カテゴリー: マックス・フェルスタッペン

  • リアム・ローソン フェルスタッペンの「感覚が鈍い」2026年F1マシン論に異論

    リアム・ローソン フェルスタッペンの「感覚が鈍い」2026年F1マシン論に異論

    リアム・ローソンは、2026年F1マシンについてマックス・フェルスタッペンが「ドライバーの入力に対して感覚が鈍い」と評したことについて、その主張の一部には理解を示しながらも、完全には同意できないとの考えを示した。

    夏休み中に手首を負傷したアイザック・ハジャーが回復を続けるなか、ローソンはF1オランダGPから一時的にレッドブル・レーシングへ昇格。一方、ローソンが離れたレーシングブルズには角田裕毅が入っている。

    ローソンと角田裕毅が短期間で2026年型F1マシンに適応
    ローソンはレッドブルで出場した3戦で7位、14位、6位という結果を残した。一方、角田裕毅は新世代マシンでのわずか2戦目となったF1イタリアGPでポイントを獲得している。

    2026年のF1マシンは、新しいパワーユニットの設計に伴い、高度なエネルギーマネジメントが求められる。

    こうした状況を踏まえ、レッドブルのフェルスタッペンは、現在のマシンについて「ドライバーの入力に対して感覚が鈍い」と表現。ローソンと角田裕毅がすぐに競争力を発揮できた背景には、2026年型マシンが以前よりドライブしやすくなっていることも関係しているとの見方を示していた。

    フェルスタッペンは、ドライバーがマシンによって「締め付けられている」ような状態にあり、本来の能力を発揮するうえで「抑え込まれている」とも語っている。

    ただしフェルスタッペン自身も「それでも良いラップをまとめ、攻めなければならない」と認めている。

    この見解について尋ねられたローソンは、フェルスタッペンが何を意味しているのかは理解できるとしながらも、必ずしも全面的には同意しなかった。

    「分からないね。一般的に言えば、マシンが単純になったわけではない。実際、どうドライブしなければならないか、エネルギーをどう扱うかという部分ではかなり複雑になっている」とローソンはRacingNews365を含むメディアに語った。

    「エネルギーの扱い方という意味では、僕たち自身でコントロールできることが少なくなっている部分もあるので、言っていることは理解できる」

    「でも同時に、実際にこうしたマシンに途中から乗ったのは僕と裕毅だけなんだ」

    「新しいマシンに乗って、そこからペースを上げていくことがどういうものなのかを知っているのは僕たちだけだ。だから、間違いなく単純なことではない」

    ローソンは、2026年はチーム間のパフォーマンス差が以前より広がっていることが、途中からマシンに乗ったドライバーが短期間で結果を残しやすく見える一因かもしれないと説明する。

    「確かに、ペースを上げるという点ではそう言えるかもしれない。今年はチーム間のギャップが少し大きくなっている。最近はそこまで大きな差はなく、かなり接近していたからね」

    「だから、そういう見方をすれば『分かった。ペースを上げるのは少し簡単になっているのかもしれない』と言うことはできる」

    「でも、僕が自分の(レーシングブルズの)マシンで、この1年半の間に慣れてきたものや、気に入っているものはたくさんある。それをこういうマシンに乗って、そのまま適用できるわけではないんだ」

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)

    レッドブルとレーシングブルズの違いに苦戦
    ローソンはさらに、自身が普段ドライブするレーシングブルズでは当たり前になっていた細かな部分が、現在乗っているレッドブルのコックピットには存在しないと説明した。

    それは単純なマシン性能だけではなく、ドライバーが長い時間をかけて築いてきた好みや操作感にも関係しているという。

    「ここ数戦では、僕にとってあまり快適ではない部分があって、そこを何とかドライビングで補おうとしてきた」

    「そういうものは、紙の上で見ればすぐに分かるような単純なことではない」

    「本当にドライバー個人の問題なんだ。誰にでも、自分のマシンのなかで快適だと感じるものがあるからね」

    「だから、どのマシンも飛び乗ってドライブすること自体はできるし、ある程度のペースまで持っていくのは比較的簡単なのかもしれない」

    「でも、この数週間、僕が理解しようとしてきたのはそういう部分なんだ。僕のマシンとは違うところだからね」

    ローソンは、2026年型F1マシンではエネルギーマネジメントなどドライバーが直接コントロールできない領域が増えたというフェルスタッペンの指摘には一定の理解を示した。一方で、レーシングブルズからレッドブルへ実際に乗り換えた経験から、異なるマシンへ短期間で適応する作業そのものが簡単になったわけではないと強調した。

  • リアム・ローソン F1デビューでフェルスタッペンに衝撃「まだ無理だと思った」

    リアム・ローソン F1デビューでフェルスタッペンに衝撃「まだ無理だと思った」

    リアム・ローソンが、2023年F1オランダGPで突然巡ってきたF1デビューを振り返り、初めてのフリー走行でマックス・フェルスタッペンの走りを目の当たりにした際の衝撃を明かした。

    当時21歳だったローソンは、FP2で手を骨折したダニエル・リカルドの代役としてアルファタウリAT04をドライブすることになった。しかも、初めてF1マシンで公式セッションを走るFP3は雨。十分な準備時間もないまま、難しいザントフォールトでF1デビューを迎えることになった。

    突然決まったF1デビュー「よりによってザントフォールトで雨」
    F1 TVの『Off The Grid』に出演したローソンは、リカルドの代役を務めることを知らされたとき、長年待ち望んでいたチャンスがついに訪れたという喜びと同時に、その状況の厳しさをすぐに理解したと振り返った。

    「リザーブをやっていたころは毎週末、『走るためなら何だってする。F1を走るチャンスがほしい』と思っていた。そして、ついに自分が本当に走るんだという実感が湧いてきた」

    「でも、その直後に『なんてことだ』ってなった。ザントフォールトのFP3で、しかも雨だった。よりによって、どうしてここなんだって思ったよ」

    それでも、自分が待ち望んできたチャンスである以上、状況に不満を言うわけにはいかなかった。

    「それから『ずっとこのチャンスを願ってきたんだから、文句を言っている場合じゃない』と思った。だからチームと一緒に12時間を使って、できる限りの準備をした」

    フェルスタッペンの走りを目の前で見て実感した差
    ローソンにとって最大の問題は、初めて乗るF1マシンをウエットコンディションで限界までプッシュしなければならないことだった。

    「F1マシンを走らせるには、ものすごく高いレベルのコミットメントが必要なんだ」

    「本当に思い切っていかなければならない。でも、あのセッションではすごく居心地が悪かった。マシンを一度も走らせたことがなかったし、路面は濡れていた。自信がまったくない状態だったから、ちゃんとプッシュすることができなかった」

    そんなローソンの後方から、アタックラップ中のフェルスタッペンが迫ってきた。

    「セッション終盤、マックスが僕の後ろからプッシュラップで来たのを覚えている。彼はマシンをスライドさせながら縁石を越えていった」

    その光景を間近で見たローソンは、F1マシンを限界まで攻めるために必要な自信が、当時の自分にはまだ備わっていないことを痛感したという。

    「それを見ながら、『こんなに早い段階で、僕には絶対にあんなことはできない』と思ったのを覚えている」

    次の周にプッシュしてスピン
    それでもローソンは、フェルスタッペンの走りを見た次の周に、自分もペースを上げようと試みた。

    「そして、その次の周に戻ってきて、僕も思い切って攻めようとした。でも、その時点ではまだ、それに必要なレベルの自信がなかった」

    結果としてローソンはコース上でスピン。AT04が動けなくなり、マシン回収のためFP3には赤旗が提示された。

    それでも、ローソンはその翌日の決勝でF1初レースを完走。難しいウエットコンディションも経験したレースを13位でフィニッシュし、急きょ決まったデビュー戦を走り切った。

    わずか12時間ほどの準備で初めてF1マシンに乗り、雨のザントフォールトでフェルスタッペンの走りを目の当たりにしたローソン。現在ではF1のレギュラードライバーとなった彼にとって、そのFP3はトップレベルで戦うために必要な「コミットメント」を最初に思い知らされたセッションだった。

  • マックス・フェルスタッペン F1王座迫るアントネッリに助言「考えすぎるな」

    マックス・フェルスタッペン F1王座迫るアントネッリに助言「考えすぎるな」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年のF1ドライバーズ選手権で首位を独走するキミ・アントネッリに対し、「ストレスを感じすぎる必要はない」とアドバイスした。現在のアントネッリについて「絶好調だ」と評価し、今やっていることをそのまま続ければいいと語った。

    20歳のアントネッリは今季ここまで8勝を挙げ、メルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけてランキング首位に立っている。

    8勝は、ラッセルがF1通算166戦で記録している7勝をすでに上回る数字だ。フェラーリのルイス・ハミルトンには101ポイント差をつけている。

    フェルスタッペン「キミは今やっていることを続ければいい」
    自身初のF1ワールドチャンピオン獲得へ近づいているアントネッリに何かアドバイスはあるかと尋ねられたフェルスタッペンは、若きイタリア人の現在の戦い方を高く評価した。

    「キミは今やっていることをそのまま続ければいい。素晴らしいし、本当にうまくいっている。あまりストレスを感じすぎる必要はないし、実際に彼がそうしているとも思わない」

    「彼はただ結果を出し続けている。自信もあるし、どんどん経験を積んでいる」

    「まだ若いし、キャリアも本当に始まったばかりだけど、今は絶好調だ。すべてがうまく機能している」

    フェルスタッペンは、タイトルを意識するあまり、それまで機能していたアプローチを変える必要はないと考えている。

    「だから、物事を複雑に考えすぎる必要はない。実際、彼はそうしていない。周囲には彼に何が必要なのかを理解している優秀な人たちがたくさんいる。だから、すべてがうまくいっている」

    マックス・フェルスタッペンとアンドレア・キミ・アントネッリ

    ヴォルフ「4度の王者と比較すべきではない」
    フェルスタッペンの発言は、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが繰り返してきた考えとも重なる。ヴォルフは、まだF1参戦2年目のアントネッリをフェルスタッペンのような実績ある王者と比較し、過度な期待を背負わせることに慎重な姿勢を示している。

    「4度のワールドチャンピオンと、F1参戦2年目で、まだ勝利数も一桁のドライバーを比較することはできない。それに、キミに過度なプレッシャーをかけるべきではない」

    またヴォルフは、タイトル争いの先頭に立ちながらアントネッリが冷静さを保っている理由として、その若さと生まれ持った気質を挙げた。

    「20歳という若さは彼にとって大きな助けになっている。このスポーツであと20年走ることだってできるし、これから非常に多くのチャンスがある」

    「彼は我々の期待も、自分自身の期待もはるかに上回っている。ただ流れに乗っているんだ。そこには遺伝的な要素もあると思う。生まれつき冷静な人間なのか、そうではないのかということだ」

    昨年の経験から「プレッシャーを受け入れる」
    アントネッリ自身も、F1でタイトルを争う重圧との向き合い方について語っている。

    ルーキーだった2025年には、ヨーロッパラウンドで苦しい時期を経験した。その経験を踏まえ、今季はプレッシャーから逃れようとするのではなく、受け入れることを意識しているという。

    「できる限りプレッシャーを受け入れるようにしている。昨年のヨーロッパラウンドのように、プレッシャーに自分を壊されたくないからだ」

    8勝を挙げてランキング首位を走るアントネッリに対し、4度のF1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンが伝えたのは、タイトルを意識して何かを変えるのではなく、現在のアプローチを貫くことだった。残るシーズンでアントネッリが重圧をどうコントロールするかも、初タイトル獲得に向けた焦点となる。

  • 角田裕毅 レッドブルF1時代の最大の過ち「フェルスタッペンのセットアップを模倣」

    角田裕毅 レッドブルF1時代の最大の過ち「フェルスタッペンのセットアップを模倣」

    角田裕毅は、2025年にレッドブル・レーシングで苦戦した原因を振り返り、マックス・フェルスタッペンのマシンセットアップを再現しようとしたことが「最大の過ちだった」と明かした。

    リアム・ローソンに代わってレッドブルのシートを手にした角田裕毅だったが、RB21への適応には最後まで苦しんだ。本人によれば、それまで自分のドライビングスタイルを変えようと考えたことはほとんどなかったものの、フェルスタッペンと同じチームで走ったことで初めてその考えが揺らいだという。

    フェルスタッペンに近づこうとして犯した「最大の過ち」
    角田裕毅は『Beyond The Grid』で、自身のドライビングに対する考え方について語った。

    「正直に言えば、僕は自分のドライビングスタイルを変えないくらいのエゴを持っています。ドライビングについて自分が何をしているのかは分かっていますし、自分自身を信じています」

    「だから、相手がどれだけ競争力があって速いドライバーだったとしても、他のドライバーに合わせて自分のドライビングスタイルを変えようとしたことはありませんでした」

    しかし、相手がフェルスタッペンとなると状況は違った。

    「もちろん、マックスの場合はまったく別です。彼はワールドチャンピオンですし、多くのことを証明しています。僕も彼のドライビングから今でも多くのことを学んでいます」

    「それでも、僕のドライビングの基本的な部分は変わりません。ただ、たぶんレースを始めてから初めて、自分のドライビングスタイルを変えて、マックスに似たことをやってみようと考えました」

    角田裕毅は、データ上ではフェルスタッペンとのドライビングそのものに極端な違いがあるようには見えなかったという。そのため、より大きな問題として目を向けたのがマシンのセットアップだった。

    「僕の視点では、データだけを見れば、ドライビングにものすごく大きな違いがあるようには見えませんでした」

    「僕が一番やってしまったこと、そして今になって考えると昨年最大の過ちだったと思うのは、彼がやっているセットアップを再現しようとしたことです」

    オーバーステアに苦しみながらさらに敏感な方向へ
    フェルスタッペンは、方向転換に対して非常に敏感なマシン特性を好むことで知られている。角田裕毅は、自分のマシンですでに強いオーバーステアを感じていたにもかかわらず、フェルスタッペンに近いセットアップを選択することがあったと振り返る。

    「自分のマシンがマックスのマシンよりもかなり強いオーバーステアだと感じているときでさえ、理論的には方向転換に対してさらに敏感にすればマシンを悪化させると分かっているのに、そのセットアップを選ぶ傾向がありました」

    「すでにオーバーステアに苦しんでいたにもかかわらずです」

    フェルスタッペンの速さを理解しようとするあまり、自分自身が必要としていたセットアップとは異なる方向へマシンを進めてしまったというのが、角田裕毅が現在下している分析だ。

    角田裕毅 レッドブル・レーシング

    「最後まで何のクルマを運転しているのか分からなかった」
    さらに角田裕毅は、レッドブルで経験した問題について、2025年シーズンが終了した後も完全には理解できていないと明かした。

    「普通なら、自分が運転しているマシンについて、どんな特性なのかを理解することができます」

    「でも、アブダビが終わった後でさえ、自分が何のクルマを運転していたのか分からないような感覚でした。何が問題だったのか、何が原因でこのマシンについて学んだり、慣れたりすることにあれほど苦労したのか、今でも理解できていません」

    角田裕毅によれば、常に自信を失っていたわけではない。それでも週末によって突然マシンへの信頼感がなくなることがあり、その理由を突き止めることができなかったという。

    「自信はあると感じていました。でも、いくつかのレースでは、なぜかその自信を失ってしまいました」

    「正直に言って、今でもあのマシンについて理解できていません」

    2025年限りでレッドブルのレギュラーシートを失った角田裕毅は、2026年にはリザーブドライバーを務め、その後アイザック・ハジャーの負傷に伴うドライバー変更によってレーシングブルズからザントフォールト、モンツァ、F1スペインGPの3戦に出場した。

    2027年のF1グリッド復帰を目指す角田裕毅にとって、フェルスタッペンのセットアップを追いかけ、自分に合った方向性を見失った2025年の経験は、今後のマシン作りやドライビングに生かすべき大きな教訓となっている。

  • マックス・フェルスタッペン 100台抜きカート制覇「今年初勝利だからもらっておく」

    マックス・フェルスタッペン 100台抜きカート制覇「今年初勝利だからもらっておく」

    マックス・フェルスタッペンが、シルバーストンで開催された前代未聞のカートレース「Max vs 100」に挑み、101番手からわずか14周で100台を抜いて優勝した。

    レッドブルが企画したこのイベントで、4度のF1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、設定されたレース距離の半分にも達しない約35分で全車を攻略。2026年の自身初勝利を飾り、「これが今年初勝利だから、もらっておくよ」と笑顔を見せた。

    101番手スタートから1周で37番手へ
    フェルスタッペンは101番手、つまり最後尾からレースをスタートした。しかし、オープニングラップから驚異的な追い上げを披露する。

    混乱した1周目には約30台が巻き込まれるアクシデントが発生し、フルコースイエローが導入された。フェルスタッペンは混乱を避けるために芝生へ逃げる場面もあったが、うまく外側のラインを選び、1周だけで64台をかわして37番手まで浮上した。

    「最初の1周はかなりすごかったね。いろいろなことが起きて、何台かのカートが動けなくなっていた。僕は外側に行けたから、そこで詰まらずに済んだ」

    「それで最初の1周だけで60人くらい抜けた。それはトップまで追い上げるうえでかなり助けになったね」

    その後もフェルスタッペンのペースは圧倒的だった。ライバルたちより1周あたり3秒以上速いラップを刻み、わずか6周でトップ10に進出した。

    今回の参加者はコンテンツクリエイターやレッドブル・アスリート、ファン、ジャーナリストなどで構成されていたが、F1王者のスピードを止めることはできなかった。

    縁石で跳ねてGoProを紛失
    順調に順位を上げるフェルスタッペンだったが、危ない場面もあった。縁石に激しく乗り上げてカートが跳ね上がり、その際にマシンに装着されていたパーツの一部を失った。

    ライブマイクを装着していたフェルスタッペンは、その直後にこう語った。

    「GoProをなくしたと思う」

    それでも走行には大きな影響はなく、そのまま追撃を続けた。

    フェルスタッペンの追い上げがあまりにも速かったため、レースディレクターはトップ4に追加の「Chucky Lap」を許可した。これはマクラーレンCEOのザク・ブラウンが過去にフェルスタッペンについて発したコメントにちなんだもので、このラップではコースをショートカットすることが認められた。

    フェルスタッペン自身も15周目以降に「Chucky Lap」を使える予定だったが、その特典を必要とすることはなかった。


    14周で100台抜き達成
    最後まで残ったのは、レッドブル・パワートレインズのテクニシャン、ルイス・オスラーとオランダ人F1ジャーナリストのジャッキー・マルテンスだった。

    フェルスタッペンは最後のライバルに大胆なダイブボムを仕掛けてトップに浮上。101番手から100台を抜き、わずか14周でチェッカーフラッグを受けた。

    「いやあ、本当に素晴らしかったね!」

    チェッカー後、フェルスタッペンは無線でそう喜び、続けて今回の勝利を自身のキャリアの中でも特別なものとして表現した。

    「これは僕のベストな勝利だったと思う!」

    表彰式を前にしたレース後インタビューでは、2026年のF1ではまだ勝利を挙げていないことを引き合いに出してジョークを飛ばした。

    「これが今年初勝利だから、もらっておくよ」

    マックス・フェルスタッペン

    体重移動も駆使したフェルスタッペン
    フェルスタッペンはレース中、低速コーナーからの立ち上がりで身体を上下させ、カートの加速を助けるテクニックも使っていた。

    「ときどき、すごく低速なコーナーの出口で少し身体を跳ねさせるんだ。そうすると加速を少し助けられる。特にスタートではかなり大きな違いになる」

    F1で4度のワールドチャンピオンに輝いたフェルスタッペンに対し、100人のライバルが立ちはだかった「Max vs 100」。最後尾スタートというハンデに加え、特別ルールも用意された異色のレースだったが、フェルスタッペンは14周、約35分で100台抜きを完遂し、圧倒的な速さで企画を締めくくった。

  • マックス・フェルスタッペン 2ポジション返還に激怒 レッドブルF1「苦渋の決断」

    マックス・フェルスタッペン 2ポジション返還に激怒 レッドブルF1「苦渋の決断」

    マックス・フェルスタッペンがF1スペインGPの序盤に2つのポジションを返すよう指示された判断について、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースが説明した。

    フェルスタッペンはスタート直後にルイス・ハミルトンと争った際、ターン1でコース外を通過して3番手を維持。その後、キミ・アントネッリを抜いて2番手に浮上したが、レッドブルはハミルトンとの一件でペナルティを科されるリスクを避けるため、ポジションを返すよう指示した。

    しかし、その時点でアントネッリがハミルトンとの間に入っていたため、フェルスタッペンはハミルトンだけでなくアントネッリも先行させる必要があり、一気に2つのポジションを失うことになった。

    フェルスタッペン「何を言ってるんだ?」
    スタートではハミルトンがフェルスタッペンの前に出たものの、両者はターン1で激しく争った。フェルスタッペンはコース外へ逃れ、ハミルトンの前でコースに復帰した。

    ハミルトンは無線で、フェルスタッペンがポジションを返す必要があると主張。その無線はレースコントロールも聞くことができる。

    一方、フェルスタッペンは自分がコース外に出なければ接触していたと考えており、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼからポジションを返すよう伝えられると強く反発した。

    「一体何を言ってるんだ? あいつはぶつけてきていただろ。何を言ってるんだ? あそこでコース上に残っていたら、僕はレースを終えていた」

    それでもフェルスタッペンは4周目にチームの指示に従い、アントネッリとハミルトンを先行させた。

    レッドブルは自主的にポジション返還を決断
    重要なのは、この指示がFIAのレースコントロールから出されたものではなかったことだ。

    レッドブル側が映像を確認し、フェルスタッペンがそのままポジションを維持した場合、スチュワードによる審議でタイムペナルティを受ける可能性があると判断。レース序盤でポジションを返し、その後に挽回する方が得策だと結論づけた。

    メキースはF1 TVに次のように説明した。

    「もちろん、常に痛みを伴う難しい決断になる。だが、ピットウォールのスタッフは非常にしっかりと状況を確認し、素早く分析した。我々は迅速に決断しなければならなかったからだ」

    「もちろん、あの瞬間にマックスから『ありがとう』というメールが届くとは思っていなかった」

    フェルスタッペンが無線で激しく反発したことについても、メキースにとっては想定外ではなかった。

    「我々としては、その時点で痛みを受け入れ、その後に反撃する方がいいと考えた。マックスはいつものように、それを非常にうまくやってくれた」

    「そのまま待って、後になってより大きなペナルティを受けるリスクを冒すより、その方が良かった。後からのペナルティは、さらに大きな代償になる可能性があった」

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    「5秒か10秒のペナルティになっていた」
    メキースによれば、レッドブルがポジションを返さなかった場合、FIAから後になって「ポジションを返せ」と指示されるわけではない。

    スチュワードによる審議に回され、タイムペナルティが科される可能性が高かったという。

    「スチュワードの判断として、ポジションを返すよう命じられることはない。その場合、我々は単純に5秒か10秒のペナルティを受けていただろう。それは彼らの裁量になる」

    「セーフティカーなど、さまざまなレース展開を想像すれば分かると思うが、そうしたペナルティは1つ、あるいは2つのポジションを失うより、はるかに大きな代償になる可能性がある」

    実際、フェルスタッペンがポジションを返した直後、ハミルトンはブレーキトラブルによってリタイアした。

    仮にレッドブルが判断を先延ばしにし、ハミルトンがリタイアした後までフェルスタッペンを前に走らせていれば、物理的にポジションを返すことは不可能になっていた。

    「幸い、マックスはルイスがリタイアする前にポジションを返し、そこからレースを戦い続けることができた」

    レースコントロールに確認する時間はなかった
    レッドブルがFIAに確認してから判断することはできなかったのかという点について、メキースはレース中にはその時間的余裕がなかったと説明する。

    「レース後なら非常にオープンに話すことができる。もちろん、レースコントロールと話すこともあるし、スチュワードと直接話して彼らの見解を聞くこともある」

    「今回についてもチームはそうすると思う。我々は常に意見を交換し、そこから学んでいる。ただ、あの瞬間には相談している時間はそれほどなく、決断を下さなければならなかった」

    結果的にフェルスタッペンはその後ポジションを取り戻し、バーチャルセーフティカーのタイミングも生かして2位まで挽回。優勝したアントネッリに続いてチェッカーを受けた。

    メキースは、序盤に2ポジションを手放したことが勝利を逃した決定的な要因だったとは考えていない。

    「もちろんフラストレーションはある。だが、公平に見れば、今日は2位が我々に達成できた絶対的なベストだったと思う」

    レッドブルにとっては、その場で2ポジションを失うことよりも、レース後半に5秒あるいは10秒のタイムペナルティを抱えるリスクの方が大きかった。フェルスタッペンの激しい反発を承知のうえで下した即断は、最終的に2位を確保するためのリスク管理だったとメキースは強調している。

  • マックス・フェルスタッペン F1スペインGPで2位「予想以上の素晴らしい結果」

    マックス・フェルスタッペン F1スペインGPで2位「予想以上の素晴らしい結果」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年F1スペインGP決勝で2位表彰台を獲得した。レッドブル・レーシングにとってマドリンクは決して最も競争力のある週末ではなかったが、バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングを生かして順位を上げ、終盤にはランド・ノリスの猛追を抑え切った。

    3番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、序盤からアンドレア・キミ・アントネッリやルイス・ハミルトンと激しいポジション争いを展開。

    最終的には優勝したアントネッリに続く2位でチェッカーを受け、「予想していた以上の素晴らしい結果」と週末を振り返った。

    「予想していた以上の結果」
    フェルスタッペンはレース後、2位という結果への満足感を示した。

    「僕たちにとって素晴らしい結果だと思う。正直、レース前にはここまでの結果は予想していなかった」

    「もちろんVSCのタイミングでは少しラッキーだった。でも、そういうこともレースの一部だ。今日はそれを最大限に生かすことができた」

    予選では3番手を獲得していたものの、ロングランでマクラーレンやメルセデスと互角に戦えるかについては確信を持てていなかった。

    それでも決勝では、序盤から表彰台圏内でレースを進めた。

    スタート直後から激しいポジション争い
    フェルスタッペンはスタート直後、ポールポジションのノリスと2番手アントネッリの後方からターン1へ向かった。

    アントネッリがノリスへの攻撃でシケインをショートカットするなど、上位勢は序盤から激しい攻防を展開。フェルスタッペンもその混戦に加わった。

    一時はアントネッリを抜いて前に出たものの、その後に順位を戻す場面もあった。

    「スタートはかなり忙しかった。みんながポジションを争っていたし、いろいろなことが起きていた」

    「僕としては、できるだけクリーンに走って、自分たちのレースをすることが重要だった」

    レースが落ち着くと、フェルスタッペンはタイヤを管理しながら上位争いを続けた。しかし純粋なペースでは、先頭を走るノリスが優位に立っていた。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    VSCがレースを大きく動かす
    転機となったのは、ランス・ストロールがマシントラブルでコース脇にストップしたことで導入されたVSCだった。

    ノリスはVSCが発動する直前にピット入口を通過していた一方、アントネッリとフェルスタッペンはタイムロスを抑えながらピットストップを行うことができた。

    「僕たちはちょうどいいタイミングでピットに入ることができた。もちろん、それはラッキーだった」

    「VSCではそういうことが起こる。過去には僕もそれで得をしたこともあれば、損をしたこともある。今回は僕たちにとってうまくいった」

    このピットストップによってフェルスタッペンはノリスの前に出て、2位争いで大きなアドバンテージを手にした。

    一方で、VSCの恩恵を受けられなかったノリスは後方から追い上げる展開となった。

    ルクレールの後ろでタイムを失う
    VSC後のフェルスタッペンにとって大きな問題となったのが、シャルル・ルクレールだった。

    フェラーリはルクレールをハードタイヤで長く走らせる戦略を採用。フェルスタッペンはその後方でペースを抑えられる形となり、後方のノリスが急速にギャップを縮めてきた。

    「シャルルの後ろではかなりタイムを失った。ここでは追い抜くのが簡単ではないし、近づくとさらに難しくなる」

    ノリスは新品のハードタイヤで強烈なペースを発揮し、10秒以上あった差を一気に縮めた。

    ルクレールがピットに入った後、フェルスタッペンは前方が開けたものの、その時点ではノリスがすでに背後まで迫っていた。

    ノリスの猛追を最後まで抑え切る
    終盤はフェルスタッペンとノリスによる2位争いとなった。

    純粋なペースではノリスの方が速く、フェルスタッペンはほぼレース終了までプレッシャーを受け続けた。

    「ランドはかなり速かった。特にハードタイヤでは僕たちより速かったと思う」

    それでもフェルスタッペンはミスを見せず、ノリスに決定的なオーバーテイクの機会を与えなかった。

    マドリンクでは前を走るマシンを抜くことが難しく、フェルスタッペンはコース上でのポジショニングを最大限に利用した。

    「ここではマシンを真ん中に置いておけば、かなりうまくいく」

    「もちろん簡単ではなかった。ランドはずっと近くにいたし、ミスをすればすぐにチャンスを与えることになる。でも、最後までポジションを守ることができた」

    ノリスもレース後、フェルスタッペンについて「彼はほとんどミスをしなかった」と評価している。

    マックス・フェルスタッペン(スペイングランプリ)

    「僕たちにはまだ改善が必要」
    2位という結果には満足したフェルスタッペンだが、レッドブルの純粋なパフォーマンスについては冷静だった。

    マドリンクでは予選からマクラーレンやメルセデスが強さを見せており、決勝でもノリスのレースペースはフェルスタッペンを上回っていた。

    「結果としてはとても良かった。でも、純粋なペースを見れば、まだ僕たちには改善しなければならないところがある」

    「こういう週末でも表彰台に上がって、多くのポイントを獲得できることは重要だ」

    フェルスタッペンにとって、勝利を争えるだけの速さがない週末に最大限のポイントを持ち帰ることも、長いF1シーズンでは重要になる。

    「こういう日には最大限を取ることが重要」
    マドリンクで最速だったのはノリスだった。優勝したアントネッリ自身もレース後、「今日はランドが勝利に値した」と認めている。

    フェルスタッペンもVSCによって有利になったことを隠そうとはしなかった。それでも、与えられたチャンスを生かし、最後までノリスを抑えて2位を守り切ったことには価値がある。

    「こういう日には、得られるものを最大限に取ることが重要だ」

    「僕たちは今日、それをできたと思う。2位は僕たちにとって素晴らしい結果だ」

    純粋な速さだけを見れば、レッドブルにとって勝利を狙えるレースではなかった。それでもフェルスタッペンはVSCで生まれたチャンスを逃さず、最後にはより速いノリスからポジションを守り抜いた。

    予想以上の2位。それは運だけで手にした結果ではなく、苦しい週末でもチャンスを最大限に結果へ変えるフェルスタッペンらしいレースでもあった。

  • フェルスタッペン マドリンク設計者に苦言「オーバーテイクできる造りを学ぶべき」

    フェルスタッペン マドリンク設計者に苦言「オーバーテイクできる造りを学ぶべき」

    マックス・フェルスタッペンは、初開催のF1スペインGPの舞台となったマドリンクのコース設計に厳しい意見を示した。特にブレーキングゾーンの造りがオーバーテイクを難しくしていると指摘し、設計側は追い抜きを可能にするレイアウトについて「学ぶ必要がある」と苦言を呈した。

    レッドブル・レーシングのフェルスタッペンは予選で3番手を獲得したものの、決勝を前に最大の問題として挙げたのがオーバーテイクの難しさだった。

    たとえ前を走るマシンより速いペースがあったとしても、コース上で順位を上げることは容易ではないとの見方を示していた。「速くても抜けない」
    決勝でポールポジションのランド・ノリスや2番手のアンドレア・キミ・アントネッリに挑戦できるかと質問されたフェルスタッペンは、厳しい見通しを語った。

    「難しいと思う。仮にベストケースで自分たちの方が速かったとしても、抜けない。抜けるコーナーがないからね」

    そのため、前を走るドライバーのタイヤデグラデーションや戦略によってチャンスが生まれることを期待するしかないという。

    「前のドライバーがかなり激しくデグラデーションすることに頼る必要がある。ロングランは全員かなり厳しくて、デグラデーションも大きかった。それが重要なポイントになると思う」

    「でも、それでもどのコーナーで抜けばいいのかを見つけないといけない」

    ブレーキングゾーンの設計に苦言
    フェルスタッペンは単に「抜きにくい」と感想を述べるだけでなく、その原因がマドリンクのコーナーとブレーキングゾーンの造りにあると具体的に指摘した。

    「コーナーについては、前にも言ったように抜けない」

    「いくつかのブレーキングゾーンでは、ブレーキングしながらステアリングを切らなければならないような形にしてはいけないということを、彼らは学ぶ必要がある。それでは、どんなオーバーテイクもできなくなる」

    フェルスタッペンが問題視しているのは、マシンを直線状態で強く減速して横に並ぶことができるブレーキングゾーンではなく、減速と同時にコーナリングを始めなければならない場所が存在することだ。

    こうしたレイアウトでは、後続車がブレーキングで横に並ぶ余地を作りにくく、ペース差があってもオーバーテイクにつなげることが難しくなる。

    「スペースがない」は理由にならない
    さらにフェルスタッペンは、都市型サーキットでは利用できる土地やスペースに制約があるという一般的な説明にも納得していない。

    「コース設計という点では、もっと良くできると思う」

    「将来的には、コース設計にドライバーからの意見を取り入れることも大きな助けになると思う」

    そして、設計上の制約についてこう続けた。

    「彼らはいつも『でもスペースがない』と言ってくるだろう。でも、それはナンセンスだ」

    「サーキットには、オーバーテイクの機会を作る方法が必ずある」

    フェルスタッペンの主張は、単純にマドリンクを高速化したり難しくしたりすることではなく、F1マシンが実際にバトルできることを前提としてコーナーやブレーキングゾーンを設計すべきだというものだ。

    ドライバーをコース設計に関与させるべき
    そのためフェルスタッペンは、今後新たなF1サーキットを造る際には、実際にマシンを走らせるドライバーの意見をより積極的に取り入れるべきだと訴えた。

    現在のF1マシンは高いダウンフォースを発生する一方、前車に接近した際の挙動やエネルギーマネジメントなど、実際にレースをするうえで特有の要素がある。

    フェルスタッペンは、そうした特徴を理解しているドライバーが設計段階から意見を出すことで、よりオーバーテイクにつながるコースを造ることができると考えている。

    マドリンクについても、コースそのものを否定しているわけではない。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    路面とイベント運営は高評価
    フェルスタッペンは新設されたマドリンクの路面グリップについては好印象を持っている。

    「グリップは好きだ。舗装についてはいい仕事をしたと思う。新しいコースなのに、すでに少しバンピーすぎる場所はあるけどね」

    また、初開催までの準備やイベント運営についても評価した。

    「イベントそのものはすごくクールだ。彼らは素晴らしい仕事をしたと思う」

    「コースをこれだけ早く使える状態にしたこともそうだし、シミュレーターのために共有された情報についても、とてもよかったと思う」

    一方で、レースの質という観点では改善の余地があるとの考えは変わらない。

    「でも、よりいいレースやオーバーテイクを望むなら、変更できるコーナーはいくつかあると思う」

    ラ・モニュメンタルにも改善案
    マドリンクを象徴するバンクコーナー、ラ・モニュメンタル(La Monumental)についても、フェルスタッペンは自身なら異なる形にしたと語っている。

    「バンク自体はクールだけど、逆にした方がよかったと思う。最初をもっとバンクさせて、そこから徐々にフラットにしていく感じだね」

    F1マシンでは大きなダウンフォースがあることに加え、ラップ終盤にはバッテリーのエネルギーも減少するため、ドライバーにとって見た目ほど大きな挑戦にはなっていないという。

    「全開で行きたかったけど、バッテリーがなくなる。だから、よりいいデプロイメントにするためにリフトする。それが僕のラ・モニュメンタル体験だよ」

    「F1マシンにはものすごいダウンフォースがある。他のカテゴリーの方が難しいと思う」

    初開催のマドリンクについて、イベントそのものや路面を評価しながらも、フェルスタッペンはF1のレースを成立させるという観点からコース設計に明確な改善を要求した。特にブレーキングしながらステアリング操作を必要とするレイアウトではオーバーテイクが生まれないとして、設計側にはその点を「学ぶ必要がある」と指摘。今後はドライバーの意見を設計段階から取り入れることが、よりバトルのできるF1サーキットを造るために重要だと訴えた。

  • 角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

    角田裕毅の速さを巡りラッセルがフェルスタッペンに異論「ドライバーは今も重要」

    角田裕毅が2026年型F1マシンに乗り換えてすぐに競争力を示したことを巡り、ジョージ・ラッセルがマックス・フェルスタッペンとは異なる見解を示した。フェルスタッペンは角田裕毅やリアム・ローソンの即適応を、現行マシンではドライバーが生み出せる差が小さくなったことの一例として挙げている。

    一方、ラッセルはドライバーの重要性そのものが低下したとは考えていない。

    2026年のF1ではマシンに求められるドライビングが変化しており、それぞれの適応度によってドライバー間の力関係が大きく変わっているとの見方を示した。

    角田裕毅の即適応をフェルスタッペンが2026年F1の特徴として指摘
    フェルスタッペンは最近、2026年型F1マシンについて、ドライバーの操作に対する反応が以前より「鈍感(numb)」になっているとの考えを明らかにした。

    その具体例として名前を挙げたのが、角田裕毅とリアム・ローソンだった。

    角田裕毅は2026年シーズンをレッドブル・レーシングのリザーブドライバーとして迎えたが、夏休み中に左手首を負傷したアイザック・ハジャーの欠場に伴うドライバー変更を受け、F1オランダGPからレーシングブルズのVCARB 03で実戦に復帰した。

    そして復帰2戦目となったF1イタリアGPでは10位でフィニッシュ。今季初ポイントを獲得し、短期間で2026年型マシンに適応してみせた。

    同じタイミングでレーシングブルズからレッドブル・レーシングに移ったローソンも、RB22ですぐに速さを発揮。F1オランダGPの予選ではフェルスタッペンとの差をわずか0.115秒に抑えた。

    フェルスタッペンは、この2人のパフォーマンスについて次のように語っている。

    「角田を見てみればいい。彼はマシンに飛び乗った。それまで一度もそのマシンを運転したことがなかったのに、すぐ競争力を発揮した」

    「リアムもレーシングブルズからレッドブルに移って、すぐに競争力を発揮した。こういうマシンはドライバーの入力に対して鈍感だからだ」

    もちろん、フェルスタッペンは角田裕毅やローソンの能力を否定しているわけではない。

    「もちろん、それでもいいラップを走らなければならないし、攻めなければならない。最速のドライバーは常に最終的には上に来る」

    そのうえで、現行マシンではドライバーが自らの技術によって生み出せる差が限定されているとの考えを示している。

    ラッセルは「ドライバーの重要性は低下していない」と反論
    しかし、メルセデスのラッセルは、2022年から2025年までのグラウンドエフェクト時代と比べてドライバーの重要性が低下したという見方には同意していない。

    ドライバーが結果に与える影響が以前より小さくなったと思うかと尋ねられたラッセルは、Mundo Deportivoに次のように答えた。

    「いや、そうは思わない」

    「以前と同じように、コーナーを速く走ることが常に一番重要だ」

    ただし、ラッセルも2026年型F1マシンが前世代とは大きく異なり、それによってドライバー間の力関係に変化が起きていること自体は認めている。

    「イエスでもあり、ノーでもあると思う。今シーズンは奇妙なんだ」

    その例としてラッセルが最初に挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとランド・ノリスだ。

    「ピアストリを見てみれば、昨年はチャンピオンシップ優勝に近かった。でも今シーズンはノリスから大きく遅れている」

    さらにフェラーリのシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの関係にも言及した。

    「あるいはルクレールだ。昨年は明らかにルイスより前にいて、それ以前のシーズンでも常にチームメイトより前にいた。でも今シーズンはルイス(ハミルトン)の後ろにいる」

    角田裕毅について語ったジョージ・ラッセル

    フェルスタッペンとローソンの接近も「適応」の一例
    ラッセルはさらに、フェルスタッペン自身も2026年の変化を示す例だと指摘する。

    「フェルスタッペンでさえ、ハジャーやローソンに対して以前のようなアドバンテージを築けていない」

    「ザントフォールトではローソンが彼にかなり近かったし、ハジャーもフェルスタッペンにかなり近かった」

    ただし、この現象についてラッセルが導き出した結論は、フェルスタッペンとは異なる。

    フェルスタッペンがローソンや角田裕毅の即適応を「ドライバーが差を生み出せる範囲が狭まった」ことの表れと捉えるのに対し、ラッセルは2026年型マシンが要求するドライビングそのものが変化したことを重視している。

    「このマシンが違うのは明らかだ。これは言い訳ではない。現実なんだ。だから変化しなければならない」

    ラッセルはその違いを、テニスのコートに例えて説明した。

    「僕はいつもテニスに例えている。選手が違うサーフェスでプレーするようなものだ」

    「昨年がハードコートでプレーするようなものだったとすれば、今年はクレーコートでプレーしているようなものだと言える」

    「基本的な考え方は同じだけど、物事は違う」

    角田裕毅の速さは「マシンが簡単」だからなのか
    ラッセル自身にとっては、2022年から2025年まで使用された前世代のF1マシンの方が、自身のドライビングスタイルに自然に合っていたという。

    「昨シーズン、前世代のマシンでは僕は自然に走れていた。すべてがすごく簡単に感じられた」

    2026年にはその状況が変化した。

    一方、ハミルトンはグラウンドエフェクト時代に苦しんだブレーキングやコーナー進入で以前のようなアプローチを取りやすくなり、今季は競争力を取り戻している。ピアストリとノリス、ルクレールとハミルトンの関係にも変化が生じている。

    フェルスタッペンについても、単純にドライバーの能力だけで現在の状況を説明することは難しい。レッドブルのRB22はコーナー進入から出口にかけてのバランスに課題を抱えており、フェルスタッペン自身もその特性について繰り返し言及している。

    そう考えれば、角田裕毅がレーシングブルズ復帰後すぐに一定のパフォーマンスを発揮したことも、「2026年型F1マシンは誰でも簡単に限界まで走らせられる」という一つの説明だけで片付けることはできない。

    角田裕毅とローソンが短期間で競争力を示したという現象について、フェルスタッペンはドライバー入力によって生み出せる差が小さくなったことの証拠と捉えている。一方のラッセルは、ドライバーの重要性は変わらず、2026年型マシンへの適応によってそれぞれの力関係が変化していると考えている。

    同じ事実を見ながら異なる結論にたどり着いた両者の主張は、角田裕毅の復帰後のパフォーマンスが、2026年F1でドライバーがどこまで差を生み出せるのかという議論のひとつの材料になっていることを示している。

  • マックス・フェルスタッペン F1スペインGP予選「抜けるコーナーがない」

    マックス・フェルスタッペン F1スペインGP予選「抜けるコーナーがない」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年F1スペインGPの予選で3番手を獲得。レッドブル・レーシングのマシンには改善を感じた一方、決勝については「抜けるコーナーがない」とマドリンクのレイアウトに厳しい評価を下した。

    フェルスタッペンは1分31秒964を記録し、ポールポジションのランド・ノリスから約0.1秒差の3番手。フェラーリ勢を上回って2列目を確保した。

    今季は予選トップ3に入る機会が多くなかったこともあり、結果には満足感を示している。

    「トップ3なら満足できる」
    「僕たちとしてはとても強い予選だった。トップ3という結果にはかなり満足できると思う」

    「セットアップにいくつかいい改善を加えて、マシンをいいウインドウに入れることができた。Q1からQ3まで走るたびに積み上げていけたし、ずっと上位で競争力を保つことができた」

    予選直後のインタビューでも、フェルスタッペンはマシンについて「正直、かなりまともなウインドウに入っていた」と説明した。

    「僕たちにとって予選トップ3に入れたのはいいことだ。満足できる」

    予選に向けてマシンの感触はさらに改善し、自分が望む形でコーナーを攻められるようになった。

    「予選ではマシンをかなりいい感触にすることができたし、自分が好きなようにコーナーを攻められた。だから、僕たちにとってはとてもいい結果だと思う」

    最終セクターのデプロイメントが課題
    一方で、ポール争いで最後まで残った課題がラップ終盤のエネルギーデプロイメントだった。

    「ポールにはかなり近かったけど、実際にタイムを失ったのはほぼ最終セクターだった」

    「まだ改善の余地はある。特に最終セクターだ。そこでデプロイメント戦略に少し苦しみすぎていたと思う。今後に向けて学ばなければならない部分だ」

    公式記者会見でもフェルスタッペンは、ライバルとの違いをより具体的に説明している。

    「僕たちが少し苦しんでいるのはいつも最終セクターだ。ライバルたちと同じようなデプロイメントができていないようで、それによってタイムを合わせるのがかなり難しくなる」

    それでもQ1からQ3まで大きなミスなくタイムを積み上げることができ、自身のドライビングについて大きな取りこぼしはなかったと感じている。

    「Q1からQ2、Q3までいい形で進歩できた。自分として大きく取りこぼしたものはないと思う。マシンには僕たちが分かっているいくつかの制約があって、それに最終セクターのデプロイメントも完全にはうまくできていなかった」

    Q2ではトップタイムを記録したものの、フェルスタッペンは新品タイヤを2セット使用していたため、ライバルとの単純比較はできないとした。

    「僕は2セット使った数少ないドライバーのひとりだったと思うから、公平な比較ではない」

    「速くても抜けない」
    決勝でノリスやアントネッリに挑戦できるかと聞かれると、フェルスタッペンはマドリンク最大の問題としてオーバーテイクの難しさを挙げた。

    「厳しいと思う。仮にベストケースで自分たちの方が速かったとしても、抜けない。抜けるコーナーがないからね」

    「だから、前のドライバーがかなり激しくデグラデーションすることに頼る必要がある。ロングランは全員かなり厳しくて、デグラデーションも大きかった。それが明日の重要なポイントになると思う」

    そして冗談交じりにこう付け加えた。

    「それでも、どのコーナーで抜けばいいのかを見つけないといけないけどね」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    タイヤ管理と戦略が決勝の鍵
    レッドブルも、フリー走行で確認されたタイヤの厳しさを決勝最大のポイントとして挙げている。

    「長いレースになるし、タイヤには厳しい。だから、タイヤをうまく管理して、そこから最大限を引き出すことが重要になる。そこから何ができるか見てみよう」

    フェルスタッペンはチームの公式コメントでも、タイヤライフをコントロールできるかどうかがライバルとの戦いを左右すると語った。

    「プラクティスを見れば、タイヤライフが非常に重要になることは分かっている。ライバルと戦いたければ、そこをしっかり管理しなければならない」

    「ここではオーバーテイクのチャンスがなかなかないし、抜くのは簡単ではない。だから戦略を正しく決めることが重要になる。それができれば、レースに向けていいマシンがあると思う」

    ラ・モニュメンタルは「バッテリーがなくなる」
    注目を集めているバンクコーナー、ラ・モニュメンタル(La Monumental)についても、フェルスタッペンはF1マシンでは見た目ほど難しいコーナーではないと説明した。

    「全開で行きたかったけど、バッテリーがなくなる。だから、よりいいデプロイメントにするためにリフトする。それが僕のラ・モニュメンタル体験だよ」

    「バンク自体はクールだけど、逆にした方がよかったと思う。最初をもっとバンクさせて、そこから徐々にフラットにしていく感じだね」

    「F1マシンにはものすごいダウンフォースがある。他のカテゴリーの方が難しいと思う。他のカテゴリーでは簡単に全開という感じには見えなかった」

    コース設計を批判「ドライバーの意見を取り入れるべき」
    フェルスタッペンはマドリンクの路面グリップやイベントそのものについては高く評価する一方、レースを成立させるためのレイアウトには改善が必要だと主張した。

    「グリップは好きだ。舗装はいい仕事をしたと思う。新しいコースなのに、すでに少しバンピーすぎる場所はあるけどね」

    「でも前にも言ったように、抜けない。いくつかのブレーキングゾーンでは、ブレーキングしながらステアリングを切らなければならないような形にするべきではない。それではオーバーテイクができない」

    今後のサーキット設計ではF1ドライバーからの意見をより積極的に取り入れるべきだとも訴えた。

    「将来的にはコース設計にドライバーからのインプットを取り入れることも大きな助けになると思う」

    「いつも『スペースがないから』と言われるけど、それはナンセンスだ。サーキットには必ずオーバーテイクの機会を作る方法がある」

    ただし、初開催イベントの運営面については評価している。

    「イベントそのものはすごくクールだ。彼らは素晴らしい仕事をしたと思う。コースをこれだけ早く使える状態にしたこともそうだし、シミュレーター用の情報共有もよかった」

    「でも、よりいいレースやオーバーテイクを望むなら、変更できるコーナーはいくつかあると思う」

    今季は予選トップ3が多くなかったフェルスタッペンにとって、3番手はポジティブな結果となった。レッドブルもセットアップを改善し、決勝に向けて「いいマシン」があるとの手応えを得ている。ただし、前方のノリスとアントネッリに仕掛けるには、大きなタイヤデグラデーションを管理しながら戦略でチャンスを作ることが重要になりそうだ。