ジェンソン・バトンが、かつてマクラーレンでチームメイトだったフェルナンド・アロンソにF1での現役続行を呼びかけた。アストンマーティンのアンバサダーを務めるバトンは、自身の引退経験も振り返りながら、45歳となったアロンソには「まだ多くのものをF1に与えられる」と語った。
アロンソの将来を巡っては、2026年限りで現役を退く可能性も含めてさまざまな憶測が続いている。一方、ホンダ側もアロンソにアストンマーティンのプロジェクトに残ってほしいとの意向を示しており、その決断に注目が集まっている。
バトン「個人的にはもう少し長く続けてほしい」
バトンはアストンマーティンの公式サイトで、アロンソの将来について自身の考えを明かした。
「フェルナンドの将来は今、大きな話題になっている。彼がもう1年F1を続ける決断をするのかどうか、私にはまったく分からない。ただ、いつ引退を決断したとしても、F1史上最高のドライバーのひとりとして正当に評価されることは分かっている」
「ただ、個人的にはもう少し長く続けてほしいと思っている」
2009年F1ワールドチャンピオンのバトンは、自身が36歳でF1から退いたときには、すでに引退すべき時期が来たことを自覚していたという。
「私は自分がF1を引退すべき時が来たことを分かっていた。36歳で引退したから、フェルナンドより9歳若かったけれど、私は準備ができていた」
「その前の2年ほどは、レースをすることに苦しんでいた。本当の意味ではそこにいたいと思えていなかったからだ。自分にはもう新しく成し遂げるものがないように感じていた。そこまで来れば、去る時だと分かる」
「フェルナンドにはまだエキサイティングな挑戦がある」
しかし、現在のアロンソは当時の自分とは違うとバトンは考えている。その最大の理由が、アストンマーティンで進められているプロジェクトだ。
「フェルナンドにとって違うのは、まだ目の前にエキサイティングな挑戦があることだと思う」
「もちろん今年は厳しい。でも、アストンマーティンにいて、エイドリアン・ニューウェイのような人と仕事をするという意味では、今もエキサイティングな時期だ」
「どんなF1ドライバーだって、彼が設計したマシンでレースをしたいと思うだろうし、彼がこのチームを前進させていくところを間近で経験したいと思うはずだ」
バトンはさらに、アロンソが2018年限りで一度F1を離れながら、2021年に復帰した経験も、今回の決断に大きく影響するとみている。
「将来を決めることがどれだけ難しいかは私にも分かる。そして彼は以前にも一度それを経験している」
「彼はF1を離れて、その後戻ってきた。つまり、明らかにあのときは早く離れすぎたということだ。だから今度は、自分がもうF1にいたくないと100%確信するまで、去ることはないと思う」
「アストンマーティンで勝利を争う姿を見たい」
バトンは、年齢にかかわらずアロンソの才能と勝利への意欲は失われていないと強調する。
「フェルナンドには、まだF1に与えられるものがたくさんある。私は彼がアストンマーティンで勝利を争う姿を見たい。それこそ彼がいるべき場所だし、このチームが目指している場所でもある」
「彼は本来ならもっと多く勝っているべきだった。何度か不運な状況に置かれてきたし、そのひとつは私と一緒だったときでもある。でも、才能とハングリーさは今も残っている。それこそがF1に残り、競争力を維持するうえで重要なことだ」

シューマッハとのバトルに匹敵するアロンソ
マクラーレン時代にアロンソと同じチームで戦ったバトンは、その実力をミハエル・シューマッハと並べて評価している。
「フェルナンドに対してできる最大の賛辞は、彼と戦うことがミハエル・シューマッハと戦うことにとても似ていたということだ」
「私の経験では、彼らとのバトルはハードだけれどフェアだった。毎回限界ギリギリで、それが大好きだった。それも挑戦の一部だった」
「私がハンガリーで初めてグランプリに勝ったときも、彼らと戦っていた。ドライバーとして望むのはそういうことだ。最高のドライバー、偉大なドライバーたちと戦って、自分がどれだけ通用するのかを確かめたい」
バトンは自身のF1キャリアを通じて、アロンソとシューマッハだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンとも戦ってきた。
「私は本当に幸運だった。フェルナンドやミハエルだけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンといった、このスポーツの本当のレジェンドたちと戦うことができた」
「走っているのを見ればすぐフェルナンドだと分かる」
その歴代の名手たちのなかでも、アロンソには一目で分かる独特のドライビングスタイルがあるとバトンは語る。
「フェルナンドを際立たせているのは、そのドライビングスタイルだ。すべてのマシンを同じ色に塗って、全ドライバーをコースに出したとしたら、その違いを見分けるのは難しいと思う」
「でも、フェルナンドが目の前を走り過ぎれば、すぐに彼だと分かる。それは彼がステアリングの向こう側でやっていることによるものだ」
「フェルナンドのドライビングは誰とも違う。アグレッシブで、素晴らしい適応力がある。それは彼のキャリアを通じてずっと変わっていない」
アロンソは2026年にアストンマーティン・ホンダとして新たな時代を迎えたものの、ここまでは期待されたほどの結果を残せていない。それでもバトンは、アロンソには依然としてトップレベルで戦う才能と意欲があり、ニューウェイとともにアストンマーティンを勝利へ導くという「エキサイティングな挑戦」が残されていると考えている。
一度F1を離れながら復帰した経験があるだけに、バトンの見立てでは、アロンソが次に引退を決断するのは、自らが「100%」納得したときになる。
