カテゴリー: ホンダF1

  • ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    ホンダF1 メルセデスに「70馬力差」報道 実際の課題はドライバビリティ改善

    アストンマーティンとともに2026年のF1新時代に挑んでいるホンダのパワーユニットをめぐり、メルセデスに約70馬力の差をつけられているとの報道がイタリアから浮上した。ただし、この数字を単純なICE(内燃エンジン)の出力差として受け取るには注意が必要だ。

    ホンダ自身も、現時点でライバルに対して総合的なパワーで後れを取っていることは認めている。

    一方、オランダGPでスペック2を投入した現在の重点課題として挙げているのはドライバビリティであり、HRC Sakuraでは燃焼制御の安定化を中心とした作業が進められている。

    パワーへの依存度が高いモンツァは、その成果を確認する重要な舞台となる。

    イタリアメディアが「70馬力差」と報道
    イタリアメディア『Autoracer.it』は、オランダGPでスペック2が投入された後も、ホンダのパワーユニットはメルセデスに対して約70馬力の差があると報じた。

    同メディアは、この差が平均して1周あたり約1.2秒のタイムロスに相当するとし、フェラーリのエンジニアの見解として、ホンダがギャップを完全に埋めるまでには複数年を要する可能性があるとも伝えている。

    ただし、約70馬力という数字はホンダやアストンマーティンが公表したものではない。また、具体的にどの条件で算出された出力差なのかも明確ではない。

    2026年のF1パワーユニットでは、ICEだけでなく大幅に強化された電動システムの性能が実際の加速や最高速に大きく影響する。そのため、「70馬力」という数字だけをもってホンダのICEそのものがメルセデスより常時70馬力低いと断定することはできない。

    2026年F1では単純な「馬力差」では測れない
    2026年のF1では、パワーユニットの競争力を従来のような最高出力だけで評価することが難しくなっている。

    ICEの性能に加え、MGU-Kによる電気エネルギーの供給、バッテリーの状態、回生効率、そして限られたエネルギーをラップのどこで使用するかというデプロイメントが実際のパフォーマンスを左右するためだ。

    例えば、ストレート前半ではライバルと同等の加速を示していても、電気エネルギーを早い段階で使い切れば、後半では出力差が急激に拡大する可能性がある。逆に、エネルギーを温存すれば別の区間でタイムを失うことになる。

    さらに、車体側の空気抵抗やギア比、コーナーからの立ち上がり速度などもストレートでの速度に影響する。このため、外部から観測された速度差をそのままパワーユニットの馬力差に置き換えることは難しい。

    『Autoracer.it』が伝えた「約70馬力」「1周約1.2秒」という数字についても、現時点ではホンダとメルセデスの絶対的なICE出力差を示す確定値ではなく、あくまでイタリアから伝えられた推定値として扱う必要がある。

    ホンダ自身は「総合的なパワー不足」を認める
    一方で、ホンダがライバルとの差そのものを否定しているわけではない。

    Honda F1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、イタリアGPを前に、スペック2による前進を認めながらも、総合的なパワーでは依然としてライバルに後れを取っているとの認識を示している。

    「今週末の舞台となるモンツァは、長いストレートと11のコーナーで構成され、2026年カレンダーの中でも全開率が最も高いサーキットのひとつです。このコースでは、限られたエネルギーを各区間にどう配分するかが重要で、特に予選ではその影響が大きくなります。モンツァのラップタイムはパワーに非常に敏感です」

    「ザントフォールトでスペック2エンジンを導入し、パフォーマンス面では一歩前進することができました。ただ、総合的なパワーという点ではまだライバルに遅れていることは分かっていますので、今週末については現実的に考える必要があります」

    重要なのは、折原が「総合的なパワー」と表現している点だ。

    ホンダは具体的な馬力差には言及しておらず、70馬力という数字を認めたわけでもない。ICEだけでなく電動システムやエネルギーマネジメントまで含めた2026年型パワーユニット全体として、まだ競争力を高める必要があるというのがHRC側から示されている現状認識となる。

    スペック2で浮上したドライバビリティの課題
    ホンダはオランダGPで、ADUO(追加開発・アップグレード機会)による開発を反映したスペック2のパワーユニットを投入した。

    性能面では前進した一方、ザントフォールトでは新たな課題も表面化した。特に問題となったのがドライバビリティだった。

    フェルナンド・アロンソは週末を通じて、ダウンシフトやエンジンブレーキの挙動に一貫性がない状況に苦しんだ。最終的には18番グリッドから9位まで追い上げて2ポイントを獲得したものの、スペック2の性能を完全に引き出せたとは言い難い週末となった。

    つまりホンダにとって現在必要なのは、単純に最高出力を積み増すことだけではない。ドライバーがアクセル操作に対して予測可能なレスポンスを得られ、コーナー進入から立ち上がりまで安定してパワーユニットを使える状態を作る必要がある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    HRC Sakuraで燃焼制御の安定化に集中
    オランダGP以降、ホンダが重点的に取り組んできたのが、このドライバビリティの改善だ。

    折原はイタリアGPに向けた作業について説明している。

    「イタリアGPでの重要なテーマは、ドライバビリティを改善することです」

    「オランダGP以降、HRC Sakuraのダイナモで多くの作業を行ってきました。特に、安定して一貫性のある燃焼制御を実現することに取り組んでいます」

    「モンツァではその作業の効果を確認しながら、さらにチューニングを進めていきます。それによって、今後のレースでより高い競争力につなげていきたいと考えています」

    スペック2でハードウェア側の性能を引き上げても、燃焼状態やトルクの出方にばらつきがあれば、ドライバーはその性能を安定して利用できない。特にコーナー進入時のエンジンブレーキや、立ち上がりでのICEと電動システムの協調は、ラップタイムだけでなくドライバーのマシンに対する信頼にも直結する。

    そのため現在のホンダにとって、燃焼制御の安定化は単なる扱いやすさの改善ではなく、スペック2が本来持つ性能を引き出すための重要な開発項目となっている。

    モンツァでホンダの現在地が見える
    イタリアGPの舞台となるモンツァは、ホンダにとって厳しい一方で、その現在地を測るには適したサーキットでもある。

    長い全開区間ではICEの性能だけでなく、電気エネルギーをどこまで効率的に使い続けられるかが問われる。折原が指摘するように、特に予選では限られたエネルギーを1周のどこに配分するかが重要になる。

    したがって、モンツァで注目すべきなのは「本当に70馬力遅れているのか」という数字だけではない。

    スペック2によって総合的なパワー差がどこまで縮まったのか。そしてオランダGP後にHRC Sakuraで進められた燃焼制御の安定化によって、ドライバビリティがどこまで改善されるのか。アストンマーティンのストレートでの競争力と実際のラップタイムは、その成果を判断する重要な材料になる。

    約70馬力という衝撃的な数字の真偽を外部から正確に確認することは難しい。しかし、ホンダ自身が総合的なパワーでライバルに後れを取っていることを認めているのも事実だ。高速のモンツァは、その差の大きさとスペック2の改善効果をより鮮明に映し出す週末となりそうだ。

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • ホンダF1 スペック2をモンツァで検証 燃焼制御の安定化でドライバビリティ改善

    ホンダF1 スペック2をモンツァで検証 燃焼制御の安定化でドライバビリティ改善

    ホンダは、2026年F1第13戦イタリアGPに向けたプレビューを発表した。前戦オランダGPで投入したスペック2のエンジンによって性能向上を果たした一方、ホンダF1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、総合的な戦闘力では「依然としてライバルとの差がある」と認めている。

    高速のモンツァ・サーキットでは、パワーユニットの性能とエネルギーマネジメントが重要になる。

    ホンダはオランダGP以降、HRC Sakuraのベンチで燃焼制御の安定化に取り組んでおり、イタリアGPでは特にドライバビリティの改善とさらなる最適化を進める。

    スペック2投入後初の超高速サーキット
    2026年シーズン第13戦イタリアGPは、9月4日(金)にモンツァ・サーキットで開幕する。初日はFP1とFP2、5日(土)にはFP3と公式予選、6日(日)に決勝が行われる。

    モンツァは長いストレートを11のコーナーでつないだ、F1カレンダー屈指の高速サーキットだ。スロットル全開率が非常に高く、最高速だけでなく、限られたエネルギーを1周のどこで使うかという配分もラップタイムを大きく左右する。

    特に予選では、1周を通じて最大限のパフォーマンスを引き出すためのエネルギーマネジメントが重要になる。

    折原伸太郎はモンツァの特徴について次のように説明した。

    「今週末の舞台となるモンツァは、長いストレートと11のコーナーで構成され、スロットル全開率が非常に高いサーキットです。限られたエネルギーを各区間にどう配分するかが重要で、特に予選ではラップタイムを大きく左右します」

    ホンダ F1 ホンダ・レーシング

    スペック2で性能向上もライバルとの差を認識
    ホンダは前戦オランダGPで、アストンマーティンにスペック2のエンジンを投入した。

    新スペックによって性能面で前進したことを折原伸太郎も認めている。しかし、パワーユニットだけではなくマシンを含めた総合的な競争力という観点では、トップ勢との差を埋め切れていないとの認識を示した。

    「前戦オランダGPで投入したスペック2のエンジンにより性能は向上しましたが、総合的な戦闘力は依然としてライバルとの差があり、チャレンジングな週末になると考えています」

    モンツァはパワーユニットへの要求が極めて大きいだけに、スペック2投入による改善が実戦でどこまで競争力につながるのかを確認する重要な週末となる。

    HRC Sakuraで燃焼制御を改善
    イタリアGPに向けてホンダが重点的に取り組んできたのがドライバビリティだ。

    オランダGPでは新スペックによる絶対的な性能向上だけでなく、パワーユニットをいかに安定して扱える状態にするかも課題となった。ホンダはレース後、HRC Sakuraのベンチで燃焼制御の改善作業を継続している。

    「イタリアGPに向けては、ドライバビリティの改善に注力してきました。オランダGP以降、HRC Sakuraのベンチで安定した燃焼制御の実現に取り組んでおり、モンツァではその効果を確認しながら、今後の競争力向上につながるよう、さらなる最適化を進めます」

    今回のモンツァでは、スペック2の純粋なパフォーマンスだけでなく、燃焼制御の安定化によってドライバーが要求するトルクをどれだけ扱いやすく引き出せるかも焦点となる。

    長い全開区間を持つモンツァは、ホンダの新スペックが持つ現在地を測るうえで格好の舞台となる。オランダGPで得たデータとHRC Sakuraでのベンチ作業を実車で検証し、今後の競争力向上につなげられるか。ホンダにとってイタリアGPは、スペック2のさらなる熟成に向けた重要な一戦となる。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1は、大幅アップデートを施したAMR26Bとホンダ製パワーユニットについて、まだ本来のポテンシャルを完全には引き出せていないと考えている。トラックサイドオペレーションディレクターのマイク・クラックは、新しいパッケージへの理解を深めることで、今後さらにパフォーマンスを高められるとの見方を示した。

    アストンマーティンはハンガリーGPで大規模な車体アップデートを投入し、オランダGPでは新仕様のホンダ製パワーユニットを導入。わずか2戦で後方からポイント争いへと浮上した。

    特にザントフォールトではAMR26Bの競争力が明確になった一方、クラッグは現時点のパフォーマンスが完成形ではないと強調している。

    大規模アップデートは「理解するために数セッション必要」
    アストンマーティンがハンガリーGPで投入したアップデートは、新シャシーと空力パッケージを含む大規模なものだった。変更範囲が広いだけに、セットアップや運用方法についてチームが学ぶべき部分も多いという。

    「我々はこのアップデートについて、ますます理解を深めている。ブダペストで投入した大規模なパッケージについては、どのように取り組み、どのようにセットアップすべきかを学ぶために、いくつかのセッションが必要になる」

    クラッグは、オランダGPで投入されたホンダの新仕様パワーユニットについても同様だと説明する。

    「そして、今回導入したパワーユニットについても同じことが言える。我々はその使い方を学び、最適化する方法を学ばなければならない。数戦はかかると思うが、良い前進だった」

    ザントフォールトはスプリントフォーマットで行われたため、通常のグランプリ週末よりもフリー走行時間が限られていた。大規模な変更を施したマシンを理解するには、決して理想的な状況ではなかった。

    「これは、新しいものを理解しようとしているという話とも一致する。大規模な変更がある場合、セッションが非常に慌ただしいなかで、常にすべてから最大限を引き出すのは難しい」

    「セッションを重ねれば重ねるほど、よりうまくコントロールできるようになる。ただ、少し苦戦するセッションもあれば、より簡単に進められるセッションもある。今週末については、かなり良いセットアップができていた」

    つまり、ザントフォールトで見せた競争力は、AMR26Bと新しいホンダPUを完全に最適化した結果ではない。今後データを蓄積し、両者の使い方への理解が進めば、さらにパフォーマンスを引き出せる余地が残されている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは予選より決勝で競争力を発揮
    一方で、AMR26Bには依然としてサーキット特性による得意不得意が存在する。

    フェルナンド・アロンソはオランダGP後、レースが進んでタイヤが劣化するほどマシンの相対的な競争力が高まったと指摘していた。タイヤのグリップやパワーユニットの性能だけに頼る状況ではなくなることで、AMR26Bが持つ車体そのものの良さを生かしやすくなるためだ。

    クラッグも、アストンマーティンが予選より決勝で強さを発揮する傾向を認めている。

    「ブダペストの時点から、我々がレースでは少し強いことは分かっている」

    ただし、依然として課題となるのがストレートスピードだ。

    「フェルナンドが、我々の結果はストレートがどれくらい長いかによって、おおよそ決まると言っていたと思う。ここ2戦はストレートが少し短かった」

    ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも長い全開区間が少なく、AMR26Bの車体性能を生かしやすいレイアウトだった。そのため、より長いストレートを持つサーキットでは苦戦する可能性がある。

    「これからもっと難しいレースもあるだろう。ただ、それもこの世界の一部だと思う。強いレースもあれば、それほど強くないレースもある。残りのシーズンがどう展開していくのか興味深い」

    アストンマーティンにとって重要なのは、AMR26BとホンダPUの双方にまだ最適化の余地がある点だ。現時点ではサーキット特性、とりわけストレートの長さによって競争力が左右されるものの、大規模アップデートへの理解が進めば、現在以上の性能を引き出せる可能性がある。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソは、2027年以降もF1参戦を続けるかどうかについて、ホンダが投入したアップグレード版パワーユニット(PU)の絶対的な性能は判断材料として「重要ではない」と語った。

    アストンマーティンとホンダは2026年F1シーズン前半に苦戦したが、アロンソが重視しているのは今回のアップデートで何秒縮められるかではない。

    開発現場で狙った改善が実際のマシンでも再現されるか、つまり開発の方向性と相関性が正しいことを確認できるかが、将来を見極めるうえで重要だと説明した。

    ホンダ新PUの性能と2027年の去就は「関係ない」
    ホンダは前戦オランダGPで今季初となるPUアップデートを投入した。シーズン前半は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンもシャシー側で苦戦したことから、両者のパートナーシップの立ち上がりは厳しいものとなった。

    そうした状況を受け、2026年限りで現在の契約を終えるアロンソが2027年もF1に残るかどうかは、ホンダの改良型PUがどれだけ進歩するかに左右されるのではないかとの見方も出ている。

    しかし、アロンソはその考えを否定した。ホンダの新PUのパフォーマンスが自身の決断にどれほど重要なのかと尋ねられると、明確に答えた。

    「重要ではない」

    「もちろん、パワーやドライバビリティ、それに僕たちに欠けていた部分で何らかの恩恵が見られることを期待している」

    「でも僕にとってもっと重要なのは、ブダペストでのシャシー側と同じように、何が必要なのかを理解したうえで開発の考え方があり、それによって前進できていることを確認することだ」

    「0.1秒でも1秒でも数字は重要ではない」
    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでシャシーのアップデートを投入した。アロンソによれば、その際も目的は一気にトップ争いへ加わることではなく、ファクトリーで進めてきた開発の方向性が実車でも正しく機能するかを確認することだった。

    「ブダペストでは、トップのポジションを争えるとは思っていなかった。でも、シャシー側で進んでいる方向が正しいのかを確認したかった。そして、それは確認できたと思う」

    「だから将来に向けて励みになる。相関性が良くて、僕たちが期待していたものが実際に得られたからだ」

    アロンソは、今回のホンダのPUアップデートについても同じ視点で評価しているという。

    「今度はエンジンでも同じだ。彼らはエンジンにいくつか変更を加えた。だから、すべてが期待どおりに機能していることを確認できればいい」

    「それが0.1秒なのか1秒なのか、その数字自体は本当に重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソが重視する「相関性」
    アロンソの発言から浮かび上がるのは、現時点のラップタイムそのものよりも、アストンマーティンとホンダが開発を正しい方向へ進められているかを重視しているという点だ。

    F1マシンの開発では、シミュレーションやダイナモ、風洞などで予測された改善がサーキットでも再現される「相関性」が重要になる。期待した効果が実車で確認できれば、その開発手法を基盤として次のアップデートへつなげることができる。

    ハンガリーGPのシャシーアップデートについて、アロンソはすでにその相関性を肯定的に評価している。ホンダのPUについても、今回の変更によって得られる絶対的なタイム短縮量ではなく、開発段階で予測した改善が実際に現れるかを確認したいということになる。

    「僕たちはかなり後ろにいるから、数字そのものを気にしている場合ではない」

    「僕たちが期待したものが、実際に届けられていることを確認したいだけだ」

    2027年のF1継続はまだ決断せず
    アロンソは現時点で、2027年もF1参戦を続けるかどうかを正式には決断していない。

    今回の発言は、ホンダの新PUが速ければ残留し、期待外れならF1を去るという単純な判断ではないことを示している。むしろアロンソが見ているのは、アストンマーティンとホンダが問題を正しく把握し、ファクトリーで想定した改善をサーキットへ確実に持ち込める組織になっているかどうかだ。

    2026年後半戦で求められているのは、一度のアップデートによる劇的な順位上昇ではない。シャシーとPUの双方で開発の相関性を確立し、継続的に前進できることを示せるか。そのプロセスこそが、アロンソにとってアストンマーティン・ホンダの将来性を判断する重要な材料になりそうだ。

  • ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダF1 人材不足解消「レッドブル時代の重要エンジニアも復帰」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、2026年F1シーズン序盤の苦戦につながった要因のひとつだった人材面の問題について、現在はすでに解消したと明かした。さらに、レッドブルとのプロジェクトで成功を支えた重要なエンジニアもF1プロジェクトに復帰しているという。

    アストンマーティン・ホンダは、新レギュレーションが導入された2026年に厳しいスタートを切った。

    ホンダは新型パワーユニット(PU)の開発開始でライバルに後れを取り、その背景には2021年末のF1撤退に伴う開発体制の縮小もあった。

    しかし、渡辺康治社長は現在のHRCについて「人数という意味でも、能力という意味でも十分なエンジニアを採用することができた」と説明。2027年に向けた巻き返しへの体制は整ったとの認識を示している。

    2021年のF1撤退で生じた開発の空白
    ホンダは2021年限りでF1への正式参戦を終了。当時F1プロジェクトに所属していた多くのエンジニアは、量産車や先進技術などホンダ社内の別部門へ異動した。

    その後もHRCを通じてレッドブルへのPU供給と技術支援を継続したものの、F1プロジェクト自体は以前より大幅に縮小されていた。

    渡辺康治社長は以前、2022年3月末にエンジニアをホンダの各部門へ戻し、2023年4月にF1復帰が承認されてから再び人材を集め始めたため、体制を100%まで戻すには時間が必要だったと説明している。

    新規則に向けて早い段階から開発を続けていたライバルに対し、この空白期間はホンダにとって大きなハンデとなった。

    渡辺康治社長は今回、2026年シーズン序盤の苦戦について、その事実を改めて率直に認めた。

    「私たちは開発を始めたのが非常に遅かったので、その遅れを取り戻す必要があります」

    「遅れを取り戻すのは簡単ではありません。予算制限がありますし、それ以外にもさまざまな制約があります」

    2023年からPUメーカーにもコストキャップが導入されたことで、単純に人員や予算を投入してライバルとの差を埋めることもできない。

    人材不足「今はもう問題ではありません」
    しかし、F1復帰当初に抱えていた人材面の問題については、すでに状況が大きく変わっている。

    「はい、以前は問題がありました。しかし、今はもう問題ではありません」

    「人数という意味でも、能力という意味でも、十分なエンジニアを採用することができました。ですから、今は大丈夫です」

    ホンダは2026年F1復帰に向けて社内から経験者を呼び戻すだけでなく、新たなエンジニアの採用も進めてきた。英国にもHRC UKを設立し、アストンマーティンの本拠地であるシルバーストンとの連携を強化する体制を構築している。

    レッドブル時代の重要エンジニアが復帰
    さらに注目されるのが、レッドブルとのF1プロジェクトを経験したエンジニアの復帰だ。

    ホンダはレッドブルとのパートナーシップでF1世界選手権を制し、マックス・フェルスタッペンのタイトル獲得を支えるなど大きな成功を収めた。

    その時代にプロジェクトを支えた人材が、現在のアストンマーティン・ホンダのF1プロジェクトにも戻ってきているのかと問われた渡辺康治社長は認めた。

    「はい、そうです」

    ただし、レッドブル時代のスタッフ全員が復帰したわけではない。

    「全員ではありません。ただ、当時そこで仕事をしていた重要な人たちはF1プロジェクトに戻ってきています」

    ホンダにとって重要なのは単純な人数だけではない。F1のPU開発や実戦運用を経験し、レッドブルとともにタイトルを争った経験を持つ人材が戻ったことで、新たに加わったエンジニアへノウハウを伝えていくことも可能になる。

    「私たちは完全に準備できています」
    人員の再構築を進めてきたHRCについて、成功を目指すために必要な体制は整ったのか。

    渡辺康治社長の答えは明確だった。

    「もちろんです。私たちは完全に準備できています」

    一方で、組織を立て直したからといって、すぐにトップメーカーとの差を埋められるわけではないとも強調する。

    「すべてのチームが毎日進化しています」

    「追いつくということは、相手よりも速いペースで進化しなければならないということです。それは簡単なことではありません」

    ホンダが追いかけているライバルも開発を続けている。現在存在する性能差を縮めるためには、ライバルを上回る速度で開発を進めなければならない。

    ホンダ・レーシング

    スペック2は「最初の一歩」
    その巻き返しに向けた具体的な一歩となったのが、F1オランダGPで投入された新仕様PUだ。

    ホンダは2026年シーズン序盤からPUの性能やドライバビリティなどで苦戦してきたが、ザントフォールトでアップデートを投入した。

    ただし、渡辺康治社長は今回のスペック2を完成形とは位置づけていない。

    「もちろんです。今回のスペック2は、状況を改善するための最初の一歩です」

    「そして、毎年少しずつ近づいていきます。私たちの目標は勝つことです」

    つまり、今回のアップデートは一度でライバルとの差を埋めるためのものではなく、今後続いていく開発のスタート地点という位置づけだ。

    ADUOを活用してライバルを追撃
    ホンダが差を縮めるうえでもうひとつ重要になるのが、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)だ。

    ADUOは、F1のPUメーカー間に一定以上の性能差が確認された場合、後れを取っているメーカーに追加の開発機会を認める仕組みである。

    渡辺康治社長も、この制度を利用して開発を加速させる必要があると語った。

    「もちろん、ADUOのレギュレーションを活用しながら開発を加速させて、近づいていかなければなりません」

    FIAが公表した最初の2回のADUO評価では、レッドブル・パワートレインズが基準となり、ホンダは4%を超える性能差があるカテゴリーに入ったことで追加開発機会を得ている。

    ホンダにとってADUOは単なる救済措置ではなく、開発開始の遅れによって生じたギャップを取り戻すために活用すべき重要な機会となる。

    2027年は「はるかに上」に
    では、人材面の立て直しを終え、スペック2を投入し、ADUOによる追加開発機会も得たホンダは、2027年にどこまで前進できると考えているのか。

    渡辺康治社長は、まず目の前の課題をひとつずつ解決していく必要があるとしながらも、来季について強い期待を示した。

    「その後、一歩ずつトップチームに近づいていきます」

    「ですから来年は、もちろん現在の状況と比べれば、はるかに、はるかに上のところにいるはずです」

    2021年のF1撤退によって生じた人材と開発の空白は、2026年のホンダに大きな影響を残した。しかし、HRCはその問題を認めたうえで組織を再構築し、現在は人数と能力の両面で必要なエンジニアを確保したとしている。

    さらに、レッドブルとともにF1タイトルを戦った時代の重要なエンジニアもプロジェクトに復帰した。

    スペック2の投入は渡辺康治社長が語るように、あくまで「最初の一歩」だ。人材不足を解消した新たな開発体制とADUOによる追加開発機会を生かし、ホンダは2027年に現在より「はるかに上」の位置へ進むことを目指している。

  • アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1がハウス音楽と異色コラボ 若いファン層との接点拡大へ

    アストンマーティンF1チームは、英国のハウスミュージック専門レーベル「Defected Records」とパートナーシップを締結した。

    モータースポーツと音楽の組み合わせ自体は珍しくないが、今回の取り組みは単なるイベント演出ではなく、F1という競技の枠を越えてファンコミュニティを広げることを狙ったものだ。

    F1とハウスミュージックはいずれも世界規模で支持を拡大しており、アストンマーティンは両者に共通する「グローバルな規模」と「ファン同士の親密なつながり」に着目した。グランプリを訪れない層にもチームの世界観に触れてもらうことで、新たなファンとの接点を築こうとしている。

    アストンマーティンF1とDefected Recordsが提携
    アストンマーティンは今週、英国を代表するハウスミュージックのレコードレーベル、Defected Recordsとのパートナーシップを発表した。

    ハウスミュージックは1980年代初頭に米国シカゴで誕生し、その後世界的なジャンルへと成長した。現在ではヒットチャートにも頻繁に登場し、若い世代を中心に大きな支持を集めている。

    F1との距離も決して遠くない。ドライバーがSNSに投稿する動画などでもハウスミュージックが使用される機会は多く、オスカー・ピアストリもその一例だ。

    アストンマーティンは今回、その関係をさらに一歩進めた。ロンドン中心部のソーホーでは、ファンコミュニティ「I/AM」のメンバーを対象とした「Driven By Sound」と題するポップアップイベントを開催した。

    一見するとF1チームとハウスミュージックのレーベルという異色の組み合わせだが、アストンマーティンF1チームの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるロブ・ブルームは、両者には共通する考え方があると説明する。

    「我々は象徴的な存在と結びつきたいと考えており、Defectedはまさにその条件を満たしている」

    「Defectedには、ハウスミュージックはダンスフロアの内外に存在し、コミュニティ文化は音楽そのもの以上のものだという考え方がある。我々アストンマーティンF1チームも、まったく同じ考え方を持っている。グランプリに行くかどうかに関係なく、ファンと交流し、我々の世界に迎え入れたい」

    「自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在」
    ブルームは、アストンマーティンというブランドそのものが、以前から自動車というカテゴリーだけに収まらない存在だったと強調する。

    「アストンマーティンというブランドには100年の歴史があるが、常に文化的な現象でもあった。その存在は中核となる製品をはるかに超えている」

    「我々は文化という領域で、自分たちのカテゴリーの外へ踏み出すことに非常に慣れている。そこが我々の活動する場所であり、単なる自動車会社やモータースポーツチーム以上の存在でありたいと考えている」

    音楽とF1には以前から深いつながりがある。Fleetwood Macの「The Chain」がF1を象徴する楽曲として知られてきたほか、『F1/エフワン』でも音楽は作品を構成する重要な要素となった。

    数多くの音楽ジャンルが存在するなか、アストンマーティンがハウスミュージックを選んだ理由について、ブルームは両者の「自然な一致」を挙げた。

    「自然な親和性がある。ハウスミュージックとF1を見ると、どちらにも規模の大きさと親密さがある」

    「ハウスミュージックとF1という2つのグローバルな存在があり、世界には8億2500万人のF1ファンがいる。本当にグローバルだ」

    「しかし、今回のような小さな機会にファンを集めることで、そこに親密さが生まれる。巨大なグローバルプラットフォームでありながら、その中で非常に個人的で親密な関係や体験を作ることができる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソのレーシングスーツからホンダF1のPUサウンドまで
    ソーホーで開催されたポップアップイベントでは、I/AMメンバーがアストンマーティンF1チームをより身近に体験できるさまざまな企画が用意された。

    DJのサム・ディヴァインやRUZEによるセットを聴きながら無料のコーヒーを楽しめるほか、日曜日にはランニングクラブも開催された。

    会場内にはフェルナンド・アロンソのレーシングスーツとヘルメットも展示された。また、来場者がさまざまな音を体験できる「サウンドウォール」も設置され、チーム無線やホンダ製F1パワーユニットのサウンド、さらにF1 ACADEMYドライバーのマリ・ボヤに関連するチーム無線などを聴くことができた。

    ハウスユニット「The Shapeshifters」のプロデューサーであるサイモン・マーリンは、ダンスミュージックが生み出すコミュニティについて次のように語った。

    「僕がこの仕事を始めてから、ダンスミュージックは大きく進化した。ダンスフロアで友人を見つけることほど特別なことはない」

    「Defected Croatiaはその素晴らしい例だ。10年前には一度も会ったことがなかった人たちが、いまでは親友になり、今年のフェスティバルが終わったことを一緒に泣いて惜しんでいる」

    「そういうことは、自分が特別だと感じられ、期待していたものを超えるような共有体験によってしか起こらない。そうした瞬間が人々を結びつける。ハウスミュージックは、それを実現する最大かつ最高のプラットフォームだ。とてもポジティブな力がある」

    F1とハウスミュージックで広がる新たなファン文化
    F1とハウスミュージックの接点は、すでにさまざまな形で生まれている。世界的なDJがF1公式プレイリスト「F1 Tracks」に参加しているほか、2026年F1シンガポールGPではDiploがパフォーマンスを行う予定だ。

    元F1ドライバーが音楽の世界へ進んだ例もある。フェルナンド・アロンソと同じスペイン出身のハイメ・アルグエルスアリは、F1引退後に「Squire」の名義でDJ、音楽プロデューサーとして活動している。

    アストンマーティンとDefected Recordsの提携が示しているのは、F1チームがレース週末だけをファンとの接点とは考えなくなっていることだ。音楽やファッション、ライフスタイルといった領域を通じて、サーキットを訪れない人々とも継続的なコミュニティを形成することが、チームのブランド戦略で重要性を増している。

    世界規模のファンを持ちながら、一人ひとりには身近な体験を提供する。アストンマーティンF1チームはハウスミュージックとのコラボレーションを、その新しいファンとの関係を築く手段のひとつとして位置づけている。

  • アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1 フェルナンド・アロンソ年俸の一部負担をホンダに要求か

    アストンマーティンF1が、フェルナンド・アロンソとの契約延長に向けて、ホンダに年俸の一部負担を求めているとスペインのスポーツメディア『ElDesmarque』が報じた。ローレンス・ストロールは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やし、その一部をアロンソの残留に充てたい考えだという。

    アロンソの現行契約は2026年末で満了する。2027年と2028年については年俸4000万ユーロ(約74億円)を要求しているとされ、2年間では総額8000万ユーロ(約148億円)に達する。

    この高額な契約を成立させるため、アストンマーティン側はワークスパートナーであるホンダにも協力を求めているようだ。

    ストロールがホンダにアロンソの年俸負担を要請か
    『ElDesmarque』は、F1のビジネス事情に詳しいジャーナリスト、マルク・リマシェの情報として、ローレンス・ストロールがホンダにフェルナンド・アロンソの将来の給与の一部を負担してもらうことを望んでいると伝えている。

    アストンマーティンは2027年以降、ホンダからチームへの資金拠出を増やすことを求めており、その追加資金の一部をアロンソとの契約延長に充てる考えだという。

    アロンソの要求額については、リマシェが今月初め、2027年と2028年の契約延長に向けて1シーズンあたり4000万ユーロ(約74億円)を求めていると報告。この情報はイタリアの『La Gazzetta dello Sport』も取り上げ、「2年間で8000万ユーロ」と報じている。

    アロンソは現在45歳だが、F1で依然として高い評価を受けており、アストンマーティンにとってはマシン開発においても重要な存在となっている。チームはエイドリアン・ニューウェイを中心にタイトルを争える体制の構築を進めており、そのプロジェクトに2度のF1ワールドチャンピオンを残すことを望んでいる。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    アロンソ残留にはホンダの競争力も重要
    一方で、アロンソが2027年以降もF1参戦を続けるかどうかは、契約条件だけで決まるわけではない。

    アロンソは自身の将来について、ローレンス・ストロールやエイドリアン・ニューウェイらと話し合ったうえで判断する考えを示している。その決断を左右する重要な要素のひとつが、アストンマーティンとホンダの競争力だ。

    2026年からアストンマーティンはホンダのワークスパートナーとなり、新しいF1パワーユニット規則のもとでホンダ製PUを搭載している。『ElDesmarque』は『The Race』の報道も引用し、ホンダの今後の進歩がアロンソの将来を左右する可能性があると指摘している。

    ホンダ製PUがシーズン後半に十分な進歩を示し、アストンマーティンが勝利やタイトル争いを現実的に狙える状況になれば、アロンソがF1参戦を続ける大きな理由になる。一方で期待するレベルに届かなければ、45歳という年齢も含めて引退を選択する可能性も残されている。

    HRCの渡辺康治社長も、アロンソが2027年もアストンマーティン・ホンダのプロジェクトに残ることを強く望んでいる。渡辺社長はアロンソと仕事をすることはホンダにとって「極めて重要」と語り、その経験と開発能力を高く評価している。

    今回の報道が事実なら、ホンダには競争力のあるF1パワーユニットを提供するだけでなく、アロンソをチームに残すための経済的な協力まで求められていることになる。

    アロンソが求めているとされる年俸4000万ユーロ、アストンマーティンのマシン開発、そしてホンダF1パワーユニットの競争力。2027年以降もアロンソがF1で戦い続けるかどうかをめぐり、今後はホンダも重要な鍵を握ることになりそうだ。

  • ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    ホンダF1 新PUの問題点「燃焼が安定しない」 MGU-Kとの協調制御も課題

    アストンマーティンとホンダは、2026年F1オランダGPで今季最高水準のパフォーマンスを見せた。フェルナンド・アロンソは9位に入り、ホンダがザントフォールトで投入した新スペックのパワーユニット(PU)も、ベンチテストで設定していた性能目標をサーキット上で達成したという。

    しかし、アストンマーティン・ホンダが本来の性能を引き出すには、まだ重要な課題が残されている。

    ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原伸太郎は、The Raceの取材に対し、現在最大のテーマとなっている「ドライバビリティ」の具体的な問題を説明した。

    この問題は単純なアクセル操作に対する出力特性だけではない。2026年F1パワーユニットでは、MGU-Kによる最大350kWのエネルギー回生、エンジンブレーキ、ブレーキ・バイ・ワイヤ、ギアボックスのダウンシフトを極めて高い精度で同期させる必要があり、その制御がアロンソとランス・ストロールが訴えてきたマシン挙動にも直結している。

    ホンダ新スペックPUはダイノでの目標を達成
    ホンダにとって、ザントフォールトで投入した新しいパワーユニットには明確な成果があった。

    週末を通じて信頼性上の大きなトラブルはなく、改良された冷却系と潤滑系についても想定通りに機能したという。

    「すべて期待通りに機能していました」と折原伸太郎は説明した。

    出力向上幅についてホンダは具体的な数字を明かしていない。The Raceは現時点で10~30bhp程度の範囲にある可能性を指摘している。

    「ダイノで設定していた社内目標を達成し、サーキットでも同じ改善を確認できました」

    一方で、折原伸太郎はホンダがF1のトップPUメーカーから「まだかなり遠い」と認めている。

    そして、次に解決しなければならない最大の課題については、アロンソ、ストロール、アストンマーティンF1代表のエイドリアン・ニューウェイ、そしてホンダ自身の認識が一致している。

    「ドライバビリティには改善の余地があることは分かっています。今後のレースに向けて、これは我々にとって最重要課題であり続けます」

    アロンソを苦しめる「ドライバビリティ」の正体
    F1で使われるドライバビリティという言葉は幅広いが、基本的にはドライバーの要求に対してパワーユニットがどれだけ正確かつ予測可能に反応するかを意味する。

    一般的にはアクセルを踏んだ際の出力特性が注目されるが、問題は加速時だけではない。

    コーナー進入時のエンジンブレーキも重要な要素だ。

    2026年のF1では、ドライバーがアクセルを戻したりブレーキを踏んだりすると、パワーユニットは後輪を駆動する状態からMGU-Kを利用してエネルギーを回収する状態へ移行する。

    ここでは内燃エンジンによるエンジンブレーキ、MGU-Kによる回生、リアブレーキを制御するブレーキ・バイ・ワイヤ、さらにギアボックスのダウンシフトまでを同期させなければならない。

    折原伸太郎は、その難しさを具体的に説明する。

    「ドライバーがアクセルを戻せばエンジンブレーキがかかりますが、同時にMGU-Kは350kWで回生しています。そのため、動作点はほぼ2倍になります」

    「そこからMGU-Kのパワーが低下し、エンジントルクも低下します。しかしドライバーが要求しているのは0Nです。この0Nを実現するのは非常に複雑です」

    「エンジン、燃焼、MGU-K制御の間で連携しなければなりません。この組み合わせをどう構成するかは、我々が改善しなければならない領域のひとつです」

    バッテリーが満充電になる瞬間にも挙動が変わる
    さらに難しいのが、MGU-Kによる回生量が一定ではないことだ。

    バッテリーが100%に達した場合や、チームが特定のコーナーに設定した充電上限に達した場合、MGU-Kは即座に回生を停止しなければならない。

    すると、それまで減速力の一部を担っていた回生トルクが失われる。

    その瞬間に通常のエンジンブレーキへ滑らかに移行できなければ、ドライバーが期待していた減速量と実際のマシンの挙動にズレが生じる。

    制御が合わなければ、エンジンブレーキが強すぎてリアが不安定になることもあれば、十分なエネルギーを回収できない場合もある。エンジン側のトルクによってアンダーステアが発生したり、回転数が同期せずギアボックスがダウンシフトを受け付けなかったりする可能性もある。

    アロンソがオランダGP後に指摘していたダウンシフトやエンジンブレーキの不規則な挙動は、こうした複数のシステムの協調制御と密接に関係している。

    2026年F1規則で難易度がさらに上昇
    この問題が2026年に一段と難しくなった理由は、新しいF1パワーユニット規則にある。

    電気エネルギーが総出力に占める割合が大幅に増えたため、MGU-Kによる回生を効率的かつ正確に行う重要性も増した。

    同時にMGU-Hが廃止された。

    従来はターボからMGU-Hで回収した電気エネルギーをMGU-Kとの間で利用することができ、バッテリーを介さないエネルギーのやり取りも可能だった。2026年規則ではその選択肢がなくなったことで、MGU-Kと内燃エンジンの協調制御がさらに重要になっている。

    そしてホンダには、もうひとつ課題がある。

    燃焼そのものだ。

    「時々、我々の燃焼は安定していません」と折原伸太郎は認めた。

    2026年のPU規則変更に加え、ホンダは燃料でアラムコ、潤滑油でバルボリンという新たなパートナーと開発を進めている。燃焼特性を最適化できれば、加速時だけでなく減速時のドライバビリティ改善にもつながる。

    逆に言えば、この問題を解決するまでは、アストンマーティンもホンダも現在のPUが持つ本当の性能を把握できない。

    アロンソが新スペックPUの改善幅をまだ正確には評価できないとしている理由もここにある。

    ホンダF1 ホンダ・レーシング

    ホンダはザントフォールトで一晩のうちに制御を修正
    ホンダはすでに対策を進めている。

    ザントフォールトで金曜日の走行を終えた後、収集したデータを日本のさくら研究所へ送り、ドライバビリティ改善に向けた作業を夜間に実施した。

    その成果として土曜日の予選では新しいキャリブレーションが導入され、一定の改善が確認された。

    ただし、折原伸太郎によれば、それでも「ドライバーにとってはまだ十分ではない」。

    次戦イタリアGPに向けてもさらなる改善を進める。

    一度のアップデートですべてを解決できる問題ではない。ザントフォールトからモンツァまでの期間にダイノで作業を続け、その後もコーナー特性、エネルギー要求、エンジンブレーキへの要求、路面特性が異なるサーキットを走りながら理解を深めていく必要がある。

    アロンソ「あとコンマ数秒ある」
    アロンソは、ホンダがパッケージを最適化できれば「あとコンマ数秒」は改善できると考えている。

    その水準まで到達すれば、アストンマーティンは安定してポイントを争える位置まで浮上する可能性がある。

    実際、今季序盤と比較すると改善幅は大きい。

    アストンマーティンはシーズン序盤、Q1の基準タイムから3.1%遅れていた。その後、ライバルの開発が進むにつれてバルセロナ、レッドブル・リンク、シルバーストンでは4%以上の差まで後退した。

    しかし、アップグレードされたシャシーを投入したハンガリーGPで差を縮め、ザントフォールトではさらに前進した。

    オランダGP予選では、アロンソがアウトラップでエステバン・オコンにつかえるなど理想的なセッションではなかった。それでもQ1のタイムは基準からわずか1.4%差だった。

    Q1最速だったマクラーレンのオスカー・ピアストリとの差は約1.3秒だった。

    シーズン中にはトップから4秒以上離されることもあっただけに、アロンソはこの急激な改善をこう表現した。

    「2レースで3秒改善した。これはすごいことだよ」

    ホンダの進歩がアロンソの2027年F1継続を左右
    次の焦点は、この改善が継続するかどうかだ。

    モンツァのようにパワーへの依存度が高いサーキットでは、アストンマーティン・ホンダが再び苦戦する可能性も残されている。

    それでも、ホンダがドライバビリティを改善し、新スペックPUが持つ性能をさらに引き出すことができれば、アロンソが2027年もチームに残る判断を後押しする重要な材料になる。

    現時点では、アロンソが2027年もアストンマーティンに残りたいと考えているのか、あるいはF1そのものを続けるのかについて正式な結論は出ていない。

    The Raceによれば、オランダGP終了後の日曜夜には、アストンマーティンのモーターホームでアロンソとニューウェイが長時間にわたって話し込む姿が目撃された。さらにイタリアGPまでの期間には、オーナーのローレンス・ストロールと将来について話し合う可能性があるという。

    アストンマーティンはシャシー側で前進し、ホンダも新スペックPUでダイノ上の目標を達成した。しかし、両者のパッケージが本当に競争力を取り戻したと判断するには、PUのドライバビリティという最後の大きな課題を解決する必要がある。

    その進展は2026年後半戦のアストンマーティンの成績だけではなく、アロンソが2027年もF1グリッドに立つかどうかを左右する材料にもなりそうだ。

  • アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1 AMR26Bに残る「隠れた弱点」ニューウェイが軽量化を推進

    アストンマーティンF1は、AMR26Bのさらなる性能向上に向けて「重量」という課題に取り組んでいる。ハンガリーGPで投入された大幅改良型は空力面で前進し、ホンダもパワーユニットの性能向上を進めているが、マシンは依然としてF1の最低重量に達していないという。

    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、チームがモンツァとバクーでAMR26Bの軽量化を進め、最低重量まで引き下げることを短期的な目標としていると明かした。

    エイドリアン・ニューウェイ率いる技術陣にとって、空力開発やホンダF1パワーユニットの改善とは別の領域でラップタイムを削る重要な取り組みとなる。

    AMR26Bで状況が一変したアストンマーティン
    2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンは厳しい状況に置かれていた。新レギュレーションが導入された最初の10戦では、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが他チームと競り合うことさえ難しいレースが続いた。

    しかし、ハンガリーGPでAMR26Bと呼ばれる大幅改良型を投入し、さらにオランダGPでもアップデートを加えたことで状況は変化した。

    ザントフォールトではアロンソが18番グリッドから9位まで挽回してポイントを獲得。アストンマーティンが中団で戦えるだけの競争力を取り戻しつつあることを示した。

    そのパフォーマンス向上には空力面の進歩に加え、オランダGPで投入されたホンダF1パワーユニットの新仕様も一定の役割を果たした。ただし、パワー面での向上が確認された一方、新仕様ではドライバビリティに新たな課題も生じた。

    ホンダF1新PUはブレーキングとシフトダウンが課題
    次戦イタリアGPに向けた課題のひとつが、ホンダF1パワーユニットのドライバビリティ改善だ。

    オランダGPでは、特にブレーキングからシフトダウンにかけての挙動が安定せず、ドライバーがマシンの性能を最大限に引き出すうえで障害となった。

    デ・ラ・ロサは、改善すべきポイントについて次のように説明している。

    「新しいエンジンについては、ドライバビリティを改善しなければならない。特にブレーキングとシフトダウンの部分だ」

    この領域ではホンダ側の改善が重要になる。一方、アストンマーティン側ではAMR26Bそのものについて、空力アップデートとは異なる性能向上策が進められている。それがマシンの軽量化だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは依然として最低重量に到達せず
    デ・ラ・ロサによれば、AMR26Bはシーズン開幕時から抱えていた重量超過を完全には解消できておらず、現在も規定の最低重量より重い状態にある。

    「もうひとつ取り組んでいるのがマシンの軽量化だ。今後2戦、モンツァとバクーで最低重量の限界まで持っていくことを目指している。まだそこには到達していない。ウィリアムズも同じだ。これが短期的な目標になる」

    F1マシンでは最低重量を上回る余分な重量は、そのままパフォーマンス上の不利につながる。空力アップデートの場合、新しいパーツによってダウンフォースを増やしてもドラッグやマシンバランスなど別の領域に影響を及ぼす可能性がある。

    これに対して軽量化は、マシンの基本性能を底上げする手段となる。余分な重量を削減できれば、加速やブレーキング、コーナリングなど幅広い領域で恩恵を得られるためだ。

    モンツァからバクーにかけて段階的に軽量化
    アストンマーティンは、まずイタリアGPが行われるモンツァで軽量化の第1段階を進め、その後のバクーで最低重量への到達を目指す方針だという。その間に開催されるマドリードGPでは、この点に関する新たな変更は予定されていないとされる。

    AMR26Bの開発では、ニューウェイを中心に空力性能の改善が進められてきた。同時にホンダはパワーユニットの出力とドライバビリティ改善に取り組んでいる。そして、そこに軽量化という第3の開発軸が加わることになる。

    アストンマーティンにとって当面の課題は明確だ。ホンダF1パワーユニットではブレーキングやシフトダウン時のドライバビリティを改善し、シャシー側ではAMR26Bを最低重量まで近づける。モンツァとバクーは、ハンガリーから始まった復調をさらに確かなものにできるかを測る重要な2戦となる。