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  • リアム・ローソン レッドブルF1代役で高評価「フェルスタッペンに予選0.1秒差」

    リアム・ローソン レッドブルF1代役で高評価「フェルスタッペンに予選0.1秒差」

    リアム・ローソンは、2026年F1オランダGPで負傷したアイザック・ハジャーの代役として急きょレッドブル・レーシングから出場。ほとんど準備時間がないなかでRB22への適応を進め、決勝7位という結果を残した。

    レーシングブルズのVCARB 03とレッドブルのRB22は同じパワーユニットを搭載しているものの、ローソンによれば、それ以外は「すべてが違う」マシンだった。

    しかもスプリントフォーマットのため走行時間は限られ、事前準備はミルトン・キーンズのシミュレーターでのわずか1日。

    それでも予選ではマックス・フェルスタッペンから約0.1秒差まで迫り、レッドブル首脳陣から高い評価を受けた。

    急きょ決まったレッドブル復帰と厳しい条件
    ローソンにとって、オランダGPは最初から難しい週末になることが予想されていた。

    レッドブルRB22と、普段ドライブしているレーシングブルズVCARB 03は同じパワーユニットを使用している。しかし、マシンの特性は大きく異なる。ローソンに与えられた準備期間は、ミルトン・キーンズのシミュレーターで過ごした1日だけだった。

    さらに舞台はフェルスタッペンの母国ザントフォールト。比較対象となるのは4度のF1ワールドチャンピオンであり、ローソン自身にとっても、2025年開幕時にわずか2戦で終了したレッドブルでの挑戦を経て、再びそのマシンをドライブする機会だった。

    その状況を考えれば、決勝7位はローソンに期待できる最大限に近い結果だった。オランダGPではレッドブル自体がトップ4チームのなかで後方に位置しており、上位6台との純粋なペース差も存在していた。

    メキース代表も評価「リアムはいい仕事をした」
    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、ローソンのパフォーマンスを高く評価した。

    「リアムはマシンに乗り込んで、いい仕事をした」とメキースは日曜日の夜に語った。

    「違うチーム、違うマシンに突然乗って、このようなレースに臨むのは決して簡単ではない。それでも彼はいい仕事をした。昨日の予選ではマックスからわずか0.1秒差だった。そして今日は、ペースという意味で獲得可能だったポイントを7位という形で持ち帰った」

    スプリント週末だったため、ローソンがマシンを理解するために使える通常のフリー走行は金曜日のFP1だけだった。

    それでもスプリント予選ではSQ1を6番手で通過。SQ2では11番手となり、スプリントも同じ11位でフィニッシュした。

    その走行からさらにRB22への理解を深め、通常予選ではQ1を14番手、Q2を8番手で突破。Q3でも8番手となり、7番手フェルスタッペンのすぐ後ろから決勝をスタートすることになった。

    「短い時間で積み上げるのはとても難しかった」
    ローソンは予選後、限られた時間でRB22に適応する難しさを振り返った。

    「短い時間のなかで積み上げていくのは、とても難しかった」

    「でも、もちろん週末を通して改善し続けることが目標だった。予選までには、僕がマシンに慣れるために、みんなが本当にいい仕事をしてくれたと思う。可能な限り快適に乗れる状態にはなった」

    「僕自身としても、マシンから引き出せるものはほぼすべて引き出せたと思う」

    ローソンは、当初からフェルスタッペンとの差を可能な限り縮め、そのドライビングから学ぶことを目標にしていたという。

    「ドライバーなら、みんな自分自身に対する強い自信を持っている。当然だと思う」

    「だから、この週末にはあまり多くを期待せずに入ったけど、可能な限り準備はしてきた。今年のマシンの速さがどのくらいなのかは分かっていたから、とにかくマックスにできるだけ近づいて、彼がやっていることから学ぼうとしていた」

    「正直、最初から僕たちが予想していたより少し近かったかもしれない。でも、大事なのは毎回きちんと実行して、それぞれのラップをまとめることだった」

    スプリント予選では、セッション間でライバルとの相対的なパフォーマンスが大きく変化したことにも戸惑った。

    「SQ1は難しかった。僕たちは速かったけど、自分では特別なことをした感覚はなかった。それからSQ2に行って、自分としてはもっといいラップを走ったと思ったのに、他のみんなと比べるとかなり遅かった」

    「だから、その部分はまだ完全には理解できていない。でも、今日はうまくまとめられたと思う」

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング) オランダグランプリ

    RB22とVCARB 03「PU以外はすべて違う」
    ローソンは、同じレッドブル系の2チームであっても、RB22とVCARB 03のドライビング感覚にはほとんど共通点がないと説明する。

    「正直、一番分かりやすく説明するなら、パワーユニット以外はすべてが違う」

    「ステアリングから感じるものとマシンの動き方、コーナーでのバランス、もちろん高速コーナーでのグリップも違う。本当にすべてが違う」

    それでもローソンは、2025年シーズン序盤にレッドブルをドライブしたときより、今回の方が対応しやすかったと感じている。

    昨年はオーストラリアGPと中国GPという厳しい2戦を終えた後、レーシングブルズへ戻ることになった。

    「正直、昨年一番大きかったのは、僕が走ったことのないサーキットが2つだったことだ」

    「そのうえで、すでにかなり運転するのが難しいマシンを学ばなければならなかった。今年のマシンは、おそらくそれほど運転するのが難しいわけではない。あるいは限界まで持っていくこと自体は、それほど難しくないと思う」

    「だから今回は、それ以外のすべてをまとめることの方が重要だった。タイヤの準備、マシンのバランスを正しく合わせること、そして実際にどういう動きをするマシンなのかに慣れることだ。昨年は、単純に限界まで持っていくこと自体がとても難しいマシンだった」

    フェルスタッペンと1周目からホイール・トゥ・ホイール
    日曜日の決勝はスタート前の雨によって難しいコンディションとなった。

    ローソンはクリーンにスタートを決め、序盤の数コーナーではチームメイトのフェルスタッペンとホイール・トゥ・ホイールの攻防を展開。最終的にはフェルスタッペンが前に出た。

    しかし、最終バンクコーナーでフェルスタッペンが濡れた路面に足を取られてコントロールを失い、バリアにクラッシュ。直後を走っていたローソンも回避を強いられた。

    「もうどうしようもなかった」

    「ラップ前半は完全にドライだったのに、最後の2コーナーは完全に濡れていた。これだけのパワーがあって、スリックタイヤを履いていれば、当然ああいうことは本当に簡単に起こってしまう」

    ローソン自身は慎重に最終コーナーへ進入していたという。

    「僕は本当にかなりアクセルを戻していた。正直、どのくらいグリップがあるのかまったく自信がなかったからだ」

    「マックスはおそらく僕に近づいてオーバーテイクを狙おうとしていて、それでコントロールを失ったんだと思う」

    決勝7位「前のグループと戦える速さはなかった」
    赤旗後の再スタートを7番手で迎えたローソンは、そのポジションを維持した。

    上位6台と中団グループの間で単独走行する形となり、黄旗中の違反によって10秒ペナルティを受けたものの、最終順位には影響せず7位でフィニッシュした。

    「レースについては、もっと改善できるところがあると思うし、それについては振り返ってみる」

    「でも順位という意味では、前のグループと戦えるだけの速さはなかったと思う。それは昨日の時点でも分かっていた。予選でも僕たち2台は彼らの後ろだったからね」

    「でも、いい週末だった。昨日の予選でマシンからすべてを引き出せたのはよかった。短い時間でこのマシンを理解するのは大変だったけど、楽しめたよ」

    2025年にはわずか2戦で終わったレッドブルでの挑戦。それから約1年半を経て突然巡ってきた今回の代役出場で、ローソンは限られた準備時間にもかかわらずフェルスタッペンに予選で約0.1秒差まで迫り、決勝ではチームが獲得可能だった7位を確保した。RB22への素早い適応と安定した仕事ぶりを示した週末となった。

  • 角田裕毅 2027年F1シートへ他チームに猛アピール「僕に電話してください!」

    角田裕毅 2027年F1シートへ他チームに猛アピール「僕に電話してください!」

    角田裕毅が、2027年のF1シート獲得に向けて強烈なアピールを送った。レーシングブルズから1戦限りでF1復帰を果たした角田裕毅は、自身の実力をパドックに示せたとの手応えを口にし、まだ来季のラインナップを決めていないチームに「僕に電話してください!」と冗談交じりに売り込んだ。

    2026年はF1のレギュラーシートを失い、レッドブル・レーシングのリザーブドライバーとして過ごしてきた角田裕毅。

    2026年をレッドブル・レーシングのリザーブドライバーとして過ごしてきた角田裕毅にとって、オランダGPは昨年12月のアブダビGP以来となるF1実戦だった。慣れないVCARB-03を駆りながらセッションを重ねるごとにペースを上げ、決勝ではポイント獲得まであと一歩の11位。1戦限りのチャンスを、自身を再びF1パドックのレーダーに載せる機会へと変えた。

    2025年の苦境から再びF1のレーダーへ
    角田裕毅は2025年、レッドブルでやや悲惨ともいえるシーズンを経験した。その状況を考えれば、再びF1のレースシートへ戻る道が開けるとは想像しにくかった。

    しかし、慣れないVCARB-03で堅実なパフォーマンスを見せたオランダGPは、角田裕毅にとって各チームへの名刺代わりとなった。

    現在F1のレギュラーシートを持たないドライバーの中でも、角田裕毅は最も経験豊富かつ有力な候補の一人だ。ザントフォールトでの走りは、その事実をF1パドックにあらためて印象づけるものとなった。

    レッドブル陣営にはF2選手権をリードするニコラ・ツォロフをはじめとした若手が次のチャンスを待っており、角田裕毅が同陣営で再びレギュラーシートを得る道は容易ではない。

    一方、レッドブル以外に目を向ければ、ザントフォールトで走る前よりも可能性は広がったと考えられる。

    F1以外では、これまで長年にわたって築いてきたHondaとの強いつながりを背景に、将来的にインディカーへ向かう可能性もある。それでも今回のオランダGPで角田裕毅が明確にしたのは、F1のレギュラーシートを再び手にしたいという意思だった。

    TPCとRB22シミュレーターで実戦感覚を維持
    昨年12月のアブダビGPを最後にF1レースから離れていた角田裕毅だが、この8カ月間を何もせずに過ごしていたわけではない。

    レッドブルの旧型車を使用したTPC(Testing of Previous Car)で実車を走らせることで感覚を維持するとともに、ミルトン・キーンズのシミュレーターでは現行マシンのRB22を数多くドライブしてきた。

    このシミュレーター作業は単にコースを走る感覚を維持するだけではなく、2026年のFordパワーユニットをどのように使うかについて理解を深める機会にもなった。

    一方、レーシングブルズのVCARB-03については事情が違った。

    オランダGPへの出場決定が直前だったため、角田裕毅がVCARB-03をシミュレーターで初めて試せたのはレース週の水曜日。それでも、この事前走行によって実際にザントフォールトでマシンに乗り込む前に最低限の準備を整えることができた。

    わずか1時間のフリー走行を終えると、すぐにスプリント予選へ突入。SQ1を13番手で通過し、SQ2では12番手となった。

    この時点でチームメイトのアービッド・リンドブラッドとの差は0.360秒。初めて実車で走らせるVCARB-03であることを考えれば、悪くないスタートだった。

    「最後の数ミリ秒を追い求める感覚が恋しかった」
    スプリントで24周を走った経験も大きかった。決勝を想定した各種手順やエネルギーデプロイメントなど、レッドブルとは異なるシステムを実戦のなかで学ぶことができた。

    「本当に、本当に役に立ちました。特に決勝に向けて、レース前にあれを経験できたのは良かったです」

    角田裕毅はスプリントについて語った。

    「すべての手順やデプロイメントのマネジメントがかなり違います。だから決勝に向けて重要だったと思いますし、24周のすべてのラップで学ぶことができました。それを予選でも証明できたと思います」

    土曜日の予選では、その適応がタイムにも表れた。

    Q1を8番手で突破し、Q2では12番手。リンドブラッドとの差はスプリント予選の0.360秒からわずか0.102秒まで縮まった。

    「正直、本当にうれしいです。この予選はすごく楽しめました」

    「昨日のスプリント予選も悪くはなかったですけど、まだ限界がどこにあるのか分かっていませんでした。僕にとってはまだ新しいマシンでしたから」

    「でも今回はちゃんとした予選という感じで、マシンをもっと信頼してコーナーに飛び込んでいくことができました。まだ4セッション目くらいですし、もっと改善できるところがたくさんあるのも分かっています」

    そして、久々にF1の予選を全力で攻める感覚を味わった喜びを口にした。

    「正直、この感覚が恋しかったです。最後の数ミリ秒、最後のコンマ数秒を追い求めるような感覚です。本当にすごく楽しんでいます」

    「セッションごとにどんどん近づいています。もう1セッション、もう1ラウンドあればと思いますけどね。でも、まだ決勝というもう1セッションがありますし、ポイントにも近いので楽しみです」

    角田裕毅 F1

    決勝では最後までポイント争い
    決勝では、角田裕毅と元チームメイトで友人でもあるピエール・ガスリーが長時間にわたってポイント圏を争った。

    最終的にはガスリーが10位で最後の1ポイントを獲得し、角田裕毅は11位。惜しくもポイントには届かなかった。

    それでも、8カ月近くF1レースから離れ、初めて乗るマシンで臨んだ週末としては大きな手応えが残った。

    「正直、自分が予想していたよりも速く進歩できたと思います」

    「昨年のアブダビ以来、8カ月の間に4回しか走っていませんでした。それを考えれば、かなりうまくできたと思います」

    リザーブ期間中も自身を実戦に対応できる状態に保ってくれたレッドブルへの感謝も口にした。

    「レッドブルには感謝しています。シミュレーターなどを通して、かなりいい状態を保たせてくれました」

    「全体的に本当に楽しめましたし、自分にできる限り100%を出せたと思います。かなりうまくやれたと思います」

    一方で、急きょ異なるチームのマシンをドライブする難しさについては「ほとんどすべて」がチャレンジだったと振り返る。

    「デプロイメントやボタン、すべてについて学ぶことがたくさんありました。手順も全部違います」

    「今回のレースはデグラデーションの面でも難しかったです。デグラデーションの特性がかなり違っていたので、それに適応するのは大変でした」

    それでもレーシングブルズのサポートによって、短期間でパフォーマンスを引き出すことができた。

    「正直、チームが本当にたくさんサポートしてくれて、できるだけ速く走れるようにしてくれました」

    「もちろんポイントを獲れなかったのは残念です。でも、最後の数周までトップ8、トップ9あたりと戦えたことを考えれば、受け入れられる結果だと思います」

    「パドックに自分が何をできるか示せた」
    角田裕毅にとって今回のオランダGPで最も重要だったのは、2026年のF1マシンでも自分が何をできるのかを各チームに直接見せられたことだった。

    「自分に何ができるかは分かっています」

    「そして、たった1レース、数セッションだけでしたけど、パドックのほとんどの人たちに、自分に何ができるのかをかなり示せたと思います」

    「ポイントに近いところで戦うことができました。もちろん結果としてはポイントを獲れた方が良かったですけど、そのために自分ができることはすべてやったと思います」

    レースに出場する機会を得たこと自体にも大きな意味があった。

    「こういう機会がある方が、何の機会もなくて、このレギュレーションで自分に何ができるのかをパドックに見せられないより、間違いなくいいです」

    「だから全体的にポジティブだったと思いますし、自分が見せたパフォーマンスもポジティブだったと思います」

    2027年へ「僕に電話してください!」
    そして角田裕毅は、2027年のF1シートをまだ確定させていないチームに向けて、自らを売り込んだ。

    「ここからは僕のマネージャーと、まだ来年のラインナップを決めていない他のチーム次第です。僕を起用したいと思ってくれるかどうかですね。でも、僕をチームに加えるべきだと思います!」

    さらに別の取材では、同じ質問に冗談を交えながら、よりストレートなメッセージを送った。

    「僕に電話してください!」

    角田裕毅が2027年のF1レギュラーシートを手にできる可能性は、依然として限られている。しかし、ザントフォールトに来る前と後では、その立場は確実に変わった。

    1戦限りの復帰でセッションを重ねるたびにVCARB-03への理解を深め、レギュラードライバーとの差を縮め、決勝では最後までポイントを争った。角田裕毅は与えられたわずかなチャンスを使って、自分が今もF1で戦えるドライバーであることをパドックに示した。

    あとは、その走りと「僕に電話してください!」というメッセージに応えるチームが現れるかどうかだ。

  • F1オランダGP決勝 ピレリ総括 60回のピットストップと10通りの戦略

    F1オランダGP決勝 ピレリ総括 60回のピットストップと10通りの戦略

    F1オランダGP決勝は、実に60回ものピットストップが行われ、約10種類の異なる戦略が展開される戦略戦となった。ピレリは、スタート前の雨によって路面コンディションが想定から大きく変化し、前日までのデータが当てはまらなくなったことが、多彩な戦略を生み出した最大の要因だったと分析している。

    ランド・ノリスが勝利を飾ったザントフォールトでの最後のF1オランダGPでは、トップ10のドライバーがすべて異なるタイヤ戦略を採用。

    ミディアム、ハード、ソフトの全3コンパウンドが有効に機能し、1ストップでは競争力を維持できないと判断した各チームが、2ストップや3ストップへと戦略を切り替えた。

    赤旗を境に大きく分岐したタイヤ戦略
    レース序盤に赤旗が提示されたことで、多くのドライバーがスタート時とは異なるコンパウンドへ交換した。グリッドではミディアムとソフトが中心だったが、この中断を境に戦略は大きく枝分かれしていった。

    ミディアムでスタートしたノリスは赤旗中にソフトへ交換。その後は2度ピットストップを行い、いずれもハードを装着して勝利をつかんだ。

    キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルもミディアムでスタートしたが、赤旗中にはタイヤを交換せず、そのまま使用を継続した。アントネッリはその後、新品ハードへ2度交換し、バーチャルセーフティカー(VSC)導入時には中古ソフトへスイッチ。ラッセルも似た戦略を採用したが、最後のストップはVSC下ではなかった。

    フェラーリ勢は2台とも赤旗後の再スタートでソフトを選択したが、その後はルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールで戦略が分かれた。

    5位のルクレールはミディアム、ハード、ソフトと3種類すべてのコンパウンドを使用。一方、4位のハミルトンは最終ピットストップを行わず、第3スティントをハード、第4スティントをソフトで走る戦略を採った。

    アロンソは1回のピットストップを節約して9位
    フェルナンド・アロンソは赤旗中に新品ソフトを装着し、その後はハードへ交換するだけの戦略を選択した。

    この戦略によって他の多くのドライバーよりピットストップを1回少なくすることに成功し、9位でフィニッシュ。アストンマーティンに2ポイントをもたらした。

    レースでは3種類すべてのコンパウンドが使用され、ソフトではアロンソが最長となる32周を走行。ミディアムではアービッド・リンドブラッドが31周、ハードではカルロス・サインツJr.が35周の最長スティントを記録した。

    オランダグランプリオランダグランプリ タイヤ

    ピレリ「前日までの状況とはまったく違った」
    ピレリ・モータースポーツディレクターのダリオ・マラフスキは、スタート前の予想外の雨がタイヤ戦略を大きく左右したと説明した。

    「ザントフォールトでの最後のレースは、紆余曲折に富み、特に戦略面では非常に予測困難なものになった。用意した3種類すべてのコンパウンドが使われた」

    「それまでのセッションで見えていた状況は、最終的にチームにとって正確なものではなかった。新たな要素を踏まえてグランプリへのアプローチを見直さなければならず、2ストップまたは3ストップ戦略へ向かうことになった」

    最大の要因のひとつが天候だった。

    「天候が大きな役割を果たした。スタート前に予想外の雨が降ったことで、想定していたような路面の進化が起こらず、温度の状況も変わった。土曜日のスプリントと比べて明らかに高くなっていた」

    前日までは比較的小さいと考えられていたタイヤのデグラデーションも、決勝では状況が一変した。

    「前日まで比較的限定的に見えていたタイヤのデグラデーションは、かなり大きなものになった。雨によって路面コンディションが悪化し、特に滑りやすくなったことで摩耗が増加したことが主な理由だ」

    1ストップは競争力を維持できないと判断
    赤旗後のスティントを終えた段階で、各チームは1ストップ戦略では最後まで競争力を維持することが難しいと判断したという。

    「再スタート後のスティントを走った段階で、チームは1ストップ戦略では競争力を維持できないコンディションだとすぐに理解した」

    「コース上で起きた出来事にも影響されながら、それぞれのドライバーにとって最も効果的なタイヤの組み合わせを探すことになった」

    その結果、最初の赤旗後には約10種類もの異なる戦略が生まれた。

    「最初の赤旗後には、ほぼ10種類の異なる戦略が生まれ、トップチームの間でもかなりの違いが見られた」

    「例えば、ローソンはハードを使用せず、マクラーレンは最初のスタート以降、再びミディアムを装着しなかった。一方でルクレールのように、用意された3種類すべてのコンパウンドを使用したドライバーもいた」

    全3コンパウンドがそれぞれの条件で機能
    マラフスキは、ソフト、ミディアム、ハードのすべてが特定の条件下で有効に機能したことが、戦略的に興味深いレースにつながったと評価した。

    「その結果、戦略面で非常に興味深いグランプリになった。各チームはそれぞれのコンパウンドの特性を活用することができ、すべてのタイヤが特定の条件では効果的だった」

    「各チームは、それぞれのマシンの長所を最大限に生かすために最適なタイヤを見極めることができた」

    特に終盤のソフトタイヤの使い方が、その象徴だったという。

    「その点を特によく示していたのが、終盤にアントネッリとフェラーリの2人がソフトを使用したことだ。これによって直接のライバルとの差を縮めることができ、アントネッリの場合はチームメイトからポジションをひとつ奪うことさえできた」

    スタート前の雨によって、それまで積み上げられてきたタイヤデータの前提が崩れたF1オランダGP決勝。60回ものピットストップと約10種類の戦略が生まれ、ザントフォールトでの最後のグランプリは、タイヤ戦略という面でも極めて変化に富んだ一戦となった。

  • フェラーリF1代表バスール ハミルトンへの戦略非開示は「意図的だった」

    フェラーリF1代表バスール ハミルトンへの戦略非開示は「意図的だった」

    フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールが、2026年F1オランダGPでルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールから疑問の声が上がったレース戦略について説明した。ハミルトンに戦略の全容を伝えなかったのは、ライバルに意図を悟られないための意図的な判断だったという。

    フェラーリはザントフォールトでハミルトンが4位、ルクレールが5位に終わり、表彰台を逃した。

    レース中には戦略を巡って両ドライバーが無線で不満を示す場面があり、特にハミルトンは「タイムを無駄にした」「僕をモルモットにしているの?」とチームの判断に疑問を投げかけていた。

    ハミルトンをステイアウトさせた本来の狙い
    ハミルトンはルクレールより新しいタイヤを履き、異なる戦略を採っていたものの、前を走るチームメイトに抑えられる形となった。

    本来はルクレールを先にピットインさせる予定だったが、そのタイミングが1周延長されたことでハミルトンが後方でタイムを失った。ようやく前が開いた際、ハミルトンは無線で皮肉を込めて「素晴らしいタイムロスだったね、みんな」と口にした。

    その後、フェラーリはハミルトンを古くなったタイヤのままコース上に残した。ハミルトンはランド・ノリスとキミ・アントネッリに抜かれ、終盤のバーチャル・セーフティカー(VSC)でようやく最後のピットストップを行った。

    バスールによれば、フェラーリの狙いはVSCが出る前の段階から、ハミルトンを可能な限り最後までステイアウトさせることにあった。

    「その段階では戦略を彼に伝えたくなかった。ライバルにこちらの戦略を明かしたくなかったからだ。終盤まで彼をコース上に残したかった。VSCが出る前の状況を考えれば、それが正しい判断だったと思う」

    つまり、ハミルトンが無線で状況を把握できずに苛立っていた背景には、フェラーリが無線を通じてライバルに戦略を察知されることを避ける狙いがあった。

    ルクレールのピットインを1周延長「混乱があった」
    一方、ハミルトンがルクレールの後方でタイムを失った場面について、バスールは予定していたピットストップが1周ずれたことで混乱が生じたことを認めた。

    「シャルルはピットインする予定だったが、我々はそれを1周延ばした。そこで少し混乱があった。ただ、このことについて心配はしていない。彼らにはレースについて明確な全体像を説明することになる」

    ルクレール自身も戦略に不満を示しており、特にタイヤコンパウンドの選択について疑問を抱いていた。

    バスールは、今回のレースではフェラーリだけでなく、各チームがソフトとミディアムの性能差を正確に読み切ることが難しかったと説明する。

    スクーデリア・フェラーリ オランダグランプリ

    ソフトとミディアムの差は「非常に小さかった」
    「シャルルもある段階ではタイヤコンパウンドについて少しフラストレーションを感じていた。ただ、コンパウンドについては全員が多少混乱していたと思う」

    「ノリスは最初のスタートではミディアムを履き、その後ソフトに替えた。この日の2つのコンパウンドの差は非常に小さく、戦略について明確な全体像をつかむのは難しかった」

    オランダGPではマックス・フェルスタッペンのクラッシュによる赤旗もあり、レース序盤から各チームの当初の戦略が崩れる展開となった。さらにタイヤ間の性能差が小さかったことで、他車の動きを確認しながら戦略を修正する必要があった。

    「他のチームから学びながら戦っているので、時には戦略を変更したり、状況に合わせて適応したりしなければならない。ドライバーにとっては、それが少しフラストレーションになることもある」

    結果は4位と5位 表彰台には届かず
    フェラーリは最終的にハミルトンが4位、ルクレールが5位。終盤にはハミルトンが3位ジョージ・ラッセルにプレッシャーをかけたものの、メルセデスを攻略することはできず、表彰台には届かなかった。

    ハミルトンとルクレールの無線だけを見れば、フェラーリの戦略には混乱があったようにも映った。しかしバスールの説明では、ハミルトンを長くステイアウトさせたこと自体は意図した戦略であり、その狙いをあえてドライバーに詳しく伝えない判断も含まれていた。一方で、ルクレールのピットインを1周延長した場面については「混乱」があったことを認めており、戦略そのものとその遂行、そしてドライバーとの情報共有という別々の要素が絡み合ったレースとなった。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ 同僚ボルトレトとのニアミスに戦慄「パッセンジャーだった」

    ニコ・ヒュルケンベルグ 同僚ボルトレトとのニアミスに戦慄「パッセンジャーだった」

    アウディF1のニコ・ヒュルケンベルグは、2026年F1オランダGP決勝でチームメイトのガブリエル・ボルトレトが高速スピンを喫した際、間一髪で接触を回避した瞬間について「怖かった。パッセンジャーだった」と振り返った。

    ヒュルケンベルグはザントフォールトで8位に入り、2戦連続のポイント獲得を達成。アウディに貴重な4ポイントを持ち帰った一方、レース序盤にはチームメイトとの大事故につながりかねない危険な場面に遭遇していた。

    ボルトレトが360度スピン ヒュルケンベルグが間一髪で回避
    F1オランダGP決勝は、スタート前の雨によって路面の一部が濡れた難しいコンディションで始まった。

    オープニングラップではマックス・フェルスタッペンが高速の最終コーナーでコントロールを失い、バリアに激突。このクラッシュによってレースは赤旗中断となったが、その後方ではボルトレトもマシンのコントロールを失っていた。

    ボルトレトのアウディは高速で360度スピン。その直後を走っていたヒュルケンベルグの進路上にマシンが滑り込み、両者はあわや接触という状況になった。

    ヒュルケンベルグは、その瞬間について次のように説明した。

    「怖かったし、危険だった。パッセンジャーだった」

    「できるだけ遅くまで反応するのを待って、それから本能的にどちらか一方を選んだ。もちろん、彼が上側に滑っていくのか、下側に滑っていくのかを見極めようとしていた」

    「濡れた路面では危険だし、難しい。幸運にも避けることができた」

    高速域かつ濡れた路面では、スピンしたマシンがどちらへ動くかを予測することは難しい。ヒュルケンベルグはボルトレトの動きを可能な限り見極めた上で、最後は本能的に回避方向を選択し、接触を免れた。


    ガスリーを攻略して8位 アウディに貴重な4ポイント
    危険な序盤を切り抜けたヒュルケンベルグは、その後のレースでアルピーヌのピエール・ガスリーをオーバーテイク。トップチーム勢に続く8位でフィニッシュし、アウディに4ポイントをもたらした。

    ヒュルケンベルグにとっては2戦連続のポイント獲得。金曜日と土曜日に苦戦していたことを考えれば、価値のある結果となった。

    「チームにとってもチャンピオンシップにとってもすごく重要だ。でも、チームの雰囲気という意味でも、みんなを元気づけてくれる」

    「これまで取り組んできたことが正しくて、僕たちが正しい方向に進んでいることを確認できた。とても満足している」

    「個人的にも、金曜日と土曜日は決して楽な週末ではなかった。最後にこうして何かを持ち帰って、いい形で終えられたのは本当にうれしいし、格別な気分だ」

    アウディはランキング8位 ハースとの差は5ポイント
    ヒュルケンベルグの8位によって、アウディはコンストラクターズランキング8位を維持した。

    7位ハースとの差は5ポイントに縮まり、同時に9位ウィリアムズとの差を5ポイントに広げた。僅差の中団争いにおいて、今回ヒュルケンベルグが獲得した4ポイントは大きな意味を持つ。

    また、ヒュルケンベルグは今回の結果が、アウディが進めてきた取り組みとマシン開発の方向性を裏付けるものだと受け止めている。苦戦した金曜日と土曜日を経て、決勝で結果につなげたこともチームにとってポジティブな材料となった。

    ボルトレトとの接触を紙一重で回避する緊迫したオープニングラップから、最後は8位入賞。ヒュルケンベルグは難しいコンディションのザントフォールトで貴重なポイントを持ち帰り、アウディの中団争いを後押しした。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUに厳しい評価「振り出しに戻った」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUに厳しい評価「振り出しに戻った」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1オランダGPで9位入賞を果たした一方、アストンマーティンに投入されたホンダの新スペック・パワーユニットについて、まだ本来の性能を引き出すには時間が必要だと語った。

    ホンダのスペック2は初期仕様で積み上げてきた改善の一部が失われ、「振り出しに戻ったようなもの」とアロンソは表現している。

    一方、エイドリアン・ニューウェイのもとで進められているシャシー開発については明確な手応えを感じている。アロンソは、今回のアップデートによって進むべき方向が見えたことを前向きに捉えている。

    ホンダ新PUは「振り出しに戻った」
    アストンマーティンはオランダGPにホンダの新スペックPUを投入。アロンソは9位でフィニッシュし、今季2度目のポイント獲得を果たした。

    しかし、新PUはまだ期待された完成度には達していない。アロンソはレース後、母国スペインの『AS』に対し、初期仕様で改善してきた部分について、再び最適化する必要が生じていると説明した。

    「エンジンについてはもう少し待たなければならない。今週末の結果は、僕たちが期待していたものではなかったと思う。あのハンドリングやギアチェンジが得られていない」

    「最初のエンジンで改善したものが、この2基目ではある意味、振り出しに戻ってしまった。だから、これを最適化するために今後2~3レースが必要になる」

    新スペックではパフォーマンス向上が図られた一方、それまで積み重ねてきたドライバビリティなどの調整を改めて煮詰める必要が生じている。アロンソは、その最適化には数戦を要すると見ている。

    モンツァは「ポイント獲得のチャンスはない」
    今後についてアロンソは、サーキットの特性によってアストンマーティンの競争力には大きな差が出ると予想している。

    「今年の残りについては、僕たちがより良いパフォーマンスを発揮できるサーキットもあれば、悪くなるサーキットもある」

    次戦イタリアGPの舞台となるモンツァについては、厳しい見通しを示した。

    「モンツァは最悪の部類に入るだろうし、ポイントを獲得するチャンスはないと思う。それでも、このハンドリング面を改善しようとしていく」

    高速区間と長いストレートが特徴となるモンツァだけに、アロンソは現状のパッケージではオランダGPと同じような結果を期待するのは難しいと考えている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    シャシーは「また一歩前進」
    一方で、アロンソのシャシーに対する評価は対照的に前向きだ。アストンマーティンはザントフォールトにも新たなパーツを持ち込み、AMR26の改善を進めた。

    「ここにはさらに多くのパーツを持ち込んだし、マシンを改善できた。シャシーも改善した。その意味では、また一歩前進だと思う」

    特にアロンソが評価しているのが、タイヤのグリップだけに頼れなくなった状況でのマシンのパフォーマンスだ。

    「レースではタイヤが摩耗して、タイヤそのもののグリップにそれほど頼れなくなったときに、マシンの質が見えてくると思う。そこでアストンは少し際立っている。だから、シャシーで進んでいる方向には満足している」

    「今は明確な方向性がある」
    アロンソにとって大きな収穫は、アップデートによってシャシー開発の方向性が確認できたことだ。

    「もしこのパッケージを持ち込んで、コーナーで速くないことが分かったなら心配だっただろう。でも今は明確な方向性がある。あとはこのパッケージを最適化して、全力で取り組むだけだ。今はみんな、とてもモチベーションが高い」

    「今回の結果によって、明日の8時には両方のファクトリーでみんなが仕事に取りかかることになると思う。全員がもっと上を望んでいるからね」

    オランダGPでの9位は、アストンマーティンにとって単なる2ポイント以上の意味を持つ結果となった。シャシーでは進むべき方向が見え始めた一方、ホンダの新PUについては再び最適化を進める必要がある。アロンソが挙げた今後2~3戦でどこまで完成度を高められるかが、シーズン後半戦の鍵となりそうだ。

  • トト・ヴォルフ メルセデスF1のチームオーダーを説明「厳しい決断も必要」

    トト・ヴォルフ メルセデスF1のチームオーダーを説明「厳しい決断も必要」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフが、2026年F1オランダGP終盤にジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの順位を入れ替えたチームオーダーについて説明した。フェラーリ勢が背後に迫るなか、チームとして最大限のポイントを確保するための「論理的な判断」だったと強調している。

    アントネッリはランド・ノリスに次ぐ2番手を走行していたが、終盤のバーチャル・セーフティカー(VSC)でソフトタイヤに交換。ステイアウトしたノリスとラッセルの後ろ、3番手でコースへ戻った。

    新品タイヤのアントネッリを前へ「最も安全な方法だった」
    ハードタイヤで走り続けるラッセルに対し、新しいソフトタイヤを履いたアントネッリは明らかに速く、すぐにチームメイトの背後まで接近した。

    残り8周となった65周目、メルセデスはラッセルにアントネッリを先行させるよう指示。ラッセルは無線で不満を示し、「ダブル表彰台を失うかもしれない」と懸念したものの、最終的には指示に従った。

    その背後にはルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのフェラーリ勢が急接近しており、順位交換によってラッセルが攻撃にさらされるリスクもあった。

    ヴォルフは『Sky Sports F1』に対し、チームオーダーの狙いについて次のように説明した。

    「ノリスを捕まえられる状況だったとは思わない。ポイントを獲得するという意味で、あれが最も安全な方法だった」

    「オーバーテイクモードを使わせたままにすることもできたかもしれない。でも、そうすればリスクを取りすぎることになる。後ろには2台のフェラーリが迫っていた」

    「だから厳しい決断ではあったが、コンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権を戦いたいのであれば、そういう決断も必要になる」

    「誰が選手権で前にいるかは関係ない」
    今回の順位交換によってアントネッリはラッセルより3ポイント多く獲得し、両者のドライバーズランキングでの差は59ポイントに拡大した。

    しかしヴォルフは、選手権でどちらが上位にいるかは判断に影響していないと強調する。

    「これが我々のやり方だ。2人のドライバーもそれを理解している。他のチームで見られるような、こういうことが明確に話し合われていない状況を我々は避けている」

    「これは厳しい世界だ。2500人がチャンピオンシップのために働いている。ひとりだけのゲームではない。過去15年間、我々はそうやってきた」

    外から見れば難しい決断だったのではないかと問われると、ヴォルフは否定した。

    「外から見れば難しく映るかもしれないが、内部ではそうではない」

    「これは何度も話し合ってきた状況だし、今日の朝にも話した。『お互いに争ってタイムを失い、2台のフェラーリに背後まで迫られるようなことはしない』とね」

    「逆の状況だったとしても、まったく同じことをしていた。誰が選手権で前にいるかは関係ない。可能な限り良い順位を守ることだけが目的だ」

    『F1 TV』でもヴォルフは、アントネッリがVSC前までラッセルより前を走っていたことを判断材料として挙げた。

    「これは常に我々が採用している方針だ。何度も話し合っているし、朝にも確認していた。チームメイト同士でタイムを失って、フェラーリ勢に首筋まで迫られるようなことはしない」

    「順位を入れ替える前、キミはもともと前にいた。彼はピットに入る必要もなかった。その結果としてジョージがあの位置にいて、当然ながらフェラーリの脅威もあった。だから順位交換は論理的な結果だった」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルも最終的に納得「キミは前でフィニッシュするに値した」
    ラッセルはその後、ハミルトンとルクレールからのプレッシャーをしのぎ切って3位を確保。アントネッリも2位を守り、メルセデスはダブル表彰台を達成した。

    レース後、ラッセル自身もチームの判断は正しかったと認めている。

    「キミはもともと僕の前にいたから、僕より前でフィニッシュするに値した」

    「レースをしていれば、すべてのポジションを争いたいと思うものだ。でも、あのペースと新品タイヤなら、いずれにしても彼は僕を抜いていただろう。だから正しい判断だった」

    「表彰台に立てたことがうれしい。僕にとっては少し久しぶりだった。週末全体として強かったので、ポジティブな部分を受け取りたい」

    アントネッリも「ジョージは素晴らしいチームプレーヤーだった。彼も3位を守ることができて本当にうれしい」とラッセルの対応を称えた。

    メルセデスはフェラーリを上回るポイントを獲得
    一方でヴォルフは、メルセデスにはオランダGPを勝てるだけのペースがあると考えていたものの、ハードタイヤに交換してから期待したパフォーマンスを発揮できなかったことを課題として挙げた。

    「良い週末だったが、厳しい時間帯もあった。今日はレースに勝てるペースがあると思っていた。でも、ハードタイヤに履き替えたところで、それが消えてしまった」

    「なぜなのかはまだ理解できていない。ただ、ほろ苦い面から見ても2位と3位でフィニッシュできた。ポイントではフェラーリを上回ったので、それは悪くない」

    ノリスが勝利した一方、メルセデスはアントネッリとラッセルによる2台揃っての表彰台を確保した。ヴォルフは今後について、アップデート投入までの期間を確実なレース運びで乗り切る必要があると語った。

    「これは開発競争だ。そして現時点では、我々は少し停滞している。アップデートが入るまではもう少し時間があるので、とにかくパフォーマンスを発揮し、週末をしっかり実行していかなければならない」

    タイトル争いを続けるメルセデスにとって、ドライバー同士を自由に争わせることよりもチーム全体の結果を優先する方針は明確だ。オランダGPでの順位交換は、その原則を改めて示すチームオーダーとなった。

  • ランス・ストロール 赤信号無視のライバルに厳罰要求「ルールではストップ&ゴー」

    ランス・ストロール 赤信号無視のライバルに厳罰要求「ルールではストップ&ゴー」

    ランス・ストロールは、2026年F1オランダGPの赤旗中断後の再スタートを前に、ピット出口の赤信号を無視してコースへ出たオリバー・ベアマンとガブリエル・ボルトレトに対し、ストップ&ゴーペナルティを科すべきだと無線で繰り返し訴えた。

    通常であれば「非常に重大なペナルティ」が科される違反だったが、スチュワードは特殊な状況だったことや、両者がアドバンテージを得ていなかったことなどを考慮。最終的にベアマンとボルトレトには戒告処分が下されるにとどまった。

    赤旗後のピット出口で信号が突然赤に
    問題の場面は、マックス・フェルスタッペンのクラッシュによる赤旗中断からレースが再開される際に発生した。

    各車がピットレーンからコースへ向かい始めた時点では、ピット出口の信号はグリーンだった。しかし、フェルナンド・アロンソが通過した後、信号は点滅する赤へと変わった。

    その直後、オリバー・ベアマンとガブリエル・ボルトレトは赤信号を通過。そのままグリッドへ向かった。ベアマンはその後、パワーユニットのトラブルに見舞われ、グリッドに到達する前にマシンを止めることになった。

    一方、2台の後方にいたストロールは赤信号を確認すると、ピット出口で停止した。

    ストロール「赤だよね? 僕はグリーンになるまで行かない」
    ストロールはすぐにレースエンジニアのゲイリー・ギャノンに状況を伝えた。

    ストロール:「ライトが赤だよね? 赤だ」

    ギャノン:「確認している。今確認している」

    ストロール:「グリーンになるまで僕は行かないよ」

    ギャノン:「ああ、了解した、ランス」

    それから約10秒後、まだ赤信号が続くなかでストロールは再び確認を求めた。

    ストロール:「行っていいのか、ダメなのか教えて」

    ギャノン:「FIAからの返答を待っている」

    その後、信号がグリーンに変わり、ストロールはようやくピット出口からコースへと向かった。

    「赤で出た全員にペナルティだ。ストップ&ゴー」
    ストロールが強く問題視したのは、赤信号を無視して先に出ていったドライバーへの処分だった。

    F1のペナルティガイドラインでは、レース中にピット出口の赤信号を通過した場合、10秒間のストップ&ゴーペナルティが基本的な処分とされている。ストロールはその点を認識しており、無線で繰り返しチームに訴えた。

    ストロール:「じゃあ、赤信号で出ていった全員がペナルティを受けるべきだ」

    ギャノン:「ああ、そうだ」

    ストロール:「ストップ&ゴーだ」

    ギャノン:「了解した。報告する」

    ストロール:「それがルールだ」

    ストロールは、実際に赤信号を通過したベアマンとボルトレトだけでなく、さらに多くのドライバーが違反したと考えていたようで、その後も追及を続けた。

    ストロール:「明らかに全員が赤で出ていったんだったら、全員がペナルティを受けるべきだ」

    ギャノン:「今確認している」

    ストロール:「ストップ&ゴーだ」

    ギャノン:「ああ、今確認している」

    ストロール:「全員だよ」

    ギャノン:「最初はグリーンだった。それから赤になった。誰が赤で通過したのか確認して、できるだけ早く報告している。間違いなく対応しているよ、ランス」

    F1 オランダグランプリ

    エンジニアが「レースに集中して」と促す場面も
    ストロールの主張はフォーメーションラップに入ってからも続いた。

    前方ではベアマンがマシントラブルによってスローダウンしており、ギャノンはストロールに注意を促した。しかし、ストロールはなおも赤信号の件を気にしていた。

    ギャノン:「ベアマンがターン10から11の間で遅い。前方イエロー、ベアマンが止まっている。ターン10から11の間だ。ベアマンに注意して……」

    ストロール:「それがルールだ」

    ギャノン:「……そこにいる。ベアマンに注意して」

    ストロール:「ルールでは、赤だったら……」

    ここでギャノンは、すでにチームからFIAへ報告済みであることを強調し、ストロールに再スタートへ集中するよう求めた。

    ギャノン:「ランス、もう報告した。報告済みだ。今はグリッドに向かうことに集中しよう、いいね? こちらから報告してあるし、彼らが対処する」

    スチュワードは「非常に重大なペナルティ」の可能性を認める
    しかし、スチュワードが下した裁定は、ストロールが求めていたストップ&ゴーではなかった。

    ベアマンとボルトレトはともにピット出口の赤信号を無視した違反について戒告処分を受けた。スチュワードは、通常のレース中に同様の違反が起きれば非常に重大なペナルティの対象になると認めた一方、今回は特殊な状況だったと説明した。

    スチュワードによれば、ピット出口の信号は両ドライバーが赤旗中断後の再スタートに向けてコースへ合流しようとしていたタイミングで赤に変わった。

    「このような違反がレース中に発生した場合、ドライバーは常に信号に従う義務があるため、通常は非常に重大なペナルティが必要となる」

    その一方で、今回については通常の意味でレースが進行している最中ではなかったことを考慮した。

    「しかし今回、この違反はレースがライブの状態で発生したものではなく、再スタートに向けた準備段階で発生した。ただし、レース自体は第B5.15.2g条に従い、技術的にはすでに再開されていた」

    さらにスチュワードは、ベアマンとボルトレトの行為によって競技上の利益や危険な状況が生じなかったことも軽減要素とした。

    「加えてスチュワードは、いずれのドライバーもアドバンテージを得ておらず、潜在的に危険または安全ではない状況も生み出していなかったことを認める。したがって、軽減すべき事情と今回の特殊な状況を考慮し、ドライバーへの戒告が適切であると判断した」

    この結果、ベアマンとボルトレトにはそれぞれ今季初となるドライビングに関する戒告が科された。

    ピット出口の信号がなぜ突然グリーンから赤に変わったのかについて、公式な説明は出されていない。信号システム上のミスだった可能性も指摘されている。

    ストロールは赤信号を確認して正しく停止し、「それがルールだ」「ストップ&ゴーだ」と無線で何度も主張したが、スチュワードは通常のレース中とは異なる特殊な再スタート手順だったことを重視。規則上は重大な違反になり得る行為だったものの、最終的には戒告という軽い処分で決着した。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1の戦略に疑問「ラッセルの後ろがほぼ確定」

    シャルル・ルクレール フェラーリF1の戦略に疑問「ラッセルの後ろがほぼ確定」

    シャルル・ルクレールは、2026年F1オランダGPでフェラーリが採った戦略に疑問を呈した。ジョージ・ラッセルのピットストップとほぼ同じタイミングでタイヤ交換を行った判断について、「ラッセルの後ろでフィニッシュすることを決めたようなものだった」と振り返った。

    フェラーリはザントフォールトでルイス・ハミルトンとルクレールに異なる戦略を採用したが、その判断を巡って両ドライバーから不満の声が上がった。ハミルトンに続き、ルクレールもレース後にチームの戦略について理解できなかった部分があったことを明かしている。

    ラッセル直後のピットインに疑問
    レース中盤、ハミルトンはルクレールよりも新しいタイヤを履いており、大きなタイヤデルタを生かしてチームメイトの背後まで接近した。

    しかし、フェラーリはすぐに2台の順位を入れ替えることはせず、ハミルトンはルクレールの後方で数周にわたってタイムを失った。その後、フェラーリはルクレールをピットに呼び込んだが、そのタイミングについてルクレール自身も疑問を抱いていた。

    「なぜジョージのピットストップとあれほど近いタイミングで僕たちもピットに入らなければならなかったのか、本当に理解できなかった」

    ルクレールはSky Sportsにそう語った。

    「だって、それはある意味、ジョージの後ろでフィニッシュすることにサインしたようなものだったからね」

    「2周か3周しか違わなければ、僕にできることはほとんどなかった」

    ルクレールとしては、タイヤにはまだ走り続けられるだけの余力が残されていると感じていた。

    「僕のタイヤにはもう少し余力があると感じていた。もちろん、その時点でルイスと僕は違う戦略を採っていたけど、僕としてはもう少し長くコース上に留まるのが正しいと思っていた」

    「でも、結局のところ、そうなってしまったものは仕方がない」

    VSCのタイミングにも恵まれず
    一方で、ルクレールはフェラーリの戦略だけを敗因として挙げたわけではない。バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングにも恵まれなかったとしながら、そもそも予選で十分な結果を残せなかったことがレースを難しくした最大の要因だったと分析した。

    「バーチャル・セーフティカーのタイミングについては、僕たちは少し運がなかったと思う」

    「そして何より、昨日の予選で僕たちは良い仕事ができなかった。その代償として、後方からスタートすることになった」

    フェラーリにとって、オランダGPは戦略面で課題を残す週末となった。ハミルトンもレース後、ルクレールの後方で走らされたことで「タイムを無駄にして3位を失った」とチームの判断への苛立ちを示している。

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ) オランダグランプリ

    モンツァにはアップグレード投入
    F1の次戦はフェラーリの母国レースとなるイタリアGP。モンツァはスクーデリアにとってシーズンでも特に重要な一戦となるが、ルクレールは現時点で楽観的な見通しを持っているわけではない。

    「もちろん、フェラーリのドライバーとしてモンツァはものすごく特別だ。キミ(アントネッリ)にとってもそうだと思う」

    「正直、何を期待すればいいのかは分からない。シルバーストンとスパを振り返ると、紙の上ではモンツァと少し似ていて、僕たちは苦戦すると予想していた。でも、実際には予想していたよりずっと強かった」

    「モンツァでも同じことが起きてほしい。でも、今の時点で聞かれれば、おそらく難しい週末になると答えると思う」

    それでも、フェラーリはホームレースに向けてマシンに新たなアップグレードを投入する予定であり、ルクレールはその効果に期待を寄せている。

    「でも、いくつかアップグレードが入る。それがうまく機能してくれることを願っている」

    オランダGPではハミルトンだけでなくルクレールも戦略判断に疑問を示す結果となったフェラーリ。次戦モンツァではアップグレードの効果に加え、ホームレースで戦略面の課題を解消できるかも重要なポイントとなる。

  • 角田裕毅 F1オランダGP後にSNSで心境「夢のようだった。またすぐ戻ってきたい」

    角田裕毅 F1オランダGP後にSNSで心境「夢のようだった。またすぐ戻ってきたい」

    角田裕毅が、2026年F1第12戦オランダGPを終えた後、自身のSNSを通じて約8カ月ぶりとなったF1レースへの思いを語った。レーシングブルズから代役参戦した角田裕毅は決勝を11位で終え、ポイント獲得には届かなかったものの、「夢のようだった」と特別な週末を振り返った。

    角田裕毅はファンから寄せられた多くのメッセージにも感謝。「またできるだけ早く戻ってこられたら」と語り、再びF1のグリッドに立つことへの思いを明かした。

    「本当に夢のようでした」
    「みなさん、こんにちは。レースについては、ポイントを獲得できなかったので残念でした。でも、この週末は本当に楽しむことができました」

    角田裕毅はSNSに投稿した動画で、オランダGPをそう振り返った。

    2026年はレッドブルのリザーブドライバーを務めている角田裕毅にとって、今回のオランダGPは久々のF1実戦。負傷したアイザック・ハジャーに代わってレーシングブルズのマシンをドライブし、限られた時間で2026年型マシンへの適応を求められた。

    「できるだけ早くペースをつかめるように助けてくれたチームには本当に感謝しています。正直、本当に楽しかったです」

    そして、角田裕毅が特に感謝したのが、久々のF1参戦を見守ったファンからの反響だった。

    「ファンのみなさんからも本当にたくさんの温かいメッセージをいただきました。本当に夢のようでした」

    角田裕毅 オランダグランプリ

    「またできるだけ早く戻ってこられたら」
    オランダGPでは予選12番手からスタートし、決勝ではポイント圏を巡って中団勢とバトル。ピエール・ガスリーをオーバーテイクするなど見せ場を作り、最終的にはポイントまであと1ポジションとなる11位でチェッカーを受けた。

    結果には悔しさを残しながらも、角田裕毅にとって何より大きかったのは、再びF1でレースをする機会を得られたことだった。

    「またできるだけ早く戻ってこられたらと思っています。でも、正直、一番大切なのは本当に楽しめたことです」

    「この機会を与えてくれたレッドブル、そしてもちろんレーシングブルズにも感謝しています」

    角田裕毅は最後に、自身に代わって欠場することになったハジャーの回復を願った。

    「アイザックがしっかり回復して、できるだけ早く戻ってこられることを願っています」

    オランダGP後の公式インタビューでも、2027年のF1グリッド復帰について「期待しています。できることはすべてやったと思います」と語っていた角田裕毅。今回のSNSではさらに率直に、久々にF1で戦った週末を「夢のようだった」と表現した。

    ポイントには届かなかった。それでも、再びF1マシンでライバルと戦い、多くのファンから声援を受けたザントフォールトでの数日間は、角田裕毅にとって特別なものとなった。そして「またできるだけ早く戻ってこられたら」という言葉には、次のF1参戦を待ち望む思いが込められていた。