カテゴリー: ジョージ・ラッセル

  • ラッセルとピアストリが2026年F1マシンで苦戦 ドライビングスタイルに異変

    ラッセルとピアストリが2026年F1マシンで苦戦 ドライビングスタイルに異変

    2026年F1では、ジョージ・ラッセルやオスカー・ピアストリ、シャルル・ルクレールといったドライバーがチームメイトとの比較で苦戦する一方、キミ・アントネッリ、ルイス・ハミルトン、ランド・ノリスが高いパフォーマンスを発揮している。

    ラッセルは、その背景に2026年型マシンとタイヤが要求する特性と、自身の自然なドライビングスタイルとのミスマッチがあると考えている。

    しかし、それだけですべてを説明できるわけではない。各ドライバーの走らせ方を詳しく見ていくと、2026年F1で重要になっているのは特定のスタイルそのものよりも、新世代マシンへの適応力であることが見えてくる。

    マドリンクで浮き彫りになったラッセルの弱点
    F1スペインGPのマドリンクで行われた予選Q3最後のアタック。最初の2セクターを終えた時点で、ラッセルはメルセデスのチームメイトであるアントネッリから0.1秒以内につけていた。

    しかし、ラップを終えるまでにさらに0.2秒を失った。最初の2セクターでは平均して各セクター0.05秒程度の遅れだったものが、最終セクターだけでその約4倍を失ったことになる。

    原因はリアタイヤだった。ラッセルはそれまでの区間でリアタイヤを使いすぎ、連続する90度コーナーが特徴のセクター3に入った時点で温度が上がりすぎていた。

    それは週末全体を象徴するような出来事だった。決勝でラッセルは5位に終わり、異なる戦略だったとはいえ、優勝したアントネッリから約30秒遅れてフィニッシュした。

    タイトルを争えるだけのマシンを手にしたタイミングで、ラッセルにとって2026年はF1参戦8年目で最も苦しいシーズンのひとつとなっている。

    ラッセル自身は、その原因を自分本来のドライビングスタイルと2026年世代のマシン、そしてタイヤが要求するものとのミスマッチにあると考えている。

    「昨年のオスカー(ピアストリ)とランド(ノリス)の競争力、シャルル(ルクレール)とルイス(ハミルトン)の比較、さらには以前の時代にマックス(フェルスタッペン)がすべてのチームメイトを圧倒していたことを考えると、奇妙なシーズンになっている」

    「今年は僕自身、シャルル、オスカーがチームメイトと比較してかなり苦戦している。一方でマックスのチームメイトは、過去6年間の誰よりも大幅に彼との差を縮めている。そして、僕たちはかなり似たドライビングスタイルを持っていると思う」

    「今年とても好調なキミ、ルイス、ランドもかなり似たドライビングスタイルを持っている。だから僕にとっては、このマシン、このタイヤでは傾向がかなり明確だと思う」

    ラッセルとピアストリに共通する走らせ方
    少なくともラッセルとピアストリの苦戦については、2026年型マシンとタイヤとの間に因果関係がある可能性は高い。

    2人はともに、いわば幾何学的な理想ラインを追求する傾向がある。ターンインを遅らせ、ステアリングを最初に比較的大きく切り込み、荷重移動よりもステアリング操作によってマシンを旋回させる。

    また、ブレーキングとコーナリングを重ねる領域も非常に少ない。

    この方法は、グリップの高いサーキットで、大きなダウンフォースを持つマシンなら極めて効果的だ。しかし、グリップが低下すると同じようには機能しない。

    2026年型F1マシンではダウンフォースとタイヤグリップが低下したことで、このテクニックが問題になり始めるサーキットグリップの境界が以前より高くなった。

    つまり、これまでなら問題なく使えたサーキットでも、2026年型ではこの走らせ方が適さないケースが増えている。

    さらに、その不利を拡大しているのがエネルギーマネジメントだ。

    コーナー進入時に維持できる勢いが少なくなればなるほど、バッテリーによるパワー補完が増える。その結果、ストレートで電力を使える時間が短くなる。ラッセルとピアストリは、ともにこの問題に苦しむ場面があった。

    フェルスタッペンはラッセルとは異なる
    ただし、ラッセルが示した比較は、マックス・フェルスタッペンとルクレールにまで広げると成立しなくなる。

    2人はそれぞれ独自のドライビングスタイルを持っており、互いにも、ラッセルやピアストリとも異なっている。

    フェルスタッペンは、おそらく現在のF1グリッドで最も幅広いスキルを持つドライバーだ。ただし、彼が好むのは非常に強力なフロントエンドを持つマシンである。

    それによって、ステアリングを大きく切らなくてもマシンを旋回させることができる。

    フェルスタッペンはマシンの回転やヨーに対する非常に優れた感覚を持っており、ステアリング、ブレーキ、スロットルを調整することで、通常ならフロントの鋭いマシンに伴うコーナー出口でのオーバーステアを抑え込むことができる。

    現在のレッドブルRB22のように、低速および中速コーナーの進入でアンダーステアを示すマシンでは、その能力によって他のドライバーとの差を生み出せる余地が小さくなる。

    他チームのマシンを見る限り、2026年レギュレーション下でも鋭いフロントエンドを持つマシンを作ることは可能だ。単純にレッドブルがそれを実現できていないということだ。

    ルクレールの武器も2026年では効果が薄れる
    ルクレールは伝統的に、ブレーキ、スロットル、ステアリングを積極的に組み合わせることでマシンを旋回させてきた。

    それぞれの操作を重ねる領域が大きく、マシンのバランスを積極的に変化させながら向きを変えていく。

    このスタイルは短いコーナーでは絶大な威力を発揮する。素早くマシンを旋回させるメリットが、コーナー後半で発生するデメリットを上回るからだ。

    モナコ、バクー、レッドブル・リンクでは、ルクレールはF1でも屈指の速さを持つ。

    一方で、上海やハンガロリンクのように長いコーナーが多いサーキットでは難しさが出ることがある。コーナー進入時に本来以上にマシンを旋回させた代償を、コーナー後半で支払うことになるためだ。

    さらに2026年レギュレーションではエネルギーマネジメントが重要になったことで、これまでルクレールが使ってきた一部のテクニックは、以前ほど効果的ではなくなっている。

    それでも、ルクレールが非常に速いドライバーであることに変わりはない。

    ハミルトンが2026年型F1に適応
    アントネッリ、ノリス、ハミルトンも、それぞれ明確に異なるスタイルを持っている。そして3人に共通しているのが高い適応力だ。

    特に、グラウンドエフェクト時代に苦戦したハミルトンが、2026年世代のF1マシンが要求する走らせ方に適応したことは、今季のドライバー面における大きなトピックのひとつとなっている。

    一般化すれば、ハミルトンはコーナー進入時にルクレールよりもマシンをフラットで安定した状態に保つ。

    そのため、コーナーの種類によって両者の優劣が変わる。

    ハミルトンは必要であれば依然として非常に遅いブレーキングを行える一方、それをフロントタイヤに過度な負担をかけない滑らかな操作と組み合わせている。

    そしてフェラーリのダウンフォースバランスが、そのスタイルを非常にうまく機能させている。

    アントネッリはエネルギー回生まで走り方に組み込む
    アントネッリとノリスは、2026年型マシン特有の性質を理解するため、エンジニアリングチームと非常に多くの作業を行ってきたことがうかがえる。

    2人はエネルギーマネジメントに特化した要素をドライビングに取り入れている。

    例えば、アントネッリのスロットル操作は非常に特徴的だ。中途半端なスロットル開度でエネルギーを無駄にするのではなく、ブレーキング時のエネルギー回生を最大化することを意識した操作になっているように見える。

    操作そのものも非常に滑らかだ。

    コーナー進入時のグリップを高い精度と自信を持って判断しているため、コーナリング中に修正操作を行う必要がほとんどない。

    ここがラッセルとの最も分かりやすい違いのひとつだ。

    アントネッリはフロントタイヤのグリップをより正確に感じ取れているように見える。ただし、グリップが高ければ、ラッセルのような遅いターンインと大きなステアリング操作を使うことにも抵抗はない。

    単純に、それが最適ではない状況をより正確に把握できているようだ。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ノリスが強調するのは「スタイル」ではなく適応力
    ノリスは以前から、徐々にフロントタイヤへ荷重をかけていく非常に滑らかな走らせ方を特徴としてきた。

    利用できるグリップ量に応じて、必要なラインを選ぶこともできる。

    フェルスタッペンと同様、このスタイルもマシンが強いアンダーステアを持つ場合には機能しにくくなる。

    しかし、ノリスは徐々にフロントへ荷重をかけることで、場合によっては通常より早い位置から浅い角度でターンインすることができる。

    ハンガロリンクのFP1でグリップが非常に低かった際、最終コーナーで見せた走りがその好例だった。

    この方法なら、フロントタイヤが最終的にグリップした瞬間にもステアリング舵角がそれほど大きくないため、コーナー出口で突然マシンがスナップするリスクも小さくなる。

    ただし、ノリス自身は自分の特定のドライビングスタイルが2026年型マシンに適しているとは考えていない。

    「僕のドライビングスタイルがこのマシンに合っているとは、あまり言わないかな」

    「僕のドライビングがうまくいっているのは、よりうまく適応できているからだと思う。ひとつのスタイルだけが機能しているとは思わないし、僕はキミと同じ走り方をしているわけでもない」

    「僕が持っているマシンを走らせることができているのは、適応力があるからだ。異なるドライビングスタイルに適応できることが僕の強みだと思う」

    「昨年の序盤は、マシンがオスカーに少し合っていた。僕の強みは、そこからよりうまく適応して、最終的にどう走らせればいいのか理解できたことだった。だからシーズン後半は僕の方が良くなった」

    「今年について? このマシンは昨年とはまったく違う走らせ方をする。1%すら同じところがないと感じるくらいだ。だから重要なのは適応することだ」

    2026年F1で問われるドライバーの適応力
    2026年F1で起きているドライバー間の勢力変化を、単純にひとつのドライビングスタイルだけで説明することはできない。

    ラッセルとピアストリについては、これまで得意としてきた遅いターンインと明確なステアリング入力が、ダウンフォースとタイヤグリップが低下し、さらにエネルギーマネジメントの重要性が増した2026年型マシンでは不利に働く場面が増えている。

    一方で、フェルスタッペンやルクレールの状況には、それぞれ異なる技術的背景がある。そしてアントネッリ、ハミルトン、ノリスの好調も、3人が同じスタイルだからというより、新しいマシンが要求する走らせ方を理解し、それに合わせて自身のテクニックを変化させていることが大きい。

    ノリスの言葉を借りれば、2026年に重要なのは特定のスタイルではなく「適応」である。そしてラッセルとピアストリにとっても、マシン側が自分たちの得意な方向へ近づいてくるのを待つのではなく、自ら走らせ方を変えることが求められている。

  • メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1は、2026年F1スペインGPでジョージ・ラッセルに採用した意外な2ストップ戦略について、その狙いを明らかにした。ハードタイヤでスタートしながらVSC(バーチャル・セーフティカー)中にピットインしたのは、同じハードで前を走っていたシャルル・ルクレールと異なる戦略を取るためだった。

    オーバーテイクが極めて難しかったマドリンクでは、同程度のタイヤを履いたままルクレールの後方を走り続けても順位を上げる可能性は低かった。

    そこでメルセデスはラッセルをミディアムに交換し、その後再びハードへ戻す2ストップを選択。結果的にこの戦略はルクレールへのプレッシャーとなり、キミ・アントネッリの優勝にも間接的に貢献した。

    VSCはラッセルにとって「最悪のタイミング」
    ラッセルとルクレールはともにハードタイヤでF1スペインGPをスタートした。しかしVSCが導入されると、フェラーリはルクレールをコース上に残した一方、メルセデスはラッセルをピットへ呼び、ミディアムタイヤを装着した。

    ルクレールはそのまま首位を走り、45周目までピットストップを引き延ばした。対してラッセルはミディアムで約20周を走った後、28周目に再びピットインしてハードへ交換した。

    メルセデスF1の副チーム代表ブラッドリー・ロードは、VSCのタイミングそのものはラッセルにとって好都合ではなかったと説明した。

    「ジョージにとってVSCはまったく違う展開になった。彼はハードタイヤでスタートして長いスティントを走り、その後レース中に起こる何らかの出来事を利用するつもりだったから、最悪のタイミングでVSCが出たと言える」

    「彼は6番グリッドからハードタイヤでスタートし、1ストップで走る予定だった。VSCが出た時点で、ハードタイヤを履いているマシンの中ではフェラーリのルクレールに続く2台目だった。そのため、我々はジョージにルクレールと逆のことをさせた」

    同じ戦略ではルクレールを抜けないと判断
    メルセデスが戦略を変更した最大の理由は、マドリンクでのオーバーテイクの難しさだった。同じような使用歴のタイヤでルクレールの後ろを走り続ければ、そのまま順位が固定される可能性が高いと判断した。

    「なぜか。それをしなければ、彼はただルクレールの後ろについてフィニッシュまで走ることになったからだ」

    「アンダーカットできるチャンスは非常に、非常に限られていたし、同程度の使用歴のタイヤを履いたマシン同士では、オーバーテイクのチャンスは事実上なかった。そこでジョージにミディアムを履かせた」

    ただし、ミディアムでそのままチェッカーまで走り切ることは最初から想定していなかった。

    「そのミディアムが残り43周を持たないことは分かっていた。それでも違うことを試すことで、ジョージは約20周のスティントを走り、その後もう一度ハードに戻した。レースのできるだけ長い部分をハードで走りたかったからだ」

    「そこからジョージは本当に印象的なペースを発揮した」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルの速さがルクレールのピットインを誘発
    新品タイヤを履いたラッセルのペースは、前方を走るルクレールに対してフェラーリが反応せざるを得ない状況を作り出した。

    「彼は十分に速く走っていたので、実際にはフェラーリが望んでいたよりも早くルクレールをピットに入れさせることができたと思う」

    「それによってルクレールをピットへ引き込み、前を走るキミにはクリーンエアが与えられた。同時にジョージも終盤、かなりデリケートだったソフトタイヤを履くルクレールにプレッシャーをかけることができた。そして最終的にはわずか0.7秒差でレースを終えた」

    ルクレールを予定より早くピットへ向かわせたことで、前方のアントネッリには自由に走れる状況が生まれた。メルセデスにとってラッセルの戦略は、自身の順位を上げるだけではなく、チームメイトのレース展開にも影響を与えるものとなった。

    ラッセル本人は「結局5位だったと思う」
    一方、ラッセル自身はレース後、戦略の違いが最終順位を大きく変えたとは考えていなかったという。

    「レース後、ジョージは非常に現実的だった。我々が何をしたかは、それほど重要ではなかったと思うと言っていた」

    「コース上に残していても、ピットストップさせていても、マドリンクではオーバーテイクがあれほど難しかったことを考えれば、どちらにしてもおそらく5位でフィニッシュしていただろう、と」

    結果としてラッセルは5位に終わったものの、メルセデスF1が選んだ2ストップは単純なタイヤ交換ではなく、ルクレールと同じ戦略から抜け出すための戦術的な判断だった。ラッセルの終盤のペースによってフェラーリに対応を迫り、アントネッリの前方を開ける効果も生み出したことで、チーム全体のレース展開に重要な役割を果たした。

  • メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

    メルセデスF1 ジョージ・ラッセルの復調が課題 ヴォルフ「ポテンシャルを解放する」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1スペインGPで5位に終わったジョージ・ラッセルについて、本来の能力を再び引き出すことがチームの課題だと語った。

    ラッセルはマドリンクでタイヤデグラデーションへの対応に苦しみ、優勝したチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに対して週末を通じて後手に回った。

    決勝では2ストップ戦略を採用したものの、最終的には5位。アントネッリとの差はドライバーズランキングで81ポイントまで広がった。

    ラッセルが疑問を呈した2ストップ戦略
    ラッセルは決勝でまずバーチャル・セーフティカー(VSC)中に新品ミディアムへ交換し、その後さらにハードへ履き替えた。一方、アントネッリを含む多くのドライバーは1ストップで走り切った。

    レース中、ラッセルはレースエンジニアのマーカス・ダドリーに対し、なぜ2度目のピットストップを行ったのか無線で疑問を呈した。当時は後方のランド・ノリスを抑えることができたと考えていたためだ。

    しかし、ヴォルフはメルセデスの判断を擁護した。

    「ジョージはミディアムの状態があまり良くないと言っていた。我々としても、あのタイヤで最後まで行けるとは考えていなかった」

    「そこでピットに入る機会があった。赤旗が出るのを期待してそのまま待つのではなく、タイヤを交換してレースを続けるという判断だった」

    レース後、ラッセル自身も戦略を振り返り、結果的には別の選択をしても順位は変わらなかったとの見方を示した。

    「その瞬間は疑問に思っていたけど、ハードが優れたタイヤだった」

    「ルクレールと一緒にステイアウトすることもできたかもしれない。でも、それでも彼の後ろでフィニッシュしていたと思う」

    「最後にもう一度ハードへ交換しないという選択肢もあったかもしれない。でも、何をやっても結局は同じ順位に戻っていた。単純に、このコースではオーバーテイクができないからだ。それは残念だね」

    「最速だった時間帯もある」ヴォルフは速さを強調
    ラッセルはマドリンクでタイヤのデグラデーションをうまく管理できなかったことを認めており、週末の一部ではアントネッリから1周あたり数十分の1秒遅れる状況に陥った。

    それでもヴォルフは、決勝終盤にシャルル・ルクレールを追い上げた際のペースを例に挙げ、ラッセル本来の速さそのものが失われたわけではないと強調した。

    「終盤にルクレールを追いかけていたときのペースを見れば分かる。彼はコース上で最速だった」

    「だが、タイヤ交換の後にはそのペースがなかった。正直なところ、それがどこへ行ってしまったのか分からない」

    「我々はそこを分析しなければならない。彼の中に速さがあることは明らかだし、マシンにもそれはある。我々はただ、それを解放する必要がある」

    ヴォルフ「我々が話しているのはすべてを勝ってきたドライバー」
    今季はアントネッリがタイトル争いをリードする一方、ラッセルにとって思い通りにならないレースが続いている。ヴォルフは技術的な問題だけでなく、心理的な側面も含めてラッセルを支える必要があると考えている。

    「良いレースもあれば悪いレースもある。良い年もあれば悪い年もある。だが、我々が話しているのは、それまで勝てるものをすべて勝ってきたドライバーだ」

    「カートの選手権、ルーキーイヤーのF3、そしてルーキーイヤーのF2。その後、彼はウィリアムズへ行った。つまり、我々が話しているのはトップドライバーだ」

    「彼がそのポテンシャルを発揮するために何が欠けているのかを突き止めなければならない。当然、そこには心理的な側面もある」

    「今年のような流れが続けば、精神的に打撃を受けるものだ。だが、偉大なドライバーはそこから立ち上がる。ジョージにはチャンピオンシップを争うために必要なものがすべて備わっていると思っている」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差でもタイトルを諦めないメルセデス
    スペインGPを終え、アントネッリはラッセルに81ポイント差をつけてランキング首位。ラッセルは3番手ルイス・ハミルトンを20ポイント上回っている。

    ラッセル自身はレース後、今季のドライバーズタイトル争いについて現実的には厳しいとの認識を示したが、ヴォルフは残り6戦で状況が大きく変化する可能性を指摘した。

    「これはモータースポーツだ。リタイアすることもあれば、クラッシュすることもある。それが2戦続くことだってある」

    「そうなれば、突然、それまで十分に見えていたポイントリードがそうではなくなる。まだ6レース残っているからだ」

    「だから私としては、数学的にタイトル獲得が現実的ではなくなるまではポイントを無視すべきだと思っている。それまでは各週末に集中し、ベストを尽くすだけだ」

    メルセデスはすでに2027年型マシンの開発へリソースを振り向けているが、ヴォルフは現在の選手権状況に左右されるものではなく、計画通りに進めていると説明している。

    「2027年に向けた開発はかなり前、夏よりも前から始まっている。我々は来年へリソースを振り向けており、それは選手権での順位に関係なく、計画通りに進んでいる」

    アントネッリが勝利を重ねる一方で、ラッセルにも速さそのものは残っている。その力を安定して引き出せない原因を突き止め、「ポテンシャルを解放する」ことが、シーズン終盤に向けたメルセデスの重要なテーマとなる。

  • ジョージ・ラッセル F1王座争いから事実上の撤退「現実的に僕はもう争っていない」

    ジョージ・ラッセル F1王座争いから事実上の撤退「現実的に僕はもう争っていない」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1スペインGPを5位で終え、ドライバーズタイトル争いについて「現実的に僕はもう争っていない」と認めた。メルセデスのチームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリがマドリンクで今季8勝目を挙げたことで、両者のポイント差は81点まで拡大した。

    一方、コンストラクターズ選手権ではメルセデスが優位な立場にあり、ラッセルは今後、個人タイトルではなくレースごとの結果とチームのタイトル獲得に集中する姿勢を示している。

    b style=”font-size:1.1em;”>アントネッリとの差は81ポイントに拡大
    ラッセルはF1スペインGPの週末を好調にスタートし、金曜日のFP1ではトップタイムを記録した。しかし、その後は勢いを維持できず、予選では6番手。決勝でも5位にとどまった。

    対照的にアントネッリは、前戦F1イタリアGPに続いて2連勝を達成。今季8勝目を挙げ、ドライバーズランキング首位の座をさらに強固なものとした。

    レース後、ラッセルはタイトル争いについて次のように語った。

    「僕たちはコンストラクターズ選手権を勝つうえで、明らかにとてもいい位置にいる」

    「現実的に言えば、僕はもうドライバーズタイトル争いには加わっていない。だからこそ、レースごとに集中して、いい結果を出すことに専念できる」

    スペインGPを迎える前、ラッセルはアントネッリについて「チームメイトの方が僕よりいい仕事をしている」と認めていた。ただし、その時点ではタイトル獲得の可能性を完全には否定せず、ポイント差を縮めるにはある程度の幸運も必要になるとの見方を示していた。

    しかし、マドリンクでその状況が好転することはなかった。

    2度のピットストップに疑問も「結局は同じ順位」
    スペインGP決勝では戦略面でもラッセルにとって難しい展開となった。

    多くのドライバーが1ストップ戦略を採用するなか、メルセデスはラッセルを2度ピットに入れた。まずバーチャル・セーフティカー(VSC)中に新品ミディアムへ交換し、その後さらにハードタイヤへ履き替えた。

    ラッセルはレース中、レースエンジニアのマーカス・ダドリーに対して、なぜピットストップを行ったのか無線で質問。後方のランド・ノリスを抑えられたのではないかとの考えを伝えていた。

    ただし、レース後にはチームの判断を理解したと説明している。

    「その瞬間は疑問に思っていたけど、ハードタイヤの方が優れたタイヤだった」

    「ルクレールと一緒にステイアウトすることもできたかもしれない。でも、それでも僕は彼の後ろでフィニッシュしていただろう」

    「最後にもう一度ピットに入ってハードに交換しないという選択肢もあったかもしれない。でも、何をやったとしても結局は同じ順位に戻っていたと思う」

    その理由としてラッセルが挙げたのが、マドリンクでのオーバーテイクの難しさだった。

    「このコースではオーバーテイクできないからだ。それは残念だね」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    個人タイトルよりメルセデスのコンストラクターズ王座へ
    開幕前には2026年F1ドライバーズタイトルの有力候補とみられていたラッセルだが、ここまでのグランプリ勝利は2回。ランキング2位は維持しているものの、アントネッリとの差は81ポイントに広がった。

    スペインGPを終えたラッセルの発言からは、今後の目標が自身のドライバーズタイトルからメルセデスのコンストラクターズタイトル獲得へと移りつつあることがうかがえる。

    「ここ2戦はよりポジティブになっている。今日の結果は決して素晴らしいものではなかったけどね」

    「でも、ある意味では今シーズンを象徴しているようなものだ。僕は自分のパフォーマンスに集中して、チームを助け続ける必要がある」

    「僕たちはコンストラクターズ選手権を勝つうえで、明らかにとてもいい位置にいる」

    アントネッリが連勝で勢いをさらに強める一方、ラッセルは個人タイトルへの期待を事実上封印した。次戦F1アゼルバイジャンGP以降は、レースごとのパフォーマンスを追求しながら、メルセデスのコンストラクターズタイトル獲得を支えることが最大の目標となりそうだ。

  • 角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

    角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

    角田裕毅が2026年型F1マシンに乗り換えてすぐに競争力を示したことを巡り、ジョージ・ラッセルがマックス・フェルスタッペンとは異なる見解を示した。フェルスタッペンは角田裕毅やリアム・ローソンの即適応を、現行マシンではドライバーが生み出せる差が小さくなったことの一例として挙げている。

    一方、ラッセルはドライバーの重要性そのものが低下したとは考えていない。

    2026年のF1ではマシンに求められるドライビングが変化しており、それぞれの適応度によってドライバー間の力関係が大きく変わっているとの見方を示した。

    角田裕毅の即適応をフェルスタッペンが2026年F1の特徴として指摘
    フェルスタッペンは最近、2026年型F1マシンについて、ドライバーの操作に対する反応が以前より「鈍感(numb)」になっているとの考えを明らかにした。

    その具体例として名前を挙げたのが、角田裕毅とリアム・ローソンだった。

    角田裕毅は2026年シーズンをレッドブル・レーシングのリザーブドライバーとして迎えたが、夏休み中に左手首を負傷したアイザック・ハジャーの欠場に伴うドライバー変更を受け、F1オランダGPからレーシングブルズのVCARB 03で実戦に復帰した。

    そして復帰2戦目となったF1イタリアGPでは10位でフィニッシュ。今季初ポイントを獲得し、短期間で2026年型マシンに適応してみせた。

    同じタイミングでレーシングブルズからレッドブル・レーシングに移ったローソンも、RB22ですぐに速さを発揮。F1オランダGPの予選ではフェルスタッペンとの差をわずか0.115秒に抑えた。

    フェルスタッペンは、この2人のパフォーマンスについて次のように語っている。

    「角田を見てみればいい。彼はマシンに飛び乗った。それまで一度もそのマシンを運転したことがなかったのに、すぐ競争力を発揮した」

    「リアムもレーシングブルズからレッドブルに移って、すぐに競争力を発揮した。こういうマシンはドライバーの入力に対して鈍感だからだ」

    もちろん、フェルスタッペンは角田裕毅やローソンの能力を否定しているわけではない。

    「もちろん、それでもいいラップを走らなければならないし、攻めなければならない。最速のドライバーは常に最終的には上に来る」

    そのうえで、現行マシンではドライバーが自らの技術によって生み出せる差が限定されているとの考えを示している。

    ラッセルは「ドライバーの重要性は低下していない」と反論
    しかし、メルセデスのラッセルは、2022年から2025年までのグラウンドエフェクト時代と比べてドライバーの重要性が低下したという見方には同意していない。

    ドライバーが結果に与える影響が以前より小さくなったと思うかと尋ねられたラッセルは、Mundo Deportivoに次のように答えた。

    「いや、そうは思わない」

    「以前と同じように、コーナーを速く走ることが常に一番重要だ」

    ただし、ラッセルも2026年型F1マシンが前世代とは大きく異なり、それによってドライバー間の力関係に変化が起きていること自体は認めている。

    「イエスでもあり、ノーでもあると思う。今シーズンは奇妙なんだ」

    その例としてラッセルが最初に挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスだ。

    「ピアストリを見てみれば、昨年はチャンピオンシップ優勝に近かった。でも今シーズンはノリスから大きく遅れている」

    さらにフェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの関係にも言及した。

    「あるいはルクレールだ。昨年は明らかにルイスより前にいて、それ以前のシーズンでも常にチームメイトより前にいた。でも今シーズンはルイス(ハミルトン)の後ろにいる」

    角田裕毅について語ったジョージ・ラッセル

    フェルスタッペンとローソンの接近も「適応」の一例
    ラッセルはさらに、フェルスタッペン自身も2026年の変化を示す例だと指摘する。

    「フェルスタッペンでさえ、ハジャーやローソンに対して以前のようなアドバンテージを築けていない」

    「ザントフォールトではローソンが彼にかなり近かったし、ハジャーもフェルスタッペンにかなり近かった」

    ただし、この現象についてラッセルが導き出した結論は、フェルスタッペンとは異なる。

    フェルスタッペンがローソンや角田裕毅の即適応を「ドライバーが差を生み出せる範囲が狭まった」ことの表れと捉えるのに対し、ラッセルは2026年型マシンが要求するドライビングそのものが変化したことを重視している。

    「このマシンが違うのは明らかだ。これは言い訳ではない。現実なんだ。だから変化しなければならない」

    ラッセルはその違いを、テニスのコートに例えて説明した。

    「僕はいつもテニスに例えている。選手が違うサーフェスでプレーするようなものだ」

    「昨年がハードコートでプレーするようなものだったとすれば、今年はクレーコートでプレーしているようなものだと言える」

    「基本的な考え方は同じだけど、物事は違う」

    角田裕毅の速さは「マシンが簡単」だからなのか
    ラッセル自身にとっては、2022年から2025年まで使用された前世代のF1マシンの方が、自身のドライビングスタイルに自然に合っていたという。

    「昨シーズン、前世代のマシンでは僕は自然に走れていた。すべてがすごく簡単に感じられた」

    2026年にはその状況が変化した。

    一方、ハミルトンはグラウンドエフェクト時代に苦しんだブレーキングやコーナー進入で以前のようなアプローチを取りやすくなり、今季は競争力を取り戻している。ピアストリとノリス、ルクレールとハミルトンの関係にも変化が生じている。

    フェルスタッペンについても、単純にドライバーの能力だけで現在の状況を説明することは難しい。レッドブルのRB22はコーナー進入から出口にかけてのバランスに課題を抱えており、フェルスタッペン自身もその特性について繰り返し言及している。

    そう考えれば、角田裕毅がレーシングブルズ復帰後すぐに一定のパフォーマンスを発揮したことも、「2026年型F1マシンは誰でも簡単に限界まで走らせられる」という一つの説明だけで片付けることはできない。

    角田裕毅とローソンが短期間で競争力を示したという現象について、フェルスタッペンはドライバー入力によって生み出せる差が小さくなったことの証拠と捉えている。一方のラッセルは、ドライバーの重要性は変わらず、2026年型マシンへの適応によってそれぞれの力関係が変化していると考えている。

    同じ事実を見ながら異なる結論にたどり着いた両者の主張は、角田裕毅の復帰後のパフォーマンスが、2026年F1でドライバーがどこまで差を生み出せるのかという議論のひとつの材料になっていることを示している。

  • ジョージ・ラッセル F1スペインGP予選「タイヤがオーバーヒートしてすべて失った」

    ジョージ・ラッセル F1スペインGP予選「タイヤがオーバーヒートしてすべて失った」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1スペインGPの予選で6番手に終わった原因としてタイヤのオーバーヒートを挙げた。Q3最後のアタックでは途中までポールポジション争いに加わるペースを見せていたものの、ラップ終盤にタイヤが厳しくなり、タイムを失ったという。

    初開催となるマドリンクでラッセルはFP1最速と好スタートを切ったが、路面コンディションが改善していくにつれてタイヤからパフォーマンスを引き出すことに苦戦。

    予選ではQ1でトップタイムを記録したものの、最終的には今季自己ワーストタイとなる6番手にとどまった。

    Q3最終アタックで「限界まで攻めた」
    ラッセルはQ3最後のアタックについて、途中まではポールポジションを狙える手応えがあったと振り返った。

    「ポールを争える位置にはいたし、Q3最後のラップでは本当に限界まで攻めた」

    「途中ではコンマ3秒くらい速かったんだけど、ラップ終盤にタイヤがオーバーヒートして、そのアドバンテージを全部失ってしまった」

    「かなり残念だったね。みんなの差が本当に小さかったし、その結果がこの順位だ」

    ラッセルは予選Q1で最速タイムをマーク。最初のアタックではウォールに接触する場面もあったが、その後はペースを上げ、ポールポジション候補のひとりとしてQ3へ進出した。

    しかし、最後のアタックではランド・ノリスやチームメイトのキミ・アントネッリらに届かず6番手。ラッセルにとってはF1ハンガリーGP以来となる低い予選順位となった。

    路面が速くなるほどタイヤに苦戦
    ラッセルが特に問題視しているのは、週末が進み、路面のグリップが向上するにつれてタイヤをうまく使えなくなっている点だ。

    「最初にマシンに乗ったときはすごく快適だったし、自信もあった」

    「でも、路面が速くなっていくにつれて、タイヤから最大限のパフォーマンスを引き出すことに苦戦するようになった」

    「コーナーをより速く曲がれるようになるのではなく、ただスライドするようになっている。なぜそうなっているのか理解する必要がある」

    ラッセルは金曜日のFP1ではトップタイムを記録したが、FP2では5番手、土曜日のFP3では6番手と徐々に順位を落としていた。予選では一時的に速さを取り戻したものの、タイヤのオーバーヒートという問題がQ3で再び表面化した格好だ。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    決勝でもタイヤ管理が大きな課題
    マドリンクでは金曜日からタイヤのデグラデーションやオーバーヒートが大きなテーマとなっている。ラッセル自身も初日の走行後、タイヤへの負荷の大きさについて「6ストップが最速だと思ったくらい」と冗談交じりに語っていた。

    決勝では予選以上に長いスティントでタイヤを管理する必要があるだけに、メルセデスにとって原因の解明は重要になる。

    一方で、チームメイトのアントネッリは予選でフロントローを獲得しており、マシンそのものに上位を争う速さがないわけではない。ラッセルが自身のタイヤの使い方とセットアップの問題をどこまで改善できるかが、F1スペインGP決勝での追い上げを左右することになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1スペインGPのタイヤを懸念「6ストップが最速と思うくらい」

    ジョージ・ラッセル F1スペインGPのタイヤを懸念「6ストップが最速と思うくらい」

    ジョージ・ラッセルは、F1スペインGPの舞台となる新設マドリンクでの初日走行を終え、日曜日の決勝ではタイヤデグラデーションが大きな焦点になると予想した。特に高速バンクのラ・モニュメンタル(La Monumental)がタイヤに大きな負荷を与えているという。

    メルセデスは金曜日に好調なスタートを切り、FP1ではラッセルがトップ、FP2ではキミ・アントネッリが最速タイムを記録した。一方、ロングランではタイヤの消耗と温度管理という新たな課題が浮かび上がっている。

    ラッセル「6ストップが最速かと思った」
    マドリンクは高速コーナーが連続する一方、タイヤを十分に休ませられる長いストレートが少ない。ラッセルはFP1で確認されたデグラデーションの大きさについて、冗談交じりに驚きを表現した。

    「タイヤデグラデーションについては大きな疑問符がある。FP1で僕たち全員が経験したデグラデーションを見たときは、6ストップが一番速いレースになるんじゃないかと思ったくらいだよ!」

    「もちろん、日曜日にはタイヤデグラデーションも改善していると思う。でも、長いラ・モニュメンタルでは本当にタイヤが厳しくなる。そこは全員にとって大きなチャレンジになるだろう」

    特にターン12のラ・モニュメンタルは、高速で長時間にわたって横方向の荷重がかかり続けるため、タイヤへのエネルギー入力が大きい。路面そのものは比較的スムーズだが、摩耗だけでなく熱による性能低下が決勝を左右する可能性がある。

    メルセデスもタイヤの熱影響を警戒
    メルセデスの副チーム代表ブラッドリー・ロードも、マドリンク特有のレイアウトが通常とは異なるタイヤ挙動を引き起こす可能性を指摘した。

    「タイヤが非常に高温で走り続け、しかもコーナーが連続してタイヤを休ませる機会がほとんどないため、通常とは異なるタイヤの影響が出る可能性がある」

    「コーナー、コーナー、またコーナーというレイアウトだ。タイヤがそれにどう対処するかが決定的になる。路面はスムーズなので摩耗自体は予想ほど大きくないかもしれないが、事前のシミュレーションとは異なる熱的な影響が出る可能性もある」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    フェラーリは予選重視へ方針修正
    金曜日にメルセデスへ最も迫ったのはフェラーリだった。FP2ではシャルル・ルクレールが2番手、ルイス・ハミルトンが3番手につけ、いずれもアントネッリから0.2秒以内に入った。

    ルクレールは新コースでの初日について「とても興味深い一日だった。全員にとって完全に新しいコースで、かなりチャレンジングだ。予選はエキサイティングになると思う」と振り返った。

    「明日に向けてマシンを改善するために、まだかなり作業が必要だ。でも今日はうまくいった。予定していたプログラムをこなし、できるだけ多くの周回を走るという大きな目標のひとつも達成できた」

    一方、フレデリック・バスール代表は、追い抜きの難しさを踏まえてフェラーリが金曜日から重点を修正する必要があると認めた。

    「ロングスティントは予想通りだった。オーバーテイクは非常に難しい。つまり、スタート時のトラックポジションが極めて重要になる」

    「だから、少し重点を変える必要もある。もちろんレースペースが良いに越したことはないが、予選順位が重要になる。全体としてはまずまずの金曜日だった」

    マドリンクではタイヤを守るレースペースと、追い抜きの難しさを考慮した予選でのトラックポジションという二つの要素が絡み合う。初日のデータを見る限り、土曜日の予選だけでなく、日曜日に各チームがタイヤの熱とデグラデーションをどこまで管理できるかが、初開催のF1スペインGPを左右する重要なポイントになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセル F1タイトル争いで現実直視「アントネッリは僕よりいい仕事」

    ジョージ・ラッセル F1タイトル争いで現実直視「アントネッリは僕よりいい仕事」

    ジョージ・ラッセルは、2026年F1ドライバーズ選手権でチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに66ポイント差をつけられている現状について、「今年は僕よりいい仕事をしている」と率直に認めた。

    メルセデスのタイトル争いでは、開幕戦で圧倒的な強さを見せたラッセルに対し、その後アントネッリがグランプリ5勝を挙げる快進撃を披露。

    フェラーリやマクラーレンも勝利を挙げるなか、アントネッリは着実にリードを広げてきた。ラッセルは逆転の可能性を捨ててはいないものの、自分には「運も必要」だと現実的に状況を捉えている。

    「彼は首位に立つにふさわしい」
    現在、アントネッリはラッセルに66ポイント差をつけてドライバーズ選手権をリードしており、史上最年少F1ワールドチャンピオン獲得に向けて有利な位置につけている。

    ラッセルは、残されたレースでこの差を逆転することが簡単ではないと認め、チームメイトの今季のパフォーマンスを高く評価した。

    「現実離れしたことを考えるつもりはない。実際のところ、今年はチームメイトの方が僕よりいい仕事をしている」

    「彼には不運もあったけど、それでも選手権をリードするにふさわしいし、今のところ、このポジションにいるだけの仕事をしている」

    そのうえでラッセルは、タイトルだけを意識するのではなく、残された一戦一戦で最大限の結果を狙っていくと説明した。

    「僕としては、一戦ずつ取り組んで、できるだけ多くのレースで勝つことを目指すだけだ」

    「このチャンピオンシップで勝ちたいなら、僕にはある程度の運も必要になる。それが今の状況だ。僕たちが置かれている立場については、かなり現実的に考えている」

    モンツァでアントネッリとの直接対決に敗北
    ラッセルにとって大きな痛手となったのが、前戦F1イタリアGPだった。

    アントネッリは19番グリッドから猛烈な追い上げを見せ、レース中にはラッセルと何度もホイール・トゥ・ホイールの攻防を展開。最終的にチームメイトを2番手へ退け、劇的な優勝を飾った。

    モンツァでの敗戦をどのように受け止めたのかと尋ねられたラッセルは、今季はそうした結果を消化する経験を十分に積んできたと語った。

    「今年は物事を受け止める練習をかなりしてきたよ。僕自身はいい状態だし、どの週末からもポジティブなものを持ち帰っている」

    「もちろん、モンツァでは勝ちたかったし、キミとのあのバトルを最後まで続けたかった」

    それでも、アントネッリの現在の勢いについて言い訳をすることはなかった。

    「実際のところ、彼は今、本当に素晴らしい仕事をしている。それについては彼を評価しなければならない」

    「僕自身もいくつかいい改善ができているし、この流れを続けて、また彼に戦いを挑みたい。それが今の僕のメンタリティだ」

    ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    初開催マドリンクで反撃へ
    ラッセルにとって次の反撃の機会となるのが、今週末にマドリンクで初開催されるF1スペインGPだ。

    過去のデータが存在しない新しいサーキットだけに、勢力図が通常とは異なる可能性もある。ラッセルは特に高速コーナーとアグレッシブな縁石を警戒し、ドライバーが自信を持って限界へ近づいていくことが重要になると考えている。

    「F1にいる全員のレベルはものすごく高い。ここは自信が必要になるサーキットだ」

    「かなりチャレンジングだし、高速コーナーがたくさんあって、縁石もアグレッシブだ。間違いなく特別な経験になると思う。とにかくウォールに当てないようにして、少しずつペースを上げていくことだね」

    一方で、タイトル争いを考えれば慎重になりすぎることもできない。

    「すべてのレースがチャンスだ。このサーキットは今季でも特にリスクの高いサーキットのひとつだと思う」

    「すべてを懸けてポールポジションと勝利を狙いたい気持ちはある。でも、このレースへのアプローチとしては、いつも通り自分たちの仕事をするだけだ」

    アントネッリの実力と現在の優位を認めたラッセルだが、タイトル争いから降りるつもりはない。66ポイントという大きな差を逆転するには運も必要だと認識しながら、まずは初開催のマドリンクで勝利を取り戻し、チームメイトへの反撃を開始することを目指す。

  • ジョージ・ラッセル F1イギリスGPに専用「GRandstand」誕生 ノリスに対抗

    ジョージ・ラッセル F1イギリスGPに専用「GRandstand」誕生 ノリスに対抗

    ジョージ・ラッセルの願いが実現し、2027年F1イギリスGPで自身の名を冠した専用グランドスタンド「GRandstand」がシルバーストンに誕生することが決まった。

    シルバーストンでは、ランド・ノリスのファン専用エリア「Landostand」がすでに名物となっている。ラッセルは以前から自身のグランドスタンドを望んでおり、母国のライバルに対抗する形でついに専用エリアを手に入れることになった。

    ラッセル念願の「GRandstand」が2027年に誕生
    近年のF1では、母国GPでドライバーを前面に押し出したプロモーションが活発になっている。その代表例が、シルバーストンのストウ・コーナーに設けられているランド・ノリスの「Landostand」だ。

    2026年のF1イギリスGPではLandostandが大幅に拡張され、1万6000人以上のファンが詰めかけた。鮮やかな蛍光カラーに染まった巨大なスタンドは、ハンガーストレートからストウへ向かうドライバーの目にも飛び込んでくるシルバーストンの名物となっている。

    ラッセルも2026年のF1イギリスGPで、自身の専用グランドスタンドについて尋ねられ、実現に向けて動いていることを明かしていた。

    「以前からチームと話していたことなんだ。おそらく来年に向けて取り組んでいることのひとつだと思う」

    さらに、どこに設置したいかと聞かれると、ラッセルはノリスを意識して冗談交じりに語っていた。

    「ランドはストウのアウト側にかなりいい場所を持っているから、そこを彼から奪ってみようかな」

    ノリスの場所を奪うという希望こそ実現しなかったものの、ラッセルには別の一等地が用意された。

    「GRandstand」が設置されるのは、ターン1のアビーからターン2、そしてビレッジへと続く序盤区間に位置するファーム・カーブ。シルバーストンによれば、2027年から正式にジョージ・ラッセル・グランドスタンドとして使用される。


    「サーキットで最高の場所のひとつ」
    ラッセルは専用グランドスタンドの誕生を喜び、そのロケーションについて次のように説明した。

    「2027年のグランプリで、僕たち自身の『GR Grandstand』ができることを発表できて本当にうれしい」

    「場所はターン1の出口だ。だからターン1全体とターン2、それにターン3へのオーバーテイクポイント、そしてターン4まで見ることができる。本当に、本当にクールな場所だよ。僕の意見では、サーキットで最高の場所のひとつだ」

    ファーム・カーブはシルバーストンのオープニングセクションに位置し、スタート直後の攻防を含め、最初の4つのコーナーを広く見渡せる場所となる。

    「GRandstand」という名称は、ラッセルのイニシャルである「GR」と英語の「Grandstand」を組み合わせたもの。ノリスの名前と「stand」を掛け合わせた「Landostand」と同様、ドライバー名を生かしたネーミングとなっている。

    シルバーストンでは現在、GRandstandのチケットについて優先アクセスの登録を受け付けており、一般販売に先駆けて購入機会が提供される予定となっている。

    2027年のF1イギリスGPでは、ストウを埋め尽くすノリスの「Landostand」に加え、ファーム・カーブにラッセルの「GRandstand」が登場する。イギリスを代表する2人のF1ドライバーによるコース上の戦いだけでなく、シルバーストンのスタンドを舞台にしたファン同士の応援合戦も新たな見どころとなりそうだ。

  • メルセデスF1代表 ラッセルのタイヤ戦略を説明「変更のチャンスはなかった」

    メルセデスF1代表 ラッセルのタイヤ戦略を説明「変更のチャンスはなかった」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、2026年F1第13戦イタリアGPでジョージ・ラッセルが勝利を逃す結果となったタイヤ戦略について説明した。

    ラッセルは終盤まで優勝争いを展開したものの、フレッシュなミディアムタイヤを履いたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに逆転を許して2位。ヴォルフは、結果的に2ストップ戦略が有利だったと認めながらも、ラッセルには戦略を変更する「チャンスがなかった」と語った。

    アントネッリは19番手から逆転優勝
    エンジン関連のペナルティによって19番グリッドからスタートしたアントネッリは、序盤のリスタートでリスクを避けながら着実に順位を上げた。

    レースが進むにつれてラッセルとの争いに加わり、メルセデスの2台は何度もポジションを入れ替える展開となった。

    そして終盤、ランス・ストロールがコース上でマシンを止めたことでバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されると、アントネッリはピットインして新品のミディアムタイヤに交換した。

    一方、ラッセルはレース再開前に装着したハードタイヤで走り続けることになった。タイヤの性能差を生かしたアントネッリは終盤にラッセルをオーバーテイクし、今季7勝目を挙げた。

    ラッセルは2位でフィニッシュし、ドライバーズランキングでは首位アントネッリとの差が66ポイントに広がった。

    ヴォルフ「2ストップが最善だとは考えていなかった」
    ヴォルフは、アントネッリの走りを高く評価するとともに、メルセデスが当初は2ストップ戦略の方が速いとは予想していなかったことを明かした。

    「彼は集中を切らさず、序盤のリスタートではリスクを冒さず、そこから1台ずつ抜いていった。素晴らしいドライブだった」

    「結果的には2ストップが最善だった。でも、我々はそうなるとは考えていなかった」

    「だから、それが彼にとってうまく機能した。だが、今日の彼を止められるものは何もなかった。本当にうれしく思っている」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルは「使い古した武器」で終盤を戦った
    ヴォルフは、2ストップが有利だと判明した段階では、ラッセルの戦略を切り替える余地がなかったと説明した。

    「もちろん、ジョージは最後には使い古した武器で戦っていた」

    「だから、ワンツーという結果には本当に満足している。彼はハードを履いていた。我々は1ストップで行く必要があり、変更するチャンスはなかった」

    結果としてメルセデスはアントネッリとラッセルによるワンツーフィニッシュを達成したが、同じ戦略を採っていれば勝者が入れ替わっていた可能性も残った。

    アントネッリは19番手からの逆転で母国イタリアGP初優勝を飾り、タイトル争いでもリードを拡大。対するラッセルにとっては、終盤のVSCとタイヤ戦略が勝敗を分ける形となった。