オスカー・ピアストリが2026年F1マシンへの適応に苦しんでいる背景には、ランド・ノリスとは異なるブレーキングスタイルがあると報じられている。その違いはコーナリングだけでなく、バッテリーエネルギーの使い方や最高速、さらにはタイヤデグラデーションにも影響を及ぼしているという。
2025年にはマクラーレンでノリスとタイトルを争ったピアストリだが、2026年はここまで12戦を終えてノリスに55ポイント差をつけられている。
ノリスが直近のハンガリーGPとオランダGPで連勝した一方、ピアストリは今季、安定してトップ争いに加わることができていない。
ノリスとのブレーキング操作の違い
オランダ版Motorsport.comによると、ピアストリが抱える問題のひとつが、2026年型F1マシンに対するブレーキングの方法だという。
ノリスはコーナー進入時にブレーキを残しながらスロットル操作を重ねる場面があり、これによってフロントを旋回させながらマシン姿勢を整えている。
一方のピアストリは、基本的にブレーキ操作とアクセル操作をより明確に分けるスタイルを取っているとされる。
この違いによってピアストリのマシンはコーナー進入からリアが滑りやすくなり、それがラップタイムのロスにつながっているという。特に安定したリアを好むピアストリにとって、2026年型マシンの挙動は扱いにくいものになっているとみられる。
さらに問題なのは、そのコーナーで失ったタイムをストレートで取り戻そうとすることで、ピアストリがノリスより多くの電気エネルギーを使用している点だ。
結果としてストレート後半では使用可能なバッテリーエネルギーが減り、ノリスほど高い最高速を維持できないケースが生じているとされる。
リアのスライドがタイヤにも影響
リアタイヤのスライドは、エネルギーマネジメントだけでなくタイヤにも悪影響を与えている。
ピアストリはコーナーでリアを滑らせることでタイムを失うだけでなく、ノリスよりタイヤを消耗させる傾向があるという。
ノリスはリアが動くマシンに対する適応力が高く、ある程度のスライドを許容しながら走ることができる。一方、ピアストリはマシン後部の安定性をより必要とするため、同じMCL40でもドライビング上の負担が大きくなっている。
マクラーレンは2026年序盤、短いホイールベースによってフロア面積が制限され、MCL40のダウンフォース不足に苦しんでいた。しかし、その後のアップグレードによってダウンフォースは増加し、マシン自体の競争力は大幅に改善している。
その成果を最大限に引き出しているのがノリスだ。ハンガリーGPとオランダGPを連勝し、ザントフォールトではピアストリが6位、優勝したノリスから32.332秒遅れでフィニッシュした。
つまり、現在のピアストリの差は単純にMCL40の性能不足だけでは説明できなくなりつつある。

2026年F1マシンではエネルギーマネジメントがより重要に
2026年F1レギュレーションでは電動パワーの比重が大幅に増しており、ドライバーが1周のどこでエネルギーを回生し、どこで放出するかが従来以上に重要になっている。
そのため、コーナリングで失ったタイムをストレートの電力放出によって補おうとすれば、その後の加速区間で使えるエネルギーが不足する可能性がある。
ピアストリの場合、ブレーキングから旋回にかけてのスタイルがリアのスライドを誘発し、それによってコーナーでタイムを失う。そして、その損失を補うためにバッテリーを多く使うという悪循環に陥っている可能性が指摘されている。
モンツァでは問題がさらに表面化する可能性
この特性は、今週末のF1イタリアGPでさらに大きな問題になる可能性がある。
モンツァは長い全開区間と強いブレーキングを繰り返す特殊なサーキットであり、2026年型パワーユニットではエネルギーマネジメントが極めて重要になる。
ストレートで必要以上にバッテリーを使用すれば、後半で電力が不足して最高速を失うリスクがある。また、ピアストリが抱えているとされるリアタイヤのスライドも、タイヤデグラデーションという形でレースペースに影響する可能性がある。
その先にはバクー、シンガポール、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ、メキシコシティ、サンパウロと、ピアストリが過去にも苦戦した低グリップ特性を含むサーキットが続く。
2026年の後半戦でノリスとの差を縮めるためには、ピアストリが単純にセットアップを改善するだけでなく、ブレーキングからスロットルへの移行を含めたドライビングそのものを2026年型F1マシンに適応させられるかが重要になりそうだ。
