投稿者: dbcheck

  • アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1は、AMR26Bのさらなる性能向上に向けて「重量」という課題に取り組んでいる。ハンガリーGPで投入された大幅改良型は空力面で前進し、ホンダもパワーユニットの性能向上を進めているが、マシンは依然としてF1の最低重量に達していないという。

    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、チームがモンツァとバクーでAMR26Bの軽量化を進め、最低重量まで引き下げることを短期的な目標としていると明かした。

    エイドリアン・ニューウェイ率いる技術陣にとって、空力開発やホンダF1パワーユニットの改善とは別の領域でラップタイムを削る重要な取り組みとなる。

    AMR26Bで状況が一変したアストンマーティン
    2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンは厳しい状況に置かれていた。新レギュレーションが導入された最初の10戦では、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが他チームと競り合うことさえ難しいレースが続いた。

    しかし、ハンガリーGPでAMR26Bと呼ばれる大幅改良型を投入し、さらにオランダGPでもアップデートを加えたことで状況は変化した。

    ザントフォールトではアロンソが18番グリッドから9位まで挽回してポイントを獲得。アストンマーティンが中団で戦えるだけの競争力を取り戻しつつあることを示した。

    そのパフォーマンス向上には空力面の進歩に加え、オランダGPで投入されたホンダF1パワーユニットの新仕様も一定の役割を果たした。ただし、パワー面での向上が確認された一方、新仕様ではドライバビリティに新たな課題も生じた。

    ホンダF1新PUはブレーキングとシフトダウンが課題
    次戦イタリアGPに向けた課題のひとつが、ホンダF1パワーユニットのドライバビリティ改善だ。

    オランダGPでは、特にブレーキングからシフトダウンにかけての挙動が安定せず、ドライバーがマシンの性能を最大限に引き出すうえで障害となった。

    デ・ラ・ロサは、改善すべきポイントについて次のように説明している。

    「新しいエンジンについては、ドライバビリティを改善しなければならない。特にブレーキングとシフトダウンの部分だ」

    この領域ではホンダ側の改善が重要になる。一方、アストンマーティン側ではAMR26Bそのものについて、空力アップデートとは異なる性能向上策が進められている。それがマシンの軽量化だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは依然として最低重量に到達せず
    デ・ラ・ロサによれば、AMR26Bはシーズン開幕時から抱えていた重量超過を完全には解消できておらず、現在も規定の最低重量より重い状態にある。

    「もうひとつ取り組んでいるのがマシンの軽量化だ。今後2戦、モンツァとバクーで最低重量の限界まで持っていくことを目指している。まだそこには到達していない。ウィリアムズも同じだ。これが短期的な目標になる」

    F1マシンでは最低重量を上回る余分な重量は、そのままパフォーマンス上の不利につながる。空力アップデートの場合、新しいパーツによってダウンフォースを増やしてもドラッグやマシンバランスなど別の領域に影響を及ぼす可能性がある。

    これに対して軽量化は、マシンの基本性能を底上げする手段となる。余分な重量を削減できれば、加速やブレーキング、コーナリングなど幅広い領域で恩恵を得られるためだ。

    モンツァからバクーにかけて段階的に軽量化
    アストンマーティンは、まずイタリアGPが行われるモンツァで軽量化の第1段階を進め、その後のバクーで最低重量への到達を目指す方針だという。その間に開催されるマドリードGPでは、この点に関する新たな変更は予定されていないとされる。

    AMR26Bの開発では、ニューウェイを中心に空力性能の改善が進められてきた。同時にホンダはパワーユニットの出力とドライバビリティ改善に取り組んでいる。そして、そこに軽量化という第3の開発軸が加わることになる。

    アストンマーティンにとって当面の課題は明確だ。ホンダF1パワーユニットではブレーキングやシフトダウン時のドライバビリティを改善し、シャシー側ではAMR26Bを最低重量まで近づける。モンツァとバクーは、ハンガリーから始まった復調をさらに確かなものにできるかを測る重要な2戦となる。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1残留へ「2027年まで契約延長」との報道

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1残留へ「2027年まで契約延長」との報道

    ルイス・ハミルトンがフェラーリとの契約を2027年まで延長する見通しだと報じられた。7度のF1ワールドチャンピオンとフェラーリの将来について、イタリアGP前にも正式発表される可能性があるという。

    2025年にフェラーリへ加入したハミルトンの契約は、当初から「2年+1年」の構成になっていると広く伝えられてきた。今回の報道では、その追加1年のオプションが行使され、少なくとも2027年までマラネロに残る方向で事実上固まったとされている。

    ハミルトンの2027年残留「間違いなく契約を延長する」
    スペインのF1ジャーナリスト、カルロス・ミケルは『El Partidazo de COPE』で、ハミルトンの去就について強い表現で見通しを語った。

    「現在のチームとの契約を間違いなく延長する人物として、ひとり名前を覚えておいてほしい。フェラーリのルイス・ハミルトンだ」

    「今日のうちに覚えておいてほしい。おそらくモンツァの直前に発表されることになるだろう」

    『Eurosport Italia』も同様に、ハミルトンが少なくとも2027年までフェラーリに残留すると報道。正式発表は9月のイタリアGP前後になる可能性があるとしている。

    現時点でフェラーリから正式な契約延長の発表はなく、報道段階ではある。ただし、ハミルトン自身もオランダGPを迎えるにあたり、フェラーリの現在の方向性について前向きな発言をしている。

    「パズルのピースが組み合わさった」フェラーリの変化を評価
    41歳のハミルトンはザントフォールトで、肉体的な状態に自信を示すとともに、チーム内で進められてきた改革が成果につながり始めているとの認識を示した。

    「パズルのピースが組み合わさってきた」

    「エンジニアリングやその他のプロセス、マシンの設計など、多くのことが変わった。全体として正しい方向に進んできたと思う」

    「僕が求めていたことを彼らはやってくれたし、結果を見ても、それが機能していることが分かる。昨年、僕がずっと言っていたことのひとつは、フェラーリはもっと革新的になるべきだということだった」

    ハミルトンは2025年に長年在籍したメルセデスを離れてフェラーリへ移籍。新たな環境への適応だけでなく、チームの技術面や開発プロセスについても改善を求めてきた。その要求が実際の変化につながっているという手応えは、契約を延長するとの報道とも整合する。

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    フェルスタッペンのレッドブル残留にも理解
    一方、ハミルトンはマックス・フェルスタッペンがレッドブルとの契約を2030年まで延長したことについても言及した。

    「彼は素晴らしいチームにいる」

    「長い間そこにいて、彼らは成功を重ね続けている。自分が快適に感じている場所に残ると言うのは、いつだって自然なことだ」

    「それは彼自身の選択だし、悪い選択ではない」

    フェルスタッペンの将来が固まったことで、F1のトップチームを巡るドライバー市場の大きな不確定要素のひとつは解消された。ミケルは、ハミルトンの契約延長も正式に決まれば、主要チームのラインアップはさらに固定化されるとの見方を示している。

    フェラーリとハミルトンの契約についてはまだ公式確認を待つ必要があるものの、本人はチームの技術的な方向性と内部改革を高く評価している。母国レースとなるモンツァを前に、フェラーリが2027年までのハミルトン残留を正式に打ち出すのかが注目される。

  • メルセデスF1 アントネッリの母国イタリアGPでPU交換 10グリッド降格へ

    メルセデスF1 アントネッリの母国イタリアGPでPU交換 10グリッド降格へ

    メルセデスF1は、2026年F1第13戦イタリアGPでアンドレア・キミ・アントネッリのパワーユニット(PU)を全面的に交換することを決定した。

    年間使用上限を超えるコンポーネントが投入されるため、アントネッリには10グリッド降格ペナルティが科される見通しだ。

    ドライバーズ選手権首位を走るアントネッリにとって、モンツァは母国レース。メルセデスはシーズン序盤に発生した信頼性問題の影響で複数のPUコンポーネントが使用上限に達しており、シーズン終了までにペナルティを受けることは避けられない状況だった。

    メルセデスがモンツァで「フル交換」を決断
    F1ではシーズン中に使用できるPUコンポーネントの数が制限されており、規定数を超えた場合にはグリッド降格ペナルティが科される。

    アントネッリはすでにV6エンジンとエキゾーストシステムが使用上限に達している。メルセデスは複数のグランプリにペナルティを分散させるのではなく、モンツァで主要なPUコンポーネントをまとめて新品に交換することを選択した。

    チーム代表のトト・ヴォルフは、どのサーキットでペナルティによる競争上の損失を最小限に抑えられるかという計算に基づいた判断だと説明した。

    「キミについては、すべてを投入する。つまりPUの主要コンポーネントをすべて交換する」

    「理論上、我々の計算ではここがペナルティを受けるのに最適なサーキットだ」

    「もちろん、アルゴリズムは国籍までは考慮してくれない。しかし、我々は選手権を戦うためにここにいるのであって、最大限のPR効果を得るためにいるわけではない」

    「だから、そうすることにした」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    母国GPで選手権首位のアントネッリに試練
    アントネッリにとってタイミングは皮肉なものとなった。モンツァは母国イタリアでのグランプリであり、20歳になったばかりのアントネッリは現在、ドライバーズ選手権をリードしている。

    アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルとフェラーリのルイス・ハミルトンに59ポイント差をつけて首位。ラッセルとハミルトンは同ポイントでランキング2位につけている。アントネッリは今季の日本GP以降、ランキング首位を維持している。

    さらに、イタリア人F1ドライバーとして歴史的な記録にも挑むことになる。イタリア人がイタリアGPを制したのは、1966年にフェラーリのルドヴィコ・スカルフィオッティが優勝したのが最後であり、以来60年間、母国ドライバーによるモンツァ制覇は実現していない。

    グリッド降格はアントネッリにとって大きなハンデとなるが、モンツァは高速レイアウトでオーバーテイクの機会も比較的多い。それがメルセデスがPU交換の舞台としてモンツァを選んだ理由のひとつでもある。

    アントネッリ「それでもモンツァがベスト」
    前戦オランダGPでランド・ノリスに次ぐ2位に入ったアントネッリも、母国GPであることを踏まえても、モンツァでペナルティを消化するのが最善だと受け入れている。

    「もちろんモンツァではエンジンペナルティがある。でも、それでもここがペナルティを受けるには一番いいサーキットだと思う」

    「もちろん僕のホームレースだし、いろいろな意味で特別だけど、それでもここでやるのがベストだと思っている」

    「だから、それでもいい結果を出して、しっかりポイントを持ち帰るチャンスはあると思う」

    ラッセルも今季中にPUペナルティの可能性
    メルセデスは、ラッセルについてもシーズン終了までにPUの年間使用上限を超える可能性があるとみている。ただし、追加コンポーネントをどのグランプリで投入するかはまだ決定していない。

    ラッセルは夏休み前のハンガリーGPでようやく4基目のPUを投入したため、アントネッリよりもペナルティを受けるタイミングについて選択肢が残されている。

    「ジョージについては、どこでペナルティを受けるかについて現在も話し合っている」とヴォルフは語った。

    ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権の両方を争っている状況を考えれば、メルセデスが同じグランプリで自主的に2台ともグリッド降格を受ける可能性は低い。

    アントネッリにとっては母国ファンの前で後方から追い上げる難しいイタリアGPとなる。それでも、高速区間が中心で追い抜きの可能性があるモンツァを選ぶことで、メルセデスは避けられないPUペナルティによる選手権へのダメージを最小限に抑える狙いだ。

  • ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1小松礼雄代表 ベアマンの才能を絶賛「限界がまだ見えていない」

    ハースF1チーム代表の小松礼雄は、オリバー・ベアマンの成長について「まだ限界が見えていない」と高く評価した。一方で、将来のF1ワールドチャンピオン候補と断言するには、勝利や表彰台を争えるマシンを手にしたときのパフォーマンスを見る必要があるとも慎重な姿勢を示している。

    21歳のベアマンは、ハースでフル参戦2年目を迎え、2025年メキシコGPで4位、今季中国GPで5位に入るなど存在感を高めてきた。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員でもあり、将来的にスクーデリア・フェラーリのF1シートを獲得することを目標に掲げている。

    「オリーの限界はまだ見えていない」小松礼雄が評価
    小松礼雄はPA通信の取材に対し、ベアマンの潜在能力について非常に高い評価を口にした。

    「僕には、オリーの限界がまだ見えていません」

    「現時点では制限のようなものは感じていないですね。ただ、彼はまだ一度も表彰台に上がっていませんから、ここで僕が『ワールドチャンピオンになれるドライバーです』と言うつもりはありません」

    小松礼雄が重要視しているのは、ベアマンがより競争力のあるマシンを手にしたときに、どこまで能力を引き出せるかという点だ。

    「次のレベルに進んだとき、例えば競争力のあるマシンを手にして、コンスタントに表彰台や優勝を争えるようになったときに初めて、本当にワールドチャンピオンになれるだけの力があるのかを見ることができます」

    「そこまで行けば、彼は間違いなく素晴らしい力を発揮してくれると思っています」

    21歳とは思えない成熟度「チームをどう鼓舞するか考えた」
    小松礼雄がベアマンを高く評価する理由は、純粋な速さだけではない。厳しい状況に直面した際の精神的な成熟度や、チーム全体を意識した振る舞いにも強い印象を受けているという。

    その象徴として挙げたのが、今季マイアミGPでの出来事だった。

    ハースはシーズン序盤に好調なスタートを切っていたが、マイアミではベアマンが自身に責任のない状況で苦しいレースを強いられ、さらにピットストップでもチーム側のミスが発生した。

    それでもベアマンは苛立ちを爆発させるのではなく、無線を通じてチームを励ます姿勢を見せた。

    「彼の性格について言えば、物事がうまくいっていないときでも、ただフラストレーションを溜めるようなことはありません」

    「21歳ですからね。もちろん大人ではありますけど、それでもまだ若いですし、チームの中でも最年少クラスです」

    「マイアミでは本当にフラストレーションの溜まるレースでした。彼自身には何の落ち度もなく、できることをすべてやっていました」

    「それなのに僕たちがピットストップでもミスをして、ずっと後ろに引っかかることになってしまった。彼には何もできなかったんです」

    それでもベアマンの頭に浮かんだのは、自身の不運を嘆くことではなかったという。

    「それでも彼はすぐに切り替えて、『じゃあ、このチームをどうやって鼓舞しよう?』という方向に考えたんです」

    「そこには素晴らしい状況認識と成熟度が表れていると思います」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    ハースは「両手両足を縛られているような状態」
    一方、小松礼雄はベアマンを支えるハース自体が、ライバルと同じ条件で戦えているわけではないことも強調した。

    ハースは2016年にF1へ参戦して以来、グリッドで最も規模の小さいチームとして活動してきた。2026年シーズンも11チーム中7位につけているが、ジーン・ハースの所有するチームはF1のコストキャップ上限まで予算を使える状況にはなく、アップデート競争では大規模チームに後れを取らざるを得ない。

    2024年からチーム代表を務める小松礼雄は、現在のハースを「両手両足を後ろで縛られている」ような状態だと表現した。

    「僕のチームを見ると、本当に両手両足を後ろで縛られた状態で戦っているように感じます」

    「今シーズンの最初に、彼らがどうやってあれだけのマシンを作り上げ、信頼性とパフォーマンスを実現したのか、本当に説明できないくらいです」

    限られたリソースの中でも、ハースはシーズン序盤に高い競争力を示した。

    小松礼雄によれば、少なくともシャシー面では一時期レッドブル・レーシングを上回っていたという。

    「シャシーだけを見れば、シーズン序盤は僕たちの方がレッドブルより良かったです」

    しかし、豊富な開発力を持つトップチームとの差は、その後急速に表面化した。

    「ただ、やはりレッドブルはレッドブルです。4月頃に彼らがマシンへ投入したパフォーマンス向上の量は、とんでもないものでした」

    「そもそも僕たちは、あの位置にいられるような状況ではなかったんです」

    限られた予算と開発リソースの中でも存在感を示しているハースにとって、ベアマンの成長は今後の大きな武器となる。小松礼雄は現段階でタイトル候補という言葉を使うことには慎重だが、表彰台や優勝を争える環境を手にしたとき、ベアマンがさらに高いレベルへ到達する可能性には強い期待を寄せている。

  • リアム・ローソン 2027年F1シートはレッドブル本社が決断 チーム側に決定権なし

    リアム・ローソン 2027年F1シートはレッドブル本社が決断 チーム側に決定権なし

    リアム・ローソンの2027年F1シートを巡る決定は、レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインやレッドブル・レーシング代表ローラン・メキースだけでは完結しないようだ。最終的な判断は、レッドブル本社の経営レベルに委ねられると報じられている。

    F1オランダGPで負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングに復帰したローソンは、難しい状況で7位に入り、自身の価値をあらためて証明した。

    しかし、その好走とは別に、2027年にレーシングブルズのシートを維持できるかどうかについては、F2でタイトル争いをリードするニコラ・ツォロフの存在もあり、依然として不透明な状況にある。

    ローソンの将来はレッドブル本社が最終判断へ
    レーシングブルズはNew Zealand Heraldに対し、2027年のドライバーラインアップについてまだ決定していないと説明している。ルーキーのアービッド・リンドブラッドは残留する可能性が高い一方、レッドブルはツォロフを可能な限り長く評価したい考えだという。

    レーシングブルズCEOのピーター・バイエルはオランダGPで、最終的な判断をパーメインが下すことを示唆していた。しかし、同紙によれば、実際の決定権はさらに上層部にある。

    ローソンの去就を最終的に判断するとされるのが、レッドブルのマネージングディレクターを務めるオリバー・ミンツラフだ。ミンツラフはレッドブルのオーナーシップと、F1を含む同社のスポーツ事業を結ぶ重要な立場にある。

    つまり、レーシングブルズ内部だけでなく、メキースを含むF1チーム側の判断を超えて、レッドブル本社がローソンの将来を決める構図になる。

    2025年の降格を擁護したミンツラフ
    ミンツラフは2025年、ローソンをわずか2戦でレッドブル・レーシングからレーシングブルズへ降格させた決定について、その正当性を強調していた。

    「正しい措置だった。F1はハイパフォーマンススポーツであり、彼のパフォーマンスは求められるレベルに達していなかった。リアムをあのマシンに乗せ続けることは間違いだった」

    「ますます大きくなるプレッシャーも、彼のためにはならなかっただろう。最終的には彼も理解し、受け入れた。彼がレーシングブルズに戻ってきてくれたことをうれしく思っている」

    そのミンツラフが再びローソンのキャリアを左右する判断を下す立場にあるということになる。

    一方、レッドブルを取り巻く環境は当時から変化した。若手を積極的に昇格させる一方、結果が伴わなければ素早く交代させることは長年レッドブルの特徴だったが、クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコがチームを去ったことで、以前ほど容赦のないドライバー運用ではなくなる可能性も指摘されている。

    メキース自身も過去にレッドブルがセカンドドライバーを十分にサポートできなかったケースがあったことを認めており、2025年のローソンについても、本人の能力だけで評価すべきではないとの見方につながっている。

    オリバー・ミンツラフ(レッドブル)

    オランダGPで示した適応力
    ローソンにとってオランダGPでのレッドブル復帰は、2027年の将来を左右する重要な機会となった。

    ハジャーの負傷を受けて急きょRB22をドライブすることになったローソンは、レーシングブルズのVCARB 03とは性格の異なるマシンに短期間で適応。予選ではマックス・フェルスタッペンに約0.1秒差まで迫り、決勝では7位でフィニッシュした。

    マシンのペースを考えれば現実的に狙えるほぼ最大限の結果であり、ローソンにとっては直近8戦で7度目のポイント獲得となった。2025年序盤にレッドブルから降格した当時とは異なり、現在は安定して結果を残せるドライバーであることを示している。

    同時に、ローソンにはもうひとつの戦いがある。レッドブル・レーシングへの将来的な復帰をアピールするだけでなく、まず2027年のレーシングブルズのシートを確保しなければならない。

    F2首位ツォロフがシート争いのライバル
    その最大のライバルとなる可能性があるのが、レッドブル・ジュニアのニコラ・ツォロフだ。

    ツォロフはF2選手権をリードしており、2027年のF1昇格候補として存在感を強めている。若手をF1へ送り込むことを育成プログラムの柱としてきたレッドブルにとって、ツォロフが十分な結果を残せば昇格を検討するのは自然な流れでもある。

    リンドブラッドの立場が比較的安泰とみられているため、仮にツォロフを昇格させる場合、ローソンのシートが対象になる可能性がある。

    ただし、ローソンは今季のF1で結果を積み重ねており、さらにオランダGPでは急きょレッドブルに呼び戻されながら即座に対応した。実績と経験を持つローソンを外して新人を起用することになれば、その判断には大きな注目が集まることになる。

    他チームへの移籍先も限定的
    ローソンにとって問題なのは、仮にレッドブルのF1プログラムから外れた場合、他チームの選択肢も限られていることだ。

    ウィリアムズは2027年に向けてドライバー2人との契約を更新。アストンマーティンはフェルナンド・アロンソの残留を優先しており、アウディも現在のラインアップに満足していることを明らかにしている。

    現時点でシートが動く余地を残しているのはアルピーヌ、ハース、キャデラックなどに限られるが、それぞれ現職ドライバーが残留する可能性もある。

    だからこそ、レーシングブルズのシート確保はローソンのF1キャリアにとって極めて重要になる。

    2025年にはわずか2戦でレッドブルから降格させられたローソンだが、その後はレーシングブルズで着実に結果を積み上げ、オランダGPでは再びレッドブルのマシンに乗って7位という結果を残した。それでも2027年のシートは保証されておらず、最終判断を握るのは現場のパーメインやメキースではなく、レッドブル本社のミンツラフになるとみられている。

  • レッドブルF1代表メキースがフェルスタッペン「年俸8000万ドル」説を否定

    レッドブルF1代表メキースがフェルスタッペン「年俸8000万ドル」説を否定

    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースが、マックス・フェルスタッペンの新契約をめぐって浮上した「年俸8000万ドル(約127億円)」との噂に反応した。2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグから直接その金額をぶつけられたメキースは、笑顔を見せながら否定している。

    レッドブルはF1オランダGPを前に、フェルスタッペンとの契約を2年間延長し、少なくとも2030年末までチームに残留することを発表した。

    近年はマクラーレンやメルセデスへの移籍が盛んに取り沙汰されてきたが、今回の長期契約によって将来をめぐる憶測にはひとまず終止符が打たれた。

    ロズベルグが「年俸8000万ドル」説をメキースに直撃
    フェルスタッペンの新契約について、レッドブルから給与などの金銭的条件は公表されていない。ただし、28歳のオランダ人ドライバーが今回の契約延長に伴って昇給したとみられている。

    オランダGPの週末、Sky Sports F1のインタビューでロズベルグは、自身が耳にしたというフェルスタッペンの新たな年俸についてメキースに直接質問した。

    「ローラン、マックス陣営から聞いた話では、彼が残留を決めた理由のひとつは、あなたがチームを引き継いでからのやり方を本当に気に入っているからだそうだ。あなたが作っているカルチャーや、チームを前進させている方法を評価していると。そこはおめでとうと言いたい」

    そう切り出したロズベルグは、続けて核心に踏み込んだ。

    「でも、これも聞かなければならない。僕が聞いているのは年俸8000万ドル(約127億円)だ。本当なのか? その数字に近いのか? かなり大きな金額だよね」

    これに対し、メキースは笑顔を浮かべながら答えた。

    「その2つの話は、どちらも正しくない」

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    残留の決め手は「2000人への信頼」
    メキースは、フェルスタッペンが契約延長を決断した背景について、自身の存在や巨額の報酬ではなく、レッドブルで働く約2000人のスタッフに対する信頼が大きかったと説明した。

    「本当に重要なのは、マックスがミルトンキーンズにいる2000人のスタッフを信頼しているということだ。シャシー側も、PU側も含めてね。彼は我々のスタッフに何ができるのかを知っている。そして将来に向けて、我々を信頼することを選んでくれた」

    「だから我々は、その信頼に応えようとしている。彼は我々にとって、単に世界で最も速いドライバーというだけの存在ではない。できるだけ早く、彼に速いマシンを用意できるようにしたい」

    メキースは2025年7月にクリスチャン・ホーナーが退任した後、レッドブル・レーシングのチーム代表を引き継いだ。ロズベルグはメキース就任後のチーム文化もフェルスタッペンの残留を後押ししたとの情報を示したが、メキース自身はその見方についても否定し、組織全体への信頼を強調した形だ。

    フェルスタッペン「このチームでキャリアを終えるのが目標」
    新契約へのサインに際し、フェルスタッペン自身もレッドブルへの長期的な思いを語っている。

    「僕はずっと言ってきたし、ディートリッヒ(マテシッツ)がまだ生きていたころから言っていた。僕の目標は、このチームでキャリアを終えることだ。それに近づいていると思う」

    「もちろん、まだこれから何年もある。でも、それが今も目標だ」

    フェルスタッペンにとって契約延長発表後のホームレースは残念な結末となった。F1オランダGP決勝ではオープニングラップ終盤に大クラッシュを喫し、レースを早々にリタイアしている。

    それでも、2030年末まで続く新契約によって、レッドブルとフェルスタッペンの関係はさらに長期的なものとなった。年俸8000万ドル(約127億円)という具体的な数字についてメキースは否定したが、チームがフェルスタッペンを「世界で最も速いドライバー以上の存在」と位置づけ、その信頼に速いマシンで応えることを最優先としている姿勢は明確だ。

  • F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    F1オランダGP パワーランキング:ノリス首位 角田裕毅がトップ10入り

    2026年F1第12戦オランダGPを受け、Formula 1公式サイトが恒例の「パワーランキング」を発表した。ザントフォールトで最も高い評価を受けたのは、ポールポジションから決勝を制したマクラーレンのランド・ノリスだった。

    フェルナンド・アロンソが2位、キミ・アントネッリが3位に続き、半年ぶりにF1実戦へ復帰した角田裕毅もトップ10入り。マシンの競争力そのものではなく、週末を通したドライバー個人のパフォーマンスを評価する5人の審査員から高い評価を得た。

    F1パワーランキングの評価方法
    F1公式のパワーランキングでは、5人の審査員が各グランプリ終了後、週末を通した各ドライバーのパフォーマンスを10点満点で評価する。

    評価にあたってはマシンの性能差を考慮から外し、純粋にドライバーがどれだけのパフォーマンスを発揮したかを判断する。5人の採点を平均したものが各グランプリのスコアとなり、その評価はシーズンを通した総合パワーランキングにも反映される。

    1位:ランド・ノリス(マクラーレン)
    オランダで素晴らしいフォームを見せたのがランド・ノリスだった。

    スプリントでは2番グリッドからスタートして3位でフィニッシュ。そして予選では圧巻のラップをまとめてポールポジションを獲得すると、インシデントと戦略が入り交じった決勝でも、そのポールを最終的に勝利へと結びつけた。

    これでノリスはサマーブレイク直前のハンガリーGPに続いて2連勝。現F1ワールドチャンピオンの走りにはマクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラからも多くの称賛が寄せられ、パワーランキングの審査員からも高得点を獲得した。スコアは9.6で今回のトップとなった。

    2位:フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)
    ザントフォールトではアストンマーティンがさらなるマシンアップデートを投入し、ホンダも新しいパワーユニットを導入した。後者にはドライバビリティ面で問題が残っていたものの、フェルナンド・アロンソはパッケージから引き出せるものをほぼすべて引き出したように見えた。

    予選ではわずか0.1秒差でQ2進出を逃したが、決勝では巧みな戦略判断にも助けられながら順位を上げていった。

    最終的には9位でチェッカーを受け、アストンマーティンに貴重な2ポイントをもたらした。その走りは、この日のベストドライブのひとつと評される内容だった。審査員からのスコアは8.6となった。

    3位:アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    キミ・アントネッリのオランダGP週末は難しい形で始まった。

    スプリント予選ではミスによってマシンを損傷し、スプリントのスターティンググリッドは5番手。それでもスプリントではひとつ順位を上げ、4位でフィニッシュした。

    その後は本来持っていた速さをより明確に示し、予選ではメルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルに次ぐ3番手を獲得した。

    決勝ではそのラッセルとのチーム内対決を制して2位でフィニッシュ。結果としてF1ドライバーズ選手権でのリードをさらに拡大することになった。パワーランキングでは8.2の評価を受けた。

    4位:ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)
    ルイス・ハミルトンはザントフォールトでのスプリント予選とスプリントでは、ともに7位と比較的静かなスタートを切った。この段階ではフェラーリのチームメイト、シャルル・ルクレールから大きく後れを取っていた。

    しかし、通常の予選と決勝では立場を逆転させ、フェラーリ勢ではハミルトンの方が強いパフォーマンスを見せた。

    予選5番手から決勝では表彰台争いに加わるところまで順位を上げた。レース中には戦略判断への不満を示し、さらにルクレールの後方で数周にわたって足止めされる場面もあったが、それでも4位という結果は週末序盤からの力強い巻き返しだった。

    パワーランキングでは8.0を獲得した。

    5位:ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    ニコ・ヒュルケンベルグは2026年シーズン前半の大部分で不運を嘆き、「もしあの出来事がなければ」と考えざるを得ない状況が続いていた。しかし、前戦ハンガリーGPではようやくアウディ加入後初となるポイントを獲得した。

    ザントフォールトのスプリントではパワー関連の問題によってレースを台無しにされたものの、決勝では力強い走りを披露した。

    スタート直後にはスピンしたチームメイトのガブリエル・ボルトレトを非常に素早い反応で回避。その後もレースをまとめ、8位でフィニッシュした。

    これによってヒュルケンベルグはグランプリ決勝で2戦連続のトップ10フィニッシュを達成した。

    6位:リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)
    リアム・ローソンのF1キャリアには、また新たな展開が加わった。

    負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル首脳陣からオランダGPへの出場を任された。奇しくもザントフォールトは、3年前にダニエル・リカルドが手首を負傷したことでローソンがF1デビューを果たした場所でもある。

    急きょレッドブルをドライブすることになった事情もあり、スプリント予選とスプリントでは当然ながらまだ少し余力を残した状態だった。

    しかし通常の予選と決勝ではそれを取り戻した。予選では8番手に入り、4度のF1ワールドチャンピオンであるマックス・フェルスタッペンのすぐ後ろにつけた。そして決勝では7位まで順位を上げてフィニッシュした。

    急な代役起用だったことを考えれば、レッドブルでしっかり結果を残した週末となった。パワーランキングでは7.8という高い評価を受けている。

    7位:角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)
    角田裕毅もまた、ハジャーの負傷によって生じたドライバー変更の影響を受けたひとりだった。

    2026年はレッドブルのリザーブドライバーを務めていた角田裕毅だが、レーシングブルズからF1実戦へ復帰することになった。

    半年間レースに出場していなかったことに加え、2026年から導入された新世代F1マシンを実戦で走らせるのも初めてという状況を考えれば、その適応ぶりは称賛に値するものだった。

    角田裕毅は週末を通して着実にマシンへの理解を深め、決勝ではポイント獲得まであと一歩となる11位でフィニッシュ。急きょ決まった代役参戦ながら、ポイントを持ち帰る寸前まで迫るパフォーマンスを披露した。

    8位:ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)
    ジョージ・ラッセルの週末は、これ以上ないほど素晴らしい形でスタートした。

    スプリント予選でポールポジションを獲得すると、そのままスプリントで優勝。チームメイトのアントネッリが持つF1ドライバーズ選手権のリードを一時的に数ポイント削ることにも成功した。

    一方、その勢いを通常の予選とグランプリ決勝では完全には維持できなかった。

    日曜日の決勝ではノリスとアントネッリに先着を許し、3位でチェッカー。それでもラッセル自身は「かなり久しぶりに自分のベストと言える週末だった」と振り返っており、次戦イタリアGPが行われるモンツァへ向けて多くのポジティブな材料を得た。

    9位:ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
    アップデートされたアルピーヌを走らせたピエール・ガスリーは、スプリントで際立ったドライバーのひとりだった。

    スプリント予選では8番手を確保し、そのポジションをスプリントでも守って8位でフィニッシュした。

    決勝でもガスリー自身とアルピーヌにさらに数ポイントを加えられそうな展開となったものの、レース中盤に順位を落とし、最終的には10位でフィニッシュすることになった。

    それでもガスリーは週末を「ポジティブな一歩」と評価。アルピーヌはF1コンストラクターズ選手権5位のレーシングブルズを追うことを目標としており、ザントフォールトではそのための前進が見られた。

    10位:シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)
    シャルル・ルクレールはスプリント予選とスプリントではフェラーリ勢をリードしていた。

    しかし、通常の予選ではより厳しい展開となり、それが決勝に向けて大きな不利となった。日曜日のレースでは、ほとんど何ひとつルクレールの思い通りに進まなかった。

    レース後、ルクレールはバーチャル・セーフティカーのタイミングにも触れながら「僕たちにはほんの少し運が足りなかった」と振り返った。

    その一方で、結果を決定づけた最大の要因については「今日のレースを失ったのは予選のせいだ」と分析。決勝そのものだけでなく、予選で後手に回ったことが最終的な結果につながったとの考えを示した。

    トップ10入りを逃したドライバー
    今回のF1パワーランキングで惜しくもトップ10入りを逃したのは、レーシングブルズのルーキー、アービッド・リンドブラッドだった。

    リンドブラッドは週末を通して速さを見せ、スプリント予選ではSQ3、通常の予選でもQ3へ進出。しかし、その速さを決勝でのポイント獲得には結びつけることができず、わずかな差でパワーランキングのトップ10圏外となった。

    オランダGPでは勝者ノリスが文句なしの最高評価を獲得した一方、アロンソの追い上げ、急きょレッドブルをドライブしたローソン、そして半年ぶりのF1実戦にもかかわらずポイント目前まで迫った角田裕毅など、純粋な決勝順位だけでは測れないパフォーマンスも高く評価されたランキングとなった。

    2026年のF1世界選手権 オランダグランプリ

  • マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1代表 メルセデスの「開発費がない」発言を疑問視「信じていない」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、メルセデスがライバルと同じペースでマシン開発を進めるための資金が不足しているというトト・ヴォルフの主張に疑問を呈した。

    2026年F1シーズン序盤に圧倒的な強さを見せたメルセデスだが、フェラーリやマクラーレンが積極的なアップデート攻勢を仕掛けるなか、勢力図は変化している。オランダGP後、ヴォルフはメルセデスにはライバルと同じように開発パーツを投入するための「金がない」と説明したが、ステラは額面通りには受け取っていない。

    メルセデスは序盤6連勝から失速
    メルセデスはシーズン開幕から6戦連続で勝利を挙げたものの、その後の6戦では2勝にとどまっている。その間にフェラーリとマクラーレンがそれぞれ2勝を挙げ、トップ争いは大きく接近した。

    特にフェラーリとマクラーレンは今季、積極的なアップデート戦略を採用しており、直近のレースでも新パーツを投入している。レッドブル・レーシングもメルセデス以上のペースで2026年型マシンの開発を続けてきた。

    一方、メルセデスが最後に大規模なマシンアップデートを投入したのは5月のカナダGPだった。次の大型開発パッケージは10月初旬のマレーシアGPで投入される予定とされている。

    オランダGPではランド・ノリスがマクラーレンを勝利に導き、2連勝を達成。こうしたライバル勢の伸長について、ヴォルフは開発資金の配分が影響していると説明した。

    「マシンに開発パーツを投入するための金がない」とヴォルフは語った。

    「シーズンを通じて均等に配分しようとしている。最大のアップデートをいつ投入できるか、そしてチャンピオンシップのポイントをどう最適化できるかという我々の計算に基づいている」

    「だが、できることをやるしかない。それが開発競争というものだ。アップデートを投入すれば、トップチームならそれぞれ少なくともコンマ数秒の改善がある。それを投入できなければ、その分だけ失うことになる」

    「だから、シーズン序盤に比べれば少し厳しい戦いになっている」

    マクラーレン F1

    ステラ「信じたいが実際には信じていない」
    しかし、マクラーレンを率いるアンドレア・ステラは、メルセデスに開発へ回すリソースがないという説明を疑問視している。

    「信じたいとは思うが、実際には信じていない」とステラは語った。

    「信じていない理由は、2027年のパワーユニット規則のおかげで、すべてのチームがコストキャップの報告において一定の余裕を持つことになるからだ」

    ステラは、ライバルのパフォーマンス向上を目の当たりにしたメルセデスが、すでに開発を加速させているはずだとみている。

    「ライバルたちがレベルを引き上げているのを見て、メルセデスも今、その開発成果を投入しようとしているはずだ。現場では間違いなく進んでいると思う」

    「風洞にあるマシンは、現在サーキットを走っているマシンよりかなり速くなっているはずだ。そして、そのポテンシャルの一部を実車のアップデートへと変換したいと考えているだろう」

    「彼らがアップデートを投入してくることはほぼ間違いないと思っている。もちろん、投入されなければ我々にとってはありがたいが、そんなことは考えたくもない」

    マクラーレンはノリスの2連勝で反撃
    メルセデスが開発ペースを抑える一方、マクラーレンはアップデートによって競争力を大きく引き上げている。

    ランド・ノリスはオランダGPで2戦連続優勝を飾り、自身初のF1ワールドチャンピオンとなった2025年に続くタイトル防衛へ望みをつないだ。ランキング首位との差は83ポイントまで縮まっている。

    ヴォルフはコストキャップ下での予算配分を理由に開発ペースの違いを説明しているが、ステラはメルセデスがこのまま手をこまねいているとは考えていない。シーズン後半のタイトル争いでは、メルセデスが温存してきた開発成果をいつ実戦投入するのかも重要な焦点となりそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、ドライバビリティ面で残されている具体的な課題を明かした。ダウンシフトに加え、エンジンブレーキの効き方が「コーナーごとに少しランダム」だという。

    さらにアロンソは、ストレートでは依然として大きなタイムを失っていると指摘した。ただし、ホンダに改善のための時間が必要であることも理解しており、「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」とアストンマーティンとホンダへの信頼を強調した。

    「望んでいるところには達していない」
    オランダGP後、Sky Sportsのインタビューで、新PUのドライバビリティについて具体的に何が不足しているのかを問われたアロンソは、ひとつの問題に限定できるものではないと説明した。

    「何かひとつ具体的なことがあるわけではないと思う。全体的に、ドライバビリティという点ではまだ僕たちが望んでいるところには達していない」

    そして、ドライバーが感じている問題としてダウンシフトとエンジンブレーキを挙げた。

    「ダウンシフトだったり、エンジンブレーキの効き方がコーナーごとに少しランダムに感じられたりする。そういったところは、まだ細かく調整していく必要がある」

    ブレーキングからコーナー進入にかけてマシンの姿勢をコントロールするうえで、エンジンブレーキの一貫性は重要になる。現状では、その挙動をさらに安定させることが新PUの最適化における課題のひとつとなっている。

    ストレートでは「まだかなり失っている」
    課題はドライバビリティだけではない。アロンソは絶対的なパワーについても改善が必要だと指摘した。

    「それにパワー不足もあって、ストレートではまだかなり失っている」

    アストンマーティンはシャシー側の進歩によって、コーナーでは以前より競争力を発揮できるようになった。それだけに、次に改善すべき領域がよりはっきりと見えるようになったという。

    「今はコーナーではある程度競争力を持てるようになったから、そこを改善する必要がある」

    オランダGP週末には、新PUのドライバビリティに関する問題がすでに表面化していた。スプリント予選ではアロンソがブレーキング時の意図しないパワーデリバリーについて訴えており、新スペックを車体側と最適化する作業が課題となっている。

    「ホンダにも時間を与える必要がある」
    もっとも、アロンソは問題点を列挙するだけではなく、ホンダとともに解決していく姿勢を強調している。

    「でも、僕たちはすべてを一緒に進めようとしている。ホンダにも、何が問題なのか、どこを直すべきなのかを突き止めるための時間を与える必要がある」

    新スペックの投入によって新たに現れた問題を分析し、どこを修正すればドライバビリティとパフォーマンスを改善できるのか。アロンソは、ホンダ側にもそれを見極める時間が必要だとの認識を示した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」
    そして、ホンダの新PUに残された課題を率直に指摘したアロンソは、最後にプロジェクトへの信頼を明確にした。

    「僕は満足しているし、落ち着いている。シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」

    シルバーストンはアストンマーティンのF1ファクトリー、さくらはホンダ/HRCのF1パワーユニット開発拠点を指す。Sky Sportsでのアロンソの発言として、エンジンブレーキの不安定さとともに、この両拠点への信頼も伝えられている。

    アロンソの発言は、新PUへの単純な批判ではない。ダウンシフト、エンジンブレーキ、ストレートでのパワーという改善すべき領域を明確にしながら、その解決に取り組むシルバーストンとさくらの双方を信頼している。

    シャシーがコーナーで競争力を取り戻しつつあるからこそ、PU側の課題を解消できればアストンマーティンのパッケージ全体をさらに前進させられる。ホンダが新スペックをどこまで早く最適化できるかが、今後の競争力を左右する重要なポイントとなる。

  • ニコラ・ツォロフがF1初走行 レーシングブルズで690km「夢が現実になった」

    ニコラ・ツォロフがF1初走行 レーシングブルズで690km「夢が現実になった」

    FIA F2選手権でランキング首位に立つニコラ・ツォロフが、レーシングブルズのF1マシンを初めてドライブした。2027年のF1昇格候補として名前が挙がるなか、イモラで実施されたTPC(旧型車テスト)で690kmを走破した。

    レッドブル・ジュニアチームに所属するツォロフにとって、今回が待望のF1初走行となった。

    レーシングブルズのアラン・パーメイン代表も、その適応力と落ち着きを高く評価しており、今後はFIAの承認を得れば、レッドブル・レーシングまたはレーシングブルズのフリー走行に起用される可能性もある。

    2027年F1昇格候補ツォロフがVCARB 02を初ドライブ
    ニコラ・ツォロフは8月26日(水)、イモラ・サーキットでレーシングブルズのVCARB 02をドライブし、初めてF1マシンで本格的な走行を経験した。

    ツォロフは今季のFIA F2選手権でランキング首位に立っており、2027年にレーシングブルズへ昇格する候補として継続的に名前が挙がっている。一方で、F2でタイトルを争うライバルたちとは異なり、これまでF1マシンを走らせる機会は与えられていなかった。

    今回の走行はTPC(Testing of Previous Cars)として行われ、ツォロフは1日で690kmを走破した。

    690kmを走破「すべてのラップを楽しんだ」
    初めてF1マシンを走らせたツォロフは、長年目指してきた目標が実現した喜びを語った。

    「F1マシンでの初めてのTPCを終えた。今日がどう進んだか、本当に満足している」

    「すべてのラップを本当に楽しんだし、ようやくこの機会を得られたことが自分にとって何を意味するのか、言葉にするのは難しい」

    「僕を信じて、この機会を与えてくれたVCARBとレッドブル・ジュニアチームに心から感謝している。これは僕が人生を通してずっと目指してきたことだから、実際に経験できたのは本当に信じられないことだ」

    「今日、自分たちが成し遂げたことを、まだ完全には実感できていないと思う。でも、すべてのラップを楽しんだし、近いうちにさらに走行距離を重ねるチャンスを得られたらと思っている」

    ニコラ・ツォロフ(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    F1フリー走行出場への道も開く
    F1のフリー走行に出場するには通常、スーパーライセンス取得に必要な40ポイントを獲得することが基本となる。ただし、一定の条件を満たしたドライバーには「フリー走行限定」のライセンスが認められる制度がある。

    18歳以上でグレードAライセンスを保持し、FIAの理論試験に合格したうえで、F2に6戦以上出場するか、スーパーライセンスポイントを25点以上獲得していれば対象となる。

    以前はフリー走行への出場資格を得るため、F1マシンで300km以上を走行することも求められていたが、この要件は最近撤廃された。

    それでも今回ツォロフが690kmを走破したことは、F1マシンへの適応を進めるうえで大きな経験となった。

    FIAの承認を得れば、ツォロフは今季中にレッドブル・レーシング、またはレーシングブルズからFP1に出走する可能性がある。

    レッドブルは残り3回 レーシングブルズは残り1回
    2026年のF1レギュレーションでは、各チームはシーズンを通じてルーキーを計4回フリー走行に起用する必要がある。ここでいうルーキーは、F1グランプリの決勝出走経験が2戦以下のドライバーを指す。

    レーシングブルズでは、2026年のF1グリッドで唯一のルーキーであるアービッド・リンドブラッドの出走によって2回分を消化。さらに岩佐歩夢がオーストリアGPで走行しており、残る義務は1回となっている。

    一方、レッドブル・レーシングでは岩佐歩夢がスペインGPでFP1を担当しており、残り3回のルーキー走行枠がある。

    このためツォロフが必要な承認を得れば、どちらのチームからでもFP1に起用できる余地が残されている。

    アラン・パーメイン代表も高評価「適応が速かった」
    レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインは、ツォロフのF1初走行について高い評価を与えた。

    「今日はニコラにとって非常に前向きな一歩だった」

    「彼はマシンに素早く適応し、初めてF1マシンに乗るドライバーに求めたい落ち着きを見せた。今回の走行は、チームがジュニアドライバーに対して継続的に行っている育成プランの一環だ。彼らが成長するために必要なツール、走行距離、そして環境を提供している」

    「この育成ルートから何が生まれるのかは、これまで何度も見てきた。今日のような一日も、その仕組みをさらに築き上げていくプロセスの一部だ」

    今回のTPCは、単にツォロフにF1マシンを経験させるだけの機会ではない。F2タイトル争いをリードするツォロフが690kmというまとまった距離を走り切ったことで、レッドブル陣営は2027年のドライバー選考に向けて、新たな評価材料を得たことになる。