角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

角田裕毅が2026年型F1マシンに乗り換えてすぐに競争力を示したことを巡り、ジョージ・ラッセルがマックス・フェルスタッペンとは異なる見解を示した。フェルスタッペンは角田裕毅やリアム・ローソンの即適応を、現行マシンではドライバーが生み出せる差が小さくなったことの一例として挙げている。

一方、ラッセルはドライバーの重要性そのものが低下したとは考えていない。

2026年のF1ではマシンに求められるドライビングが変化しており、それぞれの適応度によってドライバー間の力関係が大きく変わっているとの見方を示した。

角田裕毅の即適応をフェルスタッペンが2026年F1の特徴として指摘
フェルスタッペンは最近、2026年型F1マシンについて、ドライバーの操作に対する反応が以前より「鈍感(numb)」になっているとの考えを明らかにした。

その具体例として名前を挙げたのが、角田裕毅とリアム・ローソンだった。

角田裕毅は2026年シーズンをレッドブル・レーシングのリザーブドライバーとして迎えたが、夏休み中に左手首を負傷したアイザック・ハジャーの欠場に伴うドライバー変更を受け、F1オランダGPからレーシングブルズのVCARB 03で実戦に復帰した。

そして復帰2戦目となったF1イタリアGPでは10位でフィニッシュ。今季初ポイントを獲得し、短期間で2026年型マシンに適応してみせた。

同じタイミングでレーシングブルズからレッドブル・レーシングに移ったローソンも、RB22ですぐに速さを発揮。F1オランダGPの予選ではフェルスタッペンとの差をわずか0.115秒に抑えた。

フェルスタッペンは、この2人のパフォーマンスについて次のように語っている。

「角田を見てみればいい。彼はマシンに飛び乗った。それまで一度もそのマシンを運転したことがなかったのに、すぐ競争力を発揮した」

「リアムもレーシングブルズからレッドブルに移って、すぐに競争力を発揮した。こういうマシンはドライバーの入力に対して鈍感だからだ」

もちろん、フェルスタッペンは角田裕毅やローソンの能力を否定しているわけではない。

「もちろん、それでもいいラップを走らなければならないし、攻めなければならない。最速のドライバーは常に最終的には上に来る」

そのうえで、現行マシンではドライバーが自らの技術によって生み出せる差が限定されているとの考えを示している。

ラッセルは「ドライバーの重要性は低下していない」と反論
しかし、メルセデスのラッセルは、2022年から2025年までのグラウンドエフェクト時代と比べてドライバーの重要性が低下したという見方には同意していない。

ドライバーが結果に与える影響が以前より小さくなったと思うかと尋ねられたラッセルは、Mundo Deportivoに次のように答えた。

「いや、そうは思わない」

「以前と同じように、コーナーを速く走ることが常に一番重要だ」

ただし、ラッセルも2026年型F1マシンが前世代とは大きく異なり、それによってドライバー間の力関係に変化が起きていること自体は認めている。

「イエスでもあり、ノーでもあると思う。今シーズンは奇妙なんだ」

その例としてラッセルが最初に挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスだ。

「ピアストリを見てみれば、昨年はチャンピオンシップ優勝に近かった。でも今シーズンはノリスから大きく遅れている」

さらにフェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの関係にも言及した。

「あるいはルクレールだ。昨年は明らかにルイスより前にいて、それ以前のシーズンでも常にチームメイトより前にいた。でも今シーズンはルイス(ハミルトン)の後ろにいる」

角田裕毅について語ったジョージ・ラッセル

フェルスタッペンとローソンの接近も「適応」の一例
ラッセルはさらに、フェルスタッペン自身も2026年の変化を示す例だと指摘する。

「フェルスタッペンでさえ、ハジャーやローソンに対して以前のようなアドバンテージを築けていない」

「ザントフォールトではローソンが彼にかなり近かったし、ハジャーもフェルスタッペンにかなり近かった」

ただし、この現象についてラッセルが導き出した結論は、フェルスタッペンとは異なる。

フェルスタッペンがローソンや角田裕毅の即適応を「ドライバーが差を生み出せる範囲が狭まった」ことの表れと捉えるのに対し、ラッセルは2026年型マシンが要求するドライビングそのものが変化したことを重視している。

「このマシンが違うのは明らかだ。これは言い訳ではない。現実なんだ。だから変化しなければならない」

ラッセルはその違いを、テニスのコートに例えて説明した。

「僕はいつもテニスに例えている。選手が違うサーフェスでプレーするようなものだ」

「昨年がハードコートでプレーするようなものだったとすれば、今年はクレーコートでプレーしているようなものだと言える」

「基本的な考え方は同じだけど、物事は違う」

角田裕毅の速さは「マシンが簡単」だからなのか
ラッセル自身にとっては、2022年から2025年まで使用された前世代のF1マシンの方が、自身のドライビングスタイルに自然に合っていたという。

「昨シーズン、前世代のマシンでは僕は自然に走れていた。すべてがすごく簡単に感じられた」

2026年にはその状況が変化した。

一方、ハミルトンはグラウンドエフェクト時代に苦しんだブレーキングやコーナー進入で以前のようなアプローチを取りやすくなり、今季は競争力を取り戻している。ピアストリとノリス、ルクレールとハミルトンの関係にも変化が生じている。

フェルスタッペンについても、単純にドライバーの能力だけで現在の状況を説明することは難しい。レッドブルのRB22はコーナー進入から出口にかけてのバランスに課題を抱えており、フェルスタッペン自身もその特性について繰り返し言及している。

そう考えれば、角田裕毅がレーシングブルズ復帰後すぐに一定のパフォーマンスを発揮したことも、「2026年型F1マシンは誰でも簡単に限界まで走らせられる」という一つの説明だけで片付けることはできない。

角田裕毅とローソンが短期間で競争力を示したという現象について、フェルスタッペンはドライバー入力によって生み出せる差が小さくなったことの証拠と捉えている。一方のラッセルは、ドライバーの重要性は変わらず、2026年型マシンへの適応によってそれぞれの力関係が変化していると考えている。

同じ事実を見ながら異なる結論にたどり着いた両者の主張は、角田裕毅の復帰後のパフォーマンスが、2026年F1でドライバーがどこまで差を生み出せるのかという議論のひとつの材料になっていることを示している。