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  • ミハエル・シューマッハ 衝撃のF1デビューから35年 スパで始まった伝説

    ミハエル・シューマッハ 衝撃のF1デビューから35年 スパで始まった伝説

    ミハエル・シューマッハがF1の舞台に鮮烈な第一歩を刻んでから35年。1991年8月25日のベルギーGPでジョーダンからデビューした若きドイツ人は、わずか1戦でパドックの評価を一変させ、その後7度のF1ワールドチャンピオンに輝く伝説への道を歩み始めた。

    当時、多くのファンにとってシューマッハは、巡ってきた幸運なチャンスを手にした無名に近い若手ドライバーだった。しかし、彼の走りを間近で見ていたF1関係者の受け止め方は違った。

    スパ・フランコルシャンで初めてF1の公式セッションを走った段階から、その才能が本物であることを強く印象づけていた。

    突然巡ってきたジョーダンでのF1デビュー
    シューマッハがベルギーGPでF1デビューすることになった背景には、偶然ともいえる事情があった。

    ジョーダンのレギュラードライバーだったベルトラン・ガショーが出場できなくなり、その代役として当時22歳だったシューマッハにチャンスが巡ってきた。

    当時のシューマッハはメルセデスのスポーツカープログラムで頭角を現していたものの、F1では未知数の存在だった。だが、その評価はスパで瞬く間に変わった。

    予選7番手でF1パドックに衝撃
    シューマッハは初めて迎えたF1の予選でセンセーショナルな7番手を獲得した。

    さらに注目されたのが、経験豊富なチームメイト、アンドレア・デ・チェザリスとの比較だった。シューマッハはデ・チェザリスを0.774秒も上回り、F1デビュー戦とは思えない速さを見せつけた。

    難コースとして知られるスパ・フランコルシャンで、経験のない若手がいきなりこれほどのパフォーマンスを披露したことは、F1関係者に強烈な印象を残した。

    表面的には「幸運によってF1シートを手にした若者」だったシューマッハだが、その週末を現場で見ていた人々にとって、もはや単なる代役ではなかった。

    ミハエル・シューマッハ

    決勝は数百メートルで終わるも評価は揺るがず
    一方、シューマッハのF1初レースそのものは、極めて短いものとなった。

    スタートからわずか数百メートルを走ったところでクラッチトラブルが発生。シューマッハはマシンを止め、デビュー戦は事実上スタート直後に終わった。

    しかし、その結果はほとんど重要ではなかった。

    F1の世界で彼の将来を判断する立場にあった人々にとって、シューマッハはすでに予選で十分なものを見せていたからだ。速さ、適応力、そして初めてのF1という状況に動じないパフォーマンス。そのすべてが、新たなスターの誕生を予感させるものだった。

    スパから始まった7度のF1王者への道
    そして、スパでのデビューはシューマッハの運命を大きく動かすことになる。

    ベルギーGPで示した圧倒的なインパクトをきっかけに、その才能を巡る動きは急速に進み、シューマッハはF1で本格的なキャリアを築いていくことになった。

    その後の歩みはF1史そのものとなった。シューマッハはベネトンで1994年と1995年にワールドチャンピオンを獲得。さらにフェラーリでは2000年から2004年まで5年連続でタイトルを手にし、通算7度のF1ワールドチャンピオンという金字塔を打ち立てた。

    1991年のベルギーGPで走った決勝の距離は、わずか数百メートル。それでも、その週末に残したインパクトは十分だった。

    35年前のスパ・フランコルシャンで、ミハエル・シューマッハというF1史を代表する存在の物語が始まった。

  • HRC渡辺康治社長 アロンソの2027年F1継続を熱望「ホンダにとって極めて重要」

    HRC渡辺康治社長 アロンソの2027年F1継続を熱望「ホンダにとって極めて重要」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、フェルナンド・アロンソが2027年もF1参戦を続け、アストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。「アロンソと一緒に仕事ができることは、私たちにとって極めて重要です」と語り、開発面でもその存在が大きな力になっていることを強調した。

    2026年F1オランダGPの週末、渡辺康治社長はスペイン紙『Mundo Deportivo』の独占インタビューに応じた。

    そこで語られたのはアロンソの将来だけではない。ホンダが直面しているPU開発の遅れ、スペック2投入の意味、ADUOを活用した挽回、人材不足の解消、レッドブルとのプロジェクトを経験した重要なエンジニアの復帰、エイドリアン・ニューウェイとの協力、2027年への見通し、さらには2031年以降のF1エンジン規則まで、現在と将来のホンダF1プロジェクトについて幅広く明かした。

    セナとフェルスタッペンに続く新たな挑戦
    ホンダはF1の歴史のなかで、アイルトン・セナ、そしてマックス・フェルスタッペンとともに困難な挑戦を乗り越え、大きな成功を収めてきた。現在はアストンマーティン、そしてアロンソとともに新たな挑戦に臨んでいる。

    渡辺康治社長は、そうした困難そのものがホンダを強くしてきたと説明する。

    「基本的に、一つひとつの挑戦が私たちをより強くしてきました。そして、あらゆる成功の裏には数え切れないほどの挑戦があります」

    「セナのときもそうでしたし、マックスのときもそうでした。成功は一つひとつの挑戦を乗り越えた先にやってきます。そのことを私たちの誰も疑っていません」

    現在は日本のHRC Sakura、英国のHRC UK、そしてシルバーストンに本拠を置くアストンマーティンが一体となり、競争力向上へ向けて作業を続けている。

    「HRC Sakura、HRC UK、そしてシルバーストンのアストンマーティンのメンバーが一緒になって、困難を乗り越えるために取り組んでいます」

    「私たちはまさに挑戦の真っただ中にいます。そして、成功へ向かっているところです」

    ホンダ新PU「何をすべきなのかは分かっています」
    アロンソはホンダが現在抱えている問題を解決し、トップレベルのPUを作り上げることについて「時間の問題」だとして、その技術力への信頼を公に示してきた。

    ホンダはその期待に応えるため、開発のペースを上げている。渡辺康治社長によれば、少なくとも改善すべき方向性について迷いはない。

    「私たちは今、そこへ到達するまでの時間を短くする、そのプロセスの真っただ中にいます」

    「パワーユニット、つまりエンジンと電気系について、開発で何をしなければならないのかは分かっています。ですから今は、それを実現するために取り組んでいます」

    ただし、どれほどの時間が必要なのかについては慎重だった。

    「正確にいつとは言えません(笑)」

    「では、ホンダが最高のエンジンのひとつを作れるようになるのはいつだと思うか」と改めて問われても、答えは変わらなかった。

    「これは誰に聞かれても同じ答えになります。いつになるのかは言えません」

    スペック2は「状況改善への最初の一歩」
    その一方で、オランダGPで投入した新仕様PU、いわゆるスペック2は、ホンダにとって重要な転換点になる。

    2026年序盤から苦戦してきたホンダにとって、このアップデートは単純な性能向上だけを意味するものではない。今後トップレベルへ近づいていくための開発の出発点でもある。

    「もちろんです。今回のスペック2は、状況を改善するための最初の一歩です」

    「そして、毎年少しずつ近づいていきます。私たちの目標は勝つことです」

    ホンダはザントフォールト投入の新PUで、燃焼室やプレチャンバー、潤滑システムなどICE内部を中心に手を入れ、性能だけでなく信頼性の改善にも取り組んでいる。

    開発開始の遅れ「追いつくのは簡単ではありません」
    渡辺康治社長は、2026年シーズン序盤にホンダが厳しい状況に陥った背景についても率直に認めた。

    大きな要因のひとつは、新しいF1パワーユニットの開発開始がライバルより遅かったことだ。

    「私たちは開発を始めたのが非常に遅かったので、その遅れを取り戻す必要があります」

    しかし、現在のF1では単純に資金や人員を大量投入すれば追いつけるわけではない。

    「遅れを取り戻すのは簡単ではありません。予算制限がありますし、それ以外にもさまざまな制約があります」

    そこで重要になるのが、メーカー間の性能差に応じて追加開発機会を認めるADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)だ。

    「もちろん、ADUOのレギュレーションを活用しながら開発を加速させて、近づいていかなければなりません」

    人材不足は解消「今はもう問題ありません」
    ホンダのF1復帰プロジェクトでは、PUそのものだけでなく、開発を担う人材の確保も大きな課題だった。

    だが、渡辺康治社長によれば、その問題については状況が変わったという。

    「はい、以前は問題がありました。しかし、今はもう問題ではありません」

    「人数という意味でも、能力という意味でも、十分なエンジニアを採用することができました。ですから、今は大丈夫です」

    HRCのF1プロジェクトでは新たな人材を増強すると同時に、過去にレッドブルとのプロジェクトに携わった経験者も戻ってきている。

    レッドブル時代の重要エンジニアがF1プロジェクトに復帰
    レッドブルとのパートナーシップ時代にホンダはF1タイトルを獲得し、そのプロジェクトには多くの経験豊富な技術者が携わっていた。

    渡辺康治社長は、当時の人材が現在のアストンマーティンとのF1プロジェクトに戻ってきていることを認めた。

    「はい、そうです」

    ただし、当時のスタッフ全員が戻ったわけではない。

    「全員ではありません。ただ、当時そこで仕事をしていた重要な人たちはF1プロジェクトに戻ってきています」

    HRCの新太郎・折原エンジニアも、レッドブルとのプロジェクト経験者が復帰し、新たに加わった人材も2026年のテストや実戦を通して経験を積んでいると説明しており、ホンダは2027年から2028年に向けた開発体制に自信を深めている。

    「私たちは完全に準備できています」
    人材面の立て直しを終えたことで、ホンダは成功へ向けて必要な体制が整ったと考えている。

    「もちろんです。私たちは完全に準備できています」

    ただし、準備が整ったことと、すぐにライバルへ追いつけることは別問題だ。

    「すべてのチームが毎日進化しています」

    「追いつくということは、相手よりも速いペースで進化しなければならないということです。それは簡単なことではありません」

    トップメーカーも開発を止めることはない。現在あるギャップを縮めるには、ホンダ自身がライバルを上回る開発速度を維持する必要があるという認識だ。

    2027年「今よりはるかに上にいるはずです」
    アストンマーティンではニューウェイ主導によるシャシー開発も進み、2026年シーズン途中からマシンの競争力に改善が見え始めている。

    では、PU側のホンダは2027年をどのように見ているのか。

    渡辺康治社長はまず、インタビューが行われたオランダGPで投入した新PUを確実に機能させることが先決だとした。

    「まずは今日、そしてこの日曜日に集中するべきだと思っています。このザントフォールトでのレースはかなり重要ですから」

    そのうえで、今後については明確な期待を示した。

    「その後、一歩ずつトップチームに近づいていきます」

    「ですから来年は、もちろん現在の状況と比べれば、はるかに、はるかに上のところにいるはずです」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソによるホンダ擁護「私たちにとって非常に重要でした」
    ホンダが苦しい状況に置かれてきたなか、アロンソはメディアに対して繰り返しホンダへの信頼を表明してきた。

    渡辺康治社長は、その姿勢がホンダにとって非常に大きな意味を持っていたと明かした。

    「ホンダにとって、それは非常に重要でした」

    「アロンソは素晴らしいドライバーです。そして、彼と一緒に仕事ができることは、私たちにとって極めて重要です」

    ホンダが高く評価しているのはアロンソの速さや経験だけではない。PUを含めたマシンの挙動を分析し、それを技術陣へ正確に伝える能力も重要視している。

    「彼のクルマについてのコメントは非常に正確です」

    「そして、そのコメントが本当に私たちの開発を前に進める助けになっています」

    実際、アロンソはシーズン前半からPUのドライバビリティやエネルギー供給、シフト操作などについて細かなフィードバックを行い、ホンダ側もそのデータを新仕様PUの最適化につなげてきた。

    ホンダはアロンソの2027年F1継続を熱望
    そのアロンソは、2027年もF1ドライバーとして参戦を続けるかどうかをまだ決めていない。

    アストンマーティン側もアロンソの判断を待っている状況だが、ホンダの希望は明確だ。

    「はい、もちろんです。私たちはアロンソと一緒に仕事を続けたいと思っています」

    渡辺康治社長は、アロンソが持つ並外れた情熱についても強調した。

    「これほど素晴らしい情熱を持ったドライバーと一緒に挑戦できることは、ホンダにとって非常に、非常に重要です」

    そして、現在の競争力がホンダの求める水準ではないことも認めながら、その状況をアロンソとともに変えていきたいと語った。

    「今はまだ私たちが望んでいるポジションにはいません」

    「しかし、アロンソと一緒に、F1のトップチームのひとつになることが私たちの目標です」

    「2027年も続けてくれることを期待しています」
    さらに「アロンソは2027年も続けると思うか」と問われると、渡辺康治社長は率直に希望を口にした。

    「はい、そう願っています。彼が続けてくれることを期待しています」

    アロンソとホンダがともに勝利を手にした場合、それがどのような意味を持つのかという質問への答えも明快だった。

    「私たちは歴史を作ることになります」

    「アロンソにとっての歴史ですし、ホンダにとっての歴史にもなります」

    アロンソは2027年の去就について、自身がF1マシンを運転していて競争力や楽しさを感じられるかなどを判断材料にするとしており、ドライバーを続けるかどうかは本人の決断に委ねられている。

    ニューウェイとの連携「非常に緊密に仕事をしています」
    アストンマーティン・ホンダのもうひとつの重要な存在がニューウェイだ。

    ニューウェイとの協力によってチームはさらに強くなるのかと問われた渡辺康治社長は、これまで語ってきた「挑戦によって強くなる」というホンダの考え方を改めて示した。

    「チームをもっと強くできると思います」

    「先ほども申し上げたように、一つひとつの挑戦が私たちをより強くしてきました。そして間違いなく、エイドリアンとチームと一緒に、私たちはさらに強くなっています」

    ニューウェイとの実際の仕事についても、良好な関係を築けているという。

    「私たちは非常に緊密に、そして非常にうまく一緒に仕事をしています」

    新規則 新パートナー 新燃料「最初からひとつのチームになるのは簡単ではない」
    ただし、アストンマーティンとホンダが最初から完全にひとつの組織として機能できたわけではない。

    2026年にはF1の技術規則が大きく変わり、ホンダにとってアストンマーティンは新たなパートナーとなった。さらに新しい燃料への対応も必要だった。

    「もちろん、現在の新しいレギュレーション、新しいパートナー、そして新しい燃料があります」

    「そういう状況ですから、最初からひとつのチームになるのは簡単ではありません」

    実際、シーズン序盤は両者にとって非常に厳しいスタートとなった。しかし、その困難が逆にコミュニケーションを深めるきっかけにもなったという。

    「非常に難しいスタートになりましたので、そうした状況を乗り越えるために、私たちは非常に緊密で、深い話し合いを続けてきました」

    「その結果、私たちのコミュニケーションはずっと良くなりました」

    アロンソとF1王座獲得「そのためにこのプロジェクトにいるのです」
    渡辺康治社長は、現在の厳しい状況だけを見ているわけではない。

    その先には、アストンマーティン、ホンダ、そしてアロンソによるF1ワールドチャンピオン獲得という大きな目標がある。

    「もちろん夢見ています」

    「そのために私たちはこのプロジェクトを開発していますし、アストンマーティン、そしてアロンソとのパートナーシップを築いたのです」

    「なぜそう思わないのでしょうか?」

    では、アストンマーティンとアロンソとともに勝てると100%確信しているのか。

    渡辺康治社長は、結果そのものを保証することはできないとしながらも、目標については一切の曖昧さを残さなかった。

    「100%保証できる人は誰もいません」

    「ただ、私たちの目標が勝つことであることは100%確かです」

    ホンダ・レーシング

    2031年V8案「F1の技術は最先端で持続可能であるべき」
    インタビューでは、2031年以降のF1パワーユニット規則についても質問が及んだ。

    議論されているV8エンジン復活の可能性について、渡辺康治社長はまず正式な提案が届いていないことを強調した。

    「あなたはどう思いますか?(笑)」

    「非常にシンプルです。まず、私はまだFIAから正式な提案を何も受け取っていません」

    「もちろんニュースは読んでいます。ただ、その段階ですので、今は明確な回答をすることはできません」

    一方で、将来のPU規則を考えるうえでホンダが重視する基本的な考え方については説明した。

    「F1は世界最高峰のモータースポーツカテゴリーです」

    「ですから、私たちはF1の技術は最先端であるべきだと考えていますし、持続可能でなければならないとも考えています。それは重要なことです」

    ただし、V8を含めた将来のPUコンセプトそのものを拒絶しているわけではない。

    「ただ、そのようなパワーユニットをどのように実現していくのかについて議論することには、私たちは完全にオープンです」

    「まず競争力を取り戻し その先のさらに大きなものを目指します」
    最後に渡辺康治社長は、現在の厳しい状況でもホンダ、アストンマーティン、アロンソを応援するファンに向けてメッセージを送った。

    「これはとても重要なことです」

    「皆さんの応援が私たちに力を与えてくれています。ですから、スペインのファンの皆さんのサポートと声援に感謝しています」

    そして、現在地を率直に認めたうえで、ホンダが進もうとしている道筋を示した。

    「今は明らかに、私たちが望んでいるポジションにはいません」

    「しかし、まずはもう一度戦えるところまで戻り、競争力のある状態を取り戻します」

    「そしてその後も、さらに大きなものを目指して取り組み続けます」

    ホンダは2026年の苦戦を一時的な失敗として片づけるのではなく、開発開始の遅れや人材面の問題を認めたうえで立て直しを進めている。スペック2はその「最初の一歩」であり、ADUOによる追加開発、人員増強、レッドブル時代の経験者の復帰、アストンマーティンやニューウェイとの連携強化を通じて、2027年には「はるかに上」の位置を目指す。

    そして、その挑戦の中心にホンダが残ってほしいと願っているのがアロンソだ。正確なフィードバックと豊富な経験、そして渡辺康治社長が繰り返し強調する「並外れた情熱」を持つアロンソとともにトップへ戻り、勝利し、最終的にはF1タイトルを獲得する。それが現在のアストンマーティン・ホンダが描く将来像であり、渡辺康治社長はその実現によって「アロンソにとっても、ホンダにとっても歴史を作る」ことを目指している。

  • リアム・ローソン レッドブルF1の“不文律”破りフェルスタッペンに真っ向勝負

    リアム・ローソン レッドブルF1の“不文律”破りフェルスタッペンに真っ向勝負

    リアム・ローソンは、F1オランダGPの決勝スタート直後にチームメイトのマックス・フェルスタッペンへ果敢に仕掛けた。その姿勢について、元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは「最大限の敬意」を示している。

    アイザック・ハジャーの負傷によりレッドブル・レーシングから1戦限りで出場したローソンは、4列目でフェルスタッペンのひとつ後方からスタート。

    序盤から4度のF1ワールドチャンピオンに対して遠慮することなく勝負を挑み、レッドブル内にあるとされる“不文律”を意に介さないような走りを見せた。

    ローソンがフェルスタッペンに真っ向勝負
    スタート直後、フェルスタッペンはルイス・ハミルトンとの接触によって2輪を芝生に落とし、ローソンはその隙を突いて接近した。

    ローソンはターン3でフェルスタッペンのアウト側にマシンを並べ、大胆なオーバーテイクを試みた。しかし、フェルスタッペンも簡単にはポジションを譲らず、ローソンの進路を封じた。

    レッドブルではフェルスタッペンが明確なエースとして位置づけられており、チームメイトが必要以上に激しくレースを仕掛けないという“不文律”があるとみられている。それでも、ローソンは1戦限りのチームメイトを相手に躊躇しなかった。

    F1TVで解説を務めたジョリオン・パーマーは、その場面を見ながらローソンらしい積極性を称賛した。

    「ローソンがチャンスを狙っている。なんてことだ、ターン3のアウト側からマックス・フェルスタッペンを抜こうとしている! 無理だ!」

    「ローソンには最大限の敬意を払うよ。彼は仕掛けることを決してためらわないよね。その日だけのチームメイトに対して大技が決まるか試していた。まあ、長くは続かなかったけどね」

    フェルスタッペンはその後、オープニングラップ終盤にクラッシュしてリタイア。結果としてローソンがレッドブルの上位フィニッシュへの期待を背負うことになった。

    リアム・ローソン vs マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    クルサード「自分の役割を思い出した」
    一方、元F1ドライバーのデビッド・クルサードは、ローソンが最終的にはフェルスタッペンとの直接対決から引いたことに注目した。

    チャンネル4のハイライト番組でクルサードは、ローソンが途中で自分がレッドブルに1戦限りで起用された立場であることを思い出したように見えたと語った。

    「彼は1戦限りのチャンスだということを忘れているね。フェルスタッペンと少し接触して、それから『ああ、チームメイトだった。ちゃんと後ろについていかないと』という感じになった」

    ローソンにとって今回のオランダGPは、単なる代役参戦以上の意味を持つ一戦だった。ハジャーの負傷によって巡ってきた機会は、今後のレッドブルでの立場を再びアピールする重要なチャンスでもあった。

    それだけに、チームの絶対的エースであるフェルスタッペンとの接触によって両者がレースを失うような事態は避ける必要があった。

    チャンドック「フェルスタッペンが誰がボスか示した」
    Sky Sports F1の解説者カルン・チャンドックも、ターン3での攻防を分析。フェルスタッペンがローソンに対し、レッドブルでの力関係を明確に示した場面だったと指摘した。

    「最初のコーナーを立ち上がるところでは、接触する寸前まで近づいていた。そして次のいくつかのコーナーでもリアムは彼についていった。ターン3ではアウト側から仕掛けようとしている」

    「そこでフェルスタッペンは『いやいや、僕が示してやる』という感じで、少しステアリングを開いた。接触したとき、彼はリアム・ローソンに対して、このチームのボスが誰なのかをかなり明確に示した」

    それでもローソンはすぐには諦めず、可能性を探り続けたという。

    「リアムはそのまま勝負しようとしたけど、最終的には『分かった。ここではリスクを取り除いて後ろにいよう』と判断したんだ」

    1戦限りの代役で7位フィニッシュ
    フェルスタッペンとの本格的な接触事故は、ローソンにとって最悪の結果になりかねなかった。ハジャーの負傷によって突然巡ってきたレッドブル復帰の機会は、自身の将来を左右する重要なアピールの場でもあったからだ。

    それでもローソンはスタート直後から守りに入ることなく、フェルスタッペンを相手にオーバーテイクを狙った。パーマーが評価したのも、まさにその攻撃的な姿勢だった。

    最終的にローソンは7位でフィニッシュ。急きょ決まった1戦限りのレッドブル復帰でポイントを獲得し、フェルスタッペンにも臆することなく仕掛ける積極性と、必要な場面ではリスクを抑える判断力の両方を示す週末となった。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1への無線発言を謝罪「最高の自分ではなかった」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1への無線発言を謝罪「最高の自分ではなかった」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1オランダGPでフェラーリの戦略をめぐって口にしたチーム無線やテレビインタビューでの発言について公に謝罪した。「あれは最高の自分ではなかった」と振り返り、自らの言動に責任を取る姿勢を示している。

    ザントフォールトで4位に終わったハミルトンは、レース中にフェラーリの判断の遅さに苛立ちをあらわにしていた。

    しかし、レース後に自身の発言を聞き返したことで考えを改め、「次はもっといい自分でいるよ」と誓った。

    フェラーリの戦略判断に無線で苛立ち
    オランダGPでハミルトンの不満が表面化したのは、前を走るチームメイトのシャルル・ルクレールとのポジションをめぐる判断だった。

    ハミルトンは異なる戦略を採っており、その前方にはメルセデスのジョージ・ラッセルがいた。ハミルトンはルクレールの前に出てラッセルを追うことを望んだが、フェラーリはすぐには決断しなかった。

    その際、ハミルトンは無線で皮肉を込めて「時間を無駄にする素晴らしい方法だね。みんな、よくやったよ」と発言した。

    最終的に4位でフィニッシュした後も不満は収まらず、無線で「僕たちは不運だったわけじゃない」と語り、フェラーリの決断の遅れについて「それで3位を失った」と主張した。

    レース後にはF1公式サイトに対し、勝利への強い思いを口にしていた。

    「僕は勝ちたい。勝つためにここにいる」

    「前を見ていて、メルセデスの2人が指示を受けたら、それがすぐに実行されるのを見るのは難しいよ」

    「彼らはキミを前に出して、そのままレースをさせた。僕は違う戦略だったし、ここでは同じようにはいかなかった」

    メルセデスはレース終盤、ラッセルにキミ・アントネッリを先行させるよう指示し、ポジションを速やかに入れ替えていた。ハミルトンは、それとフェラーリの対応を対比させていた。

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    「あれは最高の自分ではなかった」
    しかし、レースを終えて時間が経ったことで、ハミルトンは自身の言動を改めて振り返った。

    ハミルトンはInstagramを更新し、厳しい週末だったと認めながらも、まずはフェラーリのスタッフへの感謝を記した。

    「厳しい週末だったけど、チームにとって貴重なポイントを持ち帰ることができたし、僕たちが正しい方向に進んでいる手応えもあった」

    「ファクトリーでアップデートを投入し続け、パフォーマンスを引き出し、僕たちを前進させるために努力してくれているみんなを心から誇りに思っている」

    「サーキットにいるチームのみんなにも感謝している。その献身と努力を当たり前だと思ったことはない。特に1周のパフォーマンスではまだやるべきことがあるけど、これからも取り組み続け、学び、一緒に改善していく」

    そのうえで、オランダGPでの自身の無線やテレビでの発言について触れた。

    「自分の無線やテレビでのコメントをいくつか聞き返した。ああいう瞬間はフラストレーションが出てしまうこともある。特に僕はそれだけ強い思いを持っているからね」

    「でも、あれは最高の自分ではなかった。その責任は僕にある。次はもっといい自分でいるよ」

    フェラーリへの信頼を強調「僕たちはこれからだ」
    ハミルトンは、自身がそこまで感情をあらわにした背景には、フェラーリへの強い信頼があることも強調した。

    「それだけ熱くなるのは、このチームと、ここにいるみんな、そして僕たちが一緒に築いているものを信じているからだ」

    「進むべき方向は明確だ。信じる気持ちもある。そして戦いは間違いなくまだ続いている」

    「僕たちを、そして僕を支え続けてくれてありがとう。これからも築き続け、プッシュし続け、戦い続ける」

    「僕たちはこれからだ」

    ハミルトンはオランダGPを4位で終え、ドライバーズランキングでは3位に後退。ランキング首位のキミ・アントネッリとの差は59ポイントとなった。

    フェラーリの戦略判断に対してレース直後は厳しい言葉を並べたハミルトンだが、冷静になった後には自らの発言を聞き返し、その責任を認めた。一方で勝利への強い意欲とフェラーリへの信頼は変わっておらず、今回の謝罪でもチームとともに巻き返す意思を明確にしている。

  • Netflix『Drive to Survive』シーズン9制作決定 2026年F1の舞台裏に密着

    Netflix『Drive to Survive』シーズン9制作決定 2026年F1の舞台裏に密着

    Netflixは、F1の舞台裏に迫るドキュメンタリーシリーズ『Formula 1: 栄光のグランプリ(Formula 1: Drive to Survive)』のシーズン9を制作することを正式に発表した。2019年の配信開始から世界的なヒット作となったシリーズが、2026年のF1世界選手権を題材に再びパドックの内側を描く。

    シーズン9では、史上最年少でF1選手権リーダーとなったキミ・アントネッリの台頭をはじめ、開発競争によって勢力図が変化してきた2026年シーズンのさまざまなストーリーが取り上げられる。

    制作陣は「これまで以上に深く」F1の知られざる領域に踏み込むとしている。

    Netflixがシーズン9を正式発表
    『Formula 1: Drive to Survive』は2019年にNetflixで配信がスタート。F1のレースそのものだけでなく、チーム内部の人間関係やドライバーの葛藤、契約交渉、チーム間の争いなど、通常のグランプリ中継では見ることのできない舞台裏を描いてきた。

    8シーズンにわたって制作されてきた同シリーズについて、Netflixはシーズン9への継続を正式に決定。2026年のF1世界選手権を追った新シリーズが制作されることになった。

    2026年シーズンもすでに数多くのドラマが生まれている。なかでも大きなテーマのひとつとなるのが、キミ・アントネッリの躍進だ。若きメルセデスF1ドライバーは史上最年少で選手権リーダーとなり、タイトル争いの中心人物へと成長した。

    また、シーズンを通じたマシン開発競争によって各チームの力関係も変化。シーズン後半に向けても勢力図が動く可能性があり、そうした表舞台の戦いと、その裏側で繰り広げられるチームの決断がシーズン9の題材となる。

    制作陣「これまで以上に深くF1の隠された場所へ」
    番組を制作するBox to Box Filmsのエグゼクティブプロデューサー、ジェームズ・ゲイ=リースとポール・マーティンは、シーズン9の制作決定について期待を語った。

    「この象徴的な番組のシーズン9を制作できることに、とても興奮している」

    「今年は、この素晴らしいスポーツの隠された場所へ、これまで以上に深く踏み込んでいく」

    『Drive to Survive』は、チーム代表やドライバーへの密着取材を通じ、レース結果だけでは見えてこないF1の人間ドラマを映し出してきた。制作陣の発言からは、シーズン9ではさらにチーム内部へ踏み込んだ内容になることがうかがえる。

    世界的ヒット作となった『Drive to Survive』
    『Formula 1: Drive to Survive』は、F1とNetflixが協力して制作するドキュメンタリーシリーズとして2019年にスタートした。

    各シーズンのF1世界選手権を振り返りながら、コース上でのバトルだけでなく、チーム内部での競争やプレッシャー、ドライバー同士の関係、シートを巡る争いなどに焦点を当てる構成が特徴となっている。

    これまでの8シーズンを通じて世界的な人気を獲得し、従来F1との接点が少なかった層にもグランプリの世界を広げる作品となった。

    シーズン9のNetflixでの配信時期については現時点で明らかにされていない。2026年のF1世界選手権はまだ後半戦を残しており、今後起こる出来事も含めて新シーズンが構成されることになる。

    タイトル争い、各チームの開発競争、ドライバー市場、そしてパドック内部で下されるさまざまな決断。シーズン9では、激動の2026年F1シーズンがコース上とは異なる視点から描き出されることになりそうだ。

  • アストンマーティンF1幹部 ホンダ新PU投入も「結果はストレートの長さ次第」

    アストンマーティンF1幹部 ホンダ新PU投入も「結果はストレートの長さ次第」

    アストンマーティンF1は、F1オランダGPでホンダの新スペック・パワーユニット(PU)を投入し、フェルナンド・アロンソが9位に入って2ポイントを獲得した。しかし、チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックは、今後の成績について「結果は各サーキットのストレートの長さに左右される」と認めた。

    数カ月にわたって開発されてきたホンダの新PUは、アストンマーティンにとって後半戦の巻き返しに向けた重要なアップデートだった。

    一方、ザントフォールトではドライバビリティなどの問題も浮上。クラックの発言からも、ストレート性能が依然として今後の競争力を左右する大きな要素であることがうかがえる。

    新PU投入も残ったストレート性能への懸念
    F1オランダGPは、アストンマーティンとホンダにとって大きな転換点になることが期待されていた。

    ホンダは数カ月にわたって開発を進めてきた新スペックPUをザントフォールトで投入。アストンマーティン側でもエイドリアン・ニューウェイを中心にAMR26の改善が進められ、シャシーとPUの両面から競争力を引き上げることが狙いだった。

    決勝ではアロンソが2ストップ戦略を機能させて9位でフィニッシュ。今季2度目のポイント獲得を果たし、ニューウェイもアロンソの走りを高く評価した。

    しかし、新PUの投入によってすべての問題が解決したわけではない。

    決勝後、スペインの『AS』などの取材に応じたクラックは、アストンマーティンの今後の競争力について次のように語った。

    「我々は予選よりもレースの方がわずかに強い。ただ、結果は各サーキットのストレートの長さに左右されることになる」

    「厳しいレースが待っているが、このパッケージについてはこれからますます理解を深めていくことができる。パワーユニットについても同じだ」

    クラックはホンダPUのパワー不足を直接指摘しているわけではない。それでも、アストンマーティンが今季を通じてストレートスピードに苦しんできたなか、新PU投入後も「ストレートの長さ」が結果を左右すると語ったことは注目に値する。

    ホンダの新スペックPUには、これまでの弱点を改善することも期待されていた。しかし、少なくともザントフォールトでの初戦を終えた段階では、ストレートの長いサーキットほど厳しくなるという構図を完全に覆すまでには至っていないことが、クラックの発言からうかがえる。

    ホンダ新PUでドライバビリティの問題が再浮上
    ストレート性能だけでなく、新PUではドライバビリティにも改善すべき部分が残された。

    アロンソとランス・ストロールは予選後、エンジンブレーキやパワーデリバリーの一貫性について問題を訴えている。

    特にエンジンブレーキの挙動はドライバーにとって予測しづらく、コーナー進入時のマシンコントロールにも影響した。ストロールはその状態を「宝くじ」と表現するほどだった。

    新スペックPUでは特性が変化したため、それまで旧仕様で積み重ねてきた制御やマッピングについても、新たな仕様に合わせて最適化を進める必要がある。

    マイク・クラック(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ホンダHRC折原伸太郎「ドライバビリティには改善の余地」
    ホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイド・エンジニアリング責任者を務める折原伸太郎も、決勝後、新PUのドライバビリティには改善の余地が残されていることを認めた。

    「ドライバビリティには改善の余地があり、それが今後のレースでも引き続き我々が重点的に取り組む部分です。今回の第2仕様を投入するために必要だった作業量を考えれば、2ポイントを獲得できたのは良い結果です」

    「レース終盤では、ガスリーに対するアドバンテージを維持することに集中し、そのためにエネルギーマネジメントを最適化しました。良い結果ですし、これからの改善に集中しています」

    アロンソは終盤、背後から迫るピエール・ガスリーを抑えて9位を守り切った。ホンダ側もエネルギーマネジメントを最適化しながら、そのポジションを維持することに注力していた。

    新PUの初戦で2ポイントを持ち帰ったことは成果である一方、ホンダ自身もさらなる改善が必要であることを認識している。

    アロンソ「振り出しに戻った」
    アロンソは決勝後、新スペックPUへの変更によって、それまで旧仕様で改善してきた問題の一部が再び表面化したとの見方を示した。

    シーズンを通じてアストンマーティンとホンダはPUの問題への対応を続け、旧仕様では徐々に改善を進めてきた。しかし、大きく仕様を変更したことで、ドライバビリティなどを新たなPUに合わせて再び最適化する必要が生じている。

    アロンソはこの状況について「振り出しに戻った」と表現した。

    新PUそのものを否定しているわけではない。新しい仕様から最大限の性能を引き出すため、エンジンブレーキやパワーデリバリーを含めた制御を改めて煮詰めていく必要があるということだ。

    クラックが「このパッケージについてはこれからますます理解を深めていくことができる」とし、「パワーユニットについても同じだ」と語ったことも、その最適化がまだ途上にあることを物語っている。

    ストレートの長いサーキットで問われる新PUの真価
    ザントフォールトでの9位は、アストンマーティンとホンダにとって一定の成果となった。シャシー面でもニューウェイによる改善が進み、アロンソはそれをポイントという結果につなげた。

    一方で、「結果は各サーキットのストレートの長さに左右される」というクラックの言葉は、新PU投入後のアストンマーティンが置かれている状況を端的に表している。

    ストレートの比重が大きくなれば、PUのパワーやエネルギーマネジメントがラップタイムに与える影響も大きくなる。そこに今回浮上したドライバビリティの改善も加わるため、ホンダには新スペックをさらに煮詰めていく作業が求められる。

    オランダGPはホンダ新PUの最初の実戦にすぎない。アロンソの9位という結果を足掛かりに、ホンダとアストンマーティンが新しいパッケージへの理解をどこまで深められるか。今後のF1では、特にストレートの長いサーキットでその進化が試されることになる。

  • フランコ・コラピントのスポンサー FIAを痛烈批判「F1の健全性を壊している」

    フランコ・コラピントのスポンサー FIAを痛烈批判「F1の健全性を壊している」

    アルピーヌF1のフランコ・コラピントが2026年F1オランダGPで2度のペナルティを科されたことを受け、主要スポンサーであるメルカド・リブレの幹部がFIAスチュワードを痛烈に批判した。

    メルカド・リブレの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるショーン・サマーズは、今季のスチュワードの判断がレース結果に影響を及ぼしていると主張。「FIAスチュワードはF1の健全性を壊している」とSNSで異例の強い言葉を投げかけた。

    角田裕毅への追い越しでドライブスルーペナルティ
    フランコ・コラピントはオランダGP決勝の序盤、マックス・フェルスタッペンの大クラッシュによって提示されたイエローフラッグ下で角田裕毅をオーバーテイクしたとして、ドライブスルーペナルティを科された。

    同様に、ピエール・ガスリーを追い越したアービッド・リンドラッドにもドライブスルーペナルティが科されている。

    コラピントは好スタートを決めてポイント圏内を走行していたが、この処分によって大きく後退。レース後、状況を考えれば追い越しを回避することは極めて難しかったと説明した。

    「レース全体を台無しにしたのはドライブスルーペナルティだった。すごくいいスタートを切って、ポイント圏内にいた。難しい状況だったと思う」

    「1周目にバトルをしていて、路面は濡れていて湿っていた。バンクもあるし、マシンのパーツがあちこちに飛んでいた。あのコンディションで判断するのは難しかった」

    コラピントによれば、イエローフラッグを確認した時点ですでに角田裕毅へのオーバーテイクをほぼ完了していたという。

    「オーバーテイクを終えようとしていたときに、本当にかなり遅いタイミングでイエローフラッグが見えた。そこで急ブレーキを踏んで、ストレートの途中、バンクがあって濡れていて、みんながスピンしているような状況で再加速する方が明らかに危険だった」

    「だからすごく難しい。ルールとして書かれているのは分かるけど、もっと柔軟であるべきだと思うし、何がより安全で、何がより危険なのかを理解したうえで判断する基準も必要だと思う」

    「同じ場所で誰かが時速30kmも遅く走っていて、そのクルマを追い越している最中にイエローフラッグが出たら、できることはそれほど多くない。あれに反応するのは本当に難しい」

    フランコ・コラピント(アルピーヌF1チーム) オランダグランプリ

    「あまりにも厳しい」コラピントが判定に疑問
    コラピントは、規則違反そのものだけを見るのではなく、当時の路面状況や安全性を考慮すべきだったと主張。自身だけでなくリンドラッドに対する処分についても厳しすぎたとの見解を示した。

    「ものすごく厳しかったと思う。それが彼らの仕事なのは分かっているけど、少し柔軟になって状況を理解することも彼らの仕事だと思う」

    「特にグリップがこれほど低くて、ああいうコンディションだったときには、何がより危険なのかを考える必要がある。僕には少し厳しすぎるように感じた」

    「僕だけじゃなくリンドラッドに対してもそうだと思う。でも特にドライブスルーはレースを終わらせてしまう。それは重すぎると感じるけど、決まったことは仕方がない」

    さらにコラピントは、その後にも別のイエローフラッグ違反で10秒ペナルティを科された。この2件によってペナルティポイントも合計3点が加算され、直近12カ月の累計は4点となった。

    最終的にコラピントは、旧仕様のアルピーヌを駆って14位でレースを終えた。

    主要スポンサーがFIAに異例の猛批判
    2度にわたるペナルティに強く反発したのが、コラピントの主要スポンサーであるメルカド・リブレだ。

    同社CMOのショーン・サマーズはXで、FIAスチュワードの今季の判断について極めて厳しい言葉を並べた。

    「FIAスチュワードはF1の健全性を壊している」

    「今シーズン、彼らはひどい仕事をしていて、レース結果にまで影響を及ぼしている。無能なのか? 不誠実なのか? それとも両方なのか?」

    「この組織の文化には、何か深刻に壊れているものがある」

    スポンサー企業の最高幹部がFIAのスチュワードを「無能」「不誠実」とまで表現して公然と批判するのは異例だ。

    今回の一件では、コラピントとリンドラッドの双方が、混乱したウェットコンディションで発生したイエローフラッグ下の追い越しによってドライブスルーペナルティを受けた。規則の厳格な適用と、その瞬間の安全性を踏まえた裁量をどこまで両立させるべきなのか。オランダGPでの判定は、FIAスチュワードの判断基準をめぐる新たな議論を呼ぶことになった。

  • F1オランダGP決勝 全ドライバーコメント:ノリス今季2勝目 角田裕毅11位

    F1オランダGP決勝 全ドライバーコメント:ノリス今季2勝目 角田裕毅11位

    2026年F1第12戦オランダGPの決勝では、ランド・ノリス(マクラーレン)が逆転で今季2勝目を挙げた。キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルのメルセデス勢が2、3位に入り、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのフェラーリ勢が4、5位で続いた。

    一方、ミッドフィールドではニコ・ヒュルケンベルグが8位、フェルナンド・アロンソが9位、ピエール・ガスリーが10位でポイントを獲得。1戦限りでF1復帰を果たした角田裕毅は11位と惜しくも入賞を逃した。

    1位:ランド・ノリス(マクラーレン)
    「ザントフォールトでの最後のレースで勝利できて、本当にうれしい。でも、本当に厳しい戦いだった。レース前半、特にソフトタイヤでは、正直、勝てるとは思っていなかった。ペースとバランスにかなり苦しんでいて、土曜日の苦戦が少し繰り返されているような感じだった。でも、ハードタイヤを履いたらマシンが生き返った。ずっと快適に感じられるようになって、プッシュできたし、メルセデスにプレッシャーをかけることができた。それによって彼らに早めのピットストップを強いることができて、最終的に僕たちにチャンスが開けた。チームの戦略は完璧だったし、それによって新品タイヤでアタックする機会を得られた。そのときキミはルイスとバトルしていた。これが最初で最後のチャンスだと分かっていたし、絶対に決めなければならなかった。ターン1のアウト側に飛び込むと決めたあのオーバーテイクが、僕たちに勝利をもたらした。勝てたとはいえ、完全に満足しているわけではない。特に低速コーナーではまだ弱点があるし、チャンピオンシップを争いたいなら改善しなければならない。これまで以上にチームをプッシュしていくつもりだ。ここで仕事が終わるわけではないからね。もっとパフォーマンスが必要だ」

    2位:キミ・アントネッリ(メルセデス)
    「今日はこれだけ多くの周回でトップを走りながら勝てなかったので残念だ。残念ながらペースが十分ではなく、それは悔しい。ただ、それを考えれば2位が最終的に僕たちにできる最大限だったので、この結果とダブル表彰台を喜ばなければならない。ジョージが素晴らしい仕事をしてフェラーリ勢を抑え、3位を獲得してくれたので、チームにとって素晴らしい結果だ。2回ともいいスタートを切って順位を上げることができた。それで勝利を争えるという手応えを得たけど、2セット目のハードタイヤではマシンの感触が得られず、そこでランド(ノリス)に抜かれてしまった。終盤にバーチャル・セーフティカーでピットインしたときは少し不安だったけど、結果的にはうまくいった。2台ともフェラーリ勢の前でフィニッシュし、コンストラクターズ選手権でのリードを広げることができたので、ザントフォールトを離れるにあたっていい気分だ」

    3位:ジョージ・ラッセル(メルセデス)
    「今日はベストを尽くした。ランド(ノリス)とフェラーリ勢は信じられないほど速かったので、彼らを抑えるのが厳しくなることは明らかだった。今のフィールドは今季のどの時点よりもさらに競争が激しくなっている。とはいえ、マクラーレンとフェラーリのペースには驚かされた。だから、ペース面では厳しい週末だったことを考えれば、スプリントでの勝利と3位という結果は堅実な成果だ。僕のレースは決してスムーズではなかった。序盤にいくつかポジションを落としたけど、そこから挽回して3位まで戻ることができた。キミがバーチャル・セーフティカー中にピットインしたことで2位になったけど、それ以前はキミが僕の前にいたので、あのポジションは彼のものだった。一緒に争ってタイムを失うわけにはいかないことは明らかだった。後ろのフェラーリ勢からも守らなければならなかったからね。もし争っていたら、おそらくかなりのタイムを失い、僕は表彰台を失っていただろう。最終的にはチームとして結果を最大化できたので、それはポジティブだ」

    4位:ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
    「全体として堅実なレースだった。予選順位を考えれば、今日はいいペースがあり、チームにとって重要なポイントを持ち帰ることができた。ファクトリーのみんなには本当に感謝している。彼らはプッシュを続け、マシンに投入しているアップグレードから小さな改善を見つけ続けてくれている。チームは戦略でもピットレーンでも素晴らしい仕事をしてくれたし、メカニックもまた素晴らしかった。簡単なレースではなかったけど、僕たちには競争力があった。いいレースではあったけど、チャンピオンシップ争いにとどまるためには、あらゆるチャンスを最大限に生かせるよう、もっとやらなければならないことは分かっている。これからの2週間でほかに何ができるかを検討し、モンツァから強く、準備万端の状態で戻ってこられるようにしたい」

    5位:シャルル・ルクレール(フェラーリ)
    「僕たちのペースは強力だったし、ジョージ(ラッセル)との差もそれほど大きくなかったので、最後まで可能性を信じていた。今日は運が味方してくれなかった。バーチャル・セーフティカーのタイミングが僕たちのレースにとって理想的ではなかった。一方で、タイヤマネジメントはうまくできたし、オスカー(ピアストリ)をオーバーテイクしたのは楽しかった。最大の制約はおそらくスタート位置だったので、予選ペースをどこで改善できるのか見直して理解する必要がある。次のモンツァが楽しみだ。あそこには決して忘れることのない素晴らしい思い出があるし、毎年たくさんのティフォシに会える、僕たちにとって本当に特別な場所だ。今年もそこでいい思い出を作れればと思っている」

    6位:オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
    「フラストレーションのたまる午後で、残念な結果だったけど、それでもポイントを獲得することはできた。最大のポジティブな点はスタートと赤旗後の最初のラップで、マシンの感触もよく、ポジションを上げることができた。第1スティントはまずまずだったけど、第2スティント以降は単純にペースがなくなり、本当に苦しい展開になった。週末全体を振り返り、なぜこれほど大きなパフォーマンス低下が起きたのかを理解するために分析する。遅いピットストップも助けにはならなかったけど、根本的な問題はペース不足だった。そこはモンツァに向けて取り組んでいく。今の最優先事項はチームとデータを掘り下げて根本原因を見つけ、今後のレースに向けてよりポジティブな方向へ進めるようにすることだ」

    7位:リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)
    「今日はかなり孤独なレースだった。前の連中と戦えるだけのペースがなくて、難しかった。チームのためにポイントを獲得できたことはうれしい。この週末が難しくなることは最初から分かっていた。特にザントフォールトのようにマシンへの大きな自信が必要なサーキットではね。それでも、できることはすべて引き出せたと思う。マックスに起きたことを見るのは残念だった。あの場所は信じられないほど滑りやすく、スリックタイヤでは本当に簡単にマシンを失ってしまう。僕はすぐ後ろにいたので、かなり怖い瞬間だった。彼が無事でよかった。まったく新しいマシンに乗り込むのは決して簡単ではないけど、チームは僕が快適に感じられるよう素晴らしい仕事をしてくれた。この機会に感謝している」

    8位:ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    「とてもいいレースだった。ただ、1周目の終盤はかなり怖かった。前で何が起きているのかが見えて、本能的に反応しただけだったので、事故を避けられてほっとした。そこからはクリーンなレースができ、戦略もよく、途中では楽しいバトルもいくつかあった。今日ポイントを持ち帰ることができて本当にうれしい。チャンピオンシップにおいて僕たちにとって重要なポイントだし、チームのみんなを元気づけるものでもある。そして、僕たちが取り組んでいる仕事が正しい方向へ進んでいることも確認できた。決して簡単な週末ではなかったので、力強い結果と貴重なポイントを獲得できたことがなおさらうれしい」

    9位:フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
    「ここザントフォールトでポイント圏内でフィニッシュできたのは素晴らしい。予想していなかったので、僕たちが持っていたものをすべて最大限に生かしてくれたチームのおかげだ。まだドライバビリティの問題はいくつか残っているけど、この週末もまた一歩前進だ。この勢いを維持して、マシンから最大限を引き出せるようプッシュし続ける」

    10位:ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
    「最終的にはかなりフラストレーションのたまるレースだった。11番手スタートから必要としていた非常にいいスタートを切れたとはいえね。9番手まで上がることができ、その後、最終コーナーでマックス(フェルスタッペン)を避けなければならなかった。赤旗後の2回目のリスタートでもかなりうまくやって8番手を維持できたけど、そこからはかなり厳しく、慌ただしい展開になった。レーシングブルズが僕たちの直接のライバルであることは明らかで、彼らには自分たちのレースを最大化し、僕たちのレースに影響を与えるためのプランがあった。それは予想していたことだけど、ドライバーとしては腹立たしかった! シーズンは長い。これは覚えておくし、チャンピオンシップでの戦いは間違いなく始まっている。今週末にアップグレードが投入され、僕たちがはるかに競争力のあるポジションに戻れたことはうれしいし、それは獲得できたポイントにも表れている。この週末から評価しなければならないことはたくさんあるけど、すでにモンツァを楽しみにしているし、コース上での戦いを続けたい」

    オランダグランプリ 角田裕毅

    11位:角田裕毅(レーシングブルズ)
    「今日はできることはすべてやりましたし、本当に楽しかったです。コースに出てホイール・トゥ・ホイールでレースをしたり、オーバーテイクしたりすることが恋しかったので、またそれを経験できて本当によかったです。ポイント獲得まで本当にあと少しでしたが、惜しくも届かなかったのは残念でした。でも、全体として素晴らしい数日間でした。チームはこの1週間ずっと本当にたくさんサポートしてくれましたし、かなり早くペースを取り戻すことができたので、この機会を与えてくれたみんなに心から感謝しています。この週末から忘れられない思い出を持ち帰ります。そして何より、アイザックが早く回復することを願っています」

    12位:アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
    「今日のレースは少し残念だった。いいスタートを切れたけど、黄旗違反によるドライブスルーペナルティを受け、それによって事実上、残りのレースで戦うチャンスを失ってしまった。デブリがあちこちに飛んでいたので、僕はただ自分のラインを維持し、コース上のものを避けることに集中していた。再びレースが始まってからは、ペース、オーバーテイクへのコミットメント、そしてできる限りチームを助けるという点で、おそらく今年のベストレースのひとつだったと思う。全体としていい進歩を遂げられたと思うし、いくつか変更を加えたことで、週末が進むにつれてより競争力を高めることができた。ポイントを獲得できなかったのは残念だけど、これからは次のモンツァでのレースに向けた準備に集中する」

    13位:ガブリエル・ボルトレト(アウディ)
    「僕たちにとって少し残念な週末の終わり方になった。スタートでいくつか問題があり、残念ながらグリッドポジションを最大限に生かすことができなかった。それに加えて、マックス(フェルスタッペン)のマシンから出た煙が見えたときに少しステアリングを修正したことでマシンを失ってしまった。幸い、ウォールに当てずに済んだ。チームは僕が順位を取り戻せるよう可能な限り最高のポジションに置くため素晴らしい仕事をしてくれたので、望んでいた結果を得られなかったのは残念だ。ただ、ニコが今日さらにポイントを持ち帰ってくれたのはよかった。僕たちのペースはよかったし、昨日まではマシンの感触にも満足していたので、こうしたポジティブな部分を持って2週間後のモンツァへ向かう」

    14位:フランコ・コラピント(アルピーヌ)
    「今日は厳しいレースだった。1周目のインシデントでドライブスルーペナルティを受けたことで、さらに難しくなった。スタートはとてもよく、4台をオーバーテイクしてポイント圏内まで上がった。そこからは僕たちにとっていいレースになりそうだったけど、ペナルティによってレースが台無しになった。厳しい裁定だと感じているし、見直して、さらに学び、理解しようと思う。その後は、さっき言ったように簡単なレースではなかった。タイヤのグリップに苦しみ、それによって挽回しようとする中でペースが抑えられ、スタートしたのと同じ14位でフィニッシュした。ピエールが10位でフィニッシュし、アップグレードパッケージで1ポイントを獲得できたことはポジティブだ。次のモンツァでは僕も同じアップグレードを使うので、それでレースをして、本当にポイント獲得を争えることを楽しみにしている」

    15位:セルジオ・ペレス(キャデラック)
    「ピットレーンからスタートするという判断は正しかったと思うし、レースを通じていい進歩を遂げることができた。ペースは強力だったし、1周目にバルテリの後ろで詰まったあと、オーバーカットを機能させて前に出ることができた。残念ながらバーチャル・セーフティカーでは少し運が悪く、それまで築いてきたチャンスを失ってしまった。それでもウィリアムズの前でフィニッシュできたので、レースから得られるポジティブな部分はある。僕たちは常にベストを尽くしているし、今日はいいペースを示して前進することができた」

    16位:カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
    「まず、レース終盤の接触についてアレックスとチームに謝りたい。かなり摩耗したハードタイヤを履いていて、ターン1のバンプ上でブレーキングした際にロックアップし、時間内にマシンを止めることができなかった。すでに厳しい週末だっただけに、当然ながら一番やりたくなかったことだ。改めて彼とチームに謝りたい。全体として、この週末はいいリズムをつかむことに苦労し、抱えていた問題を探るためにいくつものテストを行わなければならなかった。それによって後手に回り、今日はこれ以上の結果を争うことができなかった。ポジティブなのは、いくつか解決策を見つけ、今後のレースに生かせるいい学びを得られたことだ。モンツァではより強くなって戻ってきたい」

    DNF:マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
    「今日のレースがあのような形で終わったのは残念だけど、僕は大丈夫だ。あの場所は乾いているように見えたので、加速しようとしたら不意を突かれた。少し運が悪く、マシンを失って残念ながらウォールにぶつかってしまった。今週末は勝利を争えるだけのペースがなかったので、そこはまだ取り組まなければならない。最後にこれだけ多くのファンが来てくれたのを見ることができたのはポジティブだったけど、当然ながらレースを完走できなかったのは本当に残念で、かなりがっかりしている。幸い、ここにはとてもいい思い出があり、このサーキットで素晴らしいことを成し遂げることができた。だから、これまでずっと応援してくれたファンのみんなに感謝したい。本当に特別なものだったし、みんなもこの何年間かを楽しんでくれていたらうれしい」

    DNF:アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
    「クリーンエアでは今日のマシンの感触はよく、ミッドフィールドのペースからもそれほど離れていなかったので、ポジティブな部分はある。カルロスとの場面は、よくあるレーシングインシデントのひとつだった。同じコーナーを狙っていて、彼がロックアップした。こういう形で週末を終えたかったわけではないし、チームが必要としていることでもない。でも、起きてしまったことは仕方がないし、いつものように一緒に話し合う。今日はフェルナンドと戦っていて、彼が前でフィニッシュしたので、戦略を見直す必要がある。最初のピットストップは早すぎたと思う。自分たちのレースをするのではなく、アンダーカットの可能性に反応してしまった。それによって多くのブルーフラッグに引っかかり、ダーティエアの中で身動きが取れなくなって、第2スティントが厄介なものになった。チームとしてすべてを見直し、モンツァではもっとクリーンな週末にしたい」

    DNF:ランス・ストロール(アストンマーティン)
    「序盤にダメージを負い、それによってマシンのパフォーマンスが損なわれた。ペースがまったくなく、かなりスライドしていたので、早めにハードタイヤへ交換したけど、残念ながら何をしても改善しなかった。マシンのドライバビリティを改善するためには、まだやるべきことがたくさんある」

    DNF:バルテリ・ボッタス(キャデラック)
    「残念ながら、リアウイングに影響を与える油圧系の問題が発生した。チェコも今週末の早い段階で同じ問題を抱えていて、今回は残りわずか数周というところで僕たちに影響が出てしまったのは残念だ。でも、チームが解決できると確信している。レース自体では、第1スティントはまずまずで、ウィリアムズ勢の近くを走れていた。ただ、第2スティントについてはいくつか学ぶべきことがあるので、この週末のすべてを分析し、モンツァに集中していく」

    DNF:エステバン・オコン(ハース)
    「今年は信頼性の問題が一度もなく、これが初めてだ。PUに関連していると考えているけど、まず調査して正しく理解する必要がある。2台とも問題が発生したので、僕たちはどちらもレースを完走できなかった。ただ、いずれにしてもポイント圏内を走っていたわけではないので、世界が変わるような結果ではなかった。アップデートが投入されるし、それは必要なものなので、どんな効果があるのか見てみよう」

    DNF:オリバー・ベアマン(ハース)
    「いいスタートといい1周目を走ることができたけど、その後、もちろん赤旗が出た。そのあとのフォーメーションラップでエンジンが停止した。まだマシンを確認する時間がなかったので、何が問題だったのか完全には分かっていないけど、僕の側ではすべてが完全にシャットダウンしたように感じた。本当に残念だ。ものすごくひどい週末で、休み明けに望んでいたものではなかった。でも、来週にはいくつかアップデートが投入されるので、それによってパフォーマンスが改善することを本当に願っている」

  • ランス・ストロール ホンダF1新PUに苦言「エンジンブレーキは宝くじ」

    ランス・ストロール ホンダF1新PUに苦言「エンジンブレーキは宝くじ」

    ランス・ストロールは、2026年F1オランダGPで投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて厳しい評価を下した。新PUによる改善は「全然十分ではない」とし、特にブレーキング時のドライバビリティについて「宝くじみたいなもの」と表現した。

    アストンマーティンはシャシー面では大きな前進を遂げている一方、ホンダのスペック2エンジンではエンジンブレーキの一貫性やダウンシフトに課題を抱えている。

    ストロールは、今後重点的に改善すべき領域としてドライバビリティとパワーを挙げた。

    新PUの進歩は「全然十分じゃない」
    ホンダはF1オランダGPに新スペックのパワーユニットを投入した。アストンマーティンにとっては、ハンガリーでのフィルミングデーを経て、新PUを本格的なレースウイークで走らせる最初の機会となった。

    しかし、土曜日の予選で19番手に終わったストロールは、新PUによる進歩を感じたかと問われ、期待していたほどではないとの見解を示した。

    「それほどでもないと思う。少しは良くなったかもしれないけど、全然十分じゃない」

    一方、マシンのシャシー側については評価が大きく異なる。

    「シャシーについては、かなりいいところにいると思う。ブダペストで大きな一歩を踏み出した」

    「次に本当に取り組まなければならないのは、ドライバビリティとパワーだ」

    アストンマーティンはハンガリーGPでAMR26に大規模なアップデートを投入しており、ストロールはその効果を明確に感じている。だからこそ、次に解決すべきPU側の弱点が浮き彫りになっている。

    「宝くじみたいなもの」
    ストロールが特に問題視しているのが、新PUのドライバビリティだ。その感触について尋ねられると、非常に厳しい言葉で現状を説明した。

    「良くない。本当に良くない。宝くじみたいなものだ」

    「今のところ、コーナー進入で一貫したエンジンブレーキが得られていない。それに、ダウンシフトがうまく決まらないことも多い。だから、問題はたくさんある」

    ブレーキング時にどの程度のエンジンブレーキが得られるのかを予測しにくく、さらに要求したダウンシフトが成立しないケースもあるという。コーナー進入時のマシンの挙動を安定させるうえで、大きな課題となっている。

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソも同様の問題を指摘
    この問題を訴えているのはストロールだけではない。チームメイトのフェルナンド・アロンソもオランダGP週末、新PUのドライバビリティに苦戦した。

    アロンソはスプリント予選で、ブレーキング時にもエンジンがマシンを押し続けるような挙動があり、「マシンを止めるのが難しい」と報告していた。

    さらに決勝後には、ダウンシフトやエンジンブレーキの挙動がコーナーごとに安定していないことを説明しており、ストロールと共通した問題を感じていることが明らかになっている。

    ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原慎太郎も、両ドライバーから同様のフィードバックを受けていることを認めている。

    ホンダもドライバビリティ改善を最優先
    一方、新スペックエンジンは信頼性という点では大きな問題なくオランダGP週末を走り切った。

    折原は、スプリントと予選を通じて新スペックエンジンに信頼性上の問題は発生しなかったと説明。そのうえで、HRCさくらのテストベンチでの作業を含め、内燃エンジンの制御や燃焼挙動の一貫性を改善する作業を進めているとした。

    「ドライバーが必要とするときに、エンジンが必要とされる動きをするようにしなければならない」

    「今日は前進することができたが、ドライバーが必要とする自信を与えるためには、まだやるべきことがある。これは短期的にも中期的にも我々の最優先事項だ」

    ストロールの言葉は厳しいものだったが、問題点についてはアストンマーティンとホンダの双方で認識が一致している。

    オランダGPではアロンソが9位入賞を果たし、シャシー側の進歩を結果につなげた。一方のストロールはマシンに受けたダメージによってリタイアを余儀なくされた。

    シャシーについて「かなりいい」と評価するストロールにとって、次の焦点は明確だ。エンジンブレーキを「宝くじ」と表現するほど不安定なドライバビリティを改善し、新PUのパワーを安定して引き出せるようにすることが、アストンマーティンとホンダの次なる課題となる。

  • アイザック・ハジャー 2027年レッドブルF1シート安泰 メキース「期待に応えている」

    アイザック・ハジャー 2027年レッドブルF1シート安泰 メキース「期待に応えている」

    アイザック・ハジャーの2027年レッドブル・レーシングのF1シートについて、チーム代表のローラン・メキースが揺るぎない信頼を示した。オランダGPでは負傷欠場したハジャーに代わってリアム・ローソンと角田裕毅がそれぞれ短期間でマシンに適応したが、それによってハジャーの立場が脅かされることはないという。

    メキースはハジャーについて、2026年シーズン前半のパフォーマンスが「素晴らしかった」と評価。

    単発的な速さだけでなく、毎戦のようにスピードを示し続ける一貫性と、マックス・フェルスタッペンからも積極的に学ぼうとする姿勢を高く買っている。

    ローソンと角田裕毅の好走でもハジャーの立場は変わらず
    ハジャーはオランダGPを手首の骨折によって欠場した。これに伴い、レッドブル・レーシングではローソンが代役を務め、レーシングブルズでは角田裕毅がF1レースシートに復帰。いずれも限られた準備期間のなかで高い適応力を示した。

    特にローソンはレッドブルRB22を短期間で乗りこなし、予選ではフェルスタッペンに迫るタイムを記録。一方、角田裕毅もレーシングブルズで安定した週末を送り、決勝ではポイント圏目前の11位でフィニッシュした。

    こうした結果から、ハジャーの2027年の立場にも影響するのではないかとの見方が生まれたが、メキースはL’Equipeの取材に対し、その可能性を事実上否定している。

    手首の骨折について聞かれたメキースは「すぐに忘れるような小さな出来事だ」と説明した。

    「彼は我々の期待に応えている。シーズン前半は素晴らしかった」

    メキースが評価する「スポンジのような吸収力」
    メキースが特に高く評価しているのが、ハジャーの学習能力である。単にマシンを速く走らせるだけではなく、チームやフェルスタッペンから得られる情報を積極的に吸収し、それを自らのパフォーマンス向上につなげているという。

    「彼はスポンジのような存在で、自分を向上させるために吸収できるものをすべて吸収している。チームからも、マックスからも、自分を改善するために得られるものをすべて探し求めている」

    「あるレースでサプライズを起こしたり、ある1日だけ信じられないほど速かったりするドライバーはたくさんいる。しかし、アイザックはすべてのレースで自分の速さを示すことができている」

    レッドブルにとって、この「毎戦速い」という点には大きな意味がある。近年、フェルスタッペンのチームメイトを務めたドライバーたちは、レッドブルのマシンへの適応や安定したパフォーマンスに苦しむケースが続いてきたためだ。

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    レッドブルも認める「セカンドシート」の難しさ
    メキース自身、レッドブル側にもこれまで改善すべき点があったことを認めている。

    「我々も、このセカンドシートについて常にすべてを完璧にやってきたわけではないことは理解している」

    そのうえで、ハジャーがフェルスタッペンとの比較を単純な勝ち負けとして捉えていない点も強みだと語った。

    「しかし、アイザックはそれを競争だとは考えていない。マックスが前にいようが後ろにいようが、彼はどうすればもっと良くできるのかを見る」

    フェルスタッペンというF1屈指の基準点を同じチーム内に持ちながら、それに圧倒されたり、必要以上に結果を追い求めたりするのではなく、自身を改善する材料として活用しているという評価だ。

    2027年について「関係を終える理由はない」
    ハジャーの将来について直接尋ねられたメキースは、現在のパートナーシップを終わらせる「理由はない」と明言した。

    オランダGPでローソンと角田裕毅がそれぞれ存在感を示したことは、レッドブル陣営にドライバー層の厚さを印象づける結果となった。しかし、それは現時点でハジャーの評価を引き下げる材料にはなっていない。

    レッドブルがハジャーに求めているのは、フェルスタッペンを一度上回るような瞬間的な結果ではなく、シーズンを通じて安定した速さを示しながら成長を続けることだ。メキースの発言を見る限り、ハジャーはその期待に十分応えており、2027年のレッドブルF1シートも引き続き強固なものとなっている。