カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ホンダF1 ドライバビリティ改善を確認も「ストレートスピードはまだ不十分」

    ホンダF1 ドライバビリティ改善を確認も「ストレートスピードはまだ不十分」

    ホンダF1は、2026年F1第13戦イタリアGP初日の走行を終え、前戦オランダGPで課題となったパワーユニット(PU)のドライバビリティについて、持ち込んだ対策が狙い通りに機能していることを確認した。

    9月4日(金)、モンツァ・サーキットではフリー走行1回目(FP1)とフリー走行2回目(FP2)が行われた。アストンマーティン・ホンダにとって、高速かつPU性能がラップタイムを大きく左右するモンツァは、現在地を確認する重要な一戦となっている。

    オランダGPの課題に対策「狙い通りの効果」
    前戦オランダGPでは、新たに投入したPUでエンジンのドライバビリティが課題として浮上した。ホンダF1はイタリアGPまでに対策を進め、モンツァ初日の走行でその効果を確認した。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、チームの作業によって短期間で対策を持ち込むことができたと説明した。

    「今週末のイタリアGPは非常に重要な一戦です。前戦オランダGPで課題となったエンジンのドライバビリティについて、チーム全員のハードワークによって対策を持ち込むことができました。狙い通りの効果を確認できており、方向性は正しいと考えています。引き続き改善を進めていきます」

    初日のFP1とFP2では、PUに大きな信頼性上の問題は発生せず、予定していた走行プログラムを進めることができた。

    モンツァでストレートスピード不足が表面化
    一方、ドライバビリティ改善という成果とは別に、モンツァではライバルとのストレートスピードの差が課題として表れた。

    モンツァは長い全開区間を持つことから、PUの性能が競争力を左右しやすい。ホンダ側も厳しい戦いになることは予想していたものの、初日のデータではライバルに対してストレートスピードがまだ十分ではないという。

    「今日のFP1とFP2では、大きな信頼性の問題なく、予定していた走行プログラムを進めることができました。一方、パワーユニットの性能が重要となるモンツァでは、予想していたもののライバルに対してストレートスピードが、まだ充分ではありません」

    FP2ではフェルナンド・アロンソが1分25秒027で19番手、ランス・ストロールが1分25秒253で22番手。トップタイムを記録したジョージ・ラッセルとの差は、それぞれ2.468秒と2.694秒となった。

    ホンダ・レーシング / 本田技研工業

    厳しい予選と決勝を覚悟 セッティング最適化へ
    ドライバビリティ対策について一定の成果を得た一方、絶対的なパフォーマンスでは依然として改善が必要な状況にある。特にモンツァではストレートでの競争力が重要となるだけに、土曜日に向けたセッティングの最適化が鍵となる。

    折原伸太郎も、現状から予選と決勝は厳しい戦いになるとの見通しを示した。

    「厳しい予選と決勝になると考えていますが、引き続きセッティングを最適化し、可能な限りパフォーマンスを引き出していきます」

    オランダGPで表面化したドライバビリティの問題に対しては、モンツァ初日で改善の方向性を確認したホンダF1。ただし、PU性能が問われる「スピードの殿堂」ではストレートスピード不足という課題が改めて浮き彫りとなった。土曜日はFP3でさらなる調整を進め、厳しいと予想される予選に向けてアストンマーティン・ホンダのパッケージをどこまで引き上げられるかが焦点となる。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1を「100%信頼」も猶予は最大3年

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1を「100%信頼」も猶予は最大3年

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズンで苦戦が続くホンダに対して「100%信頼している」と強調した。一方で、過去のF1プロジェクトのように競争力を得るまで5年、6年と待つことはできず、「2年か3年が最大」と明確な期限も示している。

    アストンマーティンとホンダは2026年からワークスパートナーとして新たな時代をスタートさせたが、ここまでは信頼性とパフォーマンスの両面で期待した水準に届いていない。

    「ホンダを100%信頼している」
    「そう、100%だ。ホンダのコミットメントは非常に大きいと思っている」

    アロンソはF1イタリアGPを前にした木曜日、ホンダへの信頼についてそう語った。

    「日本にある施設は世界でも最高レベルのひとつだ」

    「パワーユニットの人員やマネジメントも、ホンダが言っているように強化されているし、以前のプロジェクトに携わっていた多くの人たちも今回のプロジェクトに戻ってきている」

    「だから僕には疑いはない。ホンダを100%信頼している。ただ、そのプロセスを何とか短縮する必要がある」

    ホンダは2015年にマクラーレンとのパートナーシップでF1に復帰した際、厳しいスタートを経験した。その後、レッドブルとの協力を通じて競争力を高め、最終的にはタイトルを争えるパワーユニットへと成長した。

    しかし、45歳となったアロンソにとって、今回も同じだけの時間を待つという選択肢はない。

    「残念ながら、僕たちは出だしでつまずいた。このレギュレーションが始まった時点で、望んでいたレベルにはいなかった。でも、ホンダが最終的にそこへ到達することに疑いはない」

    「ただ、これまで何度も言ってきたように、前回のように5年や6年も待ちたくはない」

    「2年、あるいは最大でも3年でそこまで行きたい」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ザントフォールトの新PU「大きな改善ではなかった」
    ホンダは前戦F1オランダGPで新スペックのパワーユニットを投入。アロンソは18番グリッドから9位まで順位を上げてポイントを獲得した。

    一方、アストンマーティンもハンガリーGPから大幅に改良したマシンを投入しており、特にコーナリング性能については前進が見られている。

    それでもアロンソは、9位という結果を成功として受け止めるつもりはない。

    「僕たちは9位だけで満足することはできないし、チームの誰も満足していないと思う」

    「ただ、少なくとも自分たちが進んでいる方向が正しいと分かったことは、全員にとっていい後押しになった」

    「ブダペスト以降、マシンでは多くのことを変更した。そしてコーナーでは、かなりいいところまで来ていることが分かっているし、そう感じている」

    「この哲学と戦略を維持して、この開発ペースで進んでいけば、最終的にはコーナーで最速のマシンのひとつになれるという希望を、シルバーストンにいる全員に与えてくれる」

    シャシー側について一定の手応えを感じる一方、ホンダがザントフォールトに投入した新しいパワーユニットについて、アロンソの評価はより厳しいものだった。

    「ひとつの項目にはチェックを入れられた。でもエンジン側について言えば、正直なところザントフォールトでは大きな改善ではなかった」

    「ドライバビリティに問題があったし、追加されたパワーもザントフォールトでは感じるのが難しかった」

    モンツァがホンダ新PUの「本当のテスト」
    アロンソは、高速サーキットのモンツァがホンダのアップデートをより正確に評価できる舞台になると考えている。

    「モンツァはエンジンにとって、より本当の意味でのテストになるかもしれない」

    長い全開区間を持つモンツァでは、ザントフォールト以上にパワーユニットの絶対的な性能やエネルギーマネジメントが重要になる。そのため、ホンダが新スペックで実現したパワー向上をどこまで実際のラップタイムにつなげられるかが焦点となる。

    ただし、アロンソは2027年に向けてホンダだけが改善すればいいとは考えていない。アストンマーティン側にもさらなる進歩が必要だと強調した。

    「まだ長い道のりがある。来年に向けてシャシーとエンジン、その両方を改善しなければならない。それは絶対に必要なことだ」

    「そこが一番重要だ」

    アロンソはホンダが最終的に競争力を取り戻すことについて「疑いはない」と繰り返している。その一方で、求めているのは長期的な可能性だけではない。アストンマーティンとホンダがF1で勝利を争うためには、その成長過程を大幅に短縮し、今後2〜3年以内に結果へ結びつける必要があるとの考えを明確にした。

  • ホンダF1 新PUで想定以上の燃焼変化「HRC Sakuraで制御対策」

    ホンダF1 新PUで想定以上の燃焼変化「HRC Sakuraで制御対策」

    ホンダ・レーシング(HRC)は、F1オランダGPで投入した新スペックのパワーユニット(PU)について、狙い通りの性能向上を確認する一方、予想以上に大きな燃焼特性の変化によってドライバビリティに課題が生じたことを明らかにした。

    HRCはザントフォールトで得た走行データとドライバーからのフィードバックを栃木県さくら市の開発拠点に持ち帰り、制御面の改善作業を実施。

    パワーへの要求が非常に高いモンツァで行われる2026年F1イタリアGPでは、その対策が狙い通り機能するかを確認することが最大の焦点となる。

    新スペックで性能向上もドライバビリティに課題
    アストンマーティンは前戦オランダGPでホンダの新しいPUスペックを投入した。フェルナンド・アロンソは決勝で9位に入り、ポイント獲得を果たしている。

    HRCの折原伸太郎はイタリアGPを前に、Motorsport Weekを含むメディアに対し、新スペックではダイナモで確認していた性能向上を実際のコース上でも確認できたと説明した。

    「オランダでエンジンに新しいスペックを投入しました。性能面で一歩前進したことを確認しています。ダイナモで確認していた通りの結果だったので、そこはポジティブな点でした」

    一方で、新スペックへの変更によってPUの特性も変化し、ドライバビリティについて新たに改善すべき部分が明らかになった。

    「その一方で、ドライバビリティについて改善できる部分が見つかりました。そのため、変換特性をアップデートして準備しています」

    ホンダ・レーシング

    予想以上だった燃焼特性の変化
    ホンダは2026年シーズン開幕戦でもドライバビリティの問題に直面しており、その後、パワーデリバリーを滑らかにするための専用の制御ツールを開発してきた。

    しかし、今回の新スペックでは燃焼特性の変化が想定以上に大きく、それまでに用意していた制御では十分に対応できなかったという。

    「燃焼の違いが我々の予想よりもはるかに大きかったです。そのため、新しい燃焼に対してより適切に制御できるよう、制御用の新しいツールを調整する必要がありました」

    HRCはザントフォールトで収集したデータとドライバーからのフィードバックをさくらの開発拠点に持ち帰り、ダイナモを使って対策を進めた。

    「データの設定と新しいツールを準備し、新しい変換特性に適応させて、より良いドライバビリティを得られるようにしました。ただ、それでも満足できるドライバビリティには十分ではありませんでした。そこがオランダで見つかった明確な改善ポイントです」

    モンツァで対策効果を確認
    高速のモンツァは、2026年型PUにとってシーズンでも特に厳しいサーキットのひとつとなる。長い全開区間によって内燃エンジン(ICE)への要求が高く、電気エネルギーの展開を含めたPU全体の性能がラップタイムに大きく影響する。

    折原は、新スペックによる性能向上を確認しているものの、モンツァでは現実的な期待値を持つ必要があると語った。

    「ここモンツァでは内燃エンジンに対する要求がかなり大きいです。エンジンに新しいスペックを投入して性能向上を確認できたとしても、このコースでは現実的に考える必要があります。内燃エンジンにとって非常にチャレンジングなコースになると思います」

    そのうえで、イタリアGPではザントフォールト後に準備したドライバビリティ改善策の確認を最優先する。

    「すべてのデータをダイナモに持ち帰り、ドライバーからのフィードバックもダイナモに反映しました。HRC Sakuraでは制御を改善し、より良いドライバビリティを得るためのテストを行っています。ですから、モンツァでの我々の主な焦点は、その対策を確認することです」

    信頼性を犠牲にした性能追求はせず
    「スピードの神殿」と呼ばれるモンツァでは最高速性能が重要になるが、ホンダはラップタイムを求めるために信頼性を犠牲にしてPUを限界以上まで攻める考えはない。

    折原は、現在の信頼性には満足しており、性能を最大化するためにリスクを取る必要はないと強調した。

    「我々は常に信頼性と性能の間で良いバランスポイントを見つける必要があります。信頼性テストの結果を見る限り、現時点では信頼性に満足していますし、性能面でも最大限を引き出すためにリスクを取る必要はありません」

    ホンダにとってモンツァは、新スペックで得た純粋な性能向上を生かしながら、ザントフォールトで表面化したドライバビリティの問題をどこまで解消できたかを見極める重要な週末となる。

  • フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1イタリアGPで自身のキャリアを支えた故エイドリアン・カンポスに敬意を表する特別仕様のヘルメットを着用する。普段のブルーとイエローを基調としたデザインから一変し、レッドとイエローが主役となる。

    アロンソにとってエイドリアン・カンポスは、単なる元F1ドライバーやチームオーナーではない。若き日の才能を見いだし、シングルシーターの世界へと導いた最初のマネージャーであり、その後のF1キャリアにつながる道筋を作った重要な存在だった。

    モンツァで蘇るエイドリアン・カンポスのヘルメット
    今回のヘルメットは、カンポスが現役時代に使用していたデザインへのオマージュとなっている。レッドとイエローを中心に、後部にはホワイトを配色。アロンソが現在契約するスポンサーのロゴを組み合わせながら、カンポスの特徴的なカラーリングを再現した。

    アストンマーティンF1チームは、この特別なヘルメットについて次のように説明した。

    「エイドリアンはフェルナンドの才能を最初に見いだした人物で、彼の最初のマネージャーとなり、シングルシーターの世界へ進む手助けをした」

    「そして今、彼を象徴するヘルメットがモンツァのコースに戻ってくる。彼の家族もこの瞬間を一緒に分かち合う」

    アロンソ自身も、カンポスへの思いを明かしている。

    「エイドリアンとカンポス家のみんなに捧げる、とても特別なヘルメットだ。エイドリアンは僕をカートのレースで見て、シングルシーターに乗るべきだと言ってくれた」

    「僕を信じて最初のチャンスを与えてくれて、数年後にはF1まで連れてきてくれた。僕のため、そして僕たちのモータースポーツのために彼がしてくれたすべてのことに、これからもずっと感謝している。カンポス・レーシングへと受け継がれている、比類のないレガシーだ」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム) イタリアグランプリ

    アロンソの才能を見いだした最初のマネージャー
    エイドリアン・カンポス自身は1987年と1988年にミナルディからF1に参戦。その後はチーム運営と若手育成に活動の軸を移し、多くのドライバーのキャリアを支えた。

    その代表的な存在がアロンソだった。カンポスはカート時代のアロンソの才能に目を留め、シングルシーターへの転向を後押し。1999年には自身のチームからユーロ・オープン・バイ・ニッサンに参戦させ、アロンソはタイトルを獲得した。その後、ミナルディでのテストなどを経てF1への道を切り開いていった。

    カンポスが築いたチームは現在もカンポス・レーシングとして活動し、若手ドライバーの育成を続けている。アレックス・パロウらもその道を歩み、スペインのモータースポーツ界に大きな足跡を残してきた。

    カンポスは2021年1月に死去したが、その功績と若手育成への情熱は現在のチームにも受け継がれている。

    アロンソ自身もミナルディからF1デビュー
    カンポスとアロンソには、F1でのキャリアにも興味深いつながりがある。カンポスが1987年にF1デビューを果たしたミナルディは、アロンソが2001年にF1デビューしたチームでもある。

    さらにモンツァは、アロンソがF1に到達する以前から走ってきたサーキットでもある。1999年のユーロ・オープン・バイ・ニッサン時代にも、カンポスのチームのドライバーとしてこの地を訪れていた。

    普段は故郷アストゥリアスを象徴するブルーとイエローをヘルメットに取り入れているアロンソだが、2026年F1イタリアGPではレッド、イエロー、ホワイトを基調としたカンポスのカラーリングで走る。

    自身のF1キャリアの原点を作った人物への感謝を込め、アロンソはモンツァでエイドリアン・カンポスの象徴的なヘルメットを再びサーキットに蘇らせる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 2027年型へ開発移行 AMR26はバクーで最終仕様

    アストンマーティン・ホンダF1 2027年型へ開発移行 AMR26はバクーで最終仕様

    アストンマーティンF1は、2026年型マシン「AMR26」について、今季中に予定していた空力アップデートを終了した。今後は軽量化プログラムを完了させ、F1アゼルバイジャンGPが行われるバクーから最終仕様のマシンでシーズンを戦う方針だ。

    最高技術責任者(CTO)のエンリコ・カルディレによれば、AMR26は依然として最低重量を上回っているものの、軽量化によってすでにラップタイムは大幅に改善している。

    バクーでは最低重量に「非常に近い」水準まで到達する見込みだという。一方、パワーユニット(PU)を供給するホンダは引き続きハードウェアとソフトウェアの両面でアップデートを進める。

    AMR26の空力アップデートは終了
    アストンマーティンは直近2戦にわたり、AMR26へ一連の空力アップデートを投入してきた。しかし、カルディレはこれが2026年型マシンに予定されていた最後の空力開発になると説明した。

    「これらが、このマシンに予定していた最後の空力開発になる」

    「唯一の例外は、2027年型マシンを開発している過程で、相関関係を確認するために今年のマシンを使ってコース上でテストする意味があるものを発見した場合だ。ただ、現時点ではこれ以上予定しているものはない」

    アストンマーティンはすでに2027年型マシンの開発へ重点を移しており、今後AMR26に新しい空力パーツが投入されるとしても、それは2026年型マシンそのものの性能向上を目的としたものではなく、将来の開発に向けた検証が主目的になる。

    一方で、AMR26の軽量化についてはまだ作業が残されている。

    「軽量化プログラムについては、まだ完了させる必要がある。それはバクーあたりで完了するはずだ。バクー以降は、基本的にシーズン残りをマシンの最終仕様で走ることになる」

    バクーで最低重量に接近
    2026年のF1ではマシン重量がパフォーマンスを左右する重要な要素となっており、アストンマーティンもシーズンを通してAMR26の軽量化を進めてきた。

    カルディレによれば、これまでの軽量化だけでもラップタイムには大きな効果が表れている。ただし、現時点のAMR26はまだ規定の最低重量には達していない。

    「これまでの軽量化だけでも、ラップタイムを劇的に改善するには十分だった」

    「バクーでは最低重量に非常に、非常に近づけるはずだ。それこそ、常に目指すべき状態だ」

    これにより、アゼルバイジャンGP以降のAMR26は空力仕様だけでなく重量面でもほぼ完成形となる見通しだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダはPUアップデートを継続
    シャシー側の大規模な開発が終了する一方、ホンダは2026年型F1パワーユニットの改善を続ける。

    ホンダは前戦オランダGPで大規模なアップデートを投入。アストンマーティンの改良と合わせ、フェルナンド・アロンソは18番グリッドから9位まで挽回し、チームにとって今季最高の結果を記録した。

    カルディレは、ホンダが今後も複数の改良を予定していることを明かした。

    「ホンダは非常に懸命に取り組んでいる。エンジンの制御やマネジメント方法を改善するため、ハードウェアとソフトウェアの両方でいくつかのアップデートが予定されている」

    「必要としているパフォーマンスを引き出すため、このパワーユニットのアーキテクチャをどこまでプッシュできるかを探っている。それが今の焦点だ」

    ホンダの新スペックPUについては、オランダGP前からドライバビリティ面で課題が確認されていた。

    アストンマーティンはハンガリーGP後にフィルミングデーを実施し、そこで新仕様のエンジンを走らせた際にも望ましくない挙動を確認していたという。

    「ハンガリーGP後に行ったフィルミングデーで新スペックのエンジンを走らせた際、すでにいくつか望ましくない挙動が確認されていた」

    「それでも、サマーブレイクによるシャットダウンからオランダGPまで非常に短い時間しかなかったにもかかわらず、ホンダはそれらの問題を軽減することができた」

    モンツァは「弱点を完全に露呈させる」
    一方、カルディレは今週末のF1イタリアGPについて、アストンマーティンにとって厳しい戦いになると予想している。

    モンツァは長いストレートと少ないコーナーを特徴とする超高速サーキットであり、空気抵抗の少なさとPUの出力が大きく結果を左右する。

    「『難しい』と言うなら、おそらくかなり控えめな表現だろう」

    「モンツァにはそれほど多くのコーナーがない。つまり、ドライバーやシャシーが大きな違いを生み出せる場所が少ないということだ。基本的には数少ないコーナーを完璧に走り、ストレートでは低ドラッグと高いパワーを持つことが重要になる」

    そして、AMR26が抱える弱点がモンツァでは隠せないと認めた。

    「モンツァは我々のマシンの弱点を完全に露呈させるサーキットだ。純粋なパフォーマンスという観点では、期待について現実的にならなければならない」

    「ただ、それによってチームがこれまで遂げてきた進歩が損なわれるわけではない」

    アストンマーティンはバクーでAMR26の軽量化プログラムを完了させ、2026年型マシンの開発を事実上終了する。一方で、ホンダはPUのハードウェアとソフトウェアの改善を継続する方針であり、シーズン終盤に向けてどこまで性能とドライバビリティを引き上げられるかが焦点となる。

  • ホンダF1 折原慎太郎「スペック2は失敗ではない」パワー向上も挙動に課題

    ホンダF1 折原慎太郎「スペック2は失敗ではない」パワー向上も挙動に課題

    ホンダは、2026年F1オランダGPで投入した新パワーユニット(PU)「スペック2」について、期待された効果が得られなかったとの見方を否定した。HRC(ホンダ・レーシング)の折原伸太郎は、ベンチテストで確認していたパワー向上を実際の走行でも確認できたと説明している。

    一方で、燃焼仕様の変更に伴ってエンジンブレーキやトルクデリバリーの不安定さが再び表面化したことも認めた。

    フェルナンド・アロンソとランス・ストロールから厳しい評価が出たものの、ホンダは改善可能な問題だと捉えており、「スペック2を失敗とは考えていない」と強調している。

    ベンチで確認したパワー向上をサーキットでも確認
    ホンダはオランダGPが行われたザントフォールトで、2026年型PUの新仕様「スペック2」を投入した。事前には30~40馬力程度の向上を目標としているとの情報もあったが、各チームのGPSデータを基にした推定では、実際の向上幅は20馬力未満だったとも伝えられている。

    さらにアストンマーティンのドライバーからは、絶対的なパワー以上にPUの扱いにくさを指摘する声が上がった。

    しかし、ホンダ側はスペック2によるパワー向上そのものについては、当初の想定通りだったとしている。

    イタリアGPを前に折原は、「パフォーマンスに関しては、ベンチで確認していた数値が実際の走行でも再現できていることをデータで確認しています」と説明した。

    信頼性についても大きな問題は発生しなかった。

    「はい。信頼性については、問題なく週末を走り切ることができました。その点では、すべて予定通りに進みました」

    燃焼変更でドライバビリティの問題が再発
    一方、ホンダが認めている最大の課題がドライバビリティだ。

    スペック2では燃焼仕様に変更が加えられたが、その影響によってシーズン前半に改善を進めてきたPUの挙動に関する問題が再び現れた。

    アロンソはオランダGPで新PUについて「振り出しに戻った」と厳しく評価していた。

    それでも折原は、スペック2そのものが失敗だったとの見方を否定した。

    「エンジンの挙動について難しい部分があるのは確かです。ただ、対策を施し、改善するためのプロセスを進めていけばパフォーマンスを向上させられることは確認できています。ですから、スペック2が失敗だったとは考えていません」

    つまり、絶対的なパワー向上は実現しているものの、それをドライバーが安定して引き出せる状態にはまだ達していないということだ。

    「パフォーマンス面では一定の進歩が確認できています。ただ、安定したトルクを供給し、アクセル操作やブレーキング時のPUの反応にドライバーが自信を持てるレベルにはまだ到達していません」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    エンジンブレーキとトルク応答にばらつき
    ザントフォールトでアロンソとストロールが特に問題視していたのが、エンジンブレーキとアクセル操作に対するトルクの応答だった。

    折原は、その症状について具体的に説明している。

    「具体的には、ブレーキング時のエンジンブレーキに問題があり、ラップごとに挙動が一定ではありませんでした」

    「アクセルを踏んだ量に対して想定したトルクが出なかったり、逆にトルクが出すぎたりすることがありました。そうなるとコーナー出口で突然ホイールスピンが発生する可能性があり、ドライバーは自信を持って攻めることができません」

    2026年のF1では電動化の比率が大幅に高まり、PUとエネルギーの制御がマシンパフォーマンスを左右する重要な要素となっている。そのため、ドライバーがアクセルやブレーキ操作に対する反応を予測できないことは大きなハンディキャップとなる。

    ただし、折原はスペック1でも同様の問題を改善してきた実績があることから、今回も解決できるとの見通しを示した。

    「PUの反応を正確に予測できないことは大きな問題です。ただ、良い点としては、スペック1のときと同じように、これについても少しずつコントロールして改善していけるということです」

    「スペック1より確実に向上」もトップには届かず
    ホンダはスペック2によって前仕様から前進したと評価している一方、現時点でライバルPUに追いついたとは考えていない。

    折原は「パフォーマンスはスペック1と比較して確実に向上しています」と述べた。

    その一方で、次戦イタリアGPについては厳しい戦いになることを覚悟している。

    モンツァは長いストレートが特徴で、PUの絶対的な性能とエネルギーマネジメントがラップタイムに大きく影響する。新仕様の実力を測るうえでも、ザントフォールト以上に厳しいテストになる。

    「残念ながら、PUをアップデートしたとはいえ、まだベストのPUではありません。そのため、モンツァでは厳しい戦いになると考えて準備しています」

    ホンダにとってスペック2のザントフォールト投入は、狙ったパワー向上を確認できた一方、その代償としてドライバビリティの課題を再び浮き彫りにする結果となった。アストンマーティンがその性能を最大限に引き出すためには、エンジンブレーキとトルクデリバリーの安定化が急務となる。

    最高速とPU効率が重要になるモンツァでは、スペック2による純粋なパワー向上と、ザントフォールトで露呈した挙動面の改善がどこまで進んでいるかが改めて試されることになる。

  • ジェンソン・バトン アロンソにF1続行を希望「まだ多くのものを与えられる」

    ジェンソン・バトン アロンソにF1続行を希望「まだ多くのものを与えられる」

    ジェンソン・バトンが、かつてマクラーレンでチームメイトだったフェルナンド・アロンソにF1での現役続行を呼びかけた。アストンマーティンのアンバサダーを務めるバトンは、自身の引退経験も振り返りながら、45歳となったアロンソには「まだ多くのものをF1に与えられる」と語った。

    アロンソの将来を巡っては、2026年限りで現役を退く可能性も含めてさまざまな憶測が続いている。一方、ホンダ側もアロンソにアストンマーティンのプロジェクトに残ってほしいとの意向を示しており、その決断に注目が集まっている。

    バトン「個人的にはもう少し長く続けてほしい」
    バトンはアストンマーティンの公式サイトで、アロンソの将来について自身の考えを明かした。

    「フェルナンドの将来は今、大きな話題になっている。彼がもう1年F1を続ける決断をするのかどうか、私にはまったく分からない。ただ、いつ引退を決断したとしても、F1史上最高のドライバーのひとりとして正当に評価されることは分かっている」

    「ただ、個人的にはもう少し長く続けてほしいと思っている」

    2009年F1ワールドチャンピオンのバトンは、自身が36歳でF1から退いたときには、すでに引退すべき時期が来たことを自覚していたという。

    「私は自分がF1を引退すべき時が来たことを分かっていた。36歳で引退したから、フェルナンドより9歳若かったけれど、私は準備ができていた」

    「その前の2年ほどは、レースをすることに苦しんでいた。本当の意味ではそこにいたいと思えていなかったからだ。自分にはもう新しく成し遂げるものがないように感じていた。そこまで来れば、去る時だと分かる」

    「フェルナンドにはまだエキサイティングな挑戦がある」
    しかし、現在のアロンソは当時の自分とは違うとバトンは考えている。その最大の理由が、アストンマーティンで進められているプロジェクトだ。

    「フェルナンドにとって違うのは、まだ目の前にエキサイティングな挑戦があることだと思う」

    「もちろん今年は厳しい。でも、アストンマーティンにいて、エイドリアン・ニューウェイのような人と仕事をするという意味では、今もエキサイティングな時期だ」

    「どんなF1ドライバーだって、彼が設計したマシンでレースをしたいと思うだろうし、彼がこのチームを前進させていくところを間近で経験したいと思うはずだ」

    バトンはさらに、アロンソが2018年限りで一度F1を離れながら、2021年に復帰した経験も、今回の決断に大きく影響するとみている。

    「将来を決めることがどれだけ難しいかは私にも分かる。そして彼は以前にも一度それを経験している」

    「彼はF1を離れて、その後戻ってきた。つまり、明らかにあのときは早く離れすぎたということだ。だから今度は、自分がもうF1にいたくないと100%確信するまで、去ることはないと思う」

    「アストンマーティンで勝利を争う姿を見たい」
    バトンは、年齢にかかわらずアロンソの才能と勝利への意欲は失われていないと強調する。

    「フェルナンドには、まだF1に与えられるものがたくさんある。私は彼がアストンマーティンで勝利を争う姿を見たい。それこそ彼がいるべき場所だし、このチームが目指している場所でもある」

    「彼は本来ならもっと多く勝っているべきだった。何度か不運な状況に置かれてきたし、そのひとつは私と一緒だったときでもある。でも、才能とハングリーさは今も残っている。それこそがF1に残り、競争力を維持するうえで重要なことだ」

    ジェンソン・バトンとフェルナンド・アロンソ

    シューマッハとのバトルに匹敵するアロンソ
    マクラーレン時代にアロンソと同じチームで戦ったバトンは、その実力をミハエル・シューマッハと並べて評価している。

    「フェルナンドに対してできる最大の賛辞は、彼と戦うことがミハエル・シューマッハと戦うことにとても似ていたということだ」

    「私の経験では、彼らとのバトルはハードだけれどフェアだった。毎回限界ギリギリで、それが大好きだった。それも挑戦の一部だった」

    「私がハンガリーで初めてグランプリに勝ったときも、彼らと戦っていた。ドライバーとして望むのはそういうことだ。最高のドライバー、偉大なドライバーたちと戦って、自分がどれだけ通用するのかを確かめたい」

    バトンは自身のF1キャリアを通じて、アロンソとシューマッハだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンとも戦ってきた。

    「私は本当に幸運だった。フェルナンドやミハエルだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンといった、このスポーツの本当のレジェンドたちと戦うことができた」

    「走っているのを見ればすぐフェルナンドだと分かる」
    その歴代の名手たちのなかでも、アロンソには一目で分かる独特のドライビングスタイルがあるとバトンは語る。

    「フェルナンドを際立たせているのは、そのドライビングスタイルだ。すべてのマシンを同じ色に塗って、全ドライバーをコースに出したとしたら、その違いを見分けるのは難しいと思う」

    「でも、フェルナンドが目の前を走り過ぎれば、すぐに彼だと分かる。それは彼がステアリングの向こう側でやっていることによるものだ」

    「フェルナンドのドライビングは誰とも違う。アグレッシブで、素晴らしい適応力がある。それは彼のキャリアを通じてずっと変わっていない」

    アロンソは2026年にアストンマーティン・ホンダとして新たな時代を迎えたものの、ここまでは期待されたほどの結果を残せていない。それでもバトンは、アロンソには依然としてトップレベルで戦う才能と意欲があり、ニューウェイとともにアストンマーティンを勝利へ導くという「エキサイティングな挑戦」が残されていると考えている。

    一度F1を離れながら復帰した経験があるだけに、バトンの見立てでは、アロンソが次に引退を決断するのは、自らが「100%」納得したときになる。

  • ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    アストンマーティンとともに2026年のF1新時代に挑んでいるホンダのパワーユニットをめぐり、メルセデスに約70馬力の差をつけられているとの報道がイタリアから浮上した。ただし、この数字を単純なICE(内燃エンジン)の出力差として受け取るには注意が必要だ。

    ホンダ自身も、現時点でライバルに対して総合的なパワーで後れを取っていることは認めている。

    一方、オランダGPでスペック2を投入した現在の重点課題として挙げているのはドライバビリティであり、HRC Sakuraでは燃焼制御の安定化を中心とした作業が進められている。

    パワーへの依存度が高いモンツァは、その成果を確認する重要な舞台となる。

    イタリアメディアが「70馬力差」と報道
    イタリアメディア『Autoracer.it』は、オランダGPでスペック2が投入された後も、ホンダのパワーユニットはメルセデスに対して約70馬力の差があると報じた。

    同メディアは、この差が平均して1周あたり約1.2秒のタイムロスに相当するとし、フェラーリのエンジニアの見解として、ホンダがギャップを完全に埋めるまでには複数年を要する可能性があるとも伝えている。

    ただし、約70馬力という数字はホンダやアストンマーティンが公表したものではない。また、具体的にどの条件で算出された出力差なのかも明確ではない。

    2026年のF1パワーユニットでは、ICEだけでなく大幅に強化された電動システムの性能が実際の加速や最高速に大きく影響する。そのため、「70馬力」という数字だけをもってホンダのICEそのものがメルセデスより常時70馬力低いと断定することはできない。

    2026年F1では単純な「馬力差」では測れない
    2026年のF1では、パワーユニットの競争力を従来のような最高出力だけで評価することが難しくなっている。

    ICEの性能に加え、MGU-Kによる電気エネルギーの供給、バッテリーの状態、回生効率、そして限られたエネルギーをラップのどこで使用するかというデプロイメントが実際のパフォーマンスを左右するためだ。

    例えば、ストレート前半ではライバルと同等の加速を示していても、電気エネルギーを早い段階で使い切れば、後半では出力差が急激に拡大する可能性がある。逆に、エネルギーを温存すれば別の区間でタイムを失うことになる。

    さらに、車体側の空気抵抗やギア比、コーナーからの立ち上がり速度などもストレートでの速度に影響する。このため、外部から観測された速度差をそのままパワーユニットの馬力差に置き換えることは難しい。

    『Autoracer.it』が伝えた「約70馬力」「1周約1.2秒」という数字についても、現時点ではホンダとメルセデスの絶対的なICE出力差を示す確定値ではなく、あくまでイタリアから伝えられた推定値として扱う必要がある。

    ホンダ自身は「総合的なパワー不足」を認める
    一方で、ホンダがライバルとの差そのものを否定しているわけではない。

    Honda F1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、イタリアGPを前に、スペック2による前進を認めながらも、総合的なパワーでは依然としてライバルに後れを取っているとの認識を示している。

    「今週末の舞台となるモンツァは、長いストレートと11のコーナーで構成され、2026年カレンダーの中でも全開率が最も高いサーキットのひとつです。このコースでは、限られたエネルギーを各区間にどう配分するかが重要で、特に予選ではその影響が大きくなります。モンツァのラップタイムはパワーに非常に敏感です」

    「ザントフォールトでスペック2エンジンを導入し、パフォーマンス面では一歩前進することができました。ただ、総合的なパワーという点ではまだライバルに遅れていることは分かっていますので、今週末については現実的に考える必要があります」

    重要なのは、折原が「総合的なパワー」と表現している点だ。

    ホンダは具体的な馬力差には言及しておらず、70馬力という数字を認めたわけでもない。ICEだけでなく電動システムやエネルギーマネジメントまで含めた2026年型パワーユニット全体として、まだ競争力を高める必要があるというのがHRC側から示されている現状認識となる。

    スペック2で浮上したドライバビリティの課題
    ホンダはオランダGPで、ADUO(追加開発・アップグレード機会)による開発を反映したスペック2のパワーユニットを投入した。

    性能面では前進した一方、ザントフォールトでは新たな課題も表面化した。特に問題となったのがドライバビリティだった。

    フェルナンド・アロンソは週末を通じて、ダウンシフトやエンジンブレーキの挙動に一貫性がない状況に苦しんだ。最終的には18番グリッドから9位まで追い上げて2ポイントを獲得したものの、スペック2の性能を完全に引き出せたとは言い難い週末となった。

    つまりホンダにとって現在必要なのは、単純に最高出力を積み増すことだけではない。ドライバーがアクセル操作に対して予測可能なレスポンスを得られ、コーナー進入から立ち上がりまで安定してパワーユニットを使える状態を作る必要がある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    HRC Sakuraで燃焼制御の安定化に集中
    オランダGP以降、ホンダが重点的に取り組んできたのが、このドライバビリティの改善だ。

    折原はイタリアGPに向けた作業について説明している。

    「イタリアGPでの重要なテーマは、ドライバビリティを改善することです」

    「オランダGP以降、HRC Sakuraのダイナモで多くの作業を行ってきました。特に、安定して一貫性のある燃焼制御を実現することに取り組んでいます」

    「モンツァではその作業の効果を確認しながら、さらにチューニングを進めていきます。それによって、今後のレースでより高い競争力につなげていきたいと考えています」

    スペック2でハードウェア側の性能を引き上げても、燃焼状態やトルクの出方にばらつきがあれば、ドライバーはその性能を安定して利用できない。特にコーナー進入時のエンジンブレーキや、立ち上がりでのICEと電動システムの協調は、ラップタイムだけでなくドライバーのマシンに対する信頼にも直結する。

    そのため現在のホンダにとって、燃焼制御の安定化は単なる扱いやすさの改善ではなく、スペック2が本来持つ性能を引き出すための重要な開発項目となっている。

    モンツァでホンダの現在地が見える
    イタリアGPの舞台となるモンツァは、ホンダにとって厳しい一方で、その現在地を測るには適したサーキットでもある。

    長い全開区間ではICEの性能だけでなく、電気エネルギーをどこまで効率的に使い続けられるかが問われる。折原が指摘するように、特に予選では限られたエネルギーを1周のどこに配分するかが重要になる。

    したがって、モンツァで注目すべきなのは「本当に70馬力遅れているのか」という数字だけではない。

    スペック2によって総合的なパワー差がどこまで縮まったのか。そしてオランダGP後にHRC Sakuraで進められた燃焼制御の安定化によって、ドライバビリティがどこまで改善されるのか。アストンマーティンのストレートでの競争力と実際のラップタイムは、その成果を判断する重要な材料になる。

    約70馬力という衝撃的な数字の真偽を外部から正確に確認することは難しい。しかし、ホンダ自身が総合的なパワーでライバルに後れを取っていることを認めているのも事実だ。高速のモンツァは、その差の大きさとスペック2の改善効果をより鮮明に映し出す週末となりそうだ。

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • ホンダF1 スペック2をモンツァで検証 燃焼制御の安定化でドライバビリティ改善

    ホンダF1 スペック2をモンツァで検証 燃焼制御の安定化でドライバビリティ改善

    ホンダは、2026年F1第13戦イタリアGPに向けたプレビューを発表した。前戦オランダGPで投入したスペック2のエンジンによって性能向上を果たした一方、ホンダF1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、総合的な戦闘力では「依然としてライバルとの差がある」と認めている。

    高速のモンツァ・サーキットでは、パワーユニットの性能とエネルギーマネジメントが重要になる。

    ホンダはオランダGP以降、HRC Sakuraのベンチで燃焼制御の安定化に取り組んでおり、イタリアGPでは特にドライバビリティの改善とさらなる最適化を進める。

    スペック2投入後初の超高速サーキット
    2026年シーズン第13戦イタリアGPは、9月4日(金)にモンツァ・サーキットで開幕する。初日はFP1とFP2、5日(土)にはFP3と公式予選、6日(日)に決勝が行われる。

    モンツァは長いストレートを11のコーナーでつないだ、F1カレンダー屈指の高速サーキットだ。スロットル全開率が非常に高く、最高速だけでなく、限られたエネルギーを1周のどこで使うかという配分もラップタイムを大きく左右する。

    特に予選では、1周を通じて最大限のパフォーマンスを引き出すためのエネルギーマネジメントが重要になる。

    折原伸太郎はモンツァの特徴について次のように説明した。

    「今週末の舞台となるモンツァは、長いストレートと11のコーナーで構成され、スロットル全開率が非常に高いサーキットです。限られたエネルギーを各区間にどう配分するかが重要で、特に予選ではラップタイムを大きく左右します」

    ホンダ F1 ホンダ・レーシング

    スペック2で性能向上もライバルとの差を認識
    ホンダは前戦オランダGPで、アストンマーティンにスペック2のエンジンを投入した。

    新スペックによって性能面で前進したことを折原伸太郎も認めている。しかし、パワーユニットだけではなくマシンを含めた総合的な競争力という観点では、トップ勢との差を埋め切れていないとの認識を示した。

    「前戦オランダGPで投入したスペック2のエンジンにより性能は向上しましたが、総合的な戦闘力は依然としてライバルとの差があり、チャレンジングな週末になると考えています」

    モンツァはパワーユニットへの要求が極めて大きいだけに、スペック2投入による改善が実戦でどこまで競争力につながるのかを確認する重要な週末となる。

    HRC Sakuraで燃焼制御を改善
    イタリアGPに向けてホンダが重点的に取り組んできたのがドライバビリティだ。

    オランダGPでは新スペックによる絶対的な性能向上だけでなく、パワーユニットをいかに安定して扱える状態にするかも課題となった。ホンダはレース後、HRC Sakuraのベンチで燃焼制御の改善作業を継続している。

    「イタリアGPに向けては、ドライバビリティの改善に注力してきました。オランダGP以降、HRC Sakuraのベンチで安定した燃焼制御の実現に取り組んでおり、モンツァではその効果を確認しながら、今後の競争力向上につながるよう、さらなる最適化を進めます」

    今回のモンツァでは、スペック2の純粋なパフォーマンスだけでなく、燃焼制御の安定化によってドライバーが要求するトルクをどれだけ扱いやすく引き出せるかも焦点となる。

    長い全開区間を持つモンツァは、ホンダの新スペックが持つ現在地を測るうえで格好の舞台となる。オランダGPで得たデータとHRC Sakuraでのベンチ作業を実車で検証し、今後の競争力向上につなげられるか。ホンダにとってイタリアGPは、スペック2のさらなる熟成に向けた重要な一戦となる。