機会が認められている。

    第2回ADUOでは全メーカーに追加枠なし
    FIAは水曜日、2026年のADUOについて、第1期間と第2期間の評価結果を正式に発表した。

    第1期間はカナダGP終了後、第2期間はハンガリーGP終了後に評価が締め切られた。

    そのなかでFIAは、第2期間について「いずれのパワーユニットメーカーにも追加のホモロゲーションは付与されなかった」と明らかにした。

    つまり、第1期間で追加開発の対象外だったレッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第2期間は新たな開発機会を得るチャンスとはならなかった。

    ADUOは、2026年から始まった新しいPUレギュレーションの下でメーカー間の性能差が大きくなった場合、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与えるために導入された制度だ。

    評価基準となる最上位メーカーとの性能差に応じて、追加ホモロゲーションやダイナモテスト、コストキャップ面での追加枠が認められる。

    レッドブルが「最強PU」と正式認定
    FIAの今回の発表によって、第1期間の評価でレッドブル・フォード・パワートレインズが最も高い性能を持つPUと判定されていたことも正式に確認された。

    これは2026年シーズン序盤のF1パドックで広く共有されていた認識とは異なるものだった。

    開幕からのパフォーマンスを受け、メルセデスが最も競争力の高いPUを持っているとの見方が強かったが、FIAの分析ではレッドブルが基準となった。

    メルセデスはレッドブルに対して2〜4%の性能差があるカテゴリーに分類され、2026年に1回、2027年に2回の追加ホモロゲーションが認められた。さらにコストキャップとダイナモテストについても追加枠を得る。

    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダはいずれも4%を超える性能差があると判定されたため、2026年と2027年にそれぞれ2回の追加アップグレード機会が認められている。

    レッドブルはFIAの評価に反発
    レッドブル側は、第1期間で自社PUが最高性能と評価されたことに疑問を呈してきた。

    チーム代表のローラン・メキースは、レッドブル・フォード・パワートレインズがライバルをリードしていることを示す「データポイントはひとつもない」と主張し、FIAに事実関係の再検討を求めていた。

    モナコGP後にこの評価が明らかになった際には、その後数週間以内にFIAから正式な発表が行われるとみられていたものの、公表は見送られていた。

    今回、FIAが第1期間と第2期間の結果をまとめて発表したことで、少なくともADUOの評価上ではレッドブルが基準メーカーであることが正式に確定したことになる。

    そして第2期間でも追加ホモロゲーションが認められなかったことで、レッドブルは少なくとも2026年中、ADUOによる追加アップグレードの恩恵を受けることができない。

    レッドブル・レーシンフ

    FIA「分析結果には高い信頼性がある」
    ただしFIAは、各メーカーの具体的な性能指数については公表しない方針を示している。

    FIAは声明で「この情報の機密性を考慮し、パワーユニットの性能指数測定に関するこれ以上の詳細は公表されない」と説明した。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、ADUOの評価について次のように語った。

    「FIAはADUOのレビュー過程の一環として、徹底的かつ包括的な分析を行った」

    「第2期間の結果を公表するにあたり、データの質を踏まえれば、その分析は極めて堅牢なものであり、我々の結論には非常に高い信頼性があると確信している」

    一方で、PUメーカーの技術情報をどこまで公開できるかには限界があると説明する。

    「結果の詳細を公表するにあたっては、チームとパワーユニットメーカーの機密性、そして知的財産を尊重しなければならない」

    また、ADUOが導入初年度の制度であることから、将来的に仕組みが変更される可能性も認めた。

    「今年はADUOの初年度なので、当然ながら、すべてのPUメーカーと協議しながら今後発展させていく可能性のある領域も存在する」

    第3回評価が残っていてもレッドブルは救済対象外
    2026年シーズンのADUO評価はこれで終了ではない。第3評価期間はメキシコシティGP終了後に設定されており、そこで再び各メーカーのPU性能が評価される。

    ただし、レッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第3期間は2026年中の追加アップグレードを獲得する機会にはならない。

    ADUOの規則では、シーズン最初の2回の評価期間のいずれでも追加開発機会を与えられなかったPUメーカーは、そのシーズン最後の評価期間で新たにADUOの対象になることはできない。

    レッドブルは第1期間で最も高い性能を持つPUと判定され、ADUOを付与されなかった。さらに第2期間でも追加ホモロゲーションは認められなかったため、この条件に該当する。

    つまり、第3期間の評価で勢力図が変化し、仮にレッドブルがライバルメーカーに対して性能面で後れを取る結果になったとしても、それを理由として2026年中の追加ホモロゲーションを新たに獲得することはできない。

    一方、第1期間の評価ですでにADUOの対象となったメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには追加開発の機会が認められている。

    初の自社開発F1パワーユニットを投入したレッドブルにとって、第1、第2期間でADUOを獲得できなかったことで、2026年中に同制度を利用してPUを追加アップグレードする道は閉ざされたことになる。

  • ウィリアムズF1 ルーク・ブラウニングをイタリアGPのFP1に起用

    ウィリアムズF1 ルーク・ブラウニングをイタリアGPのFP1に起用

    ウィリアムズは、2026年F1第13戦イタリアGPのフリー走行1回目(FP1)で、リザーブドライバーのルーク・ブラウニングを起用すると発表した。ブラウニングはアレクサンダー・アルボンに代わってFW48をドライブする。

    24歳のブラウニングにとって、今季のF1公式セッションへの参加はオーストリアGP以来となる。2026年はウィリアムズのリザーブドライバーを務めながら、日本のスーパーフォーミュラにも参戦しており、モンツァではこれまでの経験を生かしてチームのマシン開発にも貢献することになる。

    ウィリアムズ育成からリザーブへ FP1経験を積むブラウニング
    ブラウニングは2023年にウィリアムズ・ドライバー・アカデミーへ加入。その後、F1で義務付けられているルーキー起用枠の一環として、チームのマシンを複数回ドライブしてきた。

    F1公式セッションへの初参加は2024年アブダビGPのFP1だった。それ以降もさらに4回のフリー走行に出走し、2026年シーズン開幕時にはウィリアムズのリザーブドライバーへ昇格した。

    今季はリザーブとしての仕事と並行して、日本のスーパーフォーミュラに参戦。実戦で経験を積みながら、ウィリアムズではシミュレーター作業などを通じてF1チームの開発にも携わっている。

    ブラウニングは当初、今季のスペインGPとオーストリアGPの両方でFW48をドライブする予定だった。しかし、バルセロナでは電気系の問題によって走行することができなかった。

    その後、レッドブル・リンクで行われたオーストリアGPのFP1では予定どおりFW48をドライブし、18番手を記録。レギュラードライバーのアルボンとの差は0.3秒だった。

    ルーク・ブラウニング(ウィリアムズ・レーシング)

    F1のルーキー起用規定でアルボンがFP1を譲る
    F1のレギュレーションでは、各レギュラードライバーがシーズン中に2回、ルーキーにフリー走行のシートを譲ることが義務付けられている。

    ここでいうルーキーは、F1グランプリの決勝レースへの出走経験が2戦以下のドライバーと定義される。ウィリアムズは今回、アルボンのマシンをブラウニングに託し、この義務を消化する。

    ブラウニングはモンツァで再びFW48をドライブできることへの喜びを語った。

    「アトラシアン・ウィリアムズF1チームで、またFP1を走る機会をもらえて本当にうれしい」

    「FW48で貴重な周回を重ねながら、マシンへの理解を深め、グローブに有益なデータとフィードバックを持ち帰るための素晴らしい機会だ」

    「セッションを走るたびに新しいことを学べる。この経験から得られるものをすべて吸収して、自分自身の成長とチームの前進につなげていきたい」

    「今週末については、ここモンツァで最大限の結果を得られるよう、ウィリアムズをサポートすることが重要だ」

    シミュレーターでもFW48開発を支援
    2026年のウィリアムズは厳しいシーズンを過ごしている。マシン開発の遅れに加え、FW48は明確なペース不足を抱えており、グリッド後方で苦戦する状況が続いている。

    そうしたなか、ブラウニングはシミュレーターで重要な作業を担当し、舞台裏からマシンの改善を支えてきた。モンツァでのFP1では実車から得た感触をシミュレーターでの経験と結びつけ、チームに直接フィードバックできる機会となる。

    イタリアGPのFP1は9月4日(金)の現地時間12時30分にスタートする。ブラウニングにとっては自身の成長を示すだけでなく、苦戦が続くウィリアムズのFW48について実走データを収集し、チームの週末を支える重要なセッションとなる。

  • フランコ・コラピント アルピーヌF1残留決定 2027年もガスリーとコンビ

    フランコ・コラピント アルピーヌF1残留決定 2027年もガスリーとコンビ

    BWTアルピーヌF1チームは8月27日、フランコ・コラピントが2027年F1世界選手権でもレースドライバーを務めることを正式発表した。これにより、2027年もピエール・ガスリーとのコンビを継続することが決定した。

    コラピントは2026年に大きな成長を遂げ、ここまで12戦中6戦でポイントを獲得して計19ポイントを記録。アルピーヌはドライバーラインアップの継続性を重視し、2025年から続くガスリーとコラピントの体制を2027年も維持する。

    コラピントが2027年もアルピーヌF1に残留
    アルピーヌは2027年のドライバーラインアップを確定させ、23歳のフランコ・コラピントが引き続きピエール・ガスリーとともに戦うことを発表した。

    コラピントにとって2026年は飛躍のシーズンとなっている。ここまで19ポイントを獲得し、12戦のうち6戦で入賞。中国GPで10位に入った後、5月のマイアミGPでは当時の自己最高となる7位フィニッシュを果たした。

    その2週間後のカナダGPではさらに自己最高を更新し、6位でフィニッシュ。成熟したレース運び、粘り強さ、そして持ち前の才能を示す走りとなった。

    アルピーヌは、コラピントがチームとの良好な関係を築きながら成長を続け、エンストンをF1における自分のホームと感じるまでになったとしている。

    ガスリーとのコンビは3シーズン目へ
    コラピントの2027年残留と、チームが示した相互の信頼は、アルピーヌが将来に向けて安定性と継続的な前進を求めていることを示すものでもある。

    コラピントとガスリーが初めてチームメイトとなったのは2025年。コラピントが同年のF1エミリア・ロマーニャGPでアルピーヌからデビューして以来、両者は強固な関係を築いてきた。2027年は同じコンビで迎える3シーズン目となる。

    2026年は改善されたシャシーとパワーユニットのパッケージもあり、アルピーヌはコンストラクターズ選手権6位につけている。中国、カナダ、スペイン、イギリスの4戦ではダブル入賞を達成した。

    23歳のコラピントはこれまでF1で38戦に出走。グリッドでも経験豊富なドライバーのひとりであり、コラピントにとって理想的なチームメイトと位置づけられるガスリーとの組み合わせを、アルピーヌは今後のチームを前進させるうえで最適なコンビだと評価している。

    フランコ・コラピント(アルピーヌF1チーム)

    ブリアトーレ「フランコはF1にいるべきドライバー」
    アルピーヌのフラビオ・ブリアトーレは、ドライバーラインアップを継続することの重要性を強調。その一方で、チームにとって最大の優先事項は速いF1マシンを作ることだと語った。

    「フランコがピエールとともにレースドライバーとして残り、2027年のドライバーラインアップを確定できたことをとてもうれしく思う」

    「私にとって継続性は非常に重要だ。これでドライバーに関しては落ち着いた状態になった。何度も言ってきたように、これはパズルの重要なピースではあるが、我々が正しくやらなければならない最も重要なことは、速いレーシングカーを設計し、作ることだ。それが我々の最優先事項であることに変わりはない」

    「今年、フランコが本当に成長し、素晴らしいドライバーへと成熟していく姿を見てきた。特にマイアミとモントリオールでの結果は、私がすでに分かっていたことを証明した。フランコはF1にいるべきドライバーであり、このチームにいるべきドライバーだ」

    「フランコとピエールの両方がコース上で素晴らしい仕事を続け、チーム全体がこのスポーツの先頭で戦い、勝てるようになるまで絶え間なくプッシュし続けることを期待している」

    コラピント「ここに残れることをとてもうれしく思う」
    コラピントはアルピーヌへの残留を喜び、2026年にチームが前年から大きな進歩を遂げたことにも手応えを示した。

    「2027年もこのチームに残れることをとてもうれしく思う。ここではとても幸せだし、すっかり馴染んでいる。今年は昨年と比べて大きく前進できているので、さらにうれしい」

    「まだ達成しなければならない目標はたくさんあるし、チームがパフォーマンスを見つけて、マシンをどんどん良くするために本当に懸命に取り組んでいることも分かっている」

    「長期的な目標は明確だ。戦って勝つこと。その将来に向けて僕をドライバーのひとりとして信頼してくれたチーム、フラビオ、スティーブに感謝している」

    「これからすべてがどう展開していくのか楽しみにしているし、何よりもまずコース上で自分の仕事に集中していきたい」

    アップグレード版A526でイタリアGPへ
    アルピーヌにとって、モンツァを前にドライバー契約を発表するのは2年連続となる。約1年前にはガスリーがイタリアGPを前にチームへの将来を託す決断を発表しており、今回はコラピントが自身の将来を確定させた。

    コラピントは次戦イタリアGPでアップグレードされたA526のパッケージを使用する予定となっている。

    2027年の残留決定によってドライバー面での安定を確保したアルピーヌ。ガスリーとコラピントという継続したラインアップのもと、チームは次の段階として、ブリアトーレが最優先事項に掲げる「勝てるF1マシン」の実現を目指していく。

  • フェラーリF1 カマラの2027年ハース加入を猛プッシュ「全面的に支援」

    フェラーリF1 カマラの2027年ハース加入を猛プッシュ「全面的に支援」

    フェラーリは、育成ドライバーのラファエル・カマラを2027年にF1へ昇格させるべく、ハースへの加入を強力に後押ししている。チーム代表のフレデリック・バスールは、金銭的な支援だけでなく、旧型F1マシンを使用したTPC(Testing of Previous Cars)にも多額の投資を行っていることを明かした。

    カマラがハースのシートを獲得すれば、すでにフェラーリ育成出身のオリバー・ベアマンが所属していることから、ハースとフェラーリの関係はさらに深まることになる。

    2027年のシートを巡ってはマクラーレンがレオナルド・フォルナローリを強力に推しているとも報じられており、若手有望株を巡る両陣営の争いにも注目が集まっている。

    フェラーリがカマラの2027年F1昇格を全面支援
    現在、フェラーリはハースにパワーユニットを供給しており、両チームは長年にわたって緊密な関係を築いている。

    この提携は、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の若手にF1参戦の機会を与えるという面でも重要な役割を果たしてきた。現在ハースからF1に参戦しているベアマンは、その代表的な例である。

    そしてフェラーリは今、カマラについても同じ道を歩ませようとしている。

    ブラジルメディア『UOL』のジュリアン・セラソーリに対し、バスールはフェラーリがカマラの2027年F1昇格に向けて非常に大きな支援を行っていることを明らかにした。

    「我々はラファエルを全面的に支援している。単に金銭的な支援だけではない」

    「もちろん金銭面でも支援しているが、今年は旧型マシンを使ったトレーニングにも多額の投資をしてきた」

    「そのコストは金銭的な支援よりもはるかに大きい。来週のテスト、そして来シーズンに向けて、彼を可能な限り最高の状態に準備するためだ」

    さらにバスールは、パートナーであるハースがカマラをF1へ昇格させる方法を模索するとの見通しを示した。

    「パートナーであるハースは、来年彼をF1に送り込むための最善の方法を見つけようとしてくれるだろう」

    フェラーリのチーム代表がここまで具体的に支援内容を明かしたうえでハースに言及したことからも、カマラの2027年F1昇格を強く後押ししていることがうかがえる。

    金銭支援以上のコストをTPCに投入
    バスールが強調したのは、フェラーリによるカマラへの支援が単なる資金提供にとどまらないという点だ。

    フェラーリは2026年、カマラに旧型F1マシンを走らせるTPCの機会を与え、F1マシンへの適応を進めている。バスールによれば、このプログラムに要するコストはカマラへの直接的な金銭支援を「はるかに」上回るという。

    つまりフェラーリは、カマラを育成ドライバーとして抱えているだけでなく、2027年のF1デビューを見据えて実戦的な準備にも相当なリソースを投入していることになる。

    カマラは数週間前の時点で2027年のハース加入候補の本命とみられていた。フェラーリとの強いつながりに加え、今回バスールが明らかにした支援体制も、その可能性を後押しする材料となっている。

    フレデリック・バスール(スクーデリア・フェラーリ)

    ベアマンとカマラならフェラーリ育成2人の布陣
    カマラが2027年にハースへ加入した場合、同チームはベアマンとカマラという2人のフェラーリ系ドライバーを起用することになる。

    そうなればフェラーリとハースの関係はさらに強固なものになる。パワーユニット供給だけでなく、フェラーリが育成した若手ドライバーにF1で経験を積ませる役割をハースが担う構図がより鮮明になるためだ。

    これは、レッドブル・レーシングがレーシングブルズを若手育成の場として活用している構図にも似ている。ただし、レッドブル・レーシングとレーシングブルズが同じ企業グループに属しているのに対し、フェラーリとハースにはそのような資本上の関係はなく、あくまでパートナーシップを通じた協力となる。

    一方、2027年にはエステバン・オコンがハースのシートを失う可能性も取り沙汰されており、その場合に空くシートを誰が獲得するかが焦点となっている。

    マクラーレンもフォルナローリを強力にプッシュ
    ただし、カマラのハース入りが決まったわけではない。もうひとりの有力候補として浮上しているのが、マクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリだ。

    セラソーリの報道によれば、カマラへの投資とフェラーリからの強力な後押しによって、当初はカマラが2027年のハースのシートを獲得する最有力候補となっていた。

    しかし、マクラーレンもフォルナローリに2027年のハースのシートを獲得させるため、フェラーリに負けないほど積極的に働きかけているという。マクラーレン側は、フォルナローリがすでにF1参戦に十分な準備を整えていると考えている。

    さらに、マクラーレンがハースを動かすような魅力的な条件を提示する可能性もあるとされている。

    ここで複雑な要素となるのが、ハースのテクニカルパートナーでありタイトルスポンサーでもあるトヨタの存在だ。

    トヨタは平川亮のF1参戦を支援しており、フォルナローリがその将来にとって脅威になると判断した場合、マクラーレン側の提案に難色を示す可能性があるという。

    現時点ではカマラが2027年のハース加入に向けた有力候補とみられているものの、マクラーレンがどのような条件を提示するかによっては、フォルナローリに流れが傾く可能性も残されている。

    フェラーリにとって、カマラのF1昇格は育成ドライバーひとりの将来だけにとどまらない。ベアマンに続いてカマラもハースに送り込むことができれば、フェラーリとハースの提携はドライバー育成の面でもさらに深まる。金銭面に加えてTPCにも大規模な投資を行っているというバスールの発言からは、フェラーリがカマラの2027年F1デビュー実現に本腰を入れていることが伝わってくる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダが2026年F1シーズン後半に入って競争力を大きく引き上げている。ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は、オランダGPで示されたライバルのレースペースを目の当たりにし、「今や別のリーグ」とその差を認めた。

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤、ホンダとの新たなワークス体制で苦戦。マシンは速さと信頼性の両面で課題を抱えていた。

    しかし、ハンガリーGPで今季初となる大型アップグレードを投入し、さらにオランダGPではホンダもパワーユニットのアップグレードを投入。シーズン序盤とは異なる競争力を見せ始めている。

    サインツJr.「今の彼らは別のリーグにいる」
    一方、ウィリアムズにとってオランダGPは厳しい週末となった。サインツJr.は現在のチームの立ち位置について、事前に予想していた範囲だとしながらも、アストンマーティンとの差が大きく開いていることを認めた。

    「僕たちはだいたい予想していた位置にいる。つまり後方だ」

    「現時点で僕たちより速くないのはキャデラックだけだ。アストンマーティンのレースペースを見ただろう。今の彼らは別のリーグにいる」

    「僕たちは彼らとは戦えなかった。というか、正直、誰とも戦えなかった」

    アストンマーティンはシーズン序盤、ホンダの新パワーユニットとともに厳しいスタートを切ったが、ハンガリーGPで今季初となる大規模なアップグレードを投入。マシンのパフォーマンスを大きく向上させた。

    さらにザントフォールトでは、ホンダ側もパワーユニットのアップグレードを投入。車体とパワーユニットの双方で開発が進んだことで、アストンマーティン・ホンダは開幕当初とは異なる競争力を発揮するようになった。

    オランダGPではフェルナンド・アロンソが18番グリッドから追い上げて9位に入り、ポイントを獲得。サインツJr.にとっても、そのレースペースはウィリアムズでは対抗できないと認めざるを得ないものだった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームを警戒するカルロス・サインツJr.

    アルボンとの接触「大したものを争っていたわけではない」
    ウィリアムズの厳しい週末は、決勝終盤にさらに悪化した。サインツJr.はチームメイトのアレクサンダー・アルボンとポジションを争うなか、ターン1への進入でフロントタイヤをロックさせて接触。アルボンはこのアクシデントによってリタイアを余儀なくされた。

    「レース終盤、アレックスと僕はただ楽しみながら走っていた。でも残念ながら、ターン1のバンプで不意を突かれてフロントをロックさせてしまい、僕がミスをした」

    「でも正直なところ、僕たちが大したものを争っていたわけではない」

    シーズン序盤には速さと信頼性の両面で苦戦していたアストンマーティン・ホンダだが、相次ぐアップグレードによって状況は大きく変わった。サインツJr.の「別のリーグ」という言葉は、その進歩がライバルから見ても明確なものになったことを物語っている。

  • ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリス 2連勝もF1タイトル争いに慎重「今のマシンでは戦えない」

    ランド・ノリスはF1オランダGPで2連勝を飾り、マクラーレンの急速な進歩を印象づけた。しかし、2025年F1王者は自身の好調を額面通りには受け取っていない。

    ドライバーズ選手権首位のキミ・アントネッリとの差は83ポイントまで縮まったものの、現状のMCL40ではシーズンを通じてタイトルを争えるだけの力はないと考えている。

    その最大の理由が低速コーナーでの弱さだ。ハンガリーGPとオランダGPではマクラーレンの大型アップデートが威力を発揮した一方、次戦イタリアGPの舞台モンツァは長いストレートと低速シケインを組み合わせたまったく異なるコース。ノリスだけでなく、チーム代表のアンドレア・ステラもモンツァを今後のタイトル争いを占う重要な試金石と位置づけている。

    2連勝でも「簡単にタイトルを争えるとは言えない」
    ノリスは夏休みを挟んでハンガリーGPとオランダGPを連勝。さらに2戦連続でポールポジションを獲得し、選手権首位アントネッリとの差を83ポイントまで縮めた。

    しかし、ノリス自身は現在の結果だけを見てタイトル争いへの自信を深めているわけではない。

    「『ああ、残りのシーズンは簡単にチャンピオンシップを争える』と言えるほどの自信はない。確かに2戦連続で勝って、2戦連続でポールも獲っている。でも現時点では、チャンピオンシップを争うために必要なマシンを僕は持っていない」

    「かなり大きなことを言っているのは分かっている。でも去年、マシンに何が必要なのか、そして自分自身に何が必要なのかを理解した。今の自分がどのレベルにいて、どんなパフォーマンスを発揮できるのかも分かっているし、マシンに何が必要なのかも分かっている」

    「これからどんなサーキットが待っているのかも分かっていて、そこで僕たちがもっと苦戦することになるのも分かっている。でも、僕はもっと苦戦したくない」

    そのためノリスは、2連勝によってチーム内に安心感が生まれることを警戒している。

    「だから僕は自分の役割として、チームが気を緩めたり、少しでも満足したりしないようにしている。これまで以上に取り組まなければならない。チャンピオンシップを勝った過去2年間以上にね」

    最大の弱点は低速のタイトなコーナー
    ノリスが懸念している最大のポイントは、MCL40の低速コーナー性能だ。

    ザントフォールトの予選では、ターン7やターン8をはじめとする高速区間でメルセデス勢を大きく上回った。一方、低速区間では週末を通してタイムを失っていた。

    ノリスは、この弱点が土曜日のスプリントでシャルル・ルクレールに2番手を奪われた要因のひとつだったとも考えている。

    「間違いなく、低速はまだ僕たちの最大の弱点だ。特にタイトで曲がりくねったところだね」

    「もう少し流れるようなコーナーなら、それほど悪くない。ブダペストにも低速コーナーはあるけど、少し開けていて流れがある。低速ではあっても、あそこでは状況が良かった」

    「でも、本当にタイトで曲がりくねった場所になると、マシンはそれを好まない」

    そしてノリスは、低速性能を改善できれば状況は一変すると考えている。

    「この低速域を改善できれば、今シーズンのすべてのレースで勝てるという自信がある。でも改善できなければ、そう信じるのはずっと難しくなる」

    アントネッリもマクラーレンの急浮上を警戒
    選手権首位のアントネッリも、マクラーレンの進歩を無視できないと認めている。

    オランダGPでノリスに次ぐ2位となったアントネッリは、メルセデスがもはや明確な最速マシンではないとの認識を示した。

    「間違いなく、僕たちはもうグリッドで明確に最速のマシンではない。少なくとも今日のレースでは、おそらく2番目か3番目だった」

    「マクラーレンはものすごく大きなステップを踏んだ。特にハンガリー以降、大型アップデートパッケージを投入してからだ」

    アントネッリは選手権首位を維持しているが、2位にはチームメイトのジョージ・ラッセルとフェラーリのルイス・ハミルトンが並び、ともに59ポイント差。ノリスは83ポイント差の4位まで浮上した。

    83ポイントは依然として大きな差だが、逆転が数学的に非現実的な数字というわけではない。

    前年の同時期、マックス・フェルスタッペンは選手権首位オスカー・ピアストリから104ポイント差をつけられていた。それでもザントフォールト以降のレースでピアストリを合計115ポイント上回り、最終的にはノリスにわずか2ポイント差のランキング2位まで追い上げた。

    ノリスにも同様の追い上げが可能かどうかは、マクラーレンが異なる特性のサーキットでも現在の競争力を維持できるかにかかっている。

    ランド・ノリスとアンドレア・キミ・アントネッリ

    次戦モンツァがマクラーレンの本当の試金石
    次戦イタリアGPの舞台モンツァは、ザントフォールトやハンガロリンクとは正反対に近い特性を持つ。

    長いストレートに加え、低速シケインでの強いブレーキングが要求される。低速コーナーだけでなく、比較的大きな空気抵抗によってストレートスピードにも課題を抱えてきたマクラーレンにとって、厳しい条件が重なる可能性がある。

    ステラもモンツァでのパフォーマンスを重視している。

    「ザントフォールトとハンガリーで求められたものを考え、その次にモンツァで求められるものを考えれば、まったく異なる領域に入る」

    「もしモンツァでも我々の改善を確認できれば、残りのシーズンについてある程度楽観的に見ることができると思う。ただ、まずモンツァへ行き、長いストレートで我々のマシンが良いパフォーマンスを発揮できるかを確認する必要がある」

    「ドラッグが必ずしも我々のマシンの強みではないことは分かっている。また、例えばブレーキングが多いことも必ずしも強みではない。次戦に向けて確認しなければならないことはたくさんある」

    メルセデスも後半戦のアップデートを準備
    仮にマクラーレンがモンツァでも速さを証明したとしても、ライバルが現状のまま留まっているわけではない。

    メルセデスは今季前半、フェラーリやマクラーレンと比較して大型アップデートの投入回数を抑えてきた。チーム代表のトト・ヴォルフは、予算上限の余裕がなくライバルと同じペースで開発パーツを投入できないと説明する一方、年間を通じた予算配分を意図的に調整していることも明らかにしている。

    「我々には、シーズン前半のフェラーリやマクラーレンと同じペースでマシンに開発パーツを投入できるだけの資金がない」

    「以前にも話したが、最大のアップデートをいつ投入できるのか、そしてチャンピオンシップポイントをどう最適化するのかという計算に基づいて、シーズン全体にできるだけ均等に配分しようとしている。ただ、我々にできることをやるしかない」

    「だからこそ開発競争なんだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒を得る。それが我々の失っている部分だ」

    「だから、これからはシーズン序盤より厳しくなるだろう。ただ、シーズン終盤になっても彼らが今と同じだけのものをマシンに投入できるかどうかは分からない。序盤から中盤に多く使い、終盤には少なくするという異なる戦略を採っているチームもあるかもしれない」

    ヴォルフ「脅威なのはノリスだけではない」
    ヴォルフもノリスの急浮上を警戒しているが、メルセデスにとって脅威なのはマクラーレンだけではないと考えている。

    「もちろん脅威は十分に認識している。ノリスだけではない。ルイスとの差を見ても50ポイントほどしかない。それも我々が心配しなければならないことだ」

    「これは厳しい戦いになる。もっと接近する可能性もある。だから毎セッション、毎週末、最適な仕事をしなければならない。我々は組織としてレースに勝てるだけの力を持っていると思っている」

    一方でヴォルフは、マクラーレンが連勝したハンガロリンクとザントフォールトは、過去にも同チームが高い競争力を示してきたサーキットだったと指摘する。

    「彼らはここ2戦で勝った。ただ、その2つは過去数年も彼らが非常に強かったサーキットだ。だから次の数戦で我々が勢いを取り戻せるか見てみよう」

    ノリスの2連勝によって、2026年F1タイトル争いの構図は確実に変わり始めている。ただし、その勢いがマクラーレンの真の総合力を示すものなのか、それともハンガロリンクとザントフォールトというMCL40に適したコース特性によるものなのかは、まだ判断できない。

    長いストレート、低速シケイン、強いブレーキングという現在のマクラーレンが苦手とする要素が揃うモンツァは、その答えを示す最初の舞台となる。そこでMCL40が再び優勝争いに加われれば、83ポイント差からのノリスのタイトル防衛は、現実的なシナリオとして一段と存在感を増すことになる。

  • 角田裕毅 F1公式が「勝者」に選出 オランダGP電撃復帰で高評価

    角田裕毅 F1公式が「勝者」に選出 オランダGP電撃復帰で高評価

    2026年F1第12戦オランダGPを終え、F1公式サイトがザントフォールトで評価を高めた6組の「勝者」と、厳しい週末を過ごした5組の「敗者」を選出。急きょレーシングブルズからF1復帰を果たした角田裕毅が「勝者」のひとりに選ばれた。

    F1公式サイトのコレスポンデント、ローレンス・バレットは、角田裕毅について2026年型マシンを一度もドライブしていなかったにもかかわらず「ブランクを感じさせなかった」と高く評価。

    決勝は11位で惜しくもポイントを逃したが、2027年のフルタイムシート獲得を目指すタイミングで「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評した。

    以下、F1公式が選んだ6組の勝者と5組の敗者を掲載する。

    勝者:ランド・ノリス
    ランド・ノリスは、スプリントでジョージ・ラッセルに勝利を争うことができなかったため、ポールポジションからオランダGP決勝を制することができるのか、自身でも確信を持てずにいた。

    しかし、決勝では再スタートでキミ・アントネッリに先行を許したものの、中盤のハードタイヤで誰にも真似できないペースを発揮。アントネッリを抜き返し、さらにフェラーリのルイス・ハミルトンもオーバーテイクして首位を奪還した。

    これでノリスは2026年にアントネッリ以外で唯一となる2連勝を達成。F1通算13勝目で、そのうち10勝がポールポジションからの勝利となった。また、2021年にザントフォールトがF1カレンダーへ復帰して以降、すべてのオランダGPでポールシッターが優勝する記録も継続した。

    ドライバーズ選手権首位のアントネッリとは83ポイント差があり、ノリス自身はタイトル争いについて語ろうとはしなかった。それでも、ノリスとマクラーレンが現在のフォームを維持できれば、タイトル防衛の可能性は高まっていく。

    敗者:マックス・フェルスタッペン
    4度のF1ワールドチャンピオンが最後の地元オランダGPで再び特別な走りを見せることを期待し、ザントフォールトにはオレンジ色のファンが詰めかけた。しかし、その期待は1周目を走り切る前に消えた。

    フェルスタッペンは濡れた路面の最終コーナーで白線に触れたことでレッドブルの挙動を乱し、そのままバリアへクラッシュした。本人にけがはなかったものの、これまでオランダGPで一度も2位より下で終えたことがなかった記録は途絶えた。

    今季の1周目リタイアはモナコGPに続いて2度目。ドライバーズランキングは6位となり、選手権首位との差は130ポイントまで広がった。

    勝者:キミ・アントネッリ
    好スタートでノリスを抜き、決勝の一部をリードしたアントネッリにとって、今季7勝目につなげられなかったことには多少の失望が残ったはずだ。

    しかし、一歩引いて週末全体を見れば、選手権リーダーにとって再び成功と言える内容だった。FP1ではトップタイムを記録したものの、スプリント予選でフロアを損傷して以降は劣勢となり、決勝前までの3つの競争セッションではチームメイトのラッセルに上回られた。

    それでも大量ポイントが懸かった決勝では立て直し、力強い走りでラッセルのひとつ前となる2位でフィニッシュ。選手権リードを今季最大となる59ポイントまで拡大した。

    これで11戦連続で少なくとも1周をリード。次戦は母国イタリアGPとなる。エンジンコンポーネント交換によるグリッド降格ペナルティが予定されているとはいえ、好結果を手にモンツァへ向かう。

    敗者:ウィリアムズ
    ウィリアムズにとって、ザントフォールトは再び苦しい週末となった。カルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンのどちらもポイント争いに加われず、11チーム中10番手の速さまで後退したように映った。

    予選でQ2へ進んだのはアルボンだけで、サインツJr.をわずか0.022秒上回った。アルボンがサインツJr.に予選で勝ったのは今季3度目だった。

    決勝ではアルボンが序盤に4つポジションを上げたものの、徐々に後退。14番手を争うなかでサインツJr.と接触した。

    サインツJr.はこの接触について自身の責任を認めた。ただし、両者とも互いに腹を立てていたわけではなく、それ以上に大きな懸念となったのは、下位ポジションをチームメイト同士で争わなければならないほどマシンの根本的なペースが不足していたことだった。

    勝者:フェルナンド・アロンソ
    アストンマーティンは2戦連続でシャシーのアップデートを投入し、さらにホンダもパワーユニットをアップグレードしたが、スプリント予選ではSQ1、通常予選でもQ1を突破できず、日曜日を前に状況は決して明るくなかった。

    しかし、決勝ではフェルナンド・アロンソが見事なレースを披露した。ソフトタイヤで34周に及ぶ第1スティントを走り切り、1ストップ戦略を成立させて9位でフィニッシュした。

    アロンソにとって今季2度目のポイント獲得となり、自身とアストンマーティンの獲得ポイントは3点となった。厳しいシーズンを送ってきたチームが明確な上昇軌道に乗りつつあるとの期待を高める結果となった。

    敗者:ハース
    ハースにとっては、1周のペースでもロングランのペースでも苦戦する厳しい週末となった。

    オリバー・ベアマンは予選20番手に終わり、チームにとって今季最低の予選結果となった。決勝でも状況は好転せず、わずか2周でリタイア。今季3度目のDNFとなった。

    チームメイトのエステバン・オコンは、決勝では予選時よりもややペースが劣るように見え、ポイント争いに加わることができないまま52周目にリタイアした。

    これによりハースは2024年モナコGP以来となるダブルDNFを喫した。

    ランド・ノリス(オランダGP勝者)

    勝者:角田裕毅
    角田裕毅は、負傷したアイザック・ハジャーの代役としてリアム・ローソンがレッドブルへ昇格したことで、急きょレーシングブルズのF1シートに呼び戻された。しかも、2026年型マシンを一度もドライブした経験がない状態での復帰だった。

    しかし、角田裕毅にブランクを感じさせるところはなかった。コースに出た瞬間から速さを示し、すべての競争セッションを通じてルーキーのチームメイト、アービッド・リンドブラッドに近いパフォーマンスを見せた。

    予選では12番手を獲得し、10番手のリンドブラッドからわずか2つ後ろにつけた。決勝ではポイント獲得が見える位置まで浮上し、元チームメイトで友人でもあるピエール・ガスリーに対して鮮やかなオーバーテイクを成功させた。

    終盤にガスリーの逆転を許し、最終的には11位。惜しくもポイントには届かなかった。

    それでもF1公式は、2027年のフルタイムシートを探している角田裕毅にとって「非常に印象的なパフォーマンス」だったと評価。突然の復帰、そして2026年型マシン未経験という難しい条件のなかで、自らの存在価値を示す週末となった。

    敗者:バルテリ・ボッタス
    バルテリ・ボッタスには、なかなか流れが向いてこない。ザントフォールトではまずまずの週末を送り、予選ではチームメイトのセルジオ・ペレスを上回った。

    ペレスは実験的にマシンへ複数の変更を施したものの、それがうまく機能しなかった。ボッタスがペレスを予選で上回るのは、これで4戦連続となった。

    決勝の第1スティントも悪くなく、ウィリアムズからそれほど離されずに走っていた。しかし、今季の多くのレースと同様に、レースが進むにつれてその勢いは失われていった。

    最後はリアウイングに影響を及ぼす油圧系の問題によってリタイア。これで直近7戦のうち5戦でリタイアし、2026年通算では6度目のDNFとなった。これより多くのリタイアを喫しているのはランス・ストロールだけだ。

    勝者:リアム・ローソン
    角田裕毅と同様、リアム・ローソンもハジャーの負傷によって突然、大きな役割を任された。レーシングブルズからレッドブルへ昇格し、フェルスタッペンのチームメイトとしてオランダGPに臨んだ。

    ローソンには2026年型F1マシンの経験があり、好調な走りを続け、ミッドフィールドで最も力強いドライバーのひとりとして存在感を高めていた。

    それでも、前年にわずか2戦でシートを失ったレッドブルへ戻るという状況は簡単なものではなかった。

    しかし、12カ月前とは違うドライバーになったことを結果で示した。予選ではフェルスタッペンから0.1秒強の差につけ、決勝では見事な7位フィニッシュを達成した。

    これでポイント獲得は7戦連続。突然巡ってきたレッドブルでのチャンスをしっかりとものにした。

    敗者:ガブリエル・ボルトレト
    ガブリエル・ボルトレトはザントフォールトで速さを示し、スプリントとグランプリの両方で予選トップ10入りを果たした。

    しかし、スプリントでは9位となり、わずかにポイント獲得を逃した。

    決勝ではスタートでポジションを落とし、さらに1周目に360度スピンを喫して4つのポジションを失い、18番手まで後退した。

    そこから挽回を試みたものの、ポイント圏内まで戻ることはできず、最終的には13位。週末を通じて示していた速さを結果につなげることができなかった。

    勝者:ニコ・ヒュルケンベルグ
    ボルトレトとは対照的に、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグは日曜日に大きな成果を挙げた。

    まず1周目には、目の前でスピンしたボルトレトを驚異的な反応で回避。その後は力強いペースを発揮するとともにタイヤをうまく管理し、トップ10圏内へと順位を上げていった。

    最終的には8位でフィニッシュし、アウディのF1における自己最高順位に並んだ。

    ヒュルケンベルグ自身にとっても2戦連続のポイント獲得となった。それ以前の10戦では一度もトップ10でフィニッシュできていなかっただけに、流れを変える結果となった。

    オランダGPでは優勝したノリスや選手権リードを広げたアントネッリだけでなく、突然の代役起用という難しい状況に置かれた角田裕毅とローソンもF1公式の「勝者」に選ばれた。一方、地元で1周目にリタイアしたフェルスタッペンや、速さを結果につなげられなかったウィリアムズ、ハースらにとっては厳しいザントフォールトとなった。