カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ジョナサン・ウィートリー F1パドック復帰 アストンマーティン代表就任へ前進か

    ジョナサン・ウィートリー F1パドック復帰 アストンマーティン代表就任へ前進か

    ジョナサン・ウィートリーが、先週末に開催されたF1オランダGPでパドックに姿を見せた。アウディF1のチーム代表を退任して以来、F1の現場から距離を置いていたウィートリーだが、アストンマーティンの次期チーム代表候補として依然有力視されている。

    元レッドブル・レーシングのスポーティングディレクターであるウィートリーは、2025年にザウバーへ加入し、アウディF1のワークス体制移行を率いるチーム代表に就任した。

    しかし、2026年3月の中国GP後に職を離れており、その直前からアストンマーティンの長期的なチーム代表候補として名前が挙がっていた。

    アウディ退任後初のF1パドック復帰
    59歳のウィートリーは、アウディを離れて以降、F1のパドックから姿を消していた。

    それだけに、ザントフォールトで開催されたオランダGPに現れたことは注目を集めた。アウディ退任後、F1のレースウイークのパドックに姿を見せたのは今回が初めてとみられている。

    ただし、今回の訪問が直接アストンマーティンとの交渉を目的としたものだったわけではないようだ。

    ウィートリーはオランダGPでアルピーヌのホスピタリティに入る姿を目撃されたが、これはベネトンおよびルノー時代の元同僚で友人でもあるスティーブ・ニールセンを訪ねるためだったとされている。ニールセンは現在、アルピーヌのマネージングディレクターを務めている。

    それでも、久々のF1パドック復帰によって、ウィートリーのアストンマーティン入りを巡る憶測は再び強まっている。

    ニューウェイのチーム代表職を引き継ぐ最有力候補
    ウィートリーは、将来的にエイドリアン・ニューウェイからアストンマーティンのチーム代表職を引き継ぐ最有力候補とみられている。

    もちろん、ニューウェイがアストンマーティンを離れるという意味ではない。

    ニューウェイは2025年11月にアンディ・コーウェルの後任としてチーム代表に就任し、自身のF1キャリアで初めてチーム運営の責任を担うことになった。しかし本来の役割は、マシンの設計と開発を統括するマネージング・テクニカル・パートナーであり、本人もチーム代表としての業務が技術面の仕事を妨げていることを認めている。

    そのためアストンマーティンでは、日常的なチーム運営を任せられる新たな責任者を据え、ニューウェイを本来の技術開発に集中させる体制が検討されている。

    その人選を主導してきた人物のひとりがニューウェイ自身であり、そこで有力候補として浮上したのがウィートリーだった。

    レッドブル時代からチーム運営の実務に精通し、アウディではチーム代表も経験したウィートリーであれば、グランプリチームの日常的なオペレーションを任せることができる。

    ニューウェイとウィートリー レッドブル黄金期を支えた2人
    ニューウェイとウィートリーには長い共通の歴史がある。

    2人はいずれもレッドブル・レーシングの黄金時代を支えた主要メンバーであり、セバスチャン・ベッテルによるタイトル連覇から、マックス・フェルスタッペンを中心とした近年の成功まで、チームの成長とタイトル獲得に大きく貢献した。

    ニューウェイとウィートリーはともに2024年にレッドブルを離れ、その後、それぞれアストンマーティンとアウディという異なるプロジェクトへ向かった。

    ウィートリーがアストンマーティンに加入すれば、かつてレッドブルで成功を築いた2人が再び同じチームで仕事をすることになる。

    ただし、ウィートリーにはアウディ退任後の契約上の通知期間やガーデニングリーブが存在するとみられており、それが正式就任の時期に影響している可能性がある。

    ジョナサン・ウィートリーとエイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ニューウェイもオランダGPで今季5度目の現場入り
    オランダGPではニューウェイ自身も現場に姿を見せた。

    ザントフォールトは、ホンダがアストンマーティン向けパワーユニットに大規模なアップグレードを投入した週末でもあり、ニューウェイにとって2026年シーズン5度目のサーキット帯同となった。

    ニューウェイは開幕戦オーストラリアGPに帯同した後、続く4戦を欠席。6月初旬のモナコGPで現場に復帰し、その後はイギリスGP、ハンガリーGP、そしてオランダGPにも帯同している。

    一時的にサーキットから離れていた理由のひとつには体調面の問題もあった。

    ニューウェイは6月、前年から体調が万全ではなく、仕事とのバランスを慎重に取る必要があったことを明かしている。

    「今は大丈夫だが、難しい時期だった。去年は正直なところ100%ではなかった。健康と仕事のバランスを以前より慎重に考えなければならなかった」

    その一方で、アストンマーティンの技術部門とは良好な関係を維持できていたと説明した。

    「チームは本当に素晴らしく対応してくれた。エンジニアたちとは非常に良い関係を保てていたし、それによって大きな停滞が起きたとは思っていない」

    「ここにいる全員が、どれだけ柔軟に対応し、お互いを支えられるかを示していると思う」

    ウィートリーが加入すれば、ニューウェイはチーム代表としての運営業務から解放され、アストンマーティン・ホンダのF1マシン設計と開発により多くの時間を割けるようになる。

    現時点でアストンマーティンから正式な発表はない。それでも、数カ月にわたってF1の現場から離れていたウィートリーが再びパドックに姿を現したことで、次期チーム代表就任に向けた動きが近く表面化する可能性に改めて注目が集まっている。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1は、大幅アップデートを施したAMR26Bとホンダ製パワーユニットについて、まだ本来のポテンシャルを完全には引き出せていないと考えている。トラックサイドオペレーションディレクターのマイク・クラックは、新しいパッケージへの理解を深めることで、今後さらにパフォーマンスを高められるとの見方を示した。

    アストンマーティンはハンガリーGPで大規模な車体アップデートを投入し、オランダGPでは新仕様のホンダ製パワーユニットを導入。わずか2戦で後方からポイント争いへと浮上した。

    特にザントフォールトではAMR26Bの競争力が明確になった一方、クラッグは現時点のパフォーマンスが完成形ではないと強調している。

    大規模アップデートは「理解するために数セッション必要」
    アストンマーティンがハンガリーGPで投入したアップデートは、新シャシーと空力パッケージを含む大規模なものだった。変更範囲が広いだけに、セットアップや運用方法についてチームが学ぶべき部分も多いという。

    「我々はこのアップデートについて、ますます理解を深めている。ブダペストで投入した大規模なパッケージについては、どのように取り組み、どのようにセットアップすべきかを学ぶために、いくつかのセッションが必要になる」

    クラッグは、オランダGPで投入されたホンダの新仕様パワーユニットについても同様だと説明する。

    「そして、今回導入したパワーユニットについても同じことが言える。我々はその使い方を学び、最適化する方法を学ばなければならない。数戦はかかると思うが、良い前進だった」

    ザントフォールトはスプリントフォーマットで行われたため、通常のグランプリ週末よりもフリー走行時間が限られていた。大規模な変更を施したマシンを理解するには、決して理想的な状況ではなかった。

    「これは、新しいものを理解しようとしているという話とも一致する。大規模な変更がある場合、セッションが非常に慌ただしいなかで、常にすべてから最大限を引き出すのは難しい」

    「セッションを重ねれば重ねるほど、よりうまくコントロールできるようになる。ただ、少し苦戦するセッションもあれば、より簡単に進められるセッションもある。今週末については、かなり良いセットアップができていた」

    つまり、ザントフォールトで見せた競争力は、AMR26Bと新しいホンダPUを完全に最適化した結果ではない。今後データを蓄積し、両者の使い方への理解が進めば、さらにパフォーマンスを引き出せる余地が残されている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは予選より決勝で競争力を発揮
    一方で、AMR26Bには依然としてサーキット特性による得意不得意が存在する。

    フェルナンド・アロンソはオランダGP後、レースが進んでタイヤが劣化するほどマシンの相対的な競争力が高まったと指摘していた。タイヤのグリップやパワーユニットの性能だけに頼る状況ではなくなることで、AMR26Bが持つ車体そのものの良さを生かしやすくなるためだ。

    クラッグも、アストンマーティンが予選より決勝で強さを発揮する傾向を認めている。

    「ブダペストの時点から、我々がレースでは少し強いことは分かっている」

    ただし、依然として課題となるのがストレートスピードだ。

    「フェルナンドが、我々の結果はストレートがどれくらい長いかによって、おおよそ決まると言っていたと思う。ここ2戦はストレートが少し短かった」

    ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも長い全開区間が少なく、AMR26Bの車体性能を生かしやすいレイアウトだった。そのため、より長いストレートを持つサーキットでは苦戦する可能性がある。

    「これからもっと難しいレースもあるだろう。ただ、それもこの世界の一部だと思う。強いレースもあれば、それほど強くないレースもある。残りのシーズンがどう展開していくのか興味深い」

    アストンマーティンにとって重要なのは、AMR26BとホンダPUの双方にまだ最適化の余地がある点だ。現時点ではサーキット特性、とりわけストレートの長さによって競争力が左右されるものの、大規模アップデートへの理解が進めば、現在以上の性能を引き出せる可能性がある。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソは、2027年以降もF1参戦を続けるかどうかについて、ホンダが投入したアップグレード版パワーユニット(PU)の絶対的な性能は判断材料として「重要ではない」と語った。

    アストンマーティンとホンダは2026年F1シーズン前半に苦戦したが、アロンソが重視しているのは今回のアップデートで何秒縮められるかではない。

    開発現場で狙った改善が実際のマシンでも再現されるか、つまり開発の方向性と相関性が正しいことを確認できるかが、将来を見極めるうえで重要だと説明した。

    ホンダ新PUの性能と2027年の去就は「関係ない」
    ホンダは前戦オランダGPで今季初となるPUアップデートを投入した。シーズン前半は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンもシャシー側で苦戦したことから、両者のパートナーシップの立ち上がりは厳しいものとなった。

    そうした状況を受け、2026年限りで現在の契約を終えるアロンソが2027年もF1に残るかどうかは、ホンダの改良型PUがどれだけ進歩するかに左右されるのではないかとの見方も出ている。

    しかし、アロンソはその考えを否定した。ホンダの新PUのパフォーマンスが自身の決断にどれほど重要なのかと尋ねられると、明確に答えた。

    「重要ではない」

    「もちろん、パワーやドライバビリティ、それに僕たちに欠けていた部分で何らかの恩恵が見られることを期待している」

    「でも僕にとってもっと重要なのは、ブダペストでのシャシー側と同じように、何が必要なのかを理解したうえで開発の考え方があり、それによって前進できていることを確認することだ」

    「0.1秒でも1秒でも数字は重要ではない」
    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでシャシーのアップデートを投入した。アロンソによれば、その際も目的は一気にトップ争いへ加わることではなく、ファクトリーで進めてきた開発の方向性が実車でも正しく機能するかを確認することだった。

    「ブダペストでは、トップのポジションを争えるとは思っていなかった。でも、シャシー側で進んでいる方向が正しいのかを確認したかった。そして、それは確認できたと思う」

    「だから将来に向けて励みになる。相関性が良くて、僕たちが期待していたものが実際に得られたからだ」

    アロンソは、今回のホンダのPUアップデートについても同じ視点で評価しているという。

    「今度はエンジンでも同じだ。彼らはエンジンにいくつか変更を加えた。だから、すべてが期待どおりに機能していることを確認できればいい」

    「それが0.1秒なのか1秒なのか、その数字自体は本当に重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソが重視する「相関性」
    アロンソの発言から浮かび上がるのは、現時点のラップタイムそのものよりも、アストンマーティンとホンダが開発を正しい方向へ進められているかを重視しているという点だ。

    F1マシンの開発では、シミュレーションやダイナモ、風洞などで予測された改善がサーキットでも再現される「相関性」が重要になる。期待した効果が実車で確認できれば、その開発手法を基盤として次のアップデートへつなげることができる。

    ハンガリーGPのシャシーアップデートについて、アロンソはすでにその相関性を肯定的に評価している。ホンダのPUについても、今回の変更によって得られる絶対的なタイム短縮量ではなく、開発段階で予測した改善が実際に現れるかを確認したいということになる。

    「僕たちはかなり後ろにいるから、数字そのものを気にしている場合ではない」

    「僕たちが期待したものが、実際に届けられていることを確認したいだけだ」

    2027年のF1継続はまだ決断せず
    アロンソは現時点で、2027年もF1参戦を続けるかどうかを正式には決断していない。

    今回の発言は、ホンダの新PUが速ければ残留し、期待外れならF1を去るという単純な判断ではないことを示している。むしろアロンソが見ているのは、アストンマーティンとホンダが問題を正しく把握し、ファクトリーで想定した改善をサーキットへ確実に持ち込める組織になっているかどうかだ。

    2026年後半戦で求められているのは、一度のアップデートによる劇的な順位上昇ではない。シャシーとPUの双方で開発の相関性を確立し、継続的に前進できることを示せるか。そのプロセスこそが、アロンソにとってアストンマーティン・ホンダの将来性を判断する重要な材料になりそうだ。

  • ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、2026年F1シーズン序盤の苦戦につながった要因のひとつだった人材面の問題について、現在はすでに解消したと明かした。さらに、レッドブルとのプロジェクトで成功を支えた重要なエンジニアもF1プロジェクトに復帰しているという。

    アストンマーティン・ホンダは、新レギュレーションが導入された2026年に厳しいスタートを切った。

    ホンダは新型パワーユニット(PU)の開発開始でライバルに後れを取り、その背景には2021年末のF1撤退に伴う開発体制の縮小もあった。

    しかし、渡辺康治社長は現在のHRCについて「人数という意味でも、能力という意味でも十分なエンジニアを採用することができた」と説明。2027年に向けた巻き返しへの体制は整ったとの認識を示している。

    2021年のF1撤退で生じた開発の空白
    ホンダは2021年限りでF1への正式参戦を終了。当時F1プロジェクトに所属していた多くのエンジニアは、量産車や先進技術などホンダ社内の別部門へ異動した。

    その後もHRCを通じてレッドブルへのPU供給と技術支援を継続したものの、F1プロジェクト自体は以前より大幅に縮小されていた。

    渡辺康治社長は以前、2022年3月末にエンジニアをホンダの各部門へ戻し、2023年4月にF1復帰が承認されてから再び人材を集め始めたため、体制を100%まで戻すには時間が必要だったと説明している。

    新規則に向けて早い段階から開発を続けていたライバルに対し、この空白期間はホンダにとって大きなハンデとなった。

    渡辺康治社長は今回、2026年シーズン序盤の苦戦について、その事実を改めて率直に認めた。

    「私たちは開発を始めたのが非常に遅かったので、その遅れを取り戻す必要があります」

    「遅れを取り戻すのは簡単ではありません。予算制限がありますし、それ以外にもさまざまな制約があります」

    2023年からPUメーカーにもコストキャップが導入されたことで、単純に人員や予算を投入してライバルとの差を埋めることもできない。

    人材不足「今はもう問題ではありません」
    しかし、F1復帰当初に抱えていた人材面の問題については、すでに状況が大きく変わっている。

    「はい、以前は問題がありました。しかし、今はもう問題ではありません」

    「人数という意味でも、能力という意味でも、十分なエンジニアを採用することができました。ですから、今は大丈夫です」

    ホンダは2026年F1復帰に向けて社内から経験者を呼び戻すだけでなく、新たなエンジニアの採用も進めてきた。英国にもHRC UKを設立し、アストンマーティンの本拠地であるシルバーストンとの連携を強化する体制を構築している。

    レッドブル時代の重要エンジニアが復帰
    さらに注目されるのが、レッドブルとのF1プロジェクトを経験したエンジニアの復帰だ。

    ホンダはレッドブルとのパートナーシップでF1世界選手権を制し、マックス・フェルスタッペンのタイトル獲得を支えるなど大きな成功を収めた。

    その時代にプロジェクトを支えた人材が、現在のアストンマーティン・ホンダのF1プロジェクトにも戻ってきているのかと問われた渡辺康治社長は認めた。

    「はい、そうです」

    ただし、レッドブル時代のスタッフ全員が復帰したわけではない。

    「全員ではありません。ただ、当時そこで仕事をしていた重要な人たちはF1プロジェクトに戻ってきています」

    ホンダにとって重要なのは単純な人数だけではない。F1のPU開発や実戦運用を経験し、レッドブルとともにタイトルを争った経験を持つ人材が戻ったことで、新たに加わったエンジニアへノウハウを伝えていくことも可能になる。

    「私たちは完全に準備できています」
    人員の再構築を進めてきたHRCについて、成功を目指すために必要な体制は整ったのか。

    渡辺康治社長の答えは明確だった。

    「もちろんです。私たちは完全に準備できています」

    一方で、組織を立て直したからといって、すぐにトップメーカーとの差を埋められるわけではないとも強調する。

    「すべてのチームが毎日進化しています」

    「追いつくということは、相手よりも速いペースで進化しなければならないということです。それは簡単なことではありません」

    ホンダが追いかけているライバルも開発を続けている。現在存在する性能差を縮めるためには、ライバルを上回る速度で開発を進めなければならない。

    ホンダ・レーシング

    スペック2は「最初の一歩」
    その巻き返しに向けた具体的な一歩となったのが、F1オランダGPで投入された新仕様PUだ。

    ホンダは2026年シーズン序盤からPUの性能やドライバビリティなどで苦戦してきたが、ザントフォールトでアップデートを投入した。

    ただし、渡辺康治社長は今回のスペック2を完成形とは位置づけていない。

    「もちろんです。今回のスペック2は、状況を改善するための最初の一歩です」

    「そして、毎年少しずつ近づいていきます。私たちの目標は勝つことです」

    つまり、今回のアップデートは一度でライバルとの差を埋めるためのものではなく、今後続いていく開発のスタート地点という位置づけだ。

    ADUOを活用してライバルを追撃
    ホンダが差を縮めるうえでもうひとつ重要になるのが、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)だ。

    ADUOは、F1のPUメーカー間に一定以上の性能差が確認された場合、後れを取っているメーカーに追加の開発機会を認める仕組みである。

    渡辺康治社長も、この制度を利用して開発を加速させる必要があると語った。

    「もちろん、ADUOのレギュレーションを活用しながら開発を加速させて、近づいていかなければなりません」

    FIAが公表した最初の2回のADUO評価では、レッドブル・パワートレインズが基準となり、ホンダは4%を超える性能差があるカテゴリーに入ったことで追加開発機会を得ている。

    ホンダにとってADUOは単なる救済措置ではなく、開発開始の遅れによって生じたギャップを取り戻すために活用すべき重要な機会となる。

    2027年は「はるかに上」に
    では、人材面の立て直しを終え、スペック2を投入し、ADUOによる追加開発機会も得たホンダは、2027年にどこまで前進できると考えているのか。

    渡辺康治社長は、まず目の前の課題をひとつずつ解決していく必要があるとしながらも、来季について強い期待を示した。

    「その後、一歩ずつトップチームに近づいていきます」

    「ですから来年は、もちろん現在の状況と比べれば、はるかに、はるかに上のところにいるはずです」

    2021年のF1撤退によって生じた人材と開発の空白は、2026年のホンダに大きな影響を残した。しかし、HRCはその問題を認めたうえで組織を再構築し、現在は人数と能力の両面で必要なエンジニアを確保したとしている。

    さらに、レッドブルとともにF1タイトルを戦った時代の重要なエンジニアもプロジェクトに復帰した。

    スペック2の投入は渡辺康治社長が語るように、あくまで「最初の一歩」だ。人材不足を解消した新たな開発体制とADUOによる追加開発機会を生かし、ホンダは2027年に現在より「はるかに上」の位置へ進むことを目指している。

  • アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1チームは、英国のハウスミュージック専門レーベル「Defected Records」とパートナーシップを締結した。

    モータースポーツと音楽の組み合わせ自体は珍しくないが、今回の取り組みは単なるイベント演出ではなく、F1という競技の枠を越えてファンコミュニティを広げることを狙ったものだ。

    F1とハウスミュージックはいずれも世界規模で支持を拡大しており、アストンマーティンは両者に共通する「グローバルな規模」と「ファン同士の親密なつながり」に着目した。グランプリを訪れない層にもチームの世界観に触れてもらうことで、新たなファンとの接点を築こうとしている。

    アストンマーティンF1とDefected Recordsが提携
    アストンマーティンは今週、英国を代表するハウスミュージックのレコードレーベル、Defected Recordsとのパートナーシップを発表した。

    ハウスミュージックは1980年代初頭に米国シカゴで誕生し、その後世界的なジャンルへと成長した。現在ではヒットチャートにも頻繁に登場し、若い世代を中心に大きな支持を集めている。

    F1との距離も決して遠くない。ドライバーがSNSに投稿する動画などでもハウスミュージックが使用される機会は多く、オスカー・ピアストリもその一例だ。

    アストンマーティンは今回、その関係をさらに一歩進めた。ロンドン中心部のソーホーでは、ファンコミュニティ「I/AM」のメンバーを対象とした「Driven By Sound」と題するポップアップイベントを開催した。

    一見するとF1チームとハウスミュージックのレーベルという異色の組み合わせだが、アストンマーティンF1チームの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるロブ・ブルームは、両者には共通する考え方があると説明する。

    「我々は象徴的な存在と結びつきたいと考えており、Defectedはまさにその条件を満たしている」

    「Defectedには、ハウスミュージックはダンスフロアの内外に存在し、コミュニティ文化は音楽そのもの以上のものだという考え方がある。我々アストンマーティンF1チームも、まったく同じ考え方を持っている。グランプリに行くかどうかに関係なく、ファンと交流し、我々の世界に迎え入れたい」

    「自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在」
    ブルームは、アストンマーティンというブランドそのものが、以前から自動車というカテゴリーだけに収まらない存在だったと強調する。

    「アストンマーティンというブランドには100年の歴史があるが、常に文化的な現象でもあった。その存在は中核となる製品をはるかに超えている」

    「我々は文化という領域で、自分たちのカテゴリーの外へ踏み出すことに非常に慣れている。そこが我々の活動する場所であり、単なる自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在でありたいと考えている」

    音楽とF1には以前から深いつながりがある。Fleetwood Macの「The Chain」がF1を象徴する楽曲として知られてきたほか、『F1/エフワン』でも音楽は作品を構成する重要な要素となった。

    数多くの音楽ジャンルが存在するなか、アストンマーティンがハウスミュージックを選んだ理由について、ブルームは両者の「自然な一致」を挙げた。

    「自然な親和性がある。ハウスミュージックとF1を見ると、どちらにも規模の大きさと親密さがある」

    「ハウスミュージックとF1という2つのグローバルな存在があり、世界には8億2500万人のF1ファンがいる。本当にグローバルだ」

    「しかし、今回のような小さな機会にファンを集めることで、そこに親密さが生まれる。巨大なグローバルプラットフォームでありながら、その中で非常に個人的で親密な関係や体験を作ることができる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソのレーシングスーツからホンダF1のPUサウンドまで
    ソーホーで開催されたポップアップイベントでは、I/AMメンバーがアストンマーティンF1チームをより身近に体験できるさまざまな企画が用意された。

    DJのサム・ディヴァインやRUZEによるセットを聴きながら無料のコーヒーを楽しめるほか、日曜日にはランニングクラブも開催された。

    会場内にはフェルナンド・アロンソのレーシングスーツとヘルメットも展示された。また、来場者がさまざまな音を体験できる「サウンドウォール」も設置され、チーム無線やホンダ製F1パワーユニットのサウンド、さらにF1 ACADEMYドライバーのマリ・ボヤに関連するチーム無線などを聴くことができた。

    ハウスユニット「The Shapeshifters」のプロデューサーであるサイモン・マーリンは、ダンスミュージックが生み出すコミュニティについて次のように語った。

    「僕がこの仕事を始めてから、ダンスミュージックは大きく進化した。ダンスフロアで友人を見つけることほど特別なことはない」

    「Defected Croatiaはその素晴らしい例だ。10年前には一度も会ったことがなかった人たちが、いまでは親友になり、今年のフェスティバルが終わったことを一緒に泣いて惜しんでいる」

    「そういうことは、自分が特別だと感じられ、期待していたものを超えるような共有体験によってしか起こらない。そうした瞬間が人々を結びつける。ハウスミュージックは、それを実現する最大かつ最高のプラットフォームだ。とてもポジティブな力がある」

    F1とハウスミュージックで広がる新たなファン文化
    F1とハウスミュージックの接点は、すでにさまざまな形で生まれている。世界的なDJがF1公式プレイリスト「F1 Tracks」に参加しているほか、2026年F1シンガポールGPではDiploがパフォーマンスを行う予定だ。

    元F1ドライバーが音楽の世界へ進んだ例もある。フェルナンド・アロンソと同じスペイン出身のハイメ・アルグエルスアリは、F1引退後に「Squire」の名義でDJ、音楽プロデューサーとして活動している。

    アストンマーティンとDefected Recordsの提携が示しているのは、F1チームがレース週末だけをファンとの接点とは考えなくなっていることだ。音楽やファッション、ライフスタイルといった領域を通じて、サーキットを訪れない人々とも継続的なコミュニティを形成することが、チームのブランド戦略で重要性を増している。

    世界規模のファンを持ちながら、一人ひとりには身近な体験を提供する。アストンマーティンF1チームはハウスミュージックとのコラボレーションを、その新しいファンとの関係を築く手段のひとつとして位置づけている。

  • アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1が、フェルナンド・アロンソとの契約延長に向けて、ホンダに年俸の一部負担を求めているとスペインのスポーツメディア『ElDesmarque』が報じた。ローレンス・ストロールは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やし、その一部をアロンソの残留に充てたい考えだという。

    アロンソの現行契約は2026年末で満了する。2027年と2028年については年俸4000万ユーロ(約74億円)を要求しているとされ、2年間では総額8000万ユーロ(約148億円)に達する。

    この高額な契約を成立させるため、アストンマーティン側はワークスパートナーであるホンダにも協力を求めているようだ。

    ストロールがホンダにアロンソの年俸負担を要請か
    『ElDesmarque』は、F1のビジネス事情に詳しいジャーナリスト、マルク・リマシェの情報として、ローレンス・ストロールがホンダにフェルナンド・アロンソの将来の給与の一部を負担してもらうことを望んでいると伝えている。

    アストンマーティンは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やすことを求めており、その追加資金の一部をアロンソとの契約延長に充てる考えだという。

    アロンソの要求額については、リマシェが今月初め、2027年と2028年の契約延長に向けて1シーズンあたり4000万ユーロ(約74億円)を求めていると報告。この情報はイタリアの『La Gazzetta dello Sport』も取り上げ、「2年間で8000万ユーロ」と報じている。

    アロンソは現在45歳だが、F1で依然として高い評価を受けており、アストンマーティンにとってはマシン開発においても重要な存在となっている。チームはエイドリアン・ニューウェイを中心にタイトルを争える体制の構築を進めており、そのプロジェクトに2度のF1ワールドチャンピオンを残すことを望んでいる。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソ残留にはホンダの競争力も重要
    一方で、アロンソが2027年以降もF1参戦を続けるかどうかは、契約条件だけで決まるわけではない。

    アロンソは自身の将来について、ローレンス・ストロールやエイドリアン・ニューウェイらと話し合ったうえで判断する考えを示している。その決断を左右する重要な要素のひとつが、アストンマーティンとホンダの競争力だ。

    2026年からアストンマーティンはホンダのワークスパートナーとなり、新しいF1パワーユニット規則のもとでホンダ製PUを搭載している。『ElDesmarque』は『The Race』の報道も引用し、ホンダの今後の進歩がアロンソの将来を左右する可能性があると指摘している。

    ホンダ製PUがシーズン後半に十分な進歩を示し、アストンマーティンが勝利やタイトル争いを現実的に狙える状況になれば、アロンソがF1参戦を続ける大きな理由になる。一方で期待するレベルに届かなければ、45歳という年齢も含めて引退を選択する可能性も残されている。

    HRCの渡辺康治社長も、アロンソが2027年もアストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。渡辺社長はアロンソと仕事をすることはホンダにとって「極めて重要」と語り、その経験と開発能力を高く評価している。

    今回の報道が事実なら、ホンダには競争力のあるF1パワーユニットを提供するだけでなく、アロンソをチームに残すための経済的な協力まで求められていることになる。

    アロンソが求めているとされる年俸4000万ユーロ、アストンマーティンのマシン開発、そしてホンダF1パワーユニットの競争力。2027年以降もアロンソがF1で戦い続けるかどうかをめぐり、今後はホンダも重要な鍵を握ることになりそうだ。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1は、AMR26Bのさらなる性能向上に向けて「重量」という課題に取り組んでいる。ハンガリーGPで投入された大幅改良型は空力面で前進し、ホンダもパワーユニットの性能向上を進めているが、マシンは依然としてF1の最低重量に達していないという。

    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、チームがモンツァとバクーでAMR26Bの軽量化を進め、最低重量まで引き下げることを短期的な目標としていると明かした。

    エイドリアン・ニューウェイ率いる技術陣にとって、空力開発やホンダF1パワーユニットの改善とは別の領域でラップタイムを削る重要な取り組みとなる。

    AMR26Bで状況が一変したアストンマーティン
    2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンは厳しい状況に置かれていた。新レギュレーションが導入された最初の10戦では、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが他チームと競り合うことさえ難しいレースが続いた。

    しかし、ハンガリーGPでAMR26Bと呼ばれる大幅改良型を投入し、さらにオランダGPでもアップデートを加えたことで状況は変化した。

    ザントフォールトではアロンソが18番グリッドから9位まで挽回してポイントを獲得。アストンマーティンが中団で戦えるだけの競争力を取り戻しつつあることを示した。

    そのパフォーマンス向上には空力面の進歩に加え、オランダGPで投入されたホンダF1パワーユニットの新仕様も一定の役割を果たした。ただし、パワー面での向上が確認された一方、新仕様ではドライバビリティに新たな課題も生じた。

    ホンダF1新PUはブレーキングとシフトダウンが課題
    次戦イタリアGPに向けた課題のひとつが、ホンダF1パワーユニットのドライバビリティ改善だ。

    オランダGPでは、特にブレーキングからシフトダウンにかけての挙動が安定せず、ドライバーがマシンの性能を最大限に引き出すうえで障害となった。

    デ・ラ・ロサは、改善すべきポイントについて次のように説明している。

    「新しいエンジンについては、ドライバビリティを改善しなければならない。特にブレーキングとシフトダウンの部分だ」

    この領域ではホンダ側の改善が重要になる。一方、アストンマーティン側ではAMR26Bそのものについて、空力アップデートとは異なる性能向上策が進められている。それがマシンの軽量化だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは依然として最低重量に到達せず
    デ・ラ・ロサによれば、AMR26Bはシーズン開幕時から抱えていた重量超過を完全には解消できておらず、現在も規定の最低重量より重い状態にある。

    「もうひとつ取り組んでいるのがマシンの軽量化だ。今後2戦、モンツァとバクーで最低重量の限界まで持っていくことを目指している。まだそこには到達していない。ウィリアムズも同じだ。これが短期的な目標になる」

    F1マシンでは最低重量を上回る余分な重量は、そのままパフォーマンス上の不利につながる。空力アップデートの場合、新しいパーツによってダウンフォースを増やしてもドラッグやマシンバランスなど別の領域に影響を及ぼす可能性がある。

    これに対して軽量化は、マシンの基本性能を底上げする手段となる。余分な重量を削減できれば、加速やブレーキング、コーナリングなど幅広い領域で恩恵を得られるためだ。

    モンツァからバクーにかけて段階的に軽量化
    アストンマーティンは、まずイタリアGPが行われるモンツァで軽量化の第1段階を進め、その後のバクーで最低重量への到達を目指す方針だという。その間に開催されるマドリードGPでは、この点に関する新たな変更は予定されていないとされる。

    AMR26Bの開発では、ニューウェイを中心に空力性能の改善が進められてきた。同時にホンダはパワーユニットの出力とドライバビリティ改善に取り組んでいる。そして、そこに軽量化という第3の開発軸が加わることになる。

    アストンマーティンにとって当面の課題は明確だ。ホンダF1パワーユニットではブレーキングやシフトダウン時のドライバビリティを改善し、シャシー側ではAMR26Bを最低重量まで近づける。モンツァとバクーは、ハンガリーから始まった復調をさらに確かなものにできるかを測る重要な2戦となる。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの課題を説明「エンジンブレーキがランダム」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、ドライバビリティ面で残されている具体的な課題を明かした。ダウンシフトに加え、エンジンブレーキの効き方が「コーナーごとに少しランダム」だという。

    さらにアロンソは、ストレートでは依然として大きなタイムを失っていると指摘した。ただし、ホンダに改善のための時間が必要であることも理解しており、「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」とアストンマーティンとホンダへの信頼を強調した。

    「望んでいるところには達していない」
    オランダGP後、Sky Sportsのインタビューで、新PUのドライバビリティについて具体的に何が不足しているのかを問われたアロンソは、ひとつの問題に限定できるものではないと説明した。

    「何かひとつ具体的なことがあるわけではないと思う。全体的に、ドライバビリティという点ではまだ僕たちが望んでいるところには達していない」

    そして、ドライバーが感じている問題としてダウンシフトとエンジンブレーキを挙げた。

    「ダウンシフトだったり、エンジンブレーキの効き方がコーナーごとに少しランダムに感じられたりする。そういったところは、まだ細かく調整していく必要がある」

    ブレーキングからコーナー進入にかけてマシンの姿勢をコントロールするうえで、エンジンブレーキの一貫性は重要になる。現状では、その挙動をさらに安定させることが新PUの最適化における課題のひとつとなっている。

    ストレートでは「まだかなり失っている」
    課題はドライバビリティだけではない。アロンソは絶対的なパワーについても改善が必要だと指摘した。

    「それにパワー不足もあって、ストレートではまだかなり失っている」

    アストンマーティンはシャシー側の進歩によって、コーナーでは以前より競争力を発揮できるようになった。それだけに、次に改善すべき領域がよりはっきりと見えるようになったという。

    「今はコーナーではある程度競争力を持てるようになったから、そこを改善する必要がある」

    オランダGP週末には、新PUのドライバビリティに関する問題がすでに表面化していた。スプリント予選ではアロンソがブレーキング時の意図しないパワーデリバリーについて訴えており、新スペックを車体側と最適化する作業が課題となっている。

    「ホンダにも時間を与える必要がある」
    もっとも、アロンソは問題点を列挙するだけではなく、ホンダとともに解決していく姿勢を強調している。

    「でも、僕たちはすべてを一緒に進めようとしている。ホンダにも、何が問題なのか、どこを直すべきなのかを突き止めるための時間を与える必要がある」

    新スペックの投入によって新たに現れた問題を分析し、どこを修正すればドライバビリティとパフォーマンスを改善できるのか。アロンソは、ホンダ側にもそれを見極める時間が必要だとの認識を示した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」
    そして、ホンダの新PUに残された課題を率直に指摘したアロンソは、最後にプロジェクトへの信頼を明確にした。

    「僕は満足しているし、落ち着いている。シルバーストンとさくら、その両方を信頼している」

    シルバーストンはアストンマーティンのF1ファクトリー、さくらはホンダ/HRCのF1パワーユニット開発拠点を指す。Sky Sportsでのアロンソの発言として、エンジンブレーキの不安定さとともに、この両拠点への信頼も伝えられている。

    アロンソの発言は、新PUへの単純な批判ではない。ダウンシフト、エンジンブレーキ、ストレートでのパワーという改善すべき領域を明確にしながら、その解決に取り組むシルバーストンとさくらの双方を信頼している。

    シャシーがコーナーで競争力を取り戻しつつあるからこそ、PU側の課題を解消できればアストンマーティンのパッケージ全体をさらに前進させられる。ホンダが新スペックをどこまで早く最適化できるかが、今後の競争力を左右する重要なポイントとなる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダF1 カルロス・サインツJr.が白旗「今や別のリーグ」

    アストンマーティン・ホンダが2026年F1シーズン後半に入って競争力を大きく引き上げている。ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は、オランダGPで示されたライバルのレースペースを目の当たりにし、「今や別のリーグ」とその差を認めた。

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤、ホンダとの新たなワークス体制で苦戦。マシンは速さと信頼性の両面で課題を抱えていた。

    しかし、ハンガリーGPで今季初となる大型アップグレードを投入し、さらにオランダGPではホンダもパワーユニットのアップグレードを投入。シーズン序盤とは異なる競争力を見せ始めている。

    サインツJr.「今の彼らは別のリーグにいる」
    一方、ウィリアムズにとってオランダGPは厳しい週末となった。サインツJr.は現在のチームの立ち位置について、事前に予想していた範囲だとしながらも、アストンマーティンとの差が大きく開いていることを認めた。

    「僕たちはだいたい予想していた位置にいる。つまり後方だ」

    「現時点で僕たちより速くないのはキャデラックだけだ。アストンマーティンのレースペースを見ただろう。今の彼らは別のリーグにいる」

    「僕たちは彼らとは戦えなかった。というか、正直、誰とも戦えなかった」

    アストンマーティンはシーズン序盤、ホンダの新パワーユニットとともに厳しいスタートを切ったが、ハンガリーGPで今季初となる大規模なアップグレードを投入。マシンのパフォーマンスを大きく向上させた。

    さらにザントフォールトでは、ホンダ側もパワーユニットのアップグレードを投入。車体とパワーユニットの双方で開発が進んだことで、アストンマーティン・ホンダは開幕当初とは異なる競争力を発揮するようになった。

    オランダGPではフェルナンド・アロンソが18番グリッドから追い上げて9位に入り、ポイントを獲得。サインツJr.にとっても、そのレースペースはウィリアムズでは対抗できないと認めざるを得ないものだった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームを警戒するカルロス・サインツJr.

    アルボンとの接触「大したものを争っていたわけではない」
    ウィリアムズの厳しい週末は、決勝終盤にさらに悪化した。サインツJr.はチームメイトのアレクサンダー・アルボンとポジションを争うなか、ターン1への進入でフロントタイヤをロックさせて接触。アルボンはこのアクシデントによってリタイアを余儀なくされた。

    「レース終盤、アレックスと僕はただ楽しみながら走っていた。でも残念ながら、ターン1のバンプで不意を突かれてフロントをロックさせてしまい、僕がミスをした」

    「でも正直なところ、僕たちが大したものを争っていたわけではない」

    シーズン序盤には速さと信頼性の両面で苦戦していたアストンマーティン・ホンダだが、相次ぐアップグレードによって状況は大きく変わった。サインツJr.の「別のリーグ」という言葉は、その進歩がライバルから見ても明確なものになったことを物語っている。

  • アストンマーティンF1 メルセデスとPU供給を協議か ホンダに圧力

    アストンマーティンF1 メルセデスとPU供給を協議か ホンダに圧力

    アストンマーティンが、将来的なF1パワーユニット(PU)の供給を巡ってメルセデスと協議しているとスペイン紙『SPORT』が報じた。2026年からワークス体制を組むホンダとの関係を直ちに見直す動きではないものの、期待する水準に届いていないホンダPUへの圧力を強める意味合いもあるという。

    その動きを象徴するものとしてSPORTが伝えたのが、メルセデスのCEO兼チーム代表を務めるトト・ヴォルフのアストンマーティン訪問だ。

    ヴォルフはF1オランダGP決勝当日の朝、ザントフォールトのパドックにあるアストンマーティンのモーターホームを訪れており、6月のスペインGPに続いて今季2度目の訪問だったという。

    ヴォルフがアストンマーティンを再訪
    F1のパドックでは、他チームの首脳がモーターホームを訪れること自体は珍しいことではない。しかしSPORTは、今回のヴォルフの訪問について、これまでの両陣営の動きを踏まえれば単なる社交的なものとは限らないと指摘している。

    ヴォルフは6月のスペインGPでもアストンマーティンを訪問していた。一方、アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールも、それ以前のオーストラリアGPでメルセデスを訪れていたという。

    そしてオランダGPでは、決勝の数時間前となる日曜日の朝にヴォルフが再びアストンマーティンを訪問。SPORTは、ヴォルフのイニシャルが入ったスクーターがアストンマーティンのモーターホーム脇に置かれていたことも伝えている。

    同紙によれば、メルセデスのホスピタリティはアストンマーティンから約100メートル離れており、こうした一連の訪問が繰り返されていることから、両者の間で何らかの協議が行われている可能性に注目している。

    メルセデスだけではない? 将来のPU供給先を模索
    SPORTは、メルセデスが将来的にアストンマーティンへPUを供給する可能性について両者が話し合っていると報道。さらに、アストンマーティンが接触しているPUメーカーはメルセデスだけではないとしている。

    ただし、現時点でアストンマーティンからホンダに対して最後通告が突きつけられたわけではなく、ホンダとの提携解消が決まったわけでもない。

    また、2027年からPUを変更するとの見方についてSPORTは「時期尚早」としており、仮に変更が実現するとすれば2028年になるとの見方を示している。

    アストンマーティンは2026年からホンダとワークス体制を構築し、それまで使用していたメルセデスPUから離れた。3年前に決定したこの計画は、カスタマーチームではなくワークスチームとしてF1世界選手権を戦うための重要な戦略だった。

    しかしSPORTは、ホンダが期待されたパフォーマンスを発揮できなければ、その方針が再び変更される可能性があると伝えている。

    背景にホンダ新PUへの不満
    こうした動きの背景にあるとされるのが、2026年型ホンダPUのパフォーマンスだ。

    ホンダはシーズン開幕以降、PUの改善を続けており、オランダGPでは新たな仕様を投入した。しかし、その進化についてホンダ側も「小さな一歩であり、革命ではない」と説明しており、アストンマーティンが期待したほどの成果にはつながらなかった。

    一方で、アストンマーティンのシャシー側は大きく前進している。エイドリアン・ニューウェイの指揮のもと、AMR26には直近2戦で合計21点の新パーツが投入され、フェルナンド・アロンソはマシンの改善について「4秒差だったところから、今では1.4秒差になった」と説明している。

    シャシーが改善するにつれて、相対的にPU側の弱点が目立つ状況になっている。

    アロンソもオランダGP後、新しいホンダPUについて期待していた結果が得られなかったことを認めた。

    「シャシーについては、進んでいる方向に満足しています。でも、エンジンについてはもう少し待つ必要があります」

    「今週末は期待していた結果にならなかったと思います。ドライバビリティやギアチェンジなど、最初のエンジンで少し改善できていた部分が、この2基目では少し振り出しに戻ってしまいました。だから、これから2、3戦をかけて最適化していく必要があります」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「結果はストレートの長さに左右される」
    アストンマーティンのマイク・クラックも、今後のレースではサーキットのストレートの長さが結果を左右する可能性があると語り、PU性能が大きな要素になることを示唆している。

    「これから厳しいレースが続く。我々の結果は各サーキットのストレートがどれだけ長いかに左右されるだろう。ただ、このパッケージについては走るたびに理解が深まっていくし、パワーユニットについても同じことが言える」

    ランス・ストロールもホンダに対して改善を求めている。

    「ドライバビリティとパワーは、次に徹底的に取り組まなければならない部分だ」

    アロンソ、クラック、ストロールの発言からも、アストンマーティン側がホンダにさらなる改善を求めていることは明らかだ。

    ローレンス・ストロールはホンダの改善を待つ姿勢
    もっとも、SPORTによれば、ローレンス・ストロールは現段階でホンダとの関係を打ち切るような急進的な考えを持っているわけではない。

    ホンダがバーレーンでのプレシーズンテスト以降、一定の進歩を遂げていることも評価しており、まずは開発を続ける時間を与える考えだという。

    その一方で、メルセデスを含む他のPUメーカーと話し合うことは、将来に向けた選択肢を確保すると同時に、ホンダへさらなる改善を促す手段にもなる。

    SPORTはこれを、アストンマーティンからホンダに対する「今はあなたと一緒にいるが、これがうまくいかなければ……」というメッセージに近いものだと表現している。

    つまり、現時点でアストンマーティンとホンダの“離婚”が決まっているわけではない。ただし、ホンダが十分な進歩を示せなかった場合に備え、アストンマーティンが別の選択肢を探り始めているというのがSPORTの報道だ。

    次戦イタリアGPが行われるモンツァは、ストレートでの性能が特に重要になるサーキットだ。AMR26のシャシーが進歩を続けるなか、ホンダPUがどこまでその性能に応えられるか。今後の数戦は、2028年以降も続くことを前提としてスタートしたアストンマーティンとホンダの関係にとって、重要な期間となりそうだ。